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安倍暗殺事件の余波④ アジア太平洋各国の反応

A man looks at a television broadcast showing news about the attack on former Japanese prime minister Shinzo Abe earlier in the day, along a street of Tokyo on July 8, 2022. (Photo by CHARLY TRIBALLEAU/AFP via Getty Images) オーストラリアのアンソニー・アルバネーゼ首相は、「悲劇的」な死に「ショックを受け、悲しんでいる」と述べた。「安倍氏は、G7、G20、国連で世界情勢をリードする巨人でした。「彼の遺産は世界に影響を与えるものであり、オーストラリアにとって深く、前向きなものであった」。 安 倍晋三元首相が暗殺者の手により死亡したとの悲報は、今日の午後、太平洋を駆け巡り、過去50年間の日本でおそらく最も有名な政治家に対する悲しみと称賛を呼び起こした。  岸田文雄首相は、安倍元首相の死後、涙をこらえながら、「気持ちを表現する言葉が見つからない」と述べた。「選挙の最中にこのような野蛮で悪意のある行為は許されるものではありません」。  明らかに手製の凶器を使った単独犯による攻撃は、「民主主義の根幹」に対する攻撃であると岸田首相は述べた。安倍首相は、自民党の投票率を上げるため選挙活動をしていた最中に殺害された。日本の参院選は日曜日に予定されている。オブザーバーは、この選挙が岸田氏の党内支持と日本をリードする能力を測る重要なテストと考えている。  日本の政治と国家安全保障のトップエキスパートであるリッキー・ラーセンは、安倍首相の死で自民党の支持率が大幅上昇する可能性が高いと指摘する。 オーストラリア国立大学の名誉教授ラーセンは、「自民党は、あきらめかけていた議席も勝ち取るだろう」と語った。  また、安倍首相の死は、彼が長年支持してきた日本国憲法の平和主義条項の改正につながるかもしれない。自民党などの政党は憲法の一部を改正を支持しているが、具体的にどの改正に同意するかはまだ不明である。憲法改正を支持する可能性のある政党連合は82票を必要とする。「憲法改正に弾みがつくかもしれない」(ラーセン)。  日本が防衛費をGDPの1%弱から2%に倍増させることは、党の最近の

安倍暗殺事件③ USNI Newsの評価 西太平洋の安全保障面での貢献

  Japanese Prime Minister Shinzo Abe in Tokyo on Aug. 18, 2017. DoD Photo   安 倍晋三元首相は、8年間の政権運営を通じ、地域と世界の安全保障で日本を積極的な役割に導いたが、金曜日、選挙運動中に暗殺された。67歳だった。    2012年から2020年まで、日本の近代史上最長の連続首相在任となった安倍は、健康不安を理由に退陣したが、その後も日本の政界と世界を舞台に重要人物であり続けた。安倍は、本土防衛に重点を置くのではなく、21世紀の課題に対応するため自衛隊を近代化させたと評価されている。  中国との関係改善を掲げ就任し、戦後初めて北京を訪問した安倍だが、2021年の台湾侵攻をめぐる発言で中国政府から非難を浴びた。  「台湾有事は日本の有事であり、したがって日米同盟の有事である」「北京、特に習近平国家主席は、この認識で誤解をしてはならない」と述べた。     2015年10月18日、米海軍唯一の前方展開型空母USSロナルド・レーガン(CVN-76)の指揮官クリストファー・ボルト大佐(左)から話を聞く日本の安倍晋三首相(中央)。 US Navy Photo    日中間の緊張、特に尖閣諸島における北京の領有権主張をめぐって、安倍政権時代から過去10年間、中国の航空・海軍演習が頻度をあげており、ロシア軍も交えて行われるなど、着実に高まっている。  太平洋での領有権主張を強化するため中国が人工島を建設し、北朝鮮がミサイルや核の実験を積極的に行い、ロシアがウクライナのクリミアを併合するなど、日本は2014年の防衛省白書で「ますます厳しい」安全保障環境を認識した。  白書は、こうした課題に対処する「動的防衛力」を求めた。歴代の白書は、統合性、アメリカ軍や同盟軍との相互運用性、サイバーや宇宙といった新領域の確保を強調していた。  安倍が退任する頃、政府は自衛隊の近代化に向けて主要な措置を講じていた。例えば、高性能のF-35AおよびF-35BライトニングII統合戦闘機の購入、短距離離陸型に対応した海自ヘリ空母の改修、ディーゼル電気潜水艦の増産を決定した。  近代化計画は継続しており、2022会計年度の防衛予算は470億ドル以上である。USNIニュースによると、2022年度予算における海軍関連の資金は、水上

安倍暗殺事件② Defense Oneの評価

GETTY IMAGES / TOMOHIRO OHSUMI     暗殺された元首相は、日本を平和主義から脱却させ、中国抑止のためカウンターストライク能力を備え、よりグローバルな姿勢へと導こうと尽力する途中だった。     2 014年、安倍晋三元首相は、台頭する中国から日本を守るために第二次世界大戦後の平和主義的な軍事政策を進化させる必要があるという考えに日本を導く礎を押し進め、専門家にはこれを本人の最大の功績と評価する向きがある。  安倍元首相(67)は金曜日、奈良県での選挙演説中に撃たれ、暗殺された。彼の死によって、欧米はインド太平洋地域における対中国政策の強化を求めるアジアで最も影響力のある擁護者の一人、現代の安全保障上の脅威に対応するために日本の軍事・防衛産業を変革する主要な人物を失った。ジョー・バイデン大統領は声明で、安倍を「日米同盟の擁護者」と呼んだ。  ロイド・オースティン国防長官は同じく声明で、「彼の殺害は日本国民と、自由で開かれたインド太平洋を重視するすべての人々にとって悲劇」と述べた。「安倍氏は首相として、日米両国の重要かつ永続的な同盟を擁護し、日本が同盟でさらに大きな役割を果たす道を開いた。日本、インド、オーストラリア、米国による四極安全保障対話などの場を含め、インド太平洋全域で同盟とパートナーシップを強化した彼の活動は、より安全で安定し繁栄した地域という遺産を残した」。  戦後の日本の憲法第9条は、軍事力の保有を一切禁じている。それ以来、日本が維持する軍隊は、地震や津波などの人道的対応や、2004年のイラク復興支援のための派遣で物議を醸したことがあった。  安倍首相は9条の解釈を変更し、2015年には「平和への積極的貢献」という新解釈に基づく法整備を行った。  高まる脅威から国民を守るため、日本は防衛力を近代化し、米国と軍事協力を強化し、集団的自衛権に貢献しなければならないと、安倍首相は主張した。     安倍の功績    安倍首相に仕えた日本政府関係者の一人は、公の場での発言は許可されなかったが、「本人は現行憲法をより柔軟に解釈し、日本の自衛隊が米国とより密接に協力できるように変えることに貢献した」と述べた。中国が南シナ海の島々を軍事化し、攻撃的な戦術をとっているにもかかわらず、この構想は人気を集めなかった。   その後6年間で、安倍は

安倍暗殺事件に思う① 安全保障、外交での功績

    記者会見に臨む安倍晋三首相(2020年4月7日、東京都千代田区の首相官邸で)。   7 月8日、安倍晋三元首相が手製の銃で2発撃たれた。重症を負った安倍は倒れ、病院に搬送されたが、その後死亡が確認された。安倍の暗殺は、日本の国内政治と国際外交に衝撃を与えた。安倍は、冷戦後の日本政治、そして1945年以降の日本外交において、最重要人物であったのは間違いない。どう記憶されるだろうか、歴史はどう評価するだろうか。     軍事力の再構築 安倍は、日本国憲法第9条を解釈変更し、より多様で活発な軍事政策を可能にする運動を主導した。   長い間、攻撃的な軍事活動(そしておそらくあらゆる種類の軍事的制度化)を禁止していると解釈されてきた第9条は、日本の戦争遂行能力に賢明な制限を課しきた。日本経済の巨大さと高度さを考えると、これは日本の無限に近い潜在的軍事力を利用する可能性を持っている。   中国の軍事力の伸びを考えると、日米ともにこの再解釈はプラスに働くと見る向きが多いが、東アジアでは日本の復権を懸念する向きが多い。   ハード面では、安倍はV-22オスプレイ、F-35B、いずも型軽空母など、重要な新戦力の獲得に先陣を切った。また、イギリスと共同で日本独自のステルス戦闘機の開発も進めた。   安倍の主張は、日本で軍事思想の文化的変化をもたらし、海外派兵や海外目標への攻撃について、積極的な考えを示す日本人が増えている。   中国 安倍晋三は、日本の安全保障政策に積極的であったため、中国に友好的でなかった。   韓国と同様、中国も安倍が第二次世界大戦中の日本の残虐行為に対する責任を認めないことに不快を隠せない。靖国神社参拝は、日中経済関係が健全であったにもかかわらず、中国で激しいデモの火種となった。この点でも、安倍の記録は中国から不審に思われ、共同技術プロジェクトやサプライチェーンからの離脱に道を開いた。   安倍の死は、中国国内ではソーシャルメディア上で祝福されたが、政府や主要メディアは控えめであった。   韓国 安倍晋三の最大の失敗は、日韓関係にダメージを与えたことだろう。   東アジアの安全保障政策の動向(中国パワーの増大、北朝鮮の核の冒険主義)が韓国と日本を結びつけるべき時に、安倍は第二次世界大戦前後の韓国と韓国人に対する蛮行に対する日本の責任問題で大失態を犯した。