2022年2月6日日曜日

3Dプリント技術で潜水艦用部品調達を狙う米海軍。コロンビア級SSBNの建造本格化で年間3隻建造体制となれば、サプライチェーンに負担が増えるための画期的解決策になるか。

  

攻撃型潜水艦USSシカゴがパールハーバーの中間整備施設で作業を受けている (Dave Amodo/U.S. Navy)

 

要不可欠なコロンビア級弾道ミサイル潜水艦建造計画で想定される最大リスクに産業基盤へのしわ寄せがある。

 

積層造形技術による製造方式、つまり3Dプリント技術がその解決方法になる。

 

 

米海軍は部品需要に対応できない供給業者は積層造形技術企業と組ませ、部品を24時間体制で供給させたいとしている。狙いは潜水艦の産業基盤で最も弱い鋳造、鍛造、艤装品にある。

 

戦略潜水艦整備室主管のマット・サーモンMatt Sermonはこの方法で対象企業、なかには唯一の製造業者となっている企業もあり、に現在の受注分をこなすのにさえプレッシャーを感じているところでさらなる増産を無理なく行うことにあると説明。

 

現在の産業基盤でヴァージニア級攻撃型潜水艦二隻を建造しているが、そこにコロンビア級SSBN一隻が加わり、稼働中の潜水艦整備作業も行うことになる。

 

ただ、ブロックVヴァージニア級一号艦の建造は始まっており、艦中央部にヴァージニア・ペイロード・モジュールを加えるため建造工数が約25%増える。またコロンビア級2号艦の発注は2024年で2026年から毎年一隻で建造となるので、建造元、供給業者の業務量が急増する。海軍はSSBN1隻、SSN2隻の毎年調達を「1プラス2」と呼ぶ。

 

部品発注量が減らないのであれば、「積層造形技術で部品を作れば、1プラス2となっても対応できる」とサーモンは言う。

 

海軍では潜水艦用各部品を認証している。サーモンはこれにかわり、高品質素材や工程を積層造形に使うべきとする。

 

だが、海軍は以前も同じ方法で苦労している。航空機関連で積層造影技術が提唱され、非重要部品のプリント許可を求めてきたが、海軍は許可しなかった。空母USSジョン・C・ステニス艦上に初の高度製造ラボを設置したが、レーザースキャンと積層製造ツールで打撃群艦艇用部品を製造したのであって、航空機用部品は手掛けていない。

 

潜水艦用の積層造影技術応用部品も航空機用と同様にリスクがあり、潜水艦、航空機ともに厳しい安全基準で乗員の安全を守っている。だがサーモンによれば、技術部門が議論に加わっており、技術保証が次の検討対象になるという。海軍海洋システムズ本部の技術兵站部が推進室に同行し、積層造影技術応用のベストプラクティスの現場を視察した。

 

「積層造影技術により元の素材を上回る結果が得られる」とし、「複雑かつ微細な製造だが、根本から状況を変える可能性を秘めている。非破壊検査のやり方を変える必要もある。出来上がりが悪いからではなく、製造法が全く異なるからで、根本の理解が必要となる」

 

プリント部品を潜水艦に応用する動きは昨年11月に海軍が供用中潜水艦に初めて搭載する方針を発表したことで始まったとサーモンは説明。

 

同推進室では対象部品を6から10点選定し、リスト作成では「トラブルの多い部品」で必要な時に入手困難となるのが常の部品を想定したという。

 

部品メーカーへの仕事がなくなるわけではない。むしろ、技術力があるメーカーが3Dプリント応用をサポートする、技術力が無いメーカーはこの限りではないとサーモンは発言。積層造影製造の技術力がないメーカーには実施可能な別業務を与えるという。

 

サーモンからは積層造影製造の利点が次のように説明された。まず、1プラス2時代で製造能力不足を解消できる。部品不足で建造や修理が滞る事態を回避できる。

 

長期的に同技術の応用部品で認証が下りれば、海軍は業界とともに次世代SSN(X)への応用を想定し、建造費用を削減しつつ、現在より優れた部品、残存性に優れた部品の実現へ道を開くとする。■

 

Navy looks to 3D printing for submarine parts to ease burden on strained industrial base

By Megan Eckstein

 Feb 5, 01:06 AM


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