T-6Aのメンテナンス問題がパイロット認定を遅らせる一因となっている。クレジット:カイリー・レイノルズ上級空兵/米空軍
パイロット不足が慢性的となり、飛行士を輩出できない影響が増えているため、米空軍は外部に目を向けで、初期パイロット訓練プログラムを再度見直した。
学生は軍事訓練の前にFAA認定を受ける
航空教育訓練司令部(AETC)は昨秋、新モデルを導入し、学士課程訓練を受ける前に学生飛行士をパイロット養成学校に派遣して基礎を学ばせることにした。この変更で若い飛行士はFAAパート141認定校で基本的な飛行技術、計器飛行、多発エンジン飛行の能力に関する集中訓練を受けた後、空軍基地でビーチクラフトT-6テキサンIIの訓練を受けることになる。
空軍は2027年に目標を達成する予定
この新しい初期操縦訓練(IPT)モデルで、AETCは2027年までに訓練総数を年間約1,300人から必要とされる1,500人に引き上げ、長らく必要数を約2,000人下回ったままのパイロット不足を解消できると見込んでいる。このアプローチは将来の米空軍飛行士のためだけでなく、ユーロNATO統合ジェット機パイロット訓練プログラムに配属された留学生も参加する。
AETC司令官のブライアン・ロビンソン中将は、「この規模が拡大され、われわれが考えているように計画が実現すれば、学生パイロット養成の新しい方法となり、この方法で年間1,500人のパイロットが生まれる」と語っている。
IPTプログラムでは、学生はまずテキサスにあるブルナー・エアロスペース飛行訓練プログラムとアリゾナにあるノースダコタ大学エアロスペース・ファウンデーション・プログラムに向かう。
空軍が授業料を負担した学生は、まずセスナ172、パイパー・アーチャー、ダイヤモンドDA40など航空機で単発機操縦の訓練を受け、次にパイパーPA-44セミノールやダイヤモンドDA42で多発機の訓練を受ける。
パート141認定に加え、パイロットがロッキード・マーチンF-35やボーイングKC-46のような新型機を操縦できるように、最新のグラスコックピットを搭載した航空機を操縦することが、このサービスの主な要件だ。
AETCの計画・プログラム・要件担当ディレクター、マシュー・レアード准将によれば、学生は140日間学校に配属され、110時間の訓練を受けて「強固な基礎」を築いた後、AETC基地に配属され、T-6で軍特有の訓練を受ける。AETC基地では、パイロットはT-6で約55時間飛行した後、ノースロップT-38で戦闘機や爆撃機の訓練を受ける、あるいは機動性、特殊作戦、回転翼に特化した訓練を受ける。
空軍がIPTを開発したのは、整備と信頼性の問題の中で、以前の訓練モデルで課題となっていたT-6機体へのストレスを軽減するためもある。このため、パイロットの数が不足し、空軍は訓練枠を待つ間、パイロット志願者を空軍工科大学への留学など、他の任務に就かせる必要があった。
学生一人当たりのT-6飛行時間は大幅に削減されるが、初期段階での飛行時間は増加する
「年間およそ1,500人のパイロットをT-6で飛行させるのに十分な飛行時間を確保することが課題だった。「そこで私たちは、T-6の飛行時間を軍事教官パイロットや軍用機に集中させるため本当に必要な内容を検討した。飛行時間と教官パイロットはそれに集中させる。 では、教官が集中する必要のないものは何か?それは基本的な航空術、計器手順(と)ナビゲーションだ。 そして、質の高い訓練ができる場所はどこなのか?」
輸送機やタンカーなど機動性機材の操縦訓練を受けるパイロットは、KC-46やボーイングC-17に配属される前に、PA-44やDA42で多発機訓練のみを受けることになる 同サービスは、多発機訓練に使用されていたレイセオンT-1Aジェイホークを退役させる。
新しいプログラムで、3月時点で7クラスが準備に入っている。空軍は、2027年までにすべての訓練をスケールアップするよう期待しており、多数の学校がサービス契約に入札する機会を得る。
ロビンソン中将によると、IPTの結果は良好で、学生の大半は以前の方法よりも高い品質で飛行しているという。AETCは訓練待ちの学生パイロットを減らすことができた。
「結局のところ、これは将来のパイロット訓練パイプラインの不可欠な部分であり、我々はこれを正しく理解しなければならない」(ロビンソン中将)。■
U.S. Air Force Overhauls Pilot Training Again To Increase Pace
Brian Everstine March 26, 2025
ブライアン・エバースティン
ブライアン・エバースティンは、ワシントンD.C.を拠点とするAviation Week誌のペンタゴン担当編集者。
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