2021年12月28日火曜日

J-20が威力を増し、大規模生産に入ったと喧伝する中国だが、西側航空戦力に対抗する性能が本当にあるのか疑わしい(今のところは)

China’s J-20 Fighter with domestic WS-10C engines. (via Twitter)

J-20は国産WS-10C エンジンに換装した 

Twitter

 

国が第五世代戦闘機J-20を増産し、人民解放軍空軍の域内での優勢度をあげようとしていると環球時報が伝えている。

 

中国には海上からの兵力投射手段となる艦載第五世代戦闘機がないため、陸上運用型のJ-20を投入せざるを得ない。▼太平洋での兵力投射では中国は米空軍力へ苦戦するのは避けられない。▼だが、域内となれば話は別だ。▼日本、台湾はともにJ-20の戦闘半径に入る。

 

成都J-20が機内兵装庫を開いている

wikipedia

 

▼中国にJ-20は現在50機程度しかないとの報道があり、域内有事の場合、同機は盤石の体制ではない。▼米3軍で2,000機以上のF-35運用を計画中で、日本は数十億ドルでのF-35購入を決定しており、太平洋での中国の制空権確保は確実ではない。▼中国政府をバックとする新聞環球時報が、J-20量産を報じた背景には、こうした要因がある。▼中国は大規模な産業基盤を有し、空母、駆逐艦、揚陸部隊を迅速に戦力化している。▼そして航空機生産でも迅速に動いている兆候がある。

 

J-20は最近、国産WS-10エンジンに換装しており、生産は合理的かつ効率的になり、より高いテンポになっている。▼「輸入エンジンから国産に切り替えたことで、大量生産が可能になった...エイビオニクス、レーダー、兵装の各システムなどJ-20はすでに国産化されている」と環球時報は述べている。▼J-20の生産拡大の範囲とペースは明確でないが、意図と生産能力は共にあるようだ。▼孫子の「質量問題」原則が、現代の戦争でも適切かつ重要であるとのコンセンサスを考えれば、航空優勢で競合するにはより多くのJ-20が中国に必要だ。

 

同時に、J-20外観のステルス構成やF-22、F-35との類似性などあっても、日米の第5世代機に対抗できると判断できる情報がない。▼J-20が、センサー有効範囲、照準精度、マルチロール航空制圧などでF-35に対抗できなければ、大量保有しても、大きな差は出ないかもしれない。▼例えば、長距離で高精度のF-35搭載センサーがJ-20を先に発見すれば、F-35一機でJ-20編隊全機を撃滅できる。

 

最後に、陸上運用J-20で日本や台湾に決定的な影響を与えらないとは言えないものの、前方基地がないと中国の航兵力投射能力は制限されたままだ。■

 

China Surges J-20 Fighter Production: Sets Sights on Surpassing US F-35 & F-22 Airpower - Warrior Maven: Military and defense news

UPDATED:DEC 26, 2021ORIGINAL:DEC 26, 2021


KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master’s Degree in Comparative Literature from Columbia University.

 

2021年12月27日月曜日

2022年の米空軍はB-21ロールアウトと新型給油機構想公募がハイライトになりそう。2023年度予算案が年初に姿を現せば、旧型機処分を迫られそう。

  

B-21レイダーがエルスワース空軍基地(ノースダコタ)に配備された際の想像図。(Courtesy of Northrop Grumman)

 

空軍が待ち望む新型ステルス爆撃機のロールアウトが来年に実現する。一方で2022年予算には厳しい選択が控えており、その他機材の退役も予定される。

 

 

B-21レイダーは2022年ロールアウトとあるが具体的な日程は非公表だ。ロールアウト後に初飛行が控える。

 

「B-21では特別なことを考えている」と空軍参謀総長CQ・ブラウン大将Air Force Chief of Staff Gen. CQ Brownは公開式典あるいは初飛行について9月にDefense Oneに語っていた。

 

新型爆撃機の登場は30年超ぶりとなる。ノースロップ・グラマンB-2スピリットが空軍42プラントのあるカリフォーニア州パームデイルで公表されたのは1988年11月のことだった。B-2は翌年7月に初飛行した。

 

だが空軍長官フランク・ケンドール Frank Kendall は12月9日、レイダーは2022年も極秘扱いを続けると語っていた。

 

「詳細は公開しない」とケンドールは述べ、「敵側に有利になる情報は開示したくない。国民に知らせるし、議会にも伝えるが、実際の情報は限定させていただく」

 

ケンドールは空軍協会主催のシンポジウムでB-21合計5機が42プラントで製造段階にあると認めた。

 

戦略国際研究所の航空宇宙及び国防予算分野の研究院トッド・ハリソンTodd Harrisonは2023年度予算要求が来年早々に登場すればB-21の詳細がわかるはずと見ている。ハリソンは12月10日に空軍の調達案と供用開始時期の開示を期待している。「2022年はB-21にとって重要な年になる」

 

一方で2023年度予算要求で空軍は旧式機材を整理して予算をひねり出そうとしている。予算が厳しくなるのを前提に、機材近代化が思ったように進められなくなる。ケンドール始め空軍上層部は対中戦などハイエンド戦闘で効果が期待できない旧式機材の廃止を認めるよう議会に求める声を強めている。

 

次回の予算要求ではこれまでを上回る規模の戦力構造の変化が盛り込まれそうだ。

 

空軍は空中給油機分野でKC-46Aペガサスに加え次世代機材の調達を目指しており、2022年にこの動きが強まりそうだ。今年6月に空軍はつなぎ給油機KC-Yの実現をめざし供給元を求む公示を出した。

 

その三か月後にロッキード・マーティンがLMXT空中給油機構想を発表し、エアバスA330多用途給油輸送機を改装し、160機を製造する案を発表しKC-46への競争意識を示した。

 

12月4日にDefense News取材でブラウン大将はつなぎ給油機一般競争の日程は未定と述べたが、作業は始まっている。■

 

Meeting the B-21 Raider: 2022 to bring new bomber's eagerly awaited rollout

By Stephen Losey

 Dec 23, 10:00 PM

 

About Stephen Losey

Stephen Losey is the air warfare reporter at Defense News. He previously reported for Military.com, covering the Pentagon, special operations and air warfare. Before that, he covered U.S. Air Force leadership, personnel and operations for Air Force Times.


米海兵隊・海軍の対中戦略は「スタンドイン」で、第一列島線からの撤退を拒否。中国をじわじわと苦しめる「潰瘍」戦術を展開する。ホームズ教授の解説。

  

イヴィッド・バーガー大将David Bergerが目指すのは習近平に潰瘍の苦しみを与えることだ。今月初めに米海兵隊総監のバーガーがサインしたのが「スタンドイン部隊構想」Concept for Stand-in Forcesで戦略指針として小規模海兵部隊をアジアの第一列島線沿いに展開し、米海軍と連携し、中国の人民解放軍海軍(PLAN)を苦しめようという構想で、東シナ海、台湾海峡、南シナ海での実施を目指す。

 

同構想は、米中戦略競争の武力論争における声明文としてとらえてみよう。戦略的競合では、各競争相手が軍事装備を開発し、誇示することで、有事に自国が勝者になると納得させようとするものである。

 

成功した側は敵対勢力を抑止または強要し、敵対勢力の同盟国協力国を説得して、敗北が明らかな大義を捨てさせ、同盟者協力国を説得し、勝利が明らかな大義の側に集結させる。

 

中国は米中間の競争で先行し、接近阻止領域拒否構想(A2/D2)を開発し、実現のため軍備を整備してきた。これが軍事論争におけるPLAの冒頭陳述だ。すなわち、PLAロケット部隊、航空部隊、艦艇は、前方展開する米軍を開戦時に打撃し、米本土から太平洋を西進する援軍の合流を阻止するはずだ。

 

その過程で、PLAは台湾を制圧するなど、他国が武力介入できないうちに目的を果たす時間を稼げる。そして、米軍は一時期、A2/ADの前提、有事に地域から撤退し、再び戦場に戻るという構想を受け入れていたようである。ペンタゴンで短命に終わった「エアシーバトル」構想も、この考え方に基づくものであったようだ。

 

ただし、第二次世界大戦の再演は中国に狙い通りの時間を与えることになる。日本軍による真珠湾攻撃から東京湾の戦艦ミズーリでの降伏式典まで4年近くが経過した。台湾、日本、その他中国のライバル国が、アメリカの援助なしに長く持ちこたえられる可能性はほとんどないといってよい。

 

戦力を温存すべく西太平洋から撤退すれば降伏に等しい。それゆえ、米海兵隊は近年、A2/ADに対抗し地域にとどまり、中国を阻止する方法を探求している。海兵隊・海軍は、艦隊と地上軍を小規模、安価で、より多くの部隊に分割し、新技術を装備し、威力を維持しようとしている。

 

海軍は、小型戦闘艦の大群を「分散」して戦わせ、また宇宙空間でも分散させアクセス拒否の矛先を回避しようとする。艦隊の戦闘力では、艦隊は戦闘で損失を出しても、勝利のために戦い続ける戦闘力を保持することができる。

 

結局、ここにポイントがある。

海兵隊も同じく部隊を分割して、ミサイルや高度なセンサーを装備した、軽量かつ高機動編成を実現したいとする。小型水陸両用艦は、必要に応じ部隊を島から島へ移動させる。偵察と反撃で艦隊を助けつつ、一撃を加える能力も備えている。

 

要するに、力づくで状態を変えようとする中国に対抗するため海軍部隊が近海で作戦を展開し、遠隔地に撤退することはない。近海作戦部隊と関連する一連の作戦構想により海軍海兵隊は、PLAのA2/ADへ反撃を加える。

 

この手法にはナポレオン戦争時の英陸軍と英海軍に先例がある。1807年、アーサー・ウェルズリー卿(後のウェリントン卿)は、小部隊軍隊を率いポルトガルに上陸した。その後7年にわたり、ウェリントン軍は海から支援を受けながら、ポルトガルやスペインのパルチザンとともに戦った。

 

同盟国側の目的はフランスを苦しめることにあったが、遠征に明確な目的はなかった。ロンドン当局は、ウェリントンに一定の資源を与え、騒乱の種をまくため送り出したのである。ナポレオンは、フランスの東側で大規模戦闘が進行中で、西側で戦争する気はさらさらなかったが、イベリア半島での脅威を容認せざるを得なかった。

 

そこにポイントがあった。

イベリア半島の作戦は、ナポレオンの主要な関心領域から兵力を吸い上げると同時に、重要事項からナポレオンの注意をそらす効果を生んだ。海事史家のジュリアン・コーベットJulian Corbettは、この戦争形態を「偶発性に限定された戦争」、つまり、特定の目的ではなく、指揮官に割り当てられた手段で支配される戦闘だとした。戦略家は目的、方法、手段の観点で通常は思考する。求められる目標により、資源の配分と使用方法が決まる。

 

実際に偶発戦争は、通常、最重要要素となる目的を戦略的定式から排除し、方法と手段を当事者にまかかせることになる。作戦や戦術で敵を苦しめればよいのである。

 

偶発戦争は、悩ましい戦略である。ナポレオンは、この解釈でコルベットを凌駕していた。小皇帝は半島戦争を 「スペインの潰瘍 」と呼んだ。潰瘍は致命的ではないが、常に悩実のタネとなる。気が散り、衰弱していく。コルベットにとって潰瘍戦略とは、「敵が我々の介入を許さず立案した戦争計画に侵入し、敵がその開始時の動きによって取り返しのつかないことになる」、つまり「敵から勝利の果実を奪うための介入」を意味する。

 

こうした戦略は、より大きな闘争の中で敵にちょっかいを出し、投入資源以上の戦果を生み、敵指導部は高い代償で対応せざるを得なくなる。この戦略は、海から遠い戦域で最も効果的に機能する。陸海空統合の「処分部隊」を展開するのだ。本隊から切り離されていても敵に損害を与えるに十分な戦力を有する水陸両用部隊を指す。

 

ナポレオンはスペイン潰瘍になった。今度は習近平が太平洋潰瘍になる番だ。■

 

The 'Ulcer' Strategy: How the US Military Could Wage War on China - 19FortyFive

DR. JAMES HOLMES: THE NAVAL DIPLOMAT

ByJames Holmes

 

Dr. James Holmes holds the J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and served on the faculty of the University of Georgia School of Public and International Affairs. A former U.S. Navy surface-warfare officer, he was the last gunnery officer in history to fire a battleship’s big guns in anger, during the first Gulf War in 1991. He earned the Naval War College Foundation Award in 1994, signifying the top graduate in his class. His books include Red Star over the Pacific, an Atlantic Monthly Best Book of 2010 and a fixture on the Navy Professional Reading List. General James Mattis deems him “troublesome.”

In this article:A2/AD, China, Concept for Stand-in Forces, featured, Ulcer Strategy, US Marines, US Navy

 


2021年12月26日日曜日

M1エイブラムズの新型v3、v4の登場で大型装甲戦車の君臨はまだまだ続くと米陸軍は見ている。

 



New Army High-Tech Abrams M1A2 SEPv3 Joins Operational Unit, Next-Gen v4 Prototype Underway

General Dynamics

 

望の次世代エイブラムズ戦車が登場した。実践投入に備え、米陸軍部隊に配備され、高度戦力を有する敵勢力に備え新時代の近代戦に対応し、各種ドメインの脅威にも耐える装備品となった。

 

地上戦闘車両開発事業の主管グレン・ディーン准将Brig. Gen. Glenn Deanはv3仕様が実戦部隊で作戦投入可能となったと述べている。

 

M1A2 SEPv3の特徴


米陸軍はジェネラルダイナミクスのランドシステムズM1A2 SEPv3に陸上戦で新技術を導入し、戦闘力を維持しつつ、機能面威力面で新時代を迎える車両とした。パラダイムを一変する兵装、センサー、サイバー技術とネットワーク効果で今後の戦闘シナリオが変わる。

 

M1A2 SEP v3を単に新型エイブラムズと呼ぶ。新たに高解像度ディスプレイが砲手、車長に搭載され、新型電子装備としてLine Replaceable Unitsを導入した。また操縦手の制御パネル、砲塔制御ユニットも一新した。新型エイブラムズでは内容を一新した砲弾データリンクと電子戦機能を搭載した遠隔制御即席爆発物対策電子戦対応(CREW)を統合した。

 

v3エイブラムスではアドバンスト・マルチパーパス・ラウンド(AMP)と呼ばれる先進的な弾薬を発射する。

 

AMPは、戦車乗組員が1発の弾丸から特定の爆風効果を選んで調整できる先進弾薬技術を導入した。例えば、高火力対戦車弾、多目的対戦車弾、移動中の地上戦闘員攻撃用の断片キャニスター弾、貫通弾などである。可変信管、弾薬デーリンク、エアバースト技術でこれが実現した

 

この機能は湾岸戦争時の戦車戦の戦訓から生まれた。米陸軍エイブラムズはイラクのT-72をスタンドオフ距離で捕捉破壊できたが、イラク側には探知できず、この差が米軍の勝利につながった。

 

AMP以外にイーサネットで車両間のセンサー情報共有が実現する。v3と今後登場するv4車両で特筆すべきは長距離高解像度熱探知機能で通常なら不可能な標的も捕捉できる。

 

陸軍技術陣は長年にわたり、以前は制限要因と見られた要素の対処、緩和、克服を続けてきた。マッピング、センシング、マルチノードネットワーキングなど高度な航法技術により、機動力が向上し、一見近寄りがたい市街地で最適な進入地点を選択できるようになった。橋や狭い場所がエイブラムスに制限となる場合、位置情報とマッピングの高度ネットワーキングで、新しい代替輸送ルートを迅速に計算できるようになった。

 

エイブラムスはオフロードを走破できるため、代替ルートは十分に考えられる。エイブラムス戦車を使う機械化部隊は、同戦車の70トン重量に耐える運搬式橋りょうで移動でき、機動的かつ高速移動しながら攻撃と前進を続けられる。

 

イブラムスにはまた、新しい電子機器、コンピューティング、センサー、EW技術をサポートするための補助電源ユニットを搭載している。

 

陸軍は現在、エイブラムス戦車の改良型次世代型の試作型一号車両を製造中で、1980年代に生まれた戦闘車両に長期的なビジョンが期待されていることがわかる。

 

M1A2 SEP v4の登場


陸軍とジェネラル・ダイナミクス社はM1A2 SEP v4改良型を数年中に登場させる予定で、今後も戦闘性能を確保し続けるためのアップグレードが組み込まれ、拡張されていく。v4改修の一部は保安上の理由から不明だが、画期的なセンサー技術に関連する調整について、グレン・ディーン准将が The National Interest 誌に語っている。

 

画期的なセンサーは、新世代のFLIR(Forward Looking Infrared)照準センサーを統合し、解像度、距離、画像処理のパラダイムを変えるレベルだとディーン准将は説明してる。

 

「最初の試作型で、今後各種のテストを行う。試作型数両を作らなければならず、実戦部隊への投入は何年か先になる。試作型は現在製作中で、22年6月頃には完成予定」とディーン准将は語った。

 

その他、v4では、新型カラーカメラを採用し、レーザー距離計技術、気象センサー、火器管制または武器照準器を改良する。車載ネットワークもv4では、車両全体の情報の流れを合理化するために新しいイーサネットスイッチを搭載する。これにより、情報の流れが合理化されるとともに、「ボックス」の数が減り、ハードウェア設置面積が縮小または統合される。


A M1A2 SEPV3 Abrams Tank fires at multiple range targets during a range warfighter exercise, April 11, 2021, Fort Hood, Texas. The visit with foreign allies allows the U.S. Army to boost interoperability of staff members and warfighting capabilities with the M1A2 SEPv3 Abrams Tank. (U.S. Army photo by Sgt. Melissa N. Lessard)

M1A2 SEPV3 が演習で複数の標的へ砲火を浴びせている。フォートフッド(テキサス州)April 11, 2021, 演習には各国部隊も加わり、米陸軍のめざす共同作戦体制の推進が図られた (U.S. Army photo by Sgt. Melissa N. Lessard)

U.S. Army

 

 

V4の登場は、1980年代登場のエイブラムス戦車が今や全く別の車両といっていいほど広範囲に性能向上されているという、重要だが過小評価される現象を物語る。コンピュータ、エレクトロニクス、照準技術、装甲保護、センサーは、最初に登場した水準を何世代分も超えている。陸軍兵器開発部門では、エイブラムスは今後何年にもわたり優れた性能を維持し、重装甲戦闘車両は今後も存続する、と見ている。■

 

Army's New Abrams M1A2 SEPv3 is Combat Ready - Warrior Maven: Military and defense news

UPDATED:DEC 21, 2021ORIGINAL:DEC 21, 2021

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN



Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master’s Degree in Comparative Literature from Columbia University.


2021年の回顧 米海軍の作戦面でのこの一年


 

 

2021年の米海軍は再び多方面作戦のバランス確保に努め、アフガニスタン撤退の一方でインド太平洋地区の重視を強めた。

 

米同盟国複数が今年は艦艇をインド太平洋へ派遣し、米艦艇は各地で演習を展開できた。

 

中東へは米海軍艦艇を派遣が続いたが、ここ数年で初めて航空母艦を一隻も米中央軍隷下に派遣しなかった。

 

今年は新型CMV-22Bオスプレイ艦載輸送機、F-35CライトニングII共用打撃戦闘機が海軍で初めて配備された年にもなった。

 

COVID-19ワクチンにより艦艇乗員の配転前制限が緩和されたり、寄港が以前のように復活した。また旧USSホンノムリシャー(LHD-6)の艦内火災事故の後処理ならびに海軍工廠での補修作業の積み残しが顕在化した都市にもなった。

 

 

インド太平洋方面

 

 

インド太平洋では空母プレゼンスを維持した。バイデン政権誕生で同地域と太平洋への重視が続くことが明らかになった。

 

USSセオドア・ローズヴェルト(CVN-71)は今年二回の出動となり、年初数カ月はインド太平洋司令部隷下で各地に展開した。

 

セオドア・ローズヴェルト空母打撃群がマキンアイランド揚陸即応群と南シナ海を航行した。April 9, 2021. US Navy Photo

 

4月にTR空母打撃群はマキンアイランド揚陸即応群と南シナ海とフィリピンで演習を展開した。その時点で中国海上民兵舟艇がフィリピンのウィットサン礁付近に集結し、ペンタゴンが懸念を表明していた。その後6月にフィリピンは米国との相互防衛条約破棄の作業を中断した。

 

他方で米海軍は台湾海峡航行をほぼ毎月行ってきた。中国はこれに対し抗議している。航行を繰り返すことで米国は台湾と中国の緊張激化への懸念を示しており、中国は台湾防空識別圏へ繰り返し侵入した。

 

海軍は南シナ海でも航行の自由作戦を数回にわたり実施した。

 

日本へ前方配備中のUSSロナルド・レーガン(CVN-76)は2021年春季パトロールでインド太平洋に出動し、その後中東方面に進出した。

 

8月からカール・ヴィンソン空母打撃群がインド太平洋で活動を展開し、海上自衛隊や英海軍空母打撃群21、ドイツ海軍、オーストラリア海軍との共同訓練を行った。

 

ヴィンソンCSGでは海軍最高戦力の航空団を展開し、第五世代F-35Cと新型CMV-22Bオスプレイがともに供用開始された。

 

中東方面

 

ニミッツ空母打撃群が今年初めに北アラビア海に展開し、同部隊の展開は終了する予定だった。米国とイランの緊張は二年越しで高いままとなっている。当初、同艦は帰国予定だったが、ペンタゴンはイランのイスラム革命防衛隊クッズ部隊司令カセム・スレイマニ殺害の一周年を警戒し、USSニミッツ(CVN-68) を1月いっぱい同地に残すこととした。

 

ニミッツが1月末に同地を去ると、マキンアイランド揚陸即応群がペルシア湾に入り、中央軍隷下で次の空母が到着するまで任務に就いた。

 

ドワイト・D・アイゼンハワー空母打撃群がその後中央軍に派遣されたが、同艦及び護衛部隊USSヴェラ・ガルフ(CG-72)が同年中に二回展開されたのは空母部隊に負担をかけざるを得ない海軍の実情を示している。

 

アイゼンハワーは2月に展開に出動し、乗組員はCOVID-19ワクチン接種を受け手からノーフォーク軍港を出港した。同じ頃、配備前の乗組員への新しいガイダンスとしてワクチンの入手可能性を考慮した。当時、海軍は、配備前乗組員のCOVID-19感染防止として、バブル方式と移動制限(ROM)を実施していた。しかし、2月のガイダンスでワクチン接種済み乗組員は、配備前2週間はホテルなど外部施設ではなく、自宅滞在が可能になった。

 

アイクは6月末まで中東地区に残り、ロナルド・レーガン空母打撃群の到着を待った。レーガンCSGがアフガニスタン撤退の支援にあたり、日本配備の空母が中東に展開したのは2003年USSキティ・ホーク (CV-63) がイラク侵攻支援についた時以来だ。

 

夏にはイオージマ揚陸即応群も中央軍隷下に入り、アフガニスタンからの米軍撤退を支援した。

 

撤退作戦が8月末に終了するとレーガンは中央軍から離れ、中東でほぼ3カ月展開した。イオージマも9月に同地を離れた。その後、エセックス揚陸即応群が中東に残っている。

 

大西洋方面

 

 

USS ザサリバンズ (DDG-68) はCSG21を離れ帰国の途についた。October 19, 2021. Royal Navy Photo

 

 

今年は英海軍の新鋭空母HMSクイーン・エリザベス (R08)が初の作戦展開をし、多国間空母打撃群となり、米海軍は駆逐艦USSザサリバンズ (DDG-68)、オランダはフリゲート艦HNLMSエヴァーツェンン(F805)を派遣した。

 

5月に英CSG21は北大西洋でイオージマARGと演習を展開し、その他NATO加盟国も加わった。

 

同じ5月にNATO加盟国はSteadfast Defender 2021演習の第一段階を大西洋で展開した。

 

米海軍は Large Scale Exercise 2021大規模演習を展開し、大西洋から太平洋にわたり、作戦構想の点検を各地で同時進行で行った。同演習は二週間にわたり、USSキアサージ(LHD-3)が大西洋上でUSSゴンザレス(DDG-66)への燃料補給を試行した。

 

艦艇の補修関連


ボンノムリシャーの艦体が解体工事のためテキサス州ブラウンズビルへ曳航された。Screenshot of YouTube video from May 31, 2021

 

海軍は2020年7月発生した旧USSボノムリシャー (LHD-6)の後処理に追われた。同艦は2021年初頭に除籍されテキサス企業にスクラップとして売却された。

 

同艦で火災が発生した時点で同艦はサンディエゴ海軍基地で保守整備作業の最終段階にあり、F-35BライトニングII共用打撃戦闘機運用に向け改修中だった。

 

7月に水兵見習いライアン・メイズRyan Maysが起訴され、事故当時同艦でメイズは放火により艦を危機に陥れたとされた。同名の第32条による聴聞会が先週介され、米第三艦隊司令スティーブン・コーヒア大将Adm. Stephen Koehlerが今後の審理を決定する。

 

整備作業で入港中の誘導ミサイル巡洋艦USSゲティスバーグ(CG-64)でも7月に火災事故が発生した。ヴァージニア州ノーフォークのBAEシステムズ修理施設で小規模の火災事故が発生した。修理中の艦艇では高温作業や溶接作業のため艦内火災が発生するリスクが高い。

 

こうした火災事故は海軍にとって新しい事案ではなく、今月初め海軍海上システムズ本部(NAVSEA)が艦内火災安全策確立グループIndustrial Fire Safety Assurance Group (IFSAG)を発足しており、艦艇整備中、建造中の火災事故防止をめざす。

 

USS コネティカット (SSN-22)はサンディエゴを出港した。 Dec. 15, 2021. San Diego WebCam Photo

 

他方でシーウルフ級攻撃型潜水艦USSコネティカット(SSN-722)が海図にない海嶺に南シナ海で衝突した事故が10月に発生し、海軍の保守整備部門にさらにストレスが加わっている。衝突でバラストタンクおよび艦首部分が損傷を受けた。

 

同艦は今週はじめに母港ブレマートン(ワシントン州)に帰還しており、同地で修理を受ける。だが海軍管理下の施設では潜水艦向け作業の日程が多数たまっており、研究開発調達担当の海軍次官補代理は議会にて1同艦を海軍施設で修理すると他の作業に影響が出ると0月に発言している。

 

艦艇修理の作業残には議会筋も関心を示しており、海軍策定の海軍工廠近代化20年計画への影響を危惧している。これに対しNAVSEAを率いるビル・ガリニス中将Vice Adm. Bill Galinisは施設インフラ最適化計画Shipyard Infrastructure Optimization Plan (SIOP) を10年から15年に加速化できないか検討中と述べていた。

   

Top Stories 2021: US Navy Operations - USNI News

By: Mallory Shelbourne

December 23, 2021 10:06 AM

Mallory Shelbourne

About Mallory Shelbourne

Mallory Shelbourne is a reporter for USNI News. She previously covered the Navy for Inside Defense and reported on politics for The Hill.