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2010年8月29日日曜日

ABL空中発射レーザーの開発テスト延期続く

   

Airborne Laser Test Rescheduled Again

aviatonweek.com Aug 24, 2010    

ミサイル防衛庁(MDA)は週末に予定されていたボーイング747-400F型を改造した空中レーザー発射母機(ABL)の飛行テストをキャンセルした。機内のミサイル追尾用カメラシステムの冷却問題が原因という。
  1. 飛行テストは当初は8月17日と予定されてたものが、21日に延期されていたが、原因は同じ理由だ。
  2. ミサイル防衛庁スポークスマンは8月24日深夜から午前4時をテスト時間として想定していたと発表。
  3. テ ストはABLでもっとも挑戦的なものになるはずで、ミサイル迎撃の有効射程距離をこれまでの二倍にする目標だった。射程距離は公式には発表されていない が、ゲイツ国防長官はそもそもABLの有効射程距離に批判的だった。同長官はイランのミサイル迎撃を上昇段階で行うには同機がイラン上空を飛行する必要が ある、と発言していた。
  4. ABL は数メガワット級の化学酸素ヨウ素レーザーを利用する。しかし、ペンタゴンは固体レーザー技術の開発を中心にしようとしている。この場合、動力源の規模が 大きくなるが、レーザー発生が容易になる利点がある。MDA関係者によるとABLが搭載する光学系システムは将来の固体レーザー試験にも利用できると いう。
  5. ケビン・キャンベル中将(陸軍宇宙ミサイル防衛軍団司令官)は陸軍の計画では今後7年ほどで中型機に固体レーザーを搭載したシステムの実用化を進めるという。■

2010年2月13日土曜日

ABLが飛行中ミサイルを連続破壊に成功



ABL Shoots Down Target, Engages Second
aviationweek.com Feb 12, 2010
  1. ミサイル防衛庁(MDA)の空中レーザー(ABL)が照射した化学レーザーが加速上昇中の弾道ミサイルを撃墜して高出力レーザーの有効性を証明した。
  2. 今回のテストは液体燃料弾道ミサイル一発およびテリア・ブラック・ブラント2発を対象としていた。このうちテリアは厳密には弾道ミサイルではないが、固体燃料弾道ミサイルの加速段階の想定として投入されている。この段階でABLが交戦する構想。また費用を節減できる。
  3. 実 験は2月11日実施され、747-400Fを改装したABL搭載機が単独で加速中のミサイルを追尾した。同ミサイルは移動海上艦艇から太平洋標準時午後8 時44分に発射後、数秒で捕捉している。システム内の低出力レーザーが大気中のゆがみを補正したあと、メガワット級の高出力レーザーを目標に照射した。 「上昇中の目標を加熱し構造上重大な故障を引き起こした」とMDA関係者が説明。交戦は全体で2分間で終了したという。
  4. その一時間後にMDAは二番目の実験を実施。テリア・ブラック・ブラントミサイルへのレーザー照射は破壊前に停止された。MDAは今回の実証実験はすべての点で成功だったとしながらも、なぜ完全な破壊まで照射を続けなかったのかについては言及を避けている。
  5. 二回のレーザー照射の途中でABL機は着陸せず、化学物質の再充填は行われていない。
  6. 今回の実験は三回目の空中交戦試験で固体燃料目標の捕捉は二回目。一回目は2月3日で目標破壊に成功していたらしい。ただし、MDAがその事実を今になってはじめて明らかにした理由は不明。
  7. ABLの作動原理はレーザーを目標ミサイルの外皮に照射して内部に不良を発生させ飛行中に破壊すること。
  8. 今 回の実験の実施場所はポイントマグー(カリフォルニア州)沖合の兵装試射場海域で、成功したことでABL計画が大きく前進した。ボーイングが主契約社とな り開発にはこれまで数多くの技術的な困難が立ちふさがり、予算も超過していたが、ペンタゴンの化学レーザー開発の中心的存在となっていた。昨年春の段階で 40億ドルが投入されている。MDAは2011年予算で990億ドルを要求して指向性エネルギー兵器体系の開発を目指しており、このうちABLではテスト の継続しながら将来の応用展開もめざしたいとしている。
  9. 今回のテストがMDAがABLシステムを主管する最後となる。次回の飛行テストからはペンタゴンの国防研究技術開発担当がレーザー関連開発を担当する。
  10. ボー イングは今回の成功について「レーザー兵器が飛行中の弾道ミサイルを捕捉破壊したのは初めてのことで、ミサイルの上昇段階でシステムが有効なことが確認で きた。ALTB(ABL母機)は過去最大規模のエネルギー主力でレーザーを照射したことで世界最強の移動レーザー装置となった」と発表している。
  11. 高出力化学レーザーはノースロップ・グラマンが製作しており、ロッキード・マーティンがレーザー制御・発射管制システムを納入している。
  12. このシステムを追加生産する予定はない。ABLでは国防総省の関心は固体レーザーに移っている。それでもMDAは今回のABL運用で得られた経験を元に将来の実戦対応システム開発の可能性を閉ざしていない。
(写真提供MDA)

大きく前進したことは喜ばしいことですが、実際に運用するとなるとABL母機を水平線の向こうに待機させながら、UAV搭載のセンサー、軌道上の衛星で目 標を捕捉、データを中継してABLからレーザーを照射するのでしょうが、当然敵方も警戒しているでしょうから、F-22によるABL母機の警護が必要で しょうね。かなり大掛かりな話になりそうですが、ミサイルを発射する側にしてみれば発射後数分で虎の子の弾道ミサイルが消えてしまえば元も子もなくなります。システムの信頼性も向上すればまさに夢の兵器となりそうな予感も。ABL開発に神経を尖らせているのは中国、北朝鮮が筆頭でしょうね。オバマ政権もABLには冷淡であると伝えられますが、かような国からのメッセージ にも注意が必要です。

2009年6月20日土曜日

ABL 空中発射化学レーザー開発の行方は微妙


ABL Team Argues For More Testing Funds

aviationweek.com 6月18日

空中発射レーザー(ABL)開発陣は次年度予算でもっと多くの資金がないと軍事的意義の実証が出来ないと訴えている。ボーイングのABL担当部長マイク・リンはボーイング主導のチームは予算拠出を続けてABLの広範な用途を証明する機会を求めている。「ミサイルの初期上昇段階以降にも応用可能で、大きな可能性があります。」

ABL搭載母機は現在は747-400貨物機だが、小型化の可能性の鍵は巨大な化学酸素ヨードレーザー(COIL)を別の機体に収納できるように改良すること。一方、ゲイツ国防長官はABLは研究段階に限定すべきとの考え方を示している。

リンによると二号機はゲイツ国防長官がキャンセルしようとしているが、COILの重量軽減と仕様の変更を実現する機会になるはずだったという。

同機は5カ年計画の予定で、747-800の利用が前提となっていた。リンによると二号機の完成が遅れると、それだけ計画の信頼性が崩れ機器メーカー各社も動揺することになる。一度の技術革新でCOILを小型化し747より小型の機体に搭載することはリンによれば可能性が少ない。

一方議会筋ではオバマ政権の要望である2010年度ABL予算187百万ドルの内容に賛意を示し、民主党主導の下院軍事委員会はABL予算増額およびミサイル防衛増強として長距離射程の地上配備中間コース防衛システムの実現を図る保守派議員の提案をことごとく否決した。

これに対し共和党はABL技術を国防上必要な将来技術として開発を継続すべきであると主張。民主党はゲイツ国防長官の提言内容を指示し、近い将来の脅威・戦域単位の脅威をより正確に把握すべきだと反論した。

コメント: 敵ミサイル発見の直後にその破壊が可能としたらABLはまさに夢の兵器です。光学系、電子系のセンサー能力の飛躍的向上とABLの目標捕捉能力、さらに化学レーザーの信頼度の向上が一桁以上必要ですね。747サイズにしか搭載できないとなると、ABL母機の支援、護衛に飛行隊が必要となるでしょうね。日本としてもこの技術が実用化になるのかどうかは大いに関心のあるところで、共同開発の話も出てくるかもしれません。