2024年8月22日木曜日

唐突に出てきた「軽戦闘機」構想はNGAD有人戦闘機型開発の挫折のあらわれか―米空軍機材の老朽化が深刻な中で有人機無人機、ソフトウェア優先など迷いが混在している(The War Zone)

 いくらソフトウェア優位の時代になっても実機がなければ航空支配は不可能でしょう。NGAD有人機版が挫折すれば、次々に新しい機体構想が出ては消えても時間だけどんどん流れてしまいます。残念ながら米国にとって時間がなくなっているようです。


A notional light fighter concept has been presented by the U.S. Air Force’s senior uniformed officer, providing a thought-provoking insight on one direction that the service’s future combat fleet could take. The concept emerges as Air Force officials are increasingly questioning the requirements for the crewed sixth-generation stealth combat jet being developed as part of its Next Generation Air Dominance (NGAD) initiative.  

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空軍が軽量ステルス・ファイター・コンセプトを提示。


大型戦闘機プログラムが危機に瀕している可能性がある


空軍の最高司令官は、低コストで柔軟性の高い戦闘機設計の開発への道筋として、このコンセプトを推奨したが、これまで最優先事項がNGAD重戦闘機であったことを考えれば、これは奇妙だ


米空軍の制服組トップが、空軍の将来戦闘機群の方向性について示唆に富む洞察を提供し、概念上の軽量戦闘機の構想を発表した。この構想は、空軍当局が、次世代航空優勢構想(NGAD)の一環で開発中の有人第6世代ステルス戦闘機の要件について疑問を強めている中で浮上してきた。


軽戦闘機のコンセプトのイラストは、先月ロンドンで開催され、世界各国の航空宇宙軍の最高司令官が出席した「グローバル・エア・アンド・スペース・チーフス・カンファレンス」における、デビッド・W・オールビン空軍参謀総長のプレゼンテーションの一部として紹介された。このイラストの存在は、The Aviationistにが初めて紹介した。


イラストのコンセプトはあくまでも概念的なものであることを強調しておかなければならないが、少なくとも、空軍が将来の軽戦闘機をどのように想像しているかについてのヒントにはなる。F-35ステルス戦闘機の小型版のようなこの機体は単発機で、機体全体に目立つキールラインが施され、低被視認性を追求した設計であることが明らかだ。主翼はF-35のものに非常に似ており、外側に傾斜した双尾翼もF-35と同じ。水平尾翼はないが。バブルキャノピーの相対的なサイズは、この概念上の軽戦闘機のサイズを決定するのに役立つ。そのサイズは、統合攻撃戦闘機よりやや小さいが、劇的に小さいわけではない。


A notional light fighter concept has been presented by the U.S. Air Force’s senior uniformed officer, providing a thought-provoking insight on one direction that the service’s future combat fleet could take. The concept emerges as Air Force officials are increasingly questioning the requirements for the crewed sixth-generation stealth combat jet being developed as part of its Next Generation Air Dominance (NGAD) initiative.

軽戦闘機コンセプトは、ロンドンで開催されたグローバル・エア・アンド・スペース・チーフス会議における、米空軍参謀総長デビッド・W・オールビン大将のプレゼンテーションで紹介された。 ティム・ロビンソン


ロンドンで開催された空軍力・宇宙力会議(主催:空軍・宇宙軍協会)での演説で、オールビン大将は「永続的な構築」ではなく「適応のための構築」を重視する未来の空軍のビジョンを提示した。これを実現するには、複数のプラットフォームで使用できる共通ソフトウェアの新しいバージョン開発に重点的に取り組むべきであると、オールビンは主張した。ソフトウェア開発のペースが速まることで、オールビンが「足かせ」と表現するハードウェアの相対的な重要性は大幅に低下する。


 このようなソフトウェア主導のビジョンは、過去にも耳にしたことがある。例えば、かつて米空軍の調達・技術・兵站担当次官を務めたウィル・ローパーが提唱した「デジタル・センチュリー・シリーズ」のアプローチなどがその例だ。オールヴィンのビジョンでは、有人戦闘機は「使い捨て」となり、最先端技術の焦点はソフトウェアに置かれる一方で、ハードウェアは、現在よりもはるかに急速に廃棄される可能性がある。


「ソフトウェアの更新速度こそが、敵に対して我々が提供できる優位性なのです」とオールビンは述べ、将来の空軍はプラットフォーム中心ではなくシステム中心となるだけでなく、運用要件を満たすために「群れをなす」ことに大きく依存することになるだろうと指摘した。


しかし、この概念的な軽戦闘機の構想で最も興味深いのは、その登場時期だ。


最近検討したように、NGAD計画の中心となる新型有人戦闘機に対する空軍の要求は、ますます厳しい視線にさらされるようになっている。


特に懸念されているのは、1機あたり2億5,000万ドル近くになると予想される機体価格をいかに抑えるかである。その選択肢のひとつとして、その航空機に搭載される特定の能力を犠牲にすることや、無人機、特に米軍が計画している協調戦闘機(CCA)無人機群にますます依存することが考えられる。


新型の第6世代戦闘機の将来性について、また、広範囲のNGAD構想の他の要素についても多くの憶測が飛び交う中、先月、フランク・ケンドール空軍長官は、空軍がNGAD戦闘機の再検討を行っており、同戦闘機がどのような能力を提供し、どのようなコストで提供されるのかを検討していることを明らかにした。


「非常に高価なプラットフォームになる」と、ケンドールは7月1日付のDefense News記事で語った。「概算でF-35の3倍のコストがかかる。そして、わずかしか購入できません」


F-35統合プログラム事務局が昨年秋に発表した数字によると、同機のF135エンジンを含むすべての派生型における最新ロットの平均単価は約8,250万ドルだった。


先月末、ケンドール長官は、NGADの取り組みは継続するものの、空軍は同プログラムを「一時停止」していることを認めた。また、第6世代戦闘機のコンポーネントには当初から人間のパイロットが搭乗するが、最終的にはオプションとして無人機も開発される可能性があると指摘した。


空軍当局者は、有人戦闘機を含むNGADは依然として最優先プログラムであると強調しているが、少なくともある程度は再構成することにも前向きであることは明らかであり、おそらく次に来るものに目を向けていると思われる。


NGADは常に「システム群」コンセプトとして位置づけられてきたことを踏まえれば、後日、低コストの有人機(軽戦闘機のようなもの)を追加することは、この取り組みの野望から逸脱することにはないだろう。


オールヴィン構想が実現すれば、空軍の第6世代ステルス戦闘機は、最終的には複数の軽量(または現行機より軽量)戦闘機と併用される可能性があり、例えば将来の中国との紛争に必要な戦闘能力を提供できる。同時に、単一プラットフォームに固執しないことで、中国の急速な航空戦力近代化に歩調を合わせるため、ソフトウェア開発を能力向上の推進力として確保する道が開ける。


将来の空軍では「ハイ・ロー」の戦闘機を組み合わせた編隊が採用される可能性があるという兆候が以前から見られていた。


2021年に退役したジェームズ・M・ホームズ空軍大将(空戦司令部前司令官)が、空軍はNGAD戦闘機コンポーネントの2つの異なるバージョンを配備することを検討すべきだというアイデアを提起していた。1つは、インド太平洋地域で必要とされる可能性が高い長距離/高ペイロードミッションに最適化されたもの、もう1つは、欧州の作戦地域で十分な短距離のもの。


おそらく、この2形式は高い共通性を持ち、モジュール性と同一の航空機サブシステムに重点を置くことで、リスクを軽減し、共通性を高めることになるだろう。一方、太平洋地域で運用する機体での長距離飛行要件は、軽戦闘機にとって潜在的な問題となりそうだが、ステルス給油機の開発が欠点を補う可能性がある。


一方で、空軍はまったく別の戦闘機の調達を検討すべきだという意見もある。2021年の初め、前空軍参謀総長チャールズ・Q・ブラウン・ジュニア大将は、空軍の将来の戦力構成に関する数か月にわたる研究の開始を発表し、その可能性には「ゼロから設計する」ことも含まれると述べた。 「4.5世代または5世代マイナス」と表現されるこの戦闘機は、F-16を最終的に置き換えれる数を調達できるほど安価である。


特に興味深いのは、ブラウンが、この種の新しい戦闘機はオープンミッションシステムをベースとし、ソフトウェア更新を連続し、場合によっては任務中にも行えるものでなければならないと強調していたことだ。このような考え方は、先月オールビンが概説した将来の戦闘機の構想の基盤ともなっている。


ブラウンは、オールビン構想について「F-16とは異なる新しい何か、つまり、F-16の能力の一部を備えつつ、より迅速に開発され、我々のデジタルアプローチの一部を利用するもの」と説明している。


一連のアイデアに共通しているのは、デジタルエンジニアリングと先進的な製造技術を活用し、急速に航空機を生産することだ。これは、比較的少量の生産でも可能で、急速に進化するソフトウェアの更新にも対応できる。 また、設計の進化にも対応し、新しい武器やセンサーを迅速に統合する能力も備える。 


最終的な結果は、より手頃な価格にするだけでなく、特に中国からの動的に進化する脅威にも迅速に対応できるようになるはずだ。


米中の軍事衝突の可能性は別として、特にNGADをめぐって、空軍がここ数十年の米軍の作戦活動の特徴であったローエンド戦闘から離れすぎているのではないかという懸念も生じている。


戦闘能力全体を向上させると同時にローエンド任務にも対応できる多目的軽戦闘機を求める声もあるだろう。これには、空軍がアフガニスタンや中東で長年関わってきた非対称戦闘だけでなく、国土防衛やその他の航空機警護型ミッションも含まれる。


このような懸念は、ブラウンによれば「適切な戦力構成を検討する」ため2021年に開始された空軍の戦術機(TacAir)研究で取り上げられた。 当時、空軍参謀総長であったブラウンは、「敵対勢力に対して競争力を維持するため」に、第5世代および第6世代の戦闘機(F-35およびNGAD)が必要であると強調したが、同時に「ローエンド戦闘」のための能力も必要であると述べた。


このような背景から、無人技術や運用コンセプトの分野でも進展が見られ、有人戦闘機分野よりもさらに急速な変化が起こっている。 


空軍は、戦術航空機群に戦闘用無人機を統合する動きを以前から見せている。現在、CCA計画が具体化しつつある中、無人機は最終的に空軍の将来にさらに劇的な影響を及ぼす可能性があり、ひいては、特に最適な戦力配分の観点から、将来の有人戦闘機計画にも影響を及ぼす可能性がある。


また、NGADプログラムの中心となる第6世代の有人戦闘機は、必ずしもCCAとの連携に最適とは限らないという指摘もある。CCAはNGADに最適化するために開発された想定がある一方で、ケンドール長官は最近、「CCAの概念は、NGAD開発に着手した後に生まれた」と指摘している。これは、CCAプログラムが浮上する以前に、NGADの要件はほぼ固まっていた可能性があり、無人機が提供する相乗効果を最大限に活用するには、別の有人プラットフォームの方が適している可能性があることを示唆している。


人工知能(AI)と無人技術の両方の進歩が急速に進んでいるため、究極的には、現在構想されている有人無人チーム連携は、単独で協調的に作動し、大量に展開される無人機より競争力が劣ると見なされる可能性もある。いずれ、人間が関与することで意思決定サイクルが遅くなるだけであるのに対し、潜在的な敵は、たとえ致命的な運動作戦であっても、人間が関与しないことに道徳的な問題を感じない可能性が高い。


ケンドール長官の言葉を借りればNGADは「健在」であるが、空軍はNGADのプラットフォーム設計コンセプトが正しいかどうかを真剣に検討している。


同時に、米空軍は現在、コスト削減に非常に力を入れており、「予算不足問題」がNGADやその他の高額なプログラムを脅かしている。 最終的な単価やNGAD有人戦闘機との比較はさておき、新型の軽量乗員戦闘機のような野心的なプログラムが実行可能かどうかという疑問がさらに高まっている。


しかし、ここしばらくの間、空軍は低価格の戦闘機や、それに伴う潜在的なトレードオフの可能性を検討している兆候が見られる。その意味で、オールヴィンの軽量戦闘機構想は、今後待ち受ける課題に対応するために空軍の戦闘機群での最適構成を希求する問題を再考する最新の取り組みとなった。■



Air Force Floats Light Stealth Fighter Concept As Its Heavy Fighter Program May Be In Jeopardy

The Air Force’s top officer touted the concept as a path to develop a less expensive and more flexible fighter design, which is odd considering a top priority was the service’s NGAD heavy fighter.

Thomas Newdick

Posted on Aug 20, 2024 7:21 PM EDT


https://www.twz.com/air/air-force-floats-light-stealth-fighter-concept-as-its-heavy-fighter-program-may-be-in-jeopardy


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