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ヘグセス国防長官はインド太平洋歴訪で何を語ったのか(Breaking Defense) ― 紙面の制限があるのであれば、ネット記事でここまで深い報道を日本の防衛メディアにもお願いしたいところです

 


ピート・ヘグセス米国防長官と日本の中谷元防衛大臣は、防衛省での歓迎式典で両国国旗に敬意を表した。2025年3月30日. (Photo by U.S. Air Force Senior Airman Madelyn Keech)

トランプ政権は「この地域を真に優先し、前例のない方法でシフトするだろう。今日はフィリピンだ。明日は日本だ。この地域のオーストラリア、韓国、その他の国々となるだろう」と、ヘグセス国防長官は述べた

「アメリカ第一主義はアメリカ単独主義を意味するものではない」と宣言したピーター・ヘグセ米国防長官は、インド太平洋地域歴訪の一環として東京で、「共産主義中国による軍事的侵略を抑止する」上で日本は「不可欠なパートナー」であると述べ、日本を称賛した。 

 さらに広く言えば、ヘグセスはフィリピンのギルベルト・テオドロ国防長官との金曜のマニラでの記者会見で、これらの動きは専門家が長年「太平洋回帰」と呼んできたものの一部であり、多くの約束が先延ばしにされてきたと明言した。

 トランプ政権は「この地域を真に優先し、前例のない方法でシフトするだろう。今日、それはフィリピンだ。明日は日本だ。この地域のオーストラリア、韓国、その他の国々となるだろう」とヘグセス長官は述べた。

 日本はトランプ政権による強硬な関税の脅威を免れていないが、ヘグセスのこの地域への初訪問中の発言は、国防総省が欧州のNATO同盟国をどう見ているか、そして太平洋の条約同盟国をどう見ているかという点で、大きな隔たりがあることを示しているようだ。

 悪名高くなったイエメンのフーシ派への攻撃計画を詳細に記したSignalチャットで、ヘグセスはマイケル・ウォルツ国家安全保障顧問に「欧州のただ乗りへの嫌悪感を共有する。哀れだ」と述べた。

 それとは対照的に、ヘグセス長官は在任中、在日米軍を統合運用司令官に変えるという米国の公約を再確認し、その司令官は「戦闘司令部」になるだろうと指摘した。現在、それは行政司令部で、少なくとも5万人の米軍による海外最大の駐留を維持することが目的となっている。

 ヘグセス長官は、この新しい統合任務部隊は「不測の事態や危機への対応能力を高め、米国の作戦を支援し、日本と米軍がこの領土を守る手助けをする」と述べた。日本では米国やその他の同盟国と協力するための統合任務部隊が先週創設されたばかりだ。

 在日米軍の権限と作戦指揮権の拡大が中止されるとの報道もあったが、ヘグセス長官の宣言により、そうではないことが明らかになった。統合任務部隊の強化は、バイデン政権が当初から約束していた。

 硫黄島の戦いを記念する追悼式に出席したヘグセス長官は、太平洋戦争で最大の激戦を戦い抜いた日米両軍を称賛した。また、現在では「アメリカの戦士たちは、自衛隊の仲間たちと肩を並べ日々任務に当たっている」と述べた。

 日本は台湾と非常に緊密な関係にあるだけでなく、北朝鮮の抑制に協力する重要な同盟国であり、米国の条約同盟国であるオーストラリア、韓国、フィリピンとも緊密に協力している。東京は防衛費を倍増する方向であり、米国の兵器を大量に購入または共同生産することに尽力している。

 共同記者会見で、中谷防衛大臣は、両国が「共同開発、共同生産、共同維持管理、その他の取り組みを通じて相互に補完し合うこと、特にミサイルの安定供給は双方にとって極めて重要である」と指摘した。

 「防衛産業協力、取得および維持フォーラム、略してDICASの枠組みにおいて、我々は早期に先進中距離空対空ミサイル(AMRAAM)の共同生産を開始できるよう努力を加速させることを確認しました。また、地対空ミサイルSM-6の共同生産の可能性についても追求していく意向を伝えました」。

 ヘグセス長官はマニラから東京に飛来し、米国はフィリピン軍に海軍・海兵隊遠征艦艇阻止システム(NMESIS)含む追加能力を提供すると宣言した。2021年に初めて発表されたこのシステムは、移動式精密攻撃部隊であり、統合軽戦術車両のシャーシに搭載されたミサイルは遠隔操作が可能である。

 これらと無人水上装備は、米国とフィリピンが毎年実施する最も重要な軍事演習であるバリカタン(Balikatan)で米国が提供する。

 「これらのシステムにより、米軍とフィリピン軍は、フィリピンの主権を守る先進的な能力の使用について、合同訓練を実施できるようになります」とヘグセス長官は述べた。共同声明(PDF)によると、両同盟国は、複数分野で産業協力も推進する。

  • 無人システム

  • 弾薬部品/エネルギー

  • 重要な鉱物

  • 後方支援

  • 船舶の維持および修理

  • 空域の統合

  • 付加製造

  • 航空機の維持および修理

  • システム部品および予備部品の生産

 また、両国は、米比同盟全体におけるサイバー脆弱性を低減し、より高度な運用協力を行うためサイバーセキュリティを強化するべく、両国が使用するすべてのサイバーシステムの構築にも取り組む。■

During Indo-Pacific tour Hegseth rallies Japan and Philippines, pledges ‘shift,’ cooperation

The Trump administration would “truly prioritize and shift to this region of the world in a way that is unprecedented. Today, it’s the Philippines. Tomorrow, it’s Japan. It will be Australia and South Korea and other nations in this part o

f the world,” Defense Secretary Pete Hegseth said.

By   Colin Clarkon March 31, 2025 at 10:15 AM

https://breakingdefense.com/2025/03/during-indo-pacific-tour-hegseth-rallies-japan-and-philippines-pledges-shift-cooperation/


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