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2023年1月7日土曜日

M2ブラッドレイ歩兵戦闘車両はウクライナ戦にどんな活躍をするのか。保守整備のインフラ確保が課題になる

 ウクライナ軍はブラッドレイ歩兵戦車を有効に活用できそうですね。これが突破口になれば次は主力戦車の供与も視野に入ってくるのでしょうか。ロシア軍がどう対抗するのか、冷戦時からの戦術の有効性が試されそうです。Task and Purpose記事からです。

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25mm砲を発射するブラッドレー戦闘車両 (Staff Sgt. Charles Porter/U.S. Army).

 

国政府はウクライナにブラッドレイ戦闘車を提供すると発表した。ブラッドレー戦闘車は、ロシアやソ連時代の車両よりウクライナ軍の保護と機動性が高くなると、専門家は語っている。

 


 国防総省報道官パトリック・ライダー空軍准将は、木曜日にウクライナへの次回米軍援助にブラッドレイ戦闘車両が含まれると確認したが、それ以上の詳細は不明だ。

 ブラッドレは、ソ連時代のBMPやBTRの旧型など、ロシアの侵攻以前からウクライナ側が保有する戦闘車両のほとんどと比較し、重要な利点があると、ランド研究所で防衛政策を研究しているJ.D.ウィリアムズ退役海兵隊大佐は言う。

 ウィリアムズは、ブラッドレは無限軌道車両で、車輪付き車両より機動性があり、特にウクライナの冬から春にかけての泥だらけの時期に威力を発揮すると語った。

 ブラッドレ戦闘車両は光学系、射撃システム、通信などでも、ソ連時代装備より進んだ戦闘システムを持っているという。ブラッドレーは25mm砲とTOW対戦車ミサイルを装備し、BMPやBTRよりも生存率が高い装甲アップグレードがつく。

 BMP-1やBMP-2は装甲が薄く、部隊が出入りする後部ドアに外装燃料タンクがあるため、後方の待ち伏せに弱いという。

 

2021年2月21日、リトアニア第21ドラグーン大隊との合同訓練に参加し、ブラッドレ戦闘車の後部から下車する歩兵部隊。(Sgt. Alexandra Shea/U.S. Army)

 

 

第1騎兵師団を率い、イラク多国籍軍団を率いたピーター・キアレリ退役陸軍大将retired Army Gen. Peter Chiarelliは、「ロシアは、乗員の生存率を我々ほどに真剣に考えない」と述べた。

 例えば、ソ連時代ロシアの戦車は共に砲塔基部に最大20発の弾薬が入るオートローダーがつくが、戦車が攻撃を受ければ全てが爆発する可能性があるとキアレリは指摘する。その際、戦車砲塔は空中に放り出され、「ジャック・イン・ザ・ボックス効果 」と呼ばれる恐ろしい爆発が発生する。

 ブラッドレ戦闘車両が乗員と車内の兵士を守ることは、ウクライナ軍の規模や戦歴を考えれば、特に重要であるとキアレッリは指摘する。

「歩兵に多大な監視を提供する」とキアレッリは言う。「比較的安全な車両で、有利な位置へ移動できるのです。ウクライナ軍は、我々ほど多くの装備がないので、より多くの兵士を乗せることができると確信している」。

 イラク戦争でブラッドレ戦闘車両は都市環境で真価を証明した、と彼は言う。

 

2020年12月16日、シリア北東部でのM2ブラッドレー歩兵戦闘車 (Spc. Tarako Braswell/U.S. Army Reserve)

 

 

ブラッドレはソ連やロシア装備より火器管制システムが優れていることもあり、ウクライナ軍がロシア軍を攻撃した場合、現在のBMPよりブラッドレ戦闘車の方が役に立つだろうと、ワシントンDCのジェームスタウン財団シンクタンクで働く防衛アナリストのフリブ・パーフォノフHlib Parfonovは言う。

 パーフォノフによれば、ブラッドレを修理し、維持するスペアパーツがウクライナ側に十分あるかが最大の課題だという。

 ウクライナ軍は、アメリカのM113ギャバン、イギリスのFV103スパルタン、フランスのVABなど、戦闘車両をすでに受け取っているだけでなく、BMP-3など、ロシアから鹵獲した車両も使用している。

 「UAF(ウクライナ軍)の整備は地獄と紙一重だ」とパーフォノフは言い、各種車両を「動物園」のように抱えているため、スペアパーツ確保が難しいと付け加えた。

 しかし、元米陸軍ヨーロッパ司令官ベン・ホッジス退役中将 retired Army Lt. Gen. Ben Hodgesは、米国にはブラッドレ戦闘車数千台があるので、ウクライナ軍向けスペアパーツの確保は大きな課題ではないと指摘する。

 ホッジスは、「ポーランドやドイツ、スロバキアなどに持ち帰るのではなく、ウクライナ国内で各種車両を修理できるメンテナンス能力の確立が必要だ」と述べた。

 ホッジスは、民間企業がウクライナ郡の能力を向上させ、各種軍用車両など装備の修理を支援するか、米国同盟国がウクライナ整備士を訓練し、ウクライナ国内で作業を行えるようにすることを提案している。

 最終的には、ウクライナによるブラッドレ修理を支援する方が、旧ソビエトやロシア車両のスペアパーツを見つけるより簡単かもしれない、とキアレッリは言う。

 また、キアレッリは、ウクライナ軍のブラッドレイの運用訓練には数ヶ月ではなく数週間かかるとも語っている。高機動ロケット砲装備HIMARS(High Mobility Artillery Rocket Systems)のような新技術の使い方を素早く習得することにウクライナは非常に長けていることが証明ずみだ。

 ブラッドレ戦闘車について覚えておくべき重要なことは、搭載歩兵隊と一緒に働くことだ、とキアレッリは言う。

 「ウクライナ軍は、私が遠くから見た限りでは、都市部での装甲歩兵チームの重要性を理解している」とキアレッリは言う。「ブラッドレは歩兵隊の監視役となり、歩兵は市街地でブラッドレを近接防御する。市街地では、どちらか一方が欠けてもうまくいきません。歩兵と装甲兵のチームが非常に効果的なのです」。■

 

 

Here's how Ukraine could use the Bradley Fighting Vehicles it's getting from the US, experts say

Bradley Fighting Vehicles proved their worth in urban environments during the Iraq War.

BY JEFF SCHOGOL | PUBLISHED JAN 5, 2023 3:19 PM

 

 

Jeff Schogol

Jeff Schogol is the senior Pentagon reporter for Task & Purpose. He has covered the military for 15 years. You can email him at schogol@taskandpurpose.com, direct message @JeffSchogol on Twitter, or reach him on WhatsApp


2021年8月29日日曜日

ブラッドレイ歩兵戦闘車両は攻撃力装甲防御力を向上し、米陸軍はこれからの戦闘でも大きな役割を期待し、敵IFVの駆逐を想定。

 

 

米陸軍はブラッドレイの残存性を高める改良を進めている。

 

M2ブラッドレイ歩兵戦闘車両は歩兵部隊隊員を戦場に輸送するのが任務だが、報道陣は戦車と誤解することが多い。軌道走行式で33トンの車重と装甲を施し、25mmブッシュマスター自動機関砲とTOW対戦車ミサイル発射機で武装しているため無理もないところか。

 

ただし、M2への批判派は火力性能が不足と見ている。機械化歩兵分隊は地形を縫い敵位置を偵察し、あるいは敵を待ち伏せし、防衛線を守る、あるいは敵を建物内から追い出すのが役目だ。

 

ただし、M2の歩兵輸送能力に制約がある。初期型では7名しか搭載できず、やっと9名を運べるよう改良されたにすぎない。となると機械化歩兵小隊の輸送にブラッドレイ4両必要となり、全員が一両に乗ることはできない。

 

M2およびM3ブラッドレイは1,800両近く供用中で米陸軍では二段階で性能改修を行い、ちょうど半分まで来ている。2018年1月にさらに上の性能を狙うM2A5改修の企画が生まれ、搭載兵員数を増やすべく車体の拡大と装甲を強化し、30mm機関砲の搭載を狙う。

 

陸軍の大型かつ強力な歩兵輸送車ブラッドレイはさらに大型化しそうだ。

 

M2A4 性能改修型

 

米陸軍ではブラッドレイが活躍する場面はM1エイブラムズ主力戦車より多い。イラク砂漠戦となった1990-1991年の湾岸戦争でブラッドレイはエイブラムズ以上の敵装甲車両を葬った。

 

敵の犠牲となったブラッドレイはわずか3両で、友軍の誤射で破壊されたほうが多い。だが、その後、長期化したイラクでの対戦闘員作戦中にブラッドレイ数十両の喪失が発生した。装甲防御で改良を受けていたにもかかわらずだ。そもそもブラッドレイでは地雷や即席爆発物(IED)への防御は優先度が低く、これより装甲が薄いストライカー装甲車両より被害事例が多くなっていた。

 

装甲改良とあわせセンサー機能の充実を図ったものの本格的な解決策にならなず、追加重量がエンジン負担につながり、電気系統に不足が生まれ、機動性が犠牲となってしまった。2012年からM2A4仕様への改良が始まり、現在も「技術改良提言」(ECP)を二段階で進めている。

 

このうちECP1がほぼ完了しており、ブラッドレイは設計時の車両性能を回復すべく、大型トーションバーと軌道改修を行い、サスペンションとショックアブソーバーを取り換えた。これにより車両の摩耗が減り、信頼性が高まり、地上クリアランスが増えIED爆発時の残存性が高まった。

 

 

ECP第二段階では電気系統の強化、パワートレインに従来より高出力の電気系統に対応した新型電力管理ソフトウェアを導入する。2018年開始予定だったが、ソフトウェアのバグつぶしと信頼性問題で開始が遅れた。ただし、改修後のブラッドレイは平均281マイルでの故障と想定した400マイルに満たない状態で、電力系の故障とトランスミッションオイル冷却が原因となっている。にもかかわらずECP2の実施は間もなく本格開始される。

 

ブラッドレイ改修でM3騎兵戦闘車両に近くなる。M3は装甲偵察任務に投入されている。M2A4仕様へ改修が終わった車両は従来より高い性能を発揮し、さらに上を狙うM2A5仕様への改修に近づく。

 

M2A5で車体大型化、砲塔が実現

 

M2A5では第三世代の前方監視赤外線(FLIR)センサー、レーザー照準器、カラー外部監視カメラで敵を長距離で捕捉することが可能となる。なお、エイブラムズ主力戦車の装備品と同時に改修を行う。

 

また、ブラッドレイの砲塔、車体がともに大きく変わる予想図が出ており、開発には4-5年かかるとするとの予測がツイッター上に出た。米陸軍は新型車両の開発及び部品調達に6億ドルを計上しているが、さらに増加するとみられる。ペンタゴンが砲塔と車体ともに対象とするかあるいは片方だけを選択するかは不明だ。

 

車体はストレッチして追加装甲の搭載、新型トランスミッション、さらに搭載人員を8名に追加する。車重は40トンへと一気に20パーセント増になる。改良で車内の隊員には従来の二倍から5倍の装甲防御が実現するという。

 

防御面の改良ではアクティブ防御装備(APS)があり、飛来するミサイルやロケット推進手りゅう弾に対抗する。エイブラムズ戦車ではトロフィーAPSが導入されているが、ブラッドレイではイスラエル製アイアンフィストをテスト中だ。

 

砲塔関連では25mm機関砲にかわり30mmのXM813ブッシュマスターII自動機関砲が搭載される。同装備はストライカー装輪歩兵輸送車両にも導入されている。一見、大幅改良に見えないが、30mm弾は25mm弾の二倍の大きさがあり、炸裂効果、装甲貫通効果がともに大きくなる。

 

射程が2マイル近くとなり、装甲貫通能力も30パーセント増えるとの観測がある。ブラッドレイは敵IFVの撃破で実力を発揮するはずで、シリア、イラク、ウクライナなどで存在感を増しているIFVによりよく対応できるようになる。さらに新型砲は空中炸裂へプログラム可能で遮蔽物背後に潜む敵部隊やヘリコプターにも有効に使える。ただし銃弾が大きくなるため、従来の300発搭載が180発に減る。とはいえ、ブッシュマスターIIでも毎分200発発射のまま、精度があがり、火力が増すため、同じ効果を得るため発射弾数は少なくてすむとする。

 

新型砲塔では車長、砲手双方の視野が広がり、イーサネットにより両名の動きが連携でき、レーザー照準器、航法装置の性能がともに上がる効果も期待できる。その他、「5.56mm制圧兵器」の遠隔制御機関銃が敵地上部隊から車両を防御するとの予想がある。

 

当然ながら車体拡大と砲塔の改良でブラッドレイに悪影響も出る。車重が増え操縦性が低下し、価格上昇で世界各地への展開も困難となる。とはいえ、陸軍としてはブラッドレイの残存性を高めるべくロケット推進手りゅう弾やIEDの脅威に悩まされたイラク、アフガニスタン戦訓を念頭に、同時に新型誘導対戦車ミサイルやIFVへの対抗も進めたいとしており、今後の超大国相手の戦闘も視野に入れている。より軽量な車輪走行式のストライカーAPCも新型砲・ミサイルが導入しつつあるが、ブラッドレイでは残存性を確保しつつ攻撃力を最も過酷な戦闘環境でも確保し、戦場に真っ先に投入するとしている。■

 

Could a Bradley Fighting Vehicle Take out a Tank?

by Sebastien Roblin

August 27, 2021  Topic: Bradley Vehicle  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: BradleyIFVInfantry Fighting VehicleTankArmorMilitaryTechnologyU.S. Army

 

 

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

This article first appeared in February 2018.

Image: Wikimedia Commons.


2020年10月6日火曜日

M2ブラッドレイの武装強化 50mm砲とブッシュマスター砲で最強の歩兵戦闘車両になる

 https://www.reutersconnect.com/all?id=tag%3Areuters.com%2C2011%3Anewsml_GM1E79119LA01&share=true


 

M2ブラッドレイ歩兵戦闘車両は二回の湾岸戦争を通じ性能改修されてきたが、米陸軍は今後も供用可能と見ている。

 

ノースロップ・グラマンはM2用にXM913 50mm砲を納入しているが、米陸軍ではブラッドレイ主砲に別の選択肢も検討中だ。

 

Janesは同社に同火砲の技術成熟化契約が交付され、8月末に

 XM913 砲4門が納入され、10月中に7門が納入されると伝えた。同社は10門の追加発注を期待している。

 

「50mm砲とブッシュマスターチェーンガンの組み合わせで信頼度高い有効射程が生まれ、同等戦力を有する敵部隊にスタンドオフ距離から攻撃を加えるチャンスが増える」とノースロップ・グラマン広報がJanesに語っていた。

 

 

陸軍は新型50mm砲の試験を昨年から開始した。同砲は次世代戦闘車両(NGCV)へ搭載をめざし、ノースロップ・グラマンは2019年のブッシュマスターユーザー会議で実弾発射実演を行い、陸軍装甲車両への搭載可能性を誇示した。

 

ブッシュマスターチェインガンはロケット弾、砲弾、迫撃砲弾への対抗手段(C-RAM) さらに無人機対抗手段 (C-UAV) としての有効性を試験中だ。もともとは拡大地域防御生存性統合実証(EAPS ID)の一環で開発され、その後遠距離移動目標の追尾能力を干渉レーダー、火器管制コンピューターと無線発信機受信機を使い、発射後修正弾として利用可能かテスト中だ。

 

陸軍はノースロップ・グラマンと共同で同砲のNGCV搭載をめざす一方で、供用中兵装でも発射速度、有効射程を改良する。

 

NGCVでは速力、とり回し性能、遠征戦闘投入の重視で決まっており、敵の火砲発射前に撃破する能力が求められる。

 

XM913砲は二種類の発射弾を使う。ひとつがXM1204高性能爆発性空中炸裂弾軌跡付High Explosive Airburst with Trace(HEAB-T)、そしてXM1203安定板つき装甲貫通弾軌跡付Armour-Piercing Fin-Stabilized Discarding Sabot with Trace(APFSKS-T)で、同砲は陸軍が目指す高威力高精度中口径砲Advanced Lethality and Accuracy System for Medium Caliber(ALAS-MC) の中心となるとJanesが報じている。

 

ALAS-MCでは機動性を発揮しながら命中精度を上げるのが目標で有効射程も従来より伸びる。

 

「性能向上で砲操作の幅が広がり、砲撃は従来の三倍のペースで実施できる」と米陸軍戦闘能力開発本部で高性能装備品部門のケヴィン・フィッツパトリックが語る。

 

ALAS-MCには供用中装備品を上回る性能と威力の高性能中口径兵器装備品になるとの期待がある。さらに長射程を生かしスタンドオフ攻撃を現状を上回る精度で実施できるようになる。

 

「ALAS-MC開発でもう一つ鍵となるのが将来のシステム拡張を見越した開発モデルを使用していることで、今後登場する新技術にも呼応し多彩なミッションをこなせる」とフィッツパトリックは述べている。

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Check Out the Bradley Fighting Vehicle's New 50mm Gun

October 3, 2020  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: XM913U.S. ArmyMilitaryDefenseWarXM913 50mm Cannon

The weapon is massive and can shoot even more powerful ammunition.

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com. This first appeared earlier and is being republished due to reader interest.

Image: Reuters


2020年7月22日水曜日

米陸軍がブラッドレイ戦闘車両の後継装備の提案要求を公表

   

シリア北東部の名称非公開地点にある米陸軍基地で待機するブラッドレイ戦闘車両部隊 Nov. 11, 2019. (Darko Bandic/AP)


陸軍は遅れている有人操縦切り替え式戦闘車両 optionally manned fighting vehicle (OMFV)で初期設計段階での提案要求原案を7月17日に発表した。ブラッドレイ歩兵戦闘車両の後継装備の再立ち上げで大きな一歩となる。

OMFVは陸軍が目指す次世代指揮統制事業f Army Futures Commandで初の大規模調達案件となる。

初期段階は40日間の期間で、業界の反応を吸い上げて次のRFP段階に移るもので、今年後半にRFPが出る。最終版RFPは2021年6月の予定で上上限5社に設計契約を交付し、次の競合段階に移る。

「OMFV事業では五段階の最初の段階にあり、業界の意見、希望や画期的な思考内容がかぎとなります」とブライアン・カミンズ少将(地上戦闘車両装備の統括官)が声明文を発表した。「業界にはフィードバックや知見を期待し、真の意味で画期的な車両が実現するようにしたい」

次世代戦闘車両横断機能チームを率いるロス・コフマン准将がここに加え、「望ましい性能諸言を細かく定義することで設計を必要以上に制約させないことが決定的に重要と考える」と述べている。

「陸軍は業界とオープンな意見交換を保ち、OMFVの最終的な性能諸元に技術面の進歩の裏付けを与えたいと考えている」

業界から情報フィードバックを重視する姿勢は同事業の過去を振り返れば意外な感はしない。OMFV構想が生まれた時点で陸軍は試作競技を二社に絞りこみ、評価の末一社を採択する構想だった。

だが昨年10月にOMFV提案企業はジェネラルダイナミクス・ランドシステムズ一社となり、他の企業は要求内容と日程のため脱落していた。

その結果、1月に陸軍は事業を再度立ち上げなおすと発表し、競合を促すとした。そこには3月に開かれた議会公聴会で幹部が猛烈な批判を受けたこともある。

RFP原案は政府の入札公募ウェブサイトに7月17日に掲載されており、「業界による設計の自由度とともに技術革新の盛り込みを許すべく、陸軍は性能諸元の数値表現や説明はしない」とある。

カミンズ少将は「業界を一定の解決策の中に封じ込めるまねはしたくない」と説明。「業界には逆にこれまで得た知見から創造的な思考で陸軍に画期的な技術内容や解決策を提示するよう奨励しつつ、構想の実現を目指したい。実用化されつつある新技術を採用しながら将来の発展性の余地を残したOMFV装備を実現したい」■

この記事は以下を再構成したものです。

US Army releases draft RFP for Bradley vehicle replacement

By: Aaron Mehta

2018年2月8日木曜日

★米陸軍M2ブラッドレイ戦闘車両の改修作業の方向性について

このブログでは地上戦装備を扱うことはまれなのですが、どうしても気になるのでブラッドレイ歩兵戦闘車両(IFV)を取り上げます。War Is Boringの記事です。

The U.S. Army’s Bradley Fighting Vehicle Might Get Even Bigger米陸軍ブラッドレイ戦闘車両は大型化More firepower and other upgrades火力増強他のアップグレード



The U.S. Army’s Bradley Fighting Vehicle Might Get Even Bigger


WIB LAND February 5, 2018 Sebastien Roblin


M2ブラッドレイ歩兵戦闘車両の役目は歩兵部隊を戦闘現場に搬送だが戦車と報道で誤解されることが多い。確かに軌道走行式で33トンの威容をほこり、25ミリブッシュマスター自動砲とTOW対戦車ミサイル発射機まで搭載するのでやむを得ない。
 ただしブラッドレイ批判派は火力が貧弱と攻撃する。理論上は車内の機械化歩兵隊は敵の位置を偵察したり、待ち伏せ攻撃をかける、防御陣地を固める、敵を建物からあぶりだす、などブラッドレイから降車しての作戦が前提だ。
 M2が兵員輸送車として7名しか運べない制約があるが、これでも初期型の6名より増えているのだが、機械化歩兵分隊は9名体制なのだ。このため機械化歩兵分隊は三つに分けて四両のブラッドレイに搭乗する。つまり全員が同じ車両に乗れない。
 ブラッドレイM2とM3は1,800両供用中で米陸軍は二段構えで改修を進め、動力出力を引き上げシャシーに乗せ搭載コンピュータを更新し将来に対応させる。M2A5改修は2020年代中ごろの予定で、車体を拡張し搭載能力を増やし、強力な30ミリ砲塔を搭載する。
 陸軍最大の装甲兵員輸送車はより大きくなり、威力を増すのだ。

Above, at top and below — M2 Bradleys. U.S. Army photos


M2A4の動力系改良内容
 実はブラッドレイはM1エイブラムズ主力戦車より頻繁に戦闘に投入されきた。1990年から91年の湾岸戦争ではイラク砂漠でブラッドレイはエイブラムズより多くの装甲車両を狩ったといわれる。
 湾岸戦争で破壊されたブラッドレイはわずか三両で、友軍の誤射での喪失の方が多い。ただしイラクではブラッドレイ数十両が戦闘員との戦闘で喪失している。車両は爆発性反応装甲や追加装甲板で強化していたのだが。ブラッドレイは地雷や即席爆発物(IED)の防御は考慮していないが装甲が薄いストライカー車輪走行式APCより攻撃に耐えている。
 装甲強化やセンサー性能引き上げで効果が出たが重量増はエンジンに負担となり電装系でも影響が出て機動性が低下した。2012年からブラッドレイはM2A4仕様に改修が始まり、二回にわたる「技術変更提案Engineering Change Proposals(ECP)」を実行中だ。
 その一回目ECP1はほぼ完了し、ブラッドレイは当初の自走性能を回復した。トーションバーと足回りを強化しサスペンションにも手を入れショックアブソーバーを更新した。これで車体摩耗を減らし信頼性を上げながら地上高を増やしたのでIED対策にもなる。
 二回目のECPで電装系とエンジン回りを強化し新装備搭載での出力増に対応するほか出力制御ソフトウェアもインストールする。2018年開始予定だったが信頼性の確認とソフトウェアのバグで延期される。改修後のブラッドレイは平均281時間でシステム故障を発生させており、想定400時間未満にとどまっている。これは駆動系故障や変速機の潤滑油冷却不良が原因だ。にもかかわらずEP2開始は急ぐ必要があり、2月の新ソフトウェア完成が待たれる。
 ブラッドレイ改修は装甲偵察部隊が使用するM3騎兵戦闘車両やM7 FIST火砲方位支援車両とも関係する。M2A4型は改修後に性能が向上し、さらにその後予定されるM2A5型改修の多様な内容による重量増に対応する。


車体大型化と砲塔更新を同時に狙う?

 2017年にブラッドレイ改修を率いるクリス・コンレイがM2A5は第三世代前方赤外線センサー、レーザー照準器、カラー外部カメラで長距離から敵を捕捉可能となると述べていた。これは同時進行中の改修型エイブラムズとの互換性もねらう。

 昨年1月にシェパードメディア記者のグラント・ターンブルがツイッターでブラッドレイ砲塔や車体の大幅改修図を掲載し開発は4-5年かかると予想していた。
 米陸軍は600百万ドルで新型開発と部品調達を始めているが金額は今後増える見込みで、ペンタゴンが改修を一回で済ますのか二回に分けるかは不明だ。
 車体延長で装甲強化、新トランスミッション、8名目の隊員運搬を実現するので9名体制の分隊で乗れないのは一名だけになる。車重は40トン未満と20%増となる。車両改良で歩兵隊は「二倍から5倍の防御力で守られる」ことになる。
 防御装備の改良ではアクティブ防御システム(APS)でミサイルやロケット推進手りゅう弾を打ち落とす。エイブラムズ戦車ではショットガン形状のトロフィーAPSの搭載が始またが、ブラッドレイはイスラエル開発のアイアンフィストを搭載する。
 砲塔改修では25ミリチェーンガンを30ミリXM813ブッシュマスターII自動砲に交換し火力増強する。ストライカー車輪式歩兵運搬車にも導入されているのと同じ装備だ。大きな変化に聞こえないかもしれないが炸薬量が異なり装甲貫通力が増す。
 砲の有効射程が二マイル伸び装甲貫徹力は30パーセント増える分析がある。これでブラッドレイは敵のIFVを効果的に狩れる。シリア、イラクからウクライナまでIFVは頻繁に登場しており、装甲や兵装が向上している。
新型砲はプログラム可能な空中破裂弾が使用可能で掩蔽物の背後で隠れる敵や無人機やヘリコプターを狙うことが可能となる。
 大型弾薬には携行弾数が300発だったのがわずか180発になる欠点もある。だがブッシュマスターIIも毎分200発の性能は変わらず正確な射撃が可能となる。各弾の威力が増していることで標的を狙うのに発射弾数が減るといえる。
 その他の改良点に車長、砲手の視野を広げ、イーサネットで僚車とネットワークを組み、レーザー測距機や航法システムを改良する。ツイッターでは「5.56ミリ制圧兵器」も出ており、遠隔操作機関銃で敵歩兵隊からの防御手段だろう。
 砲塔と砲の改良で車重増で遠隔地展開が困難になる欠点も生まれる。
陸軍はブラッドレイの生存性を高めようとし、ロケット推進手りゅう弾やIEDを念頭に誘導対戦車ミサイルや敵IFVとの高密度戦も想定する。軽量車輪走行式ストライカーAPCも新型砲やミサイルを搭載する中、ブラッドレイは一番過酷な環境で生存しつつ威力を発揮させたいとする。もちろんそのような戦場での兵員輸送は難易度が高い課題だ。■

改修加しながら長期間稼働に耐えるのは設計に十分の余裕が想定されているからでしょうね。取得時に高価格でも長期間使えればよい買い物になるでしょう。陸上自衛隊でブラッドレイに匹敵するのは89式装甲戦闘車でしょうが、やや小型ながら歩兵7名を運搬できるとありますが、ブラッドレイ並みに長期間耐用できる設計なのでしょうか。車両関係に強い読者からのコメントをお待ちします。