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2023年の展望③ 地政学で見る世界の現状、米中関係、ロシア、中東、アフリカなど

      2 1世紀で最初の25年が近づいてきが、世界情勢は今までになく不安定で、不確実なままだ。     2023年は、市場の混乱が続く中、過去数十年で最も困難な年になる予想がある。インフレは抑制されるかもしれないが、例外的に高止まりし、世界的な景気後退は避けられない。大きな疑問点は、景気後退がどの程度の長さと深刻さになるかだ。世界的な景気後退は、COVID-19大流行とウクライナ戦争に影響をされ、地域ごとに異なる反応を示すだろう。  英国は不況に突入していると言ってよい。米国は、地理的に近く、伝統的にエネルギーに依存しているため、ウクライナ紛争に直接さらされる欧州に比べて、景気後退は短く、深刻ではない可能性が高い。2023年に中国がCOVIDとの共存を覚えれれば、中国の景気は回復するだろう。しかし、いつ、どのようにウイルスを管理するかという問題が残る。さらに、パンデミック後の中国需要の回復は、欧米諸国にインフレ率の上昇をもたらすかもしれない。  新興国における債務の増大は、ほとんど持続不可能になりつつある。2023年には、協調的かつ効果的な再建努力が開始されない限り、特にアフリカで国債のデフォルトが続出するリスクがある。ガーナは2022年末に国際通貨基金(IMF)との間でぎりぎりの救済措置に合意した。2023年には他の国もこれに続くと思われる。さらに、投資家は保有株式のヘアカットの可能性にも備えなければならない。  地政学的な面では、ウクライナで今後数週間から数ヶ月の間に最悪の事態が起こっておかしくないという残念な現実がある。特にロシアは2022年末までの数ヶ月間に20万人以上の新兵を採用し、2023年前半の大攻勢に備えつつある。現時点では真剣な交渉のための信頼、意志、インセンティブがなく、当面の間、停戦の見通しは立っていない。  ロシアの指導者プーチンにとって、この紛争は存亡の危機であり、ウクライナでの勝利のため必要なものは何でも投入することを約束するものである。さらに、プーチンは時間が味方になると考えており、戦争を無期限に引き延ばすことができる。彼は、ウクライナ疲れによって、西側諸国の政治的連帯と国民の忍耐力を時間をかけて消耗させようとする。しかし、ロシア軍の士気と資源へのアクセスは、プーチンが勝利を追求する上で深刻な課題となっており、そもそも勝利がまだ明

2023年の展望② ウクライナ戦の決定要因は弾薬数だ。西側防衛産業は増産が不可避となる

2023年の展望。ウクライナ戦は消耗戦へ。 西側兵器産業の増産は避けられない。 Image: Russian State Media. ウ クライナ戦争は、2カ月足らずで1周年を迎える。ウクライナ軍の戦果とウクライナ国民の総合的な回復力が予想を超えた事実で祝福されるべきだろう。ウクライナの決意は揺るぎないが、同時に、プーチンとモスクワのとりまきたちは、勝利にむけたコミットメントを倍加させているように映る。      これはもはや消耗戦であり、人口や領土の面ではモスクワが有利に見えるものの、この戦争では人的要因と弾薬が決定的となる可能性がある。  ウクライナ戦争は、戦争における人的要因の決定的な重要性を示している。独裁者の誇大妄想がいかに危険で破壊的であるか、特に長期にわたって権力を握ってきた者がいかに危険な存在かを明らかにしている。また、ロシア伝統の腐敗が、自国の軍事力について歪んだ情報評価を常に生み出し、プーチンに行き過ぎた行動を取らせている。  何よりも、政治学の「現実主義」パラダイムに反し、故郷が攻撃され、同胞が殺害される事態に対し、動員された自由と愛国心のある人々が何を成し遂げられるかをウクライナは、再び示している。  しかし、ウクライナ戦争は急速に数の戦争になりつつある。簡単に言えば、弾薬量の問題だ。これはロシア側にもウクライナ側にも当てはまる。ロシア自慢の弾薬は、NATOとの全面戦争に備え、ソ連時代に計画されたものだが今や恐ろしい速度で枯渇しつつある。夏の最盛期、ソ連の戦術書に従い大規模な砲撃で作戦を遂行したとき、ロシア軍は1日に約6万発、ときにはそれ以上の弾丸を発射していた。現在、ロシアは1日にせいぜい2万発、時にはそれ以下しか撃てず、その限られた量を維持するために備蓄から蔵出ししている。一方で、ロシアはイランや北朝鮮をはじめ、世界各地で軍需品の買い付けを行っている。  さらに、ロシアがベラルーシから持ち込んだ弾薬の備蓄は、ほぼ使い尽くされたようで、モスクワにとって状況は厳しい。「ソ連流の戦争方式」を維持できる軍産複合体かが問われている。  ロシアが新たな30万人規模の攻撃部隊を訓練する準備を進めている中で直面しているもう一つの問題は、新編成部隊が、昨年2月にウクライナで活動した部隊の質に及ばない可能性だ。ヴァレリー・ゲラシモフ将軍の改革が生み出したロ