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2018年4月22日日曜日

★★★F-3開発:急浮上したF-22生産再開提案は日本に費用負担大半を求める内容

降ってわいたようなこの話ですが、前からF-22生産再開の話はあり、日本の影もちらちらしていました。虫のいい話に聞こえますが、日本にはF-2事案でも苦い思いをした経験もあり、F-3国産開発で進んできたのですが、いよいよ今年中ともいわれる方針決定の段階で考慮すべき点は多く、以下の内容にも一定の長所はあるように思われます。実現するかは微妙ですが、貿易収支、米国の動向もにらむと可能性が皆無とも思われません。実現するとすればイスラエルも関与すべきと考えますが、皆さんはどう思いますか。


Lockheed Should Restart the Raptor Line If Japan Wants An F-22-F-35 Hybrid  日本向けF-22-F-35ハイブリッド新型機が実現すればロッキードはラプター生産ラインを再開する構えGeopolitical trends, security concerns, and industrial and combat aircraft capability needs, could give birth to an American-Japanese Raptor 2.地政学、安全保障、産業構造、戦闘機ニーズを考慮すると日米共同のラプター2.0が実現する可能性が浮上

BY TYLER ROGOWAYAPRIL 20, 2018
OSAKABE YASUO


ロッキード・マーティンと日本産業界共同でF-35ライトニングとF-22ラプターの長所を組み合わせた準国産戦闘機を開発する構想に関心が日本の関心を集めていいるとのロイター報道にThe War Zoneはさして驚かされていない。
以下ロイター電の抜粋だ。
「ロッキードは日本防衛省と協議を終え日本の情報開示請求(RFI)に対応した正式提案を機微軍事技術公開に関する米政府承認の後に提出する準備に入った。提案内容に詳しい筋から直接この内容が判明した。
高度機密航空機設計内容・ソフトウェアの公開を認める決定が下れば日本は中国軍事力に対する優位性を実現し、ドナルド・トランプ大統領は米軍事輸出政策の見直し約束の試金石となる。
提案の航空機は「F-22とF-35を組み合わせていずれの機体を上回る性能になる」と上記筋は述べている」
日本もラプターに似た次期戦闘機設計構想を進めているが、優秀な運動性能と低視認性を組み合わせてF-22とF-35の特徴を兼ね備えた機体の構想も並行して浮上している。エイビオニクスの改良、ミッションコンピュータの性能向上、センサーの更新のうえ整備性の高い機体表面塗装を施すことだ。The War Zoneはまさしくこの可能性を2016年に予測していた。(以下同記事'Just Allow The F-22 To Be Exported To Japan Already'より)
「日本はF-22取得を切望していた。だがほぼ20年前に米議会が超高性能戦闘機輸出を相手を問わず禁止してしまった。このためF-22取得の夢は日本で消えたが、その後も希望は表明されている。
これに北朝鮮の脅威が加わり、新しい情勢を日本は深刻に受け止める中、既存戦闘機材の性能を改修中だ。
F-22の技術は試験段階をとうに過ぎている。事実、数十年前の代物になっている。輸出もおこなわれるF-35の方が多くの面で技術的にF-22を上回る。この点でF-22の輸出禁止はもはや保護主義の意味しかなくむしろF-35の生産数を増やす効果しかない。
だが400億ドル規模の次期超高性能戦闘機を日本が国内開発あるいは輸入の形で調達しようとしている。三菱重工のX-2技術実証機が飛行したばかりだが、ただ技術実証の域は越えなかった。報道一部にX-2を試作機と誤って伝えるものがあるが、同機が今後生産される保証はどこにもない。同機はYF-22というよりBird Of Preyの存在だ。
米空軍はついにラプター生産ライン再開の検討をはじめたが、実現の可能性はゼロに等しい。なぜなら実現すればF-35へ影響がでるためだ。またF-22が日本の求める400億ドル規模の戦闘機選定で唯一の候補であるとしても、ロッキード、米空軍、米議会が認めないだろう。一方で、日本はF-35導入を決めており、42機を発注中だ。
常軌を逸しているように聞こえるかもしれないが日本にF-22生産再開の費用負担させるのも一策で、USAFがラプター追加調達に踏み切れないのもコストが原因だ。ただし、現実は新型F-22に投じる予算はF-35生産を削ることで実現する。そうなるとUSAF関係者がF-22追加調達を希望する声を上げても政治的にはそのまま実現するとは考えにくい。
とにかくF-35を守ることが最優先なのだ。
では今後どうなるのか。大手米防衛産業企業が日本の鉄の三角形で守られた防衛産業基盤とF-22に酷似しながら完全なコピーではない機材を生産した場合、単純な生産ライン再開より費用が高くなるが、これならF-35の予算を脅かすことなく、USAFやペンタゴン全体としても安心できるはずだ。
似たような事例は前もあった。三菱とロッキードがF-16から準国産と言えるF-2を作り、100機ほどが日本に納入され、機体単価は100百万ドル超となり直接高性能版F-16を輸入した場合の三倍となり、性能面も決して高くない結果になった。
こう書くとおかしな話に聞こえないだろうか。今回はF-22生産を再開し、性能向上版に高性能かつ整備性の高いエイビオニクス他部品を搭載し、おそらく日本側負担で調達する可能性がある。USAFはJASDF発注に便乗し現在183機しかないF-22(このうち実戦仕様は125機のみ)を増やすことが可能となる。こんなにチャンスはめったになく今後二度と発生しない可能性が高い」
時を現在に進めると、F-35開発はもう戻れない段階まで来ており、トランプ大統領は同盟各国向け武器販売拡大を目指している。これを念頭に入れると、今回の提案が成立する確率が増えている。最大の疑問は日本にそれだけの財政負担の余裕があるのかで、特に同国にはほかにも重要な案件があることを考慮する必要がある。イージスアショア弾道ミサイル防衛やF-35Bのヘリコプター空母への搭載だ。
336百万ドルを投じた三菱X-2技術実証機は初飛行後、比較的短い間しか稼働しなかった。技術的な課題に直面したのは明らかで、海外企業との提携がないとステルス戦闘機の配備は困難と日本も学んだはずで、日本企業にも恩恵がある形での提携を模索するのではないか。
新たに判明したのはUSAFがF-22改修版の生産再開時のコスト試算作業を完了した事実だ。主な内容は以下の通り。
-194機の追加生産した場合の総予算は約500億ドル
-内訳に生産再開時の初期コストが70から100億ドル。機体調達コストが404億ドル
-機体単価は206-216百万ドル(F-22最終号機の単価は137百万ドルだった)
この規模ではUSAFもそのまま負担できないが、日本にはF-22性能向上版に近い機材をこれいかの金額で配備することは不可能だろう。ラプター生産再開を米軍のみの想定とする政治判断が撤廃されれば費用も下がりそうだ。
もし日本が自国開発機の代わりに改修型ラプター導入に踏み切れば日米両国に良い効果が生まれる。もし米国がF-22生産再開の一部費用負担ですめば、USAFはF-22機数をテコ入れでき、両国に望ましい結果が生まれそうだ。
ふたたびF-35支持勢力がこの動きを阻みそうだ。たとえF-35の将来が保証されても妨害してくるだろう。戦闘機予算が別の機体に投じられればそれだけ既存機種の予算が減ることになる。だがUSAFがラプター2.0を巨額の初期投入コストや開発費用の負担なしで調達できるとしたら願ってもない機会だ。日本が二百機ほどを購入し、米側も追加購入すれば機体単価も低下するだろう。
日本からすれば単価が下がり、技術移転が行われ、また一部部品の製造元となれれば恩恵は大きい。また機体の輸出が実現すれば効果を上乗せできるが、これにはF-35の海外販売への影響を恐れ米側が抑制するだろう。だがなんといっても既存かつ実証済み機材の導入は日本にとってリスク低下効果があり、米政府、米産業界が全面支援するとあれば恩恵が大きい。
日本が準国産機に高額な費用を喜んで負担するはずがないとは考えるべきでない。F-2は今日のF-35程度の機体単価になったあげく、搭載レーダーには問題が多い。日本はF-16後期型を購入しておけばF-2の三分の一程度で問題は最小限の機体を導入できたはずだ。
だがドナルド・トランプ大統領が安倍晋三首相と極めて親しい関係にあることも考慮すべきだ。日本に「最高性能」の機材調達を許しながら国防大手企業のポケットも潤せるなら大統領には望ましい提案に写るはずだ。日本向け防衛装備輸出ではトランプが安倍の求める装備を喜んで売るはずだ。

もしペンタゴンが賢明なら改修版F-22を日本と生産再開する案を歓迎するはずだし、日本政府が費用の大半を負担する覚悟がありながら、USAFがこの話に乗ってこないとしたら愚鈍といわれてもしかたがない。■

2016年7月7日木曜日

空軍長官はF-22生産再開に冷淡な姿勢




SecAF James Is Cool To F-22 Restart

By COLIN CLARK on July 06, 2016 at 4:01 AM

f-22raptor
PENTAGON: F-22生産再開は「費用が法外な規模」と空軍長官デボラ・リー・ジェイムズが発言した
  1. ジェイムズ長官はワシントン記念碑を見下ろすペンタゴンEリングの長官執務室で取材に応じ、空軍は空優勢2030構想を進め第六世代戦闘機あるいはシステム体系のシステムの概念を初めて定義づけようとしていると説明。F-22の設計が始まった1980年代後半と今では変化が明白でF-22が想定した脅威が今では「大きく変わっている」と述べ、同機は「傑作機」であり当初設定にない用途でも有益性を実証したと説明している。
  2. 前空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将が生産再開を公言したが、ジェイムズ長官が上げた再生産の功罪を引用していた。「突飛な発想ではないでしょう。F-22の性能と搭乗員の技量はずばぬけています。期待通りの成果を出している機体」とウェルシュは5月に発言していた。
  1. それ以降F-22ライン再開の議論が活発化している。ロッキード・マーティンはF-35共用打撃戦闘機を今後数十年にわたる主力製品と位置付けており、同社が議論に火をつけたのではないようだ。下院は国防予算認可法案に最低でも194機のF-22の生産再開をした場合の費用面検討結果を来年1月1日までに提出するよう空軍長官に求める文言をわざわざ加えたほどだ。
  2. だが生産再開となれば空軍は費用の数百億ドルを別事業から捻出せざるを得ず、現状でも予算管理法による強制削減措置への対処を迫られている。
  3. F-22生産再開を強く推してたランディー・フォーブス下院議員は下院軍事員会シーパワー兵力投射小委員会の委員長をまもなく退く。フォーブスはヴァージニア州で議席を守れず、スコット・テイラーという州議員、元海軍SEAL隊員という無名の新人に敗れている。

2016年6月2日木曜日

★★F-22生産再開はどうやら実現に向かいそう 日本も静観だけではすまなくなる?



本当にウェルシュ参謀総長はF-22生産再開が望ましい選択と信じているようです。気になるのは改良型開発-生産再開の前提として米議会は海外国の参画を考えている様子があることで、想定される同機の導入国がイスラエルとわが日本ですが、イスラエルはうまく逃げるでしょうから日本が相当の負担を迫られることが容易に想像できますね。そこまでしてF-22改がほしいとしたらF-35はどうなるのでしょう。これまでの投資が無駄にならないことを祈るばかりですが、考えれば考えるほど厄介な機体ですね、F-35は。

USAF warms to F-22 Raptor revival proposal


26 MAY, 2016
BY: JAMES DREW
WASHINGTON DC
予算制約のため新たに導入するロッキード・マーティンF-35より多くの旧型機を退役させざるを得ない米空軍だが、任期が残りわずかになった参謀総長マーク・ウェルシュ大将はF-22ラプター制空戦闘機改良版の生産再開は「突飛な案」ではないとする。
  1. ペンタゴンの最新の装備調達予算案によれば議会が求める作戦機材1,900機体制の実現に必要な予算が2021年度以降に不足する。
  2. 第一線戦闘機と飛行隊の規模は2022年から2026年にかけて「実質的に縮小」し、フェアチャイルド・リパブリックA-10「ウォートホグ」他長期にわたり稼働してきた機体が2031年に退役して最低規模になる。
  3. そこで対策が必要だが、5月26日に空軍協会主催のフォーラムでウェルシュ大将はこの点を問われ予算が課題だと認めた。ウェルシュ自身はF-16およびA-10を操縦した経験がある。グローバル展開できる超大国の地位を今後20年、30年、50年にわたりアメリカが堅持する決意があるのなら空軍に相応の予算配分を講じるべきと述べた。
Asset ImageUS Air Force
  1. 現時点でF-35A多用途戦闘機、ボーイングKC-46A空中給油機、ロッキードC-130J戦術輸送機が空軍の機材調達予算のほとんどを消費しているが、このうちライトニングIIの生産規模は2010年代通じ年間48機のまま推移し、2021年に60機に増える予定だ。空軍には第四世代機のロッキードF-16やボーイングF-15の追加調達予定はなく第六世代機開発も厳しい予算を考慮して減速させている。
  2. そこで解決策の一つがラプター生産の再開で、ロッキードがボーイング、ジェネラルダイナミクスと共同して生産したF-22はマリエッタ(ジョージア州)での生産を195機で2012年に終了している。エンジンにはプラット&ホイットニーF119を搭載した。
  3. 生産を終了させた当時の国防長官ロバート・ゲイツの決定を現在の空軍航空戦闘軍団司令官は「史上最大の過ち」と評している。ウェルシュは空軍長官デボラ・リー・ジェイムズとともにF-22生産ライン再開案は「負担不可能なコスト」になり、「ものの役に立たない」と決めつけてきた。だが空軍は論調を変えたようだ。
  4. 「突飛な発想ではない」とウェルシュは生産再開の功罪検討に加え正確なコスト見積もり作業をロッキードと共同で開始したと紹介し、「同機の性能は実証済みであり、今は新しく別用途に投入しています。そこでも素晴らしい成功を収めており、潜在可能性には大きなものがあります」と述べた。
Asset ImageUS Air Force
  1. 議会は2017年度国防政策法案で空軍にコスト構成と合わせて海外国による事業参画可能性の検討を2017年1月1日までに完了させる旨の追加条項を検討中だが、ウェルシュ大将はコストについて早々に答えが入手できると見ている。
  2. 「突飛な構想ではありません。皆さんも長官の発言はお聞きでしょうし、空軍も実施すれば費用が膨大になると主張していました。そこでもう一度出発点に戻り、詳細を見ることにしました」
  3. F-22は1980年代に構想され、F-15の後継機種として1997年に初飛行している。数々の技術的難題に悩まされ、コストは急上昇し、ペンタゴンの調達要求は当初の749機が、381機になり、最終的に187機になった。
  4. F-35共用打撃戦闘機含む案件の予算を優先するため同機事業は打ち切りとされた経緯があるが、F-35の初期作戦能力獲得は今年後半にやっと実現する見込みだ。
  5. ステルス各機が高額案件になり、ノースロップ・グラマンB-2やロッキードF-22、F-35が空軍予算に構造的な問題になったため戦闘機調達数が減ったのではとの5月24日の問いに国防総省で調達事業のトップ、フランク・ケンドール副長官は2011年度予算管理法および予算強制削減が原因であり、もっと上位の予算問題が発生していると答えている。
  6. 「予算状況の解決策を講じないと米軍事戦略の維持が非常に困難になります。F-35は購入価格に対して戦闘性能が一番高い機材で機数より性能が重要です。F-35を実際に運用している現場から聞いたのですが、第四世代機に対して圧倒的な性能を示しているそうです。同機より低価格だが性能も落ちる機材を導入しても問題解決になりません」
Asset ImageUS Air Force
  1. ロッキードのスカンクワークスはF-X事業を担当しているが、既存のF-22やF-35を性能改修して2030年代の航空優勢を確保する構想を提案している。
  2. 改良型F-22が望ましい選択であり第六世代戦闘機より価格でも有利とウェルシュは言いたいのだろう。
  3. 「第六世代戦闘機の代わりにF-22を改修し生産ラインを再開したほうが費用を抑えつつ機数をもっと確保できるのでは。すでにその方向で作業開始しています。20年先の世界で必要な仕事の実現手段は広く考えるべきです」■


2016年5月27日金曜日

★F-22生産再開に米空軍で初めて前向き発言したウェルシュ参謀総長に注目



もし本当にF-22を生産再開すれば、当然日本はイスラエルと並んで購入を期待されるでしょうが、参謀総長の言うように第六世代機(まだ概念も完成していません)の実現を差し置いて実現するのであれば考えてしまいますね。F-35が予算拠出元となればそれはそれでいいのですが、これは議会対策含め老獪なウェルシュ大将流のレトリックで次世代機の開発に向かった方が得策ですよと言っているのではないでしょうか。


Welsh: F-22 Restart for US Air Force Not 'A Wild Idea'


Lara Seligman, Defense News3:14 p.m. EDT May 26, 2016
635998586198304202-F-22-assembling1.jpg(Photo: John Rossino/US Air Force)
WASHINGTON — ロッキード・マーティンのF-22生産ライン再開をめぐり米空軍や産業界から非現実的との声がある中、退任近づく空軍参謀総長から突飛な思い付きではないとの声が26日木曜日に出てきた。
  1. マーク・ウェルシュ大将の発言は議会の申し出に空軍上層部がF-22生産再開は絵に描いた餅とけんもほろろな中で初めて空軍から出た前向きな反応となった。
  2. 議会はかねてから生産ラインを閉鎖した五年前のロッキード決断を批判してきた。しかしF-22生産再開が勢いをつけてきたのは今年に入ってからで、下院は本会議で議決済みで上院が可決すれば法案が晴れて成立し、空軍に正式に生産再開の検討を求めることになる。
  3. 議会の求めに応じて空軍はすでにF-22生産再開の場合を想定した検討は始めているとウェルシュ大将は述べた。再開の場合は第六世代戦闘機の代わりにF-22を生産するかもしれないという。ウェルシュ大将は空軍協会主催の会合で発言している。
  4. 空軍幹部は生産再開はけた違いの費用になると述べてきたが、ウェルシュ大将は「とんでもない案ではない」と述べた。
  5. 「突飛な発想ではないでしょう。F-22は成功した機材であり、性能と操縦する乗員の技量は突出しています。期待通りの仕事をしてくれることは実証ずみですよ。投入方法も変わってきましたが、素晴らしい効果を上げており、すごい性能を秘めています。そこで生産再開はとんでもないことではないでしょう」
  6. ウェルシュ大将は空軍がロッキード・マーティンと生産再開の場合の費用面の検討をしていることを認めた。
  1. ただし空軍は生産再開の費用検討を先に行っている。2010年に空軍から受託したシンクタンクRANDによる調査では75機で170億ドル(2008年ドル換算)との結論が出ていた。生産再開の場合、旧型をそのまま生産する代わりに新技術を導入すれば価格はもっと上がるだろう。
  2. これ以外にも障害になりそうなのがロッキードの事情だ。同社がF-22生産再開をそのまま実施できないのはF-35に全力投入しているためで、F-22が加われば共用打撃戦闘機の執行予算が減ることになるためだ。■


2016年4月25日月曜日

★F-22生産再開>本当に実施したらどうなるのか 専門家による検討結果



政治家の発想から始まった今回の案件ですが、どこまで真剣な議論なのかわかりません。とりあえず専門家の見地から実施できるのか、実施するとしたらどうなるのかを手短にまとめていますのでご参考に供します。ゲイツ長官がせっかく正しい結論を出していたのにここにきて戦闘機万能主義がまた出てきたのでは航空戦力の正常な進化が数十年後退しませんかね。とはいえ日本、イスラエルが生産に参加できる条件なら検討してみるのもいいかもしれません。
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Want More F-22s? Here’s What That Would Take

APRIL 22, 2016 BY MARCUS WEISGERBER

Lockheed Martin F-22 Raptors line up on a runway in 2006.LOCKHEED MARTIN

ラプター生産ラインは閉鎖から5年近くたっている


米議会がF-22ラプター戦闘機の生産再開の検討を空軍に求めているが、これは小切手を切って照明を再点灯するような簡単な話ではない。

2017年度国防予算認可法案の審議で下院軍事委員会から空軍に194機のラプターを新規製造した際の検討を求めている。実現すれば空軍が算定した必要機数381機に十分となる。同委員会の委員長マック・ソーンべリー議員(共、テキサス)他は世界は2009年から変化したと主張。ロバート・ゲイツ国防長官(当時)がF-22製造を187機で打ち切り、F-35共用打撃戦闘機に比重を移したのがその年だ。ステルスで超音速巡航飛行が可能なラプターは敵となる相手のない制空戦闘機としての地位を数十年は保持すると見られていたがこれは楽観的過ぎると判明した。
「ロシア、中国両国が予想を上回る高速の機体を開発しています」とジェイムズ・ホームズ中将(空軍参謀次長、立案要求部門担当)が上院軍事委員会の公聴会で3月8日に話している。
「増産が有効な回答になるのかわからないが、選挙区の住民会合で支持者からこの件が持ち出された」とソーンベリー議員は国防記者朝食会で述べている。「当時から議会ではあの決断には疑問があり、今回もペンタゴンがどう言うかが関心の的だ。答えは『つじつまが合わない』になるかもしれない。わからないがこの質問は出していく」

答えは想像がつく。言うは易し、だ

資金はどこから確保するのか

まず空軍は予算を見つけなければならない。現時点で予算はない。すでにF-35の調達機数を削り予算削減に対応しているくらいだ。さらに空中給油機、ステルス爆撃機、レーダー搭載機、捜索救難ヘリコプター、ジェット練習機、新型エアフォースワン、ICBM運航用のヘリコプター調達が決まっている。「F-22生産再開となれば他の機材が犠牲になる」と戦略国際研究所でペンタゴン予算を専門に見ているトッド・ハリソンは言う。

ロッキードがF-22最終組み立てラインを閉鎖する2年前、RAND研究所が75機を追加生産した場合の試算で170億ドルが必要とはじき出した。インフレを加味し、194機まで拡大した場合の最終費用は300億ドル近くになるだろう。

「数百億ドル規模で新型機を買うというが空軍は近代化改修が必要な機材が多数あり、正気を疑う話だ」(ハリソン)

一方でペンタゴン予算の上限が2021年まで設定されており、議会と次期大統領がこれを反故にするのなら他の予算費目を削って予算を確保する必要があるということだ。

生産再開の費用を海外販売で外国に負担させるのはどうか。日本、イスラエル、オーストラリアはそれぞれラプター導入の希望を表明していた。だがここには落とし穴がある。同機の海外販売は違法だ。その根拠となる法案を作成したデイヴ・オベイ下院議員(民、オハイオ)で2011年に引退している。だが今回検討を求めている議員連はオベイ修正法案が足かせになるとは見ておらず、空軍には海外需要の評価も同時に求めている。

機体装備の再設計をどうする

次の問題はチャンスになるかもしれない。新型ラプターに新型電子装備を装備することだ。原型の電子装備仕様は陳腐化している。何しろ初飛行が1997年で配備開始が2005年である。空軍は現存する183機のラプターに15億ドルでソフトウェア、ハードウェアの更新の真っ最中だ。

新型電子装備でF-22に新しい息吹を加え、耐用年数を延長することができる。生産を再開するとしても初号機の完成は5年以上先のことで、現時点の標準で作りこめば完成した時点ですでに数年前の技術となってしまう。これとは別に機体内部のハードウェア各部が旧式化しており、新型に切り替える必要もある。

そこでF-22Bの名称で高性能コンピュータ処理能力やレーダーをF-35から流用すればよいとの主張がある。

「F-35の優秀なミッション装備には優秀な機体が必要で、F-22は優れた機体だが優秀なミッション装備が必要だ」とTeal Groupのリチャード・アブラフィアは指摘する。双発のラプターはライトニングIIよりはるかに敏捷性ですぐれている。

F-22Bにはプラット&ホイットニーが開発中の新型B-21ステルス爆撃機用の極秘ジェットエンジンを搭載すれば一気に次世代エンジン技術が利用できるとアブラフィアは言う。

F-22内部の装備でアップグレードは必要だが、機体構造は十分実用に耐えるとアブラフィアは見る。

どこで生産するのか

次にどこで機体や数々の専用部品を製造するかが問題だ。F-22ではロッキード、ボーイング、プラット&ホイットニーの三社が主要契約企業だったが、同時に全米44州で1千社超の企業がF-22の各種部品製造に携わっていたと議会調査部がまとめている。ロッキードによれば全部で25千名相当の雇用が同機から生まれていた。

同機の組み立て場所だったところは別事業で使用中だ。ボーイングのシアトル工場はラプターの主翼部分や機体後部を製作していたが、今は民生用で稼働中だ。プラットもラプター向けにF119エンジンを生産していたが、現在はティンカー空軍基地(オクラホマ)で同エンジンの点検修理を行っているだけだ。

最終機体組み立ては空軍の第六工場内で行っていた。ジョージアのドビンス空軍予備基地内の施設だが、ロッキードは現在はそこでC-130Jを生産し、F-35共用打撃戦闘機の中央主翼部分を製造するほかC-5ギャラクシー貨物機のオーバーホールを行っている。

F-22最終号機が空軍へ納入されたのは2012年初めのことで、すべての治工具類、生産設備は梱包されシエラ陸軍保管施設(カリフォーニア)へ送られた。

仮に生産用のスペースが見つかり、治工具類を再度可動開始させても、F-22製造に必要な技術技能を新規作業員に体得させるのは並大抵ではない。ロッキードは生産終了前に可能な限りの知識情報を集めており、「F-22組み立て工程はそれぞれ録画、写真撮影、記録し保管してある」と同社は2012年に発表していた。

だがハリソンはそれは一部にすぎないとする。「映像は助けになるが、技能習得の効率はそれだけでは高くならない。結局、新規採用の各自が一から学ぶことになるのではないか」

すべてを勘案すると空軍が生産再開を提言する検討結果を出し、資金のめどがついて、設計に手を入れて、サプライチェーンが再建され、生産用のスペースを確保し、新規の作業者が訓練を受けて初めてラプター新型が実現するが、その完成は2020年より先のことだ。

「10年近く閉鎖したままの状態を再起動するわけですから」とハリソンは言う。

だが安全保障を真剣に考えれば、時間と労力をかける価値があると見る向きもあろう。F-22を巡りゲイツ長官と対立した当時の空軍参謀総長T・マイケル・モズレーは今でも空軍はもっと多くのラプターが必要だと信じている。「生産再開は絶対必要だ。これで空軍戦力は新しく向上できる」という。■


本稿の執筆者マーカス・ワイスガーバーは Defense One のビジネス記事編集者で、ビジネスと国家安全保障の接点が専門。国防、安全保障関連の記事を多数執筆しており、Defense Newsでペンタゴン特派員を務めたこともある。