2019年11月23日土曜日

地味だが重大な内容の日豪防衛相会談結果、航空自衛隊の二国間演習規模が拡大へ、防衛省には報道発表の強化をお願いします

オーストラリアの防衛大臣が防衛省で河野防衛相との会談結果についてオーストリア国防省が以下公式発表しているのでお伝えします。

------

2019 Japan-Australia Defence Ministers Kono/Reynolds joint statement on advancing defence cooperation

20 November 20

河野太郎防衛相はリンダ・レイノルズ豪防衛相の東京公式訪問で11月20日、二国間防衛協力の推進を確認し、インド太平洋地区の安全保障面の動向を重大課題と強調し、日豪協力を強化するとした。
両大臣は本年に入って防衛関係での進展を認識し、ジェット戦闘機部隊間の演習BUSHIDO GUARDIANの初実施と航空自衛隊が米豪合同演習TALISMAN SABREに過去最大規模で加わった。
両大臣は2020年に向け今回の覚書の実現をめざし、特別戦略提携関係を深化させ、自由で開かれたインド太平洋地区での包括的かつ繁栄の実現に努める。
さらに両大臣は防衛協力推進を確認し、演習、人事交流、宇宙サイバー空間での方策、防衛技術分野を列挙した。この目標に向け、両大臣は以下を確認した。
  • 航空自衛隊によるPITCH BLACK演習参加を2020年に開始する。同演習はオーストラリアで実施する。BUSHIDO GUARDIAN演習は日本国内で実施する。
  • オーストラリア陸軍の連絡事務所を陸上自衛隊内に設置し、共同作戦実施体制を進める。 
  • 国防関連研究者技術者の交流をめざした事業を開始し、両国による国防研究開発の実効性を高める。日本からは防衛装備庁が、オーストラリアからは国防科学技術グループが担当する。
両大臣は両国の共同作戦ならびに演習の企画、実施、法的措置に関する双方向アクセス体制の実施に向けた努力を今後も続ける点で合意。
両大臣はインド太平洋地区での二国間協力で国防安全保障関係を強化し、能力整備、海洋安遠保証、人道援助、災害救難での今後の取組を再確認した。
両大臣は日、豪、米参加国の防衛協力の推進を再確認した。
両大臣は域内問題として南シナ海、東シナ海、北朝鮮で見解を交換した。
両大臣は一連の弾道ミサイル発射を実行した北朝鮮について意見交換し、域内安全保障への重大な脅威とし、ミサイル発射は国連安全保障理事会決議への違反とした。
両大臣は北朝鮮に完全かつ検証可能で不可逆的な形で大量破壊兵器ならびに全種類の弾道ミサイルの廃棄を実行させる姿勢を保持し、関連する国連安全保障会決議全てを遵守させ、国際的取り決めの完全実施を求める。
両大臣は両国が関連国連安全保障理事会決議の実施として船舶間の洋上受渡しなど不法行為の抑止、途絶、撲滅に向けた国際協力の継続を歓迎・評価した。■


本件、防衛省では結果について何ら声明文が出ていませんね。一部メディアは
  • 河野太郎防衛相とオーストラリアのレイノルズ国防相は20日、防衛省で会談し、安全保障面の協力を進展させることで一致した。日本で実施する戦闘機の共同訓練の定例化や、オーストラリアで来年開催される多国間訓練に航空自衛隊が初参加することでも合意し、共同声明を発表した。
  • 河野氏は、北朝鮮船が別の船に物資を積み替える「瀬取り」への対処など日豪の協力事例を紹介し「法の支配」の重要性を訴えた。レイノルズ氏は「両国はかつてないほど強固な関係を築いている」と応じた。
  • 相手国内で共同訓練を実施するため、隊員の法的地位を定める新協定の締結に向けて努力することも申し合わせた (山陽新聞)

と要点を伝えていますが、豪国防省と比べ防衛省の発信がないのが気になります。省内の姿勢もあるのでしょうが、国際社会では発信力が問われますので逐一情報を伝えてもらいたいものです。

中国が開発中といわれるJH-XX戦闘爆撃機はアジア太平洋で脅威となるのか



China's Mysterious Stealth JH-XX Bomber: A Threat to the U.S. Military?
Here is everything we know about it. 
___
by Mark Episkopos
November 22, 2019  Topic: Security Blog Brand: The Buzz  Tags: JH-XX BomberJH-XXStealthStealth Bomber


はじめに

中国がH-20戦略爆撃機を開発中との情報が前から出ているが、戦闘爆撃機JH-XXも同時に開発中といわれるので、あらためて今わかっている情報をとりまとめてみた。
  1. JH-XXとは

中国人民解放軍空軍(PLAAF)が開発中のステルス爆撃機は二形式と国防情報局(DIA)が今年初めに報告書を発表した。その後の情報からひとつがH-20、長距離全翼型ステルス爆撃機で電子対抗装備をふんだんに搭載し、センサー融合機能も実現する。だが中国国防筋もPLAAFの二番目の機種については口を閉ざしている。.
DIAが「戦闘爆撃機」とするJH-XXはH-20が戦略爆撃機なのに対し戦術機の位置づけで、2018年に出た中国国防雑誌「航空宇宙知識」の表紙に描かれた機体がそれだという。そのとおりなら、機体は極めて通常形式ながら操縦性に優れた超音速爆撃機で兵装庫を備えている夜釣あ。JH-XXの想像図では双発エンジンのノズルや空気取り入れ口がステルス性能に配慮していることがわかる。
H-20ではステルスを最上段に構えた設計だが、JH-XXでは低探知性と速力、限定付きながらドッグファイト性能をバランスさせている。長距離対空ミサイルPL-15を搭載するではないか。また戦闘行動半径も2,000キロの性能となる。
.超音速域内爆撃機としてステルス長距離迎撃任務もこなすとされる。対艦、対空両面の性能が実現すれば、米空母戦闘群への対抗手段としてH-20より頼もしい存在になる。その点で中国の太平洋戦略に対応した機材で、第一列島線で十分な抑止力となり中国の台湾侵攻に介入を試みる外国勢力ににらみを効かせる。H-20とあわせ、つぎは第二列島線での中国軍事力の展開を実現し、グアムの米軍基地に脅威を与えるだろう。


  1. JH-XXは本当に開発中なのか

中国が次世代軍用機二型式を並行開発しているとうすれば要注意だ。H-20は公式に存在を発表する寸前まで来ており、PLAAFには2020年代中に編入される。一方のJH-XXは実際に開発が進んでいない可能性もある。「航空宇宙知識」誌の伝えた内容も結局は初期構想段階をそのまま伝えたものに過ぎない可能性もある。戦略、戦術両面の隙間を埋める存在になるとしてもJH-XXあるいは別の機体がすぐに実現する保証はない。
Image: Chinese Internet.

2019年11月19日火曜日

B-21導入まで米爆撃機各型はこうして運用される。B-52、B-1Bを中心に動向を解説

Air Force Maps it Future Path to 100 New B-21 Bombers

by
B-52に長距離核巡航ミサイルを搭載、B-2には最新の防空体制を突破させ、B-1Bは極超音速兵器を運用する....これは空軍が今後数十年にわたる運用構想が現実となった場合の話だ。
空軍の装備開発部門は各爆撃機が今後も戦力として活躍できよう懸命に企画中だ。兵装追加、エイビオニクスやネットワーク技術の導入に加え新型B-21の実戦化も課題だ。
上層部が『爆撃機不足』と呼ぶ現状への対応が企画の中心で、供用中機材の性能を最大限活用させるのがねらいだ。
「西側に爆撃機は156機しかなく、全部米国の保有機だ。長距離打撃能力の要求拡大に対応していく」とグローバル打撃軍団のティモシー・レイ大将が空軍協会主催のイベントで9月に発言。
現在B-2は20機あり、B-21は100機を導入する。
「B-21導入に向かう際の問題はどう実現するかだ。ロードマップはあるのか。今後数ヶ月、データをにらみながら可能な策を考える。保有機材の多くで今後は維持管理が課題となるので、費用対効果が最大な形で維持できるよう分析が必要だ」(レイ大将)
B-21の導入の進展が不明なままでは詳細面が決まらないが、構想では75機あるB-52は2040年代まで供用し、B-1は最低でもあと10年あるいは20年残し、B-2は大幅改修するとある。
「現時点ではB-21を100機とB-52の75機を想定する。昨年はこの構想が実施可能かをずっと検証してきた。B-1にも新装備を搭載すれば、B-52の負担が減らせる。問題は現有機材を賢く運用しながらロードマップを準備し規模拡大にそなえることだ」(レイ大将)
構想が成功するかは現有機材の近代化改修にかかっているとレイ大将は述べ、センサー、エイビオニクス、兵装、通信技術で就役後数十年経過した爆撃機を次の10年も活躍できるようにすることだという。
「B-21の機数が十分揃うまでは現有機材をうまく稼働できると信じる。外部ハードポイント追加、爆弾倉拡大が実現できるとよい」(レイ大将)
通常の整備に加え新規装備の統合に向けた努力も並行して進んでいる。空軍研究本部で空軍科学技術戦略をとりまとめるティム・サクリッチがWarriorに紹介してくれたのは空軍の科学技術部門では新技術の導入を加速化しつつ既存機材に応用する姿勢で、例として軽量複合素材、レーザーや極超音速といった新兵器、次世代ネットワーク装備等がある。
B-2とB-52で近代化改修が進んでいるのはこの構想の一部で、旧型機を全く新しい機材にする。自律化運用とAIを既存機種に折り込めば機能面で全く違う機体になり、残存性が高まり、攻撃方法にも選択肢が広がる。
「ネットワーク化兵装やシステムを有人・無人機混合運用で使う際はAIに依存することになる。運用面で違いが生まれるかを実証中だ。ネットワーク化兵装を実地運用し、戦闘状況で標的に向け発射し通信機能、最適化効果を見ているところだ」(サクリッチ)
B-1の今後
空軍はB-1に2つの方向性を想定し、機体改修案とB-21導入に伴う即時退役も考えている。
この2つは一見矛盾しているようだが、同機の威力を最大限にしつつ、B-21への機種転換の負担を軽減するねらいがある空軍関係者がWarrior Mavenに語ってくれた。B-21の就役は2020年代中頃の想定だがはっきりきまったわけではなく、B-1の完全退役は2030年代になりそうだ。またレイ大将からはB-1Bの爆弾倉で極超音速兵器を運用する実証の話題が出ている。
関係者はB-1史上で最大規模の技術改修が進行中とし、兵装運用能力の拡大とともにエイビオニクス、通信機材、エンジンを更新するという。エンジンについては当初の性能水準を維持し、標的捕捉機能、情報機能を新型にするという。
統合戦闘ステーションには乗員用画像装置、通信リンクがあり、飛行中にデータ共有できる。これと別に完全統合型標的捕捉ポッドがあり標的捕捉ポッドの制御と画像フィードをコックピットに送る。また500ポンド級兵装の搭載量を6割拡大する改装を行う。B-1の実戦デビューは1998年の砂漠の狐作戦で、JDAM数千発をイラク、アフガニスタンで投下した。高度40千フィートでマッハ1.25まで出せる同機の実用高度上限は60千フィートだ。搭載可能爆弾はJDAMの他、GBU-31、GBU-38、GBU-54がある。また小口径爆弾GBU-38も運用可能だ。
B-52は2040年まで供用 
B-52全機にデジタルデータリンク、移動式地図表示機能、次世代英日にオニクス、新型通信機をそれぞれ搭載し、さらに機内兵装搭載量の拡大と新型ハイテク兵装の導入が進んでいる。.
レイ大将はエンジン換装に向け作業が進んでおり、新型かつ燃料消費で優れたエンジンが各機に搭載されると強調。
B-52の機体構造が頑丈にできており2040年代更にその先までも飛行可能となるため空軍は最新式エイビオニクスや兵装など技術導入で十分な戦力を維持する。
またB-52の兵装搭載量も増加させるべく技術面で進展が進んでいる。
内部兵装庫改修(IWBU)により最新「Jシリーズ」爆弾を最大8発まで搭載しつつ、主翼下に6発を取り付ける。IWBUではデジタルインターフェースで回転式発射装置を運用し、ペイロードを増加させている。
B-52は以前からJDAM兵器を外部搭載してきたが、IWBUにより機体内部に最新式精密誘導方式のJDAMと共用空対地スタンドオフミサイル等を搭載可能となる。
また内部兵装庫の運用能力が拡大することで燃料効率の妨げとなる機外搭載を機内へ移し抗力が減る。
IWBU改修ではレーザー誘導JDAMの運用が最初に実現する。次に共用空対地スタンドオフミサイルJASSM運用が始まる。JASSM射程拡大型(ER)とミニチュア空中発射型囮装置(MALD)が続く。MALD-J「ジャマー」もB-52搭載されれば敵レーダー妨害に役立つはずだ。
ヴィエトナム戦争での爆撃ミッションが有名だが、近年もアフガニスタンで地上戦支援を行っており、この際はグアムから発進していた。
B-52も砂漠の嵐作戦に投入され、空軍は「B-52が敵兵力集中、固定目標、地下掩壕の広範囲に及ぶ攻撃に投入され、イラク革命防衛隊は戦意喪失した」とまとめている。

2001年の不朽の自由作戦のアフガニスタンで近接航空支援にB-52を投入している。イラクの自由作戦では2003年3月21日、B-52H編隊で約100発のCALCM(通常型空中発射巡航ミサイル)を夜間ミッションで発射している。■

2019年11月18日月曜日

そうりゅう級最終型が搭載したリチウムイオンバッテリーに注目が集まる


Japan’s Got a Stealthy New Submarine (With Some Very Interesting 'Batteries')

by David Axe 

2019年11月6日、日本で進水した潜水艦は従来型と異なるバッテリーを搭載し、潜航時の行動半径が拡大する。
川崎重工業がそうりゅう級ディーゼル電気推進攻撃型潜水艦とうりゅうを神戸で進水させた。全長275フィートの同艦はそうりゅう級12隻の最終艦であるとともに、姉妹艦おうりゅうに続きリチウムイオンパッテリーを搭載した。各艦はディーゼル発電機も補助動力用に備える。
そうりゅう級の潜航時最大速力は20ノット、浮上時は12ノットとされる。艦首533ミリ発射管6門から国産89式大型魚雷の他、ハープーン対艦ミサイルも発射できる。
とうりゅうは海上公試を経て海上自衛隊に早ければ2021年3月に編入される。日本は潜水艦19隻を運用中で、今後は22隻まで増強し中国の潜水艦増強に対抗する。
とうりゅうが搭載する新型バッテリーで哨戒期間が長くなるが、リスクもある。「リチウムイオンバッテリーというとスマートフォン、ノートパソコン他消費者向け製品でおなじみです」とH.I.サットンがフォーブスに寄稿している。
出力密度で従来型バッテリーを凌ぎ、小型化が可能となり、形状の自由度が高いため艦内におさまる。それでも潜水艦での普及は迅速とは言い難い。
それには理由がある。サムソンがギャラクシーノート7で苦しんだようにリチウムイオンバッテリーは発火しやすい。バッテリー発火が潜水艦で発生すれば直ちに深刻な事態となる。直近ではロシアのエリート潜水艦乗組員14名がバッテリー区画の火災で死亡している。
ただしこの事故は従来型で安全度が高いと言われる鉛バッテリーの場合だ。日本はリチウムイオンバッテリーの安全度を担保して洋上に出動させる方策を見つけたにちがいない。
潜水艦用の新型バッテリー開発では日本以外に、韓国も2020年代初頭の就役をめざす新型潜水艦にリチウムイオンバッテリー搭載を企画している。KSS-IIIバッチIとして3隻の建造が予定され、初号艦は2018年9月に進水している。
韓国の新型潜水艦は魚雷の他、垂直発射管を備え、対地攻撃用巡航ミサイルを発射する。同艦の潜航時最大速力は20ノットになる。
韓国は民生部門に続き潜水艦建造でもリチウムイオンの利点を活かしたいとする。だがリチウムイオンバッテリー技術があっても日本はオーストラリア向け潜水艦建造案件を受注できなず、オーストラリアはフランス案を採択した。
台湾は日本からの技術援助を期待している。同国は1980年代の旧型艦の更新にむけ苦しんでいる。台湾は潜水艦戦での遅れを自覚しており、米国、日本他の技術支援が必要と痛感している。
台湾政府が予算全額を計上すれば、海外技術を応用した潜水艦建造が始まり、台湾海軍の新世代潜水艦1号艦は早ければ2026年に就役する。
日本は次世代潜水艦用バッテリー開発に取り組んでおり、さらに技術面で進展が生まれそうだ。リチウムイオンバッテリーの改良により、ディーゼル発電機が不要となる潜水艦を日本が建造するようだ。
日本が進める次世代艦29SSはリチウムイオンバッテリーのみを搭載するとサットンは報じている。■

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad.

2019年11月16日土曜日

そろそろオリンピックのセキュリティ対策を考えよう 航空自衛隊に新型ペイトリオット導入

Japan Wants Missile Defenses to Protect the 2020 Olympics (From North Korea)

But is there a real threat?
November 15, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarMissiles.
2020年7月に東京で夏のオリンピック競技が開催されるが日本にやってくるのは世界最高水準の選手たちだけではない。
 同時にミサイルががっちとガードしているはずだ。

防衛省はオリンピックを米製ペイトリオットミサイルでオリンピックを防衛すべきか検討中だ。

 オリンピックが開会する7月24日を控え、第一高射群にPAC-3MSE迎撃ミサイルで待機させ、弾道ミサイル、無人機、その他未確認機に対応させ東京の安全を守る、と共同通信が伝えている。

「性能向上型を装備した迎撃ミサイル部隊で首都の空を守る体制は4月から維持する」という。

 自衛隊が現時点で運用するPAC-3は旧型で千葉、神奈川、茨城、埼玉の各県に配備してある。オリンピックまでに改良型PAC-3MSEが導入される。「現行のPAC-3の有効射程は数十キロ程度であるのに対し、改良型は射程が倍増しさらに探知能力が上がる」(共同通信)「低空飛翔の巡航ミサイルへの即応能力が引き上がる」と航空自衛隊の高官が語る。

オリンピック防衛にミサイルが配備されるのは今回が初めてではない。2012年ロンドン大会ではレイピア、スターストリークの短距離ミサイル二型式が会場を守っていた。スターストリークは共同住宅の屋上に配備されていた。

だがPAC-3MSEはロッキード・マーティンのペイトリオットミサイルで最高性能版で配備されれば事情が異なる。ペイトリオットは移動式長距離対空・対ミサイル迎撃手段である。ペイトリオットミサイルの全長は20フィート近くで巡航ミサイル、弾道ミサイル、航空機のいずれにも対応する。

 ただし、2019年9月にイランとその息がかかったフーシ勢力が発射した無人機、巡航ミサイルの攻撃をサウジアラビアの石油施設が受けたが、サウジのペイトリオット六個部隊は攻撃阻止に失敗している。そのためPAC-3が小型飛翔体や低空飛行する標的には無効ではとの疑問が出た。

 もっと大きな疑問がある。東京オリンピックに対してミサイルを誰が発射するのか。テロ集団なら自殺攻撃を仕掛けるのではないか。あるいは高性能ライフルを使い1972年のミュンヘン大会を襲撃したパレスチナ戦闘員の例がある。アルカイダやISISの様な集団が航空機をハイジャックし9/11のように自殺攻撃を企てる可能性もあり、日本の空軍戦闘機はアラート体制に入るだろう。
 北朝鮮には弾道ミサイル、巡航ミサイル双方がある。(ロシアも同様だが、第三次世界大戦を始めるのを急ぐはずはない)日本はイージス・アショア2箇所分を導入するが、予定箇所は津波の被害も想定され20億ドルを投じるプロジェクトに疑問も出ている。また日本は「2022年度までPAC-3全部隊の性能改修」を行い、令和2年度予算でそのための予算を要求している」と共同通信は伝えている。

 イージス・アショアとペイトリオットの導入は日本にとって合理的な選択である。北朝鮮には核兵器があり、地上発射、潜水艦発射双方の運搬手段がある。また同国は日本沖合に向けミサイルを頻繁に発射しており、世界から迷惑視されても意に介していない。とはいえ、オリンピック期間中にミサイル発射すれば、日本、米国、韓国との戦闘が始まりかねない。

 東京オリンピックでは数々の脅威に対応が必要だ。ミサイル攻撃が唯一の脅威ではない。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.

2019年11月12日火曜日

中国PLAに対抗する日本の軍事装備5点はこれだ


These Five Japanese Weapons Are Ready To Take On China's PLA

Japan has been heavily investing in its Self-Defense Forces.
November 11, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: JapanChinaJSDFMilitaryU.S. Military
中関係は2010年以降は悪化の一途だ。最初は日本領海内で創業していた漁民の逮捕からエスカレートし一連の不愉快な事件発生につながり、とくに尖閣諸島をめぐる対立が生まれている。
対立はいまのところは国の沿岸警備隊や軍用機の遭遇にとどまっているものの両国関係は悪化の一途だ。いつの日にか不愉快な事態が軍事行動に一気に駆け上がらないとは言えない。今回は有事に際して中国が警戒すべき日本の軍事装備5点を紹介する。

そうりゅう級ディーゼル電気推進潜水艦
そうりゅう級は通常型潜水艦としては世界最先端の存在だ。潜航時排水量4,100トンの同艦は浮上時13ノット、潜航時は20ノットを出す。スターリングエンジンによる大気非依存型推進装置を搭載した通常のディーゼル電気推進潜水艦より長く潜航できる。
艦首に魚雷発射管6門があり、89式高速ホーミング魚雷と米製サブ-ハープーンミサイル20発を搭載するほか、巡航ミサイルも運用できる同艦は先制攻撃に最適と言える。ただし日本の政界が是認した場合に限られる。
そうりゅう級は12隻建造。中国の人民解放軍海軍で潜水艦部隊の増強が続いているため、日本は潜水艦部隊の規模を従来の16隻から22隻に増強する決定を2010年に下した。
戦後日本では潜水艦を主要侵攻ルート数カ所に集中配備することとしてきた。すなわち津軽海峡、対馬海峡、関門海峡、宗谷海峡の4箇所で、冷戦時代からソ連が有事に日本侵攻に踏み切る事態を恐れていた。これをより中国を意識した体制にすると尖閣諸島や琉球諸島を念頭におくことになり、東シナ海や日本海への前方配備が実現するかもしれない。
中国が日本の潜水艦部隊を恐れるのは対潜戦が中国の弱点であるためだ。中国はASWを有事に体験したことがなく技量装備両面で遅れている。一方の日本は潜水艦運用の体験を長年に渡り維持している。日本の潜水艦乗員はよく訓練を受けており、米海軍の乗組員と遜色ないといわれる。

F-15J戦闘機
次は航空自衛隊のF-15J制空戦闘機で、米F-15イーグルの日本版で細かい差異があり、三菱重工業が国内生産した機体だ。
搭載するAAM-5赤外線ホーミングミサイルは米サイドワインダーに似る。さらにAAM-4B中距離レーダー誘導ミサイルは世界でも例の少ないアクティブアレイレーダーシーカーを備え、中国にはない種類のミサイルで、有効射程とロックオン性能によりF-15Jに中国機と一線を画す優位性を実現している。
F-15Jは200機超生産されたが、製造後30年超の機体で新世代中国機に対する優位性を実現すべく、毎年十数機が改修を受けており、新型電子対抗装置(三菱統合電子戦装備)、前方監視赤外線探査追尾能力を搭載している。
F-15Jは日本の最前線で外国軍事勢力に対抗している。2013年の航空自衛隊は延べ567回も海外機への対応で出撃し、記録を更新した。沖縄には一個飛行隊20機が駐留し、尖閣・琉球諸島を守備範囲としているが、与那国島に小規模分遣隊を置く案が検討中である。
旧式化が進むとは言え、F-15Jは人民解放軍空軍(PLAAF)にとっては強敵である。配備開始から30年が経過しているが、中国の現役戦闘機と互角に立ち向かえる。世界規模ではF-15の威力は伝説となっており、敵機撃墜計104機に対し喪失はゼロである。

あたご級誘導ミサイル駆逐艦
2隻あるあたご級は日本で最高性能の水上戦闘艦で各種ミッションをこなす設計だ。満排水量1万トンのあたご級は第二次大戦中の巡洋艦に匹敵する艦容を誇る。米国が開発したイージスレーダーシステムにより移動防空装備としての性能を誇り、航空機のみならず弾道ミサイルの排除が可能だ。
あたご級が搭載するのはMk.41垂直発射ミサイルサイロ96本でSM-2艦対空ミサイル、SM-3弾道ミサイル迎撃弾またはASROC対潜ロケットを運用可能。対艦攻撃手段としてはSSM-1B対艦ミサイル8本があり、ハープーンミサイルとほぼ同等の存在だ。その他5インチ砲一門とファランクス近接兵器2基がある。潜水艦にはSH-60シーホークヘリコプター一機および73式対潜魚雷発射装置6門を艦上に備える。
あたご級はこんごう級の発展形で、垂直発射セルが6門増加され、ヘリコプター格納庫が加わった。両級ともイージス防空レーダーを備える点で共通するが、あたご級は当初は弾道ミサイル防衛改修を受けていなかった。北朝鮮と中国の弾道ミサイル脅威が強まり、あたご級は更に2隻が建造され、全艦が弾道ミサイル対応のソフトウェア改修を受ける。これで日本には弾道ミサイル対応の駆逐艦が8隻そろうことになる。
改修後のあたご級は強力な防空艦になる。有事には中国は短距離中距離弾道ミサイル多数を日本、米国の艦船・航空基地やその他軍事施設にむけ発射してくると見られる。あたご級駆逐艦には尖閣諸島や琉球諸島に強力な対空防衛を提供する。SM-2ブロックIIIB対空ミサイルは射程90マイルで、あたご級一隻で565平方カイリの空域ににらみを効かせることが可能だ。

いずも級「多用途艦」
満排水量27千トン全長800フィートのいずも級ヘリコプター駆逐艦は戦後日本で最大の海軍艦艇である。公式には「ヘリコプター空母型護衛艦」というのがいずもの呼称だが2015年に就役した。いずも級は2隻建造された。
いずも級は先に建造されたひゅうが級と同様に空母に似た艦容を誇る。ただし海上自衛隊はいずもを多用途艦と位置づける。全長にわたる飛行甲板と機体格納庫を使いヘリコプター14機を搭載する。SH-60対潜ヘリコプターで広範な海域で潜水艦を狩ることができる。
また揚陸任務にも使える。2013年の日米共同演習ドーン・ブリッツでひゅうがは陸自のCH-47チヌーク輸送ヘリやAH-64アパッチ攻撃ヘリの海上航空基地となった。有事にはいずもは第一空挺部隊あるいは西部方面普通科連隊をヘリコプターで陸へ運ぶだろう。
また日本はF-35Bを発注し、「ヘリコプター駆逐艦」から運用する構想がある。F-35Bはいずも、あるいはひゅうがからも飛び立てるが、そのためには全面的改装が飛行甲板に必要で、垂直離着陸で発生する高熱に耐える必要がある。わずか数隻を航空機運用のため海上に送るのは高額な費用を生み、政治的にもリスクとなるが尖閣・琉球諸島の防御には必要と日本は見ている。
中国はいずも級を警戒しているのは強力な多用途艦だからだ。ASWでは中国潜水艦の活動範囲で有効に対応してくる。揚陸艦として遠隔島しょ部への地上部隊の展開手段となる。また空母としてステルス第5世代機の移動基地として東シナ海に出動するからだ。

米軍
リストに他国の軍部隊が出てくることに驚きもあるかもしれないが、日米相互協力安全保障条約により日本には世界最強の軍事力が控えているのだ。
日中軍事衝突に米軍が加わるかは条件次第だ。日本が軍事攻撃で被害を受け米軍の援助を要請する場合が考えられる。条約の要件に合致して一度米軍が介入すれば、米軍の全装備が日本のため動員される可能性につながる。グアムの原子力推進攻撃型潜水艦からミズーリのB-2爆撃機に至る各装備だ。
ここまで同盟国を助けるのは見上げたものといえるが、日米同盟は戦後最も成功した同盟関係である。同盟関係は全面戦争勃発時にソ連に対抗するねらいがあったが、中国との領土紛争で日本を支援する想定はなかった。
米国が日中衝突に介入すれば大国間の戦闘になるのは必至だろう。米中間の軍事対決が現実になれば日中対立など吹き飛んでしまう。グローバル経済への影響が生まれ、なんといっても核保有国同士の対決である。日本の領土問題が明確に解決されないまま、防衛費をGDP1%に制限している中で米国が局地的な危機状況に引きずり込まれれば、結果として大規模戦闘に発展する可能性は極めて現実的となる。■
Kyle Mizokami is a writer based in San Francisco who has appeared in The Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and The Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami. This article first appeared several years ago.