Nuclear Engineering International
ニュークリアエナジーナウは、技術、外交、産業動向、地政学の分野における最新の原子力エナジーの動向を追跡しています。
NASAが月面原子炉の早期開発を推進
世界は21世紀の宇宙開発競争の初期段階を目撃しているかもしれない。トランプ政権がNASAの2026年度予算を24%削減する一方、米国は2030年までに月面に原子炉を建設し、月面永久基地の設立目標を達成する計画を加速している。100キロワットの原子炉は、NASAが2022年に支援のため500万ドル契約を締結した以前の設計の2倍を超える出力だ。米国は以前から月面原子炉の計画を進めてきたが、スケジュールの加速は、中国とロシアが今年初めに2035年までに独自の自動化月面原子力発電所の建設を目指す意向を表明したことに応じたものと考えられる。北京は2030年を目標に初の月面着陸を目指している。新たな指針は、2030年代末までの配備を確実にするためスケジュールを前倒しし、原子力発電を月面経済の基盤、火星探査の長期ミッション、宇宙における地政学的影響力の強化を可能にする重要な技術として位置付けている。
ケンタッキー州にウラン濃縮施設が建設される
米国におけるウラン生産量の増加(2023年のU₃O₈ 5万ポンドから2024年の67万7,000ポンド)を背景に、カリフォーニア州に本社を置くGeneral Matter社は、ケンタッキー州の旧パドゥカ・ガス拡散工場跡地に15億ドルでウラン濃縮施設を建設する。富豪ピーター・ティールの支援を受け、元スペースXエンジニアのスコット・ノーランが率いる同社は、2030年までに施設を稼働させ、次世代原子力技術、製造、人工知能(AI)ブーム向けの燃料を供給する。エナジー省(DOE)の承認済みウラン供給業者リストに既に掲載されている同社のプロジェクトは、トランプ政権の執行命令に合致し、原子力エナジーの拡大と国内燃料供給網の強化を推進する。
デンバー空港が小型モジュール炉の導入を検討
デンバー国際空港(DEN)は、「世界で最も環境に優しい空港」を目指すため、小型モジュール炉(SMR)導入を検討している。SMRが空港の電力需要、規制要件、コストを満たすかを判断する可能性調査は、6ヶ月から1年程度かかる見込みだ。この決定は、コロラド州が最近原子力発電をクリーンエナジー資源として再分類したことに一致し、DENが2045年までに年間乗客数を1億2,000万人に増加すると見込む中で行われた。この動きにより、DENは世界の大規模空港で初めて原子力発電によるエナジー自立を模索する空港となり、大規模交通ハブでの先例となる可能性がある。
米国原子力再稼働が加速
トランプ政権の既存原子力発電力の拡大推進が前進しており、閉鎖された原子力発電所の再稼働計画が先導している。ミシガン州のHoltec Internationalが運営する800メガワット(MW)の「Palisades」原子炉(米国で最初に再稼働する可能性のある施設)は、連邦政府の貸付保証資金で5回目の支払いを承認され、総支払額が8,300万ドルを超えた。アイオワ州では、NextEra Energyが615MWの「Duane Arnold原子力発電所」の再稼働を目指し、接続権の回復を申請した。これらの計画が成功すれば、その他再稼働や発電所改修と合わせて、米国の原子力発電容量は7%増加し、2030年までに5ギガワット(GW)を追加するトランプ政権の目標を支援する可能性がある。原子力規制委員会(NRC)は、追加の2GWの出力向上申請も予想している。
画像:sibsky2016/Shutterstock
Nuclear Energy Now – Reactors on the Moon and at Denver Airport
August 8, 2025