2025年7月22日火曜日

プーチンの崩壊が始まる(National Security Journal)—関税交渉で日本が失敗しているのはトランプの本質を見抜けないまま、相変わらずの主張を繰り返しているからではないですか、ちっとも存在感がない首相の姿勢も問題ですね


Putin Back in 2023

2023年のプーチン。 画像出典:クレムリン


跡は起こる。ドナルド・トランプ大統領は、米国がウクライナに「何十億、何百億」ドルもの兵器を供給すると発表した。NATOのマーク・ルッテ事務総長は、ウクライナが「大量の軍事装備」を手に入れるだろうと述べた。

 さらにトランプ大統領は、ロシアが50日以内に戦争を終わらせられなかった場合、ロシアの輸出品への二次関税を引き上げると宣言した。


ウクライナ戦争に関するトランプ大統領の爆弾発表

数日前から予想されていたとはいえ、今回の発表は爆弾発言となった。

 NATOは、トランプ政権が何度も批判の対象にしてきた組織であり、アメリカが同盟を放棄する可能性を示唆する声さえあるほどだ。

 ウクライナを相互に支援することは、一時的なデタントに過ぎないかもしれないし、より友好的な関係に戻る前触れかもしれない。

 第二に、トランプと欧州は関係者全員が得をするウクライナ支援の方法を見つけたようだ。ウクライナは武器を手に入れることで得をし、ヨーロッパはウクライナを支援することで得をし、アメリカは関係する武器の対価を得ることで得をする。 唯一の敗者はプーチンである。

 第三に、米国と欧州はプーチンに、彼の大量虐殺の企てにウクライナを見捨てるつもりはないというシグナルを送った。実際、欧米の支援は、ウクライナがロシアの漸進的な領土拡大を阻止し、場合によっては逆転させるのに十分でさえある。ロシアにとっては悪いニュースだ。

 第4に、ロシアの進出を阻止することは、プーチンとその政権を弱体化させることを意味する。ロシアの独裁者は、自分自身と政治的・自然的生命を戦争と完全に同一視しているため、大勝利を収めなければ、自身の正当性を損ない、クーデターを誘発しかねない恥ずかしい敗北となる。経済が崩壊寸前の今、プーチンが今年中にクレムリンを去るとしても、それほどショックを受ける必要はない。

 第5に、プーチンを止めることが、停戦や和平に似たものに同意させる唯一の方法だ。プーチンが宗教を手に入れるからではなく、何らかの和平が、彼が敵を寄せ付けず、王位を守る唯一の方法だからだ。 クレムリンの内紛は激化するだろう。ロシアにとってはさらに悪いニュースとなる。

 第6に、西側からの武器供与が増えれば、ウクライナの回復力は富むが、疲弊し、いくぶん士気を失っている人々にとって、大きな士気高揚となる。ウクライナの人々は、西側から見捨てられることを恐れていた。その恐怖は、もう無意味になったかもしれない。ウクライナの闘志が高まることが期待されるが、それはロシア人、特に前線で無駄に死んでいく人々を落ち込ませるだけだろう。

 最後に、西側の支援は、ロシアによるウクライナの民間人虐殺が減少する一方で、ウクライナが生き残る可能性、そしておそらく勝利する可能性が著しく向上することを意味する。


プーチンの終焉?

トランプ政権が直面する課題はシンプルだ。 プーチンが和平に応じない場合ではなく、応じない場合にすべての関税を課す用意がなければならない。

 その時点で、ロシアのエリートたちがプーチンに勝ち目はないと悟れば、プーチンを排除し、殺人戦争を終わらせることを検討するかもしれない。しかし、そのような奇跡的な展開が可能になるためには、トランプ大統領は一度たりともまばたきせず、道を踏み外さないことだ■


How the Fall of Putin Could Begin

By

Alexander Motyl

https://nationalsecurityjournal.org/how-the-fall-of-putin-could-begin/


著者について アレクサンダー・モティル博士

アレクサンダー・モティル博士はラトガーズ・ニューアーク大学政治学教授。 ウクライナ、ロシア、ソ連、ナショナリズム、革命、帝国、理論の専門家で、Pidsumky imperii (2009); Puti imperii (2004); Imperial Ends: The Decay, Collapse, and Revival of Empires (2001); Revolutions, Nations, Empires: Conceptual Limits and Theoretical Possibilities (1999); Dilemmas of Independence: Dilemmas of Independence: Ukraine after Totalitarianism」(1993年)、「The Turn to the Right: The Turn to Right: The Ideological Origins and Development of Ukrainian Nationalism, 1919-1929 (1980)』、『The Encyclopedia of Nationalism (2000)』、『The Holodomor Reader (2012)』など全15巻の編集者。 また、週刊ブログ "Ukraine's Orange Blues "を開設している。


1 件のコメント:

  1. ぼたんのちから2025年7月23日 8:05

    この記事の筆者の認識が正しいのなら、ウクライナ戦争が終結する道筋が見えてくるだろう。そして、ロシアの野望は、潰えることになる。
    トランプが、プーチンに対する信頼をなぜ持っていたのか今もってナゾだが、詐欺師プーチンの言説のメッキも剥がれたようだ。これでトランプのロシアに対する認識も正しい方向に向かうことになる。
    そしてお決まりのロシアに対する報復が始まる。しかも、トランプは抜け目なく、ウクライナ支援費用の米国の負担を減らし、欧州に多くを負わせた。これで米国は、いざとなった時のウクライナ支援費用の余裕を持つことになるだろう。
    ロシアは、占領地拡大を、兵士の命で贖っている状態であり、北朝鮮兵士の再度の参戦を望まざるを得ない状態である。止まらない兵士の損失の大量出血でショックを起こしやすくなっている。
    さらに制裁強化で戦費が絞られ、経済が回らなくなると、心臓麻痺を起こすかもしれない。そうなるとAEDを提供できるのは、習しかいないが、これでロシアはCCPに生命維持装置を着けられたも同然になる。
    ロシアの行く末は、ロシア国民が担うべきであるが、隠微なCCP支配は、スターリン支配時と同様に暗く、厳しいものになるだろう。

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