2020年11月23日月曜日

日米共同開発のSM-3がICBM迎撃に成功。ミサイル防衛体制整備にどんな影響が出る?

 現地時間(ハワイ)2020年11月16日にSM-3 IIAがICBM迎撃に成功しました。日米共同開発のSM-3はBMDでどんな役割を期待されるのでしょうか。Defense Newsが伝えています。

海軍がスタンダードミサイル-3ブロックIIA迎撃弾で大陸間弾道弾迎撃に成功した。米国および同盟国向けのミサイル防衛の実効性が向上しそうだ。

ミサイル防衛庁によれば「脅威対象」のICBMはマーシャル諸島ケジェリン環礁から発射されハワイに向かった。「ハワイ防衛」シナリオをシミュレートし、海軍は駆逐艦USSジョン・フィンのイージス弾道ミサイル防衛システムでSM-3IIA迎撃ミサイル一発を発射し、ICBMを撃破した。

米議会は北朝鮮のミサイル脅威の高まりを意識し2018年度国防予算認可法でMDAに2020年末までにミサイル迎撃実験の実施で、SM-3 IIAでICBM迎撃が可能か検証させることにしていた。

結果として議会は正しかったことになる。

北朝鮮は長距離弾道ミサイルの発射テストを一時停止中だが、陸上配備・海中配備ミサイルの開発は続けている。最近の軍事パレードに北朝鮮は最新鋭かつ最大のICBMを参加させた。このミサイルの飛翔テストは未実施だが、既知のKN-08、KN-14、火星-14、火星-15の四種類はICBMに分類される。

ここに火星-16が加わり北朝鮮はICBM5型式をそろえたことになる。

イランでも同様の脅威が増えており、同国が北朝鮮とミサイル分野で協力していることを米政府は把握し、代償を払わせている。

今年4月にイスラム革命防衛隊の航空宇宙軍が固体燃料二段式ロケットで初の軍事衛星打ち上げを実施した。

現時点でイランはICBMは保有しておらず、ミサイルに2千キロの射程上限を自ら課している。だがイラン関係者が豪語しているように現在の自己規制も終焉を迎える時が来る。すでにイランは短距離中距離弾道ミサイルでは中東最大の規模の装備をそろえている。2019年度ミサイル防衛レビューではイランが「米国に対する戦略手段取得に熱意を示しているなか、ICBM配備が実現する可能性があり、宇宙計画の進展でICBM実現も早まる」と述べていた。

そもそもSM-3 IIAは中距離ミサイル迎撃用に開発され、今回の迎撃成功はMDAが同ミサイルを使い、米国を不良国家のICBMから防衛しようとしていることを意味する。米国の現在の本土防衛体制では地上配備迎撃ミサイルが44基カリフォーニア、アラスカにあり、ICBMを中間飛翔段階で撃破する。つぎに最終段階高高度地域防衛システム(THAAD)は強力なレーダーで弾道ミサイルを追尾し、ICBMが自国内に落下する寸前で撃破を狙う。

SM-3 IIA迎撃ミサイルでICBMを撃破する可能性が出てきたわけで、国防総省発表の図式はこれも含めたミサイル防衛体制を示している。

(U.S. Defense Department)

ミサイル防衛手段が増えることはいいことだが、他方でミサイル防衛能力の整備が逆にロシア、中国との関係を不安定にすると心配する向きもある。

だがその根拠は疑わしい。米本土のミサイル防衛体制は比較的軽微の攻撃が北朝鮮あるいはイランから飛来する前提で構築されている。SM-3 IIAを追加しても米国のミサイル防衛体制はロシアや中国の大規模攻撃には対応できない。

中ロいずれかからの大規模攻撃で米ミサイル防衛は簡単に圧倒されてしまう。両国が開発中の極超音速ミサイルや巡航ミサイルを想定すればこの危惧は現実のものだ。

そこで米国は核の三本柱で中国ロシアからの攻撃を抑止している。

ロシア、中国も米国のミサイル防衛体制が能力向上されてもSM-3 IIAでは大規模ミサイル攻撃を防げないと承知している。それでも両国は米国の動きを非難しつつ、裏で自国のミサイル防衛体制を整備しており、ロシアが配備中の本土防衛迎撃ミサイル数は米国を上回る。

今週のテスト成功で議会はミサイル防衛体制関連の支出に十分な予算を付けるだろう。今回は米国のミサイル防衛の整備で好機であり見逃すべきではない。■

 

この記事は以下を再構成したものです。なるほど、BMDも重要ですが、もっと重要なのが抑止力の維持ということですね。

 

Successful SM-3 weapons test offers missile defense opportunity

By: Bradley Bowman and Behnam Ben Taleblu    13 hours ago

 

Bradly Bowman is senior director of the Center on Military and Political Power at the Foundation for Defense of Democracies, where Behnam Ben Taleblu is a senior fellow.

 

 

 

 


2020年11月22日日曜日

北朝鮮経済が深刻な状況。ジャガイモ生産の奨励は米作が期待できないため。北朝鮮崩壊のカウントダウンか。

 


 

朝鮮経済で主要作物といえば米だが、同国メディアは米よりもジャガイモに焦点を当てている。

 

これは北朝鮮には不吉な兆候とNK Newsが伝えている。

 

「食料供給はDPRKでは政治的な意味があり、白米を思い切り頬張る光景のかわりにジャガイモが表に出てきた」(NK News)

 

北朝鮮で料理番組やニュースがジャガイモ調理を強調している。背景にここ数年同国を襲った危機的状況の連続があり、コロナウィルス、経済制裁、立て続けに上陸した台風もその一部だ。


 

Daily NKは今月初めに北朝鮮が「自家製」アルコール製造を摘発し、「今年の北部でのジャガイモ収穫は昨年より少ない」と報道している。

 

北朝鮮のGDPは25%が軍事費といわれ、国民の大部分は満足に食事できない。一方でコロナウィルスが全国流行しており、学校の再開もままならない。また豚熱の流行で豚肉供給が不足との報道もあり、経済消費が大きく減っている。

 

Daily NKの昨年10月報道では両江道内住民にジャガイモ収穫が優先課題と伝えられたとある。同地区は国内最大のジャガイモ生産拠点である。またAFPの2018年7月記事では金正恩が同じ両江道の三池淵市でのジャガイモ農園訪問を同時期に北朝鮮訪問したポンペイオ国務長官との会見より優先したとある。

 

北朝鮮には「ジャガイモの誇り」と呼ぶ宣伝歌があり、「村の高齢者が政府のジャガイモ配給を受け、村人に分け与える。YouTubeには思い切り笑みを浮かべて歌う様子がわざとらしいが、実は北朝鮮の貧困状況が実に深刻であり、政府への忠誠を強いる実情を示している」と AllAroundthisworld.comが解説している。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

North Korea Is Emphasizing Potato Production. That Might Be a Bad Sign

November 10, 2020  Topic: Economics  Region: Asia  Blog Brand: Korea Watch  Tags: North KoreaPotatoesRiceFamineCrop Failure

How bad is the food situation getting in the Hermit Kingdom?

by Stephen Silver

 

 

Stephen Silver, a technology writer for The National Interest, is a journalist, essayist and film critic, who is also a contributor to Philly Voice, Philadelphia Weekly, the Jewish Telegraphic Agency, Living Life Fearless, Backstage magazine, Broad Street Review and Splice Today. The co-founder of the Philadelphia Film Critics Circle, Stephen lives in suburban Philadelphia with his wife and two sons. Follow him on Twitter at @StephenSilver.

Image: Reuters


2020年11月21日土曜日

新型30FFMは護衛艦ではなくフリゲート艦だ。「くまの」進水したばかりで早くもインドネシア輸出が取りざたされているが、これでいいのか。

  

Japan Maritime Self-Defense Force


 

本が新型の多任務フリゲート艦を進水させた。無人装備やレーダー断面積の削減など新技術を盛り込んでいる。

 

30FFMにはくまのの艦名がつき、11月19日に三井造船玉野造船所で進水し、2022年に海上自衛隊に編入される。

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ただし、くまのは二号艦で、初号艦は三菱重工業の長崎造船所で建造中だ。防衛装備庁は2017年に三菱重工案を採用した。

 

日本政府は先に6隻を発注し、次年度の予算要求では951百万ドルで二隻を追加している。海上自衛隊はフリゲート艦を22隻まで整備する予定で、三菱重工と三井造船がそれぞれ建造する。

 

30FFMは護衛艦とされ30DXと以前よばれていた。全長435フィートで排水量は3,900トンだが完全装備すると5,500トンになる。ステルス形状でレーダー断面積を減らし、無人水上、水中機を発進、運用、回収できる。

 

その他の特徴に統合マストがあり三菱電機製OPY-2多機能レーダー他各センサーを格納する。その他統合戦闘情報センターや自動化の採用で乗組員は90名に減らしていることがある。

 

対機雷戦、対潜戦ソナーがつき、シーホークヘリコプター運用用の格納庫もある。兵装にレイセオンのRIM-116ローリングエアフレイムミサイルと三菱重工製17式対艦ミサイルを搭載する。

 

30FFMの推進方式にはロールスロイス製MT30ガスタービンとMAN製12V28/33D仕様のSTCディーゼルエンジン二基を組み合わせ、30ノットを実現した。

 

シンガポールのビジネスタイムズによればインドネシアが30FFMを4隻導入し装備近代化の一環にする意向だという。菅首相とジョコ・ウィドド大統領が10月に会談しており、合意が形成される。■

 

この記事は以下を再構成したものです。新鋭艦をそのままインドネシアが入手できると調子のいい考えを射ているとしたら大間違いでしょうが、日本側が本当にそのまま輸出して実績だけ作りたいと考えていればもっと大きな間違いではないでしょうか。

 

Japan launches first ship of new frigate class


By: Mike Yeo    18 hours ago


2020年11月20日金曜日

2020年11月17日、イスラエル軍がシリア国内で広範囲空爆を展開し、シリア国内のイラン軍を標的にした。

 IAF photo

ウヴダ航空基地から離陸するイスラエル軍のF-35I。

スラエルがここ数年で最大規模の空爆をシリアに加えた。国際原子力エナジー機関がイランで核物質貯蔵量が急増していると発表した直後のこととでイランの濃縮ウラニウムは2015年核合意時の12倍になっている。

イスラエル軍は滑空爆弾他「その他兵器」でゴラン高原からダマスカスにわたる標的8か所を撃破し、ダマスカス国際空港付近のイラン軍施設もそのひとつだった。ここはイラン軍高官の宿舎さらにシリア陸軍第七師団の指令所にもなっており、高性能地対空ミサイル発射陣地にもなっている。

イスラエル筋によればモスクワへのホットラインを使いロシア側に「空爆数秒前に」警告を伝えたという。

「IDF機はイランのクッズ部隊、シリア陸軍の軍事標的数か所を攻撃した。攻撃により倉庫、指令所、軍事施設、地対空ミサイル陣地に損害を与えた」とイスラエル国防軍は声明文を発表した。

今回のイスラエル軍の行動の理由について、消息筋はイスラエルとイラン間の緊張が高まり、さらにウラニウム濃縮を急ぐイランが「核爆弾製造にあとわずか」になったためだと説明している。

シリアの国営SANA通信社はシリア防空部隊が「イスラエルの侵略」を同国南部で食い止め、ミサイル数発を撃破したと発表。イスラエル筋によればシリアにはパンツィール防空システムがあるが、イスラエル空軍のスタンドオフミサイルを迎撃できなかった。

IDFで情報研究部門を統率していたエイモス・ギリードはシリアが自国内でイランに活動を許しており、イスラエルはイランの勢力拡大はこれ以上認められず、あらゆる手段をとる必要に迫られており、シリアが真意を理解しないと今後も同様の攻撃が続くと解説している。

イスラエル軍は今回の空襲への反撃はないとみているが、アイアンドーム対ミサイルシステムが同国北部に展開中で、地上部隊も警戒態勢を強めている。

はたしてこれはエスカレーションのスタートになのか。イスラエル筋によればイランが核合意に違反したためイスラエルの大規模作戦が「現実のもの」となったのだという。■


この記事は以下を再構成したものです。

Israel Kills 10 Iranians In Large Air Strike Against Targets In Syria

By   ARIE EGOZI

on November 18, 2020 at 11:09 AM


2020年11月19日木曜日

USSロナルド・レーガンが5か月の哨戒から横須賀へ帰港。USSニミッツは第七艦隊へ編入。

 


電子攻撃飛行隊(VAQ)135所属のEA-18Gグラウラーが米海軍唯一の前方配備空母USSロナルド・レーガン上空を飛行した。グラウラーは三沢基地に展開している。 Nov. 13, 2020. US Navy Photo

 

USSロナルド・レーガン(CVN-76)が五か月超の哨戒任務から日本に戻ってきた。

 

前方配備艦レーガンは横須賀に11月14日帰港した。哨戒は159日にわたり、日本配備の空母で1999年以来の記録となった。同年に日本を母港としていたUSSキティ・ホーク(CV-63)が中東、西太平洋で176日の航海をしていた。

 

日本配備の米空母は短いパトロールに出港し、横須賀で整備を受けることが多い。

 

「ロナルド・レーガンの柔軟展開で地域内の同盟国協力国に公海上の自由の維持に米国が真剣な姿を見せられる」とレーガン館長フレッド・ゴールドハマー大佐が声明文を発表。

 

「日付変更線からインド洋までさらにフィリピン海へといかなる地点へもレーガンで『力を介した平和』を維持しつつ、求めあればすぐ対応できる体制を維持している」

 

レーガンが日本を出港したのは5月初めで6月に西太平洋で哨戒した。その際はUSSニミッツ(CVN-68)と南太平洋での演習(7月)を展開した。

 

一方で強襲揚陸艦USSアメリカ(LHA-6)も佐世保に戻っている。アメリカとレーガンは9月にヴァリアントシールド2020演習に加わった。

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ニミッツは最近まで中東に出動していたが、今は第七艦隊に加わっており、マラバール演習でインド空母と共同行動している。

 

ニミッツはペルシア湾方面に約二か月展開してからインド方面に移動した。■

 

この記事は以下を再構成したものです。


Japan-Based Carrier USS Ronald Reagan Wraps Up Record Patrol; Nimitz in 7th Fleet

By: Mallory Shelbourne

November 16, 2020 12:48 PM


2020年11月18日水曜日

今度は「電磁プラズマ砲」。中国からのニュースを笑い飛ばしてはいけない。

 

 

国が「電磁プラズマ砲」を開発中と主張している。

 

中国軍が研究者向け公告で電磁レイルガンと思われる兵器開発で人材を募っている。数か国で電磁レイルガンが研究中だが、サイズと消費電力のため兵器として配備に至っていない。

 

だが中国は電磁プラズマ砲なら軽量化しつつ消費電力も抑えられるので、戦車にも搭載可能としている。

 

「今回の公告は電磁プラズマ砲の理論試験ならびに発射装置の開発を募っている」と国営環球時報が伝えている。「まるでSF映画のように聞こえるが、実際に発射するのは高エナジープラズマではなく、超高速弾だろう」

 

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だが電磁プラズマ砲とはどのように作動するのだろうか。環球時報では中国国内で出願済みの特許がGoogle Patentsに登録されているとする。以下特許文を見てみよう。


本特許は電磁プラズマ砲に関するものである。磁場を砲本体に設定する。磁場方向を砲本体の軸方向と一緒にする。磁場の強度は砲本体の内壁から砲本体の軸に向かい漸次弱くなる。砲本体内のガスをイオン化しプラズマに変えると砲本体の内壁にプラズマの薄膜が形成され、ストレス異方性が生まれる。また熱絶縁性も発生し、砲本体の背分力が大幅に低下する一方で砲弾の推進力が大幅に増加する。他方で砲本体の熱体制が大幅に伸び、供用期間が延長される。

 

別の言い方をすれば、電磁プラズマ層で砲本体を摩耗と熱から守り、発射弾の速度を引き上げることになる。

 

中国の軍事アナリストWei Dongxuが環球時報に語った内容では新技術で「従来型155ミリ自走砲の射程を100キロに延ばせる。プラズマ層により砲弾と砲身内部の摩擦を減らし、命中精度が上がる」という。

 

南フロリダ大のデニス・キリンジャー名誉教授(物理学)は「実現可能な構想のようだ」とNational  Interest に語った。「ただプラズマがどれだけ残留し、砲弾発射時にも有効なままなのか不明だ」と述べた。

 

またレイルガンとは方法論が異なる。「レイルガンとはリニアモーターに近く、固定子つまり砲弾を加速器のようにローラーコースターに使う。今回の方式はプラズマで磁場を制御し砲身内部の表面を覆うものだ」と同教授は語った。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

China Could Be Developing Deadly 'Magnetized Plasma Artillery'

November 8, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: ChinaMilitaryTechnology

by Michael Peck


2020年11月17日火曜日

強力な米製装備品をさらに改装して供用するイスラエルにかなう敵はいるのか 四つの事例をご紹介

 


 

 

スラエル国防軍(IDF)が米製装備品を各種供用しているのは、米国からの大量な軍事援助があるためだが、米製装備品が過酷な砂漠環境や市街地戦での作戦展開が必要なIDFの要求条件に最適設定になっている保証はない。このためIDFでは米製品を大幅改修しており、なかにはIDF独自の仕様に進化したものがもある。今回はIDFで供用中で大幅改修された米製装備品を見てみよう。

 

1. MAPATS対戦車ミサイル

 

IDFでは長年にわたり対戦車誘導ミサイル(ATGMs)を使用している。イスラエルを取り巻く砂漠地帯では対戦車ミサイルは極めて有効な装備品だ。イスラエルが初めて使ったATGMはフランス製SS.10、SS.11でその後1970年代末に米製TOWに切り替わった。(IDFはオレフと呼ぶ)ただし、TOWは有線誘導式のため射程に制約があり、使用条件も限られる。樹木や送電線があるとTOWの誘導が妨害され、運用部隊も危険になる。そのためイスラエルはレーザー誘導方式TOWを開発した。推進力を増し、弾頭部分も改良したため貫通力と飛翔速度が向上した。このMAPTSは輸出も好調だが、現在イスラエルは完全国産設計の新型ATGMを導入中だ。

 

 

 

 

2. イスラエル製のM16 、CAR-15改良型

 

IDFではテイヴァー銃に大部分切り替えているがM16もまだ使っている。しかし、1980年代後半から1990年代にはFN FALやイスラエル製ガリル小銃にとってかわったM16が第一線で使用されてきた。なお、ガリルカービン銃は全長の短さのため現在でも装甲部隊で供用中だ。イスラエルは小銃の近代化にもとりくんだ。IDF歩兵部隊の戦闘場面は市街地が多いため、M16やコルト653の銃身(それぞれ20インチ、14.5インチ)は扱いにくい。そこで銃身は12.5インチに短縮化された小銃には新たに「メクズラー」の名称がついた。

 

3.対空機関砲マクベトMachbet

 

20mm機関砲を複数備えるM163VADSは米軍では短距離防空装備として「一時しのぎ」の手段とされてきたが、イスラエルはVADSを1982年のレバノン戦争で多用した。シリアのMiG-21撃墜以外にが発射速度の高さを利用し地上支援、市街地や山岳地での敵地上部隊制圧にも投入した。米軍では1990年代からM6ブラッドレイ・ラインバッカーの登場で第一線を退いたが、イスラエルは逆にVADSを改良し、「マクベト」にした。電子光学式追尾装備、新型レーダー、スティンガーポッドとADAネットワークのデータリンクを搭載し、従来より広範な標的に迅速対応できるように進化した。

 

4. F-15 バズメショパーBaz Meshopar

 

イスラエルはF-15を真っ先に導入した。1970年代から今日までイスラエル空軍の主力戦闘機として長年供用している。空対空任務の卓越した性能が1982年のレバノン戦で発揮されたが、オペラ作戦、木の脚作戦の長距離攻撃ミッションでも性能をいかんなく発揮した。この背景に国産の航法センサーポッドの存在がある。イスラエルはその後対地攻撃に特化したF-15EストライクイーグルもF15Iラアムとして導入したが、第一世代第二世代のイーグルも新しい仕様に改修され国産電子装備等を搭載した。これがF-15バズメショパー、あるいはバズ2000だ。改修内容には新型レーダー、AIM-120、イスラエル製パイソンミサイル、コックピットをグラスコックピットにし、電子戦能力も向上させた。改修は1995年から2001年にかけ行われ、改修型F-15は今後も供用される。■

 

この記事は以下を編集したものです。

 

Wanna Know How Israel Wins War After War? Custom U.S. Weapons.

November 15, 2020  Topic: Security  Region: Middle East  Blog Brand: Tags: IsraelIDFAmericaMilitaryArmyTechnologyFmsFmfIsrael Defense ForcesF-35

by Charlie Gao

 

Charlie Gao studied political and computer science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national-security issues. This article first appeared in 2018.

Image: Reuters.


2020年11月16日月曜日

空母キラーミサイル二型式が洋上艦艇に命中したと主張する8月テスト内容での中国の言い分をあなたは信じますか、

 



 

月に入り中国が8月実施した「空母キラー」ミサイル2型式の試射の詳細を公表している。各ミサイルは数千キロを飛翔し、南シナ海パラセル諸島付近の標的に命中したと中国は説明している。

 

人民解放軍の元大佐で現在は北京の航天大教授Wang Xiangsuiがサウスチャイナモーニングポスト紙にミサイルはともに移動船舶に命中したと語っている。テストではDF-21D、DF-26Bの二種類が投入され、中国の目指す抑止力の中核となる装備だ。

 

DF-26Bは青海省から、DF-21Bは浙江省からそれぞれ打ち上げられ、目標地帯は中国当局があらかじめ立入り禁止措置にしていた。

 

 

 

DF-26とは

 

DF-26は移動式二段ミサイルで固体燃料の中距離弾道ミサイル(IRBM)で2015年9月の軍事パレードで初公表された。射程4千キロとされ、核・非核両用で、地上目標、海上目標を狙う。弾頭は1.2トンから1.8トンを搭載可能で、有事には米領グアムを攻撃可能だ。DF-26が空母キラーと呼ばれるのはニミッツ級フォード級の超大型原子力空母が標的とされるためだ。

 

DF-26は中距離核兵力条約で禁止対象となる兵器である。冷戦終結jに米ソが調印したが、中国は一度も条約交渉に招かれず、米国が昨年に条約から脱退した際に中国が条約から自由に兵器を配備しているためとした。

 

一方、DF-21Dは

 

DF-21Dは世界初の対艦弾道ミサイル(ASBM)で、これも「空母キラー」とされる。射程は1,800キロで艦船、とくに紛争地帯で敵勢力の接近を阻止する機能が期待され、東シナ海・南シナ海への投入がありうる。

 

米海軍の空母以外に日本の新型航空母艦やオーストラリアの強襲揚陸艦も標的になる。

 

今回のミサイル二型式のテストの前日に中国は人民解放軍海軍の実弾演習を展開中の渤海上空の飛行禁止空域に米国がU-2スパイ機を送り込んだとして非難していた。米海軍もUSSニミッツ、USSロナルド・レーガンの各空母打撃群で「自由で開かれたインド太平洋を支援すべく」戦術防空演習を展開していた。

 

サウスチャイナモーニングポスト紙は中国政府が米海軍による演習に強い嫌悪を示し、露骨な挑発であるとしたと伝えている。一方で米国は中国のミサイル発射テストを無謀かつ安定を損ねる行為だと対抗した。

 

今回のミサイルは人民解放軍が保有する地上発射式弾道ミサイル、巡航ミサイル1,250発の一部にすぎないことに注意が必要だ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Report: China’s ‘Aircraft-Carrier Killer’ Missiles Hit Target Ship in August

November 15, 2020  Topic: China  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaDF-21DDF-26BASDMMilitaryA2/adTechnology

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.