Industry Looks To New Bomber For Design Work
aviationweek.com Jan 28, 2011
国内、海外の発注により欧米の軍用機生産ラインは2010年代中頃までは高い可動状態を保つだろうが、開発業務は縮小しており、新型機開発の要求と産業界の現実の差が拡大に向かうだろう。
1. 米空軍及び海軍は「第六世代」戦闘機の技術開発と要求性能の定義付けを開始した。2025年から30年の第一線配備を目指すものと概念定義される。しかしロシアに続き中国がF-22クラスのステルス戦闘機を開発する中、米国の予算制約から2015年以前に十分な予算の確保は困難。
2. スホイT-50の飛行テスト開始は2009年12月で実戦配備の目標は2015年ごろ。成都J-20も初飛行は1月11日で2017年から19年が第一線配備の目標としているので、このままだと2020年までに米国のステルス機は同等の性能を持つ対抗機に直面することになる。
3. そこで米国が第六世代戦闘機を2015年に開発開始しても、F-22やF-35の例で開発から初期作戦能力獲得に15年間の差があることから、2030年の第一線配備もかなり怪しくなる。
4. 一方、F-22生産はまもなく終了し、F-15E、F/A-18E/FまたおそらくF-16の生産ラインは2015年まで維持される見込みで、かつF-35 共用打撃戦闘機の生産は2030年以降も継続する見込みの中、航空産業では設計開発業務量の不足が大きな問題になっている。現時点で視野に入っている大型案件は米空軍の次世代爆撃機だけで、これも2009年に一度棚上げになっていたものだ。
5. 次世代爆撃機の予算は2012会計年度国防予算要求に盛り込まれる見込みで2月に公表される。設計開発には既存技術を使って予定通りでの投入と配備数が可能となるはずだ。
6. 当初の次世代爆撃機開発案が中止となったため、長距離攻撃計画は大幅な予算削減の対象となった。同じように海軍のSSBN(X)次世代弾道ミサイルも当初見積もりから35%の削減をされている。
7. その結果、機体設計は極度に低視認性で有人飛行はオプションとなるが、F-35はじめ既存機の技術を応用し予算の節減につとめる。航空産業にはこれは設計開発の規模縮小を意味する。
8. 新型爆撃機以外の設計開発の可能性としては次世代無人機がある程度で、空軍のMQ-Xプレデター/リーパー後継機、海軍の艦載型UAVに絞られる。現時点では各機の開発日程が不明だが、2012年予算要求が出る時点で詳細が明るみに出るかもしれない。
軍事航空、ISR、 無人機、サイバー、宇宙、安全保障、最新技術....防衛産業、軍事航空、軍用機、防衛関連宇宙開発等の最新技術動向を海外メディアからご紹介します。民間航空のニュースは「ターミナル1」をご覧ください。航空事故関連はT4へどうぞ。無断転載を禁じます。YouTubeでご利用の際はあらかじめご連絡ください。
2011年1月30日日曜日
2011年1月29日土曜日
P-8Aの初期生産開始へ
Boeing Clinches P-8A LRIP Contract
aviationweek.com Jan 27, 2011
1. ボーイングはP-8A低レート初期生産(LRIP)分6機のうち一号機の組み立てを今年中ごろまでに開始する。これは総額16億ドルの米海軍契約が交付されたことによるもの。
2. 契約内容には機体の他に予備部品、ロジスティクス、取扱訓練が含まれる。ボーイングはP-8Aシステム開発実証(SDD)契約(2004年)により同機の地上テスト・飛行テストを順調に進展させていた。
3. SDD機材合計6機のうち3機は現在パタクセント海軍航空基地に配備され飛行テストを実施中で、残り一機はボーイングフィールドでシステムの組み込み中。5号機はボーイングフィールドに1月22日に到着したばかりで、6号機が現在最終組み立て中だ。
4. 海軍は計117機のP-8Aを2025年までに受領し、ロッキード・マーティンP-3Cオライオンと交代させる。P-8Aの第一線配備は2013年から開始の見込み。あわせてボーイングはインド海軍向けP-8Iの一号機の組み立てを開始している。インドの発注合計は8機。また、オーストラリア海軍とは追加発注の商談中。
aviationweek.com Jan 27, 2011
1. ボーイングはP-8A低レート初期生産(LRIP)分6機のうち一号機の組み立てを今年中ごろまでに開始する。これは総額16億ドルの米海軍契約が交付されたことによるもの。
2. 契約内容には機体の他に予備部品、ロジスティクス、取扱訓練が含まれる。ボーイングはP-8Aシステム開発実証(SDD)契約(2004年)により同機の地上テスト・飛行テストを順調に進展させていた。
3. SDD機材合計6機のうち3機は現在パタクセント海軍航空基地に配備され飛行テストを実施中で、残り一機はボーイングフィールドでシステムの組み込み中。5号機はボーイングフィールドに1月22日に到着したばかりで、6号機が現在最終組み立て中だ。
4. 海軍は計117機のP-8Aを2025年までに受領し、ロッキード・マーティンP-3Cオライオンと交代させる。P-8Aの第一線配備は2013年から開始の見込み。あわせてボーイングはインド海軍向けP-8Iの一号機の組み立てを開始している。インドの発注合計は8機。また、オーストラリア海軍とは追加発注の商談中。
2011年1月19日水曜日
J-20初飛行を冷静に考える: 技術的課題はまだ多い
Stealthy Chinese J-20 Vulnerable
aviationweek.com Jan 14, 2011
1. 中国のJ-20には相当の開発努力が必要で、ステルス対策技術の進歩へ対応するのは一筋縄ではいかない。
2. ステルス対策技術によりステルス機の設計そのものが問い直されている。防空体制に強力なAESA(アクティブ電子スキャンアレイ)レーダーが導入されているのに対してどれだけの脆弱性となるのか。AESAは開発当初から極めて小さな飛行物体も捕捉することを目標としており、巡航ミサイルなら相当の距離で識別し、撃墜が可能となる。戦闘機はこれよりも大きい。
3. ステルス機を空中で探知することはすでに作戦上可能。エドワーズ空軍基地での2009年テストでロッキード・マーティンは自社のCATバード試験機(ボーイング737にF-35共用打撃戦闘機のエイビオニクス全部を搭載)にF-22とF-15混成部隊と交戦させたところ、各機の探
知に成功し、F-22レーダーの妨害も行っている。レイセオンのXバンド搭載AESAレーダーは沖縄駐留のF-15C改装型に搭載されており、小型で本来探知されにくいとされる巡航ミサイルを捕捉可能だ。
さらにノースロップ・グラマンの低周波LバンドのAESAレーダーはすでにオーストラリアのウエッジテイル空中早期警戒指揮統制機に搭載されており、ステルス機も相当の距離から探知する能力がある。
4. ロッキード・マーティンはJSFについて2009年に海外の高性能機との交戦能力を暗示的に説明している。「F-35のエイビオニクスには搭載センサーでパイロットが全天候、昼夜問わず、高度の防空体制の下で移動目標、固定目標を攻撃する事が可能で、同時に空中の目標も捕捉攻撃が可能です」(同社F-35開発責任者(当時)クローリー執行副社長)
5. 中国から入手したJ-20のより鮮明な写真を見ると同機にはステルス技術が応用されているものの、未解決の問題点が多くあることも明らかだ。
6. 機体の全般的形状はF-35やF-22に類似しており、「蝶ネクタイ」のレーダー断面積として最小の捕捉特徴を機首にとどめるものの、側面からは捕捉の可能性は最大となる。同機の作戦実施に使うシステムは敵レーダー施設のデータベースを使い、安全な侵入経路を選択し側面をレーダーに晒すことを避けるはずだ。
7. 分流構造のない超音速空気取り入れ口の設計でレーダー特徴をなくすことができる。F-22の空気取り入れ口は通常型のため、大量のレーダー吸収材料(RAM)の処理をしている。
8. J- 20の設計で大きな疑問はエンジン排気の取扱いで一号機ではレーダー断面積(RCS)が後方で最大になるのではないかとみられる。ステルス性の高いノズルに改装される可能性はある。ただし、一号機のノズルにはRCS最小化をめざしたノコギリの歯状の加工が見られ、中国軍はノズルの重量が増え形状が複雑化するぐらいなら後方のRCS増大には目をつむったのではないかと思われる。
9. 他にも不明瞭な部分がある。ステルス機の開発は詳細部分の技術課題がつきものだ。アンテナ類は機体表面から突出させると特定の周波数でステルス性が犠牲になる。そのため整備は犠牲となる。着陸装置や兵装スペースからでないと機内の装置には近づけないものもある一方、専用扉をつけることでRCSは増えないが、重量が増加する。
10. 一番の問題は機体表面の無線周波数特性の制御だろう。ステルス機の第一世代機には重く整備に時間のかかるRAMを採用していた。F-22では重量を削減できる処理方法が採用されたがその特性維持が予想外に困難と判明したのは表面腐食の問題だった。ロッキード・マーテインはF-35ではこれが改良されて運用上も保守が可能という。その理由として耐久性のある吹きつけ上層塗装と電導層を複合素材の表面構造に焼きこんであるためだ。
11. 成都J-20の外観構造を観察するアナリストにはF-22,F-35,スホイT-50との類似性と相違点が認められる
12. 「J- 20は機体構造ではロシアのMiG1.42と類似しています。一方、明らかに違う点は機体前部の形状がより重視されており低視認性を追求しているようでエンジン空気取り入れ口の構造も異なっています。MiGはロシアで1997年ごろに開発中止になっています」(ロンドン国際戦略研究所主任研究員ダグラス・バリー) ただしMiGの設計概念との類似性は何らかの形でロシア航空産業との結託があったのではないか。
13. J-20初飛行は1月11日午後1時直前に行われた。同機はそれまで12月から初飛行が近いことが判明していた。
14. 今後の議論は同機のミッション内容、センサー性能、通信能力に移りつつある。
15. 通常型レーダーの有効距離、探知範囲はAESAレーダーの半分から三分の一。さらに機械式のスキャンレーダーのアンテナでは高性能レーダーであれば敵機の無線周波数反射の閃光を捉えることができる。この反射がステルス性を低下させる。中国が新型レーダーの開発に取り組んでいることはよく知られている。
16. 「中国のAESA技術がどうなっているかはまだ不明です。報道内容や航空ショーの情報を総合しても開発状況ましてや配備がまもなくなのかはまだわかりません」(ワシントンの情報機関関係者)
17. 「高性能エンジンに加え第五世代戦闘機には進歩したレーダーの開発が課題ですが、J-20はそのどの情報を信じるか次第ですがその最初のあるいは二番目の試作機で、開発期間は相当の長いものになるでしょう」(同上関係者)
18. 仮に中国が同機の飛行テストを数ヶ月継続して、追加機体がない場合はJ-20は実証機材だったということになる。逆に機材が追加されれば試作機とみるべきだ。
19. 初飛行はゲイツ国防長官の訪中と同時に実施され、同長官は2025年まではステルス機で米国の優位性は維持できると今も考えている。
aviationweek.com Jan 14, 2011
1. 中国のJ-20には相当の開発努力が必要で、ステルス対策技術の進歩へ対応するのは一筋縄ではいかない。
2. ステルス対策技術によりステルス機の設計そのものが問い直されている。防空体制に強力なAESA(アクティブ電子スキャンアレイ)レーダーが導入されているのに対してどれだけの脆弱性となるのか。AESAは開発当初から極めて小さな飛行物体も捕捉することを目標としており、巡航ミサイルなら相当の距離で識別し、撃墜が可能となる。戦闘機はこれよりも大きい。
3. ステルス機を空中で探知することはすでに作戦上可能。エドワーズ空軍基地での2009年テストでロッキード・マーティンは自社のCATバード試験機(ボーイング737にF-35共用打撃戦闘機のエイビオニクス全部を搭載)にF-22とF-15混成部隊と交戦させたところ、各機の探
知に成功し、F-22レーダーの妨害も行っている。レイセオンのXバンド搭載AESAレーダーは沖縄駐留のF-15C改装型に搭載されており、小型で本来探知されにくいとされる巡航ミサイルを捕捉可能だ。
さらにノースロップ・グラマンの低周波LバンドのAESAレーダーはすでにオーストラリアのウエッジテイル空中早期警戒指揮統制機に搭載されており、ステルス機も相当の距離から探知する能力がある。
4. ロッキード・マーティンはJSFについて2009年に海外の高性能機との交戦能力を暗示的に説明している。「F-35のエイビオニクスには搭載センサーでパイロットが全天候、昼夜問わず、高度の防空体制の下で移動目標、固定目標を攻撃する事が可能で、同時に空中の目標も捕捉攻撃が可能です」(同社F-35開発責任者(当時)クローリー執行副社長)
5. 中国から入手したJ-20のより鮮明な写真を見ると同機にはステルス技術が応用されているものの、未解決の問題点が多くあることも明らかだ。
6. 機体の全般的形状はF-35やF-22に類似しており、「蝶ネクタイ」のレーダー断面積として最小の捕捉特徴を機首にとどめるものの、側面からは捕捉の可能性は最大となる。同機の作戦実施に使うシステムは敵レーダー施設のデータベースを使い、安全な侵入経路を選択し側面をレーダーに晒すことを避けるはずだ。
7. 分流構造のない超音速空気取り入れ口の設計でレーダー特徴をなくすことができる。F-22の空気取り入れ口は通常型のため、大量のレーダー吸収材料(RAM)の処理をしている。
8. J- 20の設計で大きな疑問はエンジン排気の取扱いで一号機ではレーダー断面積(RCS)が後方で最大になるのではないかとみられる。ステルス性の高いノズルに改装される可能性はある。ただし、一号機のノズルにはRCS最小化をめざしたノコギリの歯状の加工が見られ、中国軍はノズルの重量が増え形状が複雑化するぐらいなら後方のRCS増大には目をつむったのではないかと思われる。
9. 他にも不明瞭な部分がある。ステルス機の開発は詳細部分の技術課題がつきものだ。アンテナ類は機体表面から突出させると特定の周波数でステルス性が犠牲になる。そのため整備は犠牲となる。着陸装置や兵装スペースからでないと機内の装置には近づけないものもある一方、専用扉をつけることでRCSは増えないが、重量が増加する。
10. 一番の問題は機体表面の無線周波数特性の制御だろう。ステルス機の第一世代機には重く整備に時間のかかるRAMを採用していた。F-22では重量を削減できる処理方法が採用されたがその特性維持が予想外に困難と判明したのは表面腐食の問題だった。ロッキード・マーテインはF-35ではこれが改良されて運用上も保守が可能という。その理由として耐久性のある吹きつけ上層塗装と電導層を複合素材の表面構造に焼きこんであるためだ。
11. 成都J-20の外観構造を観察するアナリストにはF-22,F-35,スホイT-50との類似性と相違点が認められる
12. 「J- 20は機体構造ではロシアのMiG1.42と類似しています。一方、明らかに違う点は機体前部の形状がより重視されており低視認性を追求しているようでエンジン空気取り入れ口の構造も異なっています。MiGはロシアで1997年ごろに開発中止になっています」(ロンドン国際戦略研究所主任研究員ダグラス・バリー) ただしMiGの設計概念との類似性は何らかの形でロシア航空産業との結託があったのではないか。
13. J-20初飛行は1月11日午後1時直前に行われた。同機はそれまで12月から初飛行が近いことが判明していた。
14. 今後の議論は同機のミッション内容、センサー性能、通信能力に移りつつある。
15. 通常型レーダーの有効距離、探知範囲はAESAレーダーの半分から三分の一。さらに機械式のスキャンレーダーのアンテナでは高性能レーダーであれば敵機の無線周波数反射の閃光を捉えることができる。この反射がステルス性を低下させる。中国が新型レーダーの開発に取り組んでいることはよく知られている。
16. 「中国のAESA技術がどうなっているかはまだ不明です。報道内容や航空ショーの情報を総合しても開発状況ましてや配備がまもなくなのかはまだわかりません」(ワシントンの情報機関関係者)
17. 「高性能エンジンに加え第五世代戦闘機には進歩したレーダーの開発が課題ですが、J-20はそのどの情報を信じるか次第ですがその最初のあるいは二番目の試作機で、開発期間は相当の長いものになるでしょう」(同上関係者)
18. 仮に中国が同機の飛行テストを数ヶ月継続して、追加機体がない場合はJ-20は実証機材だったということになる。逆に機材が追加されれば試作機とみるべきだ。
19. 初飛行はゲイツ国防長官の訪中と同時に実施され、同長官は2025年まではステルス機で米国の優位性は維持できると今も考えている。
2011年1月17日月曜日
USAF 極超音速機開発計画が明らかに
USAF Revives Blackswift Hypersonic-Like Plan
aviationweek.com Jan 12, 2011
1. 米空軍は極超音速機開発ロードマップの一環として高速度兵器体系および高速度再利用可能飛行実験機(HSRFRV)の開発を検討中。後者はDarpaが開発を主導して2008年に開発中止となったブラックスイフト(マッハ6級実証機)よりわずかに大きい機体となる。
2. この背景にはX-51Aウェイブライダー、X-37B軌道実験機、HTV-2極超音速テストから得られた極超音速飛行の結果を今後活用する優先順位付けを検討している政府・民間合同の動きがある。
3. 今回の企画案はスティーブ・ウォーカー空軍次官(科学技術担当)がフロリダ州オーランドでのAIAA航空宇宙学会で発表しており、極超音速兵器と再利用可能テスト機の同時開発を提唱している。
4. それによると実証機および兵器体系開発は5年間で完成し、初飛行あh2016年10月になるという。実証機には三つのオプションがあり、まずX-51に類似した機体をB-52から空中発進する案。二番目はB-2の内部にあるいは、F-35に外部装着するオプションだ。三番目はもB-2とF-35で運用する構想だが、機体構成は全て新しいものになる。
5. 今回のロードマップではさらに再利用可能実証機にタービン利用コンバインドサイクル(TBCC)ならびに滑走路からの離着陸能力を実現するものとしている。ブラックスイフト計画と同じくHSRFRVのTBCCでは高マッハのターボジェットにラムジェット・スクラムジェットを組み合わせ空気取り入れ口とノズルは共用するものとしている。ただし、ブラックスイフトのTBCCと異なるのはさらに高い目標を設定していることだ。ちなみにブラックスイフトは離陸後5分後にマッハ6を達成する設計だった。
6. ウォーカーによると構想機にはマッハ4超の飛行を15分まで持続する性能を持たせるという。さらに高速飛行をする場合は持続時間は短くなる。X-30はじめこれまでの極超音速機の失敗の経験を認識した上で、今回は2021年の初飛行を想定したゆっくりした開発日程を想定している。
7. 空軍研究所のX-51A主任研究員チャールズ・ブリンクはX-51Aでデータが確保され、今後の開発に必要な原理原則が理解されるようになるという。また、空軍がX-51Aの二回目の飛行を3月末に向けて準備中という。
8. ただし今回の構想に異論を唱える動きもある。AIAA会長マーク・ルイスはまず「武装型」のX-51Aで経験を蓄積すべきだという。「X-51Aは今後の高速兵器体系に重要な一歩となります。予定される四回の飛行ではあまりにも少なすぎます。予算を増額して飛行回数を増やす必要があります。飛行時間を延長して15分から30分に伸ばすのが次の課題でしょう。これで実用可能なシステムに発展できます。これにはタービンは必要ありません。大胆かつ現実的にすべきです。そうでないとX-30のような失敗に終わるでしょう」
(写真はX-51AとHTV-2)
aviationweek.com Jan 12, 2011
1. 米空軍は極超音速機開発ロードマップの一環として高速度兵器体系および高速度再利用可能飛行実験機(HSRFRV)の開発を検討中。後者はDarpaが開発を主導して2008年に開発中止となったブラックスイフト(マッハ6級実証機)よりわずかに大きい機体となる。
2. この背景にはX-51Aウェイブライダー、X-37B軌道実験機、HTV-2極超音速テストから得られた極超音速飛行の結果を今後活用する優先順位付けを検討している政府・民間合同の動きがある。
3. 今回の企画案はスティーブ・ウォーカー空軍次官(科学技術担当)がフロリダ州オーランドでのAIAA航空宇宙学会で発表しており、極超音速兵器と再利用可能テスト機の同時開発を提唱している。
4. それによると実証機および兵器体系開発は5年間で完成し、初飛行あh2016年10月になるという。実証機には三つのオプションがあり、まずX-51に類似した機体をB-52から空中発進する案。二番目はB-2の内部にあるいは、F-35に外部装着するオプションだ。三番目はもB-2とF-35で運用する構想だが、機体構成は全て新しいものになる。
5. 今回のロードマップではさらに再利用可能実証機にタービン利用コンバインドサイクル(TBCC)ならびに滑走路からの離着陸能力を実現するものとしている。ブラックスイフト計画と同じくHSRFRVのTBCCでは高マッハのターボジェットにラムジェット・スクラムジェットを組み合わせ空気取り入れ口とノズルは共用するものとしている。ただし、ブラックスイフトのTBCCと異なるのはさらに高い目標を設定していることだ。ちなみにブラックスイフトは離陸後5分後にマッハ6を達成する設計だった。
6. ウォーカーによると構想機にはマッハ4超の飛行を15分まで持続する性能を持たせるという。さらに高速飛行をする場合は持続時間は短くなる。X-30はじめこれまでの極超音速機の失敗の経験を認識した上で、今回は2021年の初飛行を想定したゆっくりした開発日程を想定している。
7. 空軍研究所のX-51A主任研究員チャールズ・ブリンクはX-51Aでデータが確保され、今後の開発に必要な原理原則が理解されるようになるという。また、空軍がX-51Aの二回目の飛行を3月末に向けて準備中という。
8. ただし今回の構想に異論を唱える動きもある。AIAA会長マーク・ルイスはまず「武装型」のX-51Aで経験を蓄積すべきだという。「X-51Aは今後の高速兵器体系に重要な一歩となります。予定される四回の飛行ではあまりにも少なすぎます。予算を増額して飛行回数を増やす必要があります。飛行時間を延長して15分から30分に伸ばすのが次の課題でしょう。これで実用可能なシステムに発展できます。これにはタービンは必要ありません。大胆かつ現実的にすべきです。そうでないとX-30のような失敗に終わるでしょう」
(写真はX-51AとHTV-2)
2011年1月16日日曜日
中国の技術力向上に注視すべし
Editorial: Remain Watchful of China's Ascent
aviationweek.com Jan 14, 2011
中国がステルス機をロールアウトさせたことで西側情報機関はその意味するものを把握するべく多忙となっている。米情報機関はJ-20の存在そのものは把握していたが、1地上走行テストを開始する事までは予測していなかった。
1. 同機はおどろくほどF-22に類似しているが、機体は大型で、長距離性能と兵装量が大きいことを伺わせる。現時点では同機が試作機なのか技術実証機なのかは不明。
2. 判明しているのは中国が科学技術を重視し、西側の総合計よりも大量の技術者、科学者を養成していること、国防予算が巨額になっていることだ。これにより中国がこれまで前例のない技術力、軍事力の成熟化に向かっているのはまちがいない。
3. 初回の開発では通常は試作機または実証機を製作し、機体の試験をするものだ。今回のその点J-20は多用途ステルス機としての設計が相当成熟度を上げているのを示し、この例があてはまらない。F-22あるいはF-35の水準に到達するまでには高性能センサー類と発達型エンジンが必要だ。また、真の意味でステルス性能を実現するのはそう簡単なことではない。現時点の推測はJ-20の量産開始は8ないし10年後と見ている。
4. また中国経済の規模は世界第二位であり、現行の成長率が続くとそのうちに米国経済の規模を追い越すのも容易に想像できる。中国がグローバル大国になり、その影響力を行使すると世界各国は中国の軍事拡張を当然予想する。現在の中国の軍事力拡大はこれまで20年間の努力の成果でもある。
5. 合わせて中国指導部は北朝鮮とは異なり無謀かつ自己破滅型の行動は取る傾向は少ないことに注視すべきだ。中国はすでに核戦力を数十年間にわたり保有しているが、その行使は抑制しており、この点でも北朝鮮とは異なる。そこで米国の課題は未来の超大国の力を建設的目的に使わせることである。これは実現可能な目標だ。
6. これは中国の軍事力を無視することではない。海軍情報部のトップが言うように「中国の軍事システムの開発、配備状況をこれまで過小評価してきた」のが現実だ。実質的に予算制約がない状況でDF-21D対艦ミサイル等の開発が進んでいる。また電子戦・サイバー戦の実力が整備されつつあるのも情報部には憂慮の種だ。
7. J-20の正確な位置づけがどうあれ、中国の技術力向上の証であり、自国勢力圏を取り巻く外国に対抗せんとする同国の意志の現れだ。それでは中国は米国と直接対決する状況は今後発生するか。その可能性がないとは言い難い。
8. 中国の視点からは中国国内の国民感情と国際政治上の利害のバランスをとることは困難な仕事だ。ただ、同国指導部はリスクと危険に満ちた国際政治の中で同国をどこに導くのかを学ぶ必要がある。
9. 今回の驚くべき中国の開発状況の知らせから学ぶべき点は米国こそ潤沢な研究開発を運動性、非運動性の両方の兵装の開発で維持すべきであり、情報収集装備、専門家への支出も合わせて必要なことは言うまでもない。この実施が困難であれば、実際に国防予算への圧力が強まっていることを考えれば、米国の選択肢はなくなる。今後5年から10年にわたり中国の外交に軍事力がどんな影響をあたえるのかを注視するべきだ。ホワイトハウスならびに議会には政府支出に大鉈を振るうことの結果を良く考えてもらいたい。
aviationweek.com Jan 14, 2011
中国がステルス機をロールアウトさせたことで西側情報機関はその意味するものを把握するべく多忙となっている。米情報機関はJ-20の存在そのものは把握していたが、1地上走行テストを開始する事までは予測していなかった。
1. 同機はおどろくほどF-22に類似しているが、機体は大型で、長距離性能と兵装量が大きいことを伺わせる。現時点では同機が試作機なのか技術実証機なのかは不明。
2. 判明しているのは中国が科学技術を重視し、西側の総合計よりも大量の技術者、科学者を養成していること、国防予算が巨額になっていることだ。これにより中国がこれまで前例のない技術力、軍事力の成熟化に向かっているのはまちがいない。
3. 初回の開発では通常は試作機または実証機を製作し、機体の試験をするものだ。今回のその点J-20は多用途ステルス機としての設計が相当成熟度を上げているのを示し、この例があてはまらない。F-22あるいはF-35の水準に到達するまでには高性能センサー類と発達型エンジンが必要だ。また、真の意味でステルス性能を実現するのはそう簡単なことではない。現時点の推測はJ-20の量産開始は8ないし10年後と見ている。
4. また中国経済の規模は世界第二位であり、現行の成長率が続くとそのうちに米国経済の規模を追い越すのも容易に想像できる。中国がグローバル大国になり、その影響力を行使すると世界各国は中国の軍事拡張を当然予想する。現在の中国の軍事力拡大はこれまで20年間の努力の成果でもある。
5. 合わせて中国指導部は北朝鮮とは異なり無謀かつ自己破滅型の行動は取る傾向は少ないことに注視すべきだ。中国はすでに核戦力を数十年間にわたり保有しているが、その行使は抑制しており、この点でも北朝鮮とは異なる。そこで米国の課題は未来の超大国の力を建設的目的に使わせることである。これは実現可能な目標だ。
6. これは中国の軍事力を無視することではない。海軍情報部のトップが言うように「中国の軍事システムの開発、配備状況をこれまで過小評価してきた」のが現実だ。実質的に予算制約がない状況でDF-21D対艦ミサイル等の開発が進んでいる。また電子戦・サイバー戦の実力が整備されつつあるのも情報部には憂慮の種だ。
7. J-20の正確な位置づけがどうあれ、中国の技術力向上の証であり、自国勢力圏を取り巻く外国に対抗せんとする同国の意志の現れだ。それでは中国は米国と直接対決する状況は今後発生するか。その可能性がないとは言い難い。
8. 中国の視点からは中国国内の国民感情と国際政治上の利害のバランスをとることは困難な仕事だ。ただ、同国指導部はリスクと危険に満ちた国際政治の中で同国をどこに導くのかを学ぶ必要がある。
9. 今回の驚くべき中国の開発状況の知らせから学ぶべき点は米国こそ潤沢な研究開発を運動性、非運動性の両方の兵装の開発で維持すべきであり、情報収集装備、専門家への支出も合わせて必要なことは言うまでもない。この実施が困難であれば、実際に国防予算への圧力が強まっていることを考えれば、米国の選択肢はなくなる。今後5年から10年にわたり中国の外交に軍事力がどんな影響をあたえるのかを注視するべきだ。ホワイトハウスならびに議会には政府支出に大鉈を振るうことの結果を良く考えてもらいたい。
米海軍 P-3C性能向上
U.S. Navy Upgrades P-3C Orion Aircraft
aviationweek.com Jan 14, 2011
1. 米海軍は1月に合計10機の改装P-3Cオライオンを受領した。各機には音響受信技術向上策(ARTR)としてソノブイ信号の受信・解析能力を10倍に増加させている。
2. 今回の性能改良でオライオンと次期対潜作戦(ASW)主力機P-8Aポセイドンとの間の技術ギャップを解消し、両機種の共用性を確保することが期待される。あわせて信号処理コードとハードウェアの共用化も実現されつつある。
3. 音響技術の向上は海軍には重要だ。現在の海軍はASWの作戦形態を高高度飛行に切り替えようとしており、作戦の実施を一層効率化しより多くの目標を捕捉できると期待している。
4. ARTRを装備したオライオンは2012年までに74機を導入する。
5. 今後二年間で海軍はさらにP-3の音響性能を向上しソノブイのデジタル処理し、インプット情報の処理能力向上をめざす。合わせて海軍はオライオン向けの指揮管制通信コンピュータのC4システムを開発し、ASWネットワーク能力を向上した。
6. 改良型オライオンはリンク16の利用が可能。リンク16は状況把握で改良があり、米海軍水上艦艇と共通運用がが可能な他、NATOや米国の各軍とも共用性があり、インマルサット国際海洋衛星を利用して暗号化ずみブロードバンドサービスを海軍に提供する。
7. P-8Aの開発は順調で計画通りと関係者は評価している。2013年を初期作戦能力獲得の目標としている。P-8Aの調達合計機数は117機で変化なく、現在の予想単価は150百万ドル。
aviationweek.com Jan 14, 2011
1. 米海軍は1月に合計10機の改装P-3Cオライオンを受領した。各機には音響受信技術向上策(ARTR)としてソノブイ信号の受信・解析能力を10倍に増加させている。
2. 今回の性能改良でオライオンと次期対潜作戦(ASW)主力機P-8Aポセイドンとの間の技術ギャップを解消し、両機種の共用性を確保することが期待される。あわせて信号処理コードとハードウェアの共用化も実現されつつある。
3. 音響技術の向上は海軍には重要だ。現在の海軍はASWの作戦形態を高高度飛行に切り替えようとしており、作戦の実施を一層効率化しより多くの目標を捕捉できると期待している。
4. ARTRを装備したオライオンは2012年までに74機を導入する。
5. 今後二年間で海軍はさらにP-3の音響性能を向上しソノブイのデジタル処理し、インプット情報の処理能力向上をめざす。合わせて海軍はオライオン向けの指揮管制通信コンピュータのC4システムを開発し、ASWネットワーク能力を向上した。
6. 改良型オライオンはリンク16の利用が可能。リンク16は状況把握で改良があり、米海軍水上艦艇と共通運用がが可能な他、NATOや米国の各軍とも共用性があり、インマルサット国際海洋衛星を利用して暗号化ずみブロードバンドサービスを海軍に提供する。
7. P-8Aの開発は順調で計画通りと関係者は評価している。2013年を初期作戦能力獲得の目標としている。P-8Aの調達合計機数は117機で変化なく、現在の予想単価は150百万ドル。
2011年1月13日木曜日
J-20、DF-21D....中国の新装備開発をどう見るべきか
What China's Stealth Fighter Means
aviationweek.com Jan 10, 2011
1. 中国のJ-20がロールアウトし、地上走行テストを開始したが、米海軍情報部門トップは中国の技術開発の進展の推測でペンタゴンが誤っていたと認めている。
2. 同機の存在そのものは情報部門には何ら驚きではなかったが、中国の兵器開発と初期運用能力獲得のスピードを過小評価していた、とドーセット海軍中将(海軍情報部長兼情報優勢作戦副部長)は語る。分析に誤った例がJ-20とDF-21D対艦弾道ミサイル。さらに中国の技術開発が高性能エンジンやミサイルで進んでいる証拠が見つかっている。
3. 「J-20ステルス機がいつ運用開始となるのかはっきりしない。評価を精査すべきか。私はそう思う」とドーセット中将は語る。
4. それ以外のワシントンの情報関係者も一様にJ-20のテスト進展を注視している。「高速地上走行で前脚が地面を離れています。初飛行の前に問題点をつぶしているのでしょう」(あるベテランアナリスト)
5. 同機には不明の点が多い。
6. 「運用可能性は今の段階では決めかねますね。仮に飛行に成功しても同機は完全な意味の第五世代戦闘機にはならないでしょう。つまり同機には次世代技術をまず確立してその後の量産につなげる意味があるのでは。量産になれば我が方のミッション計画立案にも影響が出ます。これから先には開発が加速されるか、逆に遅くなるか、どちらも起こりえます」(上記アナリスト)
7. 「レーダー断面積はF-22には匹敵せず、十分小さいとは言えません。ただしこれは中国にとって初めての経験であり、一号機であることを十分理解しないといけません。最終型になるまでに相当の調整をおこなうのでしょう。同機に対してあまりにも多くの表面的な評価が出されていますが、これがいつも誤った結論につながってきたのです」(上記アナリスト)
8. エンジンがアキレス腱というのが中国の高性能戦闘機の通例だった。世界の第一線級に匹敵する性能を引き出すエンジンの国産化にまだ成功していない。これまでは量を重視し、高度技術に重きをおいてこなかった人民解放軍空軍は50年代のソ連設計に旧式エンジンを搭載した機体を運用してきた。そこでアナリスト陣には中国初の高性能エンジン瀋陽WS-10に対する評価が分かれる。ただし、最近のJ-11B戦闘機(スホイSu-30の改良型)の写真では明らかにロシア製AL-31Fエンジンとは異なるノズル形状が認めらており、その形状は航空ショーで確認されたWS-10のものに酷似している。
9. ドーセット中将は新型機と新型対艦ミサイルは現時点では影響を重視しない。
10. 「もっと心配なのは戦闘の様式を変える能力が獲得されることです。とくに一番憂慮しているのは電磁スペクトラムでの優勢確保に向けた技術開発を進めていることです」(同中将)
11. 「それ以外に中国の戦闘能力がより多面的かつ各軍共同運用の状況で効率性を高めていることも心配の種です。現在の中国にその完全な能力はありません。J-20 やDF-21Dといった個別の兵器システムを完成させているのは確認されますが、各システムを効率よく運用する能力が獲得されるとして、どの程度の効率性なのかが焦点となるでしょう」(同中将) ドーセット中将はまた中国の示す将来計画が今世紀中頃までを指していると指摘する。その意味ではペンタゴンは中国の脅威を過大評価していないという。
12. 中国の経済成長と軍事装備の拡張には強い関係がある。また同時に落とし穴もある、と同中将は指摘する。
13. 「中国にはまだ強力なISR能力も対潜戦闘能力もありません。また各軍を横断しての協調作戦能力でもまだ道は遠いのが現状です。今の段階は作戦運用能力の高度化の初期段階です。危険なのは各要素を同調させる過程の時系列を過小評価してしまうことです。」
14. ドーセット中将はJ-20について再び言及した。
15. 「明らかに初期段階の試作機でしょうが、性能は高度なのか、公試は何回するのか、運用水準に到達するまでに何回の実証をするのか、これは不明です」
16. しかし、同機の設計が高度な水準になっている証拠は多数ある。J-20は新型兵装を機内に搭載するようだ。中国は空対空ミサイルの拡充を続けている。中国航空機公司Avicの関係者はPL-12Aレーダー誘導中距離ミサイルの後継機種については口を閉ざしているが、新しい情報によると高性能版の開発が進んでいる。その中には固体モーターとラムジェットを組み合わせたPL-21がある。この新型ミサイルの地上テストはすでに昨年実施されている可能性がある。さらに高性能のPL-12Dではラムジェットの性能が改善され、J-20機内に搭載するやや小型のPL-12Cの開発も進んでいるようだ。接近戦ではPL- 10が使用されるだろう。外見は南アフリカDenelのA-Darterに類似している。
17. スタンドオフ兵器の運用能力を高めている中国は空対地、空対艦ミサイルの開発も熱心だ。すでに周囲国の防衛計画にも影響が出ている。日本の防衛関係者はより射程距離の長いミサイルへの関心を高めており、中国の脅威を初期段階で対応する手段を求めており、米国ではこれまでよりも高性能の交戦能力がある兵器体系の必要性について検討が始まっている。
18. ドーセット中将はさらにDF-21Dミサイルについて米海軍関係者が以前に言及した内容について解説している。
19. 「太平洋軍司令部による評価では初期作戦能力段階に到達していると見ています。中国は地上上空でテストを繰り返し、性能を高めています。実際に第一線配備を開始すると私は見ています。しかしながら、すべての情報を総合すると目標補足が問題のようです。現段階では性能を期待通り発揮できるかは不明でしょう。」
20. その一方で、米海軍はDF-21の艦船へ脅威度評価を変更している。現時点では中国が米国の航空母艦に弾道ミサイルを命中させる可能性は「低い」というのが海軍の基本的な評価だ。
21. 「DF-21複数で交叉攻撃で移動する水上目標を撃破する可能性は高くなっていると言えます。その可能性はどれだけかは不明ですが、中国にも理解は不可能と見ています。当方の知る限りでは移動水上目標に対しての発射テストはまだ実施していないと思います。」
22. この点でペンタゴンの予測精度を高めるためには情報収集の向上が必要となる問題がドーセット中将には明らかだ。
23. 「まだ遅れているのが、データの処理、活用、共有の各分野です。今後の重要課題になっています。画像データの活用にまず取り組んでいます。ここでは今後大幅な自動化が可能でしょう。電気光学画像の一つ一つに目を通す必要はなくなり、重要な点で警報を出してくれるツールが出現するはずです。」
aviationweek.com Jan 10, 2011
1. 中国のJ-20がロールアウトし、地上走行テストを開始したが、米海軍情報部門トップは中国の技術開発の進展の推測でペンタゴンが誤っていたと認めている。
2. 同機の存在そのものは情報部門には何ら驚きではなかったが、中国の兵器開発と初期運用能力獲得のスピードを過小評価していた、とドーセット海軍中将(海軍情報部長兼情報優勢作戦副部長)は語る。分析に誤った例がJ-20とDF-21D対艦弾道ミサイル。さらに中国の技術開発が高性能エンジンやミサイルで進んでいる証拠が見つかっている。
3. 「J-20ステルス機がいつ運用開始となるのかはっきりしない。評価を精査すべきか。私はそう思う」とドーセット中将は語る。
4. それ以外のワシントンの情報関係者も一様にJ-20のテスト進展を注視している。「高速地上走行で前脚が地面を離れています。初飛行の前に問題点をつぶしているのでしょう」(あるベテランアナリスト)
5. 同機には不明の点が多い。
6. 「運用可能性は今の段階では決めかねますね。仮に飛行に成功しても同機は完全な意味の第五世代戦闘機にはならないでしょう。つまり同機には次世代技術をまず確立してその後の量産につなげる意味があるのでは。量産になれば我が方のミッション計画立案にも影響が出ます。これから先には開発が加速されるか、逆に遅くなるか、どちらも起こりえます」(上記アナリスト)
7. 「レーダー断面積はF-22には匹敵せず、十分小さいとは言えません。ただしこれは中国にとって初めての経験であり、一号機であることを十分理解しないといけません。最終型になるまでに相当の調整をおこなうのでしょう。同機に対してあまりにも多くの表面的な評価が出されていますが、これがいつも誤った結論につながってきたのです」(上記アナリスト)
8. エンジンがアキレス腱というのが中国の高性能戦闘機の通例だった。世界の第一線級に匹敵する性能を引き出すエンジンの国産化にまだ成功していない。これまでは量を重視し、高度技術に重きをおいてこなかった人民解放軍空軍は50年代のソ連設計に旧式エンジンを搭載した機体を運用してきた。そこでアナリスト陣には中国初の高性能エンジン瀋陽WS-10に対する評価が分かれる。ただし、最近のJ-11B戦闘機(スホイSu-30の改良型)の写真では明らかにロシア製AL-31Fエンジンとは異なるノズル形状が認めらており、その形状は航空ショーで確認されたWS-10のものに酷似している。
9. ドーセット中将は新型機と新型対艦ミサイルは現時点では影響を重視しない。
10. 「もっと心配なのは戦闘の様式を変える能力が獲得されることです。とくに一番憂慮しているのは電磁スペクトラムでの優勢確保に向けた技術開発を進めていることです」(同中将)
11. 「それ以外に中国の戦闘能力がより多面的かつ各軍共同運用の状況で効率性を高めていることも心配の種です。現在の中国にその完全な能力はありません。J-20 やDF-21Dといった個別の兵器システムを完成させているのは確認されますが、各システムを効率よく運用する能力が獲得されるとして、どの程度の効率性なのかが焦点となるでしょう」(同中将) ドーセット中将はまた中国の示す将来計画が今世紀中頃までを指していると指摘する。その意味ではペンタゴンは中国の脅威を過大評価していないという。
12. 中国の経済成長と軍事装備の拡張には強い関係がある。また同時に落とし穴もある、と同中将は指摘する。
13. 「中国にはまだ強力なISR能力も対潜戦闘能力もありません。また各軍を横断しての協調作戦能力でもまだ道は遠いのが現状です。今の段階は作戦運用能力の高度化の初期段階です。危険なのは各要素を同調させる過程の時系列を過小評価してしまうことです。」
14. ドーセット中将はJ-20について再び言及した。
15. 「明らかに初期段階の試作機でしょうが、性能は高度なのか、公試は何回するのか、運用水準に到達するまでに何回の実証をするのか、これは不明です」
16. しかし、同機の設計が高度な水準になっている証拠は多数ある。J-20は新型兵装を機内に搭載するようだ。中国は空対空ミサイルの拡充を続けている。中国航空機公司Avicの関係者はPL-12Aレーダー誘導中距離ミサイルの後継機種については口を閉ざしているが、新しい情報によると高性能版の開発が進んでいる。その中には固体モーターとラムジェットを組み合わせたPL-21がある。この新型ミサイルの地上テストはすでに昨年実施されている可能性がある。さらに高性能のPL-12Dではラムジェットの性能が改善され、J-20機内に搭載するやや小型のPL-12Cの開発も進んでいるようだ。接近戦ではPL- 10が使用されるだろう。外見は南アフリカDenelのA-Darterに類似している。
17. スタンドオフ兵器の運用能力を高めている中国は空対地、空対艦ミサイルの開発も熱心だ。すでに周囲国の防衛計画にも影響が出ている。日本の防衛関係者はより射程距離の長いミサイルへの関心を高めており、中国の脅威を初期段階で対応する手段を求めており、米国ではこれまでよりも高性能の交戦能力がある兵器体系の必要性について検討が始まっている。
18. ドーセット中将はさらにDF-21Dミサイルについて米海軍関係者が以前に言及した内容について解説している。
19. 「太平洋軍司令部による評価では初期作戦能力段階に到達していると見ています。中国は地上上空でテストを繰り返し、性能を高めています。実際に第一線配備を開始すると私は見ています。しかしながら、すべての情報を総合すると目標補足が問題のようです。現段階では性能を期待通り発揮できるかは不明でしょう。」
20. その一方で、米海軍はDF-21の艦船へ脅威度評価を変更している。現時点では中国が米国の航空母艦に弾道ミサイルを命中させる可能性は「低い」というのが海軍の基本的な評価だ。
21. 「DF-21複数で交叉攻撃で移動する水上目標を撃破する可能性は高くなっていると言えます。その可能性はどれだけかは不明ですが、中国にも理解は不可能と見ています。当方の知る限りでは移動水上目標に対しての発射テストはまだ実施していないと思います。」
22. この点でペンタゴンの予測精度を高めるためには情報収集の向上が必要となる問題がドーセット中将には明らかだ。
23. 「まだ遅れているのが、データの処理、活用、共有の各分野です。今後の重要課題になっています。画像データの活用にまず取り組んでいます。ここでは今後大幅な自動化が可能でしょう。電気光学画像の一つ一つに目を通す必要はなくなり、重要な点で警報を出してくれるツールが出現するはずです。」
2011年1月11日火曜日
中国 J-20初飛行に成功
Chinese J-20 Logs First Flight
aviationweek.com Jan 11, 2011
1. 本日J-20が初飛行に成功した。
2. J-20は12月に成都で地上滑走試験が始まってからその初飛行が待たれていた。
3. 中国紙の報道によると同機は本日現地時間午後12時50分08秒にに移動を開始し、その直後に加速し、12時50分16秒に飛行状態に入ったという。着陸はその18分後だった。
4. 一連の出来事はJ-20(あるいは正式名称が未公表のためJ-XXの可能性あり)は中国式に11.1.11となる日付にだいたい午後1時に飛行を完了したことになる。これは中国でいうところの “yi fei chong tian” で頭に来る一が「大空にまっすぐ飛翔する」意味をもつという。
5. 初飛行はちょうどゲイツ国防長官の訪中と時を同じくして実施された。長官は胡錦濤主席が会話中に同機初飛行を確認したという。
6. 同機の初飛行に先立ち旅客機二機が成都に到着している。おそらく高官を運んできたのだろう。
7. 現時点ではJ-20が試作機か実証機七日は明らかではない。
8. 同機の存在は中国の高性能戦闘機開発の一端を示す以上の意味がある。中国空軍副司令官He Weirongは2009年11月に「第四世代戦闘機」を2017年から2019年までに実戦配備すると発言している。第四世代戦闘機とは中国ではF- 22級の技術による機体を示す。ただし、同副司令官はJ-20を指しているのではなく、J-10の改良型を念頭においていた。
9. J-10改良型にスーパークルーズ性能が付与される可能性は高い。中国海軍がその要求を表明している。
10. J-20を生産した成都の施設は中国航空工業集団公司(Avic)の傘下のAvic Defenseの所有である。
aviationweek.com Jan 11, 2011
1. 本日J-20が初飛行に成功した。
2. J-20は12月に成都で地上滑走試験が始まってからその初飛行が待たれていた。
3. 中国紙の報道によると同機は本日現地時間午後12時50分08秒にに移動を開始し、その直後に加速し、12時50分16秒に飛行状態に入ったという。着陸はその18分後だった。
4. 一連の出来事はJ-20(あるいは正式名称が未公表のためJ-XXの可能性あり)は中国式に11.1.11となる日付にだいたい午後1時に飛行を完了したことになる。これは中国でいうところの “yi fei chong tian” で頭に来る一が「大空にまっすぐ飛翔する」意味をもつという。
5. 初飛行はちょうどゲイツ国防長官の訪中と時を同じくして実施された。長官は胡錦濤主席が会話中に同機初飛行を確認したという。
6. 同機の初飛行に先立ち旅客機二機が成都に到着している。おそらく高官を運んできたのだろう。
7. 現時点ではJ-20が試作機か実証機七日は明らかではない。
8. 同機の存在は中国の高性能戦闘機開発の一端を示す以上の意味がある。中国空軍副司令官He Weirongは2009年11月に「第四世代戦闘機」を2017年から2019年までに実戦配備すると発言している。第四世代戦闘機とは中国ではF- 22級の技術による機体を示す。ただし、同副司令官はJ-20を指しているのではなく、J-10の改良型を念頭においていた。
9. J-10改良型にスーパークルーズ性能が付与される可能性は高い。中国海軍がその要求を表明している。
10. J-20を生産した成都の施設は中国航空工業集団公司(Avic)の傘下のAvic Defenseの所有である。
2011年1月8日土曜日
ゲイツ長官:F-35Bに黄信号、新型爆撃機は開発へ
F-35B Put On Probation; New Bomber To Go Forward
aviationweek. com Jan 7, 2011
1. ロバート・ゲイツ国防長官は開発が難航している海兵隊向けF-35B短距離離陸垂直着陸(Stovl)型共用打撃戦闘機を「要観察」扱いとする一方、空軍の新型爆撃機開発を承認。
2. F-35B型は「テスト中に大きな問題に直面している」と長官は1月6日に発言した。
3. JSF開発計画は全般的見直しとなり、A型C型がB型よりも先行してテストを継続することになるだろう。仮にB型の「改修ができないあるいは計画通りに進展がない」状態が今後2年以内に実現すると「同型の開発は中止になるだろう」(同長官)
4. ゲイツ長官のコメントは記者会見の席上で総額1500億ドル以上の予算削減、流用を今後5年間に行う国防総省の案を説明する際に出たもの。
5. F-35Bのテストは大幅に遅れており、昨年3月以降の垂直着陸回数は数回にとどまっており、公式には補助エンジンインレットドアの問題が原因とされるが、個別には冷却ファンなど小さな問題がある。
6. さらにシステムズ開発実証(SDD)が2016年まで遅れることが判明した。昨年の開発計画見直しではSDD完了は2015年中頃となっていた。SDD完了は開発試験の終了を意味し、初期運用試験評価に先立つものなので、同機の初期作戦能力獲得は2017年になる可能性が出てきた。これで46億ドルの追加支出となる見込み。
7. 2012年度のJSF調達数は低率初期生産(LRIP)のロットVとして32機に抑えられるのは「フォートワース工場の最終組立ラインがまだ調整が必要なため」(同長官)という。現時点での引渡し実績は計画より数ヶ月の遅れになっている。
8. 2013年度以降の引渡し数は増加してLRIPロットIX(2016年契約分で引渡しは2018年)までで325機になる見込み。(当初計画では449機だった)
9. 契約が成立したばかりのLRIPロットIVにはStovl3機を削除した。結局Stovlの購入は今後のLRIPロット毎にわずか6機となり、メーカーの調達ベースと特殊技術の維持のため最小限に抑えられる。
10. 記者からB型をこの段階で開発中止にしないのは海兵隊司令官エイモス大将からの働きかけがあったためかとの質問が出たが、長官は同型機の開発のテコ入れに時間が必要との説得性ある説明が海兵隊上層部からあったと回答した。
11. 海軍はスーパーホーネットの調達数を増やし、合計150機の「クラシック」ホーネット各機の構造耐用年数を延長することでJSF納入の遅れに対応する。2012年度から2014年度までのF/A-18購入の上乗せは合計41機。
12. その一方で、長距離航空戦力の信奉者には大きな突破口となるのはゲイツ長官が「核戦力運用可能な敵地侵入可能な新型長距離爆撃機」の開発に強く肩入れした点だ。空軍はゲイツ長官がいわゆる「2018年型爆撃機」を2009年に開発中止して以来、後継機種の開発に苦しんできた。当時の長官の主張は小型無人機に巡航ミサイルと弾道ミサイルを組み合わせれば当面は既存爆撃機をうまく補完できるとしていた。
13. 長官の発言でこれまで意見が分かれていた点で決断がなされたことが判明。まず、機体は核兵器運用可能長距離とする点で、機体に放射線防護を施すのは稼働開始後よりも設計段階で実施するのが安価なためこの案が支持された一方、核装備とすると兵力削減交渉の対象となるため反対する声もあった。また、ゲイツ長官は同機は無人機とするよりも有人機として開発して既存技術を応用することで開発を迅速化するとも説明した。
aviationweek. com Jan 7, 2011
1. ロバート・ゲイツ国防長官は開発が難航している海兵隊向けF-35B短距離離陸垂直着陸(Stovl)型共用打撃戦闘機を「要観察」扱いとする一方、空軍の新型爆撃機開発を承認。
2. F-35B型は「テスト中に大きな問題に直面している」と長官は1月6日に発言した。
3. JSF開発計画は全般的見直しとなり、A型C型がB型よりも先行してテストを継続することになるだろう。仮にB型の「改修ができないあるいは計画通りに進展がない」状態が今後2年以内に実現すると「同型の開発は中止になるだろう」(同長官)
4. ゲイツ長官のコメントは記者会見の席上で総額1500億ドル以上の予算削減、流用を今後5年間に行う国防総省の案を説明する際に出たもの。
5. F-35Bのテストは大幅に遅れており、昨年3月以降の垂直着陸回数は数回にとどまっており、公式には補助エンジンインレットドアの問題が原因とされるが、個別には冷却ファンなど小さな問題がある。
6. さらにシステムズ開発実証(SDD)が2016年まで遅れることが判明した。昨年の開発計画見直しではSDD完了は2015年中頃となっていた。SDD完了は開発試験の終了を意味し、初期運用試験評価に先立つものなので、同機の初期作戦能力獲得は2017年になる可能性が出てきた。これで46億ドルの追加支出となる見込み。
7. 2012年度のJSF調達数は低率初期生産(LRIP)のロットVとして32機に抑えられるのは「フォートワース工場の最終組立ラインがまだ調整が必要なため」(同長官)という。現時点での引渡し実績は計画より数ヶ月の遅れになっている。
8. 2013年度以降の引渡し数は増加してLRIPロットIX(2016年契約分で引渡しは2018年)までで325機になる見込み。(当初計画では449機だった)
9. 契約が成立したばかりのLRIPロットIVにはStovl3機を削除した。結局Stovlの購入は今後のLRIPロット毎にわずか6機となり、メーカーの調達ベースと特殊技術の維持のため最小限に抑えられる。
10. 記者からB型をこの段階で開発中止にしないのは海兵隊司令官エイモス大将からの働きかけがあったためかとの質問が出たが、長官は同型機の開発のテコ入れに時間が必要との説得性ある説明が海兵隊上層部からあったと回答した。
11. 海軍はスーパーホーネットの調達数を増やし、合計150機の「クラシック」ホーネット各機の構造耐用年数を延長することでJSF納入の遅れに対応する。2012年度から2014年度までのF/A-18購入の上乗せは合計41機。
12. その一方で、長距離航空戦力の信奉者には大きな突破口となるのはゲイツ長官が「核戦力運用可能な敵地侵入可能な新型長距離爆撃機」の開発に強く肩入れした点だ。空軍はゲイツ長官がいわゆる「2018年型爆撃機」を2009年に開発中止して以来、後継機種の開発に苦しんできた。当時の長官の主張は小型無人機に巡航ミサイルと弾道ミサイルを組み合わせれば当面は既存爆撃機をうまく補完できるとしていた。
13. 長官の発言でこれまで意見が分かれていた点で決断がなされたことが判明。まず、機体は核兵器運用可能長距離とする点で、機体に放射線防護を施すのは稼働開始後よりも設計段階で実施するのが安価なためこの案が支持された一方、核装備とすると兵力削減交渉の対象となるため反対する声もあった。また、ゲイツ長官は同機は無人機とするよりも有人機として開発して既存技術を応用することで開発を迅速化するとも説明した。
2011年1月5日水曜日
F-35飛行テストの現況 今年の目標
F-35 Begins Year With Test Objectives Unmet
aviationweek.com Jan 4, 2011
1. F-35共用打撃戦闘機の飛行テストは2011年になりペースがあがるものの、2010年の当初の目標の多くは未達成のまま年を越しており、このままでは開発計画に大幅な変更が加わりそうだ。
2. 飛行回数こそ目標の394回を上回ったものの、通常型離着陸(CTOL)型ではパイロット訓練開始、短距離離陸垂直着陸(Stovl)型の訓練、初の艦船運用の目標はいずれも昨年中に実現出来ていない。.
3. CTOL型F-35Aの「訓練開始状態」(RFT)飛行許可習得に必要な飛行テストは1月中に完了する予定とされ、RFTがあれば生産型のF-35の飛行が可能となる。
4. F- 35の低レート初期生産(LRIP)バッチ機体であるAF-6およびAF-7のエドワーズ空軍基地(カリフォーニア州)への搬入は5月の予定で開発テストを加速するだろう。一方、LRIP2バッチ機体のAF-8以降はエグリン空軍基地(フロリダ州)の訓練センターに引き渡される。
5. LRIP1および2のRFT許可では飛行速度は350ノット、マッハ0.8,4Gに制限されるが、2011年中にこれがLRIP3の機体で550ノット、マッハ0.95、7Gまで許可される。各機はこれまで580ノット、マッハ1.3、7Gまでの飛行を実施している。
6. Stovl タイプのF-35BではRFT許可は通常飛行および推力つき離陸の各モードに関連する。さらに艦船運用の許可も加わるが、これが2011年までずれこんだのは機構上の信頼性の問題がテスト機体で見つかったため。これを克服して、月間の飛行回数は昨年下半期から増加しているという。
7. エドワーズ基地のF-35Aは6月以降は月間平均10回のフライトをこなしているが、パタクセント海軍航空基地(メリーランド州)のF-35Bの飛行回数はなかなか上がっていない。サンキの月の平均飛行回数は9回だった。
8. 問題原の冷却ファンを交換し、信頼性の低い上部リフトファンのドアの作動機構の設計変更を行ったところ、問題はなくなったとする。
9. 垂直着陸は9月に補助インレットドアのヒンジで疲労が見つかって以来中止となっていたが、今月中に再開の予定。ヒンジの部品を再設計し、リフトファンのドアの作動方法を変更し、補助ドアにかかる荷重を減らすことで解決したという。
10. リフトファンのドアは120ノット以下では65度に開放され、速度がそれ以上になると35度になる。ただドアを完全に開けると、補助インレットドアの荷重が減るので、リフトファンのドアは165ノットまでは65度に固定して短距離離陸をすることになる。
11. 2010 年3月からこれまでの垂直着陸の実施回数はわずか10回で、このうち7回しか最低40快必要な艦艇運用の開始条件に合致していない。当初は3月の予定であった艦船での運用テストは8月から11月になりそうで、LHD型の揚陸艦型空母に改造を加え、Stovl運用に際し艦船上の運用を記録する測定装置を取り付ける工程からテスト実施時期が決まる。
12. これまでのところの飛行テスト結果は各型で順調で、空中給油および向かい風下での着陸を実施している。ミッションシステム系のソフトウェアの安定性は満足のいく水準で、センサーの性能も期待通りだという。
13. 亜音速飛行をCTOL型のF-35Aで行ったところ主翼でロールオフが発生しているが、すでに予想されていたので解決策を実施中だという。その中にはリーデイングエッジ、トレイリングエッジのフラップ位置と角度の変更過程の変更がある。ロールオフが発生するのは衝撃波が迎え角の変化と非対称に主翼上を移動しないためだ。
14. そこで同じ解決策をStovl型F-35Bと艦載型F-35Cにも試すことになる。とくにC型の主翼は大きくなっており、スポイラーが飛び出す設計になっている。そこでF-35Cの2011年内のテスト項目にはRFT取得に加え、陸上に設置したカタパルトおよび拘束装置の使用テストをレイクハースト海軍航空基地(ニュージャージー州)で実施することが入っている。
15. 全体としてのF-35飛行テスト実績は2010年は目標の3,700テスト項目達成にあとわずかまで行ったが、F-35AとF-35Cが先行している一方、 Stovlおよびミッションシステム系のテストが目標を下回っている。このため2011年は未達成のテスト項目をクリアしてStovlのRFT取得と艦船運用の許可を獲得することが大きな目標だ。
16. 一方、F-35開発計画の大幅修正が2月早々に発表される見込みだ。
aviationweek.com Jan 4, 2011
1. F-35共用打撃戦闘機の飛行テストは2011年になりペースがあがるものの、2010年の当初の目標の多くは未達成のまま年を越しており、このままでは開発計画に大幅な変更が加わりそうだ。
2. 飛行回数こそ目標の394回を上回ったものの、通常型離着陸(CTOL)型ではパイロット訓練開始、短距離離陸垂直着陸(Stovl)型の訓練、初の艦船運用の目標はいずれも昨年中に実現出来ていない。.
3. CTOL型F-35Aの「訓練開始状態」(RFT)飛行許可習得に必要な飛行テストは1月中に完了する予定とされ、RFTがあれば生産型のF-35の飛行が可能となる。
4. F- 35の低レート初期生産(LRIP)バッチ機体であるAF-6およびAF-7のエドワーズ空軍基地(カリフォーニア州)への搬入は5月の予定で開発テストを加速するだろう。一方、LRIP2バッチ機体のAF-8以降はエグリン空軍基地(フロリダ州)の訓練センターに引き渡される。
5. LRIP1および2のRFT許可では飛行速度は350ノット、マッハ0.8,4Gに制限されるが、2011年中にこれがLRIP3の機体で550ノット、マッハ0.95、7Gまで許可される。各機はこれまで580ノット、マッハ1.3、7Gまでの飛行を実施している。
6. Stovl タイプのF-35BではRFT許可は通常飛行および推力つき離陸の各モードに関連する。さらに艦船運用の許可も加わるが、これが2011年までずれこんだのは機構上の信頼性の問題がテスト機体で見つかったため。これを克服して、月間の飛行回数は昨年下半期から増加しているという。
7. エドワーズ基地のF-35Aは6月以降は月間平均10回のフライトをこなしているが、パタクセント海軍航空基地(メリーランド州)のF-35Bの飛行回数はなかなか上がっていない。サンキの月の平均飛行回数は9回だった。
8. 問題原の冷却ファンを交換し、信頼性の低い上部リフトファンのドアの作動機構の設計変更を行ったところ、問題はなくなったとする。
9. 垂直着陸は9月に補助インレットドアのヒンジで疲労が見つかって以来中止となっていたが、今月中に再開の予定。ヒンジの部品を再設計し、リフトファンのドアの作動方法を変更し、補助ドアにかかる荷重を減らすことで解決したという。
10. リフトファンのドアは120ノット以下では65度に開放され、速度がそれ以上になると35度になる。ただドアを完全に開けると、補助インレットドアの荷重が減るので、リフトファンのドアは165ノットまでは65度に固定して短距離離陸をすることになる。
11. 2010 年3月からこれまでの垂直着陸の実施回数はわずか10回で、このうち7回しか最低40快必要な艦艇運用の開始条件に合致していない。当初は3月の予定であった艦船での運用テストは8月から11月になりそうで、LHD型の揚陸艦型空母に改造を加え、Stovl運用に際し艦船上の運用を記録する測定装置を取り付ける工程からテスト実施時期が決まる。
12. これまでのところの飛行テスト結果は各型で順調で、空中給油および向かい風下での着陸を実施している。ミッションシステム系のソフトウェアの安定性は満足のいく水準で、センサーの性能も期待通りだという。
13. 亜音速飛行をCTOL型のF-35Aで行ったところ主翼でロールオフが発生しているが、すでに予想されていたので解決策を実施中だという。その中にはリーデイングエッジ、トレイリングエッジのフラップ位置と角度の変更過程の変更がある。ロールオフが発生するのは衝撃波が迎え角の変化と非対称に主翼上を移動しないためだ。
14. そこで同じ解決策をStovl型F-35Bと艦載型F-35Cにも試すことになる。とくにC型の主翼は大きくなっており、スポイラーが飛び出す設計になっている。そこでF-35Cの2011年内のテスト項目にはRFT取得に加え、陸上に設置したカタパルトおよび拘束装置の使用テストをレイクハースト海軍航空基地(ニュージャージー州)で実施することが入っている。
15. 全体としてのF-35飛行テスト実績は2010年は目標の3,700テスト項目達成にあとわずかまで行ったが、F-35AとF-35Cが先行している一方、 Stovlおよびミッションシステム系のテストが目標を下回っている。このため2011年は未達成のテスト項目をクリアしてStovlのRFT取得と艦船運用の許可を獲得することが大きな目標だ。
16. 一方、F-35開発計画の大幅修正が2月早々に発表される見込みだ。
2010年12月31日金曜日
中国 J-20ステルス戦闘機の登場の背景にあるもの
China's J-20 Stealth Fighter In Taxi Tests
aviationweek.com Dec 30, 2010
1. 中国初のステルス機が先週末に高速地上走行試験を成都飛機工業集団の飛行場内で実施した。J-20の呼称といわれ、予想よりも大型の機体であることから、長距離と大規模な搭載能力を持っていると考えられる。
2. これによりゲイツ国防長官が2009年に予測していた中国にはステルス機の運用能力は2020年までには不可能とする内容、これがロッキード・マーティンF-22生産中止につながっている、そのものに疑念をいだかせることになる。
3. そもそもJ-20の存在は2009年に任人民解放軍空軍副司令官がテレビ取材で発言している。当時同副司令官は「第四世代戦闘機」(ステルス機の中国名称)は2010年ないし11年に初飛行し、2017年から19年に実戦配備となる、と語っていた。
4. J- 20は単座双発機でスホイT-50やF-22と比較しても大型の機体だ。地上車両と比較しても全長は75フィート、翼巾45フィート以上あるとみられることから離陸重量は75千ポンドないし80千ポンド級(外部搭載なしの状態で)あると考えられる。これは内部燃料搭載量が相当あることを示唆し、比較例では 60年代のジェネラルダイナミクスF-111が34千ポンドの燃料を搭載していた。
5. J- 20には同じ成都J-10と同様のカナード翼があり、T-50と同様に垂直尾翼は可動式である他、前部安定版には傾斜がついている。ステルス性機体の形状はF-22と類似している。機体表面は平滑で尾翼とそろえられており、主翼と機体の接合部はきれいに処理されている。傾斜角はF-35より大きく、キャノピーにはフレームがない点でF-22に似ている。
6. 搭載エンジンはロシア製サターンAL-31Fの系列である可能性が高い。生産型には今後実用化飲み込みの国産エンジンが搭載されるだろう。空気取り入れ口には分流無しで超音速を可能とするDSI技術が採用されており、F-35が最初に実用化して中国もJ-10Bとパキスタン共同開発のJF-17でも実用化している技術だ。
7. 着陸装置は機体側部に格納される構造でF-22と同様にその前部に兵装庫があることを示唆している。地上高はF-22よりも大きく、空対地ミサイルなど大型の兵装を運用できるだろう。11月の珠海航空ショーにおいて中国側技術陣はJ-20に新開発の空対地兵装の搭載の可能性を示していた。
8. これに対して機体後部の構造はステルス性が低いことを示しており、J-20にはF-22の持つ全方位ステルス性がないと見られる。これには二つの可能性がある。今回目撃された機体が実戦型機体開発のための最初の設計なのか、中国の求める性能要求に後部のステルス性は重要視されていないのか、だ。
9. そこで現時点ではJ-20とはT-50同様の試作機なのか技術実証用の機体なのかが大きな疑問点だ。この答えは今後1年から2年以内に何機のJ-20が飛行試験に加わるかを見ることで解決される。
10. 多様な任務をこなすステルス機の開発は単に機体の開発で実現するものにあらず、自動的にデータを組み合わせるセンサー、排気の制御、探知されにくいデータリンクが必要となる。中国の戦闘用航空機開発はただでさえ多忙となっており、短期間で高性能機体を実用化するのは大きな挑戦だ。ただ、J-10初飛行を 1996年に実現してからの中国空軍力開発は急ピッチで進展しており、経済の発達に加え人民解放軍が全方位で装備の近代化を進めていることがその背景にある。
11. ただエンジン開発の遅れが機体開発に影響している。瀋陽WS-10エンジンの信頼性と耐久性に問題があるとの情報がある。高性能エンジンには特殊合金や他に転用の聞かない工程が必要であることから、開発に時間がかかるのは至極当然のことだ。
12. エイビオニクス技術の進展の恩恵を受け、アクティブ電子走査スキャンアレイ、赤外線探知追跡装置を搭載する他、電子戦用の装備も搭載されているだろう。
13. すぐには答えが出ないだろうが同機開発にどれだけのサイバー諜報情報が活用されているのだろうか。米国国防産業のサイバー保安部門専門家は2006年(J- 20開発がスタートしたと思われる年)に高度持続的脅威(APT)と呼称される国防軍事産業を対象にしたサイバー脅威の存在を指摘している。高度なテクニックで侵入して情報を引き出すのが特徴だ。
14. APTは極秘の分野の外ではほとんど議論されていないが圧倒的大部分は特定一カ国から攻撃が発信されているという。
15. 2009年から2010年にかけてロッキード・マーティンは傘下の契約企業「6ないし8社」で「電子メール、ネットワークその他で完全に保安体制がゆるい」事を認識している。
16. J- 20のベールがはがされたのは中国式の情報活用・統制方法で国内の注目を集める意図もあるのだろう。試験場所は成都市内にあり、保安体制は欠如し、誰でも目に出来る場所だ。写真撮影は原則禁止というものの、携帯電話のカメラ撮影は黙認されているとの報道もある。12月25日以降中国国内のインターネット掲示板に複数の写真が掲載されており、日を追うごとに写真の質が向上している。その結果、国際社会からの関心も高くなっているが、中国による公式の発表は一切無い状態だ。
コメント 今年は中国のプレゼンス、なかんずく国防力の拡張に多大の関心が示された年でした。その締めくくりにこういうニュースが入るのは意味がありそうです。F-22の生産中止決定が本当に正しかったのか、F-35に労力を取られながら開発が遅延している間に隣国は手段を問わず次世代機を開発しています。情報戦の様相もあり、機密漏洩を恐れる米国が日本にF-22の提供を拒んだのも理解出来ないことはありませんね。ここまで来ると日本も真剣に空軍力の拡充を考えないといけないのではないでしょうか。
aviationweek.com Dec 30, 2010
1. 中国初のステルス機が先週末に高速地上走行試験を成都飛機工業集団の飛行場内で実施した。J-20の呼称といわれ、予想よりも大型の機体であることから、長距離と大規模な搭載能力を持っていると考えられる。
2. これによりゲイツ国防長官が2009年に予測していた中国にはステルス機の運用能力は2020年までには不可能とする内容、これがロッキード・マーティンF-22生産中止につながっている、そのものに疑念をいだかせることになる。
3. そもそもJ-20の存在は2009年に任人民解放軍空軍副司令官がテレビ取材で発言している。当時同副司令官は「第四世代戦闘機」(ステルス機の中国名称)は2010年ないし11年に初飛行し、2017年から19年に実戦配備となる、と語っていた。
4. J- 20は単座双発機でスホイT-50やF-22と比較しても大型の機体だ。地上車両と比較しても全長は75フィート、翼巾45フィート以上あるとみられることから離陸重量は75千ポンドないし80千ポンド級(外部搭載なしの状態で)あると考えられる。これは内部燃料搭載量が相当あることを示唆し、比較例では 60年代のジェネラルダイナミクスF-111が34千ポンドの燃料を搭載していた。
5. J- 20には同じ成都J-10と同様のカナード翼があり、T-50と同様に垂直尾翼は可動式である他、前部安定版には傾斜がついている。ステルス性機体の形状はF-22と類似している。機体表面は平滑で尾翼とそろえられており、主翼と機体の接合部はきれいに処理されている。傾斜角はF-35より大きく、キャノピーにはフレームがない点でF-22に似ている。
6. 搭載エンジンはロシア製サターンAL-31Fの系列である可能性が高い。生産型には今後実用化飲み込みの国産エンジンが搭載されるだろう。空気取り入れ口には分流無しで超音速を可能とするDSI技術が採用されており、F-35が最初に実用化して中国もJ-10Bとパキスタン共同開発のJF-17でも実用化している技術だ。
7. 着陸装置は機体側部に格納される構造でF-22と同様にその前部に兵装庫があることを示唆している。地上高はF-22よりも大きく、空対地ミサイルなど大型の兵装を運用できるだろう。11月の珠海航空ショーにおいて中国側技術陣はJ-20に新開発の空対地兵装の搭載の可能性を示していた。
8. これに対して機体後部の構造はステルス性が低いことを示しており、J-20にはF-22の持つ全方位ステルス性がないと見られる。これには二つの可能性がある。今回目撃された機体が実戦型機体開発のための最初の設計なのか、中国の求める性能要求に後部のステルス性は重要視されていないのか、だ。
9. そこで現時点ではJ-20とはT-50同様の試作機なのか技術実証用の機体なのかが大きな疑問点だ。この答えは今後1年から2年以内に何機のJ-20が飛行試験に加わるかを見ることで解決される。
10. 多様な任務をこなすステルス機の開発は単に機体の開発で実現するものにあらず、自動的にデータを組み合わせるセンサー、排気の制御、探知されにくいデータリンクが必要となる。中国の戦闘用航空機開発はただでさえ多忙となっており、短期間で高性能機体を実用化するのは大きな挑戦だ。ただ、J-10初飛行を 1996年に実現してからの中国空軍力開発は急ピッチで進展しており、経済の発達に加え人民解放軍が全方位で装備の近代化を進めていることがその背景にある。
11. ただエンジン開発の遅れが機体開発に影響している。瀋陽WS-10エンジンの信頼性と耐久性に問題があるとの情報がある。高性能エンジンには特殊合金や他に転用の聞かない工程が必要であることから、開発に時間がかかるのは至極当然のことだ。
12. エイビオニクス技術の進展の恩恵を受け、アクティブ電子走査スキャンアレイ、赤外線探知追跡装置を搭載する他、電子戦用の装備も搭載されているだろう。
13. すぐには答えが出ないだろうが同機開発にどれだけのサイバー諜報情報が活用されているのだろうか。米国国防産業のサイバー保安部門専門家は2006年(J- 20開発がスタートしたと思われる年)に高度持続的脅威(APT)と呼称される国防軍事産業を対象にしたサイバー脅威の存在を指摘している。高度なテクニックで侵入して情報を引き出すのが特徴だ。
14. APTは極秘の分野の外ではほとんど議論されていないが圧倒的大部分は特定一カ国から攻撃が発信されているという。
15. 2009年から2010年にかけてロッキード・マーティンは傘下の契約企業「6ないし8社」で「電子メール、ネットワークその他で完全に保安体制がゆるい」事を認識している。
16. J- 20のベールがはがされたのは中国式の情報活用・統制方法で国内の注目を集める意図もあるのだろう。試験場所は成都市内にあり、保安体制は欠如し、誰でも目に出来る場所だ。写真撮影は原則禁止というものの、携帯電話のカメラ撮影は黙認されているとの報道もある。12月25日以降中国国内のインターネット掲示板に複数の写真が掲載されており、日を追うごとに写真の質が向上している。その結果、国際社会からの関心も高くなっているが、中国による公式の発表は一切無い状態だ。
コメント 今年は中国のプレゼンス、なかんずく国防力の拡張に多大の関心が示された年でした。その締めくくりにこういうニュースが入るのは意味がありそうです。F-22の生産中止決定が本当に正しかったのか、F-35に労力を取られながら開発が遅延している間に隣国は手段を問わず次世代機を開発しています。情報戦の様相もあり、機密漏洩を恐れる米国が日本にF-22の提供を拒んだのも理解出来ないことはありませんね。ここまで来ると日本も真剣に空軍力の拡充を考えないといけないのではないでしょうか。
2010年12月26日日曜日
F-35JSF開発の遅延を容認するペンタゴン
Carter: Healthy JSF Worth Slip In Production
aviationweek.com Dec 22, 2010
1. ペンタゴンはF-35共用打撃戦闘機の生産をあえて減速させてでも開発中に浮上した問題点解決に注力する構え、と調達を統括する国防次官アシュトン・カーターが発言している。
2. 「システム設計・開発がうまく行けば生産コストは最終的には下がる。その意味で本格生産が若干遅れてでもその価値は出てくる」と本誌取材に答えた。
3. 同機開発では今年2月の段階で13ヶ月の遅れが発生しているが、ペンタゴンはさらに遅延を容認する検討をしている。その方針は最も早くて2月に発表されるだろう。2012年度予算原案を議会に提出するタイミング。
4. カーターは遅延が拡大しても海外発注者には大きな影響がないだろうと見る。「生産ピッチは拡大して受注分の生産予定を実現できるだろうし、日程も期待に答える事ができるはずと見ている」 同機の海外向け引渡しの開始は2014年とみられているが、ペンタゴンが同機開発体制を再構築し、追加開発業務をするとこれも先送りの可能性がある。共同開発に八カ国が調印している他に、シンガポールと日本がイスラエルの例にならいロッキード・マーティンより直接調達を希望している。
5. ペンタゴンの見方とは逆に初期生産を圧縮して実施する計画はロッキード・マーティンには国際商戦でボーイング F/A-18E/F 、サーブグリペン、ユーロファイターとしのぎ合う中で大きな意味が出てくる。同社関係者も開発と同時並行で生産をして相当数の生産規模を実現し一機あたり費用を迅速に低下させる効果があると強調する。これに対し、ペンタゴンの立場は生産後の追加改修作業の防止を重視するもの。
6. 同機開発体制でハインツ海兵隊少将がゲイツ国防長官により更迭されヴェンレット海軍中将が後任となり開発責任者の階級は昇格している。同中将は総額3,820億ドルの同機開発の全体点検をしている。
7. 点検のうち、技術基本報告は完了しているものの、公表はされていない。この部分がゲイツ長官による今後のF-35開発方針の決定に大きな影響を与えるものになる。「このために計画部門の大幅なテコ入れをしてヴェンレット中将をトップにすえつけた」(カーター)のだという。2010年の開発体制再整備が同機開発の新しい方向の手始めになることを認めている。
8. 「中将にはJSF開発の管理体制の根本を点検することをお願いした。その理由として昨年は同機開発の現場を把握するのに使ったコスト分析がわずか数例しかなかったことがある。長官とともに基礎技術報告を通じてはじめてJSFの正確な管理実態が全容がわかった気がする」
9. ロッキード・マーティンは固定価格・奨励金つき・小規模初期生産ロットIV(LRIP IV)契約をペンタゴンと取り交わしているがカーターは「一歩前進だが、このあとに多くの段階が控えている」とし、費用の管理抑制に意欲を示す。同契約によりF-35各型の価格(エンジン除く)は以下のとおりとなる。通常型離着陸(CTOL)は111.6億ドル。短距離離陸垂直着陸(Stovl)は109.4億ドル、空母運用型(CVs)が142.9億ドル。これによると Stovlが一見最も低価格だが、エンジン価格が一番高い。また、予定数もStovlが17機、CTOL11機に対し、CVは4機と最も少ない。
コメント 2010年代後半か2020年代にならないとF-35は実戦配備にならないということですね。しかも価格はどうなるのか、生産数は本当に順調に拡大するのか、誰もわからないということでしょうか。西側世界の防衛に大きな役割を果たす期待の同機がこんなことでいいのでしょうか。防衛部門の航空宇宙技術の運用進化は当面停滞しそうですね。その間は既存機種の改修で時間稼ぎをするしかないのでしょうか。そのなかで本当に日本は同機をFXとして想定していいのでしょうか。(本ブログはそれに否定的) それとも国産技術の開発を真剣にすすめるべきなのか。この数年間の決断が大きな意味をもちそうです。
aviationweek.com Dec 22, 2010
1. ペンタゴンはF-35共用打撃戦闘機の生産をあえて減速させてでも開発中に浮上した問題点解決に注力する構え、と調達を統括する国防次官アシュトン・カーターが発言している。
2. 「システム設計・開発がうまく行けば生産コストは最終的には下がる。その意味で本格生産が若干遅れてでもその価値は出てくる」と本誌取材に答えた。
3. 同機開発では今年2月の段階で13ヶ月の遅れが発生しているが、ペンタゴンはさらに遅延を容認する検討をしている。その方針は最も早くて2月に発表されるだろう。2012年度予算原案を議会に提出するタイミング。
4. カーターは遅延が拡大しても海外発注者には大きな影響がないだろうと見る。「生産ピッチは拡大して受注分の生産予定を実現できるだろうし、日程も期待に答える事ができるはずと見ている」 同機の海外向け引渡しの開始は2014年とみられているが、ペンタゴンが同機開発体制を再構築し、追加開発業務をするとこれも先送りの可能性がある。共同開発に八カ国が調印している他に、シンガポールと日本がイスラエルの例にならいロッキード・マーティンより直接調達を希望している。
5. ペンタゴンの見方とは逆に初期生産を圧縮して実施する計画はロッキード・マーティンには国際商戦でボーイング F/A-18E/F 、サーブグリペン、ユーロファイターとしのぎ合う中で大きな意味が出てくる。同社関係者も開発と同時並行で生産をして相当数の生産規模を実現し一機あたり費用を迅速に低下させる効果があると強調する。これに対し、ペンタゴンの立場は生産後の追加改修作業の防止を重視するもの。
6. 同機開発体制でハインツ海兵隊少将がゲイツ国防長官により更迭されヴェンレット海軍中将が後任となり開発責任者の階級は昇格している。同中将は総額3,820億ドルの同機開発の全体点検をしている。
7. 点検のうち、技術基本報告は完了しているものの、公表はされていない。この部分がゲイツ長官による今後のF-35開発方針の決定に大きな影響を与えるものになる。「このために計画部門の大幅なテコ入れをしてヴェンレット中将をトップにすえつけた」(カーター)のだという。2010年の開発体制再整備が同機開発の新しい方向の手始めになることを認めている。
8. 「中将にはJSF開発の管理体制の根本を点検することをお願いした。その理由として昨年は同機開発の現場を把握するのに使ったコスト分析がわずか数例しかなかったことがある。長官とともに基礎技術報告を通じてはじめてJSFの正確な管理実態が全容がわかった気がする」
9. ロッキード・マーティンは固定価格・奨励金つき・小規模初期生産ロットIV(LRIP IV)契約をペンタゴンと取り交わしているがカーターは「一歩前進だが、このあとに多くの段階が控えている」とし、費用の管理抑制に意欲を示す。同契約によりF-35各型の価格(エンジン除く)は以下のとおりとなる。通常型離着陸(CTOL)は111.6億ドル。短距離離陸垂直着陸(Stovl)は109.4億ドル、空母運用型(CVs)が142.9億ドル。これによると Stovlが一見最も低価格だが、エンジン価格が一番高い。また、予定数もStovlが17機、CTOL11機に対し、CVは4機と最も少ない。
コメント 2010年代後半か2020年代にならないとF-35は実戦配備にならないということですね。しかも価格はどうなるのか、生産数は本当に順調に拡大するのか、誰もわからないということでしょうか。西側世界の防衛に大きな役割を果たす期待の同機がこんなことでいいのでしょうか。防衛部門の航空宇宙技術の運用進化は当面停滞しそうですね。その間は既存機種の改修で時間稼ぎをするしかないのでしょうか。そのなかで本当に日本は同機をFXとして想定していいのでしょうか。(本ブログはそれに否定的) それとも国産技術の開発を真剣にすすめるべきなのか。この数年間の決断が大きな意味をもちそうです。
2010年12月9日木曜日
X-37B地球帰還 少しずつ分かってきた同機の背景
X-37B Prepared For Expanded Orbital Test
aviationweek.com Dec 7, 2010
米空軍によると二回目のX-37B軌道飛行試験機(OTV)のミッションで同自律宇宙機の「運用限界」を広げる。その意味するところはおそらく軌道上での接近操作および逆風下での着陸の実施だろう。
1. 宇宙分野担当空軍次官補リチャード・マキンレイによると試験用X-37B二号機OVT-2は現在ボーイングのカリフォルニア宇宙施設で準備中で、まもなくケープカナベラル空軍基地に移送される。打ち上げは2011年3月から4月の間を予定。
2. トロイ・ギース中佐(X-37B担当空軍迅速戦力準備室(Afrco))によると二号機のミッションは着陸条件を厳しくし、軌道飛行も変更し、回収操作の試験を行う。
3. 次官補と中佐のコメントはOTV-1が12月3日にヴァンデンバーグ空軍基地に244日の飛行を終えて無事着陸した際のもの。
4. 同機の着陸は自律宇宙機の着陸としては1988年旧ソ連のブラン無人宇宙シャトルの着陸成功に次ぐものだが、完全に問題がなかったわけではない。マキンレイによると左主脚が着地後に発火している。ただし関係者によると同機は滑走路中央線を外れることなく着陸に成功したという。
5. タイヤ破片により機体下部に破損が生じ、機体には未確認の宇宙デブリによる凹みも数箇所見られた。
6. OTVはあくまでも試験用の機体であるとし、マキンレイはX37-Bを再利用可能な宇宙運搬機として使用する可能性はないとする。ただし、軌道から帰還する能力により国家安全保障上の意義、今後の開発の基礎になる意義はあるとする。
7. OTV- 1は機体の各システム、設計上の特徴の点検が主目的だった。二次的に高性能センサーの実証もあり、これが今後のミッションで強調されていくだろう。その他 OTV-1で検証された技術的な側面に高性能誘導航法制御、耐熱保護、エイビオニクス、一体型再利用可能絶縁構造、軽量な電気機械飛行制御があり、ギース中佐は飛行中にペイロード格納扉を開き、太陽電池アレイを展開してミッション中の機内電源を確保したという。
8. 地上からの指令で電池アレイを自動的に格納し、格納庫を閉め、再突入のエンジン噴射をし、S字ターンを繰り返し、スペースシャトルと同じ方法でエネルギーを分散して大気圏に降下した。飛行は完全に自律型で、ギース中佐によるとヴァンデンバーグ基地の第30宇宙飛行隊がいざとなれば着陸の指令を出す準備をしていたが、その必要はなかったという。
aviationweek.com Dec 7, 2010
米空軍によると二回目のX-37B軌道飛行試験機(OTV)のミッションで同自律宇宙機の「運用限界」を広げる。その意味するところはおそらく軌道上での接近操作および逆風下での着陸の実施だろう。
1. 宇宙分野担当空軍次官補リチャード・マキンレイによると試験用X-37B二号機OVT-2は現在ボーイングのカリフォルニア宇宙施設で準備中で、まもなくケープカナベラル空軍基地に移送される。打ち上げは2011年3月から4月の間を予定。
2. トロイ・ギース中佐(X-37B担当空軍迅速戦力準備室(Afrco))によると二号機のミッションは着陸条件を厳しくし、軌道飛行も変更し、回収操作の試験を行う。
3. 次官補と中佐のコメントはOTV-1が12月3日にヴァンデンバーグ空軍基地に244日の飛行を終えて無事着陸した際のもの。
4. 同機の着陸は自律宇宙機の着陸としては1988年旧ソ連のブラン無人宇宙シャトルの着陸成功に次ぐものだが、完全に問題がなかったわけではない。マキンレイによると左主脚が着地後に発火している。ただし関係者によると同機は滑走路中央線を外れることなく着陸に成功したという。
5. タイヤ破片により機体下部に破損が生じ、機体には未確認の宇宙デブリによる凹みも数箇所見られた。
6. OTVはあくまでも試験用の機体であるとし、マキンレイはX37-Bを再利用可能な宇宙運搬機として使用する可能性はないとする。ただし、軌道から帰還する能力により国家安全保障上の意義、今後の開発の基礎になる意義はあるとする。
7. OTV- 1は機体の各システム、設計上の特徴の点検が主目的だった。二次的に高性能センサーの実証もあり、これが今後のミッションで強調されていくだろう。その他 OTV-1で検証された技術的な側面に高性能誘導航法制御、耐熱保護、エイビオニクス、一体型再利用可能絶縁構造、軽量な電気機械飛行制御があり、ギース中佐は飛行中にペイロード格納扉を開き、太陽電池アレイを展開してミッション中の機内電源を確保したという。
8. 地上からの指令で電池アレイを自動的に格納し、格納庫を閉め、再突入のエンジン噴射をし、S字ターンを繰り返し、スペースシャトルと同じ方法でエネルギーを分散して大気圏に降下した。飛行は完全に自律型で、ギース中佐によるとヴァンデンバーグ基地の第30宇宙飛行隊がいざとなれば着陸の指令を出す準備をしていたが、その必要はなかったという。
2010年12月5日日曜日
スカンクワークスのトップ交代
Lockheed Skunk Works To Get New Chief
aviationweek.com Dec 3, 2010
革新的な技術で有名なロッキード:マーティンのスカンクワークスのトップが交代する。
1. フランク・カプッチオが6月に退任する。1月にサンディア国立研究所副所長アル・ロミグがスカンクワークスに加わる。ロミグはエネルギー省と強いパイプを持つ。両名は一月から6月の間はロッキード・マーティン航空宇宙部門のラルフ・ヒースの下で働くことになる。ヒースの担当しているのがC-130J、C- 5M、F-16、F-22、F-35である。
2. JSFはロッキード・マーティンの売上の大きな部分となっており、ペンタゴンは総額3800億ドルを同機に支出することが予測される。
3. JSF 以外にカプッチオは無人機部門の開拓に大きく貢献した。同社の非公開無人機事業は規模は小さいものの、大きく進展していることが推察される。RQ-170 センチネルの存在を米空軍が2009年に明らかにしているが、同機の任務内容は依然として非公開情報のままで、アフガニスタンはじめとする海外での情報収集にあたっているとされる。
4. あわせてカプッチオは長期戦略でヒースに助言している。ロミグもこの役割を引き継ぐのだろうが、全体戦略の策定では限定的な立場になると同社関係者は見る。
5. その他スカンクワークスが手がけるプロジェクトには高速ミサイルや長距離攻撃機の構想がある。
6. カプッチオによる長距離攻撃機構想により米空軍向け次世代爆撃機計画で同社の立場は強くなるだろう。これが次の大規模調達となり、おそらく今後同規模の調達案件は出てこないと思われる。
aviationweek.com Dec 3, 2010
革新的な技術で有名なロッキード:マーティンのスカンクワークスのトップが交代する。
1. フランク・カプッチオが6月に退任する。1月にサンディア国立研究所副所長アル・ロミグがスカンクワークスに加わる。ロミグはエネルギー省と強いパイプを持つ。両名は一月から6月の間はロッキード・マーティン航空宇宙部門のラルフ・ヒースの下で働くことになる。ヒースの担当しているのがC-130J、C- 5M、F-16、F-22、F-35である。
2. JSFはロッキード・マーティンの売上の大きな部分となっており、ペンタゴンは総額3800億ドルを同機に支出することが予測される。
3. JSF 以外にカプッチオは無人機部門の開拓に大きく貢献した。同社の非公開無人機事業は規模は小さいものの、大きく進展していることが推察される。RQ-170 センチネルの存在を米空軍が2009年に明らかにしているが、同機の任務内容は依然として非公開情報のままで、アフガニスタンはじめとする海外での情報収集にあたっているとされる。
4. あわせてカプッチオは長期戦略でヒースに助言している。ロミグもこの役割を引き継ぐのだろうが、全体戦略の策定では限定的な立場になると同社関係者は見る。
5. その他スカンクワークスが手がけるプロジェクトには高速ミサイルや長距離攻撃機の構想がある。
6. カプッチオによる長距離攻撃機構想により米空軍向け次世代爆撃機計画で同社の立場は強くなるだろう。これが次の大規模調達となり、おそらく今後同規模の調達案件は出てこないと思われる。
2010年11月27日土曜日
F-35開発の遅延への米空軍対応、F-22後継機種は海軍と共同開発か
USAF Chief Considers F-35 And F-22 Replacement
aviationweek.com Nov 26, 2010
1. 米空軍参謀総長シュワルツ大将はロッキード・マーティンF-35開発に問題があることを認め、とくにソフトウェア開発の遅れによりJSFの配備が2016年にずれ込む可能性があると言及。
2. ペンタゴンでは三型式の機体を九カ国共同で開発する史上最大規模の調達計画の取りまとめに苦慮している。同機を取り扱う国防調達委員会(DAB)が11月22日に開催されており、別途2月に召集される予定。次回委員会において2012会計年度における予算計上額を決定する。
3. 一方、F-35開発がここまで遅れたことから、シュワルツ大将はF-16ブロック40/50の構造補強およびエイビオニクス改修で稼働年数を延長するなどの可能性があるという。
4. F-35開発への道が平坦でないにもかかわらず、同大将は海軍との共同開発そのものに熱意を失っているわけではない。またF-22後継機種開発でも海軍との共同作業が必要と考える。
5. 2030年代以降に就役する次期主力戦闘機は構想段階のままだが、空軍・海軍共同体制で機体開発・戦闘能力実現化を進めるのが鍵となると同大将は見ている。
6. その前例となっているのが、グローバルホークを海軍型に改造したBAMS構想だ。海軍と空軍で共通の機体を運用するのであれば、訓練体系も別の地上施設を維持するのは合理性がない、というのが同大将の考え方だ。
aviationweek.com Nov 26, 2010
1. 米空軍参謀総長シュワルツ大将はロッキード・マーティンF-35開発に問題があることを認め、とくにソフトウェア開発の遅れによりJSFの配備が2016年にずれ込む可能性があると言及。
2. ペンタゴンでは三型式の機体を九カ国共同で開発する史上最大規模の調達計画の取りまとめに苦慮している。同機を取り扱う国防調達委員会(DAB)が11月22日に開催されており、別途2月に召集される予定。次回委員会において2012会計年度における予算計上額を決定する。
3. 一方、F-35開発がここまで遅れたことから、シュワルツ大将はF-16ブロック40/50の構造補強およびエイビオニクス改修で稼働年数を延長するなどの可能性があるという。
4. F-35開発への道が平坦でないにもかかわらず、同大将は海軍との共同開発そのものに熱意を失っているわけではない。またF-22後継機種開発でも海軍との共同作業が必要と考える。
5. 2030年代以降に就役する次期主力戦闘機は構想段階のままだが、空軍・海軍共同体制で機体開発・戦闘能力実現化を進めるのが鍵となると同大将は見ている。
6. その前例となっているのが、グローバルホークを海軍型に改造したBAMS構想だ。海軍と空軍で共通の機体を運用するのであれば、訓練体系も別の地上施設を維持するのは合理性がない、というのが同大将の考え方だ。
2010年11月22日月曜日
指向性エネルギーで電子装置を攻撃する可能性
Directed Energy Weapons Attack Electronics
aviationweek.com Nov 19, 2010
1. アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)や高出力マイクロ波(HPM)を活用する次世代ジャマーは指向性エネルギー(DE)兵器の早期導入につながるものとして期待が高まっている。
2. ロッキード・マーティンF-22およびF-35やボーイングF/A-18FおよびEA-18Gが搭載するレーダーで指向ビームエネルギーの照射するアルゴリズムの開発は予算が確保されれば可能だ。米海軍の次世代ジャマー開発によりAESAはレーダーの位置づけからDE能力を付与された電子戦(EA)への活用へ可能性が広がる。
3. 一方、今のところHPMはペンタゴン内部では対電子装備兵器との位置づけだ。HPMのパルスで生まれる出力上昇及びその他EA手段で敵の電子装備に損傷を与えたり、破壊することができる他、コンピュータメモリーを混乱させたり消去することも可能だ。今後はHPM、高出力レーザー光線、ジャマーの統合化が課題となる。
4. 攻撃手段としては期待できるものの、防御面で悪夢となりかねない要素が高性能電子装備が必要とする電力がどんどん減っていることだ。低電力消費の装置ほどEAに対する脆弱性が高まる。
5. 敵装置を混乱させるほうが望ましいのは、システムの再起動に時間がかかるためだ。この間に攻撃の機会が生まれる。これに対して敵装置を焼ききるには2倍3倍の出力が必要だ。さらに高出力攻撃の実行に先立ち関連システムへの影響も理解しなければ実施承認が下りない。
6. DEおよび関連技術(情報収集、監視、サイバー攻撃、電子戦)に方向性を与え、技術開発を加速するのがペンタゴンの国防研究技術部(DDRE)の役割だ。同部はオバマ政権下で急速に拡張している。
7. HPMは過小評価されているが、大型投資が必要な分野と同部は見ている。非運動兵器を爆発性兵器の代替手段として開発擦る必要があるが、小型でエネルギー照射の出力源および特殊な波形の確保には小型パルス出力、半導体主力源、高性能アンテナといった技術要素の開発が求められる。技術的に利用可能となれば、各種分野にも応用ができるものだ。
8. HPMによる「e爆弾」は2010年代末までに実戦配備されよう。現在はエネルギー・ビームの効果および指向性の研究が進行中だ。また運搬可能な高出力エネルギーレーザー(HEL)も「きわめて短期間で」の実用化されるという。
aviationweek.com Nov 19, 2010
1. アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)や高出力マイクロ波(HPM)を活用する次世代ジャマーは指向性エネルギー(DE)兵器の早期導入につながるものとして期待が高まっている。
2. ロッキード・マーティンF-22およびF-35やボーイングF/A-18FおよびEA-18Gが搭載するレーダーで指向ビームエネルギーの照射するアルゴリズムの開発は予算が確保されれば可能だ。米海軍の次世代ジャマー開発によりAESAはレーダーの位置づけからDE能力を付与された電子戦(EA)への活用へ可能性が広がる。
3. 一方、今のところHPMはペンタゴン内部では対電子装備兵器との位置づけだ。HPMのパルスで生まれる出力上昇及びその他EA手段で敵の電子装備に損傷を与えたり、破壊することができる他、コンピュータメモリーを混乱させたり消去することも可能だ。今後はHPM、高出力レーザー光線、ジャマーの統合化が課題となる。
4. 攻撃手段としては期待できるものの、防御面で悪夢となりかねない要素が高性能電子装備が必要とする電力がどんどん減っていることだ。低電力消費の装置ほどEAに対する脆弱性が高まる。
5. 敵装置を混乱させるほうが望ましいのは、システムの再起動に時間がかかるためだ。この間に攻撃の機会が生まれる。これに対して敵装置を焼ききるには2倍3倍の出力が必要だ。さらに高出力攻撃の実行に先立ち関連システムへの影響も理解しなければ実施承認が下りない。
6. DEおよび関連技術(情報収集、監視、サイバー攻撃、電子戦)に方向性を与え、技術開発を加速するのがペンタゴンの国防研究技術部(DDRE)の役割だ。同部はオバマ政権下で急速に拡張している。
7. HPMは過小評価されているが、大型投資が必要な分野と同部は見ている。非運動兵器を爆発性兵器の代替手段として開発擦る必要があるが、小型でエネルギー照射の出力源および特殊な波形の確保には小型パルス出力、半導体主力源、高性能アンテナといった技術要素の開発が求められる。技術的に利用可能となれば、各種分野にも応用ができるものだ。
8. HPMによる「e爆弾」は2010年代末までに実戦配備されよう。現在はエネルギー・ビームの効果および指向性の研究が進行中だ。また運搬可能な高出力エネルギーレーザー(HEL)も「きわめて短期間で」の実用化されるという。
イスラエル: F-35追加導入を実現する取引
U.S. Offers Israel 20 Joint Strike Fighters
aviationweek.com Nov 19, 2010
1. イスラエル国防関係者は米国から申し出ているヨルダン川西岸入植地建設の停止モラトリアム更新の見返りにF-35共用打撃戦闘機合計20機の受け入れを同国政府に求めている。
2. イスラエル・パレスチナ平和交渉の再開を目指し、米国は総額30億ドル相当のF-35を提供する条件としてイスラエル側に入植地建設の停止を求めている。パレスチナは同建設が交渉の障害としてきた。米国務省は今回の供与案件について言及を避けているが、バラク・イスラエル国防大臣は内容を認めている。「当初から40機の導入を目指していたが、予算制約で20機になった経緯がある。米国は入植地建設の90日間停止の見返りに追加20機の提供を申し出ている」と同相は本誌に語る。
3. さらに米国からはイランの脅威に対応する新型技術・装備の提供も申し出ており、国連あるいは国際原子力機関におけるいかなる反イスラエル決議に拒否権を行使し、さらにパレスチナとの和平を実現すれば防衛条約も締結するとまで約束している。
4. イスラエル国防筋によると米国よりの提案は9月にあったもので、ちょうど10ヶ月の建設停止期間が終了するタイミングだったという。ただネタニヤフ首相はこれを一蹴。そこでクリントン国務長官が11月11日に同首相とニューヨークで7時間にわたる会談にのぞみ、同長官から建設停止に加えパレスチナとの米国が提示する交渉ガイドラインの受け入れおよび交渉の障害条件の解決が求められた模様。
5. その際にネタニヤフ首相は大統領信書を受け取り後内閣に信書を提示することを求めたが、閣内・連立与党からこれに異論が出ている。「首相と与党内の意見対立よりも20機を追加導入することのほうが長期的にははるかに意味がある」(バラク国防相)
6. イスラエルは10月に総額27.5億ドルでF-35A20機を購入し、1飛行隊を編成する契約をサインしたばかり。この取引には米国の海外軍事援助資金を活用し、2015年から17年にかけて受領する。追加20機の引渡しは2020年代以降になる。先週末まで、米国の確約は書状ではイスラエルに未着。
aviationweek.com Nov 19, 2010
1. イスラエル国防関係者は米国から申し出ているヨルダン川西岸入植地建設の停止モラトリアム更新の見返りにF-35共用打撃戦闘機合計20機の受け入れを同国政府に求めている。
2. イスラエル・パレスチナ平和交渉の再開を目指し、米国は総額30億ドル相当のF-35を提供する条件としてイスラエル側に入植地建設の停止を求めている。パレスチナは同建設が交渉の障害としてきた。米国務省は今回の供与案件について言及を避けているが、バラク・イスラエル国防大臣は内容を認めている。「当初から40機の導入を目指していたが、予算制約で20機になった経緯がある。米国は入植地建設の90日間停止の見返りに追加20機の提供を申し出ている」と同相は本誌に語る。
3. さらに米国からはイランの脅威に対応する新型技術・装備の提供も申し出ており、国連あるいは国際原子力機関におけるいかなる反イスラエル決議に拒否権を行使し、さらにパレスチナとの和平を実現すれば防衛条約も締結するとまで約束している。
4. イスラエル国防筋によると米国よりの提案は9月にあったもので、ちょうど10ヶ月の建設停止期間が終了するタイミングだったという。ただネタニヤフ首相はこれを一蹴。そこでクリントン国務長官が11月11日に同首相とニューヨークで7時間にわたる会談にのぞみ、同長官から建設停止に加えパレスチナとの米国が提示する交渉ガイドラインの受け入れおよび交渉の障害条件の解決が求められた模様。
5. その際にネタニヤフ首相は大統領信書を受け取り後内閣に信書を提示することを求めたが、閣内・連立与党からこれに異論が出ている。「首相と与党内の意見対立よりも20機を追加導入することのほうが長期的にははるかに意味がある」(バラク国防相)
6. イスラエルは10月に総額27.5億ドルでF-35A20機を購入し、1飛行隊を編成する契約をサインしたばかり。この取引には米国の海外軍事援助資金を活用し、2015年から17年にかけて受領する。追加20機の引渡しは2020年代以降になる。先週末まで、米国の確約は書状ではイスラエルに未着。
中国: J-10戦闘機の改良開発が進展中
Chengdu J-10 Next Variant Developing
aviationweek.com Nov 19, 2010| |
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2010年11月21日日曜日
情報収集協力を強化するアメリカと英国
U.K., U.S. To Share Intel As In WWIIaviationweek.com Nov 12, 2010
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2010年10月17日日曜日
A400Mをインドに売ろうとするエアバスミリタリー
Airbus Military Targets India For A400M
aviationweek.com Oct 15, 2010
エアバスミリタリーは来年にもインドとA400M軍用輸送機の商談を開始する見込み。
コメント こんな商談に送り出される営業担当は大変ですね。インドにとって大きく買い叩くチャンスになるかもしれませんが、軍用輸送機の分野でエアバスは新参者なのでハンディは大きいでしょう。
aviationweek.com Oct 15, 2010
エアバスミリタリーは来年にもインドとA400M軍用輸送機の商談を開始する見込み。
- インドは同機への関心を表明していないが、同社には商談を進める必要がある。
- A400Mの海外販売を進める必要があるのは、同機の開発を巡り欧州内で契約をめぐる意見対立がある他、そもそも開発費用を回収できない見込みがあるため。
- インドはすでにボーイングC-17およびロッキード・マーテインC-130Jの導入をすすめようとしているが、エアバスミリタリーはA400Mがその中間に位置し、隙間ニーズに応える事ができると売り込むつもりだ。実際インドは未舗装滑走路で利用可能な輸送機への関心も持っている。
- また、A400Mを空中給油機として採用する案が欧州内にあることも売り込みの材料としたいと同社は考える。
- A400Mの性能は30トン搭載で2,450海里、20トン搭載で3,450海里と言われるが、実際の性能は飛行テストが終了していない現在では不明だ。
- 同機をめぐってはまだ欧州内で政府、民間入り乱れて開発遅延が三年にもなり、開発費用が追加となっていることから契約上のゴタゴタが続いており、不確定要素が高い。
コメント こんな商談に送り出される営業担当は大変ですね。インドにとって大きく買い叩くチャンスになるかもしれませんが、軍用輸送機の分野でエアバスは新参者なのでハンディは大きいでしょう。
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AIM-120AMRAAM8機とAGM-158JASSM1機を搭載したF-15ジャパン・スーパーインターセプター。 (画像出典:ボーイング) 総 額4億5,100万ドルの契約は、ジャパン・スーパー・インターセプター・プログラムの一環として、航空自衛隊F-15J68機の改修を支援す...
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