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米海軍の原子力空母削減案に待ったをかけたホワイトハウス

White House Pushing Against Proposed Pentagon Carrier Cut USNI News Published: January 30, 2014 3:45 PM Updated: January 30, 2014 4:00 PM USS George Washington (CVN-73) on Dec. 2, 2013. A proposed reduction in the US carrier fleet was stalled this week after the White House told the Pentagon to look for cuts elsewhere. US Navy Photo ペンタゴンが提出した2015年度予算案で空母一隻を削減する内容がホワイトハウスにより差し戻しになっていると判明した。 国防長官官房Office of Secretary of Defense (OSD)提案では原子力空母一隻を退役させ現在の11隻体制を10隻にするとしていたが議会に続きホワイトハウスからも抵抗にあっている格好だ。. 政権内部からペンタゴンに空母の代わりにほかの予算節約策を模索するよう求めてきたという。. 下院議員有志からは先週にチャック・ヘイゲル国防長官に空母11隻体制の堅持を求める書簡が発出されている。その内容には引退予定の下院軍事委員会委員長ハワード・「バック」・マッケオンRep. Howard “Buck” McKeon(共、カリフォーニア州)ならびに海洋力小委員会委員長ランディ・フォーブスRep. Randy Forbes (共、ヴァージニア州)のほか民主党議員も賛同して署名している。 「強力な海軍維持のため11隻の原子力空母は超党派で支持が集まる課題」としている。. マーク・ワーナー上院議員 Sen. Mark Warner (民、ヴァージニア州)は今年は再選を控え地元の空母母港への影響から空母削減反対の圧力を受けている。. 海軍当局はホワイトハウスと国防長官官房間の協議の内容を明らかにしていない。 海軍報道官ドーン・カトラー大佐Capt. Dawn Cutler は「今後もきびしい内容の協議が続くことはこの財政状況では

中国の極超音速ミサイル実験で冷静かつ真に理解すべきこと

U.S. Navy Sees Chinese HGV As Part Of Wider Threat By Bradley Perrett, Bill Sweetman, Michael Fabey Source: Aviation Week & Space Technology aviationweek.com January 27, 2014 中国が1月9日に実施したマッハ10の超音速誘導兵器実験は米海軍が将来の戦闘形態で予測した内容と一致している。中国がこの技術を実戦配備した場合、防衛網を突破し弾道弾としての有効距離が拡大するが、攻撃兵器への応用はまだ数年かかるとみられ、目標捕捉と誘導方法でまだ課題が残っているのが現実だ。 超音速滑空飛翔体hypersonic glide vehicle (HGV)のテストは中国が対艦弾道ミサイル anti-ship ballistic missile (ASBM) に一歩近づいた証と受け止められており、低速だが操作性が高い再突入体reentry vehicle (RV)が今回試されており、ASBMも第二世代に入る兆候かもしれない。. 今回のテストを見て米国は指向性エネルギー兵器体系の配備を急ぐ必要があると指摘するアナリストもいる。つまり迎撃ミサイルではマッハ5以上の標的に対応できないというのだ。米国は指向性エネルギー兵器を開発中だが実用化の日程は不明だ。. 中国のHGVはペンタゴンがWU-14の名称をつけており、大陸間弾道弾をブースターに使い打ち上げられた。宇宙空間から再度大気圏に戻り滑空しながらマッハ10を記録。テストはすべて中国領土内で実施されたと中国国防省は説明。1月19日にはもう一機が同じ発射場(山西省太原Taiyuan)から打ち上げられたとワシントンにある国際評価戦略センター International Assessment and Strategy Center のリチャード・フィッシャーが明かした。このうち1月9日のテストはビル・ゲッツがワシントンフリービーコン Washington Free Beacon で解説している。 中国が達成した内容は正しい理解が必要だ。米空軍はマッハ15のHGVマクダネル製ブーストグライド研究機を1966年から68年にかけて四回にわ

USAFグローバルホーク2機を三沢基地に5月より配備

US Air Force to Send Two Global Hawks to Japan UAS VisionがStars and Stripes記事を紹介する形でグローバルホークの三沢基地配備を伝えています 。 米空軍が運用する無人偵察機では最大の寸法を誇るグローバルホークが2機日本に常駐することになった。日本へは初の配備で今夏に実施米空軍が発表した。同時に人員40名が三沢空軍基地に5月から10月にかけ派遣されると三沢基地の第三十五戦闘機隊の広報担当が明らかにした。 「グローバルホークのような高性能機材を日本に配備することには戦略的な意味があり、日本及び周辺国の安全保障に一層の貢献をすることになります」と同上士官が電子メールで回答した。 同機と人員はグアムのアンダーセン基地から移動する。グローバルホークの運用はカリフォーニア州から遠隔操作されており、グアムには三年前から常駐している。 グアムから発進した機体は2011年3月の地震、津波、原子力発電所の危機状況の救援でカギとなる役割を果たしている。さらに昨年の台風被害を受けたフィリピン上空も飛行している。 また同機は北朝鮮の核兵器開発状況、中国海軍の作戦行動を監視している。両案件とも日本政府には重大な関心事項であり、日本も同型機3機導入の検討を承認したばかりだ。メーカーのノースロップグラマンは日本が同機を選択することで自信を持っている。 「当社が期待するのは理由あってのこと」と同社地域担当副社長のカーティス・オーチャードCurtis Orchardが日本で発言している。一方、同社の戦略用高高度長時間航空機部門の副社長ジョージ・ゲラGeorge Guerraによると韓国、オーストラリアも同機へ関心を高めており、とくにとくオーストラリアは実際に海上監視に特化したトライトンの調達を交渉中だ。 ノースロップ・グラマンはNATO加盟13国で形成したコンソーシアム向けにグローバルホーク5機を追加生産中で、NATOの機材は米海軍のトライトンともにシシリアのシゴネラ基地から運用される。同基地には米空軍所属のグローバルホークがすでに配備中 三沢基地配備のグローバルホークは太平洋全体にわたるミッションを支援することになる。「二機で相当の地域をカバーできます」(ゲラ)とし、グアム発進

★★★米海軍の考える2020年代のA2AD対抗としての航空戦のイメージ

近い将来の海軍航空戦力はこのように戦う、はず、という米海軍協会の紹介記事です。やや長文ですが。F-35Cに期待されている役割が興味深いところですが、航空戦力の運用にはネットワークコンピュータ通信体系がいよいよ重要になりますね。 Inside the Navy’s Next Air War By: Dave Majumdar and Sam LaGrone Published: January 23, 2014 12:35 PM Updated: January 23, 2014 12:52 PM EA-18G Growler assigned to the Zappers of Electronic Attack Squadron (VAQ) 130 lands on the flight deck of the aircraft carrier USS Harry S. Truman (CVN-75) on Aug. 15, 2013. US Navy Photo 米海軍の将来の航空戦想定では戦場は本国から遠く離れた場所、敵は高性能の装備を有し、応戦準備がよくできているというもの。戦いの帰趨は情報工学に大きく依存するとしている。実際に海軍はこの想定だと準備ができていないことになる。 ジョナサン・グリーナート大将 Adm. Jonathan Greenertが海軍作戦部長の現職に就いたのが2011年だったが、「戦闘、前線運用、準備態勢」の三つを叩き込んできた。 その意味するところは明らか。海軍は10年にわたりアフガニスタン、イラクの作戦を支援してきたが、海上および空中でハイエンド型の戦闘を実施する能力は後退してしまっている。 米空母部隊でタリバン兵の頭上に爆弾を投下するなど高度技術を駆使した対空兵器の威力を使うまでもなかった。 米国は簡単に戦場の主導権を握れたが、ここにきて次の戦場ではこんなに簡単にはいかないと実感させられている。 「陸上で兵力が必要なら、海軍が兵力を提供できる」とトーマス・ラウデン少将(海軍作戦部長付水上戦担当部長)Rear Adm. Thomas Rowden, director of surface warfare (N96) for the Office of the Chief of N

グローバルホーク、U-2、それとも? 米空軍の揺れるISR機種存続問題

Global Hawk, U-2 Duel Resumes in ’15 Budget Fight By Amy Butler Source: Aviation Week & Space Technology aviationweek.com January 20, 2014 Credit: USAF Airman First Class Bobby Cummings グローバルホークをめぐる政治上の圧力は何度も方向が変わっている。一度はU-2偵察機の後継機種と期待された同機の新型ブロック30を早期退役案が出て二年にもならないうちにペンタゴンから当初の案を覆し、2015年度予算要求で同機を盛り込もうとしている。 予算管理の仕組みでは各軍から出る年間支出案を国防長官官房が対応し予算確保が成立することになっており、U-2予算を削り30億ドルをグローバルホーク・ブロック30の勘定に移す。この決定はまだ最終ではないが、空軍は以前はブロック30関連の業務を停止し、U-2に専念することしていた。 長官官房と空軍から議会提出前は予算案へコメントしないのが通例だが、今回の逆転劇の背景には理由がある。一つは政治であり、機材運用費用の試算の変更もある。. 今回の議論の行方はペンタゴンが運航停止しようとしている他機種にも波及しそうだ。A-10、カイオワヘリ、TH-67など予算強制削減他財政上の圧力を受けている機種だ。ペンタゴンならびに各軍が議会の近視眼的な圧力をそのまま受け入れて政治家に人気のある事業を温存させることになるのか。あるいは投資的支出が劇的に減少する中で予算節約案を実行するのか。各原案で修正を加えれば、全体としての節約額は消滅し、ペンタゴンに残るのは「からっぽの部隊」が多機種で構成され、フライトの実施がままならなくなるとの危惧が国防計画立案者レベルで出ている。 グローバルホークで議論の中は飛行時間当たり運航費用 cost per flying hour (CPFH) が以前はおおよそ33,000ドルでU-2と同等水準との試算だったものが、2013年は25,000ドル近くになっている。 同機の飛行時間が急増しているためでとくにブロック40の部隊展開が始まったことが大きい。同機はアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)

原子力空母ロナルド・レーガンの日本配備決まる

New Navy Carrier Shuffle Moves Reagan to Japan, Roosevelt to San Diego By: USNI News Editor Published: January 15, 2014 10:57 AM Updated: January 15, 2014 10:58 AM USS Ronald Reagan (CVN 76) displays holiday lighting while moored at its homeport of Naval Air Station North Island. US Navy photo USSロナルド・レーガン (CVN-76) が日本への次期前方配備艦になることが決まった。あわせてUSSセオドア・ローズベルト(CVN-71)がサンディエゴ海軍基地に配備されると米太平洋艦隊が1月14日夜発表した。 レーガンが交代対象はUSSジョージ・ワシントン(CVN-73) でワシントンはハンティントン・インガルス・インダストリーズのニューポートニューズ造船所で核燃料交換の三年間工程に入る。. ワシントンが日本に配備されたのは2008年で、第七艦隊の前方配備海軍部隊 forward-deployed naval forces (FDNF).の中核となっていた。 ニミッツ級空母を引き続き配備することで米国は東太平洋に迅速に兵力を投射することが可能となり、人道任務にも対応が可能だ。 ワシントンは緊張高まる同地域で米海軍力を誇示する存在だった。とくに北朝鮮の挑発に対応し、米国の同盟国韓国、日本と「定期演習」を実施している。 海軍は具体的な日程を示していないが、交代には少なくとも数年間かかるとみられる。 USSエイブラハム・リンカン(CVN-72)はニューポートニューズに回航されており、工期三年の燃料交換および補修を3月に開始したばかりで2016年までは復帰しない。 また海軍はローズベルト乗組員をサンディエゴへ、レーガン乗組員を日本に移動させる必要があり、5,000人に及ぶ乗組員とその家族の移動は複雑な作業だ。 第五航空部隊は厚木海軍航空基地で引き続き前方配備航空部隊となる。■ アメリカから見ると日本周辺は東太平洋な

一筋縄ではいかない欧州の防衛装備協力体制

かつて欧州各国は列強と呼ばれていましたが、今や一国ですべての防衛体制を整備できなくなるところまで来ています。しかし総論賛成各論反対ではなかなか共同整備が実現しそうもないですね。こんなところにヨーロッパ世界の限界が見えてきます。それにしてもユーロのような人工通貨のいんちきさはいつ破綻するのでしょうか。 Europe Takes New Steps Toward Defense Cooperation By Amy Svitak Source: Aviation Week & Space Technology aviationweek.com December 30, 2013 Credit: Sgt Pete Mobbs RAF Crown Copyright ヨーロッパの共同防衛整備の可能性が12月に一歩遠のいた。ブリュッセルでの防衛サミットが不調に終わり、ヨーロッパ版無人航空機(UAV)他での協力事業で具体的な動きが出なかったためだ。 欧州理事会で28か国の首脳が合意を見たのが中核分野での共通ロードマップ作成と要求性能水準の把握だ。次世代UAVに加え、空中給油、衛星通信、サイバー安全保障のプロジェクトが想定されている。  ただし加盟各国は共同開発では具体的な負担策の表明を避けており、総論で合意しただけ。それでもEU加盟28か国が共通防衛戦略の検討開始に合意したことが前進の印とみられている。  防衛サミットは5年ぶりで、加盟各国は「戦略再検討」を2015年中に行い、防衛戦力整備の主要4分野の進捗を点検することで合意した。各分野は欧州防衛庁 European Defense Agency (EDA) が策定したもの。 UAVについては加盟各国でヨーロッパ版中高度長距離飛行可能なMALEシステムの工程表作成が合意されている。 2013年にフランス、ドイツ、イタリアの各防衛産業企業からEU加盟各国にUAV開発の出遅れを取り戻すチャンスを訴えていた。この意見を表明したのはドイツの エアバス・ディフェンス&スペース 、フランスの ダッソーエイビエーション とイタリアの フィンメカニカ で昨年5月にフランスが米国製MQ-9リーパーを最大で16機導入する決定をしたことへの対応である。フランスはマリ内乱への介入でISR

そもそもF-35の開発思想に誤りがあったのかーーーー同機はウェポンシステムとして失敗作なのか

もしF-35が各軍共用ではなく、各軍で独自に機体を開発していたら費用節減につながっていたはずとの分析結果をランド研究所が出しました。そもそもF-35の出発点に誤りがあったのでしょうか。大きすぎてつぶせない、といわれる同機ですが、すでに失敗作としてどうやって引導を渡すかを議論している感があります。それにしても西側の防衛を今後10年以上も空洞化しかねない同機には各方面から恨みつらみがたまりそうです。その機体を主力機として日韓が競って導入しようとしているのは皮肉な現象と言わざるを得ませんね。面白いので原文の読者コメントも参考までに載せてあります。 Contractors Dispute F-35 Cost Report By Bill Sweetman aviationweek.com December 30, 2013 ランド研究所 Rand Corp. による報告書でF-35共用打撃戦闘機事業は三軍による単独実施よりも多額のコストになっていると指摘している。早速ロッキード・マーティンが報告書に反論し、報告書作成者が「古いデータ」を使い運用コストを二倍に過剰見積もっていると主張。 ロッキード・マーティンの反論が使う数字は同報告書には出ていない。同社は出典を明らかにしていないが、「政府の数字」だとしている。共用打撃戦闘機事業推進室は今回の論争から距離を保っており、同報告書について真剣に取り上げる内容はなく、ロッキードの数字についても確認をしていないという。 ランド研究所の報告書は空軍資材軍団 Air Force Materiel Commandのドナルド・ホフマン大将(当時)Gen. Donald Hoffmanの求めで作成されたもので、その時点でJSFの就役が数年間遅れることは必至だった。 報告書が引用している数字は2011年11月時点までのデータで、2010年度の個別調達報告selected acquisition report (SAR)も含む。ランド研究所はそもそも空軍が発足させたシンクタンクであり、空軍との関係は密接だが、2011年度のSARは引用していない。このSARで開発遅延が三年にのぼり、2010年版よりコストが高くなることを指摘している。 JSFは進行中の事業であり、他に同様の共用戦闘機開発は存在しないので