健全な経済が結局実現しなかったロシアでムリな軍事支出を拡大していけば破綻することは明らかなのに愚かなプーチンには経済の理解ができなかったところにロシアの悲劇があります。今後数世代にわたりロシアには体系的な貧困がはびこるでしょう
要点と概要 – ロシアの2026~2028年度予算案は、戦争資金調達への負担増を示唆している。野党系経済学者ウラジーミル・ミロフVladimir Milovは、7年連続の2%超の赤字と2025年の赤字率2.6%上昇を指摘。政府が主張する将来の赤字縮小は非現実的と断じる。
– 制裁によりモスクワは国際資本市場から締め出され、中国が融資を拒否する中、国内借入と減少する外貨準備で穴埋めしている。
– クレムリンは国防費のGDP比減少を示唆する一方、ロステック社長は収益がほぼゼロであることを認めた。
– ロシアが維持できるのは低強度戦争(ドローン、ミサイル、限定的攻撃)のみであり、作戦の持続期間と目的に疑問が生じてきた。
7年連続赤字:プーチンはウクライナ戦争の費用を賄えるのか?
ロシア政府は2026~2028年度連邦予算案の草案を発表し、ウラジーミル・プーチン大統領の短期的な優先事項を反映しているとされる。
2022年2月のウクライナ侵攻後にロシアを離れた野党政治家ウラジーミル・ミロフは、元KGB中佐プーチンがウクライナ戦争の資金調達を継続できる可能性について悲観的な評価を発表した。
ミロフは現在、ワシントンD.C.に拠点を置くシンクタンク「フリー・ロシア財団」Free Russia Foundationの指導部の一員だ。
同財団による最新の報告書で、彼はモスクワに厳しい状況が待ち受けていると予測。彼の分析によれば、ロシアの財政状況は「正常」と程遠い状態だ。
「ロシアの軍事機構をこのまま稼働させるには、はるかに多くの資金が必要だ。だが、単純にその資金は存在しない」とミロフは述べた。彼は2000年代初頭、ロシア政府の経済顧問を務めていた。
彼は報告書草案を提供し、キーウ・インディペンデント紙のインタビューに応じた。同紙は彼の調査結果の一部を分析している。
クレムリンの座にいる者にとって最も懸念すべき兆候は、ロシアが過去7年間にわたり財政赤字を計上し続けていることだ。
ミロフの報告書はこの状況を本格的な財政危機と評価している。
ウクライナの社会経済研究センター上級エコノミスト、ウラジーミル・ドゥブロフスキーVladimir Dubrovskiyは、赤字の規模が「ロシアの最も深刻な経済的・政治経済的問題」だと指摘する。
勝ち続けるのは不可能
ロシアは7年連続で2%を超える巨額財政赤字を計上しており、ミロフの分析によれば、1999年以来の連続記録だ。
これはロシア政府が、財政赤字をGDPの1%未満に抑えるという長年の目標を放棄したことを示している。
2025年についてクレムリンが予測する赤字は総生産の0.5%から2.6%に引き上げられた。
政府はまた、2026年の赤字はGDPの1.6%に減少すると公式に表明しているが、ほとんどの予算・経済アナリストは、この目標の達成は極めて困難だと述べている。
「ロシアが2025年に予想する赤字はかなり大きい。 確かに2026年の計画赤字は低いが、数字は願望に過ぎない」と、KSE研究所のマクロ経済研究・戦略部長ベンジャミン・ヒルゲンストックBenjamin Hilgenstockは述べた。
ドゥブロフスキーもクレムリンの予測は極めて疑わしいと考えている。
「戦争が続けば、過去と同様に赤字の大幅拡大はは確実だ」と彼はキーウ紙に語った。 「ただし、この試算は、将来の経済制裁が及ぼす可能性のある影響を考慮に入れていない」。
金融市場へアクセスできない
ヒルゲンシュトックは、実際の数値に関わらず、GDP比2~3%の赤字は「ロシアにとっては非常に大きい。なぜならロシアは普通の国の資金調達手段を持たないからだ」と指摘した。
ウクライナ侵攻後の制裁のため、モスクワは国際金融市場へのアクセスをほぼ完全に失った。これによりクレムリンは国内借入と限られた外貨準備に依存せざるを得なくなった。
かつて潜在的な貸し手と見られていた中華人民共和国(PRC)でさえ、ロシアからの政府融資要請を拒否している。
「北京の権力者たちは、ロシアの状況がもはや信用リスクとして許容できない段階に達したと判断したようだ」と、NATO加盟国の情報機関で中国とその機関を長年担当してきたある職員は述べた。 「[中国外相]王毅は『中国はロシアがこの戦争に負けるわけにはいかない』と発言したが彼は、ロシアが負けないようにするために、決して返済されない巨額の資金を投じる余裕が中国にあるとは言っていない」。
これにより財政危機が生じ、ウクライナに対する戦争を継続する能力を直接的に阻害している。
プーチンは防衛支出の抑制を余儀なくされ、赤字膨張を防ぐため軍事費の増加に上限が設けられた。
悪い知らせと赤字報告しかないことを示す兆候として、ロシア政府は支出の実績データ公表をやめており、予測値のみを発表している。
2026年から2028年にかけて、モスクワは防衛支出が現行水準を維持すると報告している。むしろGDPに占める割合は2025年の6.3%から、2026年と2027年には5.5%、さらに2028年には4.7%へとわずかに低下する見込みだ。
「軍産複合体は財政難に直面している」とミロフは述べた。「現状のペースを維持することさえ、これまで見てきたような削減がないと、ますます困難になる」。
プーチン大統領の長年の盟友で、KGB時代の同僚でもあるセルゲイ・チェメゾフは、ロシア最大の武器メーカーであるロステックのCEOとして、8月に同社が危機的状況にあることを認めた。
「生産の収益性は低いままで、ゼロどころかマイナスさえある」と彼は述べた。これにより、新たな兵器システムの開発に充てられる資金は「あまり多くない」という結果を招いている。
「ロシアが負担できるのは限定的かつ低強度の戦争だけだ」とミロフは指摘した。彼は現在の戦争が「それほど激しくない」と述べ、戦車などの重装備兵器の使用は限定的だと説明した。
モスクワは代わりにドローン攻撃、ミサイル攻撃、局地的な攻勢作戦を主に展開している。「この種の戦争まらしばらく持続できる」とミロフは説明した。「だが問題は、何のために」そして「何の目的で」だ。■
著者について:ルーベン・F・ジョンソン
ルーベン・F・ジョンソンは、外国の兵器システム、防衛技術、国際的な武器輸出政策の分析と報告に36年の経験を持つ。ジョンソンはカシミール・プワスキ財団のアジア研究センター所長である。また2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻の生存者でもある。長年、米国防産業で外国技術アナリストとして勤務し、後に米国防総省、海軍省、空軍省、英国政府、オーストラリア政府のコンサルタントを務めた。2022年から2023年にかけて、防衛報道で2年連続の受賞を果たした。デポー大学で学士号、オハイオ州マイアミ大学で修士号を取得し、ソ連・ロシア研究を専門とした。現在はワルシャワ在住である。
Russia Might Soon Run Out of Money for the Ukraine War
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