2022年4月26日火曜日

ポーランド向けエイブラムス戦車をウクライナへ回せないか。戦車は現代の戦場で脆弱になった? ロシア戦車の損失発生は統合作戦の運用思想が欠落しているからだ。

 


Why not give Abrams Tanks Going to Poland to Ukraine?

ポーランドで夜間射撃訓練にあたった米陸軍 M1A2 エイブラムズ戦車 Jan. 29, 2022

(Sgt. Tara Fajardo Arteaga/Army)

 

 

エイブラムス戦車がポーランド向け有償軍事援助の一環で今年中に250両到着する。

 

ポーランド向けのエイブラムス戦車をウクライナに送れないか?ポーランドは賛成するだろうか?ウクライナ支援に積極的なことから、可能性はありそうだ。ポーランド行きのエイブラムスは、東部や南部へ少し移動すればウクライナ軍を支援できる。ポーランド向けエイブラムスは、ジェネラル・ダイナミクスで輸出仕様の追加生産で補充すればよい。

 

M-1 Abrams Tank

M-1 エイブラムズ

M1 Abrams Tank. Image Credit: Creative Commons.

 

 米国製エイブラムス戦車をウクライナに送れば挑発的すぎるだろうか。ウクライナ情勢の緊急性を考えると、輸出型エイブラムスを別に製造して送る時間はない。

 なぜなら、ウクライナの緊急性を考えると、新型の輸出用エイブラムスを製造して送る時間はないだろう。仮にそう決意しても、送付できる輸出仕様エイブラムスは存在しないし、ウクライナは数年も待てない。また、論理的に可能であったとしても、国防総省がこれを実行する意欲を持つとは限らない。

 

T-72 、 T-90 

しかし、東欧の数カ国は、ロシア製T-72戦車をアップグレードしており、ロシアの大規模だが老朽化が進む戦車軍団に匹敵する存在になっているかもしれない。ドイツのレオパルド戦車も検討中と思われる。

 だがドイツは第一線レオパルド2戦車を手放す気があるだろうか?旧型戦車を送る気はあるのだろうか。ポーランドやウクライナなど東欧諸国はソ連製の戦車を持っているが、どの程度近代化されているかは不明だ。昨年のDefense News記事によると、ポーランドはレオパルド戦車を運用しているとある。ウクライナにも導入してはどうか。

 

T-14 Armata

T-14 アルマータ

Credit: AP Photo/Alexander Zemlianichenko

 

 戦車がどんな影響を与えるだろうか。Global Firepowerによると、ロシアは戦車1万2000両を保有しているが、効果は車両近代化と整備に依存すると思われる。ロシアは最新鋭戦車T-14アルマタを少数運用している以外は、T-90とソビエト時代のT-72が大部分だ。どの程度近代化されているのか?アップグレード版のT-72は十分な数があるか?ウクライナの対戦車攻撃に弱いことは証明ずみだ。

 

エイブラムズ対T-72

では、ウクライナ軍がアップグレード済みT-72でロシアを撃退できたらどうなるか?さらにエイブラムス戦車を運用したらどうなるか?バグダッド空港でイラク共和国防衛隊を攻撃し破壊した有名な第3歩兵師団の元大隊長は、イラクのT-72はイラクの自由作戦(OIF)でエイブラムス戦車にまったく対抗できなかったと語っている。

 

Iraqi T-72 Tank

イラクのT-72

Wikipedia

 

 

 OIFと湾岸戦争に従軍し、現在Valor NetworkのCEOを務めるスコット・ラッター退役中佐Lt. Col. Scott Rutterは、Warrior Mavenのインタビューに対し、「性能、ナイトビジョン、機動性、火力、さらに最も重要なのは、訓練システムを活用した乗員の力量は比較にならないほどだった」と語っている。

 ウクライナの対人兵器は、ロシア軍装甲戦闘車両多数を破壊し、戦車を無力化、あるいは壊滅させた。この状況から、肩のせ発射式兵器を使ったヒットアンドラン待ち伏せ戦術の有効性が議論を引き起こしている。ウクライナの成功は、戦車がこれまで考えられていたよりも、実は脆弱な可能性を示しているのだろうか。

 イラクの自由作戦でイラク共和国防衛隊を掃討する突撃攻撃を指揮したある大隊長で陸上戦専門家ラッターは、ロシアの問題は戦車が予想外に脆弱であるというよりも、武器機動の統合作戦に戦車を有効に使用できないことであると述べている。

 「ロシア軍が抱える問題は、砲兵と彼らの観測・偵察計画監視を同期させる複合武器戦の欠如だと思う」スコット・ラッター元中佐は、Warriorのインタビューに答えた。

 ラッターは、戦車が効果を発揮するためには、生存率と戦闘効果を確保するため他の重要な装備品と連携して運用する必要があると説明している。これには、戦車が対戦車誘導弾やRPGなど対装甲兵器の攻撃を受けにくくするために、降車した兵士が前進する戦車部隊と並んだり、前方で活動する必要もよくあることだという。

 「歩兵の援護もなく、統合部隊に参加することもなく、完全に孤立している戦車は、事故が起こるのを待っているようなものです」(ラッター)。

 戦車の火力は、訓練された乗組員と、破壊目標を特定する正確かつ高解像度の長距離センサーがあってこそ活用される。戦車は、砲兵隊、歩兵隊、監視隊、航空支援など適切に統合されれば、統合部隊として前例のない威力と効果で建物、バンカー、敵の装甲部隊を攻撃できる。おそらく最も重要なことは、機動性の維持だ。

 「バグダッドでは、止まれば非常に弱くなるんです。そのため勢いを止めず、適応し、反応できるよう迫られました」(ラッター)。

 ラッターから見れば、ロシア軍は今のところ、効果的な統合作戦を実行できていないという。

 

Why not give Abrams Tanks Going to Poland to Ukraine? - Warrior Maven: Center for Military Modernization


KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

APR 23, 2022

 

Kris Osborn is the Defense Editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master’s Degree in Comparative Literature from Columbia University


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