2013年6月16日日曜日

ボーイングのファントムアイにミサイル防衛庁が極秘ペイロード搭載契約を与える

Phantom Eye Gets $7M Missile Defence Payload Contract

                   
                        UAS Vision, Posted on June 11, 2013 by The Editor                   
                   
                       


ボーイングの高高度実証無人機ファントムアイに初の顧客ができた。米ミサイル防衛庁(MDA)である。

MDAはファントムアイに情報非公開のペイロードを搭載し飛行させる契約を6.8百万ドルで交付した。ボーイングは同機三回目の飛行を完了したところで、四回目では性能限界を伸ばそうとしてる。

ファントムアイは液体水素動力技術の実証機で合計8回ないし9回の飛行を予定している。

「MDAが最初のペイロード顧客となり、フライト5から搭載します」とボーイングは発表。「フライト5以降は今年後半から来年にかけ実施します」

ファントムアイのペイロード最大搭載量は204kg (450lb) 。

「ファントムアイは大きな関心を集めています。需要がないとしたら当社としても実証飛行はしません。国防関連、民生部門の両方から高い関心を示す向きがあります。』(ボーイング)
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ファントムアイの初飛行は2012年6月でその後着陸に失敗してから一年近く地上大気のままだった。設計上の飛行性能は4日間連続飛行可能で高度65,000ft (19,800m)まで上昇できる。MDAからは事実照会への回答はない。

2013年6月14日金曜日

トルコが第五世代戦闘機製作に意欲を示す---海外共同作業も視野に

Turkey Looks Into Fifth-Gen Complement To JSF

By Tony Osborne
Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com June 10, 2013
Credit: TAI Concept
Tony Osborne London and Istanbul

トルコ航空産業はF-16ファイティングファルコンの国内生産を開始した1980年から、F-35統合打撃戦闘機を補完する性能を有する国産戦闘機をあと数年で生産できるところまで進展している。
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トルコ航空工業 Turkish Aviation Industries  (TAI) は第五世代戦闘機構想をF-Xの名称で暖めてきたが、2011年から20百万ドルで進めてきた構想研究が9月に完了することを受け、2013年は決断の年 となり、トルコ国防産業経営幹部委員会で方向性を決定する。

イ スタンブールで先月開催されたIDEF国防装備展示会でTAIは単座戦闘機の設計コンセプト3案を展示しており、そのうち2案は一般的形状で単発案でと双 発案になっていた。それに対し三番目の案はカナード翼をつけた大型デルタ翼構造だった。各案に第五世代戦闘機の特徴が見られ、レーダー断面積を減らす機体 設計、格納式兵装庫、スーパークルーズ性能、高性能エイビオニクス、AESAレーダーが盛り込まれている。サーブが技術支援をしている。

TAI 関係者からは単発機構想二案の最大離陸重量(MTOW) が50,000-60,000lb.との暗示があった。双発機案のMTOWは60,000-70,000 lb.だという。図面を見ると双発型には兵装庫はふたつで、ひとつは空気取り入れ口の中間にあり、短距離空対空ミサイル二発を搭載する。もうひとつはエン ジンハウジングの前方にあり大型ミサイル4発を搭載できる。

業 界筋によるとトルコ空軍の要求内容は少なくとも三回変更されており、TAIやトルコ産業界で実現できる水準に絞り込まれてきているとのことだ。IDEFで 展示された案では双発機案が空軍の要求内容に合致しているとのことだが、空軍が単発機を好むのは経費上および技術難易度が理由だという。多用途戦闘機の想 定だが空軍は空対空、航空制圧任務をまず想定しているとTAI関係者が解説していた。

現在の想定ではトルコはF-35導入と同時に新型機を開発する。TAIはF-X初飛行を10年以内に実施する希望で、F-35はF-4および初期型F-16の代替用に導入し、F-XはF-16後期型と交代する。

新 型機には技術面で新機軸が導入される。オズカン・エルテム Ozcan Ertem はTAI執行副社長(航空機担当)で Aviation Week に「搭乗員2名からゼロまでのオプションを検討中です。」と発言している。言わんとするのは二名搭乗の場合、パイロット1名はミッション指揮官として無人 機部隊の指揮統制に専念するということなのだろう。ただ同機開発の最大の障害はエンジンだ。ファーンボロ航空ショーに各国のエンジンメーカー多数が参加し ていたが、「当社は次世代エンジンを求めており、大手エンジンメーカー各社と連絡を取っています」とTAIでF-Xを統括するエディズ・ターハン Ediz Tarhan が説明している。「当社と共同開発の可能性もあります」とツハスエンジン工業 Tusas Engine Industries を念頭においているようだ。

ターハンは海外提携先とチームを組むことで共通基本形に要求性能を付け加えていく形にすれば資金面で効果が多大だろうとする。あるいは同様の要求水準の第五世代機生産を想定する国とパートナーになり、開発・生産さらに海外販売で協力することだという。トルコ国内の報道では韓国がこの方式のプロジェクトに関心を示しているとされる。次のモデルは戦闘機設計・開発に知見を持つ企業あるいは国家と組んで技術支援を受けることで、構想段階でのサーブの例と同様の方法だ。

トルコが目指す目標へはまだ道のりが長いが、その間の投資と派生技術はトルコ航空産業の地位を押し上げる効果を生むだろうし、完成製品はJSF導入が不可能な各国に広く輸出できる可能性がある。

2013年6月13日木曜日

新しい方向を示す日本の防衛力整備

 

Japan Plans More Aggressive Defense               

US Naval Institute, May. 26, 2013 - 10:50AM                             
               
       
Japan's ruling party guidance calls for boosting the amphibious capabilities of the Army's Western Infantry Regiment, here training alongside US Marines in California in February. (Capt. Esteban Vickers/US Marine Corps)
                                                     
           
70 年近く限定的な防衛能力の維持にとどめてきた日本が揚陸作戦能力、先制攻撃能力の整備に乗り出すべきであり、弾道ミサイル防衛能力も拡充すべきだというの が政権与党による政策提言の骨子だ。同提言は一般公表前にDefense Newsが入手したもので、宇宙配備の早期警戒システムの増強も求めている。同提言をとりまとめたのは石破茂、中谷元の防衛相経験者なので相当の重みのあ る内容だと政策研究院大学の道下徳成准教授は言う。
  1. 提言内容が政策に反映されると今後5年間の中期防衛計画の調達支出で高い優先順位を与えられることになる。防衛省は同計画を12月までに公表する予定だ。
  2. 時あたかも安倍政権が憲法第9条を改正し「国家主権の手段としての戦争」のための「戦力の維持」を禁じるというくだりを削除し総理大臣を最高指揮官とした「国防軍」を保有できるよう求めている。
  3. 自民党による政策提言では個別具体的な兵器名称を表現しておらず、2009年にまとめられた前回の提言内容から具体性を下げている。「当時は自民党は政権の座になかったので表現も直截的にできたのでしょう」と道下准教授は解説する。
  4. 前回の提言ではボーイングKC-46空中給油機の導入をもとに北朝鮮のサイルを発射前に攻撃することを堂々と主張していた。また最終段階高高度地域防衛 (THAAD)の配備も求めていた。
  5. それから4年たち自民党は昨年12月の総選挙で政権与党に返り咲いた。今回は言葉使いも一層慎重だ。
  6. 日本にとっての懸念材料である中国と北朝鮮を直接言及することを避けつつ同提言は防衛能力の整備をどこまで目指すべきかでは堂々と述べており、防衛当局は同提言に沿った防衛能力増強オプションを検討中と、消息筋は言う。
  7. 特 に関心を呼びそうで問題にもなりそうなのが先制攻撃に関する提言内容で、それによると日本は共用直接攻撃兵器Joint Direct Attack Munitions (JDAMs)、長距離空中給油能力をF-35向けに装備すること、海上部隊向けにF-35Bを導入すべきとしている。
  8. 今回の提言ではKC-46Aの言及はないが、航空自衛隊はF-2多用途戦闘機にJDAMの装備を進めており、19,500トンの22DDH計画ヘリコプター護衛艦はF-35B用に改装可能だ。
  9. 日 本がイージスSM-3ミサイル及びペイトリオット性能改修型-3(PAC-3)弾道ミサイル防衛システムを配備したのは2003年のことで石破防衛相(当 時)は日本から北朝鮮のミサイル基地攻撃も一定の条件のもとで実施が可能との見解を示している。ミサイルに燃料が注入され日本が標的ととの証拠が見つかれ ば日本としては防衛手段がないと道下准教授は指摘する。
  10. ただ日本は弾道ミサイル防衛を着々と整備中であり、北朝鮮の長距離ミサイル銀河Unhaおよび移動式中距離弾道ミサイルムスダンMusudanの迎撃を目指す中で、先制攻撃の実施は違憲判断となる可能性があるとも同准教授は指摘。
  11. ブ ラッド・グロサマンBrad Glosserman(戦略国際研究センターCenter for Strategic and International Studies (CSIS)の太平洋フォーラムを統括)は先制攻撃論が日本で高まることに懸念を示している。「CSISは先制攻撃問題を6年に渡り検討しており、この 数ヶ月で先制攻撃能力の整備を求める声が再び高まっていることに気づきました。先制攻撃能力が拡散すると安定性を損なう効果が生まれるので懸念を示さざる をえません」
  12. 日本が海兵隊を別個に整備することはおそらくないだろうが、水陸両用作戦能力の拡充の可能性は十分あり、陸上自衛隊の西部方面普通科連隊が米海兵隊と合同演習をしていると指摘する向きがある。
  13. Global Strategies & Transformationのコンサルタントであるポール・ジアラPaul Giarraは今回の政策提言により陸上自衛隊の一個ないし二個連隊に高性能水陸両用車両を今後5年以内に導入する可能性が出てきたと見ており、現在想定 しているAAV-7A1Sより高性能のモデルとなる、またベルボーイングV-22オスプレイも想定されるという。
  14. 「自 衛隊に高性能装備を導入すべきと言うのが提言内容だと読み取りました。それ自体が大きな進展ですが、自民党は海兵隊創設までは求めていないようですね」と 解説したのはクリストファー・ヒューズ(英ウォーウィック大教授、国際政治・日本研究論)だ。日本が検討中のBMD能力増強策には現状ではこんごう級護衛 艦4隻、やや大型のあたご級2隻とPAC-3部隊が中心だが2009年版提言ではTHAAD他「高性能」版のPAC-3導入を主張していたが、今回の提言 書では陸上配備BMDの性能向上を推奨し、THAADあるいはイージス陸上型、またはPAC-3ミサイルセグメント性能向上型 (MSE)を国土防衛の最終手段として選ぶことがふさわしいとしている。
  15. ジアラによればPAC-3 MSEはイージス陸上型を代替できるという。日本はMSEに関心を示しているが、THAADは能力的に重複するほか過大な調達になる可能性があると指摘している。
  16. 日 本の防衛当局が脅威とみなしているのは巡航ミサイル一般なかんずく中国のDF-21D対艦弾道ミサイルだ。このため性能向上策のトップがSM-3ブロック IIAイージスシステムが利用可能となり次第導入することで、さらに有効射程が長いRIM-174対空ミサイルの導入も検討している。
  17. ヒュー ズ教授は政策提言は各方面からの批判に加え自民党内部のハト派の抵抗が予想されるという。また防衛省の審議会が来年1月に予定されているが優先順位が変わ る可能性があるという。さらに財務省が防衛予算増額に難色を示すと見る。「だが安倍政権が抵抗を封じ込めれば急展開するだろう」
  18. こういった日本の動きは中国が強硬に領土主張を展開する地域の各国が歓迎するだろう。
  19. 「日 本とフィリピンにはギクシャクした過去がありましたが、フィリピンは日本を強く支持しています。なぜなら日本はフィリピン沿岸警備隊の訓練をしていますし ね」とジアラは解説する。「韓国は日本への依存度は低いのですが、関係の緊張化は深くなっており、日本の動きに賛同する可能性は低いでしょう」
  20. 緊張をさらにあおったのが大阪の市長が日本占領下で慰安婦を強いられたのは軍事上の必要悪であったと発言したことで、これに対し韓国新聞各紙は原爆投下は日本の残虐行為に対する「神の復讐」だったと応酬している。
  21. アジア各国及び米国には日本の右派政治家は戦時中の日本軍には非がなかったと思っているのではないかと憂慮している。
  22. 「日本の行動がこのまま変わらくても日本への支持は静かに続くでしょう。ただし、戦時中の行いに何ら反省すべき点がないと思い謝罪も不要とする誘惑に日本側が打ち勝てるかが問題です」(ジアラ)
  23. 「戦 時中の行いで不当な非難を浴びていると日本では感じていますが、韓国、フィリピン、インドネシア等の感情は反対です。ドイツは過去を処理し、現在も向き 合っていますが、日本では問題を封殺してきたので今日では圧力が高くなっていますが、はけ口ができれば防衛力整備に対する各国の見方も変わるでしょう」 ■   

2013年6月12日水曜日

V-22オスプレイ99機追加生産へ。海外販売一号はイスラエル向け


い まだにアレルギー反応としか言いようがないのが日本国内の(一部の)反対感情ですが、着実に実績を上げているオスプレイを永遠に無視できるのでしょうか。 安全保障の観点というのは国内では票にならず「アレルギー」に寛容な姿勢を示すことで選挙には勝てるでしょうが、安全保障=国民の安泰は遠のくばかりとい う事実そのものに触れるのを怖がっていていいのでしょうか。政治家が悪いのではありません。政治家を選ぶ選挙民の資質が悪いのでしょうか。ともあれ、ここ ではあがっていませんが、自衛隊のオスプレイ導入検討も水面下では進んでいるはず。どこかで「真実」を話さないといけないでしょうね。それにしてもイスラ エルにはまたもや先を越されていますね。

Bell, Boeing To Get Order For 99 More V-22 Ospreys

By Reuters
aviationweek.com June 11, 2013
Credit: Boeing

米海軍は今週にもV-22オスプレイで五ヵ年契約に調印し総額65億ドルで99機の生産をボーイングベルヘリコプターに発注する。
  1. 海兵隊のグレゴリー・マシエロ大佐Colonel Gregory Masielloによると2013会計年度から2017年度までの期間とし22機の追加オプションを含む。五ヵ年契約自体が一度は計画取りやめの危機にさらされた同機への信頼回復を裏付けるものだ。
  2. 大佐によると92機は海兵隊向けで空軍は7機を受領する。海軍航空システム司令部が統括しメーカーとの契約交渉に当たる。
  3. ボーイングとベルヘリコプターがV-22オスプレイを共同生産しており、開発当初こそ海兵隊員23名が犠牲となった事故があり難航したが、現在は戦闘下の性能を高く評価されている。ただし昨年はモロッコで海兵隊員2名が訓練中に死亡している。
  4. マシエロ大佐によれば5年契約にすることで一度に全機購入するより10億ドルの節約効果が海軍に生まれる。
  5. 海軍は三番目の多年度契約で100機以上の調達を検討中で、ここに海軍用48機のほか海外販売向け機体も含まれているという。
  6. 「詳細について今から詰めることは決して時期尚早ではありません」と大佐はいい、2007年以来実績を積み重ねてきた同機に対して海外からの需要が高まっていること、それにより米国内の発注が増えると強調する。
  7. 契約調印は6月12日予定だ。マシエロ大佐は単年度契約14億ドル相当で昨年12月に発表したものを手直ししたものだという。この変更は主契約企業二社にとって歓迎されているほか同機部品の各メーカーにとっても生産安定化につながるものだという。
  8. 現在214機のオスプレイが就役中で、実戦での飛行時間は合計19万時間に上るという。
  9. 今週はUSS Harry S. Truman艦上でオスプレイを海上物資輸送手段として各艦艇に運搬する実証実験に使うとマシエロ大佐は明かした。海軍は老朽化してきたC-2艦上輸送機を使っているが、V-22に切り替えれば数十億ドルの節約が可能だという。
  10. 大統領向け輸送部隊に2機のV-22が加わっており、その他英国、スペインにも投入中という。
  11. 同 機への海外からの関心は高く、米政府がこれまで技術説明を行った仕向け国はサウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦、イタリア、ブラジル、コロンビ ア、シンガポール、オーストラリアの各国だという。大佐は国名を明かさなかったが、ペンタゴンが三カ国と同機売却で書簡を交換中だという。
  12. チャック・ヘイゲル国防長官からは4月にV-22導入の最初の国はイスラエルと公表している。消息筋によるとイスラエルは5ないし6機のV-22を推定単価70百万ドルで購入する。■


ユーロファイター・タイフーンの輸出の鍵はレーダー改良にあり

Eurofighter Future Exports Hinge On Advanced Radar Deal

By Reuters

aviationweek.com June 05, 2013
Credit: EADS

ユーロファイター・タイフーンの輸出拡大には英国、ドイツ、イタリア、スペインの加盟各国が高性能レーダー開発の資金供出に正式合意する必要がある。
  1. 同 機導入の可能性があるアラブ首長国連邦などからはEスキャンレーダーE-scan radarsを現在のMスキャンレーダーのかわりに搭載してほしいとの要望が出ている。これを語るのはクリス・ブッシェルChris Bushell、Selexの電子戦担当上席副社長で同社はイタリアのフィンメッカニカFinmeccanicaの防衛需要電子製品部門だ。
  2. 加盟四カ国は新技術開発に2011年に原則合意しているが、正式契約の署名はドイツ総選挙をにらみ延期中で、ユーロファイターは来年上半期中までの発効を求めている。
  3. 「Eスキャン搭載なしではタイフーンの輸出は無理と思いますね」とブッシェルは見ている。「このことは加盟国で認識されているのですが、UAEが要求が厳しい顧客であることも頭に入れておく必要があります」
  4. ユーロファイター・コンソーシアム加盟国は「要求どおりの時期に」同技術が搭載されるとUAEを「確信」させる必要があるとブッシェルはいう。
  5. .昨年のインド商戦で200億ドル126機規模の輸出可能性にふたを閉ざしたのがこのレーダー問題だった。インドは結局フランスのダッソー・ラファールを選んでいる。
  6. UAEもラファールを100億ドルで購入する寸前までいったが、取引条件で不満が出てご破算にしている。このためユーロファイターに希望が出てきた。
  7. .Mスキャンとは機械式スキャン機能のレーダーで目標探知には物理的に装置を移動する必要がある。Eスキャンは電子スキャン方式で電子ビームを移動させて迅速な作動が可能。
  8. .ユーロファイター・コンソーシアムはEスキャンレーダーの初期開発に資金を投入しており、2014年第一四半期にフライトテスト予定だという。その開発日程では機体に同レーダーを搭載したものの引渡しは2017年の予定だ。
  9. なお、サウジアラビアおよびオマーンがユーロファイターを受注ずみ。■
 
 コメント EスキャンとはAESAのことでしょうね。各国の利害がからみなかなか企業体と意思決定がすすまないのでしょうね。タイフーンを日本は選択しなくて正解だったのか、それともお得意の国産化で別の機体になっていた可能性があったのか今となっては不明ですが、機体は美しいですね。

2013年6月11日火曜日

A400Mを操縦してみてわかった同機の実力

 AviationWeekではときおり実機の操縦レポートがあり、自動車雑誌のドライブレポートのようなものなのですが、民間機の例がほとんどです。今回はA400Mをパイロット席で実際に操縦してみた、とのレポートです。羨ましい体験ですね。

 

Pilot Report Proves A400M’s Capabilities

By Fred George
Source: Aviation Week & Space Technology


June 10, 2013
Credit: Mark Wagner/Aviation-images.com
Fred George Toulouse


構想段階から30年かけてまだ就役していないエアバスミリタリーのA400Mアトラスの登場でヨーロッパ独自の大型輸送機が利用可能となり、米露以外の機種の選択肢が生まれる。.
  1. 開発・生産準備に投じられたのは300億ドルを優に超え、それだけに共同開発各国からの期待には高いものがある。今回本誌Aviation WeekはA400Mを操縦する機会を与えられた。
  2. A400Mの機体外寸はロッキード・マーティンC-130JとボーイングC-17の中間に位置する。西側世界ではもっとも高性能なターボプロップ機でフライバイワイヤ(FBW)飛行制御を有し、短い未整地滑走路からの運航が可能だ。
  3. 同 機の歴史は長い。概念を最初に提示したのは1982年で、要求性能をまとめたのは1996年。エアバスミリタリーが設立されたのが1999年でA400M に専念することとなり、固定価格による開発生産する契約が発効した。引渡し開始の2009年予定が遅れ再契約交渉となり、やっと初号機をこの7月にフラン ス空軍に引き渡すところまでこぎつけた。
  4. 同機は3月にヨーロッパ型式証明を得ており、兵站ミッションでの初期作戦能力獲得を経て就航する。「標準作戦能力」機の引渡しが今年末に予定され、2014年末までにアトラスに空中給油受入能力、機体防御能力、空中給油タンカー能力が加えられる。.
  5. エ アバスミリタリーによるとA400Mの性能はペイロード33トンで2,450 nm 、最大等裁量40トンで1,780 nm.で通常巡航速度はマッハ0.68あるいは390ノット(真対気速度)(KTAS)が高度37,000 ft.(通常の軍用作戦最大高度)で出せるという。高度31,000 ft.ではマッハ0.72あるいは422KTASになる。一般的な運用では降下部隊116名あるいは傷病兵66名を搭載する。または463L貨物パレット 最大9個、ユーロコプター・タイガー攻撃ヘリ2機、あるいは装甲兵員輸送車3両を搭載する。
  6. オ プションの空中給油パッケージでヘリコプターへ表示対気速度KIAS)105 kt.で給油を行える他、戦闘機に300 kt.での給油が可能。主翼左右に2,650-lb./min.で給油できるホース・ドローグ方式ポッドを装着するか貨物室後部に4,000-lb. /minのホース・ドラム式装備を取り付ければ合計三機へ空中給油ができる。オプションの貨物室内燃料タンクも入れるとさらに25,000 lb.を搭載できる。最大99,000 lb. 搭載の場合は250 nm、51,000 lb だと1,250 nmになる。
  7. 機体は通常の金属製で7.8 psi に加圧し、貨物室床面はトラック・ローラー方式なので貨物の取り扱いを楽にしている。主翼はカーボンファイバー製で15度まで湾曲する。T字尾翼も複合材を多く使いっており、水平安定板としての機能から形状を選んでいる。.
  8. シ ステムはA380を模範としているものの、軍用ミッションを考慮した手直しもしている。油圧は3,000-psiの二系統として飛行制御,着陸装置作動、 ブレーキ、貨物室ドア開閉、空中給油装置を作動させる。三番目の系統がないのもA380と同じだが、電動装置は二系統あり、ひとつが油圧系統の作動用に、 もうひとつを電動油圧ハイブリッド作動装置である。この冗長性は戦闘時の損傷を想定したもの。
  9. 着陸装置は14輪で非整地滑走路への着陸が可能る。車輪はタンデム独立方式で機体姿勢を未整地滑走路の地表形状にあわせ調整できる。
  10. Aviation Weekはエアバス主力工場のあるツールーズに赴きA400M操縦を試みた。MSN6号機の左側操縦席でベルトを締めると同社の主任テストパイロット、エ ド・ストロングマンEd Strongmanがインストラクターとして右座席にすわった。ストロングマンは2000年からA400Mに携わり2009年の初飛行も実施している。テ ストパイロットのマルコム・リドリーMalcolm Ridleyとフライトテストエンジニアのジャンポール・ランベールJean-Paul Lambertとティエリ・リュワンドウスキThierry Lewandowskiも搭乗した。
  11. MSN6 の運用空虚重量は177,250-lb. で量産型より850 lb. 重い。ペイロード882-lb. で無燃料重量は178,132 lb.だ。燃料は最大55,115 lb. 搭載できるが、今回は一部のみ充填し、ランプ重量は233,247 lbで計算上の離陸重量は232,365 lb.だ。軍用輸送ミッションでの最大離陸重量は310,851 lb.になる。
  12. 今 回はTP400エンジンの離陸性能を全開とし11,065 shp. を各エンジンから引き出すこととした。フラップを1とし(約10度)、V速度は110 KIASでV1離陸判断速度、129 KIASがV2エンジン不調でも安全に離陸できる速度だ。フラップ引き戻しは148 KIASでV速度は今回はラップトップコンピュータで計算したが、量産型で飛行管理システム(FMS)で自動計算される。FMSでは機体重量と重心位置を 検算し、水平安定版の角度を調整して離陸することになる。
  13. 今 回の飛行計画はツールーズ14R滑走路を離陸し、 9.3 nm南東へ飛行し、ツールーズ・ブラニアック無線局方面へ向かう。次に地面高度500 ft.へ降下し、低高度のままギャロンヌ地点を通過後ピレネ山脈のふもとカゼールに向かう。天候条件がよければ低空飛行のまま東に向かい20マイル飛行し てから中高度そして高高度に移動し巡航飛行性能の点検をしてからツールーズに戻るというもの。
  14. 天候はデモ飛行にうってつけで、1,000 ft.以下で雲の層がはじまり25,000 ft.まで続いている。これにより同機の低視認性の評価が可能となる。
  15. ス トロングマンがモニターディスプレーで始動前チェックリストをした。エンジン始動は簡単で、燃料ポンプを始動し、エンジンスタートノブを回すとエンジンマ スタースイッチをオフから不フェザー位置にしただけだ。デジタルエンジン制御によりその他の始動手順はすべて完了した。
  16. プロップが80 rpmまで加速すると振動が感じられたが、エンジンが安定するとマスタースイッチをフェザーから作動に変更して振動は消え、650 rpm で地上アイドル状態になった。
  17. 駐 車ブレーキを解除するとアイドル回転で機体がわずかに動いたが、出力レバーをタキシー開始にセットした。ストロングマンから出力レバー操作で主翼内側の第 二第三エンジン調節でタキシー速度のコントロールができるとのアドバイスが出る。カーボン製のブレーキは滑らかで機首の前輪操作も同様だ。
  18. 14R 滑走路の中央に機体を合わせる。離陸許可が出たので、推力レバーを飛行アイドル状態から前進ストップまで一気に動かす。エンジンは滑らかに加速し、プロッ プは860 rpmで安定すると中程度のノイズがコックピットでも感じられる。ノイズ軽減型ヘッドセットの使用を指示したが、コックピット内のノイズレベルはC- 130他ターボプロップ機より相当低い。
  19. 重 量出力比が5.25:1の同機は加速がきびきびかつなめらかだ。ローテーション速度に達するとサイドスティックを半分ほど引き機首が20度ほどになってか ら離す。フライバイワイヤ方式の飛行コース安定機能によりピッチとバンク角度は一定のままで機体は加速し、着陸装置とフラップを戻した。
  20. 高 度警告装置が作動したのは3,000-ft. の承認済み高度に近づきつつあったためで、出力レバーを戻し、エンジンを自動スロットルシステムに任せる。これでプロップは730 rpm まで減速し、出力は9,460 shpに下がったままで上昇する。さらにプロップ速度が下がるとコックピット内の警告音量も下がる。
  21. エアバス社のジェット旅客機と同じくA400Mでも出力レバーは自然に元に戻らない設計で、安定出力で一度とまったままになる。出力レバーが動くと乗員は自動スロットルの作動状態を視覚的触覚的に把握できると思うのだが。
  22. 高度3,000 ft. 、250 KIAS で水平飛行に移りエンジンを低騒音作動モードにすると、プロップ速度は650 rpmまで下がる。敵地飛行の場合も飛行音は小さくなるだろう。ツールーズ住民にも騒音はかなり下がる効果がある。
  23. ヘッドアップディスプレイ上の飛行経路ベクターシンボルでFBW飛行安定機能の利点を活用しながら、手動操縦で簡単に高度方位角を維持できた。飛行経路の微調整のためにサイドスティックで入力をしただけだ。
  24. ツールーズ・ブラニャックに近づくと雲に切れ目が見つかったので、右方向に急角度のバンクで地面高度500 ft. まで降下し、280 KIASでガロンヌへ向かう。付近の悪天候により低高度で振動があるが、飛行経路安定機能により機体制御は容易にできた。
  25. 民 生用FBWを改良したA400Mでは機体寸法に似合わない機敏性がある。サイドスティックへの入力では反応レスポンスはきびきびしてる。飛行は安定してお りラダー操作は実質上不要だ。電波高度計に連動した合成音声が高度を読み上げてくれるので、500 ft.での巡航を維持するのも楽だ。
  26. 前方監視赤外線画像システム(EVS)のカメラを作動させた。ストロングマンが左側HUDの前にカードをかぶせ、筆者の視野から外部を遮断した。HUD上でEVS画像を低空飛行するのは容易だとわかり、夜間や曇天時の戦術飛行ミッションで有効だとわかった。
  27. カゼールに近づくと最大性能での上昇を試すべく、推力レバーをぎりぎりまで前に動かすと、40度ピッチになる。初期上昇率は7,000 fpmに達し、低い雲の層はあっという間に突破した。
  28. そ のまま230 KIASで上昇しフライトレベル310(3万1千フィート)に達したところで巡航性能をチェックすることになった。重量227,000 lb.の機体はマッハ0.68で巡航中で、燃料を一時間7,700 lb.消費する形で飛行する。ISA-5C条件での巡航速度は394 KTASだった。さらにマッハ0.72のレッドラインまで加速。燃料消費は9,100 lb./hrまで増加。巡航速度は417 KTASになった。
  29. 再び12,000-16,000 ft.まで降下し、標準的な機体操作を一通り実施したところ目を見張る結果が得られた。280 KIASで急角度バンクし、機体は3gでストレスなく急動作してくれる。FBWの飛行性能制御のおかげだ。
  30. 迎え角(AOA)を大きくした飛行でも目を見張る結果だ。フライバイワイヤは揚力による主翼の性能上の変化を検知でき、「アルファマックス」と呼ぶ最大角度のAOAもFBWの通常の動作範囲内だ。アルファマックスは失速につながるAOAの寸前にプログラムされている。
  31. ストロングマンが失速防止対策をもうひとつ見せてくれた。自動スロットルでもアルファマックスになる十分前に推力をふやし機体を保護する介入をしてくるのだ。
  32. そ こで危険低速防止機能を切り、アルファマックスでの機体性能を確かめることにした。機体重量225,000 lbでフラップを4に選択、推力レバーをアイドルにもどし、高度を維持し、減速させてみた。98 KIASでアルファマックスに達した。その時点でFBWによる低速防護機能が働き、機体制御を失う事態には至らなかった。機首を下げ推力を増した段階で回 復を迅速に行えた。
  33. パワーオンで失速を試みたところフラップ4で速度105-120 KIASで飛行可能とわかった。フラップ4はヘリコプター向け空中給油の設定。フラップ4のままで110 KIASで苦なく飛行できた。
  34. フ ライバイワイヤでエンジン不調の際にパイロット負担のほとんどを解消できることがわかった。高度13,000 ft.速度121 KIASでエンジン出力100%とした段階で第四エンジンをアイドルにしたところ、FBWがエルロン、ラダー双方へのインプットを補正して飛行バランスを 維持することが確認できた。そこで、右側の第三、第四エンジンをアイドルにし、左側エンジン二基を100%出力にしてみるとFBWが飛行バランスを維持す るのが確認できた。
  35. その後ツールーズ空港へ正常の3度のグライドパスで計器着陸システム(ILS)アプローチで14R滑走路に着陸した。フラップ4でのVREF着陸速度は機体重量222,000 lb.で120 KIASだった。
  36. 最初のアプローチでタッチアンドゴーをしてから有視界飛行追い風パターンに入った。滑走路端を通過してから3,000 ft. (空港上空2,500 ft.)とし、着陸装置を下ろし、フラップ4で高度を保ったまま148 KIAS を維持。
  37. そ の段階で出力を落とし、スピードブレーキを全開にして12度の強行着陸パターンをシミュレートした。機体は制御が楽で毎分3,000-ft.の降下は快適 に感じられた。500 ft.上空でスピードブレーキを格納し、出力を増加し、通常の3度ILSグライドパスに乗った。その時点で速度は125 KIASへ減速。タッチダウンは滑走路標識を越したすぐの地点で機首は滑走路に近づくほど下がり、推力レバーをいっぱいに戻しブレーキを強く踏んだ。機体 はおよそ1,600 ft.で停止した。練習をつめば着陸時の滑走距離はもっと短くなるだろう。
  38. 同 機のローンチカスタマーのベルギー、フランス、ドイツ、ルクセンブルグ、スペイン、トルコ、英国にマレーシアが加わり、C-17より小さいというすきま規 模で運用される。戦略輸送機としてC-130Jに対し速度、航続距離、ペイロードですぐれているが、C-17より低い。戦術輸送機としてなら急角度で強襲 着陸する能力がある同機は西側輸送機の他機が追随できない性能を有する。簡素な空港施設でも運用が可能だ。
  39. 最 初の引渡しはフランス空軍向けでいよいよ来月に迫ってきた。フランス空軍は一号機を軍用型式証明に使う意向で、さらに2機が年末までに納入される。同時に トルコも1機を受領する。2014年には生産規模を拡大する予定だが、ヨーロッパ各国の防衛予算動向に左右される。ヨーロッパ航空安全庁による型式証明が 下りればA400Mは米国製あるいはロシア製品の導入が政治的に困難な国にとって魅力的な選択肢になる可能性がある。■

2013年6月9日日曜日

数字ばかりが踊るF-35のコスト見積もりがさらに混迷化

SAR Underscores F-35 Sustainment Cost Confusion

By Amy Butler
Source: Aviation Week & Space Technology

June 03, 2013
Credit: Lockheed Martin
Amy Butler Washington

最新のF-35関連費用報告書を見るとペンタゴンは運用維持コストならびに50年供用で総額1兆ドルといわれる総費用の削減策の内容開示で消極的な姿勢が見えてくる。
  1. 今 回刊行されたF-35に関する個別調達報告書selected acquisition report (SAR)によるとF-35運用経費の見積もり額は一年前と同程度で、現行機種を運用した場合との差額が減っているだけだ。ペンタゴン内 の費用分析部隊は現行機で運用規模が最大のF-16C/Dの飛行時間あたりコストcost per flying hour (CPFH)を膨らませて、F-16とF-35の運用コスト比較をしている。
  2. 空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将がいみじくも言うように空軍には同一条件でコスト比較が必要だ。プログラム担当関係者ならびに米国各軍のユーザーは単に F-35のCPFHを下げるだけでなく、ライフサイクル費用全般の引き下げ方法を模索すべきである。CPFHは整備部門の技能水準や部品・燃料価格にも左右 される。
  3. 今 回のSARではF-16C/D型とF-35A間のCPFH比較で新しい切り口「補正」“normalizing” (現行機種運用コストを上方修正)を採用。費用分析に詳しい国防関係者によると「実際の数字を操作する」のはきわめて異例であるという。F-16 C/D部隊にはこれまで数十年のデータ蓄積があり信頼できる一方、F-35の飛行実績はわずか4年間だ。
  4. 「F- 16C/Dのコストは空軍コスト分析部門Air Force Cost Analysis Agencyと共同でF-35との比較のため補正した」とSARは記述。「よりよい比較のためF-16C/DのCPFH実績値を補正し燃料費および飛行時 間をF-35Aと同じ水準にした。F-16C/Dでも燃料経費、システムズエンジニアリングマネジメント、整備コスト、その他ソフトウェア開発、情報シス テムを加算し数字が大きくなっている」としている。さらにF-16C/DとF-35では設計年次、稼動時期それぞれが異なる。F-35は自律型情報ロジス ティックスシステムAutonomic Information Logistics System (ALIS)で機体診断データ、部品補給やミッション計画立案が広範囲に可能。F-16には装備されていないので、コスト試算では同一の条件での比較は不 正確さがつきまとう。
  5. そこで現在のF-16ではCPFHは$24,899(F-35の78%相当)で昨年の試算値$22,470(F-35の70%相当)から上昇。
  6. F- 35Aを50年間供用した場合のライフサイクル費用は1.1兆ドルのままでF-35計画管理室(PEO)長だったデイヴィッド・ヴェンレット海軍中将時代 の数字と変化がない。同中将によると「保守管理費用試算結果を見て各軍トップは一様に落胆していた」のが2011年のことである。
  7. 中でも米空軍は1,763機と最大規模の調達を予定しており、CPFHをことさら重要視している。ウェルシュ参謀総長は「比較検討上の数字を調節して F-16 C/Dでおおよそ$25,000、F-35で約$32,000となった。数字はこれからも微妙に変化するだろうし、検討要素も変わるが、おおよその方向性 は見えてきた」と発言。
  8. ただし今回のSARでもF-35が高価すぎるとの懸念を抑えることはできない。
  9. ク リストファー・ボグデン空軍中将Lt. Gen. Christopher Bogdanが率いるPEOが提示したCPFHは$24,000で今のところこれが最低金額だ。ボグデン中将はこの数字をオランダ議会関係者に3月に開示 しているが、この数字はSARもフランク・ケンドール国防次官(調達担当)Frank Kendallも裏づけていない。ケンドール次官は4月にF-35のCPFHは「今年中に下がる」と発言しており「ただしボグデン中将の数字まで は下がらないと思う」としている。
  10. だ がボグデン、ケンドールいずれの数字も正確ではない。ペンタゴンのコスト計算部門はF-35のCPFHを$31,923と算出しており、この数字は昨年議 会に報告した数字から変動していない。退任前最後の定期記者会見でマイケル・ドンレイ空軍長官は「引き続き同機のコストと性能の向上に努める。各部門とは 協議を継続中」と発言しているが、空軍は整備および訓練の双方で維持管理費用を削減する手段の方向性を示せずにいる。
  11. SAR は国防長官官房の費用分析・計画評価ost Analysis and Program Evaluation (CAPE)部門の作業結果が反映されている。F-35合同計画室も独自の数字としてSARの数字より低い額を、ケンドール次官に提出する予定だが、同 室はCAPEにこの数字の採択を希望しており、次回SAR(2014年春)に反映してもらいたいとしている。なお今回の試算ではF-35の開発、調達全体 の費用は米国(2,443機購入)だけで3,910 億ドル(約38兆円)で、これも一年前と大きく変動していない。ただし設計・調達に限ると前年比1.5%圧縮されており、おもに人件費単価が下がったこと が原因と、報告書はまとめている。■