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2017年3月15日水曜日

★B-52Hのエンジン換装提案がGE,ロールス、プラットから出揃う



Aerospace Daily & Defense Report

GE, Rolls, Pratt Vie For B-52 Engine Upgrade

Mar 13, 2017James Drew | Aerospace Daily & Defense Report

U.S. Air Force

エンジンメーカーからボーイングB-52Hのエンジン換装提案がそろいつつあり、現在搭載しているプラット&ホイットニーTF33低バイパス比ターボファンの非効率性を改善し冷戦時の同機を2050年まで飛行させる。
米空軍参謀次長スティーブン・ウィルソン大将が議会に3月8日に伝えたのは空軍がTF33換装の選択肢を模索しており、1961年3月に初飛行したH型がすでに60年間近く飛行していることだ。
GEエイビエーション、プラット&ホイットニー、ロールズロイスの各社からAviation Weekにそれぞれ空軍と接触中で機材性能向上案に対して既存民間機向けエンジンの派生型を提案中、またプラットはTF33の性能引き上げ策を提案すると伝えてきた。
各社提案は空軍がボーイングとともにTF33のかわりに推力17千から19千ポンド級のリージョナルジェット用ビジネスジェット用エンジン8発換装を提案してきたことへの対応だ。当初は4発エンジン改装案もあったが機体構造の変更と気流変化が生じるため変更となった。
空軍はCF6高バイパスターボファン4基への変更を検討していた。同エンジンはC-5ギャラクシーが搭載するTF39(テスト写真を参照)の派生型である。また757用のPW2040やRB211への換装も検討されていた。しかし最近の分析で8基エンジンだと機体改修が最小限になるとわかった。
B-52Hは76機在籍なので合計608基のエンジン需要が生まれ、予備部品も期待できる。
空軍は候補とされるエンジンの風洞テストは全く行っていないが、市場調査で民生用エンジンに十分選択の幅があることがわかった。
2014年の情報要求では代替策として燃料消費を10から25パーセント改善し、15から25年間の稼働を求めた。今年2月3日に再び情報要求が発出され、今度はTF33換装として「リージョナルあるいはビジネスジェット用エンジン」とある。
「エンジン調達と機体への搭載両面で調達戦略を立てている」と空軍報道官は3月13日に述べている。「空軍でエンジン換装予算が確保できれば、調達の各選択肢を評価し政府に一番良い価値が生まれるようにしたい」
GEエイビエーションCF34-10
GEエイビエーションは空軍爆撃機の多くにエンジンを供給してきた。ボーイングB-1BにはF101-102を、ノースロップ・グラマンB-2AにはF118-100が採用されている。同社はB-52エンジン換装案として推力18千ポンド級のCF34-10を提案する。TF34/CF34ファミリーの派生型だ。
小型9千ポンド推力のTF34-100がフェアチャイルド・リパブリックA-10「ウォートホッグ」対地攻撃機に採用されている。最新の民生用CF34-10はブラジルでエンブラエル190、195さらに中国ComacのAR21リージョナルジェットが搭載している。
「GEエンジンはB-52で実証されていませんがCF34-10は十分経済的な8発換装対象になります」とGEで大型軍用ターボファンエンジンを率いる副社長兼総支配人カール・シェルドンは述べている。「CF34で同爆撃機を飛ばす機会に参加することに興奮しています」
プラット&ホイットニーのエンジン性能向上案
56年間供用されているTF33の設計製造の知見をP&W以上に持った企業はない。
同社は新型民生エンジンの提供も可能だが、現エンジンの性能改修が一番合理性が高いと述べている。
「民生用エンジンでは燃料消費効率、航続距離、空中給油回数の削減、大修理を最小限にできる利点が生まれます」と同社広報は述べている。「ただし民生用エンジンはB-52Hの電気油圧負荷を増やすため機内構造の大幅改修が必要となりフライトテストも必要になります」
そこで同社のエンジン性能向上策ではTF33の性能、耐久性、燃料消費効率、大修理間の時間延長をそれぞれ実現できエンジン買い替えは不要だとする。「TF33はB-52Hの出力面性能面の要求を満たしており、機体構造には変更は生まれません」という。
P&Wはこの構想を「お値打ちオプション」と売り込んでいる。デジタル制御の民間用エンジンは軍用仕様に改装する必要があり、核爆発に伴うEMP対策野菜バー攻撃への強化策も必要となる。
ロールズロイス BR700
インディアナポリスに本社を置く英エンジンメーカーRRの米国法人はすでに空軍とB-52エンジン改修の件で数度に渡り「会話」している。どす母BR700シリーズを原型に提案する見込みで空軍ではガルフストリームC/C-37A人員輸送機やボンバルディアE-11A戦場空中通信中継機(原型はグルーバルエクスプレス)に搭載されているエンジンだ。
B-52の推力規模だとBR715やBR725も考えられるが、同社はまだ決定していない。
「社内決定はまだですが要求の具体的内容を待っているところです」とRR上席副社長で米国顧客を担当するトーマス・ハートマンは述べている。「技術面、供給面で十分要求に答える自信があります」■


2016年7月6日水曜日

★★米空軍主導で進む第六世代用エンジン開発の現状



Aerospace Daily & Defense Report

USAF Confirms Sixth-Gen Fighter Engine Awards

Jul 1, 2016 Guy Norris | Aerospace Daily & Defense Report

F135: Pratt & Whitney
LOS ANGELES—ジェネラルエレクトリックプラット&ホイットニーの二社が米空軍ライサイクルマネジメントセンターから次世代のサイクル可変型エンジン技術の開発契約を適合型エンジン移行事業 Adaptive Engine Transition Program (AETP)の名称で交付された総額10億ドル以上となる。.
  1. このエンジンは推力45千ポンド超で第六世代戦闘機用に空軍と海軍での供用を目指し同時にロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機の換装用になることも狙い適合型エンジン技術が研究段階から実戦用に進展していることが分かるAETPは2021年にかけて各種テストを受け適合型エンジン開発事業 Adaptive Engine Technology Development (AETD)に続くものでAETDが適合サイクルエンジンの実用性を証明したのを受けるものだ
  2. AETD技術の実証は今年から2017年にかけGEとプラットが行い終了する。空軍は同技術を2007年から開発しており、可変サイクル構造で三段式の蒸気通過でファンを適応させる。三段目の蒸気により空気の流れを追加し、ミッションの段階には左右されるとはいえ推力を追加し燃料消費を抑える効果が期待され、コア内部に空気の流れを追加し推力を増やす効果と冷却効果をともにねらう。同時に燃料の冷却も行い、機体各システムで吸熱効果も狙う。
  3. GEとプラットのエンジン構成の詳細は極秘扱いだが、空軍によればAETPエンジンで狙う効果は燃料消費で25%改善しながら推力を現行エンジンより10%向上させるものだという。今後登場する戦闘機では各種センサーや指向性エネルギー兵器により発電量の増加が必要になるとして、AETPエンジンでは熱管理の効率改善が求められる。
  4. GEはF-35用の代替エンジンで提案したF136以降は現役戦闘航空機用エンジンを手掛けておらずB-21ではプラットに負けたこともあり、AETDは戦闘機用エンジンへ再度参入するため願ってもない機会だ。同社はAETDの初期設計審査を2015年3月に終え、2014年にAdventエンジンのテストに成功している。同社はこのAdventエンジンを初の適合サイクル方式三段蒸気方式エンジンと評している。GEは推力と航続距離の関係見直しで作戦半径が30%以上増えると説明している。
  5. プラットは同社製F119とF135の運用で戦場からのデータをもとに2013年に地上施設で三段スチーム方式のファンを実証しており、これをAETDの一部としている。「2017年早々に当社は次の段階に移行し、三段風流技術を実際の作動エンジンで実証します」と発表している。■


2014年8月14日木曜日

主張 JSF開発では説明不足の課題が山積している



Editorial: JSF Program Has Some Explaining To Do

Aug 12, 2014 | Aviation Week & Space Technology
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英国航空ショー出展ができなかった失態を示したF-35だが、数多くの課題が未解決のままだ。この解決がないままでは史上最高価の兵器調達がもとの軌道に戻ったとは到底言えない。今回の飛行停止の原因はエンジン関係で、狭い技術問題としてではなく、他装備の開発でも参考となる教訓を得るべきだ。
  1. 現在F-35の飛行再開は限定つきで、JSF開発室とエンジンメーカーのプラット&ホイットニーには6月23日発生のファン関連の事故原因を詳しく説明する義務が残ったままだ。
  2. プラットはエンジン事故の公開聴聞会を取りやめ、7月以来事故関連の情報開示はほとんどない。この沈黙には失望させられるが理解できないこともない。事故調査がまだまだ進行中だ。とはいえ、納税者に対して原因と再発防止策を説明する義務がある。
  3. さらに、もっと大きな問題がある。中でもF135エンジンが技術生産準備段階engineering and manufacturing development (EMD)を核心的な問題解決のないままで完了している。本当に今回発生した事故は特殊事例だったといえるのか、開発初期段階で設計上の齟齬が表出することがあるが、通常はフライトテスト開始前に解決されるべきものだ。今回の事例でEMD段階で他にも未解決の問題があったのではとの懸念が生じている。
  4. プラットエンジンの不良問題から「だから言ったじゃないか」と代替エンジンを準備しておくべきだったという声が出ている。GEとロールスロイスは高性能ターボファンエンジンをF136としてJSF用の代替エンジンとするはずだった。ペンタゴンは第二エンジンを採用した場合の費用増大を恐れていたので真剣でなかったが、議会は第二エンジン開発予算を数年に渡り認めてきた。2011年になりオバマ政権がプラット支持派とともに葬り去った。後味の悪い政治劇であった。
  5. 今回の飛行停止を受けて上院歳出委員会からペンタゴンに代替エンジンの再検討を求める提言が出さた。だが時間を元に戻すには遅すぎるだろう。ペンタゴンの調達トップを務めるフランク・ケンドールは開発段階が終わろうとする中で代替エンジンの必要は減って来たと主張。なにごとにも対価があり、エンジンが複数になればそれだけ費用が増えるが、逆にひとつしかないとリスクも増える。ただし機体供用期間の半ばで商用エンジンの技術を応用したコスト削減が可能なら代替エンジンを検討すべきである。
  6. 一方でプラットは納税者の負担でエンジン開発をしているのだから情報開示をすべきだ。エンジン供給で独占状態でありながらエンジン価格については競争上降りになるので非開示だという同社主張は虚しく聞こえる。
  7. 良いニュースがここ数年聞こえてこないJSFだが、初期作戦能力獲得時期は各型で異なり、海兵隊のF-35Bが今年12月、空軍用F-35Aがその一年後、海軍のF-35Cが2019年2月とされている。しかしそもそも開発開始当時の2001年段階から機体単価が二倍になり、量産開始も7年遅れ2019年になろうとしている。今回のエンジン火災問題に加えソフトウェア開発の遅延や機体維持の費用問題が深刻な課題になっている。
  8. F-35開発室のクリストファー・ボグデン米空軍中将はJSF関連メーカー各社の実績に不快感を隠していない。現在の課題はJSFがこれ以上の遅延を発生させず、コストも肥大させないことだ。今回の不良の原因は解明した上で説明されるべきで、教訓は他の国防装備、宇宙システムの調達に活用できるはずだ。■