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6月, 2021の投稿を表示しています

注目ニュース 中国が核融合に一歩近づいた。核融合でエナジーのパラダイムシフトが実現する(ただし中期的に) だが、CCPが夢の技術を世界と共有するだろうか....

  中国のEASTトカマク核融合炉の構造図。S. L. CHEN, F. VILLONE, B. J. XIAO, L. BARBATO, Z. P. LUO, L. LIU, S. MASTROSTEFANO & Z. XING     中国のEAST核融合炉が高温保持記録を更新し、核融合に必要な太陽並みの超高温の持続に一歩近づいた。   太 陽の中心部温度は摂氏15百万度だが、5月28日に中国河北省の実験核融合炉がこれに等しい温度を2分間近く達成した。この結果が世界の政治安全保障に及ぼす影響はとてつもなく大きい。   核分裂では中性子を原子に投げ込み原子を二つに分裂させ、放射能とエナジーを生むが、核融合は逆に二つの原子を組み合わせる。その結果生まれるエナジーは多くなるものの、放射能廃棄物は生まれない。核融合で安全かつクリーンで再生可能な出力が生まれるという説をエナジー研究者が追い求めてきた。   主流となっているのはトカマク型反応炉で1958年にモスクワで初めて稼働された。反応炉はドーナッツ状でプラズマを生成し極度に強い磁場で封じ込める。磁場内の原子は炉心が溶融するまでつながったままで、大重量となり、大規模エナジーを放出する。プリンストンプラズマ物理研究所、ヨーロッパ共同研究所トーラス(英国)が類似の研究をつづkている。   中国もトカマクを1998年に設計製造し、第9次五か年計画の主要国家科学事業に位置付けた。実験高度超電導トカマク(EAST)の反応炉が運転開始したのは2007年で、プラズマ形成を安定したまま11年近く維持してきた。今年に入り、同炉はプラズマ温度を摂氏120百万度のまま101秒、160百万ドルを20秒保持する画期的な記録を樹立した。   融合を実現するべく超高温状態を維持することが中国の目指す維持可能なエナジー自給自足目標の戦略で鍵となる。中国の経済成長には信頼できるエナジー源が必要だが、同時に脆弱性も生まれる。中国の経済動力源というべき広東省での電力供給不足がその例だ。   2019年の中国は一日で原油14百万バレルを消費していた。この7割が中東のOPEC加盟国から海上交通の要衝数か所を経由して輸入されていた。原油価格の上下で海外依存が戦略的脆弱性につながる。有事に輸入が脅かされれば中国国内の工業生産がままならなくなり社会全体にも影響

単純な質問、F-22ラプター生産再開はありえるのか。答え、米空軍の将来像にラプターの存在は想定がない。空の王者の座もあと数年で消える運命とは.....

  米 空軍には制空戦闘機が二型式ある。F-22ラプターとF-15イーグルだ。だが製造再開の対象にイーグルが選択され、より高性能なラプターは対象外とされた。そこで疑問が生まれる。F-15新型機が調達できるのなら、F-22生産を再開をすべきではないのか。 F-22ラプターは今も世界最強の制空戦闘機である。中国のJ-20Bはこれから現れても、ロシアのSu-57はまだ性能で及ばない。F-22が最高峰であることに変わりない。とはいえ、同機をいまさら生産再開するのが正しい選択とは言えない。 F-22とF-35の任務は全く違う F-35打撃戦闘機は技術面で最先端の戦闘機と広く認知されているが、もとはF-16ファイティングファルコンの多任務ぶりを継承する機体として想定され、空対地任務を中心に置いた機体だ。先に出たF-22はF-15イーグルの後継機としてドッグファイターをめざした。 F-22、F-35はともに第五世代戦闘機としてステルス性能を前面に出したミッション実現をめざし、空対空、空対地戦闘を共にこなす想定とした。それぞれ、航空戦闘の異なる局面を本領とし、期待された任務も異なっていた。F-35の引き渡しは今も続いている点でF-22と異なるが、国防上層部の発言を聞くと、JSFの将来に疑問があるようだ。F-35はこれからも運用を続けるのはまちがいないが、F-35がF-16に交代する空軍の当初構想は実現がどんどん遠のいている。 F-22の生産中止は対テロ戦でステルス機が不要となったため 空軍は当初F-22を750機調達し、21世紀の迎撃戦闘機をステルスで統一する構想だった。だが米国は対テロ、対戦闘員の作戦にどっぷりとつかり、技術面で劣る敵勢力と対決したため、高性能ドッグファイターの出番がなくなった。各方面の戦費を賄うためF-22事業は2011年12月に186機の引き渡しで終了された。ほぼ10年が経過し、F-22は高性能で知られるものの、機数があまりにも少なく希少品扱いだ。 (U.S. Air Force photo by Lt. Sam Eckholm) というわけで当初はF-15にとって代わるはずだったラプターだが、あまりにも機数が少なく懸念を呼んでいる。186機中作戦投入可能となったのは130機ほどしかない。さらに現在は戦闘投入可能なF-22は百機を割り込んでいるようだ。また、補

イラク、シリア国境地帯への米軍空爆作戦の背景。わかりにくい状況に日本は目をつぶっていてはいけない。

  CENTCOM イラク国内の米軍拠点が無人機襲撃を受ける事案が増加しており、攻撃はイラン支援を受けた戦闘員集団が行っている。 イ ラン支援を受けた戦闘員拠点三か所への米軍による空爆の様子が公開された映像で判明した。対象はイラクーシリア国境地帯にあり、ジョー・バイデン大統領の命令で実行され、無人機運用能力を攻撃の第一目標とした。ここにきてイラク国内の米軍施設を無人機が襲撃する事例が増えていた。 米中央軍(CENTCOM) は2021年6月28日に映像三点を公開した。攻撃は前日に米軍機により実施された。ペンタゴンはイラク、シリア国境地帯の施設はカタイブ・ヘズボラ、カタイブ・サイド・アルシュハダが主に利用したと発表している。 CENTCOM 米中央軍発表の映像。シリア・アルフリのイラン支援を受けた戦闘員集団施設が空爆を受けた   「必要かつ適切な行動として、エスカレーションのリスクを抑えるべく慎重に行動を取った。同時に明白かつ誤解を与える余地のない抑止メッセージを送った」と国務長官アントニー・ブリンケンが公式訪問中のローマで記者団に語った。 ペンタゴン報道官ジョン・カービーは「各標的の選択に当たってはイラン支援を受けた戦闘集団が無人機(UAV)を使った襲撃を在イラクの米人員や施設を標的に行っている地点を選択した」「今回の襲撃でバイデン大統領が米人員保護に真剣であることを明白に示した。イラン支援を受けた集団による在イラク米国権益への攻撃が続いており、大統領はもう一歩踏み込んだ軍事行動により攻撃を抑止する必要があると判断した」と述べた。 今回の空爆地点はイラク、シリアを結ぶ戦略地点である。バイデンはこれまでもカタイブ・ヘズボラ、カタイブ・サイド・アルシュハダ関連の別の地点の空爆を命令しており、今回の地帯も2月に空爆の皮切りとして選定されていた。今回の空爆はイラン北部で今月発生したエルビル国際空港で働く米契約企業要員がロケット攻撃で死亡したことへの報復である。カタイブ・ヒズボラはその他の米空爆の対象にもなっていた。 公開された映像はそれぞれシリア国内と説明があるが、CENTCOMがアルフリ、シサクと説明している二点が実際にはシリア領内にある。三番目がカサバットでイラクにある。 GOOGLE MAPS 2021年6月27日の米軍による空爆地点を示す地図。 based on g

レーガンCSGは中東へ到着し、アフガニスタン撤収作戦を支援。日本の安全保障の境界線は国境ではないことがよくわかる事例です。

  USSロナルド・レーガン(CVN-76)がインド洋を航行中。June 24, 2021. US Navy Photo 日 本を母港とする米海軍空母打撃群が北アラビア海に入り、米軍のアフガニスタン撤収の支援にあたっている。日本配備の空母が中東に移動するのはイラク侵攻を支援したUSSキティー・ホーク(CV-63)の2003年以来となった。 USSロナルド・レーガン(CVN-76)、誘導ミサイル巡洋艦USSシャイロー(CG-67)、誘導ミサイル駆逐艦USSハルゼー(DDG-97)が第七艦隊管轄水域から第五艦隊水域に6月25日移動した。 「第五艦隊水域においてロナルド・レーガンCSGは域内連合諸国と共同作戦・訓練を展開しつつ米軍連合軍部隊のアフガニスタン撤収の防御として航空戦力を提供する」と海軍発表にある。 レーガンはUSSドワイト・D・アイゼンハワー(CVN-69)空母打撃群に交代する。アイゼンハワーは中東で4月以来沿海し、撤収の航空支援を行ってきた。アイクはヴァージニア州ノーフォーク母港への帰路に就くとみられる。なお、同空母の出動は今年二回目となっている。 レーガンはインド海軍と演習を終え、6月24日に第五艦隊水域に移動した。 他方で海軍はヴィンソン空母打撃群の訓練最終段階をハワイ沖合で実施中と発表した。 USSカール・ヴィンソン(CVN-70)は第二空母航空団を搭載し、駆逐艦五隻を伴う。USSデューイ(DDG-105)、USSハワード(DDG-83)、USSオケーン(DDG-77)、USSマイケル・マーフィー(DDG-112)、USSチャフィー(DDG-90)で初のF-35CライトニングII共用打撃戦闘機の空母配備を前に訓練は最終段階にある。 空母訓練の最終段階は通常カリフォーニア付近で行われる。ペンタゴン報道官ジョン・カービーはUSNI Newsに対しヴィンソンCSGは西太平洋に移動すると述べたが、特段の意図を示すものではないとした。 レーガンの中東移動から海軍は同地区にどこまでのプレゼンスを維持すべきかとの議論が出ている。バイデン政権は太平洋への装備展開を重視し、中国との競合に備えるのを目標としている。 一時的に空白期間はあったが、米空母は北アラビア海からオマーン湾に常時プレゼンスを2019年5月から維持し、中央軍司令官ケネス・マッケンジー大将の要請に応じた。

平気でうそをつくロシア。黒海の「実弾発射」は同時進行中のロシア演習の話を使った情報操作。来週開始の黒海での西側海軍演習を控え神経が高ぶっているのか。

    RUSSIAN MINISTRY OF DEFENSE / DMITRIY PICHUGIN / WIKIMEDIA COMMONS     報道では20機以上のロシア軍用機が英海軍駆逐艦にいやがらせをし、ロシア国境警備隊のパトロール艇が100メートルまで接近してきたという....     黒 海で本日早朝に英海軍45型駆逐艦HMSディフェンダーにロシア軍と沿岸警備隊が出動し、ロシアが実効支配するクリミア半島への接近を阻止したとの報道がロシアから出たが英国防省はこれを頭から否定している。当初の報道では国境警備隊艦船とSu-24フェンサーの双方が警告射撃したとロシア国防省が発表し、特に後者は高性能爆弾数発を英艦の航路に向け投下したとあった。   英国防省はHMSディフェンダーは「国際法に則りウクライナ領海内を無害通航した」と発表した。ただし、ロシア国防省によれば英艦はフィオレント岬付近でロシア領海に侵入したとあり、この地点は重防御されたセヴァストポリ軍港に近く、クリミアはロシアが2014年に併合している。   未確認船舶追跡データを見るとHMSディフェンダーはクリミア沿岸から10カイリ以内にまで近づき、ロシア領海内に入っていたことになる。領海は沿岸から12カイリと定められている。ただし、クリミアの存在が問題となる。国際社会の大部分はロシアのクリミア併合を認めていないからだ。   英国防相ベン・ウォーレスは「HMSディフェンダーは今朝オデッサを出港し、黒海を経由しジョージアに向かう通常の航行を実施した」との声明を発表し、「同艦は国際的に認知されている通航分離回廊に入った。同艦が回廊部分を無事出たのは現地時間0945だった。いつも通りロシア艦船が通航中に同艦を追尾したが、同艦は日ごろの訓練の成果を発揮した」   ただし、これより先に出たロシア国営通信社TASSの記事ではロシア海軍の黒海艦隊が連邦保安局の国境警備隊とともに領海侵入を止めたとある。   「6月23日の午前11時52分、英海軍の駆逐艦HMSディフェンダーは黒海北西部で活動風にロシア連邦国境線を横切り、フィオレント岬付近のロシア領海を3キロメートルにわたり侵犯した」とのロシア国防省発表をTASSが伝えていた。   TASS記事では警告弾が英駆逐艦に向け発射されたとあり、ロシア領を侵犯すれば実弾が発射される

重要拠点グアムを中国、北朝鮮のミサイル攻撃からどう防衛すべきか、MDAが新たな体制を検討中。さらに高性能防衛体制としてMDAが考える優先事業とは。

  THAAD Missile Battery. Missile Defense Agency Photo   米 国はグアム防衛のためハイブリッドシステムの導入を迫られそうだ。グアムの地形の複雑さとミサイル脅威の想定が 多岐にわたる 背景があるとミサイル防衛庁長官が述べた。   ジョン・ヒル海軍中将は山地が多いグアムの地形を「挑戦しがいがある」とし、弾道ミサイル、巡航ミサイル、極超音速ミサイルからの防衛に言及した。   6月22日ヒル中将は戦略国際研究所イベントで最終判断について「聞いて驚く人はいないだろう」と述べた。   ヒル中将は「イージスの地下展開あるいは移動展開」がグアム島で想定されるとし、「レーダーと兵装を分離する新しい技術」で飛来するミサイル撃破が可能だと述べた。   「イージスアショア(ルーマニアで稼働中、ポーランドで建設中)では不十分かもしれない」   イージスアショアではアーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦と同じレーダーと垂直発射管システム(VLS)を地上基地に配備する。ヒル中将はイージスシステムは中国やロシアの極超音速ミサイル対応にも改良済みと述べた。   ヒル中将はミサイル防衛庁のグアム防衛構想はペンタゴンが検討中とし、完了後に議会へ送付すると明らかにした。また、グアム防衛で中心となる軍の選択は未決定とも述べた。   陸軍は終末高高度広域防衛(THAAD)システムは2014年にグアムに展開し、北朝鮮の長距離弾道ミサイル試験に対応した。グアムには大規模な艦船修理施設、海兵隊・空軍の大規模プレゼンス、陸軍分遣隊がある。   グアムで最も効果が高い装備を検討し、北朝鮮や中国のミサイル攻撃からグアムで可能な限り広範囲な防衛を実現するのが目標だとヒル中将は述べた。   前インド太平洋軍長官フィル・デイヴィッドソン海軍大将はイージスアショアのグアム展開で現在投入中の駆逐艦三隻の任務を解くのが望ましいと3月に発言していた。   「人員、装備等の防衛体制の進化はグアムから始めるべきだ。高性能かつ高度に適応でき実証済み装備としてイージスがあり、グアムのような固定地点に配備すれば常時360度の統合防空ミサイル防衛能力を第二列島線で実現できる」(デイヴィッドソン)   USNI Newsの質問に対しヒル中将はディエゴガルシア(英領)にも将来的に統合アプローチが導入