2020年6月23日火曜日

歴史に残る機体26 ノースアメリカンB-25ミッチェル

歴史に残る機体26

ースアメリカンB-25ミッチェルは米軍に多大な貢献を残した。頑丈な構造で第二次大戦で米国を勝利に導いた。
B-25は1940年に設計が完了し、米陸軍航空軍で中型爆撃機として活躍が期待された。B-25には目立つ特徴がない。双発で胴体は鉛筆型で爆弾搭載量もさして多くない。それでも欠点がないことが特徴だった。▶第二次大戦中のB-25生産数は1万機という驚くべき規模になった。設計に柔軟度が十分あり、改修型多数が各種任務に投入され、米国以外でも供用された。レンド-リース戦時物資共有合意でB-25は英国、ソ連に送られ、戦後もカナダ、オランダ、オーストラリア等に引き渡された。▶同機の設計自体は完璧と程遠かったが、搭乗員から頑丈かつ高信頼性の評価を勝ち取り、銃弾多数を浴びエンジンが片方止まっても飛行を続けられた。供用期間を通じ多数の損傷を修理しながら飛行を続けた機体は多い。

搭乗員が指摘した同機の数少ない欠点にエンジン騒音があった。エンジン取り付け位置が胴体に近く、エンジン排気管の配置がコックピットに向いていた。B-25パイロットや搭乗員多数が戦後に難聴に苦しんだ。

米国は各戦域でB-25を投入したが、最も活躍したのが太平洋方面だった。戦闘の拡大につれ、B-25の機首に大型機関銃が追加された。爆撃能力は中程度だったことがジャングル内に潜む敵攻撃に有益となった。B-25の低高度爆撃と機関銃掃射が強力だったためだ。低高度機関銃掃射を対艦攻撃に応用したB-25もあらわれ、大きな戦果を上げた。


ガンシップへ改装

B-25の設計はガンシップとして最適と評価された。ガンシップに改装された機体は大火力で敵を攻撃した。ガンシップ試作型は.50口径重機関銃4門を機首に搭載し、75ミリ砲も別に搭載した。さらに側部に.50機関銃4門をポッドに入れて搭載し、コックピット後方旋回砲塔に2門があった。胴体両側に一門ずつ、さらに後部銃手が2門を扱い、合計14門にのぼった。


エンパイヤステートビルに激突(1945年)

B-25はニューヨークのエンパイヤステートビルに激突する事故も起こした。事故当時は深い霧で、ニューアーク空港(ニュージャージー)から移動途中の機体はビル北側側面に激突し、機内の4名、ビルの11名が死亡した。



ドーリットル空襲

第二次大戦中のB-25で最も記憶に残るのがドーリットル攻撃隊だろう。真珠湾攻撃から4ヶ月後にジミー・ドーリットル中佐以下16機が日本本土を空襲した。攻撃は成功したものの物理的な損害はごくわずかで、米国民の戦意高揚の効果が高かった。本土は爆撃をうけることはないとたかを括っていた日本側にも心理的に大きな一撃となった。ドーリットル空襲後に日本は艦船や兵力を日本本土近辺に再配備し、米空襲から本土を守る体制を強めた。


アメリカのアイコン

目立つ特徴はないものの、B-25は大戦中に大活躍し、飛び続けた。堅牢な機体設計が世界各地で米国を勝利に導き、特に太平洋方面での活躍が特筆される。米軍事力の象徴に脱帽である。■

この記事は以下を再構成したものです。


June 20, 2020  Topic: History  Blog Brand: The Buzz  Tags: World War IIB-25MilitaryAir ForceWar

Caleb Larson is a Defense Writer with The National Interest. He holds a Master of Public Policy and covers U.S. and Russian security, European defense issues, and German politics and culture.

Image: Wikimedia Commons.

2020年6月22日月曜日

USAF: 戦闘機パイロット養成期間の大幅短縮に向けた改革案出る

空軍は新しい戦闘機パイロット養成課程をテストし、パイロット学生から戦闘機パイロットへの養成期間を現状の40ヶ月から22ヶ月に短縮したいとする。
新運用コンセプト(CONOPS)では新練習機ボーイングT-7レッドホークを仮想現実や人工知能を導入したシミュレーションと組み合わせ期間短縮をめざす。
「鍛錬再構築」を短く “Reforge”と呼ぶCONOPSは6月2日に航空戦闘軍団司令マイク・ホームズ大将が署名し、好結果と確認されれば、戦闘機パイロット養成で1950年代以降最大規模の変革となる。1980年代に導入した専門パイロット学生養成訓練課程Specialized Undergraduate Pilot Training(SUPT)もここまで大きな変革ではなかった。
新制度では戦闘機材パイロット誕生までの期間を将来は18ヶ月まで短縮するねらいがある。
上)ボーイングT-7レッドホークの「グラスコックピット」では表示設定が変更可能で実際と同じセンサー操作や兵装投下を訓練できる。下)T-38Cでもデジタル改修が進んだが、アナログ計器が多数残り、高度な訓練は実施できない。Boeing video screenshot and USAF photo.
現行の教育科目構成は60年供用中のT-38が前提のため、新制度では不足部分を補うことに加え、第一線機材を使った飛行時間を可能とし、現実世界に対応させる。新CONOPSでは仮想現実、シミュレーション技術に加え、T-7レッドホーク高等練習機が有するインフライトシミュレーション機能も活用する。ボーイングは機体製造以外に教材となるコースウェアとシミュレーターも製造する。
新CONPSではT-7の追加引き渡しを前提とている。現行契約ではオプション調達100機が想定され、341機の契約規模を増やせる。Reforgeで必要なT-7はパイロット学生訓練用の機材と別の制式名称TF-7(例)となり、エンジニアリング開発で別の存在となろう。 
専門パイロット学生養成課程の所要期間は現在12ヶ月。その後、戦闘機パイロットをめざすものは戦闘機基礎コースFighter Fundamentalsに進み、T-38操縦後に正式訓練部隊Formal Training Unit (FTU)で戦闘機を操縦する。全体で40ヶ月かけて配属場所を異動しながら戦闘機パイロット資格を得る。新規CONOPSでは初期戦術訓練コース Initial Tactical Training Course(ITT)として現行2課程を統合し、約1年分を短縮する。
ITT修了生の戦闘機パイロット資格取得は「半分の時間で可能」とACCは見ている。正式訓練部隊への配属時点で「戦術技量は高くなっており」高価格ハイエンド戦闘機で教えるべき内容を大幅に減らせるという。
新構想での経費節減効果は未実証だが、費用削減が目標ではないとACCでCONOPSを共同執筆したデイヴィッド・ティムは述べている。.”
「F-22部隊では飛行回数の6割7割を新人パイロットへの基本技量や能力向上訓練に使っている」とティムは指摘。「同じ内容を早期に教えれば、高度内容の訓練を50%減らせるし、F-22の飛行回数の6割をFTU訓練に使い、浮いた時間を戦闘訓練に使える」
新CONOPSではFTU訓練時間を半減し、パイロット養成規模を2倍にする。これで空軍のパイロット不足を解消したいとティムは述べる。
「時間短縮が狙いではない。有効活用が狙いだ」とルーク・シュナイダー中佐もCONOPS共同執筆者として述べている。「時間を削っても、稼働体制がそのまま増加するわけではない」(シュナイダー)狙いは浮いた時間の有効活用で、「離着陸の仕方」を教えるかわりに、機体の性能をフルに発揮する方法をパイロットに教える。
今回のCONOPSは戦闘機パイロット養成再構築の第一歩であり、現行課程が「現在の状況に適合しておらず将来も同様」の状況だとティムは説明。戦闘機部隊が基本技能訓練に時間を取られると超大国間戦に向けた準備ができず実戦で機能しなくなると言う。
ITT課程では拡張現実、仮想現実、人工知能を応用した内容を加え、パイロットが最適な内容を学ぶ機会を増やす。シュナイダー中佐はAIで個人別教程が実現し、習得済みの学生には飛行回数やシミュレーター使用を減らし、かわりに必要分野の時間数を増やせると見ている。シミュレーションで現実を忠実に再現しているため、実機使用よりずっと安価に進められる。
技術の進歩によりセンサー信号多数を合成して単純な戦術表示が実用化され、操縦は簡単になったとCONOPSは指摘。シュナイダー中佐はT-7は各種機材を「模倣」できると発言している。パイロット学生は電子装置で訓練を受け快適に学習しながら高度技術を体得でき、ここでも訓練時間短縮が可能となる。これに対しT-38では「大量の時間をかけ学生が死なないよう指導している」という。
空軍は Reforge Proof of Concept (RFX) でCONOPSを試す。3月にはロッキード/韓国航空宇宙工業T-50高等練習機あるいはレオナードM346練習機をリースし、5年の予定でCONOPSのテスト・実証をを開始した。機材選定は現在進行中だがReforge のテスト基地は未定だ。まず教官パイロットを対象にモデルを仕上げていく。
ホームズ大将は「T-7量産が始まるまで実証を待てない」様子だとシュナイダー中佐は述べており、「8機の借り上げ....はPOMで想定外の出費」と予算関連文書の計画目的覚書rogram Objective Memorandaに言及している。契約を成立させRFXを実施に移すのがReforgeの「次の段階」だという。
戦闘機パイロット養成時間の大幅短縮以外に訓練期間中の配属基地異動を減らしパイロット学生が安定感を得られる。飛行資格の取得後に異動し、ITTは飛行隊基地で行う。
ACCが求める稼働率並びにパイロット養成目標の達成に直結するのはReforgeしかないと同文書にある。
共同執筆者は新技術の利用に加え、深刻になってきたパイロット不足も解決できるとする。「戦闘機パイロット養成に長時間かかっているだけでなく、定着も十分でないのが現状」と見ている。
パイロット不足には養成、吸収、定着の「3つの観点がある」とシュナイダー中佐は説明。Reforgeは各解決策として新規パイロット数を増加し、短時間で経験値を高め、配属異動頻度を減らし、生活の質を高めて定着を図る。
今日のパイロットは15年前と同等の飛行時間を計上できず、「戦闘部隊に配属された時点で飛行時間も経験値も十分でない」という。これがその後の制約となる。「編隊長を未経験だと、次の任務が大きく制約される」ので、Reforgeでこの問題に取り組み、解決できれば空軍に定着し、キャリア上の不満も減るはずとする。
パイロット次期訓練PTNの一環でパイロット学生が仮想現実技術を応用したフライトシミュレーターで訓練中。2020年3月5日。テキサス州サンアントニオ-ランドルフ共用基地にて。PTNは空軍教育訓練軍団の進める訓練再構築の一部である。Photo: Sarayuth Pinthong/USAF
今回のCONOPSは戦闘機パイロット養成だけに焦点を当てている。空軍教育訓練軍団(AETC)の養成課程の変更や中止は求めていない。ただし、シュナイダー中佐は「AETCと9ヶ月共同作業し....ACC限定の構想ではなく、AETCでT-7運用をする際の全般で関係する。AETCの邪魔をするつもりはない」と述べている。AETC司令ブラッド・ウェブ中将もReforge案を「前向きに支持」しているという。AETCも初等パイロット訓練全体の改正に取り組んでおり、やはり新技術を利用したいとする。
空軍参謀長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将はAir Force Magazineの7月/8月号で2020年に除隊予定だったパイロット多数が除隊を撤回する意向を示しており、民間エアライン各社の採用停止が理由とする。ただし、新型コロナウィルスの大量流行が原因であり、パイロット不足の恒久的解決策にならないと認識している。
「人員規模を十分に維持する必要がある」とし、「能力あるパイロットには空軍に残ってもらいたい。経験値が有益だからだが...それで全て解決にならず、年齢構成のバランスが悪く、年長組が多く、新規パイロット養成が継続していない」と指摘。
大量流行を受けパイロット養成は半分程度に削減されたが、USAFでは6月末で流行前の8割程度に戻す予定だ。
新制度で空軍はパイロット数の増加が期待できる。各パイロットの最初の10年間勤務で養成期間の短縮化により、戦闘任務時間を10パーセント増加できるとシュナイダー中佐が説明。さらに基本技能訓練では第一線機材各機で年間300時間短縮できる。そのため戦闘機部隊全体での稼働率向上効果は「莫大」だという。
Reforgeによる大幅改良が必要な理由として、新技術に「現行の戦術訓練が対応していない」と同文書に記載がある。
戦闘機パイロット養成で以下の2点が大きな「ギャップ」とCONOPSは指摘する。
  1. 旧式化したT-38を基礎パイロット訓練に使っており、戦闘機パイロットが操縦する機体との差が大きく、突如として「複雑さが変更される」こと
  2. FTUから実戦部隊で複雑度が急激に増えること。この原因に敵性勢力の実力の急増がある。戦闘機パイロットが制空能力を維持するため今以上に早く、かつ楽に学習内容を消化する必要がある。
ホームズ大将からはT-7は本土防衛任務でアグレッサー機材として活用でき、その他同盟国等でも運用できる機材になるとの期待も出ている。
「T-7は今後の改良と柔軟性を最初から想定した設計となっている」とボーイング広報は述べている。「航空戦闘軍団のReforge事業で追加性能が必要と結論が出れば、当社はその要望に応えていきます」■

この記事は以下を再構成したものです。

ACC Aims to Cut Pilot Training Time By Up to Half


June 18, 2020 | By John A. Tirpak

大型ステルス駆逐艦055型の第一線配備が近づく

055型誘導ミサイル駆逐艦初号艦の就役式典時の様子。山東省青島にて。 Photo: Xinhua
国人民解放軍海軍(PLAN)が新型ステルス重武装の055型駆逐艦の供用開始を準備中で、空母や揚陸艦を外海で支援する狙いがうかがえる。
中国国内報道では1号艦は南昌と命名され、対艦ミサイル、対空ミサイル、対潜ミサイル、対地ミサイルを運用するとある。中国は現在2隻ある空母の護衛に新型駆逐艦を投入する意図があるのが明らかだ。
同艦は今年1月に就役しており、今回初の外洋訓練を終えた。興味深いのは同艦にはステルス性能を追求した形状の艦体艦首の一体化、なめらかな外形、大型マストの欠如、甲板上の兵装類を最小にしている特徴が見られる。米海軍のステルス艦USSズムウォルトと似た存在だ。南昌の主砲や艦橋はUSSズムウォルトを思わせるものがあり、直線基調だが内側に傾斜をつけ、艦体と艦橋はつながっている。指揮統制用の窓は小型化されており、USSズムウォルト同様にレーダーパネルが側方につく。艦橋を中央部に配置し、後方部を一体化したのは重心を調整し、荒天時に転覆を防ぐ狙いもあるのだろう。
同艦のステルス性能推定については 2018年にThe Diplomat誌が解説しており、「艦体はステルス性のため艦首を一体化」し、投錨装備は格納式になっている。艦橋の形状はレーダー特性を減らす意図のためであり、兵装も角度をつけず、貫通する形状にもなっていない。マスト本数も最小限になっている。
ただし、USSズムウォルトにはVLS(垂直発射装置)を分散配置しているが、Diplomat誌では055型駆逐艦では「64セルの集中配備型VLS」になっているという。VLSを集中して命中弾を受けると破滅的な損害となりそうだが、VLSを周囲に分散させれば一部が損傷を受けたり、攻撃が命中しても残りの稼働が可能となる。また集中配備型VLSはミサイル同時発射で熱発生が大きくなる欠点もある。
また南昌の艦後部はUSSズムウォルトよりごちゃごちゃしている。南昌にはヘリコプター発着用のスペースは確保されておらず、かわりに小型アンテナ各種、兵装、センサー類が乗っている。USSズムウォルトよりステルス性は劣るのではないか。ただし、近接交戦時に火力は大きい。Diplomat記事ではH/PJ-11 30mm近接兵装システムが搭載されているが、USSズムウォルトの甲板上には近接防御用装備はない。CIWSは最終防御手段として重要な存在で無人機や小型舟艇による襲撃を近接距離で撃破する意義がある。
後部のアンテナ多数は同艦の電磁特性を減らす意味もあるのだろう。送信の方向性を限定する効果があるからだ。南昌では甲板上に主砲が搭載されているが、USSズムウォルトの砲塔ほどの形状へのこだわりは見られない。こうしてみると、南昌はUSSズムウォルトのステルスとアーレイ・バーク級駆逐艦の兵装を組み合わせたように見える。
中国海軍は現在360隻を運用中で、米海軍の297隻を凌駕していると最新の議会調査報告が指摘。2020年5月度の議会調査局報告書は「中国海軍の近代化の現状、米海軍戦力への意味」とあり、揚陸艦船、潜水艦、空母近代化を特に取り上げている。報告書ではPLANは2025年までに400隻規模となり、空母は3ないし4隻に増えるとある。■

この記事は以下を再構成したものです。

China to Deploy New Heavily-Armed, Stealthy Destroyer

China to Deploy New Heavily-Armed, Stealthy Destroyer

By Kris Osborn - Warrior Maven Warrior Maven

2020年6月5日

2020年6月21日日曜日

イージス・アショア事業で日米の認識の差が深刻な問題に発展しないか心配です

米ミサイル防衛庁(MDA)、日本の防衛省(MoD)、米海軍が見守る中、
USSジョン・ボール・ジョーンズ(DDG-53)がハワイ西の沖合でスタンダード
ミサイル-3(SM-3)ブロックIIAの初発射に成功した。2月3日 MDA photo.

国軍部はスタンダードミサイル3ブロックIIA弾道ミサイル迎撃手段の開発は完了し、生産に移る状態と認識している。共同開発国の日本が陸上配備弾道ミサイル防衛施設で方向転換しても影響は出ないという。


日本はイージス・アショアBMD施設2箇所を設置する計画だった。今週に入り日本政府はSM-3ブロックIIAのロケットブースターが陸上に安全に落下し一般市民に損害を与えないと確信できないため計画を再考すると発表。


共同通信は「防衛省はロケットブースターは演習場付近に落下すると2018年8月から説明しており、付近住民の生命に危害がないとしてきた。だが米国との協議から近隣自治体の安全は保証できず、ソフトウェア改良のみでは技術課題が解決できないとの結論に至った」と伝えた。


USNI Newsはロケットブースター問題はSM-3ブロックIIA限定ではなく、イージス・アショアで運用する装備で共通の問題と認識している。


ミサイル防衛庁長官ジョン・ヒル海軍中将のSM-3ブロックIIAへの自信は十分だ。


「日本政府が問題提起したが、当方は日本と密接に連絡しながら懸念内容の解決に努力する」とイージス・アショアに言及した。


「SM-3共同開発とは別問題だ。有償海外援助の別問題だ。開発は完了している。SM-3ブロックIIAは生産段階に移る。あくまでも別問題だ。イージス・アショアで威力が強化される。日本側と協力の上、事業再開に向かいたい」


二箇所新設の計画が頓挫したことから地域大でBMD体制へ影響が出るかを問われ、ヒル長官は「日本政府に別の選択肢も近く生まれると見ている。また、くりかえすが、一時停止であり、一部に懸念もあるが日本と協力しつつ実現をめざす。米国防衛の観点では....日本が建設すればわが国が利用し、建設しないならわが国として別の選択肢をさがすだけだ」


ただし長官はイージス・アショアの決定は日本政府のものとしてこれ以上の質問に対応しなかった。


イージス・アショアで最初に完工したルーマニアではSM-3ブロックIBミサイルを供用中だ。ポーランド施設は新型IIAを使う。スタンダードミサイルのメーカー、レイセオンは以下説明している。


「ブロックIIAはヨーロッパ向けミサイル防衛装備の中心である。ポーランドに展開し欧州向け段階別適応型アプローチ事業のフェイズ3が完成する」「日本との協力では、レイセオン・ミサイル&ディフェンスが次世代のSM-3ブロックIIA迎撃弾を開発中である。同型は特徴が2つある。ロケットモーターが大型化し、弾道ミサイルの脅威から広範囲を守り、大型弾頭にも対応できる。迎撃ミサイルの運動性弾頭は大型化され、探査・識別・捕捉・追尾の各機能が充実し、今後登場する高性能脅威にも対応する」■



この記事は以下を再構成したものです。

MDA Director Says SM-3 Block IIA Ready for Production, Unrelated to Japan's Decision to Back Out of Aegis Ashore



June 19, 2020 12:24 PM • Updated: June 19, 2020 6:25 PM


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June 15, 2020
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日本のイージス・アショア導入は中止になったわけではない

本がイージス・アショア導入の2番目の予定地でも作業を止めたことで米国がめざす太平洋ミサイル防衛ネットワークの構築が打撃を受ける。
6月15日に河野太郎防衛相が突如発表し、発射後のロケット筐体を近隣住宅地に落下させない方策を米政府・ロッキード・マーティン双方が提示できなかったためと説明。▶イージス・アショアは秋田県、山口県の各陸上自衛隊基地に設置の予定だった。▶「費用と日程を考慮の上、イージス・アショア導入を停止した」と河野防衛相は述べたが日本は2年前に導入決定していた。「当面はイージス艦で対応する」
事業規模21億ドルの同装備導入は今回の発表前からもたつきを示しており、秋田では現地の反対の声を受けて導入は白紙に戻すと日本政府は述べ、2025年の同時稼働開始は危うくなっていた。▶今回、二番目の設置場所でも作業が止まり、事業再開となっても目標達成は不可能だ。
ロッキード・マーティン広報は「当社は米ミサイル防衛庁(MDA)、日本防衛省と緊密に動き、イージス・アショア装備の実現を予定通り予算内で目指す。日本政府の懸念を解消したい」と声明を発表した。▶日本政府は今後も続け候補地を模索する。条件のひとつが人口密度が低い地点をみつけることだが、評価作業がいつ完了するか不明だ。
問題が浮上したのはSM-3ブロックIIAミサイルのソフトウェア改良が不十分と判明したためだ。▶構想ではブースター分離方法を変え破片等が住宅地に落下させないはずだった。▶SM-3ブロックIIAは日米共同開発事業で河野防衛相は日本は10億ドル近くを開発に支出ずみとも発言した。▶両国は同ミサイルの試験で協力しており、日本には2021年にイージス駆逐艦8隻体制を求め、うち4隻にSM-3ブロックIIA運用能力を付与する。
「日本の想定脅威が米国政府の考えとずれている証拠だ」と新アメリカ安全保障センターのアナリスト、エリック・ソーヤーズが述べた。▶「戦略面で見れば海上自衛隊の中心任務はミサイル防衛となる。数に限りがあるイージス艦を待機させ本土防空任務に投入するのでは得策と言えない。日本に最善の策は固定陸上ミサイル防衛基地の活用であり、艦船は別任務にあてることだ」(ソーヤーズ)
今回の日本政府の決定はイージス・アショアの世界展開を後退させる別の要素になった▶MDAはポーランドで建設中のイージス・アショアで工程の遅れを認め、完工時期を2年遅らせる。▶このため2021年に追加費用96百万ドルが発生する。ポーランドでの遅れによりイランの中距離弾道ミサイルの追尾迎撃を目指すヨーロッパの対応能力に影響が生まれ、ルーマニア国内の別の基地と合わせ多重的防護措置の実現も遅れる。▶これに対しMDA広報官マーク・ライトは米陸軍工兵隊とMDAがポーランドで努力中で「運用能力の開始」は2022年より先送りしないと述べたが、詳細には触れていない。■
この記事は以下を再構成したものです。

on June 15, 2020 at 1:31 PM

2020年6月20日土曜日

F-22対イラン空軍F-14の交戦が実現すればこうなる

ランへの全面作戦が現実になれば、イラン空軍の撃滅が必要となる。イラン空軍は米国製機材を供用中で、なかでもグラマンF-14トムキャットが老兵ながら健在だ。帝政イラン空軍が同型機を1979年のイラン革命前に80機調達し、79機が納入された。イランはヒューズ(現レイセオン)AIM-54Aフィーニックス長距離準アクティブ/アクティブレーダー誘導空対空ミサイル714発を入手した。同ミサイルの射程は100カイリ程度だ。

F-14Aは1960年代末の開発時に米国戦闘機で最高性能とうたわれていた。米海軍での供用は1974年からでAWG-9長距離パルスドップラーレーダーを搭載し115カイリ以内の探知能力があり、米製レーダーで初のスキャンモード追尾が可能となり、複数標的の撃破能力が実現した。6機に同時対処できた。理論上はトムキャットで艦隊防空能力が実現したが、実際は海軍の広報資料どおりではなかった。

イランはトムキャットに新型エイビオニクスと新型兵装を導入し性能向上させたが、飛行可能なのは20機程度だろう。イランにはMiG-29が20機あるが、トムキャットは最高性能の機体のままだ。開戦となれば、イラン防空の第一線はF-14が担うはずだ。

ステルス性能を有するロッキード・マーティンF-22Aラプター制空戦闘機が米攻撃部隊の先陣を飛ぶのは確実だろう。旧式F-14に対し、ラプターは技術面で優れ、最高水準のセンサー能力を有する。

F-22はステルスと長時間超音速飛行性能の上に統合エイビオニクスと高機動性も加わる。搭載するノースロップ・グラマンAN/APG-77 (V)1アクティブ電子スキャンアレイレーダーとALR-94パッシブ電子支援装備によりF-14を先に探知でき、トムキャットにはF-22が付近にいることに気づかない。

ラプターがF-14を先に探知し交戦許可が下りていればレイセオンAIM-120D AMRRAMミサイル(射程96カイリといわれる)を発射するだろう。その時点でF-22はマッハ1.5超、高度50千フィートを飛行している。F-14編隊は攻撃を受けたと分かる前に空から一掃される。

AMRAAMを打ち尽くすとラプター編隊は視界内交戦に移り、ステルス性能を活用し1000フィートまで探知されず接近し、レイセオンAIM-9Xサイドワインダーまたは20mmヴァルカン砲でF-14を撃破する。レッドフラッグやノーザンエッジ演習でのF-22は機関砲の有効射程まで気づかれずに接近しており、ステルス性能を発揮している

だが、尋常ではない状況でF-14とのドッグファイトに巻き込まれるF-22が出る。その場合、米パイロットがよほどの悪運に見舞われたり、誤った選択をしないかぎり、ラプターはトムキャットを楽々駆逐するはずだ。ラプターには高機動性を活かした旋回性能があり、毎秒30度を維持できるといわれる。ラプターの推力には余裕があり、AIM-9Xミサイルを高機動操縦中に発射すれば事態はF-22に一方的に有利となる。生まれたばかりのアザラシを撲殺するようなものだ。

もちろん以上はイラン指導部が米国との対決という愚かな選択に進んだ場合の想定に過ぎない。イランが米国と開戦すれば、非対称戦術を取るはずで、空中戦は避けるのが賢明だろう。■

この記事は以下を再構成したものです。
June 19, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: F-22F-14MilitaryTechnologyTrump

2020年6月18日木曜日

米海軍向け金造製品のデータねつ造が発覚。日立建機の米子会社が関与!

米メーカーで試験結果をねつ造し、潜水艦向け鉄鋼製品が品質の要求水準以下だった結果を隠そうとした事件が発生。その会社は日立グループの米子会社!


司法省(DoJ)の発表によると、米企業ブラッケンBradken Inc. (日立建機の米子会社)が10.9百万ドルの支払いに応じ、同社が基準未満の鉄鋼部品を製造販売したとの訴えに対応するという。同社製品は米海軍の潜水艦に使われている。

不正とされる内容には200回を超える製造回数分の鉄鋼製品が関係し、エレクトリックボートカンパニーおよびニューポート・ニューズ造船所に供給されており、潜水艦向け鋳造品で相当の比率におよぶという。

潜水艦の艦名は言及されていないが両社がヴァージニア級、コロンビア級の各艦をが建造しているのは事実だ。また今回の発覚で米潜水艦の建造日程に遅れが発生するかは不明だ。

ブラッケン(本社カンザスシティ)は海軍向け高張力鋼のトップメーカーで、基準以下の製品を潜水艦向けに納入していた。同社に長く勤務する社員が実験データをねつ造した。素材は同社の鋳造所(ワシントン州タコマ)で製造され、潜水艦船体用の鋼鉄鋳造を行っていた。海軍は鉄鋼製品に一定の強度および靭性を要求し、一定の条件で破断がないよう求めている。

DoJによる公訴資料によれば、同社のタコマ鋳造所は30年の長きに渡り、試験不合格かつ海軍基準に満たない鋳造製品を作り続け、冶金部長エレイン・トーマスがテスト結果をねつ造し基準不合格の事実を隠していた。トーマスのねつ造は製造200回分をこえ、海軍向けに製造したブラッケンの鋳造品で相当の比率に及ぶという。

ブラッケン経営陣はねつ造の事実を2017年に知ったとされるが、検察側は同社は社内調査結果を海軍に伝えた際に人的エラーによる誤差と伝え、ねつ造に言及しなかった。このため海軍で問題の全体像把握が遅れ、基準以下の製品が潜水艦に使用されたリスクの軽減策の検討も遅れたという。

DoJと和解できたことでブラッケンも申立を認めることにした。

「ブラッケンは海軍の潜水艦乗員のみならず潜水艦運用を危険にさらした」とブライアン・モラン検事は主張。「同社経営陣はデータねつ造を見つけたが、海軍に正しく伝えず、ねつ造の事実も伝えなかった」

「政府向け事業社でねつ造などあってはならないことで、ましてや事実が判明したなら政府にすべて明かすべきである。海軍は潜水艦の安全運用をめざし各種手段をとっている。そうした対策で調達費用や保守管理費が高くなる。社内手続きを改善し、同業他社にねつ造を見抜けなかった社内制度の不足点をもれなく伝えることで同社とは和解できた。こうした対策で軍の調達制度が向上すると期待したい」

トーマスは米国政府への詐欺罪で訴追された。同人は試験部門で40年にわたり勤務しており、冶金分野では全国的な有名人物で2014年には鉄鋼製造学会から表彰され、世界クラスの専門家で内容が高度な原子力推進用の鋳造技術開発での功績を認めた。

当局による尋問で本人はテスト資料の差し替えは認めたもののねつ造は意図的ではなかったと述べている。その後、テスト不合格になった鋳造製品は出荷していないとも述べた。トーマスはタコマの連邦裁判所での初審に2020年6月30日出廷する。

和解により立検手続きを遅らせる一方でブラッケンは社内品質管理手順を総点検しテスト業務の統括ポストを設ける。さらにどこが間違っていたかを詳細にまとめた報告を業界に公表し、政府向け事業者各社への教育効果を狙う。

「社内統制が不適切のため問題を早期発見できなかったのは遺憾だが、問題の社員が独自に行なったことだ」とブラッケンは今週月曜日に発表。またDoJと和解できたことにも満足しているという。

ブラッケンが今回の同意を守れば、政府は3年経過後に訴追を見送る。■

この記事は以下を再構成したものです。

June 17, 2020  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsSubmarinesNavy
The Department of Justice alleges that the director of metallurgy falsified test results to hide the fact that the steel had failed quality tests. 
Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.