2022年2月26日土曜日

オデッサ港外で民間商船2隻(うち1隻は日本企業が運行)がミサイル被弾。ウクライナ国防省はロシアによる攻撃と断定。

 MILLENNIUM SPIRIT on fire

炎上するMILLENNIUM SPIRIT  MoD picture.

 


クライナ国防省は民間商船2隻がオデッサ港外でロシアによる攻撃に被弾したと発表。2隻のうち、ばら積み貨物船NAMURA QUEEN (IMO: 9841299)にミサイルが命中し、もう1隻のモルドバ船籍タンカー、MILLENNIUM SPIRIT にも少なくともミサイル一発が命中した。ウクライナ沿岸警備隊が生存者の捜索救難に出動した。


(NAMURA QUEENは愛媛県の船舶会社のパナマ法人が保有のようです)

 

ウクライナ国防省はNAMURA QUEENの船尾にミサイル一発が命中したと発表した。

 

同船はパナマ船籍で穀物輸送のため入港する途中だった。同船の一部機能で損傷が判明している。火災が発せし、消火タグボート出動が要請され、現場に到着した。今のところ状況は落ち着いている。

 

 

 

NAMURA Queen missile impactNAMURA Quennにミサイル命中の被害が見える。Ukrained MoD picture.

 

また、ウクライナ軍最高司令部は港から12kmの地点で被害を受けたMILLENNIUM SPIRIT」(モルドバ船籍)について以下発表している。。

 

国営企業「AMPU」のオデッサ港湾局長によると、ミサイルは12時10分、355停泊地に命中した。同船には600トンの重油と軽油が積まれており、火災が発生し、爆発すれば環境破壊につながる可能性があった。乗組員は海に飛び込み、救助を求めた。ウクライナ沿岸警備隊含む数隻がSAR活動に派遣された。現地時間午後2時15分、バンカー・タンカーは固定され、停泊した。

 

モルドバ共和国の海事機関は、MILLENNIUM SPIRITの事故に関し、以下の声明を発表した。

 

モルドバ共和国海事機関は、2月25日、黒海の中立海域(46 ° 22.221'N, 031 ° 07.095'E) にいたモルドバ共和国船籍MILLENIAL SPIRIT IMO Nr 7392610(石油タンカー)にミサイルが命中したと発表した(ミサイル発射元は不明) 船内で火災が発生し、設備や救命ボートが破壊され、乗組員は救命胴衣のみで脱出した。

 

モルドバ当局がミサイルの出所は不明と強調する一方、ウクライナ国防省はいずれの事件でもロシア軍を非難している。

 

ロシア黒海艦隊旗艦のスラバ級巡洋艦モスクワがオデッサの南約 70 カイリにあるスネーク島(Zmiinyi 島)沖で昨日目撃されていた。

 

モスクワは同島を占領し、ウクライナ守備隊13人を全員殺害する任務を負っていたようだ。この兵士たちは現在、「ツミイニィ島の英雄」として知られている。■

 

 

Two Civilian Vessels Hit by Russian Missiles Off Odessa - Ukraine MoD - Naval News

Xavier Vavasseur  25 Feb 2022

ウクライナ現政権が崩壊した場合の物資補給経路を慎重に検討する米軍。あらためてポーランドの重要性が浮上。その他黒海経由ルートも。

 

BBC

 

 

務省報道官は先週、ウクライナへの米国の支援は「ロシアの追加的な侵略があった場合は加速されるだろう」と述べ、ウクライナ政府が崩壊しても「防衛的な安全保障支援は継続する」かは説明しなかった。

 

 

ロイド・オースティン米国防長官は、ロシアが侵攻を拡大しても、ジャベリン対戦車兵器などのウクライナへの支援を継続すると約束したが、国防当局高官によると、兵站に関する議論が進行中だという。

 

米国当局は、外交、経済制裁、そしてロシアがクリミアを併合し、同国東部で流血の分離主義運動を煽った2014年時点と比べウクライナ軍の訓練と武装が進んでいると警告することで、ロシアへの抑止効果を図ってきた。2014年以来、米国はウクライナ軍の能力を高めるために27億ドル以上の安全保障支援を約束しており、2021年だけで6億5千万ドル以上が含まれている。

 

国務省のネッド・プライスNed Price報道官は先週、そ米国の対ウクライナ援助は 「ロシアの追加的な侵略があった場合には加速される」と方法論を説明することなく、述べ、ウクライナ政府が崩壊したとしても、「防衛的安全保障援助は継続される 」と述べた。

 

軍事支援は航空機でウクライナに運ばれてきたが、ロシアがウクライナ領空を支配したり、飛行が危険となれば、機能しなくなるかもしれない。水曜日、国防省高官は、兵站方法は定まっていないと認めた。

 

「支援にはさまざまな方法があり、航空輸送が不可能な場合に備え、別の方法を探っている」と、この高官は匿名条件で記者団に語った。「どのような支援であれ、必要に応じた適切なものであり、安全かつ効果的に行えるものであることを確認したい。

 

「侵攻後のシナリオでどのような支援ができるかを検討中で、そのメカニズムについて最終的な決定はまだだ」と同高官は付け加えた。

 

オースティン長官とウクライナのドミトロ・クレバDmytro Kuleba外相は、火曜日にペンタゴンでの会談で、米国の支援継続を協議した。

 

「長官は、ウクライナ軍に致死的および非致死的な支援を提供する方法を今後も模索すると明らかにした」と同上高官は述べた。「これは、ある種の正式な協定を制定するものではないが、長官も大統領が約束したように、ウクライナに致死的および非致死的支援を提供する方法を引き続き検討すると約束した」と当局者は述べた。

 

2月10日、オクサナ・マルカロヴァOksana Markarova駐米ウクライナ大使と大使館付き武官ボリス・クレメネツキー少将Maj. Gen. Borys Kremenetskyiは、デラウェア州のドーバー空軍基地を視察した。作業員がジャベリン・ミサイルのパレットをウクライナ行き民間機に積み込んでいた。1月22日にはカリフォルニア州のトラヴィス空軍基地でも、同様の貨物が民間航空機に積み込まれた。

 

在米ウクライナ大使館は、2月10日にフェイスブックで、「ウクライナの揺るぎない支援とウクライナ軍の防衛能力強化に対して、米国に感謝の意を表します」と述べた。

 

ウクライナの国防相オレクシイ・レズニコフOleksii Reznikovは、外国から援助が発送されるたびにツイッターで歓声を上げた。2月11日に「現時点での米軍援助の総重量は、1,300トンを超えた!」とツイートした。

 

ポーランドからヘルメットやグレネードランチャー、ラトビアやカナダからスティンガー地対空ミサイルなどの弾薬が続々と届くいていると発表していた。

 

ウクライナへの航空路が利用できなくなる可能性があるため、ポーランド=ウクライナ国境が注目されている。米外交官は、キエフやウクライナ西部のリヴィウを離れたあと隠れ家としてポーランドを利用してきた。

 

米軍は、2014年以降、ドンバス地方での戦闘を追跡する米軍監視員の安全な場所として、ポーランドを利用しており、ポーランド経由で部隊や装備を移動させてきた。

 

ポーランド当局者はウクライナへの軍事支援について公に話し始めたばかりで、自国が西側兵器の重要な中継拠点になるとの見通しは、ある当局者が言うように、非常に「技術的」かつ「繊細」な問題と認識している。

 

元米国国防次官補(ロシア・ウクライナ・ユーラシア担当)のエブリン・ファーカスEvelyn Farkasは、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、国連にウクライナ上空の「飛行禁止区域」を承認してもらい、ロシアの空軍力を排除すべきだ、と述べている。そうしないと、西側からの援助は陸路依存となる。

 

「空路や海路ではなく、ポーランドを経由して陸路で来るというのが、私の推測です」とファーカスは言う。「しかし、ロシアがウクライナ上空を支配しているのであれば、それは明らかに問題です」。

 

2014年から2017年にかけて米陸軍欧州司令官を務めたベン・ホッジス退役中将 Lt. Gen. Ben Hodgesによれば、リヴィウが陸路または空路による武器輸送の拠点となる可能性があるという。短期的には、ロシアがウクライナ領空を支配したり、リヴィウ空港を破壊すれば重大なエスカレーションとは考えにくいとしても、ウクライナへの物資供給手段は他にもあるという。

 

「リヴィウまで輸送にあたる米軍部隊を現地駐留させたくなければ、契約企業車両でポーランドからリヴィウまで輸送すればよい」とホッジスは言う。「民間機でリヴィウに飛べばよい」。

 

黒海を補給路に使うには、隣接するトルコ海峡を支配するトルコ政府の了解が必要で、ロシアはその一部を実弾演習に使っている。しかし、黒海はドナウ川へのアクセスを提供し、ドナウ川にはウクライナの港が3つある。

 

ドナウ川については、「ある程度の能力はあるが、ロシアは破壊してくるだろう」とホッジスは述べている。■

 

 

 

Pentagon studying fallback supply lines to Ukraine in case of expanded Russian invasion

By Joe Gould, Sebastian Sprenger and Rachel S. Cohen

 Feb 24, 06:52 AM

 

About Joe Gould, Sebastian Sprenger and Rachel S. Cohen

Joe Gould is senior Pentagon reporter for Defense News, covering the intersection of national security policy, politics and the defense industry.

Sebastian Sprenger is Europe editor for Defense News, reporting on the state of the defense market in the region, and on U.S.-Europe cooperation and multinational investments in defense and global security. He previously served as managing editor for Defense News.

Rachel Cohen joined Air Force Times as senior reporter in March 2021. Her work has appeared in Air Force Magazine, Inside Defense, Inside Health Policy, the Frederick News-Post (Md.), the Washington Post, and others.



ウクライナ危機でロシアではなく、アメリカが悪い、と一般論に論点すりかえた環球時報の2月25日社説をご覧ください。

ウクライナは中国に微妙な意味があるためか、CCPは態度を決めかねている観がありますし、国連でも決議には棄権し、ロシアの側に完全に立っていません。一方で、米国の「偽善」をつく対米非難の論調を示しています。

 

ご注意 以下はCCPの立場を反映する環球時報英語版の論説を可能な限りそのまま日本語でお伝えするものであり、当ブログの主張ではありません。

   

Illustration: Liu Rui/GT

Illustration: Liu Rui/GT

 

クライナで劇的な変化が始まったが、キエフを守ると繰り返し約束し、事態の「火に油を注ぎ」続けた米国が再び脚光を浴びている。ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は演説で、ウクライナは欧米諸国に見捨てられ、単独での防衛に委ねられたと訴えた。欧米のネチズンに、こう尋ねる人もいる。「ウクライナとともにある」と言った米国はどこに行ってしまったのか?

 

しかし、米国は本当に姿を消したのだろうか?それどころか、ウクライナの戦火から「戦略的利益」をさらに得るのに大忙しなのである。ホワイトハウスによるウクライナ情勢に関する最新発言は、2点を強調している。第一に、制裁措置などを通じロシアを「国際舞台での亡者」にする、第二に、NATOが「これまで以上に団結し、決意している」ことは 「良いニュース 」だとする。

 

ワシントンが手先として使うウクライナについては、米国は軍を派遣しないと繰り返した上に、「国を守るウクライナ国民を支援する」「彼らの苦しみを和らげるため人道支援を行う」とだけ述べている。ワシントンはまたしても、利己主義と偽善を世界に示した。人々は、アメリカがウクライナを火の中に押し込んだ後で、ウクライナを気遣うふりをして脇に立ち、「私はあなたを支持する、戦い続けろ!」と言ってきたのを見ている。

 

今日までのウクライナ情勢の推移は、地政学的な悲劇と言ってよい。最初から、米国の戦略的利己主義と近視眼の苦い結果だ。米上院がNATOの東方拡大計画を承認した1998年の時点で、米国の上級外交官故ジョージ・ケナンは今日の悲劇を予見していた。彼は当時、「この拡張は、建国の父を墓の中でひっくり返させるだろう」と言っていた。

 

しかし、傲慢なアメリカのエリート層は、常に危機から利益を得られると考える。長年、米国は紛争を煽り、海外から状況を操作し、利益を得てきた。コストかけず火に油を注ぐのが常套手段だ。米国が望むのは、目先の利益を得ることだ。米国は、最前線に追いやられた現地人の苦しみを全く考慮しない。真の危機が訪れると、当初の約束は、空虚な外交レトリックになる。米国の政治家は、現地人の苦しみに関心が皆無で、「人道主義」で注目を集めようとする。

 

昨年アフガニスタンの旧政権を放棄したとき、アメリカも何度もアフガニスタンに「人道的」支援を行うと言っていた。しかし、衝撃的なことに、いわゆるアメリカの「人道的」援助はアフガニスタン国民には提供されず、アフガニスタン中央銀行がニューヨークに預けていた70億ドルの凍結資金をアメリカが切り崩した。アフガン問題の犯人であるアメリカは、自国の戦略的利益を満たした後、現地人に「飢えと貧困の雪崩」を残しただけで、アフガニスタンでは何百万人もの子供たちが深刻な栄養失調に陥っている。

 

アメリカは人道、正義、道徳をしばしば口にするが、実際の行為は利害計算に基づくものである。ワシントンの戦略的利己主義と偽善的態度は、国際政治の現実の中で繰り返し露呈している。2001年9月11日以降、アメリカが行った戦争の直接の結果として、アフガニスタン、イラク、パキスタン、イエメン、ソマリア、フィリピン、リビア、シリアで、少なくとも3700万人が避難民となったとの報告がある。米国が「介入」するところ、紛争、混乱、テロが現れるという言い方さえある。

 

大国と呼ばれる理由は、徒党を組んだり、自己の利益を実現する力が強いからではない。国際平和を守る責任と能力である。自国の利益しか考えず、あちこちで火種をまき、他国に混乱を輸出し続ける国は、いかに強大でも、信用は失墜し、覇権が終焉を迎えるのは必定である。  

 

未だに幻想を抱いたり、米国の手先として行動する国・地域にとって、ウクライナ危機はあらためて困難な状況にあるときに「良い知らせ」を発表する「パートナー」は信用できないのを思い起こさせている。■


US' real strategic color of selfishness, hypocrisy revealed in Ukraine crisis: Global Times editorial - Global Times

By Global Times

Published: Feb 25, 2022 11:52 PM

 

プーチンがウクライナ軍にクーデターを持ちかけ内部混乱を図る。ロシア軍の進撃は想定以下か。ゼレンスキー政権崩壊を想定した動きも。事態の展開が早くなってきた

 事態はロシアの当初の想定通りには進んでいないようですが、展開が加速化しています。これに対し、対岸の火事とばかりに日本のメディアがのんびりとした伝え方しかしていないのが気になります。情報量があまりにも少なすぎます。ことの重大性を理解できないのだとしたらメディア機能があまりにも低すぎます。


Ukrainian forces deployed to the streets of Kyiv amid Russia's invasion.

SERGEI SUPINSKY/AFP VIA GETTY IMAGES

 

ーチン大統領はウクライナ軍にクーデターをけしかけた。

 

プーチンはテレビ演説で、ウクライナ軍に「自分たちの手で権力を握れ」と発言した。「麻薬中毒者やネオナチの一団より、諸君との取引の方が簡単そうだ 」。

 

「ネオナチや右翼団体に子供や妻や両親を人間の盾にさせるな」とも付け加え、第二次世界大戦中にソ連に対してナチスに逮捕されたのちに協力したウクライナの超国家主義者ステパン・バンデラに言及した。プーチン発言は、ウクライナ政府が降伏しない場合、キエフ他の人口密集地へ更なる攻撃が計画ずみであると示唆している。

 

大統領自身を含むロシア当局者が、同日にウクライナ当局との交渉開始を模索していると述べたにもかかわらず、プーチンは同上演説を行った。ウクライナ政府がクレムリンとの交渉開始を申し出ているとの報道もある。しかし、プーチンが「現在の傀儡政権を裁く」「ウクライナを完全に非軍事化する」「NATO加盟を断念させる」といった最大公約数的な要求を取り下げた形跡はない。同大統領はまた、キエフ政府が2014年にクレムリンが獲得したクリミア半島の支配権を正式に譲渡し、東部ドンバス地域のふたつの分離共和国の領有権主張を放棄するのを望んでいる。ウクライナ政府関係者は、NATO加盟問題を交渉内容に乗せたと報じられているが、こうした条項の多くを承諾する様子は見られない。

 

ウクライナのゼレンスキー大統領は、国際社会、特に欧州各国に対して、支援を訴え続けている。彼は自国の窮状を、他のウクライナ政府関係者と同様、国際的なルールに基づく秩序に遠大な影響を及ぼしかねないと繰り返し訴えている。

 

「これはヨーロッパへの戦争の始まりであり、ヨーロッパの統一、ヨーロッパの基本的人権、大陸におけるすべての共存のルール、ヨーロッパ諸国が力による国境の分断を拒否しているという事実にすべて反するものだ」と、今朝のテレビ演説で述べた。「キエフに爆弾が落ちる、これが欧州で起きている。ミサイルが国民を殺すとき、全ヨーロッパ人の死となる。民主主義世界の一部として、ヨーロッパの保護、ウクライナの保護をさらに要求する」

 

同大統領はウクライナ上空を国際的な飛行禁止区域にする、あるいはロシアの民間航空機の飛行禁止が生まれる可能性がある。また、外国人義勇軍を歓迎するとも述べた。

 

キエフでは、ロシア軍が首都近郊に到着し、地元の志願防衛隊に武器が配給され、大規模戦闘に備えている。元プロボクサーのクリチコ市長やペトロ・ポロシェンコ元大統領も武器を手にし、街頭でこうした勢力に加わっている。

 

キエフでは、ロシア特殊部隊あるいは代理勢力が潜入しての散発的な戦闘が報告されている。ゼレンスキー大統領は市内に「破壊工作グループ」がいると繰り返し発言していた。ウクライナ軍制服を着た敵が、国土防衛軍との交戦で死亡したとの未確認報告がある。

 

ウクライナ軍はキエフ周辺をはじめ、反撃を続けている。キエフ近郊のホストメル空港をめぐる戦闘が新たに入り、ロシアは空輸橋頭堡を築くため、同空港奪取を意図しているようだ。同空港には、世界最大の実用航空機An-225 Mriyaが駐機しており、両軍が激しい争奪戦を展開している。

 

ウクライナ南東部アゾフ海の港町マリウポルMariupol付近で、ロシアが揚陸強襲したとの新情報が入ってきた。以前にも同様の報道があったが、その後、誤報と判明した。同地域がロシアにとって戦略的に重要であることに変わりはない。また、黒海とウクライナ沿岸の港で、複数の商業船舶がロシアのミサイル攻撃を受けたとの報道もあるが、その正確な状況はほとんど確認されていない。

 

これに先立ち、ウクライナ軍は、ロシアとウクライナの国境近くにあるミラーヴォ空軍基地Millerovo Air Baseを標的に、ロシア国内への初めての攻撃を開始したと報じられている。攻撃に使用された兵器の種類は不明だが、OTR-21トーチカ(SS-21スカラベ)短距離弾道ミサイルや武装したTB2ドローンが使用された可能性がある。

 

この36時間に、各所で激戦があったようだ。米軍による本日の見解では、ロシア軍は優勢を維持しているものの、勢いを失った可能性があるとしているが、英国国防省が先に出した状況評価と一致している。米国当局によれば、ウクライナは制空権を失っていない。

 

ウクライナ国防省は現在、この2日間でロシア軍数千人を殺害し、数百台の装甲車と10機の航空機を破壊したと主張している。これらの損害について、確認は取れていない。同時に、実際の被害が主張の数分の一であったとしても、ロシアには重要な結果である可能性がある。公式発表によると、2008年の対ジョージア戦争では、12日間で約65人のロシア軍が死亡した。2015年にシリア介入が始まって以来のロシア軍の公式死者数はわずか117人。ウクライナ軍も犠牲者を出しており、当局によると、これまで少なくとも137名が死亡している。

 

どう見ても、両日中にこの紛争の最終的な行方に大きな影響を出そうだ。

 

UPDATE: 1:25 PM EST—

 

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ゼレンスキー大統領は本日未明、「生きている私を見るのはこれが最後かもしれない」と欧州首脳に語り、状況は一層悪化しているようだ。

 

NATOは、ウクライナ紛争へ呼応し、初めて対応部隊を編成したが、直接介入の計画はないと強調し続けている。対応部隊の航空、海軍、陸上部隊は、ロシアとの東側側面に展開中のNATO部隊に合流する。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は本日、同盟は特に、より大きな紛争の引き金となりうる「事故」を避けるために、ロシア政府と紛争回避を試みると述べた。また、サイバー攻撃はNATOの集団安全保障条項第5条を発動させる可能性があると警告した。

 

NATOにはウクライナへ部隊派遣の予定はないものの、事務長は、加盟国は武器その他の軍事支援を継続すると述べ、防空能力の追加提供の可能性に触れた。NATOの複数国が、米国製スティンガーのような短距離地対空ミサイルシステムをすでに納入、または納入を計画している。

 

米軍や他のNATO諸国はウクライナ領空で飛行を停止しているが、同国国境沿いで情報・監視・偵察(ISR)を続けている。各機が収集したロシア軍に関する情報は、米軍の情勢判断に欠かせない。

 

NATOのE-3セントリー空中警戒管制システム(AWACS)レーダー機が、ウクライナと国境を接する同盟国上空を飛行するのが確認されている。

 

UPDATE: 2:15 PM EST—

 

ウクライナでは夜が明け、キエフ周辺や他の戦線で新たな戦闘報告が続いている。英国当局によると、ロシアはキエフに2方面から攻撃を仕掛けるようだという。

 

ITVニュースは、ウクライナ侵攻との関係は不明だが、大規模な医療緊急事態が発生すると予想するロシア保健省の文書を入手したと報じている。ロシアでは、オムリコン変種が出現した後、ここ数カ月でCOVID-19感染者も急増している。

 

商業衛星企業Maxarは、ベラルーシの新しい画像を公開し、ウクライナ国境近くの基地で、ヘリコプター数十機含む大規模な軍備増強を明らかにした。基地は、昨日ロシア軍が攻撃を開始したチェルノブイリ立ち入り禁止区域の反対側に位置するベラルーシ内にある。

 

興味深いことに、ウクライナの紛争は、森林火災の監視用のNASA衛星でも探知できるレベルに達している。米軍の早期警戒衛星も、状況を監視しているのは間違いない。弾道ミサイルの発射を探知する宇宙赤外線システム(SBIRS)衛星は、砲撃の探知が可能な感度を有していると言われている。

 

また、フランスが在キエフ大使館を強化するため、同国の最高峰のテロ対策・人質救出部隊GIGNを派遣し、ゼレンスキー大統領の安全確保にあたるとの未確認情報もある。これは、首都がロシア軍に陥落した場合、フランスがウクライナ指導者を自国公館に匿うと申し出ているのかもしれない。

 

 

UPDATE: 3:00 PM EST—

 

ハリコフ近郊の燃料貯蔵庫がロシア侵攻の主要な標的になっているという新たな映像が入ってきた。また、ウクライナ空軍基地への新たな攻撃とされる映像がソーシャルメディアに掲載されている。

 

ウクライナの国家緊急事態局は、キエフ郊外の発電所は攻撃で破壊されていないと主張している。キエフでは停電や混乱が続き、発電所が被害を受けた可能性を示唆している。

 

ロイターは、キエフなど北東部都市へのロシアの進撃が大損失を受け本日未明に停止したと報じている。同報道では、ロシア軍が地元商店から商品を略奪していたとの報道もあり、兵站上で問題がある可能性も指摘されている。

 

オクサナ・マルカロワOksana Markarova駐米ウクライナ大使は、本日の記者会見で、「わが国の正規軍と志願部隊の戦果に、敵は明らかに驚いている」と述べた。「敵の計画通りに進展していないと見ています」

 

マルカロワ大使は、キエフ近郊の孤児院と付属校がロシア砲撃により、死傷者多数が出ている事実を確認した。ロシア軍が意図的に、あるいは無差別に攻撃した結果、民間人が攻撃を受けたとの報告が増えている。ウクライナ政府は戦争犯罪の調査を要請するとし、米国政府などはこれらの事件を非難している。

 

ただし、ロシアは侵攻を進め続けている。

 

キエフのヴィタリ・クリチコVitali Klitschko市長は、ソーシャルメディアネットワーク「テレグラム」への投稿で、「現在の状況は、キエフにとって脅威である」「夜と朝は困難な状況になるだろう」とした。 ウクライナ国防省によると、英国が供給した対戦車誘導弾NLAWが首都予備軍に配布されている。

 

UPDATE: 4:05 PM EST—

 

ロシアはウクライナ各所へ攻撃を続けているようだ。ロシアのミサイルなどで民間人が攻撃を受けているとの主張を裏付ける画像も出てきた。

 

些細ながら、興味深い展開として、シリアの反政府勢力であるスヘイル・ハムードが、ロシアと戦うためにウクライナにどうしたら行けるのかとTwitterに投稿してきた。ハムードはシリアで戦車何十台を破壊したことで知られている。ゼレンスキー大統領は、軍隊経験のある外国人志願者を歓迎すると述べている。

 

ホワイトハウスのジェン・プサキ報道官によると、米国政府はロシアのプーチン大統領自身と、同国のセルゲイ・ラブロフ外相を制裁する計画であるという。さらなる制裁の可能性もあると付け加えた。

 

バイデン大統領は先にゼレスキー大統領と電話会談し、ウクライナへの「経済、人道、安全保障の支援」の継続を約束した。ゼレンスキー大統領は会談の後、米国の継続的支援に感謝する声明を発表していた。

 

これとは別に、米国務省がロシア政府との不要不急の交流を削減する計画を進めているという複数の報道がある。これには、国際機関を通じた関与や軍備管理などに関する交渉の停止は含まれない。

 

米国防総省は、本日未明のNATO対応部隊の発動に伴い、展開される可能性のある米軍部隊の詳細については提供しないとした。米軍によると、作戦の保安上の理由から、ウクライナへの軍事援助に関する発表も抑制している。

 

ウクライナのアントノフ航空に所属するAn-124貨物機がオーストリアのリンツ空港で乗員が、ロシアの侵攻に小さく抗議する写真がネット上に掲載された。ウクライナ空軍のAn-1244機が、理由は不明だが、昨晩ポーランドへ飛行したのが先に確認されたている。■

 

 

Ukraine's Capital Kyiv Braces For A Major Battle With Encroaching Russian Forces (Updated)

 

Ukrainian forces are preparing to hold the line in Kyiv amid reports of renewed Russian offensives across the country.

BY JOSEPH TREVITHICK FEBRUARY 25, 2022



2022年2月25日金曜日

ウクライナ「特別軍事作戦」でやはりロシアは砂漠の嵐作戦に影響を受けたミサイル集中攻撃で一次攻撃を行った。投入されたと見られるミサイル装備をまとめた。

 




CSIS.ORG



2022年2月24日ドンバス地方で始まったロシアのウクライナでの「特別軍事作戦」は、全国規模に拡大し、スタンドオフミサイルが多用された。これまでロシアの軍事作戦では、西側諸国のように精密誘導ミサイルが多用されてこなかったが、今回のウクライナ攻撃では、多種多様な最新鋭のミサイルが使用されている兆しがある。少なくとも当初は、初期目標を達成するため最も効果的でリスクの低い選択肢として、スタンドオフミサイル攻撃が好まれているのは明らかだ。「ドアを蹴破る」と呼ばれる、30年以上前の砂漠の嵐作戦で米国が開発した作戦方法にならっている。



現地時間5時に始まった軍事作戦は、陸・海・空から発射のスタンドオフミサイル攻撃を初動とした。指揮統制施設、防空施設、空軍基地12箇所、黒海の港湾都市オデッサの施設などを標的とし、ウクライナの自衛能力を低下させ、司令部の状況把握と通信手段を奪うことを目的とした。


以下、ロシアの陸上攻撃用巡航ミサイル、弾道ミサイル、空中発射型スタンドオフミサイルを検証してみた。


 

3M14 カリブル Kalibr


ウクライナ国防省によれば、第一段階のロシアの攻撃に3M14カリブル対地攻撃巡航ミサイル(LACM)が30発含まれていた。同ミサイルは、シリア内戦に介入したロシア海軍も使用しており、ロシア海軍の最重要兵器の1つだ。


西側でSS-N-30Aサガリスとして知られる亜音速3M14カリブルは、990ポンド高爆発弾頭を搭載し、930~1,550マイルの射程距離と推定される。


ウクライナ西部のイワノフランキフスク空軍基地がカリブルによる攻撃を受けた映像が流れている。


3M14は、対艦巡航ミサイルや対潜水艦ミサイルを含む、カリブル・ファミリーの一角で、3M14は、共通垂直発射システム(VLS)から発射され、各種水上艦や潜水艦に搭載できる汎用性がある。海防艦ほどの大きさの艦船にも搭載でき、強力な打撃を与える。ロシア海軍は、通常弾頭により長距離の地上固定目標の攻撃に注力している。


ウクライナ攻撃に投入された3M14カリブルミサイルは、黒海から艦艇が発射している。黒海艦隊はクリミアのセヴァストポリを母港とし、3隻のプロジェクト11356R/Мアドミラル・グリゴロヴィッチ級フリゲート艦と4隻のプロジェクト21630ブヤンM級海防艦に加えて、コンテナ型カリブル発射装置を運用可能なプロジェクト22160の3~4隻で構成されている。


黒海艦隊はまた、カリブルミサイル(潜水発射式の3M14K型)を発射できるプロジェクト636.3改良型キロ級ディーゼル攻撃型潜水艦も6隻保有している。


カリビルは、陸上攻撃ミサイル「トマホーク」の初期型に匹敵する。

 

空中発射式巡航ミサイル Air-launched cruise missiles


現時点で、ロシアが発射した巡航ミサイルが航空機発射式だったとする絶対的な確証はない。しかし、米国の国防当局者は、攻撃第一波に重・中型爆撃機75が含まれていたと述べている。重爆撃機とは、Tu-160ブラックジャックとTu-95MSベアH爆撃機、おそらくTu-22M3バックファイア-Cを指すと思われる。中型爆撃機とは、Su-24フェンサーやSu-34フルバックのような攻撃機だろう。このうちTu-160とTu-95MSは空中発射巡航ミサイルを搭載可能で、少なくとも前者が投入されたのは確実だ。


ロシア航空宇宙軍は通常型空中発射式巡航ミサイル2種類を保有している。


Kh-101 (AS-23A コディアクKodiak) は最新のステルス亜音速巡航ミサイルで、最大射程1,870~2,480マイルと報告されている。Kh-101は、ロシアのシリア作戦で初めて使用され、Tu-160とTu-95MS爆撃機が発射した。



CSIS.ORG

Kh-101s on a Tu-95 Bear.




旧世代装備としては、Kh-555(AS-22 クルーグKluge)がある。これは、Kh-55SM(AS-15 ケントKent)亜音速巡航ミサイルの核弾頭を通常弾頭に置き換えた。同ミサイルは、期待一体型燃料タンクを装着すれば、航続距離を約1,860マイルまで伸ばす。

 

イスカンデル-M Iskander-M


巡航ミサイルと同様に、作戦開始後数時間にウクライナを標的に弾道ミサイルの発射が確認されたとの報道がある。一方、米国防総省は、本日の戦闘の最初の数時間にロシアから100発もの弾道ミサイルが発射されたと評価している。


9K720イスカンデルM短距離弾道ミサイルは、西側ではSS-26ストーンとして知られ、ロシアがこウクライナ周辺に配備した多くの兵器システムの一つだ。


ウクライナ国防省は、イスカンデル-Mは 「重要標的の破壊」に投入される可能性が高い重要装備と指摘していた。


イスカンデルMシステムは9M723弾道ミサイルを発射し、公式発表の射程距離は310マイルだが、それ以上とする証拠もある。弾頭は最大1,500ポンドで、高性能爆発弾または子弾頭が通常だ。別のオプションに燃料空気爆発物やバンカーバスターがあると伝えられる。核弾頭は、特別部隊が保有するが、イスカンデル-Mも核弾頭が使用可能だ。


9M723ミサイルは準弾道軌道を使用し、飛翔中の機動も可能との報告があり、強力なミサイル防衛能力を持つ相手にも対応が課題となる。防御力が最高で強化された目標に同ミサイルが使用された可能性が高い。


イスカンデル-K Iskander-K


イスカンデルシステムは、輸送機・発射台と支援車両を共通とし、9M728巡航ミサイルも発射でき、イスカンデル-K(SSC-7サウスポー)とも呼ばれる。ロシアの公式発表によると、同ミサイルの射程は、1987年の中距離核戦力(INF)条約で定めた500km(310マイル)の制限内に収まっている。


同ミサイルは、初期段階において重要標的の攻撃に理想的であるため、今回の作戦で使用されたという未確認の報告がある。


トーチカ Tochka


冷戦中に開発されたトーチカ(SS-21スカラベ)は、FROG(Free Rocket Over Ground)シリーズに代わる戦場配備用の移動式短距離弾道ミサイル(SRBM)だ。トーチカ-Uの最新型は、射程距離が最大75マイルで、約1,000ポンドまでの各種弾頭を搭載する。


今回の戦闘では、ロシアが9N123K子弾頭を搭載したトーチカが投入されたことが確認されている。


Kh-31P


超音速の対レーダーミサイルで、スタンドオフ射程を持つKh-31P(AS-17Aクリプトン)は、実戦使用が明確に知られていないが、今回のウクライナ作戦の初期段階で使われレーダー装備をノックアウトしたと思われる。



Kh-31Pはもともとパトリオットなど西側防空システムを打ち負かすために作られたが、各種パッシブ・レーダー・シーカー・ヘッドに対応でき、ウクライナが運用するソ連時代のレーダー・システムに照準を合わせたと思われる。


同ミサイルは主にSu-24とSu-34攻撃機、およびSu-30SMとSu-35S含むフランカー・ファミリーが採用している。クリプトンミサイルは、対艦ミサイルとしても使用可能である。


BOEVAYA MASHINA/WIKIMEDIA COMMONS

An exhibition model of the Kh-31 missile.


原型のKh-31Pは、最大射程距離70マイル弱で、ラムジェット推進で最大マッハ3.5の速度で飛翔する。2012年から運用が始まった最新型Kh-31PMは、高高度・高速で発射された場合の最大射程が約150マイルに伸びている。


今回の報道には、ロシアが大規模なウクライナ侵攻に以前も使用したされるスタンドオフミサイルが含まれているが、国防総省は、クレムリンの軍事能力の全容はまだ解明できていないと考えている。初日の夜間に攻撃された標的の被害が確認され、2日目も作戦が続くと、多数のミサイル型式が使用される可能性が強くなる。■


These Are The Standoff Missiles Russia Used To Open Its War Against Ukraine

Russia used its growing arsenal of precision standoff missiles to hit key targets at the start of its invasion of Ukraine.

BY THOMAS NEWDICK FEBRUARY 24, 2022