2018年9月21日金曜日

米空軍はF-15XにもF-22生産再開にも関心なし



貿易赤字問題にひっかけて日本政府が無理な妥協をしていいのかという問題ですね。念願のF-22が手に入ると喜ぶ方がいるようですが、車でいえば90年代の「名車」を今更新車と銘打って入手するようなものでしょう。米空軍が商売上手なロッキードの言い分を聞き流しているのは当然でしょう。さて、日本はどうしますか。



Why the Air Force Won't Buy the F-15X or 'New' F-22 Raptor 米空軍がF-15Xも「新規生産」F-22ラプターを求めない理由

Old designs and Russia and China catching up have a lot to do with it.  旧式設計でありロシア、中国が急速に追いつこうとしている背景にある

空軍はボーイングF-15X最新型の導入、ロッキード・マーティンF-22あるいはF-35のエイビオニクスを導入した改良型同機の追加購入のいずれにも関心を示していない。優先順位がおかれているのはF-35を可能な限り多数調達し第5世代戦闘機の比率を増やすこと、同時に次世代技術を導入した航空優勢を確立できる次世代機の実現だ。
「現状では第四世代機が8割、第5世代機が2割だ」と空軍長官ヘザー・ウィルソンが9月5日のDefense News取材で答えている。「今後想定される戦闘では第5世代機を増やすことで大きな効果が出るので5-5の比率にしたいところであり、第四世代機の導入予定はない。つまり第5世代機を増やすということだ」
.F-22の近代化改修または生産再開のいずれも検討対象ではないとウィルソンは述べている。
これは当然だ。米空軍は第四世代機の生産再開に強硬に反対してきた。F-15やF-16では今後は有効活用はできないためだ。確かに非ステルス機でもスタンドオフ兵器の利用が可能だが、ロシアS-400や中国HQ-9といった最新装備で守られた空域では生き残れないと見る。
改修型F-22ラプターの生産再開について議会の求めに応じて空軍がまとめた報告書では生産ライン再開が高価かつ時間ガかかりすぎることを指摘している。「生産ライン再開とともに生産補給業者のネットワークを再開、再設定し原材料を確保して熟練度高い労働力を確保するリードタイムが課題で、サブシステムの再設計や管理コストも相当のものになる」と空軍は報告書でまとめていた。
「生産再開の場合の初回必要経費は70億から120億ドル(2016年ドル価格)で、194機調達の場合の調達単価は206から216百万ドルで2025年度から2034年度にかけ納入と想定した。194機調達の場合、総調達費用は400から420億ドルと試算した。総調達費用と生産再開に必要なコスト98.69億ドルを合わせると総額は503億ドルとなる」

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さらに空軍はラプター生産再開となった時点で米国の航空優勢がロシアや中国に脅かされる事態を想定する。「F-22生産再開の大日程では新造機材の納入は2020年代末と見て」いると空軍報告書は述べている。「F-22は現行脅威に対して依然として優位な存在だが新規生産機材が納入される2030年以降ではF-22に強力な相手が立ちはだかっているはずだ」
またF-22生産ライン再開の場合、ラプター後継機をめざす次世代侵攻制空(PCA)事業との競合も発生する。「F-22生産再開の場合は空軍参謀総長自らが承認した航空優勢2030構想(AS 2030) 、各方面能力強力チームEnterprise Capability Collaboration Team (ECCT) のフライトプランの実現に必要な資源を食い合うことになる。同プランでは急展開中の接近阻止領域拒否(A2/AD)下の脅威環境を前提に侵入生存可能な性能が必須としている」
米空軍は予算5億ドルで航空優勢システムファミリー構想としてF-22及びボーイングF-15C後継機を次世代制空Next-Generation Air Dominance (NGAD)の名称で検討開始している。侵攻制空戦闘機 Penetrating Counter Air (PCA ) は将来実現する「各種性能のファミリー」の「航空分野プラットフォーム部分」で航空優勢を担当する想定だ。だが各種性能のファミリーとはPCAだけを指すのではなく、基地や補給活動、通信、情報収集監視偵察(ISR)、指揮統制まで含み装備も新型、既存を共に想定する。空軍にとって制空任務とは運動行為にとどまらず非運動行為の電子戦やサイバー戦まで広い分野を想定する。
ロシア、中国はじめ潜在敵各国がますます装備能力を向上させる中、現在の米軍の力が試される機会が増えている。このため空軍は新型制空戦闘機を開発し米軍の優越性を守る必要に迫られている。「敵勢力は機材、兵器の性能を向上させておりますが、こちらも同様に向上させており、将来の空対空作戦は根本的に変わるのではないでしょうか」と航空戦闘軍団の航空優勢中核機能チームを率いるトム・コグリトー大佐がNational Interest 取材に以前答えていた。■

Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter:  @davemajumdar.

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