ラベル F-15 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル F-15 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2018年10月28日日曜日

歴史に残る機体19 MiG-25フォックスバット

The Soviet MiG-25 Spooked the U.S. Military

The Americans hurried to develop the F-15

歴史に残る機体19 ソ連のMiG-25に震え上がった米軍はF-15開発を急いだ


WIB AIR October 23, 2018 Robert Farley


MiG-25フォックスバットほど威力を持ちつつも誤解された冷戦期の機体はない。米軍の超音速爆撃機や高高度を飛ぶスパイ機の迎撃用に設計されたフォックスバットには高速飛行性能を活かし偵察機としての用途もあったが戦闘爆撃機としての性能は限定的だった。
.フォックスバットは10数カ国の空軍に配備され、レバノン、シリア内戦、エジプト、イラン-イラク戦、湾岸戦争、リビア内戦で実戦投入された。
多くの点でMiG-25は特筆すべき機体だった。最高速度マッハ3で高高度を飛んだ。試作機は1965年に初飛行するや速力、上昇性能、飛行高度で世界記録を書き換えている。
ずば抜けた性能とは裏腹に問題があった。低高度で操縦性が欠如していたのだ。機体重量が大きくなったのは耐久性を保証する素材技術がソ連になく、ニッケル-鋼合金を機体全面に使ったためだ。
双発エンジンでマッハ3.2を出したがこの速力ではエンジン自体が損傷し、実用上はマッハ2.8が最高だった。初期モデルには機体下を監視照準するレーダーがなく米爆撃機を狩る迎撃機として致命的な欠点だった。
フォックスバットの実態が表面に出たのはソ連パイロットが日本に機体を着陸させた1976年9月の亡命事件だ。日本は機体を米側に引き渡し、米国が機体を分解点検した。調査からフォックスバットは迎撃機であり航空優勢戦闘機ではないことが判明した。また実際の性能が想定より低いこともわかった。
ソ連情報機関が米国の爆撃機運用思想を正確に把握していれば、MiG-25を多数配備する予算を安価な多用途戦闘機整備に回せたはずだ。その場合は戦闘用航空機の歴史も変わっていたはずだ。
ソ連はフォックスバットを1,000機以上量産し、うち8割から9割がソ連空軍で供用された。フォックスバットが実現しなかったらソ連はその他の戦闘機、戦闘爆撃機を迎撃や偵察任務に投入しただろう。
MiG-21やMiG-23、Su-17が偵察用途の選択肢だったはずだ。フォックスバットと並び迎撃任務についていたTu-28は大型長距離機だったがMiG-25並の高速性能はないものの一定の条件下で任務をこなしていた。
フォックスバットが実用上で性能を最大に発揮したのが偵察任務で高速高高度飛行のため敵防空網は捕捉できなかった。
The Soviet MiG-25 Spooked the U.S. Military
写真上)1976年に亡命したソ連MiG-25は日米両国により機体を見聞された。写真下)アルジェリア空軍のMiG-25機材、2018年撮影。Google Maps photo

フォックスバットの大問題は供用開始にっの時点で想定していたミッションがなくなったことだ。米国はソ連の地対空ミサイルの威力を恐れB-70ヴァルキリー戦略爆撃機開発を断念し、超音速B-58ハスラーも早期退役させてしまっていた。
高高度高速飛行ではなく米爆撃機はソ連領空に低高度から低速侵入することとなり、フォックスバットでは対応がほとんど不可能になった。だが米爆撃機の大量侵入を撃退する事態が生まれなかったためフォックスバットの長所短所は実践で試されていない。
ソ連ではフォックスバットの実戦投入はまれだったが冷戦期、ポスト冷戦期のその他地域の紛争に投入された。イラン-イラク戦争でフォックスバットは制空任務をかなりうまくこなしたものの、イランのF-14の前に損害を受けている。
湾岸戦争ではMiG-25が空対空戦で米戦闘機F/A-18を最後に撃墜した。2002年にはプレデターを撃墜しているが高速飛行性能を活かした形だった。偵察任務ではインド空軍がパキスタンとの紛争時に優秀な成績を残している。だが戦術機材としてのMiG-25に目立った功績はない。
フォックスバットの登場で空の戦闘が質的に変わるとの恐れから米国で戦闘機開発が加速され、フォックスバットの情報評価から現行の西側戦闘機が対応不可能とわかったが真の欠陥はほとんど理解されないままだった。
その結果、米国はF-X事業の評価を見直しF-15イーグルが生まれた。イーグルは世界最強の航空優勢戦闘機を目指し、ソ連機に勝つのが目的だったが肝心の強力なソ連機は情報機関の頭の中にしかなかった。
フォックスバットが実現していなかった場合、F-15は凡庸で戦力もほどほどの機体になっていたはずでこれだけ長く供用可能な機体ではなかったはずだ。
最後にフォックスバットからMiG-31フォックスバウンドが生まれているが、レーダーと機体材料を改良し高性能迎撃機になった。フォックスバウンドは現在もロシア航空宇宙軍で供用中だ。フォックスバットが生まれていなければかわりにSu-27の派生型が防空任務についていただろう。Su-27は高性能機だが迎撃機としては一流とは言えない。
今日でもMiG-25を運用するのはアルジェリア空軍のみだ。リビア、シリアにも機材があったが性能を十分活用できなかった。対照的にMiG-21、MiG-23は現在も多数が世界各地で飛行している。
だがフォックスバットの正統進化形のMiG-31は現在もロシアで当初の設計思想通り哨戒、迎撃ミッションをこなしている。またF-15は世界の空戦史に残る実績を上げている。F-15は誤解から生まれたがその誤解が幸運な結果を生んだと言えよう。■

Image: Creative Commons.

2018年7月19日木曜日

★★ボーイング発表の新規生産F-15X構想に注目すべきか

以前の「ミサイルトラック」16発でも多いと思いましたが、今回は24発ですか。数で攻め入る中国を劣勢な機数でも食い止める発想なのでしょうか。新型戦闘機開発が行き詰まる中でF-15やF-16と言った既存機材の性能向上版がコストパフォーマンスで優れ、食指を伸ばす国も現れそうですが、日本はどうしますか。また静観するだけでしょうか。

Boeing Is Pitching the US a New F-15, Using Its Super Hornet Game Plan ボーイングが新規生産F-15をスーパーホーネットの営業戦略の応用での米空軍向け営業中

F-15E Strike Eagles with the 4th Fighter Wing at Seymour Johnson Air Force Base, N.C., form up behind a KC-135 Stratotanker with the 121st Air Refueling Wing, Ohio Air National Guard, June 15, 2018.
U.S. AIR NATIONAL GUARD / AIRMAN 1ST CLASS TIFFANY A. EMERY
  • BY MARCUS WEISGERBERGLOBAL BUSINESS EDITORREAD BIO
FARNBOROUGH, UK — ボーイングが米空軍に新型F-15戦闘機をトランプ政権に成功した米海軍向けスーパーホーネット追加発注と同じビジネス戦略で売り込もうとしている。


F-15Xと名付けられた新型機は飛行制御系、コックピット画像表示、レーダーを更新する。武装も強化され空対空ミサイル24発以上と米空軍のいかなる機材より多い。


ボーイング関係者はF-15X営業活動の確認を拒んでおり、遠回しに以下述べている。


「国際市場が拡大して逆に米空軍に今後の機材性能向上のほか新規F-15調達についてお話しさせてもらっている」と同社防衛宇宙安全保障事業の海外販売担当副社長ジーン・カニンガムがロイヤル・インターナショナル・エアタトゥー会場で述べている。


米空軍のF-15調達の最終は2001年でF-15Eストライクイーグル5機だった。F-15原型は1972年初飛行で空軍が供用中の機材は1980年代に導入されており、操縦パイロットより機齢が高い。


昨年はトランプ政権向けにスーパーホーネット売込みで成功したが、F-15ではホワイトハウス向け営業はまだない。


空軍首脳部は各種機材の組み合わせ運用について検討が進んでいるとしている。


「新国家防衛戦略構想が生れ、空軍はその内容実現のため装備を検討中」とジェイムズ・「マイク」・ホームズ大将(航空戦闘軍団司令官)が6月28日にワシントンの国防記者朝食会で述べていた。


検討内容にはF-15、F-16の新型版の調達も含むと空軍の観測筋が伝えている。


米国の同盟国に当たる、イスラエル、サウジアラビア、シンガポール、韓国が改修型F-15を運用中だ。イーグルクラブの最新会員がカタールで同国は昨年36機を発注し、さらにオプションで36機発注が可能。ボーイングはドイツへもF-15を売り込み中で、トーネード後継機として同機にドイツも関心を示している。


前出カニンガムはボーイングが同盟国機材が搭載する技術を既存のF-15へ導入する改修案を提示中という。


F-15は第四世代機といわれ、ステルス性能はない。かれこれ10年以上にわたり空軍首脳部はステルス機しか導入しないと公言してきた。新規生産のF-15を調達すればこの動きに逆行する。


F-15は当初はステルスのF-22ラプターと交代するはずだった。F-22は世界最強の空対空戦闘機と言われる。国防長官(当時)のロバート・ゲイツがF-22生産終了を命じたのは2009年のことだった。最終号機がジョージア州マリエッタのロッキード・マーティン工場で完成したのは2009年。空軍は750機調達を想定していたが、実際に調達されたのは187機にすぎない。


ゲイツはF-35への資金投入を優先させた。同機が多用途戦闘機で敵機を撃墜しながら地上目標も攻撃できる高性能センサー、レーダーを搭載しているためだ。


海外向けF-15は米軍機調達時に利用できなかった新型技術を搭載している。米空軍のF-15もレーダーやコックピットで改修を受けているがここにきて旧型F-15Cへの電子妨害装置追加は空軍が取り消した。一部観測筋には空軍は同型を予定より早く退役させるのではとの見方がある。


ボーイングはこれまでストライク・イーグル新型版を米空軍はじめ各国に売り込もうとしてきた。2010年には特殊塗布と斜め取り付けの尾翼が特徴のサイレント・イーグルを営業していた。2015年にはF-15Cの戦闘能力強化で空対空ミサイル16発搭載案を売り込もうとした。


毎回ボーイングは改修機材はF-35のステルス性能、センサー、電子戦機能に近い内容を数分の一の価格で実現できると売り込もうとしていた。


空軍向けF-35機体価格が毎年下がる中で価格格差は減っており、ペンタゴンからF-35の次期パッチ141機分で合意ができたとの発表が7月15日にあったばかりだ。

空軍筋からは新型F-15調達はF-35と比較対象とならない、なぜなら共用打撃戦闘機はそもそもF-15の代替機材ではないからとの観測がある。

2018年3月29日木曜日

★沖縄で空戦技能の腕を上げるF-35Aパイロットたち

見かけと違ってF-35Aは相当の空対空戦能力があるようです。しかも訓練をつむ米空軍パイロットにとっては燃料不足でろくに訓練もできない北朝鮮空軍戦闘機など相手にもならないでしょう。航空自衛隊も先行して米F-35Aと対戦して同機の知見を積んでいる途中なのでしょう。ともに頼もしいことではあります。



Reporting from Kadena Air Base

How is the F-35 improving its dogfighting skills in Japan? F-35は日本でどこまでドッグファイトの腕をあげているのか---嘉手納基地に配備中のF-35A実戦部隊の様子を見てみよう

By: Valerie Insinna 


An F-35A from Hill Air Force Base's 34th Fighter Squadron sits on the ramp at Kadena Air Base, Japan. (Jeff Martin/Staff)
嘉手納航空基地にヒル空軍基地から移動したF-35A(第34戦闘機飛行隊)が翼を休めている (Jeff Martin/Staff)
KADENA AIR BASE, Japan, and WASHINGTON —F-35はドッグファイト性能不足がずっと批判対象にされている。
だが嘉手納航空基地の頭上でF-35はそんな批判は誤りと証明している。
.昨年10月に要員300名がF-35A12機とともにユタ州ヒル空軍基地から日本へ移動し、米空軍初のアジア太平洋地区でのF-35展開となった。その後、パイロットはF-35の空対空戦訓練に中心をおいているが、対地攻撃能力で知られる同機としては珍しいことだ。
嘉手納基地は466平方マイルと小ぶりの基地で周囲は太平洋に面しF-35部隊の空戦訓練に最適と第34戦闘飛行隊のライアン・ファンタシア大尉が述べている。「空域が全部洋上なので下を見ても何も見えないのが難易度を高めます。さらにここにはイーグル隊がいます」と大尉は嘉手納のF-15C/Dイーグル二個飛行隊に言及した。
F-35A隊はF-15C/Dと毎月二三回から毎週二三日のペースで訓練していると大尉はDefense Newsに語ってくれた。F-15は嘉手納基地の米空軍第44、第67戦闘飛行隊だったり航空自衛隊所属機だったりする。
「楽しんでいますよ」とファンタシア大尉は1月にF-35基本訓練課程を終えたばかりの新米パイロットとして語る。ファンタシアはじめ5名の「Bコース」修了生はF-35で操縦を始めた最初の組でF-22やF-16等他機経験がない。
新米パイロットはヒル基地ではF-35操縦経験のあるパイロットから学び、嘉手納ではF-15パイロットからも学んでいるわけで、戦術訓練と過去40年余りに蓄積された戦術を体得する途中だ。
「訓練ではこちらの強みを生かしています。各機の性能を生かした柔軟なシナリオを使っており、うまく行く場合もあり勉強になる場合も多いです」(ファンタシア大尉)
直近のフライトでファンタシアは一対一の空戦で基本戦闘操縦を試した。ハイG旋回、急上昇や高迎え角機動で有利な位置につきながら接近戦に臨んだ。
ファンタシアはF-35、F-15のいずれが相手だったのか口にしていないが、第四世代戦闘機はドッグファイトでは侮れない相手だ。
F-15Cは空軍主力戦闘機の座を長年にわたり保持しその期間は1970年代から2005年に第五世代機F-22の配備がはじまるまでだった。信じがたいほどの空戦記録で喪失記録が一機もない。
F-35も同機に対しては良好な記録を出していない。2015年にWar Is Boringが入手した5ページにおよぶF-35テストパイロットの手記ではF-16に対して主導権を握られなかったとある。このパイロットはF-35が低速すぎ操縦性も劣りF-16に捕まっても逃げられずF-16撃墜は困難と記していた。
国防総省はてテストに投入したの初期機材で飛行性能限界は5.5Gまで制限されていたとF-35を弁護した。ミッションシステムやステルス塗装やヘルメットディスプレイが作動しておらずF-35の特性が使えない状態だったが今ではすべて普通に使用可能だ。
嘉手納基地のF-35部隊は2月に最新の3Fソフトウェアを搭載され、戦闘能力が完全化されており、飛行性能も9G上限まで可能となった。だがその前から空対空模擬戦では改良がみられ、2017年初頭のレッドフラッグ演習では20対1の撃墜比率を達成していた。
嘉手納の第44戦闘飛行隊のF-15パイロット、ブロック・マクジヒー大尉はF-35について「極めて高性能」な空対空戦闘機だと2月にDefense News取材で述べていた。
「姿が見えない機体の周りを暗くなって飛ぶと怖い思いをします。各機のパイロットは腕がたち、状況認識が極めて高く、敵でなくてよかったと思わされます」
マクジヒー大尉はF-35と同じ第五世代戦闘機のF-22ラプターを比較してくれた。ともにステルス機で長距離では探知が非常に難しい。だが接近戦となればF-15はF-22やF-35相手に全く違う様相を示せるという。戦術内容を敵に明らかにすることを避け大尉は詳細に触れなかった。
「F-22の旋回能力はすごいですが、F-35の旋回はちょっと違います。基本戦闘操縦に注意して対応する必要があります」
ではF-15はF-35とのドッグファイトに勝てるのか。
「時々は勝てますね」とマクジヒーは述べ、空対空戦で負けるのは全機種共通だと付け加えた。

「原因に機体とパイロットの双方があります。ここには腕のいいパイロットがおり、攻撃をかけて勝利する可能性は高い。機体を熟知したパイロットに高い技能があればどんな機種を飛ばしても強力な存在になります」(マクジヒー)■

2018年2月5日月曜日

★なぜイスラエル空軍はF-35よりF-15新型機導入に傾くのか

Israeli Air Force Leaning Toward Upgraded F-15 Over F-35 for Next Fighter Jet Acquisition

イスラエル空軍が次期戦闘機取得でF-35よりF-15に傾く
The rapid aging of the IAF’s current fleet makes the new purchases necessary
IAF現用機材の老朽化で新規購入は待ったなしだ
Amos Harel Jan 29, 2018 8:07 AM


イスラエル空軍のF-15I https://www.airplane-pictures.net/photo/948831/267-israel-defence-force-mcdonnell-douglas-f-15i-ra-am


スラエル空軍(IAF)は数か月のうちにF-35追加調達かF-15Iの調達かを選択する。F-15Iは性能で劣るとはいえ長所も多い。
調達には参謀本部さらに省内委員会の承認が必要だが、空軍当局の提言がそのまま通るのが通例だ。
IAF司令官アミカム・ノーキン少将はF-15選択に傾いているといわれ、5月に提言がまとまる。
イスラエルとは米国とF-35の2個飛行隊用として50機購入で昨年合意しており、ロッキー・マーティンから2024年までに調達する。
うち、9機が納入されており、IAFは初期作戦能力獲得を宣言した。
IAF戦闘機部隊で老朽化が進んでおり、新規調達が必要だ。空軍は1970年代末導入の機材も供用中で改修を重ねてきたが用途廃止は避けられない。
ダボス世界経済会議でベンジャミン・ネタニヤフ首相がクロアチア首相アンドレジ・プレンコヴィッチにIAF保有のF-16をクロアチア空軍へ売却すると伝えた。イスラエルはF-16A/Bで最後まで残った飛行隊を昨年解隊しており、F-16C/Dでも買い手を探している。F-15もゆくゆく同様の対応になりそうだ。
第五世代戦闘機のF-35はIAFの次期主力戦闘機となる。
IAF上層部は同機の性能をべた褒めで、特にステルス性能を重視している。
だがステルスを発揮するためには爆弾は機内に搭載する必要があり、そのため搭載量が制約を受ける。機体外に搭載すればステルス機能が損なわれるためだ。
これにたいしてF-15は旧式だがF-35に対する利点が二つある。飛行距離が長く兵装搭載量が大きいことがあり、さらに運用機種を複数にできることだ。
F-15IはF-35より運航経費が低いが、ボーイングが性能改修を行っており購入価格は今後上昇すると見られる。そのためF-35と同等の価格水準になる可能性がある。
空軍内部の議論はF-35の第三飛行隊が必要なのかというより今すぐ必要なのかが中心だ。
F-15推進派はF-35第三飛行隊分調達を2020年代末まで遅らせるよう求めている。
イスラエルの決定は米メーカー側にも重要な意味をもつ。ロッキード・マーティン、ボーイングには30億ドル規模の商談だ。ボーイングはF-15製造ライン閉鎖を検討していたが、イスラエル発注が入ればラインを維持できる。またイスラエルが購入すれば同機へのお墨付きとなりその他国への販売に拍車がかかる。

期機材の次期複数年度事業調達は、現事業が終了する2020年以降に発効する。機体は米海外軍事援助制度を使い購入する。米国とイスラエルは2016年に10年間の援助合意に調印済みで来年から発効する。■

確かにF-35だけを戦闘機部隊に配備することはバランスが悪い話でもともとF-22導入を希望しながら売ってもらえなかったイスラエルの事情は日本とも似通ったところがあり、イスラエルが本当にF-15新規発注に動けば日本にも影響を与えそうですね。しかし一番喜ぶのはボーイングでしょう。

2018年1月7日日曜日

★ボーイングが戦闘機事業から手を引く日が来る

戦闘機事業からボーイングが撤退すればF-XやF/A-XX開発はどうなるのでしょう。日本がEA-18Gを少数機導入しても大勢を覆すことはなさそうです。長距離攻撃とセンサー性能で航空優勢を確保するのであれば小型戦闘機である必要はなくなるというシンクタンク指摘もありましたが、戦闘機そのものがこれから姿を変えていくのでしょうか。

Why Boeing may stop building fighter planes

ボーイングが戦闘機生産を終了する可能性
 By Harold HutchisonJan. 02, 01:01 PM

ボーイングが戦闘機ビジネスから近い将来に撤退する可能性はあるのか。ここ数年この疑問が生まれているのは各国の空軍が高性能機の代表ロッキードF-35または安価なSaabグリペンのような選択に向かっているためだ。
まずボーイングは共用打撃戦闘機競合にX-32で挑み採用されなかった。2014年のDefenseAviation.comの記事ではボーイングは戦闘機を平均月産4機で生産していた。
リトルロックAFBを離陸するX-32。2001年。X-32は共用打撃戦闘機選定に向けた候補機のひとつだった。 (DOD photo)


同社はF-15Eストライクイーグル派生型の販売を進めているが、F/A-18E/FスーパーホーネットとEA-18Gグラウラーではオーストラリア除くと成立した商談はない。スーパーホーネットはインド向け営業を展開中でF-15C高性能版の売り込みを図る。
ボーイングは軽量戦闘機から完全に手を引いている。Saabと手を組みT-X採用を狙うが、ロッキードT-50、レオナルドレイセオンF-100と競合中だ。最近になりカタールからF-15QAの36機受注に成功したとFlightGlobal.comが伝えている。カタールはユーロファイター・タイフーン、ダッソー・ラファールも各36機導入している。
An F-15E Strike Eagle fire flares over Iraq during a mission in support of Operation Inherent Resolve, on Sept. 6, 2017. (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Trevor T. McBride)
F-15Eストライクイーグルがイラク上空でフレアを放出中。不朽の決意作戦の一環、2017年9月6日。 (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Trevor T. McBride)
ボーイングはF/A-18E/Fスーパーホーネット改修型を準備中だ。ブロックIIIスーパーホーネットは一体型燃料タンクで航続距離を伸ばし、エイビオニクス改良で新型レーダーや電子対抗措置も一新する。トランプ大統領の国防予算要求にスーパーホーネット80機調達が入っている。
これだけの販売が成立しても同社の撤退は避けられないのか。海軍と空軍は第六世代戦闘機の開発を進めているとの報道がある。だが実現までまだ数年かかる。以下のビデオでこの件について詳しく伝えているので見てもらいたい。



ビデオ報道の要約:戦闘機ビジネスに将来がないと判断し、ボーイングが戦闘機事業を縮小する方向にあるのは間違いない。ボーイングには衛星、安全保障など戦闘機以外にもビジネス分野があり、民生機の軍用転用にも期待する。

2018年1月3日水曜日

F-15無敵神話を追う 第二部


Has Anyone Ever Shot Down an F-15 in Air Combat?

F-15は航空戦闘で喪失が本当に一機もないのか

Part two

Has Anyone Ever Shot Down an F-15 in Air Combat?
 WIB AIRWIB HISTORY January 1, 2018 Tom Cooper
第二部

ボーイングおよび米空軍の公式発表ではF-15イーグルの空戦実績は104対0で一機も喪失していない。だが敵側勢力から同機を撃墜したとの主張が数例出ている。
 だがその内容には撃墜の証拠がないことが共通している。
 イラクは1991年1月4日、砂漠の嵐作戦開始後13日目にイラク軍戦闘機がイスラエルF-15編隊を迎撃し一機をH-3航空基地近くで撃墜したと主張している。
 数年たちイラク退役准将アーメド・サディクが再び主張し撃墜現場を視察したとも述べた。墜落したF-15は地上に激突したためめぼしい残がいはバイロットのブーツだけで本人の遺体の一部が入っていたという。
米F-15Cとサウジ空軍のF-5E タイガー II, 砂漠の嵐実施前の演習にて。 U.S. Air Force photo

 サディクによれば残骸の残りはイラク空軍情報部のあるバグダッドへ送った。12年後のイラク侵攻で米軍が情報部を荒らし証拠を破壊したという。
 次のイラクの主張はやや現実味が強い。1991年1月30日、イラク空軍MiG-25PDSフォックスバット二機編隊がバグダッドとイラン国境付近を飛行する米空軍イーグル二機編隊を迎撃した。イラク地上管制は敵機に両機を差し向け、一機のMiGがR-40ミサイルを発射し爆発したが命中しなかった。
 同じMiG-25編隊がハン・バニ・サード東で別のF-15C二機に襲い掛かった。激しい電子妨害を受けながらフォックスバット先頭機がR-40RD一発を12マイル地点で発射すると、イーグル二機はスパロウ二発で反撃してきた。F-15Cが降下しながらフレアを放出するのを視認したフォックスバット先頭機パイロットはR-40が近くで爆発し損害を与えたと結論づけた。
 スパロウミサイル二発は命中せずフォックスバットは左旋回で北へ退避した。残る米機がAIM-7Mを三発発射したが全発作動しなかった。イーグルのパイロットは南へ移動してフォックスバット二番機と交戦を避けた。
 MiG-25編隊がバグダッド西のタムズ基地に帰還すると別のF-15編隊に襲撃を受け、スパロウミサイルが着陸中のフォックスバットの10フィート後方の滑走路に命中したという。
F-15Eがダーラン基地(サウジアラビア東部)に並ぶ。 U.S. Air Force photo

 一方でイラクの地上レーダーは先に襲ったF-15編隊が後退する様子を捉えうち一機が減速し高度を落とすのを確認し、サウジアラビア領土内で墜落したと推定した。これによりフォックスバット先頭機パイロットに撃墜確実が認められ、その後ベドイン族密輸業者がF-15残骸がサウジアラビア北部に埋まっていると述べ撃墜が確認された。
 実際にはこの交戦でF-15Cに墜落は発生していない。砂漠の嵐作戦全体でも一機も撃墜されていないが米空軍はF-15Eを二機喪失した。1991年1月17日と19日で対空砲火によるものだ。ただし航空戦喪失ではない。
 だが奇妙な事件が発生した。F-15が敵側の手に渡る寸前になった。1990年、砂漠の嵐作戦実施前にサウジ空軍のF-15Cパイロットがアラブ同士の戦闘の可能性に悩みスーダンへ機体もろとも亡命した。

 ペンタゴンは航空部隊に敵性F-15との遭遇可能性ありと警告した。ただサウジ政府の迅速な対応のおかげで解決した。うわさではリヤドがハルツームに5千万ドル支払い機体回収したとのことである。■

2017年12月30日土曜日

★104対0 F-15の無敵実績に挑戦する東側主張に真実があるのか



104 to 0: The F-15 Eagle Is The Fighter No Air Force Can Beat

104対0 F-15イーグルにはどの国の空軍もかなわない (前編)
December 29, 2017

ボーイングおよび米空軍の公式発表ではF-15イーグルの空戦実績は104対0で一機も喪失していない。だが敵側勢力から同機を撃墜したとの主張が数例出ている。
だがその内容には撃墜の証拠がないことが共通している。
最初の事例は1978年でイラク第39戦闘機隊所属のMiG-23MSがイスラエルのF-15をイラク西部で撃墜したとするがいまだに何の物証が示されていない。
次のF-15撃墜とされる1981年春の事例はよく知られている。話は多少異なるがすべてロシア側報道機関が伝えている。
一番広く流れている内容では1981年2月13日にイスラエルF-15編隊がシリアのMiG-25P編隊を待ち伏せし一機を撃墜したが、シリアが今度は待ち伏せをかけ同年1月29日にMiG-25PがR-40/AA-6エイクリッド空対空ミサイルを25マイル先から発射しF-15一機を撃墜したことになっている。
ただこの話には難がある。シリアもロシアも共にレーダー記録や残骸の物証を示していない。またシリア空軍はMiG-25Pは受領していない。シリアが入手したのはMiG-25PDS迎撃型二機だけでMiG-25Pではない。
MiG-25PDSは輸出用劣化型フォックスバットと評されることが多いが、実は初期型より装備が充実していた。スメルチ2AレーダーがMiG-25Pに搭載されていたが、PDSでは赤外線探知追尾装備、レーダー警告受信機、チャフ・フレアディスペンサーも搭載していた。
そこで「シリアのMiG-25P」との表記そのものに記事の信ぴょう性を疑わせるものがある。
さらにイスラエルが1981年2月にフォックスバットを撃墜したがMiG-25R偵察型でレバノン上空を単機飛行中だった。この撃墜が重要なのはロシア側の説明と対照的にシリアがMiG-25PDSが単機飛行中にF-15を返り討ちにしたと発表していることだ。
シリア側の発表ではMiG-25PDSがMiG-25Rのふりをしてベイルート方向へ航空高速飛行をしていた。イスラエルF-15の8機編隊が迎撃に向かうとシリア機はR-40ミサイル二発を編隊長に向け発射した。それぞれ37マイル、31マイル離れた地点からとAIM-7Fスパローミサイルの射程外で、イスラエル装備でこれが当時最大射程の空対空ミサイルだった。
シリア軍によればミサイルが命中したF-15は海中に墜落。パイロットは射出したようだ。この同じ出来事をイスラエルはF-15がスパローミサイルでMiG-25を撃墜したとしている。
1982年6月9日午後の事例はよく知られれている。シリアのMiG-21がF-15DにR-60/AA-8ミサイル一発を命中させた。イスラエルパイロットは損傷を受けた機体を基地に緊急着陸した。機体はその後修復された。
当時流布された事例には再考の余地がある。1982年7月3日、シリアMiG-21の8機編隊がイスラエルF-15、ミラージュIIICJあるいはクフィール各4機とベイルート上空で対決した。シリア側は自軍4機喪失を認めつつ、イーグル一機の撃墜を主
張した。
イスラエル側に当日の空戦を伝えるものがないのだが、この交戦には地上で目撃者十数名がレバノン報道も広く伝えていた。
ロシア文献ではイスラエルF-15撃墜事例が少なくとも3例ありすべて1983年発生とある。シリアのMiG-23MLが10月4日に二機のF-15を、12月4日にも1機を撃墜したと主張している。ロシア側の説明にシリア側パイロットの名前はおろか、三事例をうらづける証拠は示されていない。
(後半に続く)

This first appeared in WarIsBoring here.