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2021年6月24日木曜日

重要拠点グアムを中国、北朝鮮のミサイル攻撃からどう防衛すべきか、MDAが新たな体制を検討中。さらに高性能防衛体制としてMDAが考える優先事業とは。

 



THAAD Missile Battery. Missile Defense Agency Photo

 

国はグアム防衛のためハイブリッドシステムの導入を迫られそうだ。グアムの地形の複雑さとミサイル脅威の想定が多岐にわたる背景があるとミサイル防衛庁長官が述べた。

 

ジョン・ヒル海軍中将は山地が多いグアムの地形を「挑戦しがいがある」とし、弾道ミサイル、巡航ミサイル、極超音速ミサイルからの防衛に言及した。

 

6月22日ヒル中将は戦略国際研究所イベントで最終判断について「聞いて驚く人はいないだろう」と述べた。

 

ヒル中将は「イージスの地下展開あるいは移動展開」がグアム島で想定されるとし、「レーダーと兵装を分離する新しい技術」で飛来するミサイル撃破が可能だと述べた。

 

「イージスアショア(ルーマニアで稼働中、ポーランドで建設中)では不十分かもしれない」

 

イージスアショアではアーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦と同じレーダーと垂直発射管システム(VLS)を地上基地に配備する。ヒル中将はイージスシステムは中国やロシアの極超音速ミサイル対応にも改良済みと述べた。

 

ヒル中将はミサイル防衛庁のグアム防衛構想はペンタゴンが検討中とし、完了後に議会へ送付すると明らかにした。また、グアム防衛で中心となる軍の選択は未決定とも述べた。

 

陸軍は終末高高度広域防衛(THAAD)システムは2014年にグアムに展開し、北朝鮮の長距離弾道ミサイル試験に対応した。グアムには大規模な艦船修理施設、海兵隊・空軍の大規模プレゼンス、陸軍分遣隊がある。

 

グアムで最も効果が高い装備を検討し、北朝鮮や中国のミサイル攻撃からグアムで可能な限り広範囲な防衛を実現するのが目標だとヒル中将は述べた。

 

前インド太平洋軍長官フィル・デイヴィッドソン海軍大将はイージスアショアのグアム展開で現在投入中の駆逐艦三隻の任務を解くのが望ましいと3月に発言していた。

 

「人員、装備等の防衛体制の進化はグアムから始めるべきだ。高性能かつ高度に適応でき実証済み装備としてイージスがあり、グアムのような固定地点に配備すれば常時360度の統合防空ミサイル防衛能力を第二列島線で実現できる」(デイヴィッドソン)

 

USNI Newsの質問に対しヒル中将はディエゴガルシア(英領)にも将来的に統合アプローチが導入されるかもしれないとし、グアム同様に地形条件のため防衛が難しい場所と述べた。

 

ディエゴガルシアには海軍の大型支援施設とあわせ空軍基地があり、B-52運用に供している。

 

米本土のミサイル防衛でも同様に統合方式が可能かについて、ヒル中将は「グアムはごく小規模の事例」と答えた。北方軍司令グレン・ヴァンヘック空軍大将と同様にヒル中将も「センサー網の整備は今すぐ必要」と強調した。

 

ヒル中将は「互角の実力を有する敵国が戦略巡航ミサイル攻撃を実行する事態を覚悟する必要がある」と述べ、ロシア爆撃機に巡航ミサイルをロシア領内から発射し米国を攻撃する能力があるとのヴァンヘック大将の先週の証言内容に触れた。

 

ヒル中将は冒頭で戦闘司令官には探知、統制、交戦に資する「全ドメイン認識が必要だ」と述べ、敵が発射した脅威を識別する能力が必須とした。

 

将来を展望しヒル中将はMDAの予算要求89億ドルの8割を研究開発試験評価にあてると説明した。長官就任三年目のヒル中将は優先事項として極超音速弾道ミサイル追尾宇宙センサー(HBTSS)とスタンダードミサイル6があると述べた。

 

そのあとに控えるのが次世代迎撃ミサイルで、ヒル中将は滑空方式迎撃手段を三番目の優先事項に加え、満額予算の承認を議会に期待すると述べた。

 

現在の脅威は弾道ミサイル、巡航ミサイル、航空機、無人装備と多岐にわたる。抑止と防衛のため「脅威全体を俯瞰する必要があり、単純な時代は終わった」とヒル中将は述べた。■

 

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2021年5月2日日曜日

イージスアショアを新型多胴艦に搭載する案が浮上。海上自衛隊が既存設計から大きく舵を切るのか注目したい。イージスアショア設置を中止させた反対派はどう反応するのか。

 New Hibiki-class SURTASS Ocean Surveillance Ship Launched for JMSDF 2ひびき級三番艦あきの進水式でSWATH小水線面積双胴艦構造に注意。JMSDF picture

 

売新聞が2021年4月29日、防衛省がイージスシステム搭載艦設計の候補として多胴艦を検討中と伝えた。

 

2020年に中止となったイージスアショアを水上艦に搭載する構想が出ている。日本は同年12月に新たな艦艇建造を決定していたが、要求性能等は後日検討するとしていた。

 

海上自衛隊が4月9日公表したイージスシステム搭載艦に関する文書に多胴艦構想があり関心を集めた。同文書では「多胴艦設計の設計建造に関する知見」を要求しているが、これがあるのは三井E&Sのみで、海上自衛隊向けにひびき級音響測定艦を建造しており、艦艇建造事業は三菱重工業に移譲する。

 

読売新聞は多胴構造の利点として波の影響を受けにくいと解説し、「ミサイル発射に適している」とした。ただし、この説明には疑問が残る。確かに多胴構造船舶は波に強いが、ミサイル発射の好条件に直結しない。海上自衛隊の既存イージス艦はすべて単胴艦だがミサイル発射に支障があるという話はない。さらにイージスアショアにかわるイージス艦が展開されるのは日本近海で、波が高い公海ではない。となると多胴構造を検討する理由は甲板面積を広くとれることで大型構造物の搭載に適している。

 

防衛省のイージスアショア用のレーダー、垂直発射装置VLSは発注済みで支払いも完了している。製作は始まっており日本向けソフトウェアJ7.Bイージスウェポンシステムを搭載したSPY-7レーダーは今年2月に完成している。

 

日本国内報道ではSPY-7は陸上海上ともに対応可能jとある。ただし、大型で重量も大きいことため海上運用では搭載艦艇を海上自衛隊の既存イージス艦より大型化する必要があるという。この通りなら、多胴艦はイージス装備の要件を考慮したものだ。

 

ただし、多胴艦は建造費が単胴型より高くなり、途中で変更となる可能性も残る。■

 

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コメント ひびきは満排水量4千トン未満ですので、現行イージス艦以上の艦容としても2.5倍程度の拡大設計となるはずです。建造費は相当高くなりそうですが、他艦種への応用発展のための投資と考えれば合理的な決定になりますね。たとえばヘリコプター搭載大型高速輸送艦とか。皆さんはどう思いますか。しかし、イージスアショアを艦上運用すれば、いろいろ理由をこじつけてきた反対派も手も足もだせなくなりますね。


Japan's MoD New Aegis-Equipped Missile Defense Ships May Be Multihulls

Yoshihiro Inaba  01 May 2021


2020年11月3日火曜日

「大型艦」で地上イージスアショアを代替するのは安易な発想。あくまでもイージスアショアを設置すべきだ。

 


 

本国内報道で日本政府が「スーパー護衛艦」を二隻建造し、中止されたイージスアショア二か所の代替手段にする可能性を検討中という。地上施設は技術問題、費用さらに反対の声を受け中止となった。

 

新建造する艦艇は北朝鮮弾道ミサイルへの対応を主任務としロッキード・マーティンのAN/SPY-7長距離式識別レーダーを搭載する。もともとイージスアショア用に開発されたレーダーだ。

 

報道では11月半ばに防衛省に中間報告が寄せられ、政府は今年中に案を進めるか決定するとある。Nikkei Asia では実現は了承済みとある。


ミサイル防衛に関し日本は専用船あるいは沖合施設を使えないか検討してきた。「スーパー護衛艦」よりは安価だが、ともに空、水中からの攻撃に脆弱すぎる。これに対し新型艦は柔軟性が抜群ながらミサイル防衛以外の任務にも投入できる。

 

ただし日本側が完全な新型艦または既存設計の改良艦を想定しているのか不明だ。海上自衛隊がまや級イージス艦の追加建造に向かう可能性はある。まやに続く二号艦が2021年に編入される。まや級では新型イージス戦闘システムが導入され、先行するあたご級を改良した。このあたご級もこんごう級の発展型であり、これも元をたどれば米海軍のアーレイ・バーク級駆逐艦にたどり着く。

 

U.S. NAVY/SEAMAN SANTIAGO NAVARRO

海上自衛隊のはたかぜ級駆逐艦しまかぜ(DDG 172)(手前)、あたご級駆逐艦あしがら(DDG 178)、カナダ海軍フリゲート艦HMSCウィニペグ(FFH 338)の上空を通過する航空機編隊。キーンソード21演習の行われたフィリピン海にて。2020年10月。

 

 

共同通信は政府想定は基準排水量9千トン艦と伝える。まや級は8,200トンだが、これを拡大した改良型が生まれないとはいえない。まや級は4隻建造となり、後期建造の二隻がAN/SPY-7レーダー搭載の拡大型になる可能性が残る。

 

共同通信記事では新型艦を大型化する理由に居住空間の拡大があり、「北朝鮮弾道ミサイル警報の中で厳しい勤務環境」があるとする。米海軍もフライトIIIのアーレイ・バーク級で同様の方向をめざし排水量9,700トンとし、艦体を拡大する。

 

記事では新建造艦にAN/SPY-7レーダーを搭載し、イージスアショアと同じ性能にするとある。日本は同レーダーの導入を先に決定していた。ただし運用要員の居住空間など追加条件のため既存まや級の上部構造さらに艦体自体が変更となる可能性がある。

 

Nikkei Asiaでは追加二隻の建造費は令和3年度予算に計上するとあるが、AN/SPY-7の艦艇搭載で改良が発生する。ただしロッキード・マーティンは同型式レーダーをカナダ海軍の26型フリゲート(BAEシステムズ建造)、スペインのF110級フリゲートにも供給しており、ともに日本が想定する艦艇より小型であることに注意すべきだろう。

 



新型艦がどのような姿になるにせよ、SM-3MkIIA迎撃ミサイルを搭載する。同ミサイルは迎撃性能が拡大し、現在配備中のSM-3以上に多くの種類のミサイルに対応できる。

RAYTHEON


RAYTHEON

 

 

ただし疑問が残る。とくに人員面だ。イージスアショア導入の理由として海上自衛隊の人員不足で既存艦艇の運用にさえ支障をきたしていることがあった。大型艦2隻を配備すれば海自の人員面がさらに苦しくならないか。

 

実際に多任務「護衛艦」30DXあるいはFFMと呼称する新型艦は人員不足のため排水量3,900トンとフリゲート艦より若干大きい程度となる。イージス艦より安価で乗員はほぼ三分の一で多任務をこなすものの弾道ミサイル防衛は想定していない。

 

そこで新型イージス駆逐艦建造が承認されれば、北朝鮮の脅威のみならず東シナ海他で展開する相手側の兵力投射にも十分対応できるはずだ。日本の次年度防衛予算要求が記録的規模の550億ドル近くとなるのは北朝鮮並びに中国の脅威に直面する日本で自衛隊の役割が重要になっているあかしでもある。

 

新型艦の艦容がどうなるにせよ、海自艦隊が増勢に向かっている野は明らかだ。予算の伸びを受け防衛省は駆逐艦隻数を54に増やそうとしている。現状は50隻を下回る。ただし、費用が大きな難関で、内22隻を安価なFFMで構成する構想とし、まや級のようなフル装備艦ばかりにはできない事情がある。■

 

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Japan Considers Building Two Super-Sized Destroyers As An Alternative To Aegis Ashore

THE DRIVE

BYTHOMAS NEWDICKNOVEMBER 2, 2020


2018年7月3日火曜日

日本がイージスアショア用高性能レーダー導入を決める

すみません当方は新聞を読まないので以下の記事はすでに報道ずみかもしれません。一つ言えることは今後中国が裏からイージスアショア反対運動を操ることで「住民運動」はじめ国会論戦でも野党議員の動きに要注意ですね。

Exclusive: Japan to buy advanced U.S. radar for missile defense system特報:日本が米製高性能レーダーをミサイル防衛用に購


TOKYO (Reuters) - 日本が来週にも(注 原記事は6月29日初出)米製高性能レーダー導入を決めミサイル防衛体制の実効力を高めつつ、米国との貿易摩擦を緩和しつつ北朝鮮や中国に対する備えを固めることが判明した。
日本政府関係者はイージスアショアについて「巨額の導入案件となりトランプ大統領によい贈り物になる」と述べている。
日本は早ければイージスアショア施設二か所向けにレーダー導入を決めるはずで2023年の稼働を目指す。この購入が8月に予定される次年度予算要求に入るとロイターは三か所の取材源から理解している。
選択候補としてレイセオンのSPY-6、ロッキード・マーティンの長距離判別レーダー(LRDR)があると消息筋が説明している。そもそも日本がイージスアショア導入を決めた時点でSPY-6を想定していたが、米側が同レーダー供与に難色を示している。
日本の予算要求はシンガポールで6月12日開かれた米朝首脳会談後に緊張が緩和する中で進められる。
日本側防衛当局は依然として北朝鮮を差し迫った危機と見ているが、中国の軍事力増強の方が長期的には深刻な脅威ととらえている。
人民解放軍ロケット軍は日本まで到達可能な弾道ミサイル数百発を管理下に置き、日本のミサイル防衛体制は世界有数の規模に整備されている。
日本側防衛関係者の試算はイージスアショアの二個施設導入を20億ドルとしている。さらにSPY-6あるいはLRDRまで含めれば総費用は軽く二倍に増えるとの見方がある。高性能レーダーは既存イージスシステムより数倍遠くの探知能力がある。
性能向上は当然のことながら高い出費を伴うが、トランプ大統領が望む米製軍事装備輸出拡大に沿うものだ。
トランプ大統領は昨年11月の訪日をきっかけに日本へ圧力を加え鉄鋼製品への関税引き上げ、自動車輸入への課徴金適用はじめ二国間貿易交渉を進めたいとしている。
6月の共同記者会見でトランプ大統領は安倍首相が「数百億ドル相当の追加製品購入」を約束したと発表した。
安倍首相は9月の国連総会で再度トランプ大統領と会見すると見られると日本政府関係者は説明したが、会談内容の推定は拒んだ。

レイセオンかロッキードか

レイセオンは三菱重工と共同でイージスアショア用のSM-3ブロックIIAミサイルを開発している。ロッキード・マーティンが主契約社だ。

SPY-6レーダーは米海軍のイージス装備艦艇向けに開発されており、LRDRは米国の地上配備中間過程防衛ミサイル迎撃システムと2020年までに統合される見込みだ。
ともに高性能レーダーであり日本は長距離迎撃ミサイルと併用して将来の中国ミサイルの脅威にも十分対応できるはずだ。
日本は5万名近くの米軍関係者を駐留させており、米海兵隊・海軍では世界最大の海外配備場所となっているが、北朝鮮が核兵器及び弾道ミサイルを永久に廃棄する明確な証拠が出るまでは現在の姿勢を崩さないとしている。
「イージスアショアは日本に必要であり導入を進めていく」と日本政府筋は述べている。
Reporting by Tim Kelly and Nobuhiro Kubo; additional reporting by Linda Sieg; Editing by Gerry Doyle

2018年2月1日木曜日

速報 SM-3ブロックIIA迎撃実験に失敗 



失敗をあざ笑うような報道が出かねませんが、実験は実験です。ただ、SM-3ミサイルが日米共同開発であること、発射したのがイージスアショアであることなど背景をちゃんと報道しているのでしょうか。素人には難しすぎると判断しているとすれば嘆かわしいことです。


Breaking News

Another US Navy ballistic missile intercept reportedly fails in Hawaii

米海軍弾道ミサイル迎撃実験に再び失敗、ハワイで


 By: David B. Larter    


WASHINGTON — ハワイのイージスアショア施設から発射したSM-3ブロックIIAは弾道ミサイル迎撃に失敗したとCNNが報道した。
 事実ならレイセオン製ミサイルで二回目の失敗となる。北朝鮮が核ミサイルでの米本土攻撃能力を着々と整備する中、対応が停滞する。
 ミサイル防衛庁広報官マーク・ライトはコメントを拒んでいる。
 「ミサイル防衛庁及び米海軍がイージスアショアミサイル防衛テスト施設(AAMDTC)から実弾発射テストをスタンダード-ミサイル(SM-3ブロックIIAをハワイ・カウアイの太平洋ミサイル発射施設から31日午前に行った」とだけライトは述べた。
 実験失敗を最初に伝えたのはCNNだった。北朝鮮情勢を考慮して詳しく口外しないよう当局が決めたという。
Officials: US missile defense test failed in Hawaii early Weds. Pentagon not publicly acknowledging key ballistic missile defense test failure & officials tell @barbarastarrcnn there is a decision to not talk about it, in part because of sensitivities surrounding North Korea.
 失敗の原因についてはミサイル本体以外の要素があることに注意すべきだ。標的捕捉・管制用レーダーもあり、海軍のイージスシステムも失敗の原因だった可能性もある。
 SM-3ブロックIIAは6月にも失敗しており、この時は駆逐艦ジョン・ポール・ジョーンズ乗員が間違ってミサイルの自爆スイッチを入れてしまった。

 昨年2月の試射ではミサイルは弾道ミサイル標的捕捉に成功している。ミサイルは日米共同開発でレイセオンが製造し北朝鮮等のミサイル脅威の高まりに対応するものだ。■

2017年7月4日火曜日

北朝鮮がICBM発射成功と発表、SM-3で日本は守れるのか


 

北朝鮮がICBMを完成させたといっていますが、今の段階ではアラスカに辛うじて飛ぶ程度でしょう。それでも米ミサイル防衛体制がいよいよ本土防衛を重視する方向に切り替えを迫られかねず、日本のミサイル防衛体制が一層注目されそうですね。


Can America's SM-3 Missile Protect Japan from North Korea? SM-3ミサイルで北朝鮮脅威から日本を守れるか


July 3, 2017

  1. 日本の自衛隊は通常の軍隊ではない。第二次大戦後の憲法で海外で戦闘行為を禁じているためだ。とはいえ日本が北朝鮮から脅かされるのは国内に米軍基地を抱えるためだが、そもそもは1998年にテポドン-1ミサイルが日本領空を横切り飛翔したことが出発点だ。
  2. その後も北朝鮮はミサイルテストを繰り返し、本日も行った。北朝鮮は米西海岸を直撃できる大陸間弾道弾の完成に向け作業中だが、すでに日本は北朝鮮の中距離弾道ミサイル(IRBM)の射程に入っている。発射後10分で日本本土を直撃するはずだ。
  3. 日本は独自の対抗策で北朝鮮ミサイルに対応している。PAC-3ペイトリオットミサイル地対空ミサイル部隊6個を展開し、駆逐艦4隻に長距離SM-3ミサイルを搭載している。ただしいずれも高速で高高度飛翔するIRBMに有効対応できるか未実証だ。マッハ4で飛ぶPAC-3の有効射程はわずか30キロで局地防衛手段でしかない。
  4. そこでSM-3の新型超長距離型を三菱重工レイセオンが共同開発中であり、IRBM発射後の加速段階や中間飛翔段階で迎撃を狙う。ただし残念ながら同ミサイルは迎撃テスト二回目で失敗し、弾道ミサイル防衛体制が未完成だと露呈している。それでも日本は陸上運用でSM-3を導入しミサイル艦を補おうとしている。
  5. スタンダードミサイル3は別名RIM-161で米海軍の駆逐艦巡洋艦でミサイル防衛ミッションの手段となっている。各艦は洋上の機動発射台となりイージス戦闘システム、各種ミサイルに対応する垂直発射管を搭載する。さらに弾道ミサイルに精密機能が加わり対艦兵器になる可能性が出てきたおり艦船防御用にも弾道ミサイル迎撃装備が使われそうだ。
  6. 三段式固体燃料ロケットで飛翔するSM-3を誘導するのはSPY-1レーダーでGPSと衛星航法からも支援を受ける。標的に近づくと軽量大気圏外発射体により運動エネルギーだけで飛来するミサイルを破壊し、爆発物は使わない。実弾発射テストでは70パーセントから80パーセントの成功率で中距離弾道ミサイルから分離した再突入部分にも対応している。なお衛星攻撃も可能。
  7. 日本はこんごう級駆逐艦4隻にイージス戦闘システムとSM-3ブロックIミサイルを搭載し、あたご級二隻のベイスライン9改修が完成すれば弾道ミサイル迎撃能力も備わる。ブロックIミサイルは最高速度マッハ10で有効射程380マイル(約610キロ)。
  8. 残念ながら6隻では日本本土を守りきれない。またブロックI迎撃体でミサイル弾頭部を確実に破壊する十分な運動エネルギーが確保できるか疑問視する声もある。
  9. 1999年に日米両国は大型長距離飛翔可能な新型SM-3の共同開発に合意した。2012年までにペンタゴンは15億㌦をつぎ込み、日本もほぼ同額を支出している。その結果生まれたSM-3ブロックIIAは以前の型とは第一段だけが同じだが米海軍マーク41垂直発射管システムに辛うじて入るほどの大きさになっている。
  10. ブロックIIAの最大射程は1,350マイル(約2,100キロ)、最大速度はマッハ15超となる。迎撃体が大型化し高度制御が可能となる。迎撃体に積む赤外線センサーが二色対応の高性能版となり、迎撃対象の目標やおとり、デブリを判別できる。
  11. 2017年2月3日にブロックIIAミサイルがUSSジョン・ポール・ジョーンズから発射され宇宙空間で弾道ミサイル迎撃に成功している。
  12. 残念ながら6月22日の第二回テストは失敗し、原因を調査中だ。
  13. 二回中一回失敗したからブロックIIAが役に立たないわけではない。だがミサイル迎撃がいかにむずかしいかあらためて教えてくれた格好だ。長射程性能を誇る地上配備中間段階迎撃防衛システムがアラスカ、カリフォーニアに配備されているが、試射でも不良率40パーセントになっており、原因は配線問題だという。また高価なミサイルのため試射多数を行えないのも事実だ。ブロックIIミサイルは単価20百万ドルを超えるといわれる。またテスト条件を実際の戦闘状況より都合よく設定していることは忘れてならない。システムが肝心な場面で作動しないとなれば懸念材料となるのは必至だ。
  14. それでもブロックIIのSM-3は短距離用のTHAADやペイトリオットPAC-3に比べれば射程、対応可能の双方で柔軟性がはるかにすぐれているが、ブロックIの試射実績と同様の成績の実証が条件だ。想定外だがSM-3で北米をねらうICBM迎撃にも使えそうだ。米本土の沖合にイージス艦を配備すれば迎撃態勢を強化できる。ブロックIIAミサイルは2018年にも配備が始まる予定でそれまでにテストで成功実績を増やす必要がある。
  15. ミサイル脅威の前に日本は防衛体制強化の検討中だ。今後就役する新型駆逐艦二隻にSM-3がミサイル防衛用に搭載される。日本も当初はTHAAD導入に向かう予測があった。短距離(120マイル程度といわれる)対応のTHAADはミサイルが地表に向かって飛翔する最終段階で対応を想定し、SM-3とPAC-3を補完する「第三陣」になると期待された。
  16. ただし北朝鮮が5月14日に発射したIRBM火星Hwasong12を受け稲田朋美防衛相は地上配備SM-3いわゆるイージスアショア取得に傾いていると明らかにした。イージス地上施設はSM-3発射に加えSPY-1Dレーダーで艦船とネットワークを形成し相互補完できる。米軍はイージスアショアをポーランドに導入中で、ブロックIIA迎撃ミサイル24発を展開する。ジャパンタイムズによればイージス陸上施設が二か所あれば日本全土をカバーでき、各712百万ドル(約8億円)とTHAADより大幅に安上がりとなる。
  17. 先週の報道では朝鮮半島の緊張が高まる中で日本政府はイージスアショアの早期導入を準備中だ。日本が地上、海上双方に迎撃ミサイルを多数配備すれば、米海軍でさえSM-3ブロックIミサイルを全イージス艦に一度に配備できない中、一発で命中保証ができなくてもミサイル多数を発射すれば迎撃が確実になる。弾道ミサイル防衛がどこまで信頼できるか不明というのは気が休まらない状況だが原因を探す必要がなければもっと良い。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
Image: Wikimedia Commons

2017年5月14日日曜日

★★北朝鮮対策で日本に必要な装備品はこれだ



今朝もミサイル発射がありましたが、北朝鮮との「冷戦」は長引きそうで、その間に以下推奨されている装備も順次導入されそうです。そこまで抑止力を整備されて困るのは中国なので、北京も北朝鮮による事態の進展を快く思わないのは当然でしょう。

The National Interest

5 Weapons Japan Desperately Needs to Fight North Korea 

日本が北朝鮮に対抗するためどうしても必要な装備品5種類


May 13, 2017


平和主義を目指し、国家政策実現の手段としての戦争を放棄した日本にとって北朝鮮は全く異質の国だ。不幸にも両国は336マイルの海で隔てられているだけだ。北朝鮮は旧宗主国を攻撃すると何度も脅かしている。核兵器、弾道ミサイル両面で技術開発を躊躇せず進める北朝鮮の脅威は今や日本にとって現実のもので、核攻撃を再び受ける可能性が出てきた。

韓国情報機関によれば北はノドン中距離弾道ミサイルへの核弾頭装着を実用化済みで、日本も射程に入る。日本にはイージス戦闘システムとペイトリオット迎撃ミサイルという二重の弾道ミサイル防衛体制があるものの、三番目の防衛策を追加する必要を感じているようだ。北朝鮮ミサイル脅威に対抗する日本に必要な装備品は以下の5種類だ。

1. イージスアショア
イージス戦闘システムの陸上版で、日本にはイージス搭載駆逐艦が4隻しかなく陸上に恒久施設を置き毎日24時間稼働させれば駆逐艦を本来任務に解放できる。また陸上装備を整備するほうが駆逐艦建造より安上がりだ。
イージスアショアのなかでもベイスライン9版でSM-3ブロックIB迎撃ミサイルを運用すれば北朝鮮の短距離、中距離ミサイルに有効だ。また中国によるミサイル大量発射の事態にも対応可能だ。

2. グローバルホーク
日本はすでにRQ-4無人機を3機導入する予定で北朝鮮を意識しているのは間違いない。だがこれでは不十分だ。有事の際には北朝鮮ロケット軍は探知を逃れるため各地に分散するだろう。ミサイルの移動先は予測可能で北朝鮮には舗装道路は500マイルしかないが、新型の北極星2中距離弾道ミサイルは軌道付き搬送車でオフロード走行も可能だ。そうなると北朝鮮国内各所で移動式ミサイルを探る必要が増える。
北朝鮮ミサイルへの対抗策としてグローバルホークを同時に複数投入する必要がある。RQ-4の追加購入があれば航空自衛隊は同時並行で探知追跡と攻撃効果の評価を北朝鮮各地で展開できる。追加調達分は予備機材にもなり他地区での緊急事態にも対応可能とする。

3. KC-46ペガサス空中給油機
日本にはKC-767J空中給油機が4機あるが弾道ミサイル対抗作戦の長期間支援用にはあまりにも数が少なすぎる。KC-46A給油機の調達決定を2015年にしたが、有事には日本海上空の戦闘哨戒で本土からなるべく遠い地点で敵機を迎撃する必要があるのだ。
さらにF-35A共用打撃戦闘機で防空網制圧ならびに攻撃ミッションを北朝鮮で展開する際に給油機支援は必須だ。常時カバーするためKC-46Aが十数機は必要だろう。

4. MQ-9リーパー無人機
ISR機材で北朝鮮の移動式ミサイル発射装置が探知できれば、日本は迅速に破壊に出る必要がある。ミサイル対抗作戦では迅速性が肝要となれば、北朝鮮防空体制を制圧する前に実施となり、攻撃ミッションのリスクは高い。そこでMQ-9リーパー中距離長時間飛行可能無人機にミッションを実施させればよい。燃料と弾薬を搭載して日本国内から出撃し、北朝鮮上空を長時間パトロールできる。
リーパー長距離型では主翼に燃料タンクを追加し、日本海を横断させ北朝鮮全土を「キルボックス」区画で分け一機以上を割り当てる。ヘルファイヤーミサイル、GBU-12爆弾(500ポンド)、GBU-38共用直接攻撃弾を搭載すればリーパーは迅速かつ正確に北朝鮮ミサイル車両を破壊できる。

5. トマホーク巡航ミサイル
北朝鮮を先制攻撃する決断に日本が動けば「ドアを蹴破る」装備が必要となる。つまり、防空レーダー、地対空ミサイル陣地、発射準備中ミサイルの攻撃だ。低空飛行で侵入するトマホークミサイルは北朝鮮の旧式防空網を突破し、1,000ポンド高性能爆破物弾頭で目標を破壊できる。日本のF-35A部隊がその後で攻撃に駆け付け北朝鮮のレーダー防空体制をさらに弱体化するシナリオだ。

日本は最小限の防衛能力に限定してきたことを誇りにしてきた。日本の防衛予算はGDP1%相当でNATO加盟国に求められる比率の半分だ。また日本は攻撃兵器の調達を避け、純然たる防衛姿勢につとめてきた。だが北朝鮮が核攻撃の脅しをかけているためこれまでの政策が方向転換を迫られるかもしれない。
Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009, he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.