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そして豪潜水艦選定の決め手は国内産業維持に向けたフランス流の美辞麗句だった

なるほど選定の決め手は潜水艦そのものよりも弱体化を恐れるオーストラリア産業基盤の強化にあったわけですか。(オーストラリアではすでに自動車産業は全部撤退していると記憶)しかしこれは防衛上は禍根を残す決定になりそうですね。一方で、産業政策はお手の物だったはずの日本ですが、そうりゅう級売込みではフランスほど踏み込んだ構想を提示できなかったようですね。この事案から日本が何を学んだかが次回問われそうですね。 Australian government releases Naval Group submarine industry plan Naval Groupによる潜水艦産業構想を 豪政府が公表 オーストラリア政府が次世代潜水艦建造に関連した国内産業基盤整備構想を公表した。同国はショートフィン・バラクーダ級潜水艦12隻の建造を狙っている。Source: Naval Group Jon Grevatt, Bangkok - IHS Jane's Defence Industry 13 May 2018 http://www.janes.com/article/80037/australian-government-releases-naval-group-submarine-industry-plan この記事のポイント フランス造船企業からオーストラリア国内に「オーストラリア主権のもとかつ長期にわたる」産業基盤を構築すると提案 事業案は技術移転、雇用創出、輸出、運用訓練を想定 オ ーストラリア政府がフランス造船企業Naval Groupが提出した次世代潜水艦12隻の王立オーストラリア海軍(RAN)向け建造計画案を公表した。 これまでは極秘扱いだったが、野党政治家レックス・パトリック上院議員に対抗する形で国防相マリーズ・ペインMarise Payneが5月10日に公表した。同議員は総額500億オーストラリアドル(380億米ドル)の同事業にもかかわらず政府が現地参画を強く求めていないと批判していた。 Naval Group(旧DCNS)が選定されたのは2016年のことでバラクーダ級攻撃型原子力潜水艦を通常動力に改造する構想だ。オーストラリア産業界向け構想(AIP)を発表したペイン国防相は今回発表の文書が出

★★オーストラリア潜水艦問題>フランス案採択の背景には深い理由があった。日本側関係者には冷静に読んでもらいたいです。

いまさらと思われるかもしれませんが、再びオーストラリアの潜水艦建造競争入札結果の分析です。こうしてみるとオーストラリアが狙う方向性に近い内容だったのはフランス案とわかります。日本では採用されて当然と見る向きが多かったのはやはりインテリジェンス不足ですね。官民挙げて積極的に営業しなかったのはこうした背景が事前にわかっていたからでしょうか。そんなことはないですよね。SSBNとSSNは違うという向きもありましょうが、原子力潜水艦のような大型艦の知見は残念ながら日本にありません。日本技術の優位性というのも一定の条件で成立しているのであり、なんでも日本が優秀と信じるのはあまりにも子供じみていることが分かります。 Lethal Alliance Under the Sea: Why France Is Helping Australia Build Attack Subs Kym Bergmann June 15, 2016 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/lethal-alliance-under-the-sea-why-france-helping-australia-16591 4月26日の晴れ晴れしい発表でアデレードでの潜水艦12隻建造が決まったが、その後は沈黙が続いている。オーストラリア国防省は今は急いで進めるつもりがなく、同国史上最大の建艦事業は国政選挙後に活発になるようだ。詳細設計の契約交渉は中断したままで当面進展しそうにない。一方で国防省によれば選定業者フランスのDCNSと作業部会を編成中で、科学技術を軸に人選するという。 DCNSを採用した選定結果には異論もあった、特に選定過程にドイツTKMSは不快感を覚えたといわれ、競合評価作業(CEP)は最初から原子力潜水艦に誘導するシナリオだったと見ている。日本はそこまではっきりと言っていないが日本政府が心象を害したのは疑いなく、2013年にトニー・アボット前首相が示した導入願望は何だったのかと思っているはずだが、その後はこの話題を避けているようだ。 DCNS選定には理由がいくつかあるが、決め手は高度潜水艦技術の入手だったようだ。CEPでは狙いは高性能潜水艦設計でオーストラリア国内技術の蓄積に役立つ協力先を選定するこ

★オーストラリア潜水艦建造でフランス案が採択された理由

今回の結果には驚かされましたが国内では、中国の意図が裏にあったのではとの意見(ターンブル首相は中国と近い)、面倒な国外生産にならなくてよかったという安堵の両論が見られますが、選考の仕組みを考えると中国云々を言うのはいかがなものでしょうか。むしろ艦の設計でフランス艦に米系装備を取り入れさらに通常動力化する技術上の課題、国内造船業の救済として国内生産を選択したオーストラリアが予定通りの建造ができるのか、就航したあとの作戦運用が果たしてオーストラリアが想定する広大な海域で円滑に実施できるのかがポイントになるでしょう。日本側は熱意がないと見られていたことがわかりますね。きちんとした選定がされているのがわかりますので負け惜しみはやめましょう。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- French Design Wins Australia’s Next Generation Submarine Competition By: Mike Yeo April 26, 2016 9:06 AM https://news.usni.org/2016/04/26/french-design-wins-australias-next-generation-submarine-competition DCNSのショートフィン・バラクーダ・ブロック1A DCNS Photo MELBOURNE, AUSTRALIA — フランスのDCNSが注目のオーストラリア総額385億ドル相当のプロジェクトSEA1000新型潜水艦建造計画で受注に成功した。オーストラリア海軍(RAN)のコリンズ級6隻の後継艦となる12隻の建造が始まる。 オーストラリアのマルコム・ターンブル首相はマライズ・ペイン防衛相と並んで発表に臨みフランスのショートフィン・バラクーダ・ブロック1A案がドイツのティッセン・クルップ・マリンシステムズ(TKMS)および三菱重工業が代表の共同事業体を破り採択されたと明らかにした。ペイン国防相は競争評価手順 Competitive Evaluati

オーストラリアの安全保障のとらえ方・コミットメントは日本にも参考になる

最近はインド太平洋Indo-Pacificという言葉が目立ちます。安全保障、通商上の権益を考えると太平洋だけでは不十分という意識の広がりからでしょう。日本にとっても単に潜水艦の調達問題以上にオーストラリアとの安全保障意識の共有は重要です。その中でオーストラリアで国防問題に精通した前国防相の発言が出ていますので、同国の問題意識をのぞいてみましょう。 Australia Taking Long View in Defense Spending in Emerging Sub, Frigate Programs By: John Grady February 3, 2016 9:57 AM http://news.usni.org/2016/02/03/australia-taking-long-view-in-defense-spending-in-emerging-sub-frigate-programs 2013年、西部オーストラリアのコックバーンサウンドを通過するコリンズ級潜水艦三隻、前からHMASデシャニューDechaineux、HMASウォーラーWaller、HMASシーアンSheean RAN Photo オーストラリア軍の装備近代化の上位項目は潜水艦、フリゲート、遠洋監視艇だと前国防相が2月2日にヘリテージ財団で講演した。 ケビン・アンドリュース前国防相はワシントンDCで自由民主党政権により国防支出をGDP2%相当まで引き上げると決定されたことで10年間にわたる「長期的展望」で安全保障上の抑止効果と各国との協力体制がより効果を上げると述べた。 アジアがオーストラリアの主要貿易相手先であり、「安全保障上の権益を決定する要因だ」と述べた。 また新型潜水艦ではまもなく調達先をドイツ、フランス、日本から選ぶとしている。「既成の潜水艦では選択対象にならない」とし、潜水艦事業はオーストラリアにとって大型案件であり、今後10年間が事業期間となり、艦隊就役もその後20年に及ぶと指摘した。 オーストラリア政府はインド・太平洋諸国が軍事装備の近代化を進めるのを横目に見ながら事業を推進していくが、特に中国の動向を意識している。アンドリュースも中国が域内で最大規模の海軍力、空軍力を保有しつつサイバー・宇宙分野でも装備を拡充して

オーストラリア新型潜水艦建造>フランスDCNSが最終提案書を提出

日本に傾いていたアボットさんの退場でチャンスが増えたと見るフランスが動いたようです。なにしろ舌先三寸で商売を勝ち残ってきた相手なので、国内の選挙しか頭にないオーストラリア政治家なら簡単に傾きそうで心配です。逆に日本側提案がどこまで技術的に優れていても政治的に美味しい内容がなければ採択されないことになりそうですね。そうなると日本側も技術以外の要素を真剣に考えないと商戦には残れないことになりませんね。 DCNS Submits Final Bid in Australian Sub Program By Pierre Tran 12:14 p.m. EST November 30, 2015 http://www.defensenews.com/story/defense/naval/submarines/2015/11/30/dcns-submits-final-bid-australian-sub-program/76560992/ (Photo: DCNS) PARIS — フランス艦艇建造企業 DCNS は最終提案書を先週提出し、攻撃型潜水艦12隻までの調達を目指すオーストラリアのSea 1000 次世代潜水艦事業に入札し、500億オーストラリアドル(361億ドル)相当と言われる同事業に正式に参加したと同社広報が発表した。 「提案書は11月27日に提出した」と広報は述べた。DCNSの提案内容にはフランス国防省の調達部門が支援を与えている。 「提出した提案書には政府間取り決めとしてフランス国防省装備総局 Direction Générale de l’Armement (DGA)からオーストラリア政府国防省宛合意内容および提出内容の詳細記述が含まれる」. 「予定通りの提出ができ、オーストラリア政府による審査が開始されたことで一つの山を超えた」と同社は述べている。 DCNSは ティッセンクルップ・マリン・システムズ および日本の 三菱重工業 ・ 川崎重工業 共同提案と競合する形になっている。 DCNSは同社のショートフィン・バラキューダブロック1Aディーゼル電気推進潜水艦をバラクーダ級(シュフラン級)原子力攻撃潜水艦の設計をもとに提出した。採択されれば同社は2,900名の現地雇用創出を保障しているが、オーストラリアからは地元