2010年5月27日木曜日

沖縄の基地問題は解決しているとアメリカはとっくに見ています

Okinawa Decision Has Missile Defense Element
aviationweek.com May 25, 2010

  1. 選挙公約を撤回した鳩山首相は結果として巡航ミサイルおよび戦術弾道ミサイルに対する防衛体制を強化 したことになる。
  2. Su-27MKK攻撃戦闘機部隊を整備した中国は巡航ミサ イル発射能力は日本にとって脅威である。北朝鮮の核搭載弾道ミサイルはずっと大きな脅威であり、同国政府の予測不可能な行動と武力行使の意思がその背景に ある。韓国艦艇の撃沈もこの一端だ。
  3. 沖縄に配備されている米空軍のF-15Cが搭載しているのは旧式のAESA(アクティブ電子スキャンアレイ) レーダーだ。レイセオン製の新型AESAで はこれまでの探知距離50マイルが150マイルになり、小型目標の捕捉も可能となりAIM-120C-6あるいはAIM-120D発達型中距離空対空ミサ イル(Amraam) で対応が可能だ。
  4. 米側の防衛関係者が本誌に語ったところではAESA搭載の戦闘機部隊を今後拡充し沖縄の対ミサイル防衛力を拡充する方針で あるという。沖縄配備のF-15部隊はアラスカで巡航ミサイル迎撃訓練を実施ししている。
  5. 最新動向として防空任務を担う州軍航空隊とレイ セオンとの間で空中発射新型ミサイル「ネットワーク中心空中発射防衛要素」(NCADE)を対弾道ミサイル防衛に 使用する検討がなされている。Aim-120Amraamミサイルの筐体を利用し有効 射程距離を拡大して弾道ミサイル防衛に用いる計画だ。
  6. 州軍はゴールデンイーグルF-15C部隊の性能向上を4月から順次開始している。
  7. ま たF-22にもAESAが搭載 されており現有220機のF-15EにもAPG-82(V)4 レーダーが、また州軍のF-15にはAPG-63(V)3 レーダーが装備されている。
  8. 米側高官は公には発言していないが、鳩山首相が前言を撤回して沖縄の米軍配備を認めたことは同首相が米軍の 持つ抑止力効果を正しく認識している表れと見ている。■
●日本国内というか連立内閣の騒ぎとは別に国際政治ははるかに冷酷であり現実的です。いったい安全保障とは何かという疑問に結局今の内閣は答えを出せずに終わる気がするのですが。

2010年5月9日日曜日

レーザー光線でUAVに電力を提供する技術

Laser Power Beaming Aimed At UAVs
aviationweek.com May 8, 2010

  1. 宇 宙エレベータ向けに動力の光線供給技術を開発する会社が同じ技術を無人機に応用できないか検討している。
  2. レーザーモーティブ LaserMotive は 動力の光線供給で電動力UAVの飛行時間が延長できると見ている。
  3. シアトルに本社を構える同社はUAVメーカー数社と協議をしており、 実際の試作機は18ヶ月で完成するという。
  4. 実証機は小型無人ヘリコプターで同社がNASAから90万ドルの賞金を得た宇宙エレベーター 競技大会の技術を応用するという。競技では長さ1キロメートルのケーブルを登るロボットに動力を供給するのに成功している。
  5. システムの 中核は赤外線に近い波長のレーザーダイオードから動力をビーム指向装置に提供し飛行中のUAVを追跡し、機体の太陽電池にビームを照射するもの。レーザー 光線は電力に変換され、バッテリー充電に使われ飛行時間が延長される。
  6. 同社は次の用途を想定している。高高度で静止待機する飛行船への レーザー動力供給で無限に近い飛行が可能だ。また、航空機の場合はビーム施設に戻り動力を補給することで長時間飛行が可能だ。これをUAVに応用すれば、 前線をパトロールして動力補給に戻る運用が考えられる。ビーム施設そのものにも移動性を与えることができる。
  7. UAV用の直流1kWの動 力供給にはビームは2kWとなり、レーザーダイオードに4kWのインプットが必要なのが現在の技術水準だ。これが小型車両であれば100から200ワット あれば十分だという。ただし、キロワットレベルの送電にはビームの安全措置が特に必要だ。 
  8. 同社は他の応用として地上配備センサーや遠 隔地の通信中継施設向けの動力供給を想定している。また災害救助にも応用できるという。■
すごい。これが実用化されれば電気飛行機という形態が普通の概念になりますね。

ご参考 同社のウェブサイト  http://lasermotive.com/

2010年5月3日月曜日

第六世代戦闘機の構想を練るACC戦闘航空軍団

ACC Looks At Possibilities For Future Weapons
aviationweekcom Apr 30, 2010
  1. 第五世代戦闘機の性能向上計画、ならびに新しく登場する第六世代戦闘機の初期企画 内容から見ると、広範囲の光学・電子監視能力、非爆発性兵器の搭載ならびに敵のネットワーク解析能力が検討されているようである。
  2. その 基礎となるのは通信能力であり、敵のネットワーク攻撃にも耐えるものとなろう。
  3. 第五世代でステルス性と超音速巡航を実現した。これに続 く第六世代機では有人飛行はオプションの一つとなりステルス性はあるものの超音速飛行は前提としない機体設計となり、高性能の電子戦闘装備とISR能力を 実現することになりそうだ。
  4. 「第六世代戦闘機企画室を創設し、盛り込むべき性能を確認していきます」(トム・アンダーソン空軍少将 戦 闘航空軍団(ACC))「生存性を高めるためにスピード、ステルス性あるいは両方を組み合わせて実現すべきか。価格も重要な要素で一機5億ドルでは多数の配備は不 可能ですね。今年から開始すれば2030年には第六世代戦闘機が実用化できるでしょう。有人操縦はオプションとなるでしょう。」
  5. 新型機 は通信リンクされて所在は相互に認識され、敵の脅威の所在はどの時点でも共有できる。この高度なリンクは共用空中階層ネットワーク Joint Aerial Layered Network (JLAN)と呼ばれ、戦闘地帯の宇宙、上空、地上をそれぞれ階層として把握できる。低迎撃・発見可能性 low probability of intercept or detection [LPI/LPD]の第一波の中心となり、情報を友軍に伝え継続攻撃部隊やステルス性のない電子妨害機を支援する。
  6. このため装備品も革 新的な設計となる。例としてLPI信号をリンク16で波形に変換して友軍に広く伝える装置がある。この伝達はステルス性を犠牲にせず、デジタル信号として 瞬時に情報を利用することが可能となる。
  7. 電子攻撃、ネットワーク侵入、高出力マイクロウェーブ(HPM)パルスを発射する兵器も開発さ れる。
  8. 「現在開発中なのは対電子装置HPM発達型ミサイル counter-electronics HPM ­advanced missile projectでおそらく三年以内に実証計画から移行できるでしょう」(デイブ・ゴールドファイン准将 戦闘航空軍団航空宇宙作戦部長)
  9. ACC関係者はHPMおよびレーザー兵器の研究が最終的には重要と考える。これまで20年間にわたり研究機関及び民間企業がそれぞれの装置の小型化と 兵器への応用に取り組んでいるが、今後一層の進展が期待される。例えば海兵隊はトラック搭載の基地防衛用HPMをアフガニスタンに投入する予定だ。
  10. 一 方、第六世代の無人機のヒントは示されていない。
  11. 「次世代の遠隔操縦航空機 RPAs は一種の標準型となり、モジュラー化により各種 ミッションに対応することになるでしょう。マシン間の通信と自動化意思決定による支援が鍵となり、通信そのものは指揮命令に関するものに限られるでしょ う。また自動化が進めばRPA運用で人手がかかる作業も軽減されます」(アンダーソン少将)
  12. アクティブ電子スキャンアレイ(AESA) レーダーの性能向上で各機は指向エネルギー兵器に転用可能となる。
  13. 第五世代及び第六世代航空機はISR、電子攻撃、通常攻撃に加え AWACSとしても運用されるだろう。
  14. 「砂漠の嵐作戦の初日(1991年1月16日)では通常爆弾を搭載したF-16に 乗っていました。10年たってコソボではレーザー誘導爆弾を搭載し、データが全部コックピットに流れきました。今後は以前とは比べ物にならない能力が手に 入ります。」(ゴールドファイン准将)
  15. にもかかわらずアフガニスタン、中東、南西アジアでの作戦環境のニーズは極めて平凡なものだ。
  16. F- 22が投入されたのは乾燥、高温、砂塵の環境で同機が長期の運用が可能かを確認するためであった。
  17. 皮肉にも中東の三大問題はメンテナン ス性、支援性および部品共用性である。F-22で得られた教訓はF-35共用打撃戦闘機に応用されている。
  18. 次世代機は追加的に性能を向 上して良くアプローチをとるだろう。
  19. ただし現在進行中のアフガニスタン作戦で使用されている兵装、センサー類はかならずしも高性能のものではない。
  20. た とえば、陸上部隊は手榴弾レベルの爆発力を持つ爆弾を利用したがる。これは住宅内の一室だけを破壊するレベルでその後の情報活動に利用するためである。
  21. そ こで空中投下兵器は小型の重量250ポンド以下となり、その分搭載数が増える。あるいは同数の爆弾を搭載してもペイロード重量が減るので、無人機の飛行性 能が向上することになる。
  22. 「MQ-9リーパー後継機の性能諸元づくりをしています。マスタースケジュールどおりなら納入は2020年に なります。モジュラー化、長時間運用、低価格の他に民間航空宇宙で開発された技術も導入し、悪天候でも運用可能で2万から3万フィートの中高度で運用しま す。兵装に加えセンサーを搭載して外部からモニター可能です。ステルス性は低価格は両立しないので、むずかしいですね」(ゴールドファイン准将)
  23. 現 在進行中の低密度紛争の中から高性能の無人機が今後の大規模戦闘にどう活用されるかを推察できる。
  24. ACC関係者はイ スラエルによるシリア攻撃(2007年)、ロシアによるグルジア攻撃(2008年)から多くを学んでいる。グルジアの防空網は統合されていなかったが、ロシアも電子戦の用 意をせず、事前分析をせず発進させていた。またイスラエルが通信及び軍用ネットワーク網に対して電子攻撃を準備しているとの動きがある。
  25. 「わ が方のネットワークが攻撃を受けた場合も戦闘継続ができるように努力しているところです。戦闘区域内で連絡手段がなくなったら重要な情報をどう伝えたら良 いでしょうか。現在、司令官レベルで集中して取り組んでいるプロジェクトが複数あります。その中には最高位将官また国防長官レベル用に敵の攻撃を受けてい る状況でも利用できる通信手段があります。このため通信手段の確保とともに迅速なデータリンクの復元、盗聴されない通信の回復が必要です。その他にも変化 していく戦況の中で目標にあわせリアルタイムで意思決定していくことも重要な要素です。」(アンダーソン少将)
●日本ではま だ第五世代も実用化していませんが、早くも第六世代ですか。これからすると無人機中心で非超音速、指向性エネルギー、通信能力がキーワードとなりそうです ね。F-22は配備記数が圧倒的に不足なので、虎の子となり、F-15を改装して護衛に回らせ2030年まで第一線に使おうというのが米空軍の構想なの で、第六世代配備開始がちょうどそれに符合しますね。

インドがC-17導入へ

Indian C-17 Deal with U.S. Advances
aviationweek.com Apr 26, 2010

  1. 米国安全保障協力局は議会 に対しボーイングC-17グローブマスターII合計10機のインド空軍向け海外軍事販売(FMS)の可能性を正式に通達した。
  2. インド国 防省から米政府にC-17をFMS方式で取得希望する内容の要望書が先に出されており、ボーイングにとっては同機の海外販売はアラブ首長国連邦向け6機に 続くものとなる。
  3. 議会向け説明では販売額を58億ドルとしており、保守サービス等も含む見積としては最高額となった。
  4. 同 価格には乗員およびメンテナンス要員の訓練、訓練機材、予備部品、地上支援装備、技術援助、エンジニアリングサービス費用が含まれる。
  5. イ ンドの現有軍用輸送機はロシア製IL-76(40機)およびAN-32(100機程度)であり、別途ロッキード・マーティンC130 Jを6機発注済で、2011年に納入予定。
  6. 160,000ポンド(約73トン)の搭載能力を有するC-17は7,600フィート(約 2,300メートル)の滑走路から運用可能で2,400海里(約4,400キロメートル)の航続距離がある。C-17導入でインドの軍用輸送は大幅に近代 化される。
  7. インドがボーイングP-8I長距離洋上監視・対潜哨戒機の購入を決定して以来米印間の防衛パートナー関係は急速に進 展している。

2010年4月27日火曜日

X-37B打ち上げに成功

U.S. Air Force X-37B Launched
aviationweek.com Apr 24, 2010

  1. 4月22日ケープカナベラル空軍基地から X-37B実験宇宙機が打ち上げられ初のテスト飛行に入った。
  2. 当初はNASA所管だったX-37はその後国防高等研究プロジェクト庁に 移管され、さらに空軍高速能力開発室Air Force Rapid Capabilities Officeが現在は担当している。
  3. X-37B の自重は11,000ポンド(約5トン)でアトラスV501により東武標準時午後7時52分に打ち上げられた。打ち上げ後20分で分離に成功している。 X-37Bのペイロード、実験内容、軌道飛行中の運用についてはいずれも非公開情報となっている。
  4. 無人運用での地上帰還を予定している が、今後の課題は地上回収後にどれだけ早く次回の打ち上げに移れるかで、その間の準備期間の短縮にかかっている。
  5. スペースシャトルは水 素酸素の燃料電池を使用するが、X-37Bはガリウム砒素の太陽電池とリチウムイオン電池を使用する。設計上は最長270日軌道上に留まることが可能。起 動離脱および滑走路への帰還を自動的に行う。
  6. 製作したのはボーイングのファンタムワークスで全長8.9メートル、全高2.9メートル、 翼幅4.5メートルである。
  7. 着陸場所はヴァンデンバーグ空軍基地(カリフォルニア州)の予定で、エドワーズ空軍基地が予備となる。今回 の結果次第で空軍は二号機を2011年に飛行させる予定。

2010年4月18日日曜日

F-35開発・導入で圧力をかけるイタリア

Italy, Netherlands See JSF Plans In Flux
aviationweek.com Apr 16, 2010
  1. イ タリアがF-35統合打撃戦闘機(JSF)開発で以前より高い共同作業分担率を要求してきたことで、ペンタゴンの頭痛の種が増えた格好だ。
  2. イ タリア政府はF-35関連業務作業分量を増やせと要求しており、北部カメリ空軍基地近郊のJSF最終組立工場建設を一時差し止めとしており、同国の負担 分に対して見返りが少ないことを理由としている。あわせて技術移転協定にも不満を持っており、その改訂を期待している。
  3. JSF 開発に対するイタリアの感情は複雑だ。電子装備メーカーは特に不満が高いが、機体構造メーカーは相応の作業量を確保している。アレニア・エアロノーティク スは主翼等の生産に加え、初期生産分の組立も担当する。エンジンメーカーのアヴィオも同社の作業量には 概ね満足しており、ブラットアンドホイットニーF135とGE/ロールスロイスF136の双方に参画している。
  4. 最終組立工場の建設差し 止めはアメリカとの交渉力強化が目的だが、2014年の稼働開始という当初の予定の実現が危ぶまれる。同工場ではオランダ向けF-35の組み立ても予定されて いる。
  5. 同機の最新単価の正確な金額は公表されていないが、2010年価格で93百万ドルから112百万ドルと4月1日付のペ ンタゴン報告書が提示している。これ以前は59百万ドルだった。ただし、見積価格は再度検証中でこれ以上に上昇する可能性がある。
  6. JSF 導入を希望する各国にとっては価格上昇は不安感を高める可能性があるが、今のところ、同機導入を断念する国はまだない。それでも 動揺は広がっている。ノルウェーは導入方針に変更ないとしているが、生産が安定し、コストが低下した際に導入すると明記している。同国の当初の 導入案は2014年開始としていた。オランダも同機導入の見通しがはっきりするには6月まで待つ必要ありと判断している。同月にペンタゴンで作業が完了す るとともにオランダ総選挙で新政権が誕生する見込み。
  7. JSFの飛行テストそのものは勢いがついてきた。ロッキード・マーティンは実戦用 のアクティブ電子スキャンレーダー(AESA)・電子戦装備・通信/航法/敵味方識別装置を搭載した機体の飛行テストを開始した。同機の運用するソフトウェアは ブロック0.5である。
  8. イタリアに話を戻すと、コスト問題は、今後各国が生産型の購入契約締結に臨む際に大き な関心となると見ている。ただしイタリア空軍はすでに影響を受けている。F-35開発の動向を見ながら既存機種の退役予定を先送りしている。
  9. イ タリアがアメリカとの議題にしているのが、欧州各国のJSF用に同国内工場を利用することをアメリカに認めさせることだ。今のところアメリカはこの提案に 乗り気ではないが、認められなければ全体の計画の見直しもありとしている。
  10. イタリアの既支出額は初期段階で10百万ドル、さらにシステ ム開発と実証期間中で10億ドルの支出を公約している。さらに900百万ドルを量産・供用期間中の支援費用として拠出する用意があるとしている。それ以外 に173億ドルを合計130機のF-35調達・兵站費用に計上している。
  11. ただしイタリア の財政難で国防支出にも制約が出ている。現在の案ではF-35の導入数は131機で、このうち22機は短距離離陸・垂直着陸のB型が22機が海軍向けで 109機が通常型のA型で空軍用だ。イタリア国防省にとってF-35導入は最優先事項であることに変更はない。■

● コメント 131機の導入で総額270億ドルですか。一機2億ドル相当ですが、この根拠は以前の機体単価のはずなので、実際はこの二倍近くになる可能性が あるわけです。これだけの財政規模となるとおいそれと支払いが出来る国はなくなりますので、事実上F-35国際開発・調達が不可能となるのではないでしょ うか。それだけに日本がこの段階で手をあげることが期待されるのでしょうが、この機体には食指を動かさない方が賢明ではないでしょうか。では、F-4の後 継機種、さらにF-15の次期機種をどうするのだ、と真剣に考えなければなりませんね。その際は拡大する近隣諸国の防衛装備、日本自身の財政能力も勘案し ながら、情報を収集・分析してしっかりした戦略を立てるのでしょう。関係各位の努力もさることながら、納税者たる国民も真剣に考えるべき問題ではないで しょうか。

2010年4月11日日曜日

米空軍が構想する新型再利用打ち上げ機

U.S.A.F Plans Reusable Booster Demonstrators
aviationweek.com Apr 10, 2010

  1. 米空軍は再利用可能ブースターシステム Reusable Booster System (RBS)の技術熟成を目的に実証機複数の製作を計画中。RBSは これまでの発達型使い捨て打ち上げ機 Evolved Expendable Launch Vehicle (EELV)ファミリーを代替して2025 年以降に実用化の予定。
  2. 実証機の一号はRBS パスファインダー Pathfinderの名称で空軍研究所(AFRL)が 2013年に打ち上げ予定で一段目ブースターを打ち上げ地点の滑走路に着陸させる技術の評価を行う。
  3. RBSは一段目を再利用可能と し、それ以外の上位構造は使い捨てだが新設計となる。詳細計画は空軍宇宙軍団に来月に提出される。
  4. 計画ではRBSを二種類想定。 中規模重量物の打ち上げ用の一段目再利用可能打ち上げ機と再利用ブースターを二段もつ打ち上げ機で重量物運搬ならびに将来の発展を想定する。RBSの投入 は2025年とし、EELVの退役は2030年までに完了する。
  5. RBSの実用化で打ち上げ費用は年間8回打ち上げで50%削減が可能と 期待される。ブースターのエンジンは10回連続使用可能だ。エンジンは交換して機体構造は100回のフライトに耐えられる。
  6. 打ち上げ基地への帰還用にはロケットバック技術がもっとも有望と判明しており、無動力の滑空帰還ならびにタービン動力によるジェットバック方法が研究されているが、 ロケットバック(マッハ5ないし7)は滑空帰還(マッハ3.5)より高速で上部構造を小型化する必要がある。
  7. ただしロケットバック運用 には迎え角と横滑りの微妙な組み合わせが必要となり、風洞実験では空力特性の再現が不可能と判明したため実証機を製作することになった。
  8. パ スファインダーは実機の縮小版として全長15フィートで、気象観測ロケットあるいは航空機から打ち上げられる。試験飛行は三回で各回違うロケットバック方 法が試される。実証試験には各1.5百万ドル上限の予算で三チームまでが参加し、最終的に優秀なチームがパスファインダー製作契約として28.5百万ドル を交付される。
  9. 一方、それより大きい(50から50フィート)のRBX実証機が実用上の再利用ブースターに近い形で2016年ないし17 年に登場し、技術力を6段階に引き上げることをめざす。この結果でRBS調達計画の開始を決定する参るストーンBの判断が下る。
  10. バス ファインダーもRBXも 既存ロケットエンジンを使用するが、並行して炭化水素ブースト計画 Hydrocarbon Boost で液体酸素・ケロシンエンジンを開発しRBSの 運用動力として実用可能かを検証する。空軍はNASAと大型の炭化水素エンジンを共同開発する協議を開始している。■
●これは大いに期待できる技術ですね。今後の動向には注意したいと思います。

2010年4月8日木曜日

中国がインドをサイバー攻撃した模様

Chinese Cyber-Attacks On India Suspected
aviationweek.com Apr 7, 2010
  1. カナダの the Shadowserver Foundation and Information Warfare Monitor所属のサイバー保安専門家によると中国がインドに対してサイバー攻撃をかけた疑いがあるという。
  2. 4月6日公表された報告 書“Shadows in the Cloud - Investigating Cyber Espionage 2.0”によると「シャドウネットワーク」と呼ばれる組織のハッカー集団がインドのミサイル計画、部隊配備状況、軍事訓練施設の各極秘ファイルを盗むこと に成功したという。
  3. インドのみならず、ダライラマ、国連も攻撃の対象となったと報告している。
  4. インド国防関係のコン ピュータならびに同国シンクタンク企業のコンピュータも攻撃を受け、漏洩された文書ファイルにはペチョラ地対空ミサイル、アイアンドーム移動型ミサイル防 衛システム、陸軍の砲兵隊用プロジェクト・シャクティ指揮統制システムが含まれる。
  5. ネットワーク戦に関連した文書も漏洩し、ネットワー ク上のデータを監視分析する情報活動および技術の運用計画案も漏洩した。
  6. 今回の調査には融合分析として技術的な質問法、データ分析、現 場調査としてシャドウグループのサイバー諜報ネットの存在が明らかになった。
  7. 対象の文書はインド政府の所有物であるがインド政府のコン ピュータから直接漏洩したのか、別のコンピュータにコピーされて漏洩したのかは明白ではないと、同報告書は示している。
  8. また同報告書で は個人から組織にいたるまで保安手段の実行がお粗末なことが指摘されており、サイバー空間の軍事利用が急速に進む中であらためてサイバー戦に対抗し勝利す るための方法論の確立が必要としている。この種の軍拡が進むと同時に犯罪、諜報活動が拡大する可能性が増える。

2010年4月2日金曜日

お知らせ

4月になりました。

ターミナル1に 民間航空輸送量の堅実な増加でまもなく不況前水準に回復、ボーイング787静止試験完了 の2本をアップロードしました。

ぜひ読者の皆様のコメントも随時お寄せください。





2010年3月31日水曜日

米海軍の無人機計画で進展

U.S. Navy Seeks ISR, Strike UAVs
aviationweek.com Mar 29, 2010

  1. 米海軍の求めに応じ、主要メーカーが5月までに空母搭 載型ステルス無人攻撃・偵察機として有人機と一体運用が出来かつ2018年までの空母配備が可能な機体の情報を提案することになっている。
  2. こ の無人型空母運用空中偵察攻撃機(Uclass)に関する情報要求では無人運用が可能な機体を4から6機編成でCVN-68ニミッツ級あるいはCVN- 78ジェラルド・フォード級原子力空母から運用できるものと士、空母あるいは陸上から飛行管制を受けるものと想定している。また、空中給油を海軍式に加え て空軍の給油方式にも対応するものとしている。
  3. 空中給油なしで同機は11時間から14時間の飛行が可能で、その場合も「適正な」予備燃 料を残すものとする。搭載兵装には「高破壊力精密兵器により敵目標の制圧、破壊、欺瞞あるいは影響力行使が可能なもの」が想定されている。発表された構想 図ではノースロップ・グラマンのX-47B無人戦闘航空機システム(UCAS)との類似性が認められる。あるいはボーイングのファンタム・レイやジェネラ ルアトミックスのアヴェンジャーにも似ている。
  4. 今回の情報提供要求に先駆け海軍の無人航空機開発責任者ウィリアム・シャノン少将が本誌 開催の国防技術カンファレンスで2月17日に海軍新型無人機開発の次の段階には予算20億ドルを2013年から投入すると発言していた。
  5. 席 上でシャノン少将は今回の情報要求はノースロップ・グラマンX-47Bの開発延長を自動的に認めるものではないと強調しているが、同機はエドワーズ空軍基 地で高速タクシーテストを開始しようとしている。
  6. X-47Bは無尾翼ステルス機の空母運用を実証するために製作された。一方、 Uclassは同機の構想をさらに進めて情報収集、偵察監視に加えて攻撃能力を与えるものだ。X-47Bの初飛行は今年夏の予定で、2011年には空母着 艦テストが予定されている。

2010年3月21日日曜日

KC-X EADSの考え方


EADS Takes Wait-And-See Approach On KC-X
aviationweek.com Mar 19, 2010
  1. 米空軍向け次期空中給油機KC-Xをめぐり、EADSは契約受注にむけた活動をまだ断念しておらず、米政府の対応を待っている格好だ。
  2. 提案企画の締め切りが現状どおりとすると、また提案仕様書の表現ぶりがこのままであると、EADSは入札断念の可能性がある。ただし、条件に変更があれば同社は入札参加の道を排除しない。要は米政府が競争入札を実施するつもりがあるのかどうかだという。ペンタゴン はEADS-ノースロップ・グラマン連合はKC-X入札に関心を有していると認めている。
  3. EADSのCEOルイ・ガロワは同社単独によ る入札参加あるいは他社と連携しての入札参加になるのかは言明を避けた。同社の戦略は米国防市場に参入をめざすことであり、そのためには同社の他部門の成 長を妨げることも辞さない構えだ。
  4. KC-X以外に同社は米陸軍向け装甲空中偵察ヘリ構想にEC165およびUH-72ラコタ軽量多用途 ヘリの改造型を提案している。
  5. あわせて米空軍の弾道ミサイル配備支援用にNH90ヘリおよびEC725ヘリを提案している。ただし、次 期大統領専用ヘリの選定には参画しない予定。機材の販売以外に同社としては支援業務を拡充する考えだ。■
●なんとなく、KC-X仕様書がボーイング案に有利に鳴っていることから、しらけた雰囲気が感じられますが、KC-Xがだめならヘリコプターだ、となりふりかまわず商談を勧めようとするあたり、さすがたくましい会社ですね。逆に言えば、それだけボーイングが米国内で強力な立場にあるわけですが。

2010年3月15日月曜日

F-35は今世紀最大の失敗プロジェクトになるのではないか

Carter Confirms JSF Unit Price Nearly Doubled
aviationweek.com Mar 12, 2010

  1. ロッ キード・マーティン-35共用打撃戦闘機(JSF)の一機あたり価格が大幅に上昇し、50百万ドルから95百万ドルになっているとアシュトン・カーター国 防次官補(調達担当)が11日に議会で証言した。
  2. この価格は現在のドル価格では112百万ドル相当となる。
  3. 最初の開 発費用見積は2001年に2002会計年度のドル価格で作成されており、ロッキードはこれにより契約を受けた。当時の契約総額は500億ドル相当。カー ル・レヴィン上院議員(民主 ミシガン州)は上院軍事委員会委員長としてロッキード・マーティンは非現実的な低価格を意図的に提示して開発計画に着手した のではないかと問いただし、ボーイングとの競作に勝利してから予算超過を繰り返していると指摘。これに対し、カーター次官補は「その繰り返しが存在してい る」と認めている。
  4. 平均単価の算定には開発計画全体予算が反映されており、開発、調達、配備の費用が含まれている。大幅な予算超過によ り米空軍には予算超過額の上限を超えた「重大な」契約逸脱の場合には「数日以内に」議会にその旨を通知する義務があることになる。
  5. 上記 単価は米空軍、海軍、海兵隊全体で2,443機を導入する計画を反映している。
  6. あわせて、開発の遅れが延べ13ヶ月相当になっており、 米空軍は同機の初期作戦能力(IOC)獲得予定を変更しており、現在は2016年としている。先週はこれが2015年と発表していた。カーター次官補の JSF開発関連の覚書では運用テストの終了を2016年4月としており、空軍にさらに計画を再考するよう求めている。海軍もIOC獲得を2016年として いるが、海兵隊のみ依然として2012年に実現としている。
  7. 価格上昇の要因には2006年の海兵隊仕様の短距離離陸・垂直着陸型の重量 軽減策があり、これで開発が送れ、投入人員数を増加し、管理費も上昇させる一方、機体の共用性を損ない、生産機数を減らし、原材料特にチタンの価格上昇を 招き、主要部品メーカーにおいて費用上昇となったとカーターは分析している。
  8. それでもペンタゴンは同機導入を積極的に進める姿勢だ。マ イケル・ドンレー空軍長官もF-35に代わる選択肢はない、と先週に言い切っている。
  9. 上院でカーターは昨年11月からJSF開 発の統括を担当してきたが、その時点で予算超過は上院の求める注意水準にぎりぎりだったと発言。さらに開発のてこ入れとして28億ドルの追加予算があり、 生産ペースの低下もあり、テスト用機材の増加に加えソフトウェア用テスト施設も増強されている。すでに開発担当責任者の海兵隊少将は更迭されており、現在 は大将クラスのポストに格上げされている。

●何度も当ブログで言っているようにF-35は日本にとって導入の価値の ない選択です。対岸の火事と見ていられるのか、気がつくと日本も開発費用の相当部分を負担することになるのか、今後の政策選択ではどれだけ正確な情報が得 られるのか、どれだけ日本の利益が考慮されるのか、質が試されることになります。T-50の初飛行が報じられる中、F-22の生産施設保全の検討も行われれば、日本としても以前の価格に上乗せしてもF-22の確保に動くほうが賢明では。

2010年3月14日日曜日

T-50(ロシア第五世代戦闘機)の開発状況

More Sukhoi T-50s To Fly In Next 12 Months
aviationweek.com Mar 12, 2010

  1. スホーイはT-50試作機 を新たに3機追加し、今後一年間かけて飛行テストを実施する。ロシアの第五世代戦闘機開発の計画が同国高官から漏れ伝わってきた。
  2. プー チン首相がT-50の静止試験用機体とコックピットのシミュレーターを視察した。
  3. プーチン首相とスホーイのトップ・ミハイル・ポゴシヤ ンの一致した見方はT-50の配備開始を2015年とするもの。一方、プーチン首相は同機の配備前には合計2,000時間の飛行テストが必要と見ている。
  4. そ こでスホーイは急いでテスト用機材を増強しようとしている。
  5. スホーイによると二号機のテスト合流は今年中、三号機四号機は2011年と なる。
  6. スホーイ開発陣はT-50の開発期間の短縮を専用のシステム統合手段により実現しようとしている。従来の開発では操縦系統の チェック用、エイビオニクスの試験用にそれぞれ別の機体を使用していた。
  7. これがT-50 ではT-50-KNSと呼称される地上確認 用の機材を準備しているようだ。
  8. スホーイのコムソモルスク工場内で同機を使い、生産工程の新技術を実証している模様。飛行テスト用T- 50-1試作機ではこの恩恵を受け、飛行三回目で24度の迎え角飛行が実現できたという。
  9. T-50担当主任技術者アレクサンダー・ダビ デンコによると同機の外表面のおよそ7割が複合材料で構成され手いるという。
  10. 操縦席ではスマート・デジタルシステムによりパイロットの 作業量が軽減されているという。
  11. 同機のデジタル飛行制御システムはSu-27よりも3割軽量化されており、故障あるいは戦闘時に損傷が あっても復旧が可能という。
  12. 4月には飛行テストはモスクワ近郊のグロモフ飛行テスト研究施設に移動する予定という。
  13. ロ シア空軍が2008年からこれまでの放置から再拡張に入った中、同機の開発はスホーイが今後の空軍の要求水準に応える能力があることを証明するものとなる。
  14. ロシア国 防計画によると2020年までに合計1,500機の作戦用航空機、ヘリコプターならびに200基の防空ミサイルの導入をめざすことになっている。このうち 航空機の8割が新型機となる。
  15. ロシア航空宇宙産業の課題としてプーチン首相は従来から政府から多大の支援を受けていることからいまや効 率を改善すべきときと見ている。特に、納期の遵守と性能価格比の向上を求めている。
  16. さらに同首相は次世代戦略機 PAK DAに加えて次世 代対空ミサイルシステムの開発が視野に入っていると強調している。

2010年3月7日日曜日

ボーイングのUAVファンタム・レイの開発状況


Boeing Bullish On Phantom Ray
aviationweek.com Mar 2, 2010

  1. ボーイングはファンタム・レイ実証機のタクシーテストを7 月に開始する。これは当初の計画よりわずかに遅れるものの同社は同機の初飛行は12月の目標のままだ。
  2. ファンタム・レイとは計画中止と なった無人機X-45Cを継承・復活させたもの。同社ファンタム・ワークスが予算を全額負担し、ボーイング社内の無人戦闘航空機開発技術を強化し、今後予 定されるペンタゴンの調達に備えることが目的。同社が想定する将来のプロジェクトには空軍の無人機MQ-X、同じく空軍の長距離打撃機、海軍の将来型攻撃 機F/A-XXがある。
  3. ファンタム・レイの当初の目標は耐空性能を実証した後、第二段階に入り飛行性能の限界を試すことで、さらに自動 空中給油実験も想定されている他、電子戦の試験も予定されている。
  4. 全翼機形状でステルス性の同機の動力はジェネラルエレクトリックF- 404-GE-102D一基でペイロード4,500ポンドで無給油で1,000海里飛行する設計だ。
  5. 排気システムのステルス性確保がタ クシーテスト開始が遅れた原因といわれるが、このデータはボーイングとジェネラルエレクトリックで共用されており、エンジンはセントルイスに持ち帰り、改 修の後、ファンタム・レイに再度搭載される。
  6. ボーイングがファンタム・レイ開発を進めている間に、同社とロッキード・マーティ ンが2008年締結した共同開発合意は失速気味だ。両社はB-2とX-47を持つノースロップ・グラマンに対抗しようとした。
  7. その時点 ではロッキード・マーティンとボーイングはノースロップ・グラマンやジェネラルアトミックスの無人機先行メーカーに大きく遅れていると思われていたが、 ロッキードは機密解除になったRQ-170の存在が明らかになったことで、同社も無人機開発の実力を涵養したことが判明した。そしてボーイングはファンタ ム・レイの飛行テストをめざしているわけだ。
  8. ボーイングは次世代爆撃機開発の主契約社となることをめざしている。
●日本ではphantomをファントムと表記することが多いのですが、当ブログでは原語発音に近づけてファンタムとしています。それはいいのですが、UAVは加速的に発達していきますね。日本の遅れがそれだけ目立つのですが、どうなっているのでしょう。

2010年3月6日土曜日

KC-Xに767案を再度提案するボーイング

Boeing Selects 767 for USAF KC-X Tanker Bid
aviationweek.com Mar 4, 2010

  1. ボーイングは次世代空中給油機として767を基にした案を米空軍KC-X競争提案に採用し、新型の給油 ブームと787の操縦席計器を応用する内容を提案する。
  2. 同社は本日767を基にする、と発表したものの、767のどの形式が基本となる のかは明らかにしなかった。同社発表の想像図は-200型のようだ。
  3. これまでのKC-X提案とは離脱して、ボーイングはエアバス A330 よりも75%大きい新設計の操縦席ディスプレイを提案している。ノースロップ・グラマンーEADSはA330を原型とした案を提案している。
  4. 2008 年2月にいったん決定となったのはノースロップ・グラマン/EADSがオーストラリア用に開発したA330 案であったが、空軍の選定で決定が取り消しとなり、再度仕切りなおしとなって今日に至っている。
  5. またボーイングの新設計空中給油ブーム はフライバイワイヤー操作で給油性能が向上していると、ボーイングは発表している。このブームはKC-10 のブームと形状が似ている。この変更はあきらかに毎分1,200ガロンの給油能力の要求にこたえるもので、KC-135のブームよりも伸縮性があるようだ が、正確な性能水準は同社から発表されていない。
  6. 主翼全長は767-200よりも大幅に延長されている模様で、主翼フラッター問題がイ タリア向けのKC-767 出発生したことへの回答と見られる。
  7. これまでのボーイングの提案内容は一部から「フランケンタンカー」と称 されるほど既存民間機から各部品を持ち寄って構成されていたが、米空軍からはこの考え方はリスクが高いと懸念されていた。
  8. ボーイングの 防衛宇宙安全保障製品部門のデニス・ムイレンバーグ社長はKC-X仕様書の合計327項目全部を満足できると発言している。
  9. ノースロッ プ・グラマン/EADSの関係者はまだ発言していないが、同連合が競争提案に再度参加するのか、撤退するかが焦点となる。現在のKC-X仕様書では小型機材 に有利と見ている。
●二転三転している内に時間が空費されたKC-X競作ですが、流れはボーイングに傾いてきました。ただし、ノースロップ連合が参加しないと競争にならなくなってしまいますね。それにしてもボーイングは商売が先行した会社になって来ました。もともと767ベースのKC-Xのリース方式による採用を米空軍は決めていたので、振り出しに戻るような話ですね。ボーイングの提案内容を紹介するサイトは次のリンクでご覧ください。

http://www.unitedstatestanker.com/splash/Launch

2010年3月2日火曜日

さらに遅れるF-35の実用化

USAF Slips JSF Operational Debut
aviationweek.com Mar 1, 2010
 
  1. 空軍長官マイケル・ドンリーはロッキード・マーティンの共用打撃戦闘機(JSF)の初期作戦能力 (IOC)獲得は当初予定から遅れ2015年になる見通しと2月25日に発言した。
  2. 一方、海軍関係者は海軍用機体のIOC獲得予定 2014年にこだわっている様子はない。
  3. ドンリー発言はラリー・キッセル下院議員(民主 ノースキャロライナ)からの議会公聴会の質問 に対するもの。同議員は空軍がいつになったら同機を「戦力化できるのか」と聞いていた。
  4. ドンリー長官のスポークスマン、ジェフリー・グ レン中佐も長官発言でIOC時期が公式に変更になる点を確認した。
  5. これでおよそ2年間の遅れとなる。わずか一週間前にはウィリアム・フ レイザー大将(空中戦闘軍団司令官)が同機のIOC予定を再評価すると発言しており、ブロックIIIのソフトウェア搭載の機体でIOC獲得を希望すると 言っていた。海兵隊は性能が劣るブロックIIソフトウェア機体で2012年に運用を開始する。
  6. 2011年予算案ではJSFの飛行テスト 終了は2014年秋となっており、テスト報告書は翌年にならないと出ない。
  7. 今回の予定変更は空軍側が機体と同機のソフトウェア双方のテ スト完了前には作戦能力を認めたくない姿勢の現われだ。機体生産は予定通り進展しているが、ソフトウェア開発が遅れているのが現状だ。
  8. 一 方、海軍は機体数が一定に達し、性能が確認されればIOC獲得とみなす方針。
  9. 総額471億ドルの同機開発予算に追加された28億ドルの うち5億ドル相当がソフトウェア用に確保されており、テスト用のプログラム作成等に使われる。
  10. 開発の強化策として新たにテスト用機材3 機が追加されるが、これが却って同機開発の芳しくない進捗を改めて明らかにしている。また、艦載型1機の追加も以前から承認されており、これで追加は合計 4機になる。飛行テストには合計19機が想定されている。
 
●かねてからJSFには懐疑的なこのブ ログのエディターですが、この記事があらためて同機に対する見方を強化しています。開発には各国も係わっているので、進捗には多大の関心を持っているは ず。ここで日本がFXとして同機獲得に今から名乗りをあげれば、コスト上昇が続くはずの同機開発でまってましたとばかりの歓迎を受けることになるのでしょ うね。
 

2010年2月20日土曜日

進化するプレデター無人機

Predator C Set For Testing At Edwards
aviationweek.com Feb 19, 2010

  1. ジェネラル・アトミックス-エアロノーティカルシステムズはFAAより同社開発のステルス・ターボファンエンジン搭載の無人機プレデターC アヴェンジャーの飛行テスト開始許可が出ることを機体している。飛行テストはエドワーズ空軍基地(カリフォルニア州)で実施の予定。
  2. V字型尾翼と後退角付き主翼の同機は昨年4月に初飛行に成功しているが、同社は三ヶ月間の予定でテストを開始する意向。
  3. 今 までの同機の飛行テストは比較的制限された飛行区域に限定されており、同社のモハーベ砂漠試験施設付近のみとなっている。エドワーズ空軍基地に移動されれ ば飛行テストの高度も速度も制限がなくなる。アヴェンジャーの運用高度限界は6万フィートで、プラットアンドホイットニーカナダ製PW545Bエンジンに より最高速度は400ノットを僅かに上回る程度だという。二号機は今年後半に完成すると言う。
  4. プレデターAを改修した米陸軍向けMQ-1C スカイウォリアーは今月初旬にヘルファイアP+ミサイルの実弾発射テストを完了している。このミサイルは無人機用にロッキード・マーティンが開発したもので360度で目標補足できる。
  5. まもなくグレイイーグルと改称される予定のMQ-1Cは陸軍の長距離多用途無人機構想で開発されたもの。新編成の即応能力部隊(QRC)でイラクとアフガニスタンにおいて先行使用されている。
  6. ガー ディアンUAVの税関国境警備隊(CBP)の洋上運用テストがカリフォルニア州ポイントマグー海軍航空基地で実施中であったが、2月11日に完璧な8時間 連続飛行の成功で完了している。機体下にAPS-134シーヴュー監視レーダーを搭載しているのが特徴の洋上飛行タイプは麻薬取引取締用に投入される。

2010年2月14日日曜日

センサーの性能向上で無人機の可能性は広がる

General Atomics Chief Forsees Advances In UAS
aviationweek.com Feb 12, 2010

  1. 技術革新で無人航空機(UAS)の状況把握能力は5年のうちに大幅に向上すると無人機業界をリードするジェネラルアトミックスの会長兼CEOのニール・ブルーは考えている。
  2. ブルーは通信リンクあるいは「帯域幅ダウン」が高解像度の広範囲状況把握機能の制約条件となっているという。これに加えて飛行中の複数の機体から送信されるデータの統合処理能力の機内搭載も必要だという。「キャッシュした情報からデータを統合すると非常に正確かつ高精度の目標所在地の情報が得られます」とブルーは本誌取材で語った。
  3. もうひとつの課題は敵側による通信ネットワークへの侵入をどうやって防止するかである。「帯域幅ダウンを非常に高くすれば探知不能隣結果として暗号化も不要となります」という。「この技術はすでに利用可能で超広帯域の波形各種を使えます。その中のひとつが当社がチャイナレイクで実証していますし、これをオーストラリアが現在実験中で国防総省も関心を示すのではないでしょうか」
  4. 一方で国防高度研究プロジェクト庁(DARPA)は1.8ギガピクセル級のセンサーを試験中で、これによりジェネラル・アトミックス製の プレデターなら最高65機から同時にダウンリンクが可能で、単機で特定人物あるいは車両を都市規模の範囲の区内で追尾することも可能だ。自律型リアルタイ ム・ユビキタス地上監視画像システム(ARGUS-IS)の作動実証が昨年の6月から11月の間に実施されている。BAEシステムズはARGUS-ISの性能向上作業に取り掛かっており、今年内に実施予定のDARPAによる飛行実証の最終段階に間に合わせようとしている。

● 漠とした話ですが、要は皆さんがお使いの携帯やデジカメの進化をはるかに超えた軍用のセンサー類の開発が進行中ということですね。無人機の発展性はま すます拡大するでしょう。先回お伝えしたような空中レーザーといい、戦闘のイメージを大幅に変える可能性がそこまで来ているということですね。それにつけ てもわが国が無人機開発、運用に大幅に遅れているのはどういうことでしょう。米海軍では海軍パイロット(Aviators)が無人機に反発しているとのこ とですが、日本でも同じメンタリティがあるのでしょうか。事業仕分けなどといわず、無人機開発予算を大幅にふやすべきでは。


2010年2月13日土曜日

ABLが飛行中ミサイルを連続破壊に成功



ABL Shoots Down Target, Engages Second
aviationweek.com Feb 12, 2010
  1. ミサイル防衛庁(MDA)の空中レーザー(ABL)が照射した化学レーザーが加速上昇中の弾道ミサイルを撃墜して高出力レーザーの有効性を証明した。
  2. 今回のテストは液体燃料弾道ミサイル一発およびテリア・ブラック・ブラント2発を対象としていた。このうちテリアは厳密には弾道ミサイルではないが、固体燃料弾道ミサイルの加速段階の想定として投入されている。この段階でABLが交戦する構想。また費用を節減できる。
  3. 実 験は2月11日実施され、747-400Fを改装したABL搭載機が単独で加速中のミサイルを追尾した。同ミサイルは移動海上艦艇から太平洋標準時午後8 時44分に発射後、数秒で捕捉している。システム内の低出力レーザーが大気中のゆがみを補正したあと、メガワット級の高出力レーザーを目標に照射した。 「上昇中の目標を加熱し構造上重大な故障を引き起こした」とMDA関係者が説明。交戦は全体で2分間で終了したという。
  4. その一時間後にMDAは二番目の実験を実施。テリア・ブラック・ブラントミサイルへのレーザー照射は破壊前に停止された。MDAは今回の実証実験はすべての点で成功だったとしながらも、なぜ完全な破壊まで照射を続けなかったのかについては言及を避けている。
  5. 二回のレーザー照射の途中でABL機は着陸せず、化学物質の再充填は行われていない。
  6. 今回の実験は三回目の空中交戦試験で固体燃料目標の捕捉は二回目。一回目は2月3日で目標破壊に成功していたらしい。ただし、MDAがその事実を今になってはじめて明らかにした理由は不明。
  7. ABLの作動原理はレーザーを目標ミサイルの外皮に照射して内部に不良を発生させ飛行中に破壊すること。
  8. 今 回の実験の実施場所はポイントマグー(カリフォルニア州)沖合の兵装試射場海域で、成功したことでABL計画が大きく前進した。ボーイングが主契約社とな り開発にはこれまで数多くの技術的な困難が立ちふさがり、予算も超過していたが、ペンタゴンの化学レーザー開発の中心的存在となっていた。昨年春の段階で 40億ドルが投入されている。MDAは2011年予算で990億ドルを要求して指向性エネルギー兵器体系の開発を目指しており、このうちABLではテスト の継続しながら将来の応用展開もめざしたいとしている。
  9. 今回のテストがMDAがABLシステムを主管する最後となる。次回の飛行テストからはペンタゴンの国防研究技術開発担当がレーザー関連開発を担当する。
  10. ボー イングは今回の成功について「レーザー兵器が飛行中の弾道ミサイルを捕捉破壊したのは初めてのことで、ミサイルの上昇段階でシステムが有効なことが確認で きた。ALTB(ABL母機)は過去最大規模のエネルギー主力でレーザーを照射したことで世界最強の移動レーザー装置となった」と発表している。
  11. 高出力化学レーザーはノースロップ・グラマンが製作しており、ロッキード・マーティンがレーザー制御・発射管制システムを納入している。
  12. このシステムを追加生産する予定はない。ABLでは国防総省の関心は固体レーザーに移っている。それでもMDAは今回のABL運用で得られた経験を元に将来の実戦対応システム開発の可能性を閉ざしていない。
(写真提供MDA)

大きく前進したことは喜ばしいことですが、実際に運用するとなるとABL母機を水平線の向こうに待機させながら、UAV搭載のセンサー、軌道上の衛星で目 標を捕捉、データを中継してABLからレーザーを照射するのでしょうが、当然敵方も警戒しているでしょうから、F-22によるABL母機の警護が必要で しょうね。かなり大掛かりな話になりそうですが、ミサイルを発射する側にしてみれば発射後数分で虎の子の弾道ミサイルが消えてしまえば元も子もなくなります。システムの信頼性も向上すればまさに夢の兵器となりそうな予感も。ABL開発に神経を尖らせているのは中国、北朝鮮が筆頭でしょうね。オバマ政権もABLには冷淡であると伝えられますが、かような国からのメッセージ にも注意が必要です。

2010年2月11日木曜日

B-2 英空軍も飛行訓練を受ける

British Pilots Train On Upgraded B-2s
aviationweek.com
Feb 8, 2010
  1. ホ ワイトマン空軍基地(モンタナ州); 米空軍の装備の中でも最大級に貴重なもののひとつ、B-2スピリットステルス爆撃機は現在も性能改良がすすんでおり、同盟国にもその利用が許されている。 英空軍との間で長く続いている人員交換計画の一環としてB-2もその対象となったのは2004年のことであった。この決定は当時のブッシュ大統領がブレア 首相に当てて送った電子メールで下されたもの。英空軍の最初のパイロットが同機をオーストラリアに着陸させた。同計画による三番目の英空軍パイロットが訓 練を完了したところだ。
  2. これ以外の米英交換計画と異なるのは、B-2では数ヶ月をホワイトマン空軍基地に滞在することだ。これにより同機の有資格パイロット合計80名の勢力が常時維持されることになる。
  3. ホ ワイトマン空軍基地は米国中央部にあるが、実は最前線基地である。同機運用を常時即応体制に維持していることは昨年10月の核戦力運用即応体制査察 (NORI)でも確認された。同査察で不合格となった同基地内のB-2の機数は非公開情報だが、NORIの期間中に配備中のB-2の大部分が離陸できたと している。
  4. B- 2部隊の全容を逐次理解することは困難がつきまとう。テールナンバー82-1068のB-2 は装備改良の試験機として利用されており、エドワーズ空軍基地(カリフォルニア州)に配備されている。常時二機はメーカーのノースロップ・グラマンのパー ムデール工場にあり、そのほかにも最低二機はホワイトマン基地でメンテナンス作業を受けている。同機をステルス母機に変えるレーダー・通信機器の改修が実 施されつつあり、ボーイングの30,000ポンド級大型貫通爆弾(MOP)の搭載作業も進行中だ。さらにボーイング、ロッキード・マーティン、セイセオン 共同開発の小口径爆弾II型も完成次第同機に搭載される予定。
  5. 将来の運用では各種兵装を同時に搭載し、たとえばバンカーバスターとともに小口径爆弾100発を搭載することが考えられ、同機は真の意味でハンターキラーとなるだろう。
  • 同じ同盟国でも米英間のつながりははるかに密度の濃いものになっているようです。それにしてもB-2という高価なウェポンシステムは今後長期間に使って初めて投資効果が出てくるように設計されているようですね。運用法も大きく変わりそうです。