2019年4月22日月曜日

米空軍がB-1を海軍に移管すれば中国海軍の動きを封じるのに有効活用できる(はず)

Why the Air Force Might Give its B-1 Lancer to the Navy

米空軍が海軍にB-1ランサーを譲渡したらどうなるか

by

略予算評価センター(CSBA)公表の研究ではUSAFは米国の「空の王者」の地位確保のため必要以上の支出をしているとある。またB-1ランサー退役の提言もある。またもや筆者は予算潤沢な同研究所と見解が相違すると感じる。USAFがランサーに現状と違う任務を与えられないのなら制海任務をUSNでつかせれば良いと考える。特に第一列島線内部で強気姿勢にでているPLANに対抗できるはずだ。

ランサー各機は長距離ステルス対艦巡航ミサイル24本の運用能力があり、スタンドオフ地点で発射できる。ランサーの高速性能をもってすれば発射地点に迅速に到達できる。第1及び第2列島線各地に分散した強化型施設から運用すればランサー部隊でPLAN艦艇の動きを数日どころか数時間のうちに封じることができる。ロシア、PRCがともに長距離の「旧爆撃機」に対艦長距離巡航ミサイルを搭載しUSN艦艇の攻撃を想定している事実を想起されたい。

で想定できるランサ二番目のミッションに2千ポンド精密機雷24発の投入で戦略地点を封鎖しPLAN艦艇のインド太平洋に向けた海峡通行を阻止することがある。機雷にはリスクもあるが、中国の主要港湾を封鎖すれば海軍のみならず民間商船も封じる事が可能だろう。

2千ポンド機雷はJDAMと同じ誘導装置がついたクイックストライク-Jで磁気振動型信管がつきスキップジャックとも呼称される。本体寸法重量ともにJDAMと同様でB-1による投下の実績もある。

PRCが領有を主張する海域すべてを機雷封鎖すればPRCを通過する貨物、商船の海上保険料は高騰し、外国船舶は危険を避けるはずだ。機雷封鎖でPRCの経済活動は一気に縮小され、その恐れだけでも充分で実際に敷設の必要はなくなる。同じ海域で潜水艦による雷撃戦が展開されれば海軍、民間商船問わず活動を妨害できる。■

Bruce Bibee - Senior Warrior Maven Writer - Former US Army officer and Explosive Ordnance Disposal Expert. Vietnam Veteran
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Kris Osborn can be reached at Krisosborn.ko@gmail.com

2019年4月21日日曜日

クラシック機体シリーズ 米海軍初の実用ジェット戦闘機の朝鮮戦争での実績



Air War: How the Navy’s 1st Fighter Jet Battled MiGs over North Korea 米海軍初のジェット戦闘機はMiGと北朝鮮上空でどう戦ったのか


二次大戦後の米海軍はジェット戦闘機の実用化を急いでいた。ただし高速飛行可能な機体を空母の限られた飛行甲板で運用するのは難易度が高い課題だった。海軍初の実用型ジェット機FHファントムは出力不足でわずか二年間しか供用されなかった。
海軍機メーカーのグラマンに1946年にターボジェットG-75試作機四機をピストン機F7Fタイガーキャットを原型で制作する契約が入った。しかし、構想は挫折し、同社は契約資金で単発機G-79製造に切り替えた。これがXF9F試作機となり1947年11月に初飛行した。
米空軍初の実用ジェット戦闘機P-80シューティングスター同様にグラマンは直線翼を採用したため音速近くになると性能に限界があった。グラマンは海軍機には空母着艦の激しい環境に耐える頑丈さが重要と考えた。パンサーには折り畳み翼がつき、飛行甲板を有効に使用する機構となり、パイロットにもうれしい射出座席や与圧式コックピットがついた。
グラマンはF9F-2にロールスロイス製ニーンターボジェットエンジンを搭載し、F9F-3にはアリソンJ33を採用し、英国製エンジンが不調になった場合に備えた。ただしライセンス生産のJ42ニーンは性能が優秀とわかりF-3も適宜改造された。パンサーは取扱と操縦取り回しが楽で時速575マイル、航続距離1,300マイルを翼端燃料タンク2個により実現した。ただし、尾部テイルフックの強度不足を着艦時に露呈した。
パンサーは海軍、海兵隊に1949年から配備され、ブルーエンジェルスも同機を初のジェット機材として導入した。
朝鮮戦闘で初の空戦撃墜
1950年6月25日、北朝鮮人民空軍は100機あまりのソ連供与Yak-9戦闘機、Il-10強襲機編隊で韓国「空軍」の10機弱の訓練機、連絡機を地上で撃破した。
トルーマン大統領が米軍の介入を决定するや、まず航空優勢の確保が課題とアンった。7月3日早朝、海軍はピストンエンジンのスカイレイダー、コルセア編隊を空母ヴァレイフォージから発進っせ平壌の北朝鮮空軍基地を襲撃させた。ここにVF-51所属F9F-3も初の実戦に出動し、攻撃隊の前に北朝鮮戦闘機を排除した。
パンサー編隊が航空基地上空に到着すると北朝鮮Yak-9数機が迎撃に離陸してきた。エルドン・ブラウン少尉、レナード・プロッグ中尉が各一機を撃墜したのが朝鮮戦争初の空中戦成果となった。プロッグはYakの一機は「完全にこちらを狙える位置についたが、これだけ高速に飛ぶ相手をしたことがないのはあきらかだった」という。
北朝鮮空軍は数日にして排除されたが四ヶ月後にソ連パイロットがMiG-15を鴨緑江の反対側の中国から出撃し国連軍を脅かし始めた。MiG-15は軽量で後退翼でこれもニーンターボジェットが原型の発動機をソ連で生産し搭載していた。MiGは高高度性能がパンサーやP-80より優れ、速度も100マイル早かった。
パンサーが性能で劣るのは明らかだったが、特定高度では操縦性が優れ、武装も20見るM3イスパノ機関砲4門と強力だった。射速が早いため毎秒16ポンドの高性能火薬銃弾を打ち込み、合計13秒分の銃弾を搭載していた。MiG-15は射撃時に安定性が欠け23ミリ機関砲二門、37ミリ機関砲一門を搭載したが、後者は命中させるのが難しい上に射速が遅く精度が低かった。
11月9日に、パンサー編隊が中国国境近くの新義州で橋梁攻撃の上空援護を行っているとMiG-15編隊が向かってきた。ミハイル・グラチェフ大尉が率いる第139護衛戦闘連隊の機体だった。VF-111「サンダウナーズ」編隊長ウィリアム・エイメン少佐がグラチェフ乗機が後部に接近し旋回するのをみつけた。ソ連機はパンサー編隊の位置を見失ったようでエイメンはウィングマンのジョージ・ホローマンとMiG機の後方にまわり機関砲を斉射した。
ジグザク飛行で回避しようとグラチェフは急速降下で追撃機を振り切ろうとしたがエイメンの技量はそれをものともせず銃撃を続け、飛行速度は限界に近づいた。エイメンはついに機首を引き起こしたが高度はわずか200フィートだった。グラチェフ機は山の側面に激突した。
これがパンサーによる初のジェット機撃墜事例になった。だがジェット機による撃墜は前日にP-80がMiG-15とのジェット機同士の初の空戦で記録していた。ただし、ソ連米国双方の戦史記録はともに撃墜の事実を確認しておらず、11月9日についても同様だ。
パンサーは11月18日にMiG2機を撃墜している。だが次の空中対決は二年待ってやっと実現した。海軍海兵隊は使用機材がMiGに見劣りすることを認識し沿岸地区での運用に集中させ、空軍の新型F-86セイバーが中国国境近くの「ミグ横丁」で対応した。
ハリウッド映画トコリの橋への登場
だがパンサー搭乗員が安全になったわけではない。朝鮮戦争ではパンサーが87千回の出撃をし、対地攻撃ミッションで橋梁や兵站拠点を攻撃した。F9F-2は千ポンド爆弾2発と127ミリロケット弾6発を搭載可能に改装されていた。
攻撃任務には強烈な対空射撃がつきもので、パンサーは例外的なまでの強靭性を証明し、同機がなければ米人パイロット多数が犠牲になっていただろう。
その後宇宙飛行士になったニール・アームストロングもF9Fで78回のミッションをUSSエセックスから行った。このうちマジョンリの兵站基地への強襲で低空飛行した乗機は山間のケーブル線を引っ掛けた。衝撃で主翼を6フィート失ったが機体をなんとか友軍の戦線まで飛ばし射出脱出した。
その後同僚となったジョン・グレンもパンサーを海兵隊飛行隊VMF-311で1953年に飛ばし、「マグネットアス」のあだ名を頂戴したのは多数の対空砲火を後部に浴びたためだった。そのうち85ミリ砲弾が主翼に3フィートの大穴をあけたが、グレンは基地まで乗機を飛ばした。その一週間後、37ミリ対空火砲弾が命中したがなんとか着陸させた。グレンはその後F-86に乗り換えMiGを3機撃墜した。
グレンのVM-311での戦友にレッドソックスの打者テッド・ウィリアムズがいた。この野球選手は海兵隊予備役として召集され朝鮮で39回の戦闘ミッションをこなした。平壌の訓練基地を襲撃した際に対空砲で乗機F9Fの油圧系統、電子装備が使えなくなり、射出脱出で膝を痛めたくなかったウィリアムズは燃えるパンサーをなだめつつ基地まで帰った。乗機は不時着で損傷したが本人は一年足らずで野球界に復帰した。
2機のパンサーが尾翼と胴体それぞれ破損して帰還した。整備陣破損性のない青色尾翼と銀色の胴体でフランケン・パンサーをこしらえ12回のミッションに活用された。
そこまで運に恵まれなかったものもある。リチャード・ハリオン著The Naval Air War in Korea,によれば空母航空隊は平均10%の搭乗員は朝鮮で失っている。海軍の記録では67機のパンサーを喪失しているが、敵砲火より恐ろしいのが着艦時だと判明した。
ある飛行隊では最初の二ヶ月で受けた損害は敵火砲による穴ひとつだけだったのに35回もの非戦闘事故が発生している。パンサーは着艦時に誤って甲板上の機体に衝突することがあった。だが逆に着艦を誤り艦に激突することもあった。
発艦に失敗し海面に激突する事例も多く発生した。射出脱出で着水しても日本海の冷たい海中では救難ヘリが間に合わないとパイロットが凍死する危険があった。
これとは別の危険は北朝鮮国内の橋梁攻撃でジェイムズ・ミッチナーがマジョンリ事例を中編小説「トコリの橋」にし、1954年に映画化されたが空母運用の複雑な様子を描くとともに米国内で関心の低い戦役に動員された隊員の悲劇をとりあげた。原作はF2Hバンシーだったが、ハリウッドはVF-192「ゴールデンドラゴン」飛行隊のパンサーを使った。実機に加えモデル機を使った撮影を交えた戦闘シーンは60年たった今でも息を飲むものがある。
パンサーからクーガーへ
パンサーの速力不足を痛感したグラマンはパンサー改良型を二形式試した。まずF9F-4がアリソンJ-33を搭載し、F-5はロールスロイスのテイ(7千ポンド推力)を積んだ。ここでも英国設計のエンジンが優秀と判明し、パンサーの最高速度は625マイルになり最大離陸重量も75%増えた。F-4は大半がF-5仕様に改装された。
F9F-5にはレーダー照準射撃性能もつき、機体を延長し燃料搭載量を増やしたほか、尾翼を延長し低速域の操縦性を改良した。グラマンはベアメタル仕上げの機体も試したが耐腐食性能が劣ることがわかった。
この改良型パンサーが朝鮮に姿を表したのは1952年末で海軍の大規模航空戦の最後に間に合った。ソ連崩壊まで極秘扱いだったがF9F-5を操縦するロイス・ウィリアムズがMiG-15の7機編隊とウラジオストック付近で交戦する事案が11月18日に発生した。ソ連機で無事帰還したのは3機だけだった。ウィリアムズも昇降舵のみでやっと着陸したが機体には263個の穴があいていた。ウィリアムズはアイゼンハワーとウィスキーを楽しむ特権を与えられたが、ソ連軍とのドッグファイトの事実は秘密扱いと言い聞かされた。
海軍はパンサーの可能性を認識し、グラマンは後退翼型をF9F-6クーガーとして製造した。クーガーはさらに高速で高高度飛行が可能となったものの航続距離が機体重量増加で短くなった。朝鮮戦争には投入されなかったがパンサーと交替して供用された。クーガーでサイドワインダー空対空ミサイルや戦術核弾頭の搭載が可能となったが、実戦に参加したのはヴィエトナム戦争で前方航空統制官が使用した海兵隊TF-9J練習機のみだった。
ただパンサーにはこれ以外に奇妙な実戦投入事例がある。28機がアルゼンチン海軍に移管されたのは1958年のことで1963年4月2日に海軍内の強硬はが政権転覆を図った。陸軍が戦車連隊を送り、海軍の本拠地プンタインディオの占拠に接近すると同基地に配備されていたパンサーが戦車攻撃に出撃しシャーマン戦車数両を破壊したがパンサーも一機を50口径機関銃で喪失した。プントインディオ基地は翌日陥落した。
パンサーは当時でも最高性能を誇る機材ではなかったが搭乗員の技量と勇気に機体の信頼性と残存性が加わり航空史で特筆すべき実績を残したのである。■
Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

2019年4月17日水曜日

テキサスの民間企業が普通の国の空軍より大規模な戦闘機を運用している理由とは

民間企業が空戦訓練をするのはすでに定着した流れのようですが、民間企業に航空戦力の一部を担わせる動きがこれからでてこないとは言えませんね。イラクやアフガニスタン等ではすでに民間企業が軍事作戦の一部をこなしているではありませんか。では、日本はどうでしょうか。イメージを気にする日本企業では軍事企業は当面あらわれないでしょう。ただし法的に実施は可能なはずですが。日本にもアグレッサー部隊がありますが、考え方は米空軍と似ていますね。しかしそこに大切なF-15を配備しておいていいのかという気もしますが。


Mystery: Why Does a Private Company in Texas Have Its Very Own 'Air Force'? テキサスの一民間企業がこれだけの規模の「空軍」を保有しているのはなぜか

With its 63 former French air force Dassault Mirage F.1s, Fort Worth-based Airborne Tactical Advantage Company possesses an air force that, in size, rivals that of many countries.
フランス空軍供出のダッソー・ミラージュF.1を63機も保有する Airborne Tactical Advantage Company(本社フォート・ワース)は多数の国の空軍を上回る規模だ。
April 3, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: FranceMilitaryTechnologyAir ForceMirage F-1

キサスの一民間企業がフランスから旧型戦闘機多数を取得している。
 フランス空軍が供用していたダッソー・ミラージュF1を63機取得したのはフォートワースに本社をおく Airborne Tactical Advantage Compan (ATAC)で保有機材は多くの国の空軍部隊を上回る。
 ATACは2017年にミラージュを買い敵部隊役運用を強化すると発表した。米軍や同盟国の航空演習での「レッドエア」をシミュレートが目的だ。
 それから二年がたち、ATACは親企業テキストロンの協力を得て、ミラージュ各機の再整備改修を完了したと発表した。
 「テキストロンがF.1およそ45機のエイビオニクスをデジタル周波数メモリージャミング式にし、レーダーも更新した」とJane'sが報じた。「ATACはミラージュを米空軍向けの敵部隊役に投入する。米空軍はレッドエア訓練に150機程度の需要を想定している」
 ATACではホーカー・ハンター、IAI製F-21クフィール、エアロヴォドチョディL-39ZAも運用中。その他のレッドエア企業にはドラケン・インターナショナルタクティカル・エアサポートトップエイセズエアUSAがある。
 このうちタクティカル・エアサポートはヨルダンからF-5を21機購入し、同型機を計26機にした。ドラケンは南アフリカからチーター戦闘機12機を購入し、自社保有機を109機にした。
 これまで米軍はレッドエアを自前整備してきた。空軍には「アグレッサー」三個飛行隊でF-15やF-16を装備していた。だが2014年に費用節減のためF-15運用を中止した。残る二飛行隊はネヴァダ、アラスカにあり、現在もF-16を敵機役に投入している。
 米海軍、海兵隊にも敵機役飛行隊があり、F-16初期型やF/A-18とスイスが運用していたF-5を改装し運用中。海軍の2020年予算要求にはスイスからF-5を40百万ドルで22機調達し、F-5の44機体制を維持するとある。
 海軍では空軍とちがい自前レッドエアを削減していないが、もっと多くの敵機役機材が必要としている。海兵隊の2018年航空部隊運用案では「敵機役機材の確保が空対空訓練で最大の課題だ」としていた。
 海兵隊ではおよそ100機の対地攻撃用ハリヤーのF-35への更新が課題で、F-35は空対空性能を拡充している。F-35の性能を発揮させるためにも海兵隊パイロットに空戦訓練の強化が求められている。
「敵機役訓練の年間需要は17年実績の6,400ソーティが22年度には8,300ソーティになる」と海兵隊は記していた。海兵隊は年間10,000ソーティまで増やしたいが、訓練には「機材のやりくりとF-5機数」の制約があるという。
 自前敵機飛行隊の強化策として海軍はタクティカル・エアサポートに5カ年106.8百万ドル契約を交付し、レッドエア運用をさせる。
 空軍では海軍より敵機役機材多数が必要だ。つなぎ策として空軍はレッドエア運用を小規模ながらネリス空軍基地他州軍航空隊の基地六ヶ所で行う契約をドラケンに交付した。
 2018年末に空軍はレッドエア企業会社に大規模運用の提案内容を求め、単一企業で年間3万ソーティを数十億ドルで行わせたいとする。契約交付は2019年ないし2020年になる見込みだ。
 「理想を言えばマッハ1.5程度の飛行性能で上昇限度35千フィート、45分から60分飛行が可能な機材がほしい」とAir Forceマガジンが空軍文書を引用して紹介していた。
 「機材には火器管制レーダーで探知追尾ができ、『敵性機材への武装運用』を模擬出来る性能を求める」とあり、「半アクティブミサイルで20カイリ、アクティブミサイルで45カイリの射程を模擬』する能力が想定される。
 ATACには自社所有機多数があり、今回の有利な契約の獲得が有望視されている。しかしレッド業界も競争が激しく、空対空戦訓練の需要の高まりの中で同社も競争に直面しているのが現実だ。■

Image: Creative Commons.

2019年4月16日火曜日

アサンジ逮捕を歓迎する


コメントは下にあります。

Assange Should Get What He Deserves 

アサンジには実刑がふさわしい

April 12, 2019  Topic: Security  Region: Americas  Tags: Julian AssangeCrimesConstitutionPressRussia

The First Amendment to the Constitution does not protect someone from shouting “fire” in a crowded theater. Similarly, it does not protect a so-called journalist who maliciously harms the nation’s security, as Assange did.
米国憲法修正第一条は満員の劇場で「火事だ」と叫ぶものを保護してくれない。同様に国家安全保障に害を与える自称ジャーナリストも保護の対象ではない。アサンジはまさしくこの事例だ。
ュリアン・アサンジはジャーナリストと自称している。ロシアから金銭を受け取る工作員なのかもしれない。あるいそうではないかも。だが本人の行ってきたことはまさしくこれと同じだ。ねらいは米国に最大限の損害を与えることだった。チェルシー・マニングという裏切り者の助けを得たアサンジは米外交に損害を与え、米国人の生命も危険にさせた。2016年大統領選挙の結果に影響を与え、クレムリンと結託してのは間違いない。選挙結果を決定づけたわけではないがその流れを助けたのは確実でロシア側の期待を裏切らなかったはずだ。
真のジャーナリストには曲がった信念はない。ペンタゴン文書をリークしたのは米政府が国民に嘘をつき数万名もの米国青年がヴィエトナムの水田で命を落とすのは耐えられないと考えた者の行為だった。ウッドワード、バーンステイン両記者は「大統領の陰謀」を追求したのはホワイトハウスが正義を阻害している事実を発見したためだった。これに対してアサンジの狙いは戦争の継続で人命が失われる背景の真実を追求することでもなく権力の点検と抑制という米国制度を妨害する動きを食い止めることでもなかった。
アサンジは米国への身柄移送に必死に抵抗するはずだ。なぜならアルカイダと何ら変わる存在ではないと本人が一番よくわかっているからだ。ともに目標が同じで米国とその民主制度を破壊できなくても弱体化させようとしている。
アサンジの弁護側がすでに米国への身柄移送と米国裁判制度での実刑判決が避けられないと金切り声を上げており、調査報道が米国初め各国で終焉すると主張している。これはジャーナリストというアサンジ本人と同じくばかげた主張だ。ともに軽蔑に値する主張だ。
ジャーナリストにも一般市民同様に言論の自由に限界がある。米憲法修正第一条は満員の劇場で「火事だ」と叫ぶようなものの保護は意図していない。同様に国家安全保障に損害を与えんとするジャーナリストにも保護は与えない。アサンジが行ったのはまさしくこれだ。これと反対のことを考えるものは米国の敵と言ってよいし、裁判所で刑罰を受けて当然だ。防諜法は成立後95年が経過しているが意味を失ったわけではない。米国の安全保障を意図的に貶めようとするものの訴追根拠となる法律であることに変わりはない。
アサンジの米国への身柄移送は多くが望んでおり、防諜法により裁きを受ければ米国を危機に落とそうと考える他のものにも警鐘となるはずだ。一方で正しい行動をとる調査報道記者には政府の過ちを暴くことに何ら影響は出ない。アサンジについて言えば、残りの人生を刑期として過ごすことになろう。米国納税者の好意により本人が連日三食を楽しみ、スポーツ他活動にいそしみ学位さえ取得すれば心苦しくなる。これが他の国ならたとえばルビヤンカ刑務所ならウィキリークスによる獄中生活はここまで快適ではないはずだ。■
Dov S. Zakheim was an under secretary of defense (2001–2004) and a deputy under secretary of defense (1985–87). He is vice chairman of the Center for the National Interest.

権利を振りかざし自らが正義と錯覚しているジャーナリスト、あるいは取材もしないくせにジャーナリストを自称する向きを見ているとなにかおかしいといわざるをえません。報道機関には責任もあります。今回の逮捕でもさっそくアサンジを英雄扱いし時代の逆行、反動政治、言論圧迫と限りなく飛躍した主張を平気でする向きがありますが、よく考えてもらいたいですね。これは「アベ政治」を倒せば良いとの主張で野党と共闘する偏向したジャーナリストにもあてはまるかもしれません。今まで手を付けられなかったことのほうが異常ですが、アサンジ本人は隠遁生活で老化してしまったようですね。歪んだ精神はそのままでしたが。今後訴追され刑罰を受けることになれば大多数の国民は溜飲が下がる思いになるのではないでしょうか。自由の旗をふりかざしつつ悪辣な意図を有していればこうなるという極めてわかりやすい事例のようですね。ではスノーデンはどうなるのでしょう。

2019年4月15日月曜日

あと20年間はF-15MJの活躍に期待せざるをえない日本はここまで性能を引き上げる



Japan Plans to Sell Off 100 of its Homebrew F-15J Eagles to Pay for More Stealth Jets A good idea or big mistake?

F-15J100機余りの売却でステルス機導入の費用捻出とする日本の目論見の成否は?

April 13, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarJapan
国以外でF-15イーグル最大の運用国といえば日本だ。強力な双発エンジンを備えた同機は高速、高性能レーダーと大量の燃料兵装搭載能力を組み合わせ広く伸びる日本列島周辺空域の哨戒に不可欠の存在だ。日本のF-15Jと複座F-15DJ練習機は米国外で生産された唯一の事例だ。1970年代中頃に三菱重工によるF-15Cライセンス生産が決まった。
F-15JとF-15Cは似るが、米側が供与を渋り日本はデータリンク、レーダー受信警告装置J/APR-4、電子対抗装置J/ALQ-8の国内開発を迫られた。また非誘導式Mark 82爆弾の搭載も可能となった。
F-15J初号機の初飛行は1980年で1982年の稼働開始時点で東アジアで最強の機材となった。213機を生産したが半数を占める後期生産型は多段階改良パッケージ対応のF-15MJとなり、強力なコンピューターやデジタル画面、空調機能の向上、J/APQ-1レーダー警告装置の追加、日本製ミサイル運用能力が実現した。後者には短射程熱追尾式AAM-3、レーダー誘導式AAM-4(射程62マイルから75マイル)がある。日本は地表走査用合成開口レーダー搭載のRF-15偵察機開発を企画したが2010年に断念した。
現在の日本のF-15Jおよそ155機、F-15DJの45機は四個航空団の千歳、小松、新田原、那覇の各基地で運用中だ。さらに5機をアグレッサー部隊として訓練投入している。2018年には初の女性戦闘機パイロットも登場した。
ロシア、中国の機材が日本領空に接近してくるため日本のイーグルは多忙な活動を強いられている。2018年に航空自衛隊のスクランブル発進は各四機体制で900回を数え、連日3回近く発生している。特に中国機の動きが活発となっているためF-15Jは機体耐用時間を急速に減らしており、領空接近事例の全数対応を断念せざるを得なくなった。
通常の哨戒飛行や訓練でも危険はつきものだ。1983年から2011年にかけF-15Jの喪失は十数機を数え、うち1988年には2機が空中衝突した。1998年には模擬空戦で僚機が誤射したサイドワインダーミサイルで一機が墜落したがパイロットは無事射出脱出している。
ほぼ半数のF-15MJはばらばらに改修を受け、強力なAPG-63(V)1レーダーへの改装、Link-16で米軍との共同作戦能力が実現し、F100-PW-220ターボファンエンジンにデジタル制御をつけた。
一部機材だが赤外線捜索追尾(IRST) ポッドを機首につけヘルメット搭載視野表示と連結させAAM-5(AIM-9Xサイドワインダーとほぼ同等)を運用する。AAM-5は推力偏向式で急角度飛翔が可能で発射後のロックオンも必要に応じ可能だ。IRSTはレーダーより有効範囲が短いが高精度で中国の新型J-20のようなステルス機に有効だ。
残る半数の初期生産型F-15SJは改修を受けておらず、今でも高速かつ大量搭載能力があるとはいえ、センサーや兵装システム、防御用エイビオニクスを欠くため状況認識能力や有効攻撃射程で中国の最新鋭機材に見劣りがする。例としてF-15SJは旧式AIM-7Fスパローミサイルを発射し標的に命中するまでレーダー照射し続ける必要があるが、AAM-4なら撃ちっぱなしですむ。
航空自衛隊はイーグル機材のうち古い半分を処分してF-35百機超の購入資金捻出を狙うこととした。F-35が現在の任務には最適化された機材といえないとしても。
2018年12月に日本はF-15SJをF-35A、F-35Bの計105機に更新するとの報道が出た。先に発注した42機のF-35はF-4EJファントムの更新用機材の位置づけだった。ただF-35は高価なため旧式F-15SJを米国に買い取らせ、その後「東南アジアの某国」に再販売するとの内容だった。
F-35のステルス性の象徴たるレーダー断面積の小ささと強力なネットワーク型センサーで敵機を先に探知し交戦する能力が実現した。この点でF-15と大きく異なる。ただし、ライトニングは防空任務より攻撃機として敵防空網の突破をねらう機材であり、F-35の飛行半径はF-15の半分でステルスモードではペイロードも限定され、速力も三分の二程度のマッハ1.6にとどまる。このためF-35Aは高性能戦闘機や地対空ミサイルの脅威に生存性は高いもののF-15J後継機として理想的とは言えない。
迎撃任務の課題にさらに問題を投げかける形で日本国内で組み立てたF-35A一号機が4月9日に太平洋洋上で訓練中に墜落した。F-35の機体喪失として二例目だが事故原因は現時点で不明だ。
日本はF-22ラプターのようなステルス制空戦闘機導入を長く希望していたが、報道によればF-22/F-35ハイブリッド機材の検討はあったが中期防衛力整備計画で海外提案は棚上げし、F-3ステルス戦闘機開発を進めるとある。
F-3は予定通りに開発となれば2030年代中頃の供用開始となる。そこで2018年に日本は500百万ドルでF-15MJ改修を発表し、まず89百万ドルで試作型2機で改修を始める。計画ではAAM-5運用能力、Link-16データリンク、IRST以外にも新技術導入を全機に均一に搭載するとある。そのひとつにAPG-63(V)3アクティブ電子スキャンアレイ (AESA) レーダーの導入が考えられ、米空軍のF-15Cと同等になる。AESAレーダーは強力な性能がありながら妨害に強く従来のレーダーより優れる。
F-15は兵装運用能力も強化し、新型四本ミサイルラックで現行の8本が最大18本(四本ミサイルラック4個と短距離ミサイル2本を翼端につける)に増える。これで六対一といわれる中国の数的優位性を覆す。
またF-15MJではAGM-158JASSMステルス巡航ミサイル運用能力も実現すると発表されている。射程230マイルのスタンドオフ兵器で敵防空レーダーにホーミングし破壊する装備だ。JASSM調達で専守防衛から一転して対地攻撃能力が加わり、中国や北朝鮮の弾道ミサイルを狙う意図が見える。日本には有人機より弾道ミサイルの脅威が大きい。そこまで高価でないその他の空対地兵装やジャミングポッドが導入されればF-15Jは真の多用途機になる。.
今後日本運用のF-15機材数は急速に縮小するはずだが、残るF-15MJの改修で能力の幅が広がる。日本のイーグルは今後二十年間にわたり安全保障戦略上で重要な役割を果たすはずだ。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
Image: Wikimedia Commons

2019年4月14日日曜日

開発中と言われる極超音速SR-72は実現すれば無人爆撃機にもなる



The Super Secret SR-72 Spy Plane (That Might Also Be a Stealth Bomber) 

極秘SR-72スパイ機はステルス爆撃機にもなるのか

Could this be the real deal? Will it actually happen? だが実現できるのか
April 8, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: SR-72SR-71MilitaryTechnologyWorldStealth


ッハ5で飛行可能な極超音速兵器が世界の国防産業界のはやり文句になっている。中国、ロシア、米国の各国が開発に注力しており、軍備装備の開発を巡るレースに火を注ぐ効果を生んでいる。
長距離弾道ミサイルでは発射後短時間で極超音速に達するが、かわりに飛翔軌跡が予測可能なため事前に探知され相手側に軍事上政治上で対応策を打つ時間が生まれる。さらに弾道ミサイルの迎撃能力を備えた装備品が増えてきた。
だが2013年にロッキード役員のロバート・ワイスがAviation Weekに極超音速機を開発中と話し波紋を呼んだ。しかも伝説のSR-71ブラックバード・スパイ機を想起させるSR-72の名称に触れたのだ。
ブラックバード並の巡航速度を長時間持続できる有人機はない。SR-71はミサイルが届かないまま北朝鮮や中東で写真偵察を行ってきた。だが最新の地対空ミサイルの前にマッハ3でも生き残りが難しくなっている。だが極超音速機なら再度ミサイルを出し抜くことが可能となる
SR-72はロッキードの説明ではマッハ6の飛行が可能という。ロケット推進方式のX-15テスト機はマッハ6.7まで達したが、B-52母機から切り離され飛翔していた。SR-72は低速での離着陸をめざす。
ワイスは「...技術は成熟しておりDARPAや軍とこの性能を実働部隊に一日も早く提供しようと懸命になっている。大日程や詳細はお話できない。全て機微情報だ....大まかなお話はできるが細かい部分には触れられない」と述べた。
ロッキードはエアロジェット・ロケットダインと複合サイクルエンジンで突破口を開いたと言われ、タービンとスクラムジェットを使い分ける。極超音速飛行時はスクラムジェットを使う。ターボファン、スクラムジェットが空気取り入れ口、排出口を共用する。
ワイスは任意で有人操縦可能な全長60フィート(ジェット戦闘機並の大きさ)単発テスト機の製造に「わずか」10億ドルの予算をつけてもらいたいとの希望を示した。ここから双発で全長100フィート超のSR-72を開発するとしていた。
ワイス発言から6年が経過したが、ロッキードは本来なら一般に紹介できないはず秘密開発案件の割には異常なほど関心を集めようとしている。その一環でSR-72開発用の試験機は完成ずみとも聞こえる発言が出ている。
その例として2018年の科学技術学会で同社副社長ジャック・オバニオンが「(三次元設計技術の)デジタル化がなければ製造は不可能だったろう。五年前の技術では実現できなかった」と述べたが、執行副社長オーランド・カバルホはFlight Globalに「(SR-72は)未完成と断言しておく」としオバニオン発言は「違う文脈から」の引用だというのだ。
ロッキードの極超音速機の大々的宣伝で実機が存在するのかしないのかあえて不明にしているのは追加予算獲得が狙いなのは明らかだ。同社が共同開発に当たる相手の国防高等研究局(DARPA)は画期的技術の開発に特化し空軍の要望に答えるよりも時代の先どりをしすぎる傾向がある事で知られる。
米空軍も極超音速機の運用は長期課題としながら、近い将来に必要となるのはF-35ステルス戦闘機多数(これもロッキード製品だ」と今後登場するB-21レイダーレイダーステルス爆撃機だ。空軍としても希望機材全ての調達はできないと自覚している。その中で非常に高額で先端技術の塊ともいえる構想に予算を確保するのは容易ではない。
ブラックバードの呼称SRは戦略偵察の略で防空体制の整備された空域に進入し地上の状況を迅速に撮影するのが役目だった。だがSR-72の名称には誤解を与える余地が多々ある。
極超音速SR-72が無人航空機UAVとなるのはほぼ確実だ。言い換えれば通常は「Q」の制式名称がつく無人機だ。どこまで人間の介在が必要となるのか、事前プログラミングによる飛行制御と自律飛行の組み合わせなど興味深い点は多い。
さらにSR-72には情報収集監視偵察(ISR)任務以外に事前探知されずに目標を攻撃する能力もつくはずだ。いいかえれば爆撃機だ。時速4千マイルで飛行すれば極超音速爆撃機が米大陸内の基地を離陸すれば太平洋や大西洋の彼方の目標に90分で到達できる。極超音速ミサイルとちがい、基地に戻り次の再搭載し任務投入できる。
ワイスは当初からSR-72に「攻撃能力も念頭にある」と発言していた。SR-72は迅速汎地球攻撃構想から生まれロケット推進式のファルコンHTV-3極厚音速テスト機が開発の原点とされる。
だが極超音速爆撃機兼スパイ機に費用対効果があるのか議論が分かれる。まずステルス性能の欠如は確実で、そもそもこれだけの速度で飛行すれば熱発生は各種センサーに明示され、レーダー波吸収剤も空気摩擦で消失する。敵勢力にも同機の飛来は判明するはずだが、対応時間が限られる。
現時点の防空ミサイルの性能は超えているとはいえSR-72の存在で地対空ミサイルの性能向上にはずみがつき極超音速機対応も生まれるだろう。SR-72爆撃機ではこれだけの高速度で運用可能な新型兵装の開発も必要で高額な予算投入につくだろう。
ブラックバードが引退しても後継機が登場しなかったのはスパイ衛星の性能向上でそのISR機能が微妙になったこと以外に低速ながらステルスの長距離無人機としてRQ-170が登場した事が大きい。ブラックバードは高度防御体制の空域に進入できるが、ステルス無人機ならスピードは遅くても同じ機能を確実にこなし、対象地点上空の滞空時間も長く、リアルタイムで映像を数時間送れる。ペンタゴンが長時間飛行可能な超ステルス機RQ-180の開発をノースロップ・グラマンに発注したのは同機でSR-72の機能を実質的に果たせると考えていることを思わせる。
SR-72推進派には「スピードがステルスの新しい定義だ」との声があり、今後登場するネットワーク化センサー装備でステルス機の生存は不可能となるとの予想がある。機体防御策がふたたび速度になるというのだ。ペンタゴンがあらゆる形の極超音速兵器に関心を寄せていることからロッキードの極超音速UAVに追加予讃措置が付く可能性もある。しかし、ステルスを中心に捉える空軍の価値観からすれば困った状況になりそうだ。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

Image: Lockheed Martin.