2021年1月28日木曜日

中国が空母練習機を模索。パイロット養成をシステム的にすすめる必要に迫られているのは、空母建造が進み、空母が海軍戦力に定着してきた証拠なのか。

 


 

母運用訓練を受けていないパイロットのみでは空母は機能を発揮できない。

 

米海軍ではこの問題はない。一世紀近くに渡り、新米パイロットは暗闇の中、大洋に浮かぶ小さな飛行場への着艦方法を叩き込まれている。だが中国海軍では事情が異なる。人民解放軍海軍航空隊の運用機材はこれまで陸上配備機材が大部分で、空母は旧ソ連艦が比較的最近に利用可能になったに過ぎない。

 

そこに中国国内建造の空母2号艦が加わった。またその後も空母建造が続く。つまり、中国には海軍パイロット養成の強化が必要で、適切な訓練用機種が必要となる。

 

 

そこでJL-9山鷹練習機を空母運用訓練用に転用すると中国国営メディアが報じている。JL-9は超音速複座機で中国空軍、海軍が2014年から高性能機材のSu-27、Su-30MKK、J-10戦闘機パイロット養成用に使っている。その前はMiG-21戦闘機を改修したJJ-7が練習機だった。なお、JL-9はFTC-200G軽攻撃機として輸出されている。

 

「JL-9の開発元である貴州航空機工業は国営中国航空工業 (AVIC)傘下で宣伝資料でJL-9を空母運用する様子を伝えており、JL-9が艦載練習機に採用されるとの観測を呼んでいる」と環球時報が伝えている。「中国海軍でJL-9は陸上基地で空母航空隊パイロット養成に投入されているが、中国には空母運用可能な練習機がまだない」

 

艦載機と陸上運用機材は外観上は同じように見える。だが空母運用では個別の仕様が必要で、着艦を考慮した降着装置の強化が一例だ。山鷹も機体構造、エンジン含め改修が必要と環球時報も伝えている。

 

また環球時報はJL-9の空母練習機採用には競合相手もあると伝えている。「単発JL-9山鷹の強力なライバルが双発のJL-10猟鷹でエイビオニクスが高性能で飛行性能も優れている」「だがAVICの洪都航空工業集団が開発したJL-10は機体価格が高い」

 

米海軍海兵隊ではT-45ゴスホークを1991年から供用中で、英ホーク練習機を空母運用仕様にした。小型亜音速複座機でエンジンは単発だ。

 

中国が訓練機材を必要としているのは、空母整備が順調に推移している証拠だろう。空母が一隻だけなら特別装備扱いで、ロシアがこの状態にある。だが中国は空母4隻以上の建造に向かいそうで、空母訓練機材やインフラが必要になっていると見るべきだ。

 

 

China’s Growing Air Force Has a Pilot Problem

January 26, 2021  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot 

Tags: ChinaAircraftPilotsMilitaryTechnology

by Michael Peck

 

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter, Facebook, or on his website. This article first appeared two years ago and is being republished due to reader interest.

Image: Wikipedia


2021年1月27日水曜日

UH−60後継機をねらうボーイング、シコースキーが共同開発のディファイアント新型を発表。ベルのティルトローターと競合。米陸軍は2022年選定で2030年代の運用開始へ。

 


Sikorsky-Boeing graphic

Sikorsky-Boeing Defiant-X



コースキーボーイング両社はSB>1ディファイアント複合ヘリコプターを「大規模研究」と陸軍との協議を経てディファイアント-Xとして本日公開した。


どう変わったのか。両社は詳細を明らかにしておらず、今後順次公開するとしている。だが慎重な発表文に報道陣がそれでは満足せず、電話会議で両社に問いただし、以下判明した。

  • ディファイアント-Xは降着装置を強化し、機首にも追加した。SB>1には大型車輪ふたつを前方に、小型車輪を尾部につけていた。機体重量が増えたのは確実だが、その分未整備着陸地点で安定性が向上したのだろう。

  • ディファンアント−XはSB>1にあったエンジン下の排気口を廃止している。これで「熱特徴を減らした」と両社は記している。言い換えれば、新設計はエンジン余熱処理を工夫し探知されにくくなった。搭載エンジンは未定だが出力水準、整備性、排熱のバランスを考慮するはずだ。

  • ディファイアント-Xでは機体形状を変更し、機首が鋭角になり、機体後方にリッジをつけており、両社はこれにより「空力特性の扱い」が改良されたと述べている。陸軍の優先事項は速力だが、この点で改良の言及がない。SB>1はライバルのベルV-280ヴァラーとこの点で劣っていた。


The Sikorsky-Boeing Defiant X

Sikorsky-Boeing image


シコースキー・ボーイングチームはUH-60ブラックホークの後継機を目ざす将来型長距離教習航空機 (FLRAA)の採用をめぐり、ベルと競合している。FLRAAは高速長距離かつ大量の搭載量をめざす。FLRAAは広義の将来型垂直輸送構想の一部で、偵察用から小型無人機まで各種を整備する陸軍の構想だ。両陣営はFLRAA試作機の飛行を開始済みで、ベルが先陣を切った。V-280ティルトローターは性能実証済みのV-22オスプレイを小型化し、スッキリした姿になっている。同機は2020年12月18日に初飛行から三周年を迎え、150回200時間の飛行実績と、水平飛行で時速305ノットを記録している。


Bell V-280 Valor



これに対しシコースキー・ボーイングのSB>1は生産問題で出遅れ、複合ヘリコプター設計特有の超硬性ローターブレイドとギアボックスの組み合わせで課題に直面したのが原因だが、機体前方にローターが二重となり、後部に推進用プロペラをつけている。SB>1の飛行実績は二年未満で31回26時間の実績がある。速力は水平飛行で211ノットで両社の目標は250ノットだ。


両社と陸軍は同機設計の改良に必要なデータは十分得ており、ベルV-280と比較可能な機体になるという。


飛行時間以外にも重要指標がある。ボーイングのヘザー・マクブライアンは報道陣に、飛行テスト機に加え、推進系試験機、システム統合試験、風洞テストを活用していると説明し、このうち推進系試験機とは地上固定式のディファイアントで135時間運転を計上しており、システム統合試験室でのコンピュータシミュレーションは1,500時間超実施したという。


更にシコースキー・ボーイング、ベル両陣営は競合実証リスク低減Competitive Demonstration & Risk Reduction (CDRR) 契約を陸軍と結び設計の完成度をあげようとしている。


シコースキー・ボーイング両社はV-280より速力が劣るものの、両社設計案は陸軍の戦術ニーズによりよく適合すると主張。複合ヘリコプターは基本的にヘリコプターなので、陸軍で供用中の機材と違和感なく運用でき、訓練、戦術、支援施設の変更点は極めて少ないとする。ディファイアントは現行UH-60より大型かつ高速になるが、全長及びローター直径はほぼ同じで、同じサイズの着陸地点に収まる。


V-280はティルトローターで大型ローター2つを航空機に似た形状の主翼に装着し、全幅は供用中ヘリコプターより大きくなる。だが、同機は全長が短い。このためベルはV-280は90度向きを変えればUH-60用の着陸地点に収まると説明。そうなると、同じ機数の機材を運用するとしても角度を変えての運用となる。ただ、UH-60やディファンアントで運用可能となっても、V-280では使えない場所が生まれそうだ。


Sikorsky-Boeing photo

SB>1ディファイアント(左上)とUH-60ブラックホークの機体サイズ比較。 同じサイズの着陸地点で運用可能とアピールする。



シコースキー・ボーイング両社はディファイアントは低高度での取り扱いがV-280より優れると主張し、これは陸軍パイロットには重要な観点だ。ベルは当然ながら反対意見を示している。


またシコースキー・ボーイング両社はディファイアントは機体下に貨物を吊る輸送スリングローディングが長距離でも実施可能と述べている。V-280でもスリングローディングを実証したが、最大重量や長距離は試していない。両陣営ともに実際のスリングローディング能力は未公表なので、公平な比較はできない。


報道陣に判断がつかなかったのは機敏な飛行性能についての両社の言い分と自律飛行ソフトウェアでパイロット負担を減らすとの説明内容だ。またどちらが整備が楽なのか、モジュラーオープンシステムズアーキテクチャーModular Open Systems Architecture (MOSA) のインターフェイスで本当に性能改修の実施が容易になるのかが判断できない。


当然ながら米陸軍はデータ全てを入手して選定に向かう。最終選定の予定は2022年で、採用案の戦闘部隊配備開始は2030年の目論見だが、COVID-19収束後の予算で負担可能なら、という条件付きだ。



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Defiant-X: Sikorsky, Boeing Unveil FLRAA Design 

By   SYDNEY J. FREEDBERG JR.

on January 25, 2021 at 6:31 AM


2023年度予算で戦術機材構成を検討中の米空軍に、F-16調達再開の動き。F-35に不満がたまり、調達規模縮小案も。ステルス偏重の是正は健全な動き。

 ステルス機偏重、F-35命の米空軍の硬直していた姿勢がここに来て大幅に変化しています。現実の世界を眺めたというより、いつまでたっても完成しないF-35、ステルス対抗技術の出現で、ロッキードの宣伝文句が色あせてきたのが理由でしょう。一方、日本は一生懸命F-35を導入しているのですが....F-15につづいて F-16の新規調達が実現すれば、1970年代の投資が今でも有効だと証明されますね。

 

ステルスF-35の後方を飛ぶF-16が新しい「素晴らしい」性能を提供すると米空軍に新規製造機体の

調達を期待する声が出ている。

Credit: U.S. Air Force

 

空軍関係者にロッキード・マーティンF-16の新規発注が話題に上がっている。空軍での同機の最終号機受領は20年も前のことだ。戦術機材構成の検討が進行中で、2023年度予算要求ではF-16、ボーイングF-15EX、新型のいわゆる消耗品扱い機材、および次世代戦闘機がこれまでロッキードF-35Aが独占してきた予算を奪い合う構図となる。

 

検討作業は空軍が旧式化進む戦闘機や代替機材がないまま能力不足が埋まらない中で進んでいる。F-16生産はサウスカロライナ州グリーンビルで今も続いている。ロッキードは海外向け需要に答えるべく同機組立ラインを2019年に同地へ移転した。

 

「サウスカロライナのF-16新生産ラインを見ると、大幅に機能が改修されており、装備能力の向上にも参考となる」と空軍次官だったウィル・ローパーがAviation Weekに任期終了一日前に述べている。

 

ローパーは在任3年を通じ空軍の調達方法に一連の変革を導入した。また戦新型機を模擬敵機にする検討もしていると述べた。スカイボーグ事業をローパーは2018年に開始し、自律機体制御で新しい形の無人機システム(UAS)を確立し、各種ミッション実施を目指すもので、損耗が苦にならない安価な機体価格とする。こうした自律かつ損耗覚悟の性能により訓練で敵機役を演じさせたいとローパーは述べた。

 

敵機役のミッションはAI応用のUASに大きく進歩する機会となる。「敵機役をUASに任せられれば大幅に予算を節約できる」

 

新規生産F-16と消耗品扱いのUASを空軍に加える構想は2018年に生まれており、空軍戦闘統合能力開発部門が空軍戦闘機ロードマップを起草した。Aviation Week はこの文書を2020年12月に入手し、内容にはF-35発注量を当初予定の1,763機から1,050機程度に抑えるとある。

 

20年にわたり、空軍首脳部は2,100機程度の戦闘機部隊を全機ステルスのロッキードF-22とF-35にするよう求めてきた。今回判明したロードマップでは将来の機材構成に非ステルス機も検討対象としている。

 

2019年に空軍がF-15EX新規生産144機中で先行8機を調達する予算を要求した時点で、予想外の動きとなった。戦術機機材構成検討では非ステルス機に戦闘任務を想定する。F-15EXはF-15C後継機という以外に機体中央部に7,500-lb兵装を搭載可能でロケット推進式の極超音速滑空爆弾を運用でき、戦術機の不足を埋める機体になる。

 

「F-15EXは検討の価値がある機体だ」とローパーも認める。「敵地侵攻能力よりも兵装搭載量が大きい点、特に極超音速兵器の運用が可能なので制空権が確保できない空域でもF-35と別の任務をこなすだろう」

 

空軍は戦闘機4型式の発注が可能となる。F-35A、F-15EX、F-16ブロック70/72および次世代戦闘機であり、ロッキードF-22とA-10の供用も続ける。空軍は同じロッキードに発注を二分することになりそうだ。

 

非ステルス機に新たな任務が検討されているのは、ステルス機の高コストにペンタゴン最上部で不満が高まっている裏返しとも言える。クリストファー・ミラー国防長官代行(当時)は1月14日報道陣からF-35について問われ、国防総省で最大規模の兵装システムになった同機を「いまいましい存在」と述べた。

 

ローパーもF-35Aの維持費水準に空軍が我慢できなくなってとロッキードに伝えた。同社は平均時間あたり運用コストを2025年までに25千ドルと、2018年水準から25%下げると回答した。だが退官が近くローパーはその削減スピードでは満足できないままで、空軍はF-35を年間48-60機調達しようとしている。

 

「買いやすい価格の戦闘機を一括調達するまで道は遠いと見ている」とローパーは報道陣に1月14日語っている。「このため、別の戦術航空機材の選択肢が魅力を増してくる。競作となれば、業界に圧力となり改善が進む」

 

空軍のもう一つの選択肢が次世代戦闘機だ。次世代制空戦闘機(NGAD)の詳細は非公表のままだが、ローパーは昨年9月に飛行実証機が秘密のうちに飛行していることを認めた。次世代戦闘機のエンジンは競作で2025年に選定され、2026年度に実機生産の準備が整うだろう。

 

同機が実現すれば空軍にはハイエンド戦術機の機種構成が完成し、一方でF-35にはブロック4アップグレードを2025年度まで受ける。

 

航空戦力アナリストの中にはF-35のさらなる予算削減が可能性を帯びてきたことに警戒する向きがあある。空軍協会のシンクタンクのミッチェル航空宇宙研究所はローパー在任中のR&D優先方針に批判的だ。ローパーの指揮下で高度戦闘管理システムを戦闘機増産より優先している。

 

「優れた調達専門家なら広義の政治的意味を読み取るべきだ」とミッチェル研究所専務理事のダグラス・バーキーが語る。「R&Dをやっている場合ではない。レーガン時代の軍備拡張が成功したのは各軍に実物の装備が導入されたためだ。トランプ政権下の空軍は機会を逸した。F-35が生産ラインから出てくるがブロック4がないまま不完全な状態でも、まず調達数を最大限にし、その後改修すればよい」

 

ただしローパーには空軍のF-35A要求が48機のままでその後議会により三年間にわたり12機が毎年追加された事態を弁解するつもりはないようだ。

 

「多数調達して戦闘能力で問題を拡大するより、世界最高性能の装備の調達数を少なくした空軍を支持する。戦術機の構成を眺めると、長期間に渡り持続可能な水準で戦力を活用できるよう変更の必要性がある」と述べた。

 

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US Air Force Talks New F-16 Orders In Latest Acquisition Shake-up

Steve Trimble January 21, 2021


2021年1月26日火曜日

中国の弱み② 海外基地が確保できない、真の同盟国ネットワークがないまま、艦艇を長期間海外で活動させられない(とりあえず今の時点では)

中国の弱み ② カンボジアで海軍基地確保の動きがありますが、中国は価値観の共有といった同盟関係の深化に至らず、場所だけ利用して使い捨てするイナゴのような勢力にではないでしょうか。トランプ政権はPRCをOC(組織犯罪集団)と認定しようとしましたが、まさしくここに中国の弱みがあると思います。


タンザニアの首都ダル・エス・サラームに寄港した中国軍艦。Aug. 16, 2017. Xinhua Photo

 

「世界最大の海軍」の大きな弱点は国外に造船所や港湾施設を正しく運用できる人員が確保できず、艦艇の遠隔地派遣が継続できない点だと中国の弱みを研究した共著者が明らかにした。

 

戦略予算分析センターのオンラインフォーラムでトシ・ヨシハラは「中国国内のアナリストには米国が享受する横須賀やインド洋のディエゴガルシアの技能員は夢のレベル」と指摘した。

 

中国は人民解放軍海軍を支援してくれる「遠隔地」国を確保するのに苦労しており、有事となれば弱点を露呈するだろう、という。さらに米国が第二次大戦後に構築してきた基地、整備施設、同盟国を超える内容を入手するのは中国には極めて困難で、巨額費用が必要となる。

 

ヨシハラは「全ての場所で中国と競うことは不可能」とし、このため米国は同盟国協力国と「中国の狙いを困難にさせる」選択肢を追い求めるべきと主張した。例として「インド洋の防衛能力の実証」があり、中国の弱みを突くべく「ディエゴ・ガルシア防空能力」を示すのが「ピンポイントで具体的な効果を生む」という。報告書では画期的技術を運用すれば中国式思考の裏をかくことが可能とある。

 

報告書では中国を局地大国かつグローバル大国と位置づけていると当日司会したジョン・リーが紹介している。

 

「中国の強みと弱みは時代ともに変化して」おり、米国の同盟国・協力国により状況が動けば同時に変化していく。オーストラリアから参加したリーは習近平主席が「ハイリスク、ハイペイオフ戦略」を追求しており、中国は「遠隔地、近隣地、大陸周辺部にあまねく資源を配分している」とする。

 

中国がグローバル軍事大国を目指すのは「大規模な経済権益」追求のためとヨシハラは述べた。中国は10年近く前のリビア危機から教訓を得て、内戦発生国で「自国民を保護する」必要を痛感した。中国指導部は自国に「自国民とその財産を保護する資源も意思双方が存在する」と見ているという。

 

だが「中国の基地構築は負債」になると見るのは“Seizing on Weakness: Allied Strategy for Competing with China’s Globalizing Military”(中国の弱みを逆手に取る:中国のグローバル拡大する軍事力に対抗する西側戦略)の著者ジャック・ビアンキだ。

 

基地受け入れ国は自国と関係ない有事でも危険に巻き込まれる。この弱みを和らげようと「新しく約束すれば別の約束を招き」有事対応はできても、費用はどんどん上昇するというのがビアンキの意見だ。

 

Chinese sailors. Xinhua Photo

 

現在、中国はジブチに基地を持ち、アフリカ東海岸と南太平洋で利用可能な施設を模索している。パネルディスカッション参加者から中国はまず商用利用を持ちかけ、ダム、高速道路、空港や港湾といったインフラ構築を提案するのが常套手段との指摘が出た。

 

中国が持ちかける巨額借款返済案で返済不履行が実際に発生しており、低品質医療製品で医療従事者が危険になる事態もあり、中国の言うままに実施に移し、中国製品を購入することへ警戒心が高まっている。

 

最近は「デジタル版シルクロード」構想で世界の通信ネットワーク近代化を中国が提案しており、他国で追随できない規模だ。米国はファーウェイはじめ中国企業との事業はスパイ活動に道を開くとの警告を各国に出している。

 

ビアンキからは中国は新規施設の立ち上げコストを負担することで海軍用の港湾施設等を維持しているとし、中国の負担コストは米国の同等施設より高額になっている可能性があると指摘している。

 

報告書ではこうした関係から「成果が即座に出る」ことはないとし、信頼や価値観の共有、相互作用の仕組みが構築されていること、さらに密接な関係の実績といった目に見えない成果があってこそ結果が出るとある。中国が受入国候補と見る各国との関係にこうした必須条件は不在とある。

 

ヨシハラは中国が遠隔地に海軍基地を持つ問題の要点は機能の質、受入国の耐久性、信頼性に加え、該当国の施設や人員そのものと指摘する。

「グローバル展開はとても困難」とビアンキも発言した。

 

ビアンキは中国共産党が海外基地保有問題に直接関与する事態が来ると見ている。その理由として中国指導層が「包囲陣への恐怖心」を陸上海上双方で抱く歴史的背景を上げた。

 

報告書では「中国には逃げ場のないジレンマが大陸と海洋の2方面にあり、世界規模の野望への制約となっている」とあり、中国の戦略思考家は海上への動きを「ロシアとの和合で海洋進出の余裕が生まれたこの三十年の変化のたまもの」と表現している。

 

ヨシハラは「近隣地区の安全保障課題が」陸海での中国の拡張主義の「重しになる」可能性に言及した。「沖合での引火点になりそうなのが、台湾、尖閣諸島、スプラトリー諸島でこうした場所を想定した装備ではグローバル規模のミッションには投入できない。たとえば短距離弾道ミサイルや沿岸配備の戦術戦闘機、さらに沿岸戦闘艦艇では遠隔地での運行に支障が出る」という。

 

「第一列島線」の課題では台湾が筆頭で、米国が航行の自由を掲げ台湾海峡を通行する計算済みリスクを取る、台湾に軍事装備販売を増やす、非対称防衛体制に重点を移す、あるいは米高官の台湾訪問が増えることが想定される。

中国はこうした動きはすべて「一つの中国原則」に反すると非難するのが常だ。中国の解釈は台湾は中国の地方省にすぎず、最終的に本土へ再統一されるとする。米海軍艦艇の台湾海峡通過で中国は空母を同じ海峡で通行させた。

 

ビアンキ、リーの両名は台湾は中国対応で自らの役目の重要性を認識すべきと主張し、従来型装備への予算投入を非対称型防衛体制に切り替えるべきとする。中国の脅威に対抗し、日本との協力関係を深化させる政策も必要との意見だ。

 

米国と条約上の同盟国であるフィリピンも第一列島線に位置する。トランプ政権は2020年初頭に中国の過剰な領土主張を一蹴し、スプラトリー諸島問題でフィリピンを有利にるる見解を発表した。

 

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Chinese Navy Faces Overseas Basing Weakness, Report Says - USNI News

By: John Grady

January 22, 2021 4:19 PM

 

バイデン就任直後に第一線軍用機を台湾へ大量飛来させたPRCの意図は何か。一方で、USSロウズベルト打撃群が南シナ海入り。台湾・南シナ海の動向に注意。

 台湾へは神経戦、宣伝工作などあらゆる手段を中国が行使してくるでしょうが、台湾には効果が出てきていません。面子を潰されたと感じれば、大陸側がどんな動きに出るかわかりません。今日の台湾は明日の沖縄、日本本土です。台湾との連携を深める時期が来ていますが、日本政府はどう動くでしょうか。こうした日常の出来事にはご関心が低いようです。

 

人民解放軍のH-6爆撃機が台湾防空識別圏付近を飛行している。Sept. 18, 2020. (Taiwan Ministry of National Defense via AP)

 

中両国の軍事活動が台湾・南シナ海周辺で活発化しており、バイデン政権が台湾支援継続を表明するや両陣営による外交面の舌戦も鋭くなってきた。

 

台湾国防省は台湾防空識別圏へ飛来する中国軍機の状況を毎日公表しており、1月23日24日の週末にはそれぞれ13機、15機を探知した。

 

今回は人民解放軍の活動としては目立つ動きで、従来は台湾防空識別圏に侵入するのはこれまで数機止まりで、対潜哨戒機や情報収集機が多かったからだ。今回は西安H-6K爆撃機、成都J-10、瀋陽J-16、さらにロシア製スホイSu-30が飛来した。

 

台湾周辺にこれだけの機材を飛ばした理由が台湾へメッセージを送るためだったのかは不明だ。

 

これまでも航空活動の強化はあった。米高官の訪台を睨んで挑発行為していた。今回は台湾の事実上の駐米大使蕭美琴Bi-khim Hsiaoがバイデン大統領就任式典に参列し、台湾外交使節として就任式参加は1979年以来初となった。

 

今回の中国軍航空活動の強化に対し米国務省が早速反応し、「PRCによる台湾含む隣国への嫌がらせ活動が続くパターンに懸念している」と声明発表し、「中国政府は軍事、外交、経済面で台湾へ圧力をかけるのを止め、かわりに台湾の民主政体と意味のある対話をすべきだ」と主張した。

 

土曜日に米海軍空母USSセオドア・ロウズベルトもバシー海峡を経由し南シナ海へ進入した。C-2Aグレイハウンド輸送機がフライト追跡ウェブサイトに現れ、海峡から高度を上げる状況が見えたことで空母が同地域に入ったことをうかがわせた。米インド太平洋軍の公式発表が翌日あり、同空母打撃群が「海洋安全保障作戦として、固定翼回転翼機の航空活動を実施する他、海上攻撃演習や戦術訓練を水上艦、航空機間で行う」とある。

 

同司令部は韓国駐留の米空軍U-2高高度偵察機も動員しているようで、やはり上記ウェブサイトでオサン基地を離陸し、南シナ海に進出する状況が月曜日朝にみつかり、同日中に帰投していた。

 

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China, US step up military activities near Taiwan

By: Mike Yeo 


2021年1月25日月曜日

歴史に残る機体30 ロッキード・マーティンF-16ファイティングファルコンはベトナム戦の教訓から生まれた軽量高機動戦闘機。F−35の遅延で2040年代まで供用される傑作戦闘機になった。世界中で多数が供用中。

 歴史に残る機体30


 F-16は米国、同盟国双方が供用中だ。なかでも性能向上型は驚くほど高威力ながら購入しやすい価格を実現している。

 

F−16ファイティングファルコンは傑出した機体だ。世界トップクラスの戦闘機でありながらコスト性能比が優れる。高速かつ高い操縦性を有する軽量戦闘機の欠点は航続距離、ペイロードが大型双発機のF-15イーグルより劣ることだが、価格を見ればそんなことは二の次になる。1999年当時の単価18百万ドルは2017年価格で27百万ドルに相当する。この価格性能比が各国空軍部隊に魅力となり、現在も世界で最も多く運用中の戦闘機で製造4,500機中、2,700機が26カ国で現役だ。

 

F-16誕生の背景には空軍がヴィエトナム戦で直面した難題があった。F-4ファントムは高速大型戦闘機だったが、北ヴィエトナム空軍に苦戦を強いられた。一つには空対空ミサイルの技術成熟度が足りなかったためで、ドッグファイト技量も未熟だった。ここからファイターマフィアと呼ぶ一派が生まれ、空軍はこれまでの設計思想を捨て、安価かつ軽量で運動エナジーを最大活用し、ドッグファイトに耐える機体を実現すべきと唱え始めた。当時開発中だったF−15イーグルも故障しがちの空対空誘導ミサイルへの依存度が高いと批判した。ただし、イーグルはその後双発大型機でも操縦性が高い機材は可能と実証したが、コストに目をつむればという条件で、ミサイル技術が大きく進歩したわけではない。

 

 

軽量戦闘機を求める声はペンタゴンにも広がり、単純な経済の問題だった。空軍はF-15を好み、一方で戦闘飛行隊全部に同機を配備するのはあまりにも高額の予算が必要だったので、「ハイロー」ミックスの機材配備を決定する。そこから試作機2型式が生まれ、1974年に性能比較が行われた。ノースロップYF-17とジェネラルダイナミクスYF-16である。後者が応答性がよい評価を全員一致で得たが、YF-17はその後ホーネットに進化し、米海軍海兵隊が共用している。F-16Aの量産仕様初号機は1980年に部隊配備され、その後複座のF-16Bも加わった。

 

単発F-16はデザイン技術の最新動向を取り入れ運動性能を最大限活用するねらいだった。強力なブラット&ホイットニーF100エンジンに機体下部に空気取入口を備え、推力重力比が優れたのは機体の軽量化に成功したためで、高高度ならマッハ2を出せる。主翼はデルタ形状に近く、ハイロールが可能となった。バブル状のキャノピーでパイロットは優れた視界を確保し、30度傾斜つきの座席は過激な機体操縦のG対策である。実際にF-16は過激な操縦が可能で旋回で9Gまで可能だ。これはF-22ラプター登場までは最大だった。空軍アクロバティックチームのサンダーバーズが同機を採用した理由だ。

 

F-16では機動性を最大限にすべく空力学的に不安定な形状に意図的にされている。問題があればフライト制御システムが自動補正する設計だ。ここに当時は革命的とまで言われたフライバイワイヤー制御が加わり、パイロットの制御を電子インターフェースで伝え、油圧やケーブル経由の手動制御は姿を消した。フライバイワイヤーの信頼性が高いこともあるが、同時に機内コンピュータで必要に応じパイロット制御を補いファルコンの機体限界を超える事態を回避する。別の特徴として統合スロットルがジョイスティックにつけたハンズオンスロットル及びスティック(HOTAS)があり、パイロットの制御がよりスムーズになった。フライ・バイ・ワイヤーとHOTASの組み合わせはその後の戦闘航空機で標準仕様となった。

 

ファルコンは多任務戦闘機の想定で生まれ、最大17千ポンドまでの兵装または電子戦装備をハードポイント17箇所に搭載可能で、精密誘導兵器のマーヴェリックミサイルやレーザー誘導爆弾を運用できる。20ミリヴァルカン砲も搭載しバックアップ兵装として利用できる。

 

ファイターマフィア派は誘導ミサイルを信用しなかったが、F-16では最初から誘導ミサイル運用を想定し、APG-66ドップラーレーダー、ヘッドアップディスプレイ、照準コンピュータによりミサイルの威力を最大に引き上げる。この効果を実証したのが1982年のイスラエルで、F-15とF-16A編隊でべカー渓谷でシリア機と3日に渡る激烈な空中戦を展開した事例だ。イスラエルのファルコンはシリアのMiG-21、-23を44機撃墜しながら被撃墜機は皆無だった。その前年の1981年にファルコン8機編隊でバグダッドのオシラク原子炉を空爆し、マーク84(2千ポンド爆弾)16発を投下し、サダムフ・セインの核兵器開発を中断させた。

 

1980年代中頃になると今も供用中のF-16C、複座のD型が運用を開始した。エイビオニクスを更新し、液晶ディスプレイや新型APG-68レーダーで長距離ミサイル交戦が可能となり、AIM-7スパロウやAIM-120AMRAAMミサイルの運用が可能となった。C型D型はその後数回に渡り性能改修を受け、GPS誘導兵装やAIM-9Xサイドワインダー熱追尾ミサイルも導入され、パイロットはヘルメット搭載照準システムにより視界内の敵機を自機の機首を敵に向けずに攻撃できるようになった。

 

米軍のF-16が初めて実戦投入されたのが1991年の湾岸戦争で、13千回にわたり爆弾、マーヴェリックミサイルによる空爆を展開した。この内最大規模のバグダッド空爆では72機が投入され、2機が対空ミサイルで撃墜され打逸出したパイロットが捕虜となった。「ワイルドウィーゼル」任務をこなした機材はイラクの地対空ミサイル陣地をAGM-88Harmミサイルで撃破した。

 

空軍はA-10のかわりにF-16を近接航空支援に投入できないか検討し、138戦闘飛行隊のF-16C、D型にペイヴクロー30ミリガトリング砲ポッドを搭載した。しかし、軽量ジェット機には発射反動が大きく飛行姿勢が揺れたため構想は断念され、A-10は存続を許され、その後何度も続いた空軍上層部による廃棄案を生き残った。

 

終戦でF-16は飛行禁止空域が設定されたイラク上空のパトロール任務につき、AIM−120スコーピオン長距離ミサイルで高速MiG-25フォックスバットを撃墜している。

 

湾岸戦争後にファルコンは米軍NATO軍の航空作戦が展開したユーゴスラビア、イラク、シリアでいつもその姿を見られた。1990年代のセルビア、コソボで米軍及びベルギー軍のF-16が敵戦闘機を撃墜しているが、セルビア軍の地対空ミサイルで2機が犠牲となった。海外へ販売された機体には実戦の機会も訪れた。パキスタン軍のF-16は1980年代に国境地帯でソ連アフガン機合計10機を撃墜した。1992年にはヴェネズエラ空軍のファルコン2機がOV-10を2機、トゥカーノ練習機1機を撃墜してユーゴ・シャベス支持勢力によるクーデターを阻止した。

 

ファルコンの撃墜実績は72機で、被撃墜数は2機で実際の状況には不明の点がある。パキスタンの一機は事故での喪失、ギリシアのミラージュがトルコF-16を模擬空中戦で撃墜している。ファルコンはレバノン、イラク、リビア、シリア、アフガニスタン、パキスタンで空爆の中心として活躍している。

 

最高水準の性能を誇るF-16は米空軍機材ではない。ブロック62仕様のE型、F型をアラブ首長国連邦が発注している。この新型では一体型燃料タンクがつき、欠点だった航続距離不足を最小限の空気抵抗追加で実現しながら、APG-80アクティブ電子スキャンアレイレーダーも搭載する。AESAレーダーは戦闘機搭載レーダーでは最高水準といわれ、高解像度と低探知性を両立している。更に高性能のブロック70仕様がインド国内生産を想定し検討に入っている。ただし、こうした新型ファルコンの機体単価は急上昇している。

 

F-35の遅延と価格上昇を受けて米空軍ではF-16の1,200機を2040年代まで供用すべく機体寿命を12千時間まで延長する。ファイティングファルコンは戦闘機材として性能は実証済みで、飛行時間あたり経費も22千ドルと双発F-15の42千ドルより魅力的だ。

 

F-16の欠点をあげるとしたら、米空軍で供用中機材のレーダーが旧式化していること、燃料搭載量が少ないこと、戦闘行動半径が増槽をつけないと340マイルしかないことだろう。ペンタゴンは同機を改修し、APG-83AESAレーダーへの換装や一体型燃料タンクの採用に向かう。F-16にはパイロットから「ヴァイパー」の愛称がつき、今後数十年に渡り世界各地の空軍で重要な役目をこなしていくはずだ。■

 

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Yes, the F-16 Is Still a Mighty Warplane

January 23, 2021  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: F-16Fighting FalconU.S. Air ForceMilitaryTechnology

by Sebastien Roblin

 

Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring. This piece was originally featured in August 2017 and is being republished due to reader interest.

Image: Reuters.