2025年6月9日月曜日

ウクライナのロシア戦略爆撃機への奇襲攻撃は特殊作戦の歴史に残る攻撃になった(Sandboxx News)

 


ロシアの爆撃機を攻撃するウクライナ無人機のカメラのスクリーンショット。 (X)


6月1日、ウクライナ軍は今回の戦争で最も印象的な特殊作戦を成功させた。ウクライナはロシア国内の奥深くに潜入し、4箇所の基地でロシアの戦略爆撃機艦隊を自爆ドローンで同時に攻撃した。

 キーウによると、ウクライナのコマンド部隊は117機の特攻ドローンを発射し、A-50長距離レーダー探知機やTu-95、Tu-22M3戦略爆撃機を含む41機のロシア戦略爆撃機を攻撃した。破壊された爆撃機は、ロシアの戦略的巡航ミサイル運搬機の約34%に相当するとキーウは述べた。

 この作戦を組織したウクライナの国内治安機関SBUは、イルクーツク州のベラヤ空軍基地、ムルマンスク州のオレニャ空軍基地、リャザン州のディアギレヴォ空軍基地、イワノヴォ州のイワノヴォ空軍基地に対して攻撃が行われたと発表した。

 「クモの巣作戦」と名付けられたウクライナの攻撃は巧妙で、数千キロに及ぶ多数の可動部が関与していた。その巧妙さは、ターゲット間の距離にも反映されている。例えば、ベラヤ空軍基地はオレニャ空軍基地から4,000マイル以上離れており、ダイアギレボ空軍基地はオレニャ空軍基地から1,300マイル以上離れている。それにもかかわらず、ウクライナ側はロシア国内の奥深くにある高度に警備された4つの基地に対する同時攻撃を調整することができた。これは、特殊作戦の歴史に刻まれるに値する印象的な偉業である。


"力ではなく、悪知恵で"

ウクライナの軍と諜報機関は、英国特殊作戦部隊スペシャル・ボート・サービス(SBS)のモットーで今回の攻撃を行った:"力ではなく、悪知恵で"。

 ロシア軍が有能な電子戦と探知能力を持ち、戦略爆撃機艦隊を重視していることを理解しているウクライナ側は、空軍基地に対する長距離攻撃がうまくいかないことを認めていた。さらに、ウクライナ軍はウクライナから4500マイル以上離れたロシアの空軍基地を攻撃する能力を持っていない。 そこで、ウクライナ軍は接近した。

 ロシア報道によると、ロシア人トラック運転手が、建築済みの家屋の部品を積んだコンテナを運ぶため雇われたという。


Containers hiding Ukrainian suicide drones

コンテナはウクライナの自爆ドローンを隠していた。 (Osinttechnical/X)


 途中、何も知らないドライバーたちは、標的となったロシアの基地に近い場所までトラックを走らせるよう指示された。


Ukrainian suicide drones hidden in containers

コンテナ内のウクライナ軍の無人機。 (Osinttechnical/X)

 

 現地に着くと、コンテナは遠隔操作で開けられ、ドローンは遠隔操縦でターゲットに向かった。

 この配送方法は、ロシアの防空システムが無人航空機を発見し、追跡し、交戦する機会を奪った。ロシア側は完全に不意を突かれたのだ。 目標に接近して個人的に攻撃することで、不意打ちの要素を最大化し、卓越した作戦の成功をもたらした。

 この作戦は1年半以上前から計画されていたもので、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領によれば、この攻撃を行うために設置された作戦センターは、ロシアの治安当局FSBの地方事務所のすぐ隣にあったという。

 SBUは、攻撃による損害は70億ドルと見積もっている。さらに、ロシアはもうTu-22MもTu-95も生産できないため、これらの損失はかけがえのないものとなっている。現在、ロシアはA-50も生産していないが、昨年、ロシア国営のタス通信は、この航空機の生産を再開すると発表していた。

 一方、神風ドローンはウクライナで安価に生産され、オープンソースのArduPilotソフトウェアを使用していた。


今回の攻撃の余波

ウクライナの攻撃による当面の現実的な影響としては、ロシア航空宇宙軍がウクライナ領土に対して大規模なミサイル攻撃を行う能力が制限される可能性が高い。

 「ウクライナがロシアの戦略機に対して行った無人機攻撃作戦は、ロシアがウクライナに長距離無人機やミサイル攻撃を行う能力を、少なくとも一時的に制約する可能性がある」と、戦争研究所は最新の作戦推定で評価している。

 ウクライナの無人機攻撃は、ロシアのプーチン大統領にとって屈辱である。

 多くの点で、この攻撃の成功は、キーウがロシアに対して効果的な防衛戦を展開する能力が、国際的な支援だけに依存してないことを示した。

 「まったく見事な結果だ。ウクライナだけで成し遂げた結果だ。 計画開始から効果的な実行まで1年6カ月と9日。最も長期的な作戦だった。この作戦の準備に携わったウクライナ側人員は、時間内にロシア領内から撤退した」とゼレンスキーはXに書いている。

 確かに、ウクライナ軍は米国の軍事援助を必要としているが、ウクライナは自らの機知と狡猾さを駆使して大きな損害を与えることができることを絶えず証明している。

 「ウクライナは自国を守っており、それは当然のことだ。ロシアにこの戦争を終わらせる必要性を感じさせるために、我々はあらゆることをしている」とゼレンスキーは付け加えた。■


Ukraine strikes Russia’s strategic bomber fleet in attack worthy of special operations history

  • By Sandboxx

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