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2025年7月4日金曜日

防衛イノベーション・エコシステム構築を推進する日本はこれまでの遅れを取り戻せるだろうか、DESI展示会でトレンドを探った(National Defense Magazine)—鍵は民間の技術力にあります。民間=政府間の正しい連携が必要です

 


野武は問題を抱えていた。大野がシニアディレクター兼大阪支店長として代表するオフィル・ジャパン株式会社は、イスラエル製の高性能レンズの契約を獲得しようとしている。このレンズは世界中のドローンや監視カメラに採用されている。

 「当社はレンズを製造するだけです」と、大野はDSEIジャパン展示会での同社ブースでのインタビューで述べた。「カメラは製造しておらず、日本でそれらを統合するカメラを製造している企業はありません」。

 「ちょっとまってください。日本はミノルタ、キャノン、ニコンの故郷ではないではないのですか?」と記者が尋ねると、「軍事用カメラのことです」と大野は説明した。世界的に有名な日本のカメラメーカーは一社も防衛市場に参入していない。

 大野の問題は、日本が防衛産業基盤の整備で直面する課題を象徴している。5年間にわたる軍事支出の拡大から3年が経過し、日本は防衛産業のエコシステムを拡大しようとしているが、長年の平和主義政策のため、他国に後れを取っている状況だ。

 主張が強い中国と攻撃的な北朝鮮が日本に戦後の平和主義政策を捨てさせ、自国の防衛に責任を負うよう迫っている原因だ。

 「インド太平洋の安全保障環境は大きな変化に直面しています」と、石破茂首相は会議で述べました。「状況はより複雑かつ多様化しており、同盟国や志を同じくする国々との連携・協力、そして防衛協力の強化がますます重要になっています」。

 日本の防衛予算は、国防費を GDP の 2% に引き上げる 5 カ年計画の 3年目となる 2025年度には、過去最高の 551 億米ドルに急増した。

 経済産業省航空宇宙・防衛産業課の呉村益生課長は、「私たちの目標は、この産業を支援することです」と述べている。

 日本は2022年に、防衛強化の目標を定める3つの主要文書——国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画——を発表した。

 「スタートアップ企業と協力して防衛エコシステムをどう構築するかは、省にとって重要な課題であり、戦略の主要な柱の一つだ」と、呉村は展示会でのパネル討論会で通訳を通じ述べた。

 ドローン群の運用や対抗措置、衛星通信、外傷治療用人工血液、高周波半導体開発など、民間と軍事の両分野で活用可能な技術が挙げられた。

 文書で示された他の軍事優先事項には、統合航空・ミサイル防衛、ヒューマンマシンインターフェース、量子科学、先端材料、エネルギー生成・貯蔵、信頼性の高い人工知能と自律性が含まれる。

 「非伝統的な防衛産業のプレイヤーを装備開発にどう参画させるか」と呉村は課題を提起した。

 この問題解決を支援するため、日本は米国防総省の防衛イノベーションユニットと類似した新たな技術インキュベーターを設立した。

 防衛イノベーション科学技術研究所は昨年10月より業務を開始しており、所長の片山泰介によると、「研究開発の従来の考え方から脱却する」方法を模索中だ。片山は展示会でのパネル討論会で、これには文化変革が必要だと述べた。

 防衛省が防衛装備庁傘下に同研究所を設立した。片山は、研究所は東京の恵比寿地区に拠点を置き、他の有名な防衛省の技術機関の近くにあると説明した。同研究所は、より有名な研究開発施設に近いものの、同じ方法で業務を行うことはできないと片山は述べた。

 「既存の研究開発技術と差別化するため、他の研究機関が注目していない分野に焦点を当てる必要があります」と、通訳を通じて述べた。

 同研究所は資金が限られているため、ハードウェアではなくソフトウェアに焦点を当てる。彼は求めているものを「安価で速く、美味しい」大きなご飯の碗に例えた。

 目標は、初期契約から完全な開発までを3年で実現する破壊的技術の開発です。「それは、鋭い目にかかっている」と付け加えた。

 片山は防衛契約の遅々とした性質を批判した。プロセスがあまりにも遅いため、契約締結前に機会が消えてしまう。現在まだ議論や会議の段階だが、片山は研究所が企業と契約を結ぶための完全で新しく迅速な方法を確立する必要があると述べた。

 「新しい仕組みを導入して文化を変えなければならない」。

 一つのアイデアは、現在日本の軍事市場にほとんど関与していないベンチャーキャピタリストの世界を活用することだと彼は述べた。

 日本の防衛産業基盤への関心が高まっている兆候の一つは、2019年から開催されているDSEI Japan展示会そのものだ。この見本市は、3回の開催で指数関数的に成長している。

 初回には、主に外国の防衛企業、数社の大手日本企業、少数のスタートアップ企業が参加した。

 2023年には86社の日本企業が参加した。2025年には169社の日本企業が展示を行った。展示スペースは26,500平方メートルに倍増し、大規模な幕張メッセコンベンションセンターの第2展示ホールも使用された。 主催者Clarion Defense and Securityによると、来場者は約14,000人で、2023年の約8,432人から増加した。

 展示会には、革新的な製品で契約獲得を目指す日本のスタートアップ企業もあった。

 注目すべき技術を持つスタートアップの一つが、名古屋のエアカムイ株式会社だった。同社は日本の折り紙芸術をヒントにした段ボール製の無人航空機(ドローン)を展示した。同社CEOの山口拓海は、ドローンの本体は平らに折りたたんで運搬でき、5分で組み立て可能だと説明しました。軽量なだけでなく、同社が提供する2つのモデルは同サイズのドローンに比べて90%安価で、使い捨て可能だと付け加えた。

 天候に耐える段ボール素材により、長時間飛行が可能で、低価格を実現していると説明したが、3年間事業を展開しているものの、軍事契約はまだ獲得できていないと山口CEOは述べた。

 隣のブースには、北海道を拠点とする株式会社岩谷技研Iwaya Inc.が、高高度気球の乗客体験サービスを提供していた。同社の気球とカプセルの独自技術により、他の気球よりも早く82,000フィートの高度に達し、同じ速度で地球に戻れると、同社常務取締役兼執行役員の山本和樹は説明してくれた。

 乗客の代わりにセンサーをカプセルに装着する二用途化が考えられると、山本は述べ、同社は日本の防衛省から1件の契約を獲得したが、同社が想定していた用途ではない。山本は、自衛隊が同社の気球を標的練習に利用したいと考えていると述べた。

 同展示会に2度目の出展を果たしたのは、京都に本社を置くミツフジ株式会社だ。京都は日本の文化首都であり、元着物メーカーの同社は、特殊な電磁波遮断生地を使用した製品を製造している。この生地は、エネルギーパルスで電子機器が破壊されるのを防ぐか、サイバー攻撃による探知を阻止するテントに加工可能だと、同社の蒲生広報責任者は2023年に本誌に語っていた。

 同社の糸は銀コーティングされており、電磁波を遮断する効果があり、20年の研究開発の成果だと蒲生は説明した。

 2年たち、経済産業省の呉村がパネル討論会で同社を革新的なスタートアップとして紹介したにもかかわらず、ミツフジは軍事関連契約を獲得できていない。呉村は自衛隊に仲介したが、契約については言及しなかった。■


Japan Gaining Traction, Developing Its Defense Innovation Ecosystem

7/3/2025

By Stew Magnuson

https://www.nationaldefensemagazine.org/articles/2025/7/3/japan-gaining-traction-developing-its-defense-innovation-ecosystem


2024年10月31日木曜日

輸出ガイドライン改定で防衛分野における国際競争力の強化をめざす日本(National Defense Magazine)―真剣に防衛産業の海外拡販を狙うなら民間主導の形にすべきではないか。政府は一歩下がり支援すべきだ。

 

Artist rendering of Global Air Combat jet fighter

BAE Systems image




2022年12月、日本は国内防衛産業の強化に焦点を当てた防衛戦略を採択した。それから2年後、輸出ガイドラインの改定は、国内市場を超えて世界規模で競争する試みの一環だと政府関係者は語った。 

 防衛装備庁の装備政策部国際装備課の洲桃紗矢子課長は、日本の将来の安全保障と防衛政策は「地域と国際社会の平和と安定と直結している」と述べた。政府は志を同じくする国々と「長期的で深い」関係を育むことに注力しており、防衛装備品の移転はインド太平洋地域の平和と安定のために必要なことであると、2024年日本国際航空宇宙展の会期中に同課長は述べた。 

 防衛産業を国内的・世界的に強化するための最近の取り組みのひとつに、防衛装備品の移転に関するガイドライン3点の改定がある。「防衛装備品・技術の移転に関する三原則」と呼ばれる同ガイドラインは、防衛装備品の海外移転が禁止される場合の明確化、移転が許可される場合の限定、厳格な審査と情報公開、目的外使用や第三者への移転に関する適切な管理の確保、としている。 

 防衛戦略とともに2022年に施行された「国家安全保障戦略」を受けての改正である。 

 大きな要因として、第6世代ステルス戦闘機を開発するために日本、イギリス、イタリアが共同で取り組んでいる「グローバル・エア・コンバット・プログラム(GCAP)」への参加がある。 

 「GCAPの完成品を直接移転する必要性についての前提が変化したため、政府はGCAPに関連する移転に関する方針を閣議決定し、実施要領を改正した」と、洲桃課長が提示したスライドには書かれていた。   2024年3月、GCAPについて「我が国の安全保障環境に適応した戦闘機を実現するため、我が国から相手国以外の第三国への完成品の直接移転を可能とする実施要領の改正が行われた」とスライドに書かれていた。 

 GCAPをパートナー国以外の顧客に移転する時期が来れば、個々のケースについて閣議決定がなされる、と同課長は述べた。 

 戦闘機の輸出解禁は、第二次世界大戦後、歴史的に武器輸出を控えてきた日本の国家安全保障政策の大きな転換を意味する。 

 洲桃課長は、ガイドラインのその他の主な変更点を要約し、米国以外の国へのライセンス製品の移転の可能性と修理提供能力、そして部品の移転の可能性を強調した。「部品だけでなく、完成品も同様です」と言い、完成品がその機能を果たさなくても、その部品はまだ役に立つと付け加えた。 

 一方、経済産業省の製造産業局航空機武器産業課の呉村益夫課長は、強い防衛産業とは国際競争力を持つことでもあると言う。今、日本の防衛産業はそうではない。呉村・洲桃両課長は、日本の防衛産業をさらに強化するために、デュアルユース技術の重要性、サプライチェーンの強化、新興企業への支援などについて語った。 

 呉村課長は、米国防総省は調達と産業の両方に関する政策を持っているのに対し、日本の防衛省は調達に関する政策しか持っておらず、産業戦略が必要だと指摘した。 

 日本がグローバル市場で競争力を持つにはどうしたらいいか、自国の強みを生かし、他国の強みと協力しながら防衛産業を強化するにはどうしたらいいかを考える必要がある。 

 洲桃課長は、日本の防衛基本政策で3本柱のひとつに、志を同じくする国々との連携強化があるが、本独自の国防アーキテクチャーの強化が第一であると指摘した。 

 呉村課長は「最も重要なことは、日本にとって望ましい環境を作ることです」と語った。「言い換えれば、安全保障の確保です」。■


Japan Looks to Compete for Global Defense Work with Revised Export Guidelines


10/18/2024

By Laura Heckmann

https://www.nationaldefensemagazine.org/articles/2024/10/18/just-in-japan-hopes-to-compete-for-global-defense-work-with-revised-export-guidelines


2024年6月13日木曜日

日本が縮小の一途だった防衛産業の立て直しへ動いているものの、防衛産業参入で企業イメージの悪化を恐れる空気がこの国にある

 


防衛産業に関与すると企業の評判に悪影響が生まれる、という日本の感じ方は海外には理解できないかもしれません。「死の商人」はすでに廃れたことばですが、防衛=人殺しと短絡的に捉える向きにはすべてがネガティブに捉えられるのでしょう。一国の防衛に国民の意識、思考が大きな要素となっています


スティムソン・センターの日本プログラム・ディレクター辰巳由紀は、「日本の防衛産業は2次、3次サプライヤーの空洞化で大きな打撃を受けている」と語った

働力の高齢化、サプライチェーンの不振、防衛産業基盤の縮小に直面している日本は、防衛産業を活性化させ、新規参入を誘致する措置を講じていると、日本の防衛装備庁が本誌に語った。

2023年6月、日本の国会は「防衛生産・技術基盤強化法」として知られる画期的な法案を可決した。これは、日本の兵器メーカーとそのサプライチェーンに資金注入する仕組みを作ることによって、日本の防衛産業基盤の再活性化をねらったものだ。

防衛省装備品政策部の中辻良太主席調整官は、東京の防衛省本部で取材に応じ、この法律が10月に施行されて以来、日本は経営難に陥ったサプライヤーに約100億円、つまり約6400万ドル相当の契約を交付したと語った。

同法が成立するまで、防衛省は元請け企業との契約のみに制限されていたため、サプライチェーンに対する可視性が低く、問題のあるサプライヤーに対処するのが難しかった、と中辻は語った。新政策の下では、防衛省は元請け企業だけでなく、サイバーセキュリティや製造業を改善するための提案のためサプライチェーン企業にも資金を提供することが可能となった。

例えば、「外国から輸入していた部品の一部を国産に切り替える」ことによって、「サプライチェーンの回復力を高める」ための資金を確保することができる、と中辻は言う。「これにより、日本企業の観点ではリスクを軽減することができる」。「多くの企業が、生産効率を高めるために新しい生産ラインの導入計画を提出している。以前は、サプライヤーや大手防衛関連企業でさえ、サプライヤーの問題を解決につながる手段を持っていなかった」。

新政策のもう一つの重要な点は、防衛省がインフレ調整を契約に組み込むことを可能にすることだ、と中辻は説明した。また、利益率を10%に引き上げることで、コストやスケジュール、パフォーマンス目標を達成するよう防衛省の主契約企業に金銭的なインセンティブを与える。

戦略国際問題研究所の元客員研究員松尾美樹は今年5月の論文で、過去20年で100社以上の日本の大手企業が防衛産業から縮小または撤退してきたと述べている。

防衛産業から企業が撤退するもう一つの理由として、日本政府が過去10年間、外国技術の取得支出を増やし、自国産業を縮小させてきたことがある、とスティムソン・センターの日本プログラム・ディレクター辰巳由紀は言う。

三菱重工業や川崎重工業のような日本の大手防衛企業にとって、防衛契約は企業全体の収益のごく一部でしかなく、圧倒的に民生売上が多いと辰巳は言う。しかし、こうした防衛元請企業にとって商業的な売上が、低収益防衛契約のによる財務的な不安定さを乗り切ることを防衛契約の可能にしている一方で、第二次、第三次サプライヤーは防衛予算の変動をより鋭く感じている。

「日本の防衛産業は全体として、二次、三次サプライヤーの空洞化によって大きな打撃を受けている。「日本の防衛産業基盤は)とても貧しく、とても脆弱だ」。

新政策は「間違いなく有益」だが、辰巳は、日本がまだ世界第2位の経済大国であり、戦略情勢が不安定でなかった2000年から2010年の間こそ、このような改革の理想的な時期だったと語った。

しかし日本の防衛省は、二次三次サプライヤーを防衛部門に呼び戻す新たな機会を得ることができる、と辰巳は付け加えた。岸田文雄首相が4月にホワイトハウスを訪問した際、ワシントンと東京は「防衛産業協力・取得・維持フォーラム」(DICAS)を新設すると発表した。ジャパンタイムズによれば、最初のDICAS協議が月曜日に終了した。

もし日本が共同生産や共同維持の機会を活用できれば、防衛プロジェクトにサプライヤーを呼び戻せる需要シグナルが生み出せるかもしれない、と辰巳は語った。

「防衛省は、(生産ラインの)立ち上げにかかる初期費用を負担するため、インフラ整備のためこ各社にある程度の投資を行うことができる。「このような(政策)措置は、二次三次企業に復帰を説得する際に、非常に有効です」。

日本では防衛産業基盤の縮小だけが問題ではない。防衛産業の近代化を目指す米国や他の国々が取り組んでいる課題もある。

米国と同様、日本の製造業全体が労働問題に取り組んでいる。熟練ブルーカラー労働者の世代が定年を迎え、あるいはパンデミック(世界的大流行)で離職し、企業に経験豊富な従業員が少なくなっているからだ。日本では、急速に高齢化が進んでいるため、防衛産業も「いつかは」労働力不足に直面することになるだろう。

同時に、人工知能、ロボット工学、デジタル・ツインといった技術は、一流テクノロジー企業では一般的だが、防衛製品の製造にはまだ十分に取り入れられていない。

「だからこそ、もっと効率的な機械や生産レーンなどを導入することが非常に重要なのです。あるいは、AIや新技術にもっと依存する必要があるかもしれません」と中辻は言う。「伝統的な防衛産業だけでなく、新興企業を含む防衛産業への新規参入者にも依存する必要がある」。

防衛省は2023年6月に約200社の新興企業と面会し、防衛プロジェクトに参加するよう奨励したと、日経新聞は報じている。

しかし中辻は、防衛省による新興企業との関わりは初期段階で、日本の防衛費の増加や世界的な安全保障問題への関与の強化に反対する顧客が遠ざかるのを見たくない企業経営者たちの懸念を克服しなければならないと注意を促した。

「これは新興企業に限ったことではないが、一般的に言って、日本で防衛ビジネスを行うことは、民間企業にとって評判の面でリスクがあると認識されかねない」というのだ。■

Japan looks to revamp defense industry after years of downsizing

By   VALERIE INSINNA

on June 12, 2024 at 7:32 AM


2021年7月14日水曜日

日本の防衛産業が存在感を増している。注目される防衛装備品事業と輸出の動向に海外も注目。

 

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日本が実現をめざす新型戦闘機の想像図。(Illustration: Jacki Belker/Staff; Photos: Japanese Defense Ministry and Mike_Pellinni/Getty Images)


 

本の防衛産業基盤の拡充が続いている。日本は防衛力をゆっくりと整備し中国軍事力の成長に対抗する。

 

今年の防衛ニューストップ100リストには、日本からは三社がランク入りしている。SUBARU(85位、防衛部門収益8.05億ドル)は昨年は圏外だった。その他日本企業には三菱重工業(MHI)(32位、37.88億ドル)、川崎重工業(KIHI)(51位、20.3億ドル)がある。このうちKHIは昨年は圏外になったが今年リスト入りが復活した。

 

MHIが日本最大の防衛産業の位置を守っている。ただし、防衛部門収益は42パーセント減り、65.7億ドルを昨年計上した。

 

同社は極超音速技術分野の研究で極超音速巡航ミサイル、超高速滑空体の実現を目指し、防衛装備庁に協力している。

 

新型戦闘機、忠実なるウィングマン

 

防衛装備整備で最大規模になるのがステルスF-X戦闘機開発で、90機強供用中の三菱F-2戦闘機の後継機とする。F-X開発契約は2020年にMHIが交付を受け、開発予算は着実に増額されている。

 

F-X開発全体6.86億ドルのうち、5.2億ドルが概念設計、エンジン初期設計用に確保されている。またレーダー技術やミッションシステム統合でも予算は確保済みだ。

 

日本はF-X試作機の製造を2024年に開始し、飛行テストを2028年に実施すべく設計、製造準備を完了させる。航空自衛隊での供用開始は2035年ごろとなる。

 

新型戦闘機は自律型無人機「忠実なるウィングマン」とともに供用される。産経新聞は昨年10月に日本が小規模テスト機を今年から開発開始し、2024年に飛行テストを行い、2025年に実寸大機の開発を開始すると報じていた。

 

日本版の「忠実なるウィングマン」にはF-Xとの同時運用でセンサーペイロードを搭載し、F-Xの前方を偵察する機能、空対空ミサイルを搭載しての航空戦闘が想定されていると同記事にあった。

 

日経も12月に開発は三段階となると報じた。まず無人機を地上から操作する。次に有人無人機のチームとしF-Xから数機の無人機を操作する。そして最終的に完全自律運用を実現するとある。

 

SUBARUが遠隔飛行制御機能の開発を担当し、MHIは有人機無人機間のデータリンクを開発する。

 

イージス専用艦

 

日本はイージスアショア弾道ミサイル防衛装備の導入を断念し、北朝鮮や中国の弾道ミサイル脅威への対抗手段の模索が改めて必要となっている。取り消しの理由としてSM-3ブロックIIA迎撃ミサイルのブースターを安全に分離し、破片が住民の頭上に落下しないと保証できないためとされた。

 

ただ政府はイージスアショア導入候補地近くの住民の反対には触れていない。反対意見が他装備の導入地にも現れることが予想される。

 

そこで日本は弾道ミサイル防衛を専用艦に搭載する案を割く託した。最終設計案は未発表だが、J7.Bイージスシステムを搭載するとの報道がある。J7.BはSPY-7半導体レーダーと日本向けJ7ベイスライン(米ベイスライン9イージスシステムと同等)を組み合わせるものだ。

 

艦艇にSM-6を搭載し、極聴音速兵器や巡航ミサイルに対応させるのは中国が両型式の兵器を続々と配備しているためだ。

 

弾道ミサイル防衛用に専門艦を整備すると、日本近海に配備しつつ、現行のイージス艦と同じ性能、兵装は必要なくなる。イージス艦は艦隊防空任務を想定し、同時にその他戦闘機能を盛り込んでいる。

 

もがみ級の輸出は?

 

日本はゆっくりとだが防衛装備品の輸出も進めており、安部前首相が2014年に輸出規制を解除してから初の輸出案件も成約している。


The Japanese warship Kumano is part of the Mogami class. (Japanese Defense Ministry)

もがみ級のくまの (Japanese Defense Ministry)

 

2020年8月にフィリピン向け固定式移動式防空レーダー装備が初の制約案件となった。日本はインドネシアのフリゲート艦整備への売り込みを狙い、もがみ級多任務フリゲートを提案している。インドネシア向けに8隻を建造し、うち4隻をインドネシア国内で建造する案だ

 

もがみ級は全長130メートル排水量3,900トンで海上自衛隊向けに三隻が進水ずみで、5隻をさらに建造する。機雷敷設、水上水中戦にも対応し、無人水上水中機も運用する。

 

ただしインドネシアはイタリアのFREMMフリゲート艦をフィンカンティエリから調達すると発表済みで、艦容も性能も大きく異なるもがみ級を別途導入するかは不明だ。■


この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmailまでご連絡ください。


Japanese defense firms prosper amid futuristic tech orders, export drives

By: Mike Yeo

 

2020年9月5日土曜日

三井E&Sがヴィエトナム向け艦艇建造へ

 井E&Sの造船部門はマレーシアの投資会社T7グローバルバハドの海洋部門と共同でヴィエトナム人民海軍(VPN)、ヴィエトナム沿岸警備隊(VCG)向け艦艇の建造を狙う。

 


 

Japan’s Mitsui Engineering & Shipbuilding, which in January launched Japan’s third Hibiki-class ocean surveillance ship (pictured), has signed an agreement with Malaysian firm T7 Marine to explore naval vessel opportunities in Vietnam. (JMSDF)

三井E&Sはひびき級海洋観測艦三号艦あきを1月に進水させた。 (JMSDF)

 

 

T7は完全子会社のT7マリーンが事業に参画し、三井と商機を探るとし、まずVPN、VCG向けの建造を手掛けると発表。

 

両社の合意覚書によれば、それぞれの知見を活かし、ヴィエトナム向け艦艇建造で受注を目指すほか、同国で他の商機も模索する。契約は3年間有効で延長も可能。


今回の事案は日本がめざす東南アジア向け防衛装備輸出拡大の一環だ。

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同社は2019年に海上自衛隊に向け遠洋哨戒艦艇12隻の建造計画を提示していた。また今年1月にひびき級海洋観測艦の三号艦を進水させている。ひびき級は先に二隻が1990年代に供用開始している。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Mitsui, T7 sign deal to supply naval vessels to Vietnam

04 SEPTEMBER 2020

by Jon Grevatt

 


2019年1月20日日曜日

★三菱重工でのF-35生産は終了へ。輸入機調達へ舵を切る日本の防衛政策

Japan to cease in-country assembly of F-35 jets

日本はF-35の国内生産を終了させる


By: Mike Yeo


ルーク空軍基地(アリゾナ州)で初の単独飛行前にコックピットを点検する航空自衛隊の中野二佐。 (Tech. Sgt. Louis Vega Jr./U.S. Air Force)

本はロッキード・マーティンF-35の次期ロットから国内最終生産ラインを利用しない。
これは防衛装備庁広報官がDefense Newsに語ったもので、2019年度分契約から海外生産機材輸入に切り替える。
同広報官は国内生産中止の背景について防衛省へ照会してほしいとあったので同省に問合わせたがまだ回答がない。
最新の防衛大綱及び防衛力整備五カ年計画では「高性能装備を可能な限り妥当な価格で調達する」とあり、「価格効果が悪い事業は見直しまたは中止する」ともある。
日本政府は防衛予算案を承認済みで、2019年度にF-35A6機を612.35百万ドルで調達する。
さらに366.12百万ドルを「その他関連経費」としてF-35関連の整備保守用装備品含む形で計上している。
日本は2013年から最終生産点検施設FACOでF-35Aを組立中。防衛装備庁によればFACO(三菱重工業が運用)は契約済み機材が生産完了する2022年度まで使用される。
日本は国内産業基盤の維持に苦慮しており、防衛大綱でも「低生産量ゆえの高コスト体質や国際競争力の欠如という課題」の克服の必要を訴えている。
日本政府の予算関連資料ではF-35A24機を機体単価平均144.2百万ドルで購入するとあるが価格は低下傾向にあり、2018年度分は119.7百万ドルだ。ただし共に現時点の為替レートによるもの。

当初発注のF-35A42機に加え、日本は追加調達で105機を想定し、うち42機をF-35B短距離離陸垂直着陸型とする。防衛整備案ではまず45機を今後5年で調達し、F-35Bは18機となる。■

コメント:産業基盤の強化というならFACOでの組み立ては輸入より高いから中止というのは理解に苦しみますが、F-3生産を睨んだ動きなのでしょうか。わかりません。

2019年1月17日木曜日

★次期中期防で導入する主要装備の単価を日本が発表

Aerospace Daily & Defense Report

Japan Details 2019-23 Defense Plan Costs

Jan 14, 2019Bradley Perrett | Aerospace Daily & Defense Report


E-2D: U.S. Navy
本が合計9機導入するノースロップ・グラマンE-2Dホークアイの平均価格は262億円(242百万ドル)で五カ年に渡り調達する。米海軍のE-2D調達では単価223百万ドルである。
 ボーイングKC-46Aペガサス空中給油機4機は平均249億円(229百万ドル)と防衛省資料でわかる。米空軍の2019会計年度単価は201百万ドルだ。
 川崎重工業のC-2輸送機は5機を単価249億円で調達する。
 ロッキード・マーティンF-35ライトニング45機は2019年4月より5カ年で調達予定でうち18機をF-35Bとする。防衛省発表資料では全部F-35Aとあり明らかに誤りであるが、総額116億ドルというのは両型の平均価格を乗じたものとわかる。
 その他では川崎重工業P-1哨戒機12機を221億ドルで、シコースキーSH-60K対潜ヘリを三菱重工業から13機計73億ドル、ボーイングCH-47JAチヌークを川崎重工が3機89億ドルで調達する。
 ボーイングF-15イーグル20機の改修は平均単価35億円の試算だ。
 艦艇建造では日本単価は驚くほど低い。改そうりゅう級ディーゼル潜水艦5隻の平均建造費は647億円であるのに対し、オーストラリアが2050年までに12隻建造を目指す攻撃型ディーゼル潜水艦は艦体が大きいとはいえ単価42オーストラリアドル(30億ドル 約3,200億円)でインフレを考慮してもあまりにも違いすぎる。

以上日本側による試算は中期防衛計画で2018年12月18日に公表され、財務省及び国会審議を経て正式に決まる。■

2018年12月2日日曜日

自衛隊次期攻撃ヘリは海上運用の想定も

Japan sets naval-friendly requirement in search to replace AH-1S Cobra fleet 

陸上自衛隊AH-1Sコブラ後継機は海上作戦運用の想定

By: Mike Yeo    

陸上自衛隊のAH-1SヘリコプターがTOW対戦車ミサイルを発射している。東富士演習場にて。2014年8月19日。 (Kitamura Toshifumi/AFP via Getty Images)



本は現行ベル/富士重工AH-1Sコブラ攻撃ヘリコプターの後継機で艦載運用を想定する。
今年初めに出た情報要求(RFI)では新型ヘリコプターを海上運用型とし「臨時飛行施設または海上基地」から運用すると想定しているとベル顧問を務めるジョージ・トラウトマン退役中将が述べている。
国際航空宇宙展の会場でDefense News取材に答えたトラウトマン前海兵隊航空部隊司令官はRFIは「30機、40機、50機」各調達の価格および個別情報を求めているという。また今後3ないし4ヶ月内に提案要求が出るとした。
ベルにはAH-1Zヴァイパー案があるが、三菱重工業はUH-60J/JAブラックホークに補助翼および兵装運用箇所を追加した案を提案している。同社はブラックホーク、SH-60シーホーク各種を自衛隊向けにシコースキーのライセンスを受け1990年代から生産している。
エアバスは民生用H145で日本に進出しているが、今回はタイガー攻撃ヘリコプター案ではなくH145案を提示する。同社は神戸にあるヘリコプター修理点検施設の拡充を発表している。
その他にはボーイングがAH-64Eアパッチを、イタリアのレオナルドがAW249攻撃ヘリコプター(現在開発中)を提案する見込み。
日本はアパッチAH-64D13機をライセンス生産で導入済みだ。ただし同機は当初64機調達予定が大幅に規模縮小された。同機搭載のロングボウレーダーの性能が期待以下と評価されているといわれれる。■

離島奪還作戦の想定のためか、次期攻撃ヘリは陸上自衛隊の従来の運用構想と異なる性能が必要となります。水陸両用部隊への配備想定でしょうね。ロングボウが不要ならアパッチが今後長く活用できる機材になりますが、すでに既存機生産で肝心のスバルがひどい目にあっていますので今回はAH-1Z(米海兵隊が使用中)に傾くのではないでしょうか。