2021年8月28日土曜日

速報 米軍がアフガニスタンのISIS-Kに報復攻撃を実施

  • ISIS-K DRONE STRIKE

USAF

 

ハミド・カルザイ国際空港アビーゲートの自爆攻撃で米軍隊員13名および多数の民間人が殺害されたのをうけ、米中央軍は無人機によりISIS-Kの「パートナー」一名を殺害したと発表した。無人機攻撃が行われたのはナンガハール地方でバイデン大統領が襲撃事件に関与した者への懲罰を公約した翌日のことになった。

 

米中央軍の発表内容を伝える。

 

「米軍部隊がISIS-Kの襲撃立案者を水平線越えで対テロ攻撃した。無人機による空爆がアフガニスタンのナンガハール地方でおこなわれ、初期評価では標的は死亡していることが判明した。民間人の死傷は発生していない」

 

今回殺害した立案者が空港襲撃事件等の立案にも携わっていたのかは不明だし、別の首謀者がいたのかもしれない。また襲撃事件に関与したのが何人だったのかも不明だ。とはいえ、今回の攻撃はバイデンが公約したISIS-K対応で具体的な行動につながったものだ。

 

声明文では「地平線越え」の作戦だったとあり、攻撃に投入した機体はアフガニスタン国外から運用されたことがわかる。この戦術はアフガニスタン撤退後にバイデン政権が活用する構想だが、米国のアフガニスタン完全撤収前に実行されたことに注目する。一部にはテロ活動を引き起こすのではと実施に慎重な動きもあった。

 

攻撃対象が空港襲撃事件の首謀者ではなかった可能性もあるが、今後もこうした攻撃が続きそうだ。


 America Strikes Backs At ISIS-K In Afghanistan


U.S. Executes Revenge Drone Strike On ISIS-K "Planner" In Afghanistan (Updated)

The operation comes just a day after President Biden vowed to make the terror group pay for its heinous suicide bombing at Kabul's Airport.


BY TYLER ROGOWAY AUGUST 27, 2021

055型大型駆逐艦の日本海入りは軍国主義日本への警告...特異な中国共産党の思考。各艦の動きを淡々と監視中の防衛省は頼もしい。

 ご注意 以下は中国共産党の見解を伝える環球時報英語版記事をもとにしています。記事をそのまま転載すると中国の情報戦に加担することになりますのでご注意ください。

   

Photo taken on Jan. 12, 2020 shows the ceremony of the commissioning of the Nanchang, China's first Type 055 guided-missile destroyer, in the port city of Qingdao, east China's Shandong Province. The commission of Nanchang marks the Navy's leap from the third generation to the fourth generation of destroyers, according to a statement from the Navy. (Photo by Li Tang/Xinhua)

2020年1月の南昌就役式典時の写真。055型誘導ミサイル駆逐艦の一号艦となり、山東省青島で行われた。(Photo by Li Tang/Xinhua)

 

 

民解放軍海軍(PLAN)が055型大型駆逐艦以下の強力な艦艇部隊を日本海に展開sている。今年二回目となり、今回は日本の右翼勢力軍国主義者への警告メッセージだと中国軍事専門家は解説している。直前に有力政治家が第二次大戦戦犯を祀る靖国神社を参拝しており、政府は防衛白書を公表し台湾島及び釣魚諸島に関する記述で中国を挑発していた。

 

055型大型駆逐艦の就航が増えており、今回のような航海はこれから増えると軍事アナリスト筋は見ている。

 

海上自衛隊がPLA海軍部隊を発見し、055型誘導ミサイル駆逐艦南昌、052D型誘導ミサイル駆逐艦貴陽、903A型補給艦の三隻が対馬海峡から日本海に入ったのが8月22日だったと防衛省統合幕僚部が23日に発表している。中国からの情報発表はない。

 

055型大型駆逐艦が日本海に入るのは今回が二回目だ。初回は今年3月で南昌が同じような航路で052D誘導ミサイル駆逐艦成都と054A型誘導ミサイルフリゲート艦大慶を伴っていたと日本側防衛筋が明らかにした。日本海進入は3月18日で、日本海から退出したのは3月25日と、周航は8日間に及んだ。

 

日本海での演習で各艦は本国から離れた地点での共同戦闘力を高めることができる。

 

PLANは艦種を替え戦術を試しているようで、今回は903A型大型補給艦を加え遠隔地運用を想定し、前回より長期展開になると中国軍事筋は24日に解説している。

 

日本海入り二回目となった今回の航海は今後こうした訓練が恒常的に展開することを意味していると上記専門家は指摘し、PLANが055型の2番艦、3番艦のラサ、大連が今年就航済みでさらに建造が続いている。

 

ご注意 以下は中国共産党の見解を伝える環球時報英語版記事をもとにしています。記事をそのまま転載すると中国の情報戦に加担することになりますのでご注意ください。

 

PLAN部隊の日本海入り前の8月15日に菅義偉首相は靖国神社に玉串料を奉納した。その他の有力日本政治家が同神社を参拝しており、最新の防衛白書では台湾島の安定が日本に重要とし、釣魚諸島の状況を喧伝している。

 

中国専門家は日本の政治家には第二次大戦の歴史認識が足りないとし、中国軍が戦力を誇示するのは日本の右翼勢力や軍国主義者の動きを止めるための警告にもなると指摘。

 

満載排水量が12千トン近くになる055型は全長180メートルで垂直発射管122門で対空ミサイル、対艦ミサイル、対地攻撃ミサイルや対潜ミサイルを適宜発射可能だ。また良好な状況認識能力しており、世界最強の艦だと解説する向きがある。

 

055型の建造は合計8隻といわれ、3隻が供用を開始している。南昌はこのうち最初の就役を2020年1月に実現した。就役済み三隻では南昌とラサが北方方面司令部海軍に、大連はPLA南方方面隊に配属されている。■

 

Type 055 large destroyer enters Sea of Japan, 'sends warning to militarists'

Voyage 'sends warning to militarists' following Yasukuni Shrine visits

By Liu Xuanzun

Published: Aug 24, 2021 09:48 PM

 

靖国神社を軍国主義復活の象徴とし、小艦隊の日本海航行の正当化にこじつけるなどいかにも共産党の思考方法を反映していますね。日本海は公海なので、どこの国の軍艦が航行してもおかしくないのです。また宗谷海峡も国際海峡ですから同じです。日本としては毅然とした態度を保てばよいわけで、ガキ大将のような中国の行動を冷静に見ていきましょう。

 

防衛省統合幕僚監部は三隻ではなく、情報収集艦含む四隻とし、宗谷海峡を東進したと8月25日に報道発表しています。以下統合幕僚監部発表写真です。

 

 


2021年8月27日金曜日

速報 カブール空港襲撃事件はISIS-Kの仕業。カブール空港撤収作戦の最終段階で保安体制に懸念。自衛隊の邦人等脱出にどんな影響が出る?

 Injured people being carried to a hospital after explosions outside Hamid Karzai International Airport in Kabul, Afghanistan, on August 26, 2021.

ハリド・カルザイ国際空港付近で発生した爆発の被害者が病院へ搬送された。August 26, 2021. ANADOLU AGENCY VIA GETTY IMAGES / SAYED KHODAIBERDI SADAT

  •  

8月26日ハミド・カルザイ国際空港襲撃事件で米軍に12名死亡15名負傷の被害が発生した。

 

ペンタゴンは自爆攻撃とし、アビー検問所の外側とすぐそばのバロンホテルで爆発が二回あった。

 

中央軍司令官の海兵隊フランク・マッケンジー大将は米軍隊員に死傷者が発生したと認め、「人員面の被害規模は調査中で全体を把握できていない」と述べた。

 

死亡した12名のうち11名は海兵隊員、一名は海軍所属で空港へ入ろうとする避難民の選別を行っているところで爆発が発生したとマッケンジーがペンタゴン記者団に中東からリモートで述べた。

 

襲撃ではISIS戦闘員一名も銃撃を加えたと同大将は述べ、ゲートでの爆発で「空港内の駐屯地への被害はなかった」とした。

 

マッケンジー大将は今回の襲撃を多重攻撃と表現した。「ISIS-Kの脅威が今回現実になってしまった。こうした襲撃は今後も続くとみている。考えられる対策をすべて取っている。タリバンが空港の外縁部警備にあたっており、必要な防護措置を取ると当方に連絡してきた」

 

マッケンジーは現時点の推測として自爆テロ要員はタリバン検問所を通過し米軍が空港に入ろうとする避難民をチェックする中に紛れ込んだとする。

 

タリバンは空港へ向かう群衆のチェックを行っているが、「チェックがうまくいく場合といかない場合がある」とし、米軍もチェック機能を改善していることを強調した。

 

マッケンジー大将は米軍が「ひきょうな」攻撃の主犯を探し出し、反応の「準備ができている」と述べた。

 

カブールに展開する米軍部隊には自衛能力があるとし、AH-64攻撃ヘリコプター、MQ-9無人機が同空港を拠点に飛行し、F-15やAC-130ガンシップが周辺部の警戒にあたり、対ロケット弾・迫撃砲弾装備も配備済みと述べた。またトラックによる襲撃も入口で阻止する体制にあり、タリバンには保安体制の強化や近隣道路の閉鎖を要請しているとも述べた。

 

また、航空機への射撃が発生したと認めた。「わが方の航空機に時折射撃が加えられているが被害は皆無だ。軍用機には自衛用装備があるが、チャーター機などが脆弱だ」

 

「切れ目なく航空機を離発着させることが最重要事項だ。一機で450名もの避難民が乗っており、ISISが狙っている」

 

今回の襲撃事件の数時間前に米大使館から残留米国人に緊急連絡があり、空港検問ゲートに近づかないよう求めていた。また英国からもゲート付近の群衆がイラク-シリア-コラサンのイスラム国(ISIS-K)の標的になっているとの警告も出ていた。

 

カブール撤収作戦は急速に最終段階に入りつつあり、8月26日時点で陸軍海兵隊部隊5千名近くが展開していた。カブール空港内には5千名近くの避難民が残っており、マッケンジー大将は「空港外へ退去させる」としている。

 

大規模空輸作戦で8月26日時点で計104千名の米国人等を移送させた。

 

まだ1千名の米国人が国内に残るが全員が国外脱出を希望しているわけではないとマッケンジーは述べた。

 

マッケンジー大将は米軍部隊によるカブール空港入り口での避難民選別作業を賞賛し,「避難民の息がかかるほど密で危険な作業だが着実にこなしている」とした。

 

ロイド・オースティン国防長官はツイッターで「テロリストは自爆したが、その瞬間も米軍隊員は他者の生命を救おうとしていた。その損失を悔やむ。負傷した隊員を救う。また深い悲しみにある隊員の家族を支える。だからと言って進行中の任務を放棄するわけにいかない」と述べた。


同日に空港敷地内で別の爆発もあったが、これは米軍による「制御爆発」で撤収の準備作業だったと国防関係者が同日遅く解説している。■


11 Marines, 1 Sailor Killed in Terrorist Attack at Kabul Airport

Service members were securing one of the last gates open for Afghans, Americans to escape.

By TARA COPP and ELIZABETH HOWE

AUGUST 26, 2021 03:44 PM ET


米軍の死傷者には言及があってもアフガニスタン人の被害に触れていないのが気になります。米軍はタリバンと意思疎通があり、役割分担をしている様子がわかります。さて、自衛隊機はカブールに到着しましたが、対象となる日本人等が一人も空港に到達できておらず空のままパキスタンに戻ったようです。現行法では空港外での自衛隊の活動はできないようです。一人も脱出させられないのであれば、作戦が失敗したことになり、揚げ足を取る向きが出てくるでしょう。むしろ、軍隊として機能できない制約を受けている自衛隊の地位を替えるべく憲法改正に向かわなければならないのですが。

バイデン政権への不信感から米国への情報提供量を減らしていたネタニヤフ前首相。背景にイラン核合意へのバイデンの姿勢がある模様。対等お対米関係とはこういうことだろう。

 


Biden Netanayhu

当時副大統領のジョー・バイデンがベンジャミン・ネタニヤフ首相(当時)と2010年に会談していたBaz Ratner/Getty Images

  • ニューヨークタイムズはイスラエルから米国への情報提供が今春から削減されていると伝えた。

  • 理由としてネタニヤフ前首相がバイデン政権に不信感をいだくためと記事にある。

  • オバマ時代からの確執と合わせ米国が本人を監視中と信じていたことも背景にある。


イスラエルが米国との情報共有を今春から減らしていたことが判明した。ベンジャミン・ネタニヤフ首相(当時)がジョー・バイデン大統領の政権を信頼していなかったためとニューヨークタイムズが報じている。


米イ両国関係者はネタニヤフがイランをにらんだ動きに関し情報共有量を減らす指示を出したと述べている。


またイスラエルは米側に対し4月にイラン原子力向上を攻撃した際に米国への事前通告は二時間前に出し、米国の影響力行使を封じたと関係者は解説している。


タイムズはネタニヤフの不信感の背景の理由を以下まとめている。


  • 米側がイスラエル案をリークした。ただし、米側はこれを否定している

  • バイデン政権がイラン核合意の復活を上位に捉え、イスラエルの安全保障面の懸念を軽視した

  • 米側がネタニヤフ本人をスパイしていた


米政府関係者はタイムズに対しネタニヤフはオバマ政権の核合意への取り組みに不満を感じていたと解説している。バイデンはオバマ政権で副大統領だった。


ネタニヤフは6月選挙に敗北し12年ぶりに首相の座を降り、野党リーダーになった。


新首相ナフタリ・ベネットが8月26日にホワイトハウスでバイデン大統領に会見する。■



Israel Gave US Less Intel As Netanyahu Didn't Trust Biden Admin: NYT


Sinéad Baker


2021年8月26日木曜日

極超音速兵器への防御能力が間もなく実現する。中国、ロシアへの新たな抑止力へ。ただし、飛翔軌道も自由に操作するマッハ5の敵装備に本当に対抗できるのか。

 いまいちわかりにくい概念的な説明に終始しているのは安全保障上仕方がないことなのでしょうか。ともあれ、ここまでの技術が実現すれば新しい抑止力になるのですが、ノースロップの言い分通りなら実現がそこまで来ていることになります。

 

超音速兵器の危険や脅威が話題になることが多いが、追尾破壊手段が現れつつある。だがマッハ5の速力かつ飛翔経路を制御可能な極超音速ミサイルを本当に破壊できるのだろうか。

 

ロシア、中国の極超音速ミサイルの現実の脅威を前に米ミサイル防衛庁(MDA)が産業界に多層防衛構想の技術課題への挑戦を求めている。

 

極超音速兵器防衛の課題


「中国は引き続き高性能兵器体系の実現を目指し、極超音速ミサイルや二重用途技術など、これまでの次元を超えた装備品が出現してくる」と米戦略軍司令官チャールズ・リチャード海軍大将が述べている。

 

Hypersonic and Ballistic Tracking Space Sensor (HBTSS)

HBTSSの構想図

(Photo: Northrop Grumman)

 

めざすのは向かってくる極超音速滑空兵器をで空中、地上、海上で「見る」「見つける」「追尾する」こと実とリチャード大将は表現。この脅威は深刻であり難易度が高い。極超音速兵器への対応の実現はまじかに迫っているが、現時点で有効策は存在しない。

 

「極超音速滑空体に代表される機動性の高い脅威対象が増えており、現行の地上配備レーダーネットワークの能力では対応しきれない。現状ではこうした脅威に対抗する手段がない」とマイク・シフォン(ノースロップ・グラマン、戦略、捕獲、作戦、OPIRおよび地理空間装備担当部長)も述べる。

 

HBTSS


一つ有望に見えるのがミサイル防衛庁が業界とともに進める新型衛星ペイロードで極超音速攻撃の際に標的の飛翔経路を「保持」する装備だ。

 

これを極超音速弾道飛翔経路追尾宇宙センサーHypersonic and Ballistic Tracking Space Sensor (HBTSS)事業と呼び、弾道ミサイルと異なり既存の軌道を経由しない極超音速滑空体の高機動性への対応を目指す。

 

「発射直後の加速段階では通常は予測可能な弧を描き、頂点で燃料がなくなる。そこから先を予測し命中地点を推定することでデータが入手できる」(シフォン)

 

高機動極超音速標的は弾道そのものを変更し位置も変更可能だとシフォンは説明している。

 

「極超音速滑空体の発射は連続することがある。HBTSSは最初の発射を捉え、第一、第二、第三と分離していくのを把握する。HBTSSのデータをリアルタイムで連続送信し、極超音速滑空体の飛翔を追尾することが可能だ」

 

シフォンによればノースロップ・グラマンはHBTSSの軌道上テストを2023年に行い、極超音速滑空体の追尾情報をミサイル防衛網に送る。目標は迎撃手段をしかるべき位置に移動させ極超音速滑空体を排除することだ。

 

HBTSS Hypersonic and Ballistic Tracking Space Sensor Phase

Northrop Grumman

 

「HBTSSは短期間で実現を急ぐ試作装備です。脅威に対抗して行くためにも必要な機能となり、現場指揮官なら探知追尾データを正確かつタイムリーに入手する機能の重要性は理解できるはずです」

 

HBTSSの技術成熟度を伝える内容として、既存レーダーは「開口部」あるいは「視野」をもとに作動する。つまり一定の範囲しか有効でない。制御可能な極超音速滑空体は一つの視野から超高速で移動してしまうので「連続」追尾が不可能に近くなり、迎撃が失敗に終わる可能性が高い。

 

「レーダーの目を通過してしまい、特別なアルゴリズムがないと識別ができない。迎撃ミサイルを発射後にミサイルにデータを伝えるのだが、時間があまりにも短い。ミサイルを戦闘システムの一部に統合する必要がある」(シフォン)

 

技術はどこまで進歩していくのか

 

HBTSS以外にもペンタゴンが注力するのがICBMの追尾破壊手段となる新技術で、予算を重点的に投入する。目指す新技術は多数の発射体を探知するもので、大気圏ギリギリの地点で探知する。

 

このためには技術要求内容の完成を加速し、各軍の装備を統合して「共用」作戦環境の実現を急ぐ必要がある。

 

「これまで存在しなかった共同能力が必要となり、共同運用、共同指揮統制、補給活動で情報活動で優位性を発揮しなければならない」と統合参謀本部副議長ジョン・ハイテン大将が2021年の宇宙ミサイル防衛シンポジウムで講演していた。

 

この実現のためににはハイテン大将は産業界と共同でニーズの「ギャップ」を把握する必要があると主張。つまりミサイル警報システムのことを指している。このためには「キルチェーン」内で重要となる点をひとつずつ解決していく必要がある。

 

これに応えるべくノースロップ・グラマンのミサイル防衛技術部門では新型ミサイル警報技術とともにセンサーペイロードに取り組んでおり、敵兵器を宇宙空間での探知、追尾、破壊をめざす。

 

同社のシフォンはこの動きは次の三点にまとめられるとした。

  • ひとつはキルチェーン各要素の活用だ。つまり、システムによる捕捉を最適化し、システム間の相互運用を最適化し、各要素に十分な投資をしていくこと。

  • ふたつめは新機能に資金投入し、既存の枠組み内で活用すること。既存の探知ネットワークの弱点が判明すれば、新技術への資金投入で迅速にニーズ実現を図る。

  • 三番目はキルチェーンの穴やほころびを見つけ、各技術をつなぐ技術を確立すること

 

シフォンはノースロップが有望技術分野を把握すべく資金投入を続けている姿勢を強調し、ペンタゴンのミサイル防衛ニーズをあらかじめ想定し、今後の要求内容に応えられる体制を維持していると述べた。

 

新技術の内容は当然ながら公表できないが、長距離対応の高精度センシング、光ファイバー通信や新型通信技術で即座に脅威データを「ネットワーク」し、従来より迅速に脅威データを共有する。

 

HBTSSのねらいは新たなネットワークを作り、高速対応の宇宙配備センサーをつなぎ、極超音速脅威対象の「探知追尾」を実現することにある。ノースロップ・グラマンはHBTSS開発でMDAから153百万ドル契約の交付を受けている。

 

「CDR(重要設計審査段階)が今年末にあり、試作型を2023年に納入します」(シフォン)

 

敵の極超音速ミサイルの探知、追尾が重要となるが、それだけではない。機動性を発揮する高速ミサイルが各レーダーの視野を通過するが単に追尾するだけでなく情報を処理し通信する必要がある。

 

飛翔軌道などの重要情報はいったん整理・処理し、指揮命令所に伝え、迎撃手段や対抗手段の投入を下令する。だが極超音速の敵に対応すできるスピードで実現できるだろうか。

 

秒単位でこれを実現すべく、ペンタゴン、MDA、産業界は一致して極超音速兵器の撃破をめざしている。

 

「対応の一つがデータ融合で、衛星からの情報を地上に送り、兵器運用部門まで最短時間で伝える必要があります。このためデータ一部をリアルタイムで兵器データベースで処理し、衛星からデータを兵器に伝えます」(シフォン)

 

データ処理の一部はAIを応用し、データ取得場所で完了させ、センサーデータの発生ごとにこれを行う。コンピュータ処理速度は加速化しており、AIが加わり技術上のブレイクスルーで飛来する脅威の情報を即座に解析し、整理統合し、評価する。これが重要な点で現場指揮官へ飛躍的なスピードで情報を伝える。

 

この通り成功するかは衛星、センサーのネットワークにかかっており、まさしくペンタゴン、MDA、ノースロップ・グラマンが注力する対象だ。このため軍で従来より高速、小型かつネットワーク機能が優れた低中地球軌道衛星の整備を急いでいる。

 

新衛星群で既存の大型静止衛星ネットワークを補完しつつネットワーク機能を活用し広範囲な対象を近くから監視する。ここにノースロップ・グラマンが開発中のHBTSSの役目があり、高解像度衛星群での極超音速ミサイル追尾を実現する。

 

「デジタル技術能力やモデリング、シミュレーションのツールを活用することで複雑な装備の性能のモデル化が可能となり、これまで不可能だったシステムの最適化が可能となります」「国家安全保障では失敗は許されません。人命がかかる案件に実証できない技術に賭けるわけにいかないのです」(シフォン)■

 

Hypersonic Missiles - How the Defense Industry is Tracking Incoming Threats

Performing the Impossible? Pentagon May Stop Hypersonic Missile Attacks

Modernizing Hypersonic Weapons defense systems is an urgent priority for the Pentagon

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

 

-- Kris Osborn is the President of Warrior Maven and The Defense Editor of The National Interest --

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master's Degree in Comparative Literature from Columbia University.


米軍アフガニスタン撤収の混乱ぶりを見て、北朝鮮が南への工作強化を画策している。朝鮮半島からの米軍撤収が実現すれば北の思うつぼなのに、南朝鮮国民が感情に身を任せているのは工作活動の効果か。

 国はアフガニスタン撤収で拙速かつ十分な計画なしで展開するさまを世界に見せつけてしまった。同盟各国には今後の米国との関係に危惧を覚える動きも出ている。大韓民国(南朝鮮)も例外ではない。同国メディアは連日のように同盟関係を懐疑的にとらえており、北朝鮮への妥協こそ半島統一の道を信じる政治家とて変わりはない。


ピョンヤンの金正恩の視点はどうか。米韓同盟分断戦略が効を奏してきた。今回のアフガニスタン撤収は南朝鮮を対米同盟に懐疑的にさせる、あるいは妨害させる絶好の機会だ。米韓両国が半島の平和を維持すべく平和交渉で北朝鮮が新条件を飲む可能性は大きく減じている。


金正恩は朝鮮労働党(KWP)の政治局、中央軍事委員会を招集し状況を分析し、朝鮮半島への影響を検討しているはずだ。さらに党の宣伝工作部(PAD)、統一戦線部(UFD)、人民軍 (KPA)、政治総局(GPB)他を動員し、南朝鮮が韓米同盟に懐疑的になっている状況をどう利用するか作戦立案しているはずだ。


北朝鮮の宣伝工作、政治工作、情報操作、情報かく乱、特定対象工作の第一線を担うのがKWPのPADである。PADは情報工作多数を担当し、情報操作を行い、南朝鮮の世論工作も行う。特に南朝鮮一般社会を標的とする。この工作を統括するのがPAD海外宣伝局である。PADの下部祖域では防諜宣伝工作を展開し、北朝鮮国民を対象とする。国家保安省(MSS)がこうした国内工作を支援する。


UFDはサイバー部門を擁し、偽情報を南朝鮮国民に流し社会政治面の混乱を巻き起こしている。対象は南朝鮮国民以外に同国政府、政界にまで及ぶ。サイバー部門は南への心理戦も展開し、19か国のサーバーから140に及ぶウェブサイトを運営している。ウェブサイトの目的はサイバー戦で「南朝鮮国内の革命」を巻き起こし米軍撤収を実現させることにある。PADとも連携し南朝鮮を標的とするのは第101連絡センター、第26連絡センターの二部局だ。


第101連絡センターはピョンヤン中区のピョンヤン医大の正面にあり、情報操作を担当する。別の言い方をすれば偽情報であり、金日成、金正日、金正恩の三大最高指導者を扱う。第101連絡センターには南朝鮮の社会文化に通暁した専門家30名が在籍する。小説、詩歌を出版し、北朝鮮最高指導部の栄光を賛美し、KPA偵察総局(RGB)の第225情報部隊に配布させている。


第26連絡センターは最高指導者を賛美する映像作品を作り、最高指導者こそ半島統一の中心であると強調する。第26センターの作品は特に南朝鮮の大学生向けに反政府活動を支える意図がある。また救国の声放送が南朝鮮一般市民を対象としている。こうした手段を行使して米国へ疑惑を生じさせるのは実に簡単なことだ。第26センターは第225センターと共同で工作を進めることもある。第225は金日成大学の隣に本拠がある。


PADはRGBと共同で南朝鮮国内に反政府、反米の宣伝工作を浸透させている。RGBの第225情報隊は北朝鮮最精鋭の侵入部隊で南朝鮮のみならず他の国も狙う。各連絡センターと連携し、第101及び第26の成果物を南朝鮮に持ち込んでいる。米韓同盟にひびを入れるのが第225の潜入工作員の目的だ。


GPBはKPA内でのあらゆる政治活動を担当する。それだけでなく敵国工作部別名563部隊も統括する。KWPのUFDが平時には563部隊を指揮し、秘密工作活動を南朝鮮軍隊員向けに展開するほか、拉致工作、DMZ沿いでの宣伝放送、印刷物の配布を行っている。有事にはKPAの占領地国民が対象の工作でKPAへの支持者を掘り起こす。563部隊は危機が発生するたびに肥大する。


そして最も重要なのが金正恩がKPA参謀本部の作戦立案部門へ各活動を軍事作戦と統合し、南朝鮮の同盟関係への疑念を増大させるよう命じたことだ。こうした工作ですでに春夏の韓米図上演習へ反対機運が南朝鮮で拡大している。


米国のアフガニスタン撤収の混乱ぶりを見て、こうした動きに拍車がかかっている。中国が米国の台湾支援を妨害すべく台湾国民の対米信頼度を低下させる工作をしているが、北朝鮮も中国共産党、人民解放軍をまねた作戦を展開するのは疑う余地がない。


米韓同盟の弱体化を狙う金正恩体制は今後も戦術を展開し続け、アフガニスタン撤収で米国が見せる不手際を逐一注視していくはずだ。もっと重要なのはこの機会を利用して金正恩のほうが米大統領より指導者としての資質が上だとの宣伝工作が今後展開することだ。■


このような邪悪な組織を活用する北朝鮮の活動を看過できません。地上から消えてほしい政体の一つが北朝鮮です。反日活動も北朝鮮の息がかかっていないとは断言できないでしょう。防波堤としての韓国の意義が減じ、台湾の安全も危うくなっている今、日本がこのまま安閑としていられないのは事実です。

US Withdrawal from Afghanistan: The View From Pyongyang

Mon, 08/23/2021 - 11:42am

Robert Collins