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2017年3月15日水曜日

アルゼンチンのフォークランド奪取の可能性遠のく(当面は)



フォークランドでは相手装備が30年前より劣化したため、英軍もこれだけの防衛体制ですむのでしょうね。これに対して日中では年ごとに装備能力が進んでいきますから深刻度が全く違います。フォークランドには基地があるのが大きな違いですが、尖閣では海上抑止体制の限界が来たら日本はどんな選択をするでしょうか。

The National Interest
The Window for Argentina to Invade the Falkland Islands Is Fading
March 13, 2017


  1. 現時点のフォークランド諸島における英防衛体制はユーロファイター・タイフーン戦闘機4機と1970年代の旧式レイピア対空ミサイル陣地だけだ。英軍は短距離スターストリークミサイルをRAFマウント・プレザントに隠しているかもしれない。
  2. だがレイピアは旧式化しており、スターストリークは短距離でしか使えない。1982年のフォークランド戦争で英軍はレイピアでアルゼンチン機を20機撃墜したとするが、アルゼンチンは喪失3機と主張。両陣営が過大評価したようだ。
  3. フォークランドの防空体制強化が今後数年のうちに必要で、アルゼンチンは奪取の構えを捨てていないが実際には侵攻は極めて困難だ。アルゼンチンの1998年経済不況は軍も打撃し、空軍は戦闘機が一機もない。
  4. アルゼンチン大統領マウリシオ・マクリは領土奪取の夢を捨てていないものの前任者より静かな姿勢だ。
  5. 防御兵装は保険であり、将来のアルゼンチンが軍再構築に乗り出さない保証はない。現にアルゼンチンは戦闘機調達に乗り出したが不調に終わっている。だが状況がいつ変化してもおかしくない。
  6. 英軍も1980年代から大きく縮小しており、クリーンエリザベス級空母二隻が2020年代に就役しても作戦投入できるのは一隻だけのはずだ。現時点でヘリコプター空母HMSオーシャンが唯一の空母だ。
  7. そこで2020年までにレイピアの代わりに全天候無線周波数誘導方式の共用対空モジュラーミサイルCAMMを導入する。弾頭は接触式、近接式どちらでも運用できる。
  8. CAMMは中距離ミサイルで射程は15マイルしかないがそれでもレイピアの三倍だ。メーカーMBDAは射程延長型を開発中で27マイルまで伸びるが、これは輸出専用となる。だが同ミサイルは高機動型でレーダー照射を見通し線内で照射し続ける必要がないのはレイピアにはない特徴だ。CAMMは大規模センサーネットワークで標的を「見る」事が可能。
  9. CAMMはデータをジラフAMB(スウェーデン製パッシブ電子スキャンアレイレーダー)が75マイル内を探知したデータを利用する。ここにイスラエルがアイアンドーム用に開発した戦闘統制装備を組み合わせる。
  10. 英国防省は78百万ポンドで極秘のうちにイスラエル企業ラファエルにシステム開発を2016年12月に発注したがこれが最近判明した。
  11. イスラエルがNATO非加盟国でアルゼンチンにも武器販売をしていたため物議をかもした。英国は以前にもイスラエル製装備を購入しており、2007年にはスパイクミサイルを極秘調達し、イラク、アフガニスタンに配備している。
  12. CAMMの海軍版シーセプターの23型駆逐艦さらに26型フリゲートへの搭載は別途進行中だ。すべて総合するとアルゼンチンがフォークランド奪取する可能性は今でも少ないがこれからもっと厳しくなる。■


2015年2月8日日曜日

☆中国がアルゼンチンに戦闘機供与をする動きで注意が必要



そう、アルゼンチンンは英国とフォークランド諸島の帰属をめぐりずっと対立関係にあり、中国が小規模とはいえ、新鋭戦闘攻撃機をアルゼンチンに供与することは英国の神経を逆なですることになります。アナロジーとしては尖閣諸島問題を中国は想起しているのでしょうか。今後の動向に注目ですね。

Argentina and China agree fighter aircraft working group

Gareth Jennings, London - IHS Jane's Defence Weekly
05 February 2015
Argentina and China have formed a working group to look at introd中国はアルゼンチンと共同しアルゼンチン空軍 (Fuerza Aérea Argentina - FAA)への中国製戦闘機導入を検討する。
  1. 作業部会の立ち上げがアルゼンチン大統領クリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネルの訪中(2月2日-5日)で協議されており、譲渡対象は成都航空機 Chengdu Aircraft Corporation (CAC) のFC-1/JF-17あるいはJ-10が候補だ。アルゼンチンは14機の受領を期待しているが、具体的な日程は明らかでない。
  2. これまでアルゼンチンは旧式化進む戦闘機部隊の機材ダッソー・ミラージュIIIEA、IAIダガー、マクダネル・ダグラスA-4スカイホークの更新を求めてきた。
  3. これより前にロシアがスホイSu-24フェンサーをリース提供する働きかけをしていた。英国防省は各報道内容を深刻に受け止めており、フォークランド諸島防衛体制の検討を開始している。Su-24がFAAで実用化されるとは考えにくいが、同様の機材がアルゼンチンの手に入れば、長引くウクライナ紛争をめぐりロシアと英国の政治ゲームになる。
  4. 別の可能性としてはスペインの余剰ミラージュF1、イスラエル航空宇宙工業(IAI)のクフィール、サーブのグリペンE/Fの導入が考えられたが、各案は政治経済的な理由から頓挫している。グリペン案は同機のシステム多数を製造する英国が巧みに拒否権を行使し実施できなくなった。
  5. 中国製FC-1/JF-17は以前からFAAも選択肢に入れており、今回の両国合意で再度浮上したことに関心が集まる。ただし、J-10は以前は検討の対象外だった。
  6. J-10は2006年に登場し、ヨーロッパのカナード付各機と類似しているが、実はIAIのラヴィをもとに開発したとされ、ラヴィもロッキード・マーティンのF-16をモデルとしたといわれる。
  7. 同機は単座単発仕様で最高速度は、マッハ1.8、実用高度限界は55,000 ftで +9/-3 gで運用が可能、作戦行動半径は300カイリで、ペイロードは6.6トンを計11か所のハードポイントに搭載する。搭載可能な兵器にはPL-8 (Python 3) やPL-11、 PL-12; Vympel R-73、 R-77の空対空ミサイル、C-801またはC-802空対地ミサイル、YJ-8K対艦ミサイル、YJ-9対レーダーミサイルがあり、レーザー誘導爆弾あるいは通常型爆弾は6発を搭載できる。
  8. 機内には23㎜機関砲を搭載し、中国独自開発の赤外線レーザー航法目標捕捉ポッドも利用可能。
  9. 人民解放軍空軍(PLAAF)はJ-10を300機導入するとみられ、FAAも導入すれば相当の戦力アップにつながるだろう。■