2021年11月24日水曜日

いまだに大統領を乗せて飛行できない新型マリーンワン、VH-92Aは何が問題なのか。

 次期大統領専用ヘリコプターとして実機は完成しているものの、供用が遅れているVH-92Aは国家緊急時への投入がまだできない状態にあるとして、いまだに供用開始時期が決まらない。The Warzoneが以下伝えています。60年代から稼働中のVH-3の退役も待ったなしの中、どうするのでしょうか。



AP

 

 

ョー・バイデン大統領が新型大統領専用ヘリコプター、シコースキーVH-92Aに搭乗する機会は当面発生しない。同機事業はさらに遅延し、「ホワイトトップ」塗装のマリーンワンとしての要求事項を満たしていない。中でも国家の存亡にかかわる緊急対応時フライトを十分な信頼性をもって実施できないとの指摘がある。

 

ブルームバーグの本日の記事では米政府関係者が匿名を条件にバイデン政権がVH-92Aが第一海兵ヘリコプター飛行隊 (HMX-1)での運用で安全性を確認できていないとある

 

ブルームバーグは米海軍航空システムズ本部(NAVAIR)の9月28日付内部評価を入手し、VH-92Aを「信頼性、稼働率、整備性のいずれでも最低限の要求水準を満たしていない」との内容を伝えている。

 

同書類ではVH-92Aを「運用に適している」とは評価しておらず、政府機能の継続を緊急時に確実にする点で懸念を呼ぶとしている。大きな危機が発生した場合に大統領を移動させる手段としては致命的欠陥となる。

 

VH-92Aで安心して重要な運航ができない理由としてブルームバーグ記事ではミッション通信装備(MCS)の問題を取り上げているが、全体像は不明だ。試験評価部門の総括によれば、MCSは「緊急時ミッション開始時に重要な通信で遅延が生じ、適時かつ連続した安全な交信が確立できなかった」とある。

 

このMCS問題が発生したものの、整備陣に診断能力がなく、修理が必要な部分へのアクセスに時間がかかりすぎたという。

 

MCS問題は2020年度に出た運用テスト評価部門長 (DOT&E) によるレポートで登場したもので、MCSバージョン3.0のテストを2020年1月に開始している。同バージョンはDOT&EによるVH-92A運用評価OT-B1レポート(2019年5月28日付)の提言を採用し、評価作業中に発覚した欠陥事項に対応している」

 

BLEND QATIPI

VH-92Aが首都上空を編隊飛行した 

 

MCS 3.0についてDOT&Eレポートでは「ハードウェア設計の変更、とくに機内通信システムのコードを変更し、機内各座席間の交信機能を向上すべき」と記載がある。

 

また同じDまた同じレポートではMCS3.1ソフトウェアもテストしたとあり、NAVAIRの設計陣が「改良にとりくんでいる」とし、MCS3.2テストが2021年1月に始まるとある。

 

危機緊急時に大統領を迅速かつ安全に移動させる際に信頼できる通信の確立が最高重要事項になるのは言うまでもない。通信系統で欠陥があれば大統領が最高司令官として機能できなくなる。また米国の核抑止力の信頼性、実効性にも影響が出る。さらに信頼できる通信の維持が大統領による危機時の指揮統制で絶対必要条件となる。


AP

マリーンワンVH-3Dから空軍将校が「フットボール」と呼ばれるブリーフケースを携行している。中には核兵器使用に使う遠隔指揮装置が入っている。

 

ブルームバーグが入手したテスト内容ではさらに「不安定かつ客室内装に欠陥があり、点検頻度の増加、後部エアステア部品」の組み合わせで点検作業に時間がかかり、結果として機体稼働性が低下しているとある。

 

ヘリコプター特有の問題も未解決だ。2018年9月時点でVH-92Aのエンジン排気とローターによりホワイトハウスでマリーンワンが離発着するサウスローンに損傷が発生しているのが見つかっていた。テスト結果総括ではこの問題は未解決とあり、その後も同じ問題が何度も指摘されている。

 

「エンジン排気とともに液体漏出により離着陸地点で損傷が発生しており、利用可能な離着陸地点が限定されている」とあり、さらに海兵隊に「エンジン排気および液体漏出の影響を抑える工夫を継続する」よう求めている。ただし、この点が実行されているかは明らかではない。

 

U.S. MARINE CORPS/SGT. HUNTER HELIS

ホワイトハウスのサウスローンにVH-92Aが2018年9月に初めて着陸した。

 

このためか、ホワイトハウス軍事事務局はVH-92Aでの大統領移動実施を承認していない。

 

VH-92Aは長年稼働しているVH-3Dの後継機として7月に初期作戦能力を獲得のはずだったが、いまだこれは実現していない。ブラックホーク原型のVH-60Nの交代も2023年に迫り、新型ヘリコプター23機を調達する構想だった。IOCは2020年6月の当初予定が今年1月に先送りになっていた。

 

ただし、VH-92Aにも朗報がある。同上のテストレポートでは同機が通常の政府向けミッションに適合していると評価している。例としてキャンプデイヴィッドへの往復移動やエアフォースワン大統領専用機が待機するワシントン郊外アンドリュース共用基地への大統領移動がある。

 

これにより「運用上の効果」はある程度認められるものの、50億ドルを投じたVH-92でペンタゴンがホワイトハウスが想定した内容には到底届かない。

 

また、同機事業の詳細の公表がここまで遅れた理由も不明だ。DOT&Eによるテストは今年4月に終了しており、5月初めに海兵隊のグレッグ・マシエロ少将Major General Greg MasielloがNAVAIR特殊ミッション事業の責任者として「同飛行隊及び同機事業は本日任務実行の準備が整った」と述べていた。

 

ブルームバーグはテスト担当部門に接触し、三カ月に及ぶ試用期間の結果を求めたが、結果は「公開情報ながら統制下にある」との回答を得ただけだった。テスト部門の報道官かはらVH-92Aが「大統領、副大統領、閣僚、国家機関の長の移動任務実施を効果的かつ適度に行えるかを評価した」との回答を得た。

 

他方で海兵隊航空部門報道官はブルームバーグに同報告書では提示された問題点が解決していないとの指摘事項は記載されていないと伝えてきた。ただし、同報道官はVH-92Aが大統領を乗せてのフライトミッションをいつ開始できるか見通しを述べていない。

 

VH-92A製造にあたるロッキードのシコースキー航空機部門の広報は「弊社顧客と同機が運用上の要求内容を達成できるよう努力している」と述べた。

 

そのため、VH-92Aがマリーンワンとして投入されるのがいつになるのか見通しがつかない。海軍がVH-92A合計23機分として15億ドルを支出ずみだが、各種問題を解決しないと同機はミッションの完全実施ができない。VH-3DおよびVH-60Nの後継機種が必要な中、これ以上の遅延は望ましくない。■



Future Marine One Helicopter Is Struggling To Meet Requirements For Emergency Missions: Report

 

BY THOMAS NEWDICK NOVEMBER 23, 2021

https://www.thedrive.com/the-war-zone/43260/future-marine-one-helicopter-is-struggling-to-meet-requirements-for-emergency-missions


2021年11月23日火曜日

中国の極超音速滑空飛行体が別のペイロードを放出していた可能性が浮上。中国技術が米ロの先を行くのか。極超音速兵器迎撃技術の開発も米国で始まった。まずグアム防衛をSM-6で進める。

China Hypersonic Missile

DADEROT/WIKICOMMONS/RUSSIAN YOUTUBE SCREENCAP

 

 

国が今夏行った核兵器運用可能と思しき極超音速ミサイルテストでは、大気圏内をらせん状に飛翔する間に何らかのペイロードを放出していたとの報道が出てきた。真実なら、興味深い技術ではあるものの、内容は不明だ。

 

フィナンシャルタイムズ(FT)は7月27日の実験では極超音速滑空飛行体がペイロードを南シナ海上空で放出し、「少なくともマッハ5で標的に向かわせた」との記事を昨日掲載した。

 

これまでこの滑空体は宇宙空間から大気圏に突入し、地球を軌道飛行に似た形で横断し、標的に向かうFOBS(Fractional Orbital Bombardment Syste 準軌道爆撃システム)の一種と思われきた。冷戦時代の構想であるFOBSは早期警戒体制が想定する方向の逆から攻撃でき、飛翔経路も想定よりはるか下となり、警戒態勢の虚をつくことが可能だ。

 

GAO

極超音速滑空飛行体と通常の弾道ミサイルの飛翔パターンの違いを示す図。

 

FOBSの機能とは別に極超音速滑空体自体が予測困難となる飛翔経路を大気圏内の飛翔制御で行う。

 

先にCBSのインタビューでジョン・ハイテンGeneral John Hyten統合参謀本部副議長が7月27日テストを「長距離ミサイル」関連だと評していた。ハイテン大将は「地球一周し、極超音速滑空体を投下し、中国国内の標的に命中した」と述べていた。

 

今回のフィナンシャルタイムズではデメトリ・セヴァストプロemetri Sevastopulo記者が「情報筋に近い取材源」の話として、滑空体が「空中で別のミサイルを分離した」と伝えている。

 

話が混乱しているが、同じFT記事内でミサイルが発射された、正体不明の対抗措置が放出された、と報じ、匿名の専門家がこの対抗装置は中国がロシア、米国より極超音速兵器開発で先を行く姿を示していると評している。

 

他方でホワイトハウスはFT問合わせに応じておらず、7月27日テストは「域内外で平和安定を目指す我々にとって懸念となる」との具体性に欠ける声明を発表しているだけだ。FTは在英中国大使館にもコメントを求めたが、情報はないと拒否された。

 

記事のトーンには総じて深刻さが見られ、「ペンタゴン技術陣は虚を突かれた」とあるが、肝心の装備の詳細では内容が薄く、とくに有事にどう使われるのかについて深く報じず、今回の実験が今後の装備にどうつながるのかにも触れていない。一方で、記事には過激な内容はあらかじめ除去されている。

 

セバストプロ記者は問題のペイロードをミサイルとしながら、記事では「ペンタゴン専門家には発射体は空対空ミサイルだと見る向きがある」ともしており、一貫性がない。同時に記事には匿名の「DARPA専門家」がペイロードを何らかの対抗装置とみており、ミサイル防衛体制を打破するもので、米国が開発中の装備と同じだとする見解を伝えている。

 

さらにDARPA専門家は「中国が対抗装置を極超音速飛翔中の本体からどうやって発射できたのか不明だ。放出そのものは大陸間弾道ミサイルで実用化しているが、今回はペイロードを大気圏内で放出している点が異なる」と述べているのを伝えている。

 

極超音速飛翔中に大気圏内でペイロード放出したとすれば技術面の突破口を実現したことになる。誘導ミサイルを放出したとなればなおさらだ。いずれにせよ、滑空中の本体の飛翔を不安定にさせずペイロードを放出するのは容易ではない。

 

現時点では実際に何が放出されたのか、目的は何だったのか不明だ。FT記事では放出体には「明瞭な標的がなく、南シナ海に落下した」とある。

 

そうなるとFTが報じたテストが本当に初めての実験だったのか疑問が生まれる。あるいは初めて実施が確認されただけなのかもしれない。7月27日テスト後に8月13日にもテストがあったが、その際にもペイロード放出があったかは不明だ。

 

中国側からはFT記事が混乱を招いた、あくまでも平和利用が目的の再利用可能宇宙機を武装装備と取り間違えているとの発言が出ているが、The War Zonはこれを一蹴している。

 

ただし、最新の情報では何らかの再利用可能宇宙機にペイロード運搬能力をつけた者との可能性が浮上しており、米空軍のX-20ダイナソアの爆撃機型に似たものかもしれない。X-20はボーイングが1960年代に開発していたい。この可能性を支持する核政策専門家が出ている。

 

NASA

 

別の可能性としてICBMと同様に大気圏内の飛翔中に再突入体を放出したのか。そうならば、飛翔中二か所以上の標的を狙う機能となる。さらに別の可能性は、飛翔の最終段階の低高度でペイロードを放出したことがある。極超音速滑空飛翔体あるいは宇宙機が速力制御能力を付与されれば、ある程度の自由度でペイロード放出できるかもしれない。

 

興味を引くのは、国防長官官房と米陸軍が何らかの母機から長時間滞空弾薬類を展開する技術を2019年以来模索していることだ。この場合の母機は弾道ミサイルの可能性が高く、極超音速飛翔中に行う。この事業にはVintage Racerの名称がついている。ただし、詳細情報や作動原理はほとんどわかっていない。陸軍は別個に今後登場する精密打撃ミサイル(PrSM)に滞空型弾薬類あるいは無人機多数を搭載する構想を検討している。中国の最新テストとVintage Racerでは構想内容には広い意味で類似点がみられるが、相互に関連があるのかについては語れない。

 

US ARMY

2019年の米陸軍説明資料に掲載されたPrSM弾道ミサイルによる滞空型弾薬類放出機能の構想図。

 

中国の7月27日テストの背景がなんであれ、中国の極超音速技術が浮上しており、DF-17がすでに供用開始されており、これも極超音速滑空技術を応用している。人民解放軍ロケット軍(PLARF)は多用な戦力の整備にとりくんでおり、ICBM部隊の拡充も急速に進んでいる。

CHINESE INTERNET

DF-17のモックアップが軍事パレードに登場した。DF-17ではDF-16B短距離弾道ミサイルをブースターとして利用する。写真では無動力極超音速滑空体が搭載されている。

 

極超音速兵器の進展について米国側が口にすることが増えており、米国装備の実験が失敗していることで中国の進展ぶりが目立つ格好となっている。

 

ハイテン大将はFOBS機能をもつ極超音速滑空体を「真っ先に投入される兵器」とし、「技術面で大きな意味があり、緊急性を痛感すべきだ」と述べた。

 

発言にある「真っ先に投入される」とは第一次攻撃用に最適化された兵器を指し、米中間の核バランスを崩す可能性がある。これまで核兵器への中国の姿勢は「最小限の抑止力」を旨とし、核兵器整備は比較的小規模だった。米側の予想では現在の200発程度が2030年に1,000発までに増えると見ている。

 

他方で9月に空軍長官フランク・ケンドールFrank Kendall も中国軍がFOBSに似た兵器開発に進んでいる可能性を空軍協会主催の航空宇宙サイバー会議の席上で発言している。「この形なら従来型のICBMの飛翔パターンは不要となる」「防衛体制やミサイル警戒態勢を出し抜くものとなる」

 

そうなると、極超音速兵器への防衛体制整備が一層必要になる。

 

米国の例ではトム・ドラガン海軍少将Rear Admiral Tom Drugga(イージス弾道ミサイル防衛事業主管)からSM-6ミサイルを「極超音速ミサイル防衛の中心装備」とし、グアム島にはSM-6による防衛体制が「絶対必要」だとした。グアムが中国ミサイルの攻撃の的になることは十分予想されており、ミサイル防衛庁(MDA)もこの度、レイセオンロッキード・マーティンノースロップ・グラマンの三社を選定し、滑空段階迎撃体Glide Phase Interceptor (GPI)の開発を急ぐこととした。極超音速滑空体が無動力で飛翔する中間段階での対処をねらう。

 

今年6月にMDAはアニメーションによる映像を発表しており、「多層防衛体制を次世代極超音速滑空飛翔体を想定して構築する」と説明していた。飛翔制御可能な極超音速飛翔体の迎撃対応は極めて困難な課題であり、迎撃チャンスは極めて限られる。現時点では有効な防衛体制は存在しない。

 

いろいろ複雑な面もあるが、限られた証拠ながら7月27日には何らかのペイロードが極超音速飛翔体から放出されたことを示しており、中国が画期的な技術の実用化をめざしていることがわかる。ただし、現時点では入手できる情報が少なく、実際のテスト内容や中国相手の戦略構図にどんな影響が生じるかを論じるのは時期尚早といわざるを得ない。■

 

China’s Hypersonic Mystery Weapon Released Its Own Payload And Nobody Knows Why

The mystery surrounding China's hypersonic vehicle test last summer has deepened after the craft reportedly launched its own projectile.

BY JOSEPH TREVITHICK THOMAS NEWDICK TYLER ROGOWAY NOVEMBER 22, 2021


https://www.thedrive.com/the-war-zone/43242/chinas-hypersonic-mystery-weapon-released-its-own-payload-and-nobody-knows-why


ドバイ航空ショー:ロシアがSu-75チェックメイトを展示。一方、中国はL-15高性能練習機を展示し、ともに途上国新興国向け採用を狙っている模様。

 

Meredith Roaten photo

 

ーザー光線、ミラー張り天井、芳香のもとロシアが新型戦闘機を海外で初公開した。

 

 

Su-75チェックメイト試作機がドバイ航空ショーに11月14日から18日まで展示された。同機はモスクワ航空ショーMAKSで7月に公開されていたが、ロシア国外に持ち出されたのは今回が初だ。

 

合同航空機企業傘下のスホイがRostecと共同開発したもので、試作機は飛行テスト投入が可能とロシア側が説明している。ドバイショーに特別シャレーと劇場を設け来場者に機体性能を公開した。

 

「中心となるのは低視認性、低運航経費、オープンアーキテクチャと高性能で、コスト効果が高い」と報道資料にある。

 

機体基本価格は30から35百万ドル程度とRostecを率いるセルゲイ・チェメゾが報道陣に語り、これに対し米F-35A共用打撃戦闘機は80百万ドルだ。

 

ロシアは技術を応用し価格を引き下げている。例として航空ショーでのプレゼンテーションでは機体に予知分析システムを採用し、効率と経済性を両立させたと説明。

 

エンジンは単発で24千ポンド推力、アフターバーナーをつかえば39千ポンド推力を発揮する。「推力重量比が高いため、また世界に例を見ない推力偏向エンジンにより同機は目を見なる離着陸性能を発揮します」とプレゼンテーションにある。

 

Su-75はマッハ1.8に達し、離着陸距離は従来より短くなる。また、無人機との共同運用が可能だが、同機の無人機版開発の構想もあるとプレゼンテーションで説明があった。

 

同機はロッキード・マーティンF-35がライバルで、米国はアラブ首長国連邦に同機の売り込みを図っている。

 

他方で中国はL-15攻撃戦闘練習機をショーに展示した。同機の国外展示も今回が初めてだ。

 

「同機は多用途機で高性能、高信頼性、コスト効果が高い機体です」と中国国家航空技術輸出入公社のパンフレットにある。

 

AI-322ターボファンエンジン双発のL-16は時速620マイルを出す。翼幅30フィート、機体重量17千ポンドで最大離陸重量は23千ポンドだ。レーダー、戦術データリンク、標的捕捉ポッド、レーダー偵察ポッドのほか、センサーも装備するとパンフレットにある。

 

「熟成技術を搭載し、システムの信頼度は高く、冗長性を持たせた設計により比類なき安全性が実現した」ともある。■


DUBAI AIRSHOW NEWS: U.S. Rivals Show-Off New Fighter Aircraft

https://www.nationaldefensemagazine.org/articles/2021/11/17/us-rivals-show-off-fighter-aircraft

11/17/2021

By Meredith Roaten

 

2021年11月22日月曜日

中ロ共同パトロール飛行を正当化する環球時報の報道にCCPの考える世界秩序が見え隠れする。自由陣営には到底受け入れられない。どちらが不安定さを招いているのか。

 またもや、環球時報英語版の記事のご紹介です。反対側から見ればこうなるという好例でしょうか。価値観の違いを埋めていくのは並大抵のことではありませんね。

   

Two Su-35 fighter jets and a H-6K bomber fly in formation on May 11, 2018. File photo:China Military

 

国、ロシア両国の空軍部隊が合同戦略航空哨戒飛行を11月19日展開し、両国それぞれの三軍(陸軍、海軍、空軍)が2021年に実行してきた戦略協力により域内の不安定化を狙う勢力に対抗したと両国国防省がそれぞれ発表した。


 

 

このうち、中国国防部の発表ではH-6K爆撃機二機とロシアTu-95MC二機が日本海、東シナ海上空に展開したとある。

 

哨戒飛行で各機は国際法を遵守し、他国領空には進入していないとも発表した。

 

中国国防部は今回は中ロ両国軍による戦略哨戒の三回目となり、中ロ総合戦略提携の調整をさらに進め、共同作戦能力を開発し、両国でグローバル戦略面の安定度を高めるのが目的だったとしている。

 

今回の作戦は中ロ軍の協力事業の一部だが、特定の国をねらうものではない。

 

ご注意 これは中国共産党の息がかかった環球時報の記事を極力そのままお伝えする投稿です。当ブログの意見ではありません。

 

こうした中ロによる共同戦略哨戒飛行は通常の実施になってきた。政治軍事面で両国の距離が縮まり信頼が醸成されてきたため今後もこうした共同演習は頻度をふやすと軍事専門家Song Zhongpingが本紙に述べている。

 

国益の保護と域内の平和安定を守ること以外に、共同戦略哨戒飛行は域外国並びに周辺国に対する警告を伝える意義もある。AUKUSやクアッドを意識し、トラブルを起こすなと伝えているのだと解説するアナリストがいる。中ロ両国は重大問題に関しては共通の立場を維持し、こうした勢力には共同で対処する。

 

以前に見られた三回の哨戒飛行とは別に、中ロ両国は10月に初の共同海上演習を実施し、8月には中国北西の 陸軍共同演習を宁夏回族自治区で展開した。

 

上記Songは中国ロシア両国はこうしたメカニズムを普通のものにして今後も共同航空演習、海上演習を展開すると見ている。

 

中ロ両国軍の全面的協力関係は域内の平和安定につながり、トラブルメーカーを抑止する効果が生まれる。■

 

 

Chinese, Russian bombers hold joint patrol, safeguarding world strategic stability amid Western provocations

By Wang Qi

Published: Nov 19, 2021 08:56 PM


2021年11月21日日曜日

大型非ステルス機は危険と、だが新しいグローバルホークのブロック30まで退役させる米空軍の決断は正しいのか。戦術変更と技術改良でグローバルホークにも対中戦で生存性は高まる。

 



New Tactics & Upgrades to Enable Large Drones to Survive High-Tech Major Power War

Department of Defense

 

 

「とどまるところを知らない」とは情報収集監視偵察(ISR)へのペンタゴンの期待度でぴったりの表現だ。処理済みデータを適時にほしいとの要望は高まるばかりだ。

 

 

偵察作戦は有人スパイ機、掃海ヘリコプターから無人機まであらゆる形状、機体サイズ、高度で展開され、戦時の決定立案に「違いを生み出す」要素とされる。

 

ここで重要なのがスピードと有効範囲で、このため米国や太平洋地域の同盟国の無人機需要には限度がない観がある。日本、オーストラリア、インド、さらに台湾までもがISR及び米国とのネットワーク接続の整備を急いでいる。

太平洋は広大なため、米軍戦闘司令官から偵察機材の追加に加え安全な相互接続によるデータ送受信を米国同盟国間に求める声が高まっている。. 

この背景に中国の海軍力増強が続いていることがあり、日本が高高度飛行可能なグローバルホーク導入を決めた理由でもある。

 

グローバルホークとは

 

グローバルホークは長年にわたり戦闘地帯に投入されているが、センサー、航続性能、燃料消費など改良を続けている。高高度長時間飛行機材としてグローバルホーク無人機は高解像度カメラで敵の動きをズームで捉える。

また、グローバルホークは大規模な統合戦闘ネットワークの「中継点」としても長年使われている。

 

統合参謀本部副議長だったリチャード・マイヤース大将はこの動きを20年前に先取りしイラクの自由作戦でグローバルホークが本人が言う「融合」のカギを握ったと発言していた。

 

 

融合

 

マイヤースが言及したのはグローバルホークをほかの機材や地上偵察機材とリンクさせることで、JSTARS(E-8C統合監視標的攻撃レーダーシステム)に通じるものがあるが、同大将は時流を先取りし、「処理済み」情報の共有スピードが戦闘の行方を決すると見ていた。

 

情報「融合」とは解析結果を高速かつ安全な送信とともに実施することを意味し、前例のない規模での開発が優先的に進む可能性を秘めている。

 

その中で空軍がブロック30仕様のグローバルホークを退役させるのをいぶかしく思う向きがある。

 

空軍発表資料ではグローバルホークは電子光学赤外線カメラと合成開口レーダー(SAR)を搭載している。ブロック40仕様のグローバルホークはこの五年六年で供用開始しており、レーダー技術挿入、アクティブ電子スキャンアレイ、SAR、移動標的捕捉機能では高性能センサーで地上を移動中の標的を探知追尾できる。

 

空軍はノースロップグラマンとグローバルホーク近代化改修を進め、地上制御施設を更新したほか、指揮統制機能も一新し、反応遅延を減らし、攻撃対応を迅速化し、今後のセンサー画像解像度の向上に対応するソフトウェアの基盤を打ち出したほか、AIによりマンマシンインターフェース強化を実現した。

 

戦術面でいうと、これはノースロップグラマンが「その場対応」の任務割り当てと呼ぶ内容につながり、迅速に届く新規情報を活用してミッション内容を調整することにつながる。

 

第一線から外れるグローバルホークのブロック20機材は廃棄保管施設に送るのではなく、グランドフォークス航空基地(ノースダコタ)で極超音速ミサイルテスト二と入される。

 

超大国間戦でもグローバルホークは生き残れる

 

空軍では引き続きブロック30機材の退役も進め、供用開始10年程度で廃止する。空軍上層部はステルス性能が低い大型偵察機では高性能な大国の防空体制に耐えられないと見ている。

 

では、高度脅威環境で本当に生き残れないのだろうか。

 

例としてイランが海軍仕様のグローバルホークを2019年に地対空ミサイルで撃墜した事案がある。脅威対象に合わせた調整内容の詳細は保安上の理由で明かされていないが、米国が新型対抗装置や戦術の変更で機体生存性を調整していることはありうる。

 

この点に関し、大型無人機の運用では飛行経路の予想を困難にする、飛行経路を変更する、搭載カメラの性能を向上するなどの対策を米空軍上層部が話題にしてきた。

 

空軍は新鋭かつ改修直後のグローバルホークでも退役させ、今後の装備導入を優先させるようだ。この発想では今でさえ偵察能力が不足している状況で能力ギャップを生みかねないが、高高度飛行偵察の拡充による付加価値が生まれるのなら木を見て森を見ない態度は避けるべきだろう。

 

戦術変更で生存性を高める、また高高度飛行で安全を確保することで大型かつ低ステルス性能の無人機でもハイエンド環境あるいは紛争時の運行で付加価値を期待できそうだ。

 

グローバルホークに脆弱性があるとしても、同機が無人機であることからパイロットには危険は発生しない。

 

これに対しU-2偵察機は有人機であり、無人機にないリスクがつきまとう。また飛行時間の問題もあり、グローバルホークのような大型機は最長34時間の連続飛行が可能かつ乗員の要素を考慮する必要がない。

 

グローバルホークは中国に対抗する同盟国でも活躍する


太平洋での中国の脅威から米国の同盟各国が高高度長時間運用可能な偵察機材導入に走っており、広大な海洋域を長時間にわたり電子偵察する航空装備の稼働を急いでいる。

 

日本はグローバルホーク三機を調達し、防衛力の整備が進む中で調達を増やせば効果がさらに期待できる

 

南朝鮮はグローバルホーク4機を調達しており、ノースロップグラマンは韓国、日本ともに地上局での指揮統制機能を整備していると明かしている。

 

太平洋に高高度飛行偵察機材が追加されれば各国の「ネットワーク」が相互に強化される。

 

米空軍の高度戦闘管理システムはペンタゴンがめざす統合全ドメイン指揮統制機能の一環として各部隊をつなぐ構想で秘匿性を維持したネットワークの実現で効果を実証しており、各中継点や機材を組織を問わずリアルタイムでネットワーク化するものだ。

 

ここにグローバルホークの意義がある。山脈など地理条件で困難な水平線越えのデータ送信をつなぐ存在となる。日本のような国には極めて重要だ。日本は広大な海洋領域を有し、海洋に囲まれていることから中国の侵攻を受けやすい。日本は巨額予算でF-35導入を進めており、グローバルホークが支援し、脅威データを中継し、標的情報を提供する、偵察映像をリアルタイムで共有する、さらに情報収集の時点でそのままデータを処理する機能を実現する。

 

F-35 Lockheed Martin

F-35がもたらす利点のひとつに各ドメインを横断的につなぐ機能がある。Lockheed Martin

 

 

例として脅威対象の移動情報を海軍艦艇等が山の反対側で収集し、グローバルホークが中継する場合が想定される。味方戦闘機部隊や防空部隊には視認できない。今後の処理速度の向上でグローバアルホークが空の中継点となり、見通し線外での通信接続の課題を解消する存在になりそうだ。これにより戦闘展開が加速化され、戦闘の行方が大きく影響を受ける。

 

グローバルホークは一定地区上空で長時間とどまり、通常なら分断されるレーダーの「視界」をつなぐ機能を実現するので戦闘指揮官に各種情報が途切れなく入ってくる。

 

情報収集時点で処理し、無限ともいえるデータの海から関連線のあるものを自動的に見つけ出すことでネットワーク化の効果があがり、センサー探知から武装発射への時間が短縮される。

 

ソフトウェアとセンサー処理能力の向上にAIのアルゴリズムが加わればパラダイムを一変しかねない変化がグローバルホーク運用に生まれる。ここ数年間で集めた多数の運用例から同機はかつてのような脆弱性のある機体とは言えなくなっている。ブロック30仕様の各機の退役は世界各地の運用ニーズや実際の脅威を考えると得策とは言えない。

 

イラクの自由作戦当時に実戦デビューしたグローバルホークだが今日は一層その存在感を増しており、重要機材になっており、作戦への寄与度はこれからも増えそうだ。■

 

New Tactics & Upgrades to Enable Large Drones to Survive High-Tech Major Power War

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

UPDATED:NOV 19, 2021ORIGINAL:NOV 19, 2021

https://warriormaven.com/air/global-hawk-drones-surveillance

 

Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master’s Degree in Comparative Literature from Columbia University.