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2019年5月12日日曜日

★中国が対米戦に勝てない理由---あと20年で中国は減退する

コメントは下にあります。
China's Big Mistake: It Thinks It Can Beat America In a War 
対米戦に勝てると信じる中国の大誤算
But it forgot about U.S. submarines. 
中国は米潜水艦部隊の存在を忘れている

by David Axe 

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May 3, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaAmericaSouth China SeaWorld War IIITaiwanNuclear Submarines

https://nationalinterest.org/blog/buzz/chinas-big-mistake-it-thinks-it-can-beat-america-war-55747



まず悪いニュースから。中華人民共和国は台湾その他へ軍事強硬策に出ても米国の介入を防止できると信じ込んでいる。

次に良いニュース。中国は間違っており、大きな理由がある。米国原子力潜水艦部隊の決定的な戦力を無視しているからだ。

さらに経済、人口構造の問題から中国の選択肢は限られる。今後二十年以内に軍事行動を取らないと中国は希望どおりに事を進められなくなる。

世に知られずに世界秩序を支えているのが米海軍潜水艦部隊だ。中国への防御線は今後20年間維持の必要がある。無事に終われば対中冷戦の勝利を静かに宣言できるのではないか。



中国の勝利条件
悪いニュースの源は米空軍の国家航空宇宙情報センターのリー・フュエルで1月に米中経済安全保障検討委員会で証言していた。

中国の軍事作戦立案部門は人民解放軍が台湾あるいは尖閣諸島を攻撃するのであれば真珠湾同様の先制ミサイル攻撃で在日米軍とグアムを叩くはずだ。PLAが恐れるのは米軍の圧倒的戦力の介入で、主戦場から米軍を排除しない限り中国に勝ち目はないと信じている。

先制攻撃に高いリスクがともなうのはいうまでもない。だが成功すればPLAは防衛部隊を敗退させる時間と空間を稼げ、領土奪取で戦後処理に有利な立場を確保できる。

だが中国が米軍を奇襲攻撃で無力化できないと、中国は二方面で全面戦争を強いられる。侵攻の相手国に加え米太平洋軍が全力で立ち向かってくるし、世界は米国を強く支持するだろう。

という構図だったが、二十年に渡る軍事力近代化で中国軍は戦略を昨年根本的に更新している。フュエルはPLA関係者の近年の著作物を見ると「PLA内部が自信を強めており米軍介入に耐えられると見ている」。

先制攻撃は選択肢からはずれ、米軍の全面的反攻の可能性も減った。反対に中国は台湾他を侵攻しても流血無しで米軍介入を食い止められると信じ圧倒的な軍事力を展開し、弾道ミサイル、空母、ジェット戦闘機等々を示し米国に介入を断念させる。

米軍介入抑止への努力積み重ねが世界を変えるかもしれない。「台湾、日本、フィリピンの防衛義務に背を向ければ東アジアを中国の支配下に明け渡すことになる」と同日の委員会公聴会で大西洋協議会主任研究員ロジャー・クリフが述べた。

もっと悪いのは世界の自由貿易の秩序さらに民主体制全体が回復不能な損傷を受けることだ。「米国には民主国家が生き残り繁栄できる世界が道義上も物質上でも必須だ」(クリフ)

自由体制に幸運なのは米国に世界最強の潜水艦部隊があり、中国の攻撃部隊を即座に撃沈できることだ。手を出すなと米国に伝えるPLAは米国の水中戦力が目に入っていないようだ。



沈黙の部隊
中国が米潜水艦を無視するのは驚くべきことではない。米国人でさえ自国の水中戦力を意識しておらず、これを責めることはできない。米潜水艦部隊は秘匿性ステルス性を最大限にすべくメディア露出を避けている。「潜水艦は世界の海洋中を誰にも見つからず巡航しています」と米海軍はウェブサイトで説明している。

米海軍には潜水艦74隻があり、うち60隻が攻撃型潜水艦または艦船攻撃や対地攻撃に特化のミサイル潜水艦だ。残りは弾道核ミサイル潜水艦で第三次世界大戦にならないと軍事行動は取らない艦だ。

攻撃型潜水艦33隻が太平洋艦隊所属でワシントン州、カリフォーニア、ハワイ、グアムに基地を配置する。毎年六ヶ月程度の航海に出動する米海軍の太平洋方面潜水艦は日本、韓国に寄港することが多く、北極海へも向かうことがある。

セシル・ヘイニー大将(前太平洋艦隊潜水艦部隊司令)によれば連日17隻が移動中で8隻が「前方配備」つまり戦闘箇所になりそうな場所で待機中だ。太平洋艦隊ではこれは中国近海を意味する。

米潜水艦には艦種がいろいろある。数が多いのは冷戦時に頼りにされたロサンジェルス級攻撃型潜水艦で順次ヴァージニア級と交代している。ヴァージニア級はステルスとセンサーで改良されている。秘密に覆われたシーウルフ級は3隻のみだが全部太平洋方面に配備され大型高速かつ重武装艦だ。オハイオ級ミサイル潜水艦で弾道ミサイル任務を解かれた艦は巡航ミサイル154発を搭載する。

米潜水艦は世界各国の潜水艦より艦体が大きく、高速かつ静粛で戦力もすぐれている。さらに隻数が多い。英国は新型アスチュート級攻撃潜水艦を建造中だが7隻のみだ。ロシアは新型攻撃潜水艦12隻の維持を目標としている。中国は初歩的原子力潜水艦数隻の配備をめざしている。

海中に潜み突如魚雷やミサイル攻撃をする潜水艦には隻数以上の戦術戦略上の意義が生まれる。1982年のフォークランド戦争で英潜水艦コンカラーはアルゼンチン巡洋艦へネラルベルグラノを雷撃で沈め323名が死亡した。これでアルゼンチン海軍は港内にとどまるのみとなった。

中国近海あるいは領海内に米海軍が布陣する8隻の哨戒ラインはPLAの対潜戦技量が未熟なことを考えると中国の軍事作戦を破壊する意味もある。「中国が台湾周辺の水上を制圧しても、米潜水艦を探知攻撃する能力は今後も大幅に制限されたまま」とクリフは証言した。「台湾海峡を航行する中国揚陸艦は発見され次第撃沈される」.

そうなるとPLAが近代化戦力で米海軍と水上戦、陸上、空の上で互角に戦えると信じ込んでいても関係なくなる。侵攻部隊が安全に移動できなければむき出しの軍事手段で台湾他を奪取する目標は達成できない。

この現実からワシントンの戦略にも影響が出る。米国がこれまで守ってきた世界秩序はほぼ完成しており、今はこれを保持し防御するだけだ。いいかえれば米国は中国に対し戦略的優位性にあり、中国は欲しいものを得るためには軍事攻撃を実施せざるを得ない。

「米側は中国本土侵攻はしないので地上部隊の出番はない」と米海軍大学院教授ウェイン・ヒューズは指摘する。「核先制攻撃も行わない。エアシー・バトル作戦は本土対象に実施しない。第四次世界大戦の口火をきってはいけないからだ」

逆に中国近海への自由な航行を米国は否定すべきだ。「脅威を与える手段は豊富に必要」とヒューズはいう。つまり中国制圧に最適化した艦隊は小型艦多数で貿易航行路を封鎖し、主要艦を潜水艦とすれば「シナ海双方で中国の艦艇商船隊を壊滅出来る脅威を与える」のだという。

クリフは米潜水艦1隻の「魚雷数発」で相手艦船は「自艦を守るため撤収」すると見ている。潜水艦8隻が3発ずつ発射し半数は命中して中国が運用する大型揚陸艦全部を沈められるので中国は台湾侵攻も尖閣諸島占拠も不可能となる。



今後20年間が勝負だ

米海軍が潜水艦哨戒体制をあと20年間維持できれば中国は攻撃できず現在の強硬な姿勢を守れなくなる。中国の経済・人口動向が原因で高齢化と経済成長鈍化で軍事装備近代化が進められなくなるからだ。

公平を期せば人口高齢化と経済成長鈍化による平和志向の高まりはほぼすべての先進国が経験している。だが中国の場合は深刻さが違う。出生率の落ち込みが共産党の一人っ子政策であまりにも急すぎるためだ。

また中国経済の成長が実態より高めに推移したのは独裁権力国家ならではの投資集中策の恩恵を受けたためだ。同時に政府が環境や国民の人権を無視できたため実現したと言える。

「中国を三十年で驚異的成長に導いた経済モデルは維持不可能なようだ」と海軍大学校のアンドリュー・エリクソンも米中経済安全保障検討委員会で解説した。

エリクソンは中国の「うっ積した潜在力」が早ければ2030年に失効しはじめ、その時点で「中国は世界最大の65歳以上人口国」になるからだという。「高齢化社会で慢性疾患が増えライフスタイルが多様化すると軍事開発と経済成長を支えてきた支出が他に向けられる」。

米潜水艦部隊の維持拡充に必要な予算支出を認めてきた政治決断は賢明な選択だった。潜水艦建造の落ち込みが懸念された2012年にペンタゴンの要望に議会が予算を計上し、単価25億ドルのヴァージニア級年間二隻建造体制が実現し世界最大の潜水艦部隊は永続的に持続できる。

ペンタゴンはヴァージニア級の改良も続けており、水中発進式無人機、ミサイル運用能力の拡充や新型対艦ミサイル開発をめざす。

中国の存在感、国家としての方向性および米国が中国の狙いを打破できる軍事力を保有していることを考えるとPLA幹部が中国周辺部に攻撃を加えながら米軍からの攻撃を免れ得ると見るのはいかにも現実離れした楽観論に写る。

先制攻撃をしても結果が変わるものでもない。中国封じ込めで実効力を発揮する米軍部隊に中国は手も足もでないためだ。その部隊は水中深く身を潜めている。■



This article by David Axe originally appeared at War is Boring in 2014.

あと20年ですか。中国自身は2049年に世界トップになると夢を描いているのですが、夢に終わるのでしょうか。中国指導部が自らの将来を正確に把握すれば逆に捨て鉢の暴力行為に出てこないですかね。その前に台湾に手を出さないかが心配ですし、一帯一路も中国の野心に世界が気づいて警戒していますし、なにしろ札びらで頬を叩く行為が野蛮そのもの。中国は急速にのし上がり、急速に没落する運命なのかもしれません。中国共産党が消えれば状況は変わるかも知れませんが。日本にとっては中国の消滅が発生してもショックを受けないようこれから備えていくべきでしょう。

2017年8月8日火曜日

人口減少社会の日本は防衛力を今後も維持できるのか



マルクスを笑ってもマルサスを笑えません。人口統計は時限爆弾であり将来の姿を示し、レトリックで変えられない事実です。21世紀の日本がこのままだと将来は暗いと言わざるを得ません。防衛体制も現状維持ができなくなればチャンス到来と虎視眈々と準備する野蛮な国があらわれそうです。変化を受け入れるのが下手で先を見ることが不得手な日本人ですがここは再び国家百年の計で100年=3世代と決して予測不可能ではない範囲で考え、行動する=子どもを増やす必要があるのではないでしょうか。あるいは移民?これは抵抗が強いでしょう。
http://en.kremlin.ru/events/president/news/55008/photos/49342

 

Japan's Demographic Crisis Will Only Get Worse. Here's Why That's Bad News for America

日本の人口構成の危機は悪化の一途。米国にも悪い予測が立ちふさがる

The Japan of the future will have fewer resources, both in men and money, to devote to its defense and economy.未来の日本で防衛に投入できる人的資源、資金は減る一方になる。
July 19, 2017

  1. 先進国の将来の姿を知りたければ日本に注目すべきである。完全雇用がありながら日本の賃金水準は伸びず、GDP成長は最小限、低金利のまま政府の借金は高水準のままだ。一見すると矛盾に見えるこういった要素はどんな結果を生むのか。日本特有の問題なのかそれとも各国にも共通の症状になるのだろうか。
  2. 日本の場合は人口構成が大きな要素だ。日本は前例のない人口メルトダウンに直面しており2010年の128百万人でピークだったが、現在は126百万人で今後も減少する。現在の年率0.4パーセント減が2040年代には1.0パーセント減になると2050年の総人口は現在から23パーセント減となる。中世の伝染病による猛威を除くとここまで大きな人口減はだれも体験していない。さらに今世紀末には総人口は50百万人と最高時の4割になる。
  3. 65歳以上の人口は増えるが伸びが落ち着いていることが関心を呼ぶ。75歳以上人口は2020年代までは伸びる。最大の影響を受けそうなのが14歳未満および15歳から65歳のグループで後者は労働人口とされる。2017年から2050年までで14歳未満人口群は4割減になる。労働人口は同時期に34パーセント減となる。そうなると総人口の減少以上に労働人口の減少が加速する。
  4. GDP成長に労働人口減が足かせになる。生産性が伸びても労働人口減が相殺する。2050年のGDPは現状水準を超えないだろう。労働生産性は今後も年率1.4パーセントを維持するだろう。これ自体は問題ではない。だが労働者数が1.2パーセント減を続ける予測で2050年ごろにはさらに減少度を加速する。効率よく労働しても労働人口自体の減少で相殺されてしまうのが問題だ。
  5. そうなると日本のGDPは今後も停滞しそうだ。GDP減少は景気循環と別物で人口構成自体が原因になる。今後注目すべきは労働人口一人当たりGDP統計で日本経済の状態をGDP総額より正確に伝えてくれるはずだ。
  6. 日本には隠れた予備資源がある。高齢人口の雇用もその例で、GDP成長を後押ししそうだ。雇用率はわずかに伸びるが現状でもOECD標準で相当高い状態にある。ともにGDP成長予測を引き上げる効果があるが伸びは限定的だ。
  7. 人口構成が与える次の影響は国家予算だ。日本の国家債務はこの25年間でかなり増加している。労働人口ピークは1990年代で以後は減少中のためGDP成長は減少し、国内金利水準は低いままだ。一方で高齢人口が増え労働人口が減り、退職者が増え、低金利がさらに続く中で日本政府は容易に債務を増やせた。
  8. 日本の財政赤字が目立ち始めたのは1995年で今日まで続いている。債務総額がGDP比200パーセントを超えており、2025年に225パーセントとピークになる見込みだ。IMFでは債務÷GDP比60パーセントを堅実財政の上限と見ているが、日本はこの基準を20年前に超過したままで国家運営を続けてきた。だがいつまで続けられるのか。
  9. GDP成長がさして見込めないまま、日本は経済成長を続けつつ絶対的、相対的いずれでも債務水準を減らす財源が期待できない。.
  10. だが当方の分析では日本はこの難局を乗り越えられる。家計支出水準が実質的に伸びないのであれば国民は増税を受けいれ、国内外に大きなショックがなけれあば日本はなんとか立ち回るだろう。債務・GDP比は200パーセントあたりで落ち着き、それ以下にはならないはずだ。
  11. これでは納税者、政府資金の受益側双方によい結果にならない。日本政府がいかなる政策を講じても結果は変わらない。このシナリオでは実質税負担は80パーセント上昇しつつ経済成長はない。さらに政府支出は35年間全く増えず、想定外の事態が発生すればもっと長期になるかもしれない。今でさえ重税に苦しむ日本の納税者がさらに15パーセントの増税に耐えられるか。また受益者側も数十年にわたり現在の水準のまま我慢できるだろうか。日本国民が我慢強いといっても数年しか耐えられないはずで、これが数十年も続けばどうなるか。
  12. さらに労働人口減少で労働者あたり公的債務水準は2000年の50千ドルから今年は128千ドルになる。さらに2050年に208千ドルとなるが経済規模は一定のまま停滞する。比較すると米国連邦政府の労働人口一人あたり債務は75千ドルほどである。ただし米国の国民一人当たりGDP規模は日本より大きい。
  13. 最良のシナリオでも日本政府は国民に非常に多大な忍耐と辛抱を求めることになる。それでも政権が生き残れば納税者、受益者双方が反乱を起こさないか。
  14. 社会全体で「メイカー」「テイカー」ともに受け入れられないとなると大衆人気にあやかる指導者が登場し債務支払い停止や紙幣増刷他一見魅力があるが実は破壊的効果を生む解決策を提唱するかもしれない。関税引き上げもその例だ。
  15. 日本経済は外部ショックや世界規模の信用状態の前に脆弱だ。世界不況や天候不順、地震、世界金利水準の上昇への対応に苦労するだろう。金利が1パーセント高くなると日本政府はGDP2パーセントの支出増になる(すべての債務を借り換えた場合)で世界経済の成長が日本にとってクッションとなるのであり、増税や支出削減による調整を迅速に迫られるだろう。
  16. 日本は国際情勢の変化にもぜい弱差を示すかもしれない。小規模武力衝突の影響も大きく、国内有権者は対外勢力が日本国内の政治体制の不安定化を狙い支援する大衆扇動タイプの政治家の甘言を受け入れてしまうかもしれない。
  17. 他方ですべてが悪い方向ばかりではない。失業は一貫して最低水準のままで給与水準は堅実に伸びる。不動産価格は毎年下がり、雇用人口の購買力は上がる。さらに高齢化社会は革命的な公約には動かない。感受性の強い失業中青少年そのものが姿を消し、日本社会は過激思想や海外からの操作に影響を受けにくい安定した社会になるのではないか。
  18. 予測だが、中国経済の大恐慌が2025年ごろに発生すれば日本は不況に入るのではないか。中国の債務状況は日本以上に深刻であり、メルトダウンは遅かれ早かれ避けられない。日本もこの危機の影響を避けられず、1998年通貨危機の再来でアジア投資を大々的に引き上げることになろう。
  19. 米国へ多様な影響が出る。日本の国内政治はここ数年間不安定になり、一層人気取り政策の傾向を示している。さらに日本政府は再度財政危機に直面するかもしれない。人口減少で労働力と資金が減ると国防面で影響が出る。そうなると米国との集団安全保障に対する姿勢も内向きになり、日本は米国の関与を強く求めることになりそうだ。
  20. 人口構成で不利になるのは日本だけではない。日本の出生率1.4はOECD平均1.5よりわずかに低いだけだ。日本の場合はタイミングと規模が独特で日本がかたくなに移民を拒んでいるのが理由だ。OECD加盟国の大部分は人口が増えない状態で韓国は日本より深刻でドイツも同様だ。日本は先進国にとって炭鉱内のカナリアのような存在で、時間のちがいがあるだけだ。
  21. 米国とて例外ではない。経済は好況だが日本同様に米国も構造赤字前提で国家運営中で債務水準は予想より高くなりそうで米国65歳以上人口は2025年に1.5倍に増加する見込みだ。オバマケアの廃止代替策案の模索を巡る葛藤はこれを反映している。「温情ある保守層」は国民全員対象の健康保険構想を支持するが財源はない。米国民向け社会保障のしくみは転換点にあるといってよく、債務増の中で問題解決を迫られている。インフレ率や金利が低いままならもっと借金していいのではないか。それを行ったのが日本で、アメリカも労働人口減少と経済成長鈍化の中で非現実的に期待してしまう罠に陥りそうだ。この現象はイリノイ、ニュージャージー、コネチカット各州ですでに発生しており、年金支払いの公約が実現できなくなっている。あと十年で同じ現象が全国規模に広がりそうだ。
  22. 高齢者が受け取る年金がこれから生まれる国民の負担に依存する状態が1980年から続いている。長寿命で健康かつ繁栄する状態で教育費用が高くなり、こどもの数が減っている。どこかでこの傾向がかわるかもしれず変わらないかもしれない。人口自然増を可能とする水準まで出生率が回復しないと増税なしでは社会保障費用が賄えなくなる。社会支出を年長者から若年層さらに将来の世代に振り向けることが必要だ。現時点で50歳代の年齢層が80歳になるころ、はるかに厳しい環境に直面しているだろう。
  23. 米国の出生率は昨年史上最低記録を更新した。社会は今あるストックを食いつぶすことになり、まさしく日本と同じ人口構成の途をたどることになる。日本は2050年だが米国では2100年が転換点になりそうだ。
  24. 日本の経済活動の低迷を失われた二十年といわれてきた。人口統計をみればそれだけではすまないとわかる。日本は一世紀まるまる失いつつある。
  25. 苦悩する先進国は日本だけにとどまらないだろう。■
Steven R. Kopits is the President of Princeton Energy Advisors. He writes about oil markets and related geopolitics.
Image: Japanese prime minister Shinzo Abe meets with Russian president Vladimir Putin at the G20 Summit in Hamburg, Germany, July 2017.