2022年1月28日金曜日

気になるニュース 北朝鮮を繰り返しサイバー攻撃しているのはだれか 北朝鮮サイトが一斉にダウンした しかも繰り返し

 

KCNA/REUTERS

 

  • 北朝鮮国内の全ウェブサイトが今月に入り少なくとも二回止まった

  • 専門家は北朝鮮へのサイバー攻撃とみるが、別の説明も可能だ

  • 1月14日に断続的に機能が停止し、同国のウェブサイト全部が機能しなくなった


朝鮮が1月25日にインターネットから短時間姿を消した。NKニュースがまずこれに気づいた。


Insiderも北朝鮮サイト数点が利用不能になったのを確認した。NKニュースは北朝鮮関係の話題を追うことを専門としている。


北朝鮮のドメイン名は「.kp」が末尾につく。国営メディアが同日午前6時前にダウンしているのをNKニュースが最初に気づき、記事にしていた。


機能停止は1月14日に始まり、その後週末まで断続的に合計数時間続いた。



接続が切れたことから北朝鮮のITインフラは分散型のDos攻撃distributed denial-of-serviceを受けたようだとサイバーセキュリティ専門家Junade AliがNKニュースに伝えてきた。「北朝鮮はインターネット利用を完全停止させられた」


インターネットが利用不能となるのは北朝鮮では珍しいことではない。ソフトウェアのアップデートに伴い、政府、国営通信社のサイトが昨年使えなくなった。また、給電網や現地インフラが原因で停電も発生していたが、今回の停止状況を見て専門家も通常と異なることに気づいている。


「もし停電ならルーターで電気が止まり、すぐにでもルートが消えたはずだ」(Ali)「接続タイムアウトの問題ならデータ喪失は多くなるが、その後ルーターがダウンするはずだ」という。「つまり、ネットワークへのストレスが加わったのだろう」


もう一人、ニコラス・ロイNicholas Royは「何らかの妨害工作を行ったのか、フェイスブックでも数日前に大混乱があったが、あるいは何らかの攻撃だったのかも」とした。


今回のインターネット機能停止は米、中あるいは別の国で北朝鮮に対立する向きによる結果かもしれないが、あまりにもわからないことが多すぎ、どの筋が絡んでいるのか専門家も明言できない。■


North Korea recently disappeared from the internet for a little while, and it looks like it has happened again

Abbie Shull Jan 26, 2022, 9:12 AM



南シナ海に没したF-35Cの機体回収はこうなる。回収は比較的容易としても数週間かかる。その間に中国の動向に注意が必要だ。

 

 

  • 空母USSカール・ヴィンソン着艦に失敗したF-35Cが南シナ海に水没した

  • 機体を他国の手にわたることのないよう米国は回収回収する必要がある

  • 回収には数週間かかるとの専門家の意見がある


海軍はUSSカール・ヴィンソンへの着艦に失敗し南シナ海に水没したF-35Cの回収に取り組む。



着艦事故は1月24日発生した。パイロットは射出脱出し、ヘリコプターが回収した。乗組員7名が負傷した。


米国は南シナ海で機体回収に取り組む。なんとしても機体を他国の手に渡してはならないためだ。


中国が同機入手に動くのは必至との見方がある。第五世代戦闘機の高度技術は長年の努力と莫大な予算による研究開発の成果だ。


「F-35実機からリバースエンジニアリングでコピー機が生まれれば、中国にとって好機となります。情報収集活動ではわからない点も解明できるからです」と米海軍に勤務した経験のあるブライアン・クラークBryan Clarkが述べている。クラークは現在ハドソン研究所で国防関係を取り扱っている。


「さらに大きな懸念があります。F-35実機を入手すれば、中国は同機への対抗策を突き止めるでしょう」とした。中国は独自にJ-20のような第五世代機を開発配備しており、米国に対抗している。


海軍向けF-35Cはロッキード・マーティンによれば「世界唯一の長距離ステルス打撃戦闘機で空母運用を念頭に開発された」としている。たしかにF-35Cでは作戦行動半径が増えており、カタパルト発艦と拘束式着艦に対応している。


中国がF-35C実機を入手すれば、情報活動で大きな成果となるが、クラークは米国が回収を目指す中で、中国がわざわざリスクを冒すとは思えないと論評。ただ、米側の回収が長引けば、中国も実行を試みるのではとした。


ただし、中国軍が機体を入手しようとする可能性は高い。米太平洋軍の合同情報センター(ハワイ)で作戦部長だったカール・シャスターCarl SchusterはCNNに「中国が位置を突き止め深海潜水艇で調査するのではないか」と述べている。


水没したF-35の回収手段として米国は海底をまず調査船で走査してからROVsつまり遠隔操作装備で機体にケーブルをつけ、その後クレーンで回収するはずだ。


作業は数週間かかり、その間は付近を監視する必要がある、とクラークは指摘する。


「米国はこれまで機体や兵装さらにロシア潜水艦まで海中回収した実績がありますから、実行可能なはずです」(クラーク) だが機体の状況が悪いと回収が困難になるし、他国が作業を妨害しても同様だ。


クラークは「中国海上民兵が付近に集まってきたら要注意だ。妨害活動で作業が困難になるのでは」と予測する。


戦略国際研究所上級顧問で元海兵隊のマーク・カンシアンMark CancianはNavy Timesに対し機体を水中から引き上げる工程は南シナ海の深度が浅いことを念頭に「比較的容易」とした。また、今回の機体は水没前にいったん着艦していたので機体状態は良いだろうとも述べた。


「艦にハードな着艦してから落下したようなので、落下時のスピードは高くなかったはず」「機体がバラバラになって入れば回収はもっと難しくなる」(カンシアン)


F-35墜落事故は数件発生しており、空母関連は今回が二回目だ。2021年11月に英海軍の旗艦HMSクイーン・エリザベスから発艦失敗した機が地中海に落下した。水没したF-35Bの位置をつきとめるのに2週間を要し、回収に数週間かかったと英紙The Sunが伝えている。軍上層部はロシアが機体部品を回収する事態を憂慮していた。


回収成功の後で関係者は報道陣に対し「機体の重要装備は無傷だった」と述べている。■


US Navy Plans to Pull F-35 Fighter Jet Out of South China Sea


Julie Coleman 


主張 米ロはウクライナをめぐる戦闘勃発を回避し、もっと恐ろしい中国の野望に立ち向かうべきである。

 

 

時間がなくなりつつある。全関係国に影響が出る。国民、世界が武力衝突の回避を願うが、万一発生すれば偶発的に第三次世界大戦へつながるかもしれない。

 

ラジミール・プーチンの頭の中では(ヒトラーが要求を勝ちとった)ミュンヘンの再来としてジョー・バイデンの屈服を期待しているのだろうが、バイデンはそれができないし、するつもりもない。大統領は武力紛争の勃発を予測している。両指導者とも、賢く動き、本来回避できる戦争を防ぐ努力が求められている。

 

 

 

 

西側とロシア間の関係を再定義し、双方に誇りと安全保障上の利益をもたらし、第三次世界大戦に発展しかねない紛争を回避する大戦略が双方に必要だ。米国は、プーチンの脅しに逐一反応するのではなく、危機状況を解決する積極的な姿勢に切り替え、有効な実行可能なアイデアを全関係国に提案することが重要だ。抑止力が叫ばれているが、ロシアが自国の安全保障を高めたいのと同様に、米国も自国の安全保障上の利益を高めるような行動をロシアに求めている。

 

全当事者に有効な戦略とはどのようなものか。当事国が共通認識を見出し、戦争を回避できる可能性を考えてみよう。ドワイト・アイゼンハワーの大戦略が「封じ込め」なら、今回の戦略は「均衡」と呼ぶのがふさわしい。その考え方は、ロシアを友人や同盟国とみなさない。個人主義を超え、より長期的な国家間関係に根ざしたヨーロッパの安定秩序のためバランスを取ろうということだ。

 

封じ込めは、ソ連が拡張的な野心を持っているのを把握した。アイクは共存を否定し、共産主義打倒に取り組んだ。ロシアはソ連時代の勢力圏を復活させたいが、イデオロギーはなく、大国として世界に影響を与えようとしつつも、共産主義の帝国主義的な野心はない。米国、軍事中心のNATO、政治中心のEUを軸とする西側連合にとって、強さに根ざす現実的な共存が意味をもつ。この目標を達成すれば、西側は別の大課題、中国の野望に注意を十分向けられる。

 

 

ロシア

 

プーチンはナショナリズムと傲慢さで、ロシアの影響力と旧領土への支配力を取り戻そうとしている。プーチンは、ウクライナの親ロシア派政権を倒したマイダン革命は米国が推進したカラー革命であり、自分を権力の座から引きずりおろす画策とみている。プーチンの最重要目標は体制維持である。そのためプーチンが投じる方策は見当違いである。事実ではなく、プーチンの認識が、ロシアの行動を支配している。

ロシアと欧米間の安定した枠組みは、次のようになる。

 

まず、ウクライナとジョージア両国のNATO非加盟を確約する。両国にはNATO加盟の権利はなく、加盟はそもそも招待制である。西側の安全保障上の利益で、両国をNATO加盟国にする必要はなく、西側は、加盟につながるほどの密接さをロシアに感じさせる関係にする必要はない。

 

ウクライナはオーストリアのような地位を受け入れることも可能だろう。オーストリアは民主主義国家であり、あらゆる方面とビジネスを行い、独立を維持している。

同じような地位なら西側諸国に危害はなく、プーチンが最も不満を抱く脅威を取り除くことができる。ウクライナを交渉の場に参加させる必要がある。

 

第二に、プーチンは、ウクライナの民主化が成功すれば、ロシア国内にも波及し、自らの政権が弱体化することを恐れているといわれる。プーチンが本当の戦争を望まない限り、プーチンはこの問題に真剣に政治的に取り組むべきだ。プーチンは国内で人気があり、ロシア人が戦死者多数が帰国するのを見ないのであれば、現状のままかもしれない。これは、COVID-19へのロシア対応の無能ぶりを上回る深刻な脅威となる可能性がある。

 

第三に、プーチンは、米国にロシア内政に干渉されたくないと考えている。現実的な話をしよう。米国は国内国内選挙へのロシア介入を問題視している。プーチンは、政治的混乱を引き起こし、ソーシャルメディアを武器にハイブリッド戦術でNATOとEUを弱体化させようとしている。しかし、ロシアが指摘するように、米国ほど他国の政治に干渉する国は他にない。

 

西側とロシアが内政干渉をやめる相互協定を結ぶことが、今後の一つの道筋になるかもしれない。

 

第四に、プーチンは時間を逆行させたいと考えている。だが現実を直視すべきだろう。腐敗と共産主義の失敗がソビエト帝国を敗北させたのであって、西側諸国は敗北していない。プーチンは任期前半にロシアを経済的進歩に導いた。この実績が今後の前途を照らしているのであり、軍事衝突ではないと認識する必要がある。

 

最後に、プーチンは大国として対等に尊敬されることを望んでいる。だがそのためには、歴史認識も重要だ。第二次世界大戦中、ロシアがドイツとの地上戦の大半を戦い、最も多くの犠牲者を出したことを、欧米諸国が認めようとしないと感じている。この問題にで相当感情的になっている。プライドとナショナリズムへの対処は外交の問題だ。その解決は簡単ではないが、目標は達成可能だ。一方、プーチンがロシアへの評価を高めたいのであれば、ロシアの歴史家は自らの研究成果を英語に翻訳し、西側で出版すべきだろう。

 

 

西側はどう対応すべきか

 

米国はロシアに見返りを要求すべきである。

 

まず、前述のように、双方で内政干渉をやめると約束する。

 

第二に、ロシアはガスパイプラインのノルドストリームIIを欧州政治に影響を与える手段として利用しないと確約すべきである。

 

第三に、ロシアは、西側諸国が米国、NATO、EU、締約国を通じて一致団結して行動していると認識する必要がある。米国は、西側諸国がNATO第5条の義務を守るために必要なことは何でもすることと明確に示さなければならない。これには、欧州における現在の軍事力、特に迅速に戦略的配置できる航空戦力の増強が含まれる。ロシアとの明確なコミュニケーションラインは、混乱や誤算を避けるのに役立つ。ミサイル配備のような問題は、交渉によって解決すべきだろう。

 

第四に、ロシアは、ロシア国家、ロシア代理勢力、いわゆる「愛国ハッカー」、ロシアから活動する多国籍犯罪集団による西側での犯罪的サイバーハッキングを統制し、取り締まる必要がある。モスクワがそのような集団の存在を否定するのはナンセンスであり、西側諸国は信用してはならない。

 

最後に、外交の問題であり、実現に時間がかかるだろうが、ロシアと西側諸国は、2049年までに世界で軍事・経済的優位を確立するとの中国の野望がもたらす存亡の危機を認識する共通基盤を見出すべきである。中国の野望が現実になれば、双方にとって存立の脅威となる。ロシアが西側諸国と対中同盟を結ぶことはないとしても、中国と対中同盟をロシアが結ぼうとすれば西側諸国が影響力を行使できる。

 

西側から見れば、取引すべてを成功させなくてはならぬ。かつてロナルド・レーガン大統領は、ロシアとの取引において、「信頼するが裏付けも必要」"trust but verify "と発言した。これはロシアの諺である。もしロシアが取引に翻弄されたり、破ったりすれば、すべて白紙に戻り、西側は政治的、軍事的に自国の安全保障上の利益を守るべく積極的に動くべきである。ウクライナに防衛のため軍事支援を提供することもその一部だ。

 

複雑で微妙な問題ではあるが、こうした考え方は常識的なものであり、交渉の枠組みを考える上でも参考になる。米国としては、バイデン政権が超党派の協議と支持を得て、米国による統一戦線を張れるようにすべきである。ロシアは米国政治の二極化に戦略的弱点を感じており、ロシア対応を統一すればロシアへの米国の対応力の強化になる。偶発的に第三次世界大戦にエスカレートする可能性のある武力衝突を避けることは、すべての当事者にとって、自国民と世界のため必要なことである。時間は残り少なくなっている。動くべきだ。

 

 

Will the Ukraine Crisis Spark World War III? | The National Interest

by Dell Dailey James P. Farwell

January 26, 2022  Topic: World War III  Region: Europe  Tags: World War IIIUkraine CrisisUkraineRussiaNATOContainment

 

Lt. Gen. (Ret) Dell Dailey has commanded numerous special operations units in peacetime and wartime. As an ambassador, he headed the Department of State’s counterterrorism efforts.

James P. Farwell has advised U.S. Special Operations and the Department of Defense. An Associate Fellow in the Dept. of War Studies, King’s College, University of London, he is the author of Information Warfare (Quantico: Marine Corps U. Press, 2020) and The Corporate Warrior (Brookfield: Rothstein Publishing, 2022). The opinions expressed are their own and not those of the U.S. Government, its agencies, departments or COCOM.

Image: Reuters.


2022年1月26日水曜日

歴史に残る機体(33)A-10、熱烈な議会支持派を抱える同機もロシア、中国相手では限界を露呈するのか

 

歴史に残る機体33


A-10 Warthog

An A-10 Thunderbolt. US Air Force

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  • A-10サンダーボルトは対ソ連戦車用に開発されたが、今も戦闘に投入されている

  • A-10は議会筋に人気があり、空軍は同機廃止ができなかった

  • 中国やロシアの装備に対し「ウォートホグ」では対抗できなくなってきた


空軍の現役機材の中でもA-10サンダーボルトは独特な存在で「ウォートホグ」とも呼ばれる。


第3次大戦でソ連戦車部隊を葬るべく開発されたA-10は冷戦後に戦闘投入され、直近ではアフガニスタンで姿が見られた。



ペンタゴンは同機主翼の新造契約を交付し運用を当面続けるが、A-10が現代の戦場で生き残れるのかとの疑問が絶えない。


A-10 Fleet

A-10 Warthogs. US Air Force


A-10の歴史

1967年、米空軍は新世代近接航空支援(CAS)機A-Xの開発を開始した。CASにがこれまで戦闘機、小型爆撃機を投入しており、初の専用機開発はとなった。


当時の空軍戦闘機はセンチュリーシリーズはじめスピードを最優先にしていたが、A-Xは低速域での生存性、操縦性、滞空時間そしてなりより攻撃力を重視した。


ノースロップA-9、フェアチャイルドA-10の実機実証を経て、A-10が選定され、初号機は1974年に引き渡された。A-10は攻撃を行い帰投するまで生存性を重視した全く異なる機種となった。


機構には重複性を持たせ、一部損傷してもそのまま飛行できる設計とされた。ジェネラルエレクトリックTF-34アフターバーナーなしエンジン二基は主翼後方に配置し、赤外線特徴を減らし、ソ連防空装備のSA-7グレイル地対空ミサイル等から防御を図った。


A-10パイロットはチタン製「バスタブ」装甲で守られ、想定したZSU-23-4移動式対空装備の23mm弾に耐える。飛行制御系とエンジンにもチタン装甲が施されている。


Air Force A-10 Thunderbolt Warthog austere landing

A-10 が未整備地で離着陸した。カリフォーニアの国家訓練センターにて。June 2019. US Army National Guard/Sgt. Mason Cutrer


また同機は空中・地上双方で柔軟運用が可能な設計とし、低速時の取り回しを重視し、パイロットは敵への接近は超低速で「地面をなめる」操縦で敵対空火砲を回避できる。短い未整備滑走路での運用も可能で、通常の航空基地が攻撃を受けた場合を想定した。


サンダーボルトIIの特徴は何といっても武装にある。ハードポイント11か所あり、電子妨害装置、燃料タンク、爆弾、ミサイルを搭載する。500ポンド爆弾なら24発、2000ポンド爆弾4、AGM-65マーヴェリック空対地ミサイル6を搭載できる。


これによりA-10は最前線ミッションの実施が可能で、近接航空支援から敵防空体制制圧さらに敵燃料施設やレーダー、司令部の破壊までこなす。


だがA-10を全く違う存在にしているのは機首搭載のGAU-8/A機関砲だ。銃身7本構成の大型ガトリング機関銃は装甲貫徹弾を毎分4200発発射可能で、敵陣地を圧倒する火力となる。同機関砲は2度下左方向に搭載し、発射銃身が絶えず中央線に位置するようになっている。


GAU-8/Aは前進してくるソ連装甲車両部隊の撃破を目的とし、劣化ウラン弾が特に開発された。


劣化ウラン以外の装甲貫徹弾でもZSU-23-4移動対空火砲、BTR-70装甲兵員輸送車両、BMP-2歩兵戦闘車両の装甲を貫徹可能だった。ソ連の自動ライフル連隊の各車両もGAU-8/Aの前には缶詰同様に脆弱となったはずだ。


戦闘でA-10は米陸軍のパッチ攻撃ヘリコプターと合同航空攻撃チーム(JAAT)を組み、前進してくるソ連装甲部隊を撃破する構想だった。JAATではアパッチが敵防空体制を制圧し、A-10への脅威を先に除去する想定だった。


a10 damage a 10 gau-8 avenger rotary cannon

A-10の GAU-8/A機関砲掃射を受けた装甲車両



その後A-10が30度降下攻撃で敵を一掃する。ただし、この通りにいかなかったはずだ。ソ連軍の侵攻スピードが迅速なため、連携航空攻撃による阻止は困難になったはずだ。


A-10初の実戦投入は1991年湾岸戦争でイラク装甲部隊を狩った。132機が投入され、戦闘ミッション7,983回を展開し、戦車987、火砲926、装甲車両1,365、駐機中航空機10、さらに飛行中ヘリコプター2までGAU-8Aで撃破した。


湾岸戦争が終わると米空軍はA-10を処分し、任務はF-16に引き継ぐ構想だったが、A-10の戦果を見て議会に評価の動きが生まれた。


1999年にはNATO航空作戦に合流し、コソボ上空にA-10が展開し、9/11後はトルコのインチリック航空基地からISIS掃討作戦に展開し、2014年まで続いた。また2018年1月にアフガニスタンに投入された。


空軍はかれこれ25年にわたりA-10退役を図ってきた。空軍の主張は一貫しており、A-10では現代の戦場で生き残れないとし、A-10予算は新型機に流用するべきというもので、F-16ファイティングファルコンやF-35共用打撃戦闘機への支払を想定してきた。


だが議会内に根強いA-10支持派の圧力を受け、空軍は同機運用を続けており、今は主翼新造を模索している。これにより同型280機で機体構造の強化が実現する。


A-10 Warthog

A-10 Warthog. Reuters Photographer / Reuters


A-10は中国、ロシアとの戦闘に生き残れるのか


ではA-10は現在の戦場でも効果を発揮できるのか。


ローテクで防空体制も貧弱なISISやタリバン相手ならA-10は今も効果を発揮する。だがロシアや中国の高性能装備の前にA-10は単独で生き残れない


そこで解決策としてA-10と防空体制制圧用の無人機編隊をペアで運用する構想がある。無人機が防空能力を無力にしてから、A-10でスタンドオフ攻撃を実施する、安全距離を保ちながら滞空し敵標的を識別し、新型のマーヴェリックミサイルや小直径爆弾で撃破する構想だ。


GAU-8/Aでの地上掃射の機会は減るが、同機関砲は無防備かつ集合した標的なら依然として有効だ。


冷戦後の装備としてA-10は成功例となり、軍の内外に熱烈なファンがいる。同機を可能な限り飛行させたいとの熱意は強い。問題は現代の戦場で効果をいつまで発揮できるかだ。A-10が次の戦闘でも有効ならいいのだが、そうでなければ退役させ、別の機材に席を譲るべきだ。あるいは別の投入方法があるかもしれない。戦場で威力を発揮させる方が重要で、感情にまかせてはいけない。■



Congress' favorite combat jet wouldn't last long in a war against Russia or China


Kyle Mizokami , 19fortyfive 


Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring, and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch.


南シナ海に水没したF-35Cの回収をめぐるレースがはじまった。米海軍は秘匿情報保護のため機体回収を最優先事項に。

 

  • USN

  • USSカール・ヴィンソンに着艦する海軍所属のF-35C共用打撃戦闘機  January 2022.

 

水没した情報の塊F-35Cをロシア、中国が狙うのは必至、米海軍は何としても機体回収をめざす。

 

2022年1月24日、空母USSカール・ヴィンソンへの着艦に失敗し、南シナ海で水没したF-35C共用打撃戦闘機の回収を米海軍が検討していることが分かった。海軍は同機搭載の極秘部品等の情報がロシアや中国といった対抗勢力の手に渡らぬよう、機体回収を極力目指そうとしている。


 

第七艦隊はF-35Cがカール・ヴィンソンから海中に没したことを文書で認めた。

 

第七艦隊報道官マーク・ラングフォード大尉は「事故機は着艦時に飛行甲板を強打し海中に落下した。現時点ではこれ以上の情報はない」と述べている。

 

同報道官は事故の追加情報や人員の安否について以下のように伝えてきた。

 

「パイロット含む合計7名が負傷し、パイロット他2名がフィリピンマニラの医療施設に搬送され、その他乗員4名は艦上で医療行為を受けた。負傷した乗組員は全員回復して安定した状態にあると報告が入っている」

 

「飛行甲板表面に衝突の影響が出たが、飛行運用関連装備はすべて正常に作動できる状態にある」と追加し、「空母航空団(CVW)2およびUSSカール・ヴィンソン(CVN 70)は南シナ海で通常運用を再開している」

 

事故の発生状況は依然はっきりしない。「着艦時に強打したと聞いている」と元海軍航空要員、著者にしてユーチューバーのワード・キャロルWard Carrollがツイッター投稿し、着艦時に機体が艦に接触した事故とした。だが、海軍当局からは事故の詳細は明かされておらず、現在調査中とのみ発表している。空母着艦は確かに複雑かつ困難な作業であるが、海軍ではこの簡略化を狙いマジックカーペット装備の導入を進めてきた。

 

ラングフォード大尉の発表ではF-35C回収の詳細に一切触れていない。The War Zoneは第七艦隊に詳細情報を求めた。

 

機体回収が海軍の最優先事項のはずで、なんとしても実行するのではないか。今回水没したF-35Cは機体に大きく損傷ないまま水没しており、外国勢力に回収能力があれば大変な獲物となる。ロシアには特殊用途の潜水艦や専用水上艦艇があり、深海サルベージ能力や水中諜報活動を展開していることが知られている。

 

中国は事実上南シナ海全域を自国領海と主張しており、米海軍等の軍事行動を常日頃から批判しているので、やはり事故機回収に意欲を見せるはずだ。

 

英軍F-35BがHMSクイーン・エリザベスからの発艦に失敗し地中海に水没する事故が昨年発生したが、英政府も今回と同様の懸念で米国支援を受けながら回収部隊を現地派遣した。同機はその後回収されたが、深度1,600メートルの海底にあったといわれる。

 

今回の米海軍事故地点の深度および当時の天候状況などが今後の回収作業実施に重要な要素となる。事故機の正確な位置を突き止めるのは容易ではないはずだ。

 

自衛隊所属のF-35Aが2019年に太平洋上で墜落した際は機体回収は不可能だったと、少なくとも言われている。高速度で海面に衝突した機体は分解し、ばらばらになった。今回の米海軍F-35Cは低速だったので、機体状況は良好のはずで、何としても回収し機微情報を保護する必要がある。

 

米海軍にも深海サルベージ能力を有する水上艦艇があり、今回のミッションに投入できる。契約企業が所有運用する艦船も投入できよう。海軍は2020年に沖縄沖合で墜落したMH-60Sシーホークヘリコプターを回収したが、その際の深度は19,075 feet(5,814メートル)だった。

USN

2020年に墜落した米海軍MH-60Sシーホークの機体が沖縄沖合で改修された。

 

海軍がどの手段でF-35C回収をめざすのかはわからないが、中国の裏庭ともいうべき南シナ海で同機をめぐるレースが始まったのは確かだ。

 

今後情報が入り次第続報をお伝えすることにする。■

 

Navy Exploring Options For Recovering F-35C That Fell Into The South China Sea

 

The lost F-35C would be an intelligence prize for any foreign power, such as Russia or China, making it a priority for the Navy to retrieve it first.

BY JOSEPH TREVITHICK JANUARY 25, 2022