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2025年6月4日水曜日

中国の "猛スピード "の軍事近代化がアメリカに脅威だ(19fortyfive)―例えば造船能力ギャップで中国に追いつくのは不可能でも、米国には同盟国ネットワークがあり、自由と繁栄の共通価値を大上段に中国へ対抗するしかないでしょう

 


Military vehicles carrying DF-21D ballistic missiles roll to Tiananmen Square during a military parade to mark the 70th anniversary of the end of World War Two, in Beijing, China, September 3, 2015. REUTERS/Damir Sagolj

2015年9月3日、中国・北京にて、第二次世界大戦終結70周年を記念する軍事パレード中、DF-21D弾道ミサイルを搭載した軍用車両が天安門広場へと転がる。 REUTERS/Damir Sagolj


国防長官は最近アジアを訪れ、中国の「挑発行為」を冷戦時代のレトリックと呼び、地域に「分裂」を蒔いた同国指導者たちを苛立たせるような大演説を行った。 ピート・ヘグセス長官は、攻撃的な中国とその大規模な軍備増強による「警鐘」に立ち向かうため必要な緊急性と誠実さを語った。

 国防総省は「西太平洋の第1列島線と第2列島線に沿った拒否による抑止のために、前方に配置された戦闘可能な部隊」を優先している。米軍と防衛産業基盤の修復と再建は、すぐにはできない。アメリカは重要な国家安全保障能力において中国に遅れをとっており、この地域における抑止力にはほころびが生じている。

 中国共産党の国防予算の急拡大、能力の増大、特定の目的を達成するための武力行使の増加は、密接に関係している。世界の軍事・商業造船における中国のリードは、政策立案者を憂慮させ続けており、多くの見出しが躍っている。

 しかし、北京の軍備増強はそれだけにとどまらない。

 つい先月、米空軍参謀総長のデービッド・オールヴィン大将は、中国の航空・宇宙戦力がアメリカの航空支配にもたらす脅威について、議会に冷ややかな評価を示した。

 上院での発言でオールヴィン将軍は、中国の急速な軍事的台頭に拍車をかけているのは持続的な国防予算の増加であると言い切った。アメリカはここ数年、国防予算の伸びをインフレ率以下に抑えているが、中国は10年以上にわたって毎年6%ずつ国防予算を増やしている。中国は国防費でアメリカに完全に追いつき、その地域的な焦点を考えると、おそらくアメリカを上回るだろう。また、中国共産党は主にインド太平洋地域に重点を置くのに対し、アメリカの国防費は世界中に分散している。

 また、われわれが限られた財源を数十年前の機体の維持やアップグレードに費やし続けているのに対し、中国共産党は戦闘機、爆撃機、無人機の保有数を増やしている。昨年末、中国が第6世代戦闘機のプロトタイプを飛ばした一方で、米国は次世代制空権戦闘機計画についてまだ着手していない。中国は他の次世代技術にも投資しており、航空機、センサー、ミサイルを横断的に連携させることで貫通型の対空ミサイルを狙うマルチドメイン・キル・ウェブなどがある。技術的な梯子を一段下げたところでは、第4世代と第5世代の戦闘機の数が増えており、戦闘機の総数が米空軍を上回っている。

 政府説明責任局がグアムの防衛力について懸念を示したのと同じように、中国はグアムやそれ以外を攻撃できる爆撃機の生産を強化している。最近、紛争中の戦略的なパラセル諸島に配備された主力爆撃機H-6Nは、巡航ミサイルを6発搭載することができ、アメリカや同盟国の資産を威嚇する。この老朽化した機体に加え、彼らはステルス爆撃機H-20を製造中で、これはB-2だけでなく、徐々に登場しつつあるB-21にも対抗しうる機体とされる。

 パイロットを危険にさらすことなく、偵察、攻撃、群れをなすことができるドローン。 高高度で長時間の飛行が可能な偵察用ドローン、おそらく空中から発射される超音速スパイ用ドローン、そして独自の武器庫を備えたステルス戦闘用ドローンを開発している。

 さらに高度を上げると、米軍が衛星ネットワークによるデータフローに大きく依存しているのに対し、中国は直下型対衛星ミサイルや、アメリカの重要な宇宙インフラの近くを周回する「ハンターキラー」衛星を開発中だ。中国は、地球上の戦争に勝つために武装しているのだ。

 より身近なところでは、PLAのロケット軍は現在、数千発の弾道ミサイルと巡航ミサイルを保有しており、その射程は、米国とその同盟国にとって重要な領土の各環状線を危険にさらすことができる。

 国土は聖域ではない。空軍の指導者たちによれば、中国のサイバー能力はますます洗練され、直接防衛に関連するインフラとは別に、アメリカの力と結束の他の次元を脅かしているという。昨年私たちが学んだように、中国のハッカーはエネルギーから電気通信、輸送など、アメリカの重要なインフラに侵入している。おそらく、侵入の公表よりもさらに心配なのは、ハッカーがまだそれらの重要なシステムに組み込まれていて、合図があれば軍事資産や社会的決意を麻痺させる準備ができているかどうか、こちらの指導者が知らないという事実である。

 アメリカにとって何世代にもわたる最も強力な敵国は、ハードパワーを急速に増強するために、巨額の資金を費やし、幅広く、そして十分に費やしている。 米国にとって信頼に足る戦闘力を再構築することは必要であり、期限を過ぎている。

 現在議会を通過している和解法案には、米軍への世代を超えた投資として1,000億ドル以上が含まれている。その後に続くのは、インフレ率を上回るレベルの支出を半世紀にわたって持続させ、そこから派生するプログラムやプラットフォームが大規模に構築され、実戦配備されるようにすることである。中国の圧倒的な軍事力に追いつくには十分ではないが、アジアにおける抑止力を回復し、次の戦争を防ぐためには必要なことである。■


著者について マッケンジー・イーグレン

現在19FortyFiveのコントリビューティング・エディターであるマッケンジー・イーグレンは、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のシニア・フェローで、防衛戦略、防衛予算、軍事態勢を研究している。 また、大学での定期的なゲスト講師、アレクサンダー・ハミルトン協会顧問、Leadership Council for Women in National Security運営委員会のメンバーでもある。


China’s ‘Breakneck Speed’ Military Modernization Is a Threat to America


By

Mackenzie Eaglen

https://www.19fortyfive.com/2025/06/chinas-breakneck-speed-military-modernization-is-a-threat-to-america/?_gl=1*ykuk5y*_ga*MTYxODkxOTk5OS4xNzQ4OTg1Mjg0*_up*MQ..


2025年5月29日木曜日

メイド・イン・USA:外資系防衛企業がアメリカのパイを狙う (Defense One) — グローバルな分業を認めないトランプ政権の狙いは国内産業の復興で、次第に姿を表しつつあります。では日本企業はどうするのでしょうか

 Aerial view of the town of Grayling, Michigan, where Saab is building a munitions factory.

サーブが軍需工場を建設しているミシガン州グレイリングの町の航空写真。 サーブ


トランプ政権の混乱でも欧州企業は米国内で事業拡大計画を狂わせていない

ランプ政権の外交・通商政策における衝撃的な転換にもかかわらず、一部の国際企業は米国での防衛事業の拡大計画を打ち出している。

 サーブはこの1年、アメリカでの製造拠点を増やし、ロードアイランド州に施設を追加し、ミシガン州では無人水中装備や軍需品を製造している。また、インディアナ州にはボーイング・サーブT-7ジェット機用の胴体やハイテク研究のための施設もある。

 「ヨーロッパ企業がアメリカに多くの投資をしている...そして我々はさらに投資する可能性を模索している」と、サーブのアメリカ事業担当副社長兼最高戦略責任者のミヒャエル・ブラッスールはインタビューで語った。

 サーブなど欧州企業は、高関税を課し、NATO同盟国への忠誠に疑問を投げかけている米国との関係において、突然の混乱を乗り越えている。2月のミュンヘン安全保障会議でJDバンス副大統領が欧州各国政府を叱責したことで、多くの人が動揺したが、ブラッスールは違った。

 「ミュンヘンの結果ではなく、私たちのビジネスのやり方がそうさせているのです。私たちは、優れたハードウェアを作り続けてきた長い伝統と、新興の破壊的なテクノロジーを活用するこのピボットによって、実に興味深いニッチにフィットしていると思います。 これらの能力の融合にこそ力がある」と彼は言う。

 しかし、米国の防衛ビジネス拡大を狙う欧州企業はサーブだけではない。

 ドイツを拠点とする航空グループの子会社であるルフトハンザ・テクニクは、オクラホマ州タルサで防衛事業を拡大したいと考えている。

「私たちの名前はここでは知られていません。 多くの人はルフトハンザ テクニックの発音すら知らない。 ティンカー(空軍基地)の周りを歩いていても、『ああ、ラムシュタインにいたんだよ。 ルフトハンザで飛んだんだ』って。でも、彼らは私たちのことをよく知らない」。 ルフトハンザ・テクニックの防衛関連買収担当シニア・マネージャーであるギルバート・サンチェスは、「私たちは、この市場に慎重かつ的確に参入しようとしています」と語った。

 その結果、ルフトハンザ・テクニクでは、防衛関連の契約に対応できるよう、コンサルタントを雇い、サイバーセキュリティを評価し、元請け会社と協力するなど、じっくりとした取り組みを行っている。

 「米国では、部品工場とエンジン工場の両方で防衛関連業務を実施するつもりだ。 「DFARに準拠し、準備を整えるために、防衛コンサルタントを何人か起用している。 サイバーセキュリティーやNISTの評価も受けた。 また、現在、いくつかのプライム企業とも協力し、直接RFIに回答しています」。

 世界的には、同社はボーイングとの契約で空軍のC-17のエンジン洗浄を行っているほか、カナダ空軍、チェコ空軍、イタリア空軍、タイ空軍、オーストラリア空軍、ニュージーランド空軍とも仕事をしている。 また、インド海軍のP-8Aとも仕事をしている。

 米国では、KC-46、P-8、ボーイングの767や737次世代機のような "商用派生型航空機 "を整備することが目標であり、トップ兵器とは対照的だとサンチェス氏は言う。

 特に、国防総省が商業ベースのソリューションを望んでいるにもかかわらず、それを反映した契約を結んでいない場合だ。

 サンチェス氏は、「空軍は、(米国防)市場では、陳腐化を避けるために、民間事業者が得ている利点のいくつかを本当に得るために、これらの商用派生機と一緒に行きたがっているように感じる。「RFQやRFPを発行する際、彼らはDFARを非常に重視している......そのため、通常であれば民間航空機をサポートするはずの(整備・修理・オーバーホールの)企業の多くが、必ずしもその市場には参入していない。 「そのような障壁は、本当に尖った人たちがその市場に参入できるようにするために、意図的に設けられていることもある。 ですから、私たちはそれを行おうとしているのです」。

 航空宇宙・防衛はオクラホマ州経済で2番目に大きな部門であり、その規模は年間440億ドルにのぼる。オクラホマ州は、フォートシルにFires Innovation Science and Technology Accelerator(FISTA)施設を開設した。FISTAはミサイル防衛を専門としているが、ドローンや対ドローン戦に特化した施設やコースもある。

 同州は今週、ブラジルを本拠地とする世界最大級の弾薬メーカー、CBC Global Ammunition社を歓迎した。CBC Global Ammunition社は、3億ドルを投じて同州に米国初の工場を建設し、350人の雇用を創出することを約束した。

 CBCの社長兼取締役であるファビオ・マッザーロ氏は、月曜日にワシントンD.C.郊外で開催されたSelectUSA投資サミットで、「この決定は、米国に対する我々の長期的なコミットメントと、我々が共有する価値観、すなわち信頼、透明性、革新性、安全保障を反映したものです」と述べた。「真鍮カップから弾丸、ケース、プライマー、推進剤、さらにはニトロセルロースまで、すべてを自社生産する米国で唯一の施設です。

 トランプ大統領は以前から米国の製造業を活性化させようとしてきたが、2期目の努力はより精力的で、大統領令や関税、特に欧州製品への関税をかけている。

 航空宇宙産業協会の国際問題担当副会長であるダク・ハードウィック氏は、「これは最重要課題だが、長期的な影響を予測するのは非常に難しい」と述べた。

 ハードウィック氏は、関税の影響を理解し始めるには数ヶ月かかるかもしれないと述べた。

 「航空宇宙産業と防衛産業では、部品やコンポーネント、貿易によって関税率が異なる。 鉄鋼とアルミニウムについては、各国間の相互税率とは異なる税率が適用される可能性がある。 国によって異なる相互税率がある。 大統領はそのことについて話している」と語った。

 ハードウィック氏によれば、他の国々が新たな関税を課すことで対応する可能性もあるという。 また、航空宇宙・防衛部門は製造、輸入、輸出を行なっているため、「アメリカ政府から与えられた使命を遂行するために、アメリカ政府からの確実性に依存している。「私たちはこれらの問題に目を光らせていますし、姉妹関係にある国際機関とも協力して、これらの問題が産業界に悪影響を及ぼさないように努めています」。

 ハードウィック氏は、関税の負担が元請け業者や下級サプライヤー、あるいは顧客にどれだけ吸収されるかはまだ明らかではないと述べた。

「非常に流動的な状況だ。 特に、使用される関税当局の種類、使用される関税率、関与する国が異なるため、全体として関税には流動的な部分が多い」とハードウィック氏は述べる。

 オクラホマ州の共和党ケビン・スティット知事は、トランプ政権の貿易政策は、航空宇宙・防衛分野の複雑なサプライチェーンを多少混乱させたと述べた。

「航空会社からは、少し不利な状況にあると聞いている」と、スティット氏は月曜日のSelectUSA会議で記者団に語った。 「オクラホマ州は航空宇宙・防衛産業が盛んだ。 オクラホマシティのティンカー空軍基地には、世界最大の整備・修理施設がある。 従業員数は約3万人です。 そのサプライチェーンは同盟国とともに世界中に広がっています」。

 しかし、スティットは楽観的だ。

「我々は良い解決策を考え出すつもりだ。 しかし、最終的には、サプライチェーンをもう少し自国に近づけ、我々の友人や同盟国、そして我々と同じ利害関係を持つ人々との間に戻したいのです」と彼は語った。■


Made in the USA: foreign defense companies eye bigger slice of the American pie

At a recent conference, several execs said Trump-administration turmoil hasn’t derailed plans to expand on U.S. soil.


BY LAUREN C. WILLIAMS

SENIOR EDITOR

MAY 16, 2025



https://www.defenseone.com/business/2025/05/made-usa-foreign-defense-companies-eye-bigger-slice-american-pie/405391/?oref=d1-homepage-river


2022年8月30日火曜日

制裁措置で露呈したロシア防衛産業の弱さ。ロシアは結局中国のジュニアパートナーになってしまうのか。

 

Su-34. Image Credit: Russian Military.

 

 

シアの防衛産業には、苦労が待ち受けている。自給自足と自称しているが、ロシア産業には西側の部品と支援を必要としていることが判明した。自給率が世界で最も高いロシア産業が、制裁により供給不足に悩まされている。防衛分野で自前主義は不可能なのか。これは安全保障で何を意味するのだろうか。

 

理論的には、国家は自国の防衛産業基盤に物資を供給するチェーンを注意深く守るべきだ。国家は可能であれば防衛産業を可能な限り内製化することで脆弱性を低減させようとする。もちろん、これはすべての国家で可能なことではなく、海外の防衛産業に一部または全部を頼らざるを得ない国家もある。しかし、特に大国は、防衛において可能な限り自律的であろうとする。

 

この論理は、数十年にわたる複合工業生産のトレンドと真っ向から対立する。20世紀後半、ほとんどの産業は少なくともある程度までグローバル化し、資源や最終製品の完成部品を国境を越えたパートナーシップに依存するようになった。インフラストラクチャーと投資により、このような統合は自給自足よりはるかに効率的なものとなった。グローバル化の時代、防衛産業は確かに芽を出したが(トランスナショナルな生産と技術革新が西側とソビエト圏双方の防衛力増強で特徴となった)、防衛は主要セクターで最もグローバル化が遅れている。公平を期すため、「バイ・ローカル」の少なからぬ部分は、国内産業(および労働者)向け補助金も含んでおり、同じ論理で正当化されがちだが、完全な自国主義とは言えない。

 

この逆風にもかかわらず、現代の防衛産業は自国主義を貫けるだろうか。

 

ウクライナ侵攻でロシアは不完全な国防自給自足体制の問題に直面した。ロシアの防衛産業基盤が欧米と密接に結びついていることは、難しい現実である。ロシア産業が西側諸国の部品に明らかに依存していることにロシア人でも驚いているようだ。ロシアは、高性能兵器を維持するのに十分なチップを調達しようと入念な努力を行っている。ロシア事例は、防衛サプライチェーンの脆弱性を示しており、各国が自国の防衛産業基盤に不可欠な要件の国産化を促しているのだろうか。 ロシアのジレンマに対する簡潔な答えは、少なくとも先端部品に関する限り、防衛分野における自給自足は、第一級の軍事能力を求める国家にも不可能であるということだ。一部の国が挑戦する可能性はあるが、成功する国はほとんどないだろう。近代的な防衛産業基盤には高度部品が必要であり、それは世界的な技術産業(ごく少数の国が保有)か、ハイテク市場へのオープンアクセスによってのみ入手可能であるというのが厳然たる事実だ。

 

このため、高度ハイテク兵器に必要な部品は、西側諸国で入手可能で、西側は利用できるが、この技術的エコシステムの外にいる人にはかなり利用しにくい世界になっている。これは、冷戦時代、米国が西側技術へのソ連のアクセスを阻止するため莫大な手段を講じた状況と多くの点で類似している。しかし、今回は米国がより強力な優位性を享受している。サプライチェーンの力学、輸出規制、知的財産法などにより、米国はこれまで享受していたよりもはるかにグローバルなテクノロジーをコントロールできるようになった。スウェーデンとフィンランドのNATO加盟により、これらの国々の技術部門と欧米の多国籍防衛産業基盤との統合が加速されることは間違いない。

 

西側諸国が防衛産業基盤の高度化を維持したまま、このエコシステムから逃れるのは極めて困難だ。例えばトルコや韓国は、欧米製装備品の国内代替品の開発に力を入れているが、この努力はサプライチェーンの信頼性への懸念からというより、主に輸出規制を回避するためのものだ。トルコがロシアの防空機器に浮気しているにもかかわらず、トルコと韓国は共に欧米の技術エコシステムの完全な参加者であり続けている。

 

この先はどうなる?

この技術的な未来は、ロシアと中国の両方にとって醜いものに見えるが、特に前者にあてはまる。冷戦時代に存在した技術ブロックを再構築して、ロシアを対象に西側の技術ブロックを拡大すれば、モスクワに利益をもたらさないし、モスクワと北京の間にくさびを打ち込む結果になりかねない。民生技術経済に深く関与している中国がロシアをどこまで支援するかという難しい選択に迫られることになろう。さらに、ロシアと中国は、国際防衛市場におけるシェアをめぐり、ますます直接的な対立を深めている。

 

つまり、北京はロシアを自国の技術エコシステムと防衛産業基盤に引き込みたいのだろう。ロシアは明らかにジュニアパートナーの地位になる。■

 

Russia's Defense Industry Is In Serious Trouble Due to Sanctions - 19FortyFive

ByRobert FarleyPublished24 hours ago

 

 

Dr. Robert Farley has taught security and diplomacy courses at the Patterson School since 2005. He received his BS from the University of Oregon in 1997, and his Ph. D. from the University of Washington in 2004. Dr. Farley is the author of Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force (University Press of Kentucky, 2014), the Battleship Book (Wildside, 2016), and Patents for Power: Intellectual Property Law and the Diffusion of Military Technology (University of Chicago, 2020). He has contributed extensively to a number of journals and magazines, including the National Interest, the Diplomat: APAC, World Politics Review, and the American Prospect. Dr. Farley is also a founder and senior editor of Lawyers, Guns and Money.


2019年5月10日金曜日

★米国でソノブイ生産に黄信号、どうなる西側諸国の防衛産業のこれから



US could lose a key weapon for tracking Chinese and Russian subs

ロシア、中国の潜水艦追尾に必須の装備品が米国に不足する可能性が出てきた


By: Joe Gould and Aaron Mehta    


海軍がロシアや中国の潜水艦対策で頼りにする装備は重量8ポンド全長3フィート足らずで爆発もしない。
それがソノブイで消耗品水中センサーで数百本単位で空中投下し、敵潜水艦探知に使い米国や同盟国がこれまで数十年に渡り必須装備として使ってきた。ペンタゴンは2020年度予算要求で204千本調達するが2018年より5割増となる。
だがその重要装備の前途に危険信号が出ている。敵国による作為ではない。安心して供給を任せられるメーカーがなくなるのだ。
ペンタゴン装備品では供給メーカーが一社になっていく傾向がある。ソノブイでは米国と英国の合弁企業ERAPSCOである。ペンタゴンによればERAPSCOは2024年までに閉鎖され、英米双方の親企業、イリノイのSparton Corp.、ミドルセクスのUltra Electronicsは業務継続に必要な出資をしないのだという。
産業基盤上の「公然の弱点」でペンタゴンは解決策を見つける必要を迫られているとペンタゴンで産業政策を担当していたエリック・チュウニングが述べる。
ドナルド・トランプ大統領は3月に国防生産法に署名し、国内生産でAN/SSQソノブイ5型式を「国防に絶対必要」装備と指定し、運用能力の維持拡大を認める権限をペンタゴンに与えた。空軍は独自にERAPSO以外の供給メーカーを模索している。
ペンタゴンは「ソノブイ5型式生産で個別専用生産ライン」が必要というが、2社は「専用ライン設置には支援を必要としてくるはず」とDoD報道官マイク・アンドリュース中佐が述べている。
「相当の努力と出資が必要なため合弁企業の親企業が独自出資する見込みはなく2024年までに必要となるソノブイ需要に答えられない」とし「DoDが介入する必要がある」と述べた。
対潜哨戒機P-8やMH-60Rシーホーク対潜ヘリコプターで使うマルティスタティック・アクティブ干渉型MACのソノブイの電池は8時間程度使える。移動する潜水艦追尾ではソノブイは投下されてもすぐに意味がなくなる。P-8の場合はソノブイ120個をミッション一回で消費することがある。
「P-8でどれだけの面積を捜索するかにより変わりますし、標的潜水艦の水中速度にも左右されます」と戦略予算評価センターのブライアン・クラークが解説する。「捜索範囲は標的潜水艦への探知能力で変わります。P-8で対潜防衛帯を作る場合はそこまで多くのソノブイは不要です。移動中の静粛航行中の潜水艦が相手となるとソノブイ全部を使いきり、補充のため基地に戻ることになります」
ロシア、中国の潜水艦活動が活発になるなか対潜部隊はますます多忙になっており、ソノブイ在庫を使い切りそうだ。
米海軍のソノブイ調達予算は2018年の174百万ドルが2019年は216百万ドルに増え、2020年要求では264百万ドルになる。ペンタゴンは議会に第六艦隊のソノブイ再調整予算20百万ドルを要求したほか、38百万ドルでソノブイ追加調達を求めている。
ロシア、中国の潜水艦技術の進展でソノブイの重要性は増す一方だと専門家もみている。
「新時代の潜水艦が静粛化されロシア、中国が就航させており、従来どおりの潜水艦や水上艦を使った対潜戦では対抗しにくくなってきた」とクラークはいい、「わが方の艦艇や潜水艦がパッシブソナーの効果を発揮するためには従来より接近する必要があるし、逆にアクティブソナーは有効範囲が小さく発信源を露呈してしまう」
ロシア潜水艦の性能が高く、ロシアは潜水艦部隊の増強を続けていると国際戦略研究所のニック・チャイルズが指摘する。中国潜水艦は「技術面で遅れている」が大規模な支出で水中戦力の増強を図っている。
「当面はロシア潜水艦部隊が一番やっかいな相手でこのまま増強を続ければ米海軍ではソノブイが大量に必要となります」(チャイルズ)
ERAPSCOはソノブイ5型式のうち4つを製造しており、海軍は同社と四年契約で2023年まで確保している。競合状態を刺激しようと海軍はSpartanおよびUltra Electronicsの提携関係解消を求め、ソノブイを各社別々に供給するよう求めている。
だがSpartonは年次営業報告で「相当の企業努力と支出が必要となるためSpartonあるいはERAPSCO合弁企業体の親企業の双方」が海軍の要求に別個に応えられる保証はないと明記している。
Spartonは財務が苦しくなり2017年7月にUltra Electronicsによる買収で合意したもののわずか一年未満で破談となった。米司法省が独占禁止の疑いで成立を拒んだためだ。
SpartonはそこでCerberus Capital Managementに183百万ドルで自らを売却した。Cerberusはニューヨーク市の不良債権買い取り金融業者である。同社はStaples(事務用品メーカー)やSafeway(食料品小売りチェーン)を傘下に収めており、防衛部門でもDynCorpやNavistar Defenseを買収している。
アンドリュース中佐は政府の懸念事項をDefense Newsに伝えている。
「DoD/DoNは年間204千基のソノブイ5型式の購入を予定する。このためDoD/DoNは安定供給体制を必要とする。こうした要求のため、また安定したソノブイ生産の産業基盤のため5型式ソノブイそれぞれで専用生産ラインが必要だ」
「国防生産法第三章事業として米海軍向けソノブイ生産の産業基盤の維持再編を通じソノブイ供給元を最低2社確保したい」とし、「そのためトランプ大統領、DoD、DoNはDPA予算と民間支出分あわせ費用対効果が最優秀で利便性に富みかつ実務的な方法でAN/SSQシリーズのソノブイ性能確保という必須課題に応えていきたい」
国防支出法では国防総省に中核産業ニーズに関係する企業向けに資金提供を認めている。産業基盤検討結果を受けて実現した方策だ。
「われわれがしたかったのは資金投入で産業基盤への支援を確実に示し2社以上の供給元を確保することです」とチュゥニングが産業政策の責任者を務めた立場でDefense Newsに語っている。「現状の不具合を考えれば当然の結果でDPAの権限により製造拡大につながる刺激策を提供できるわけです」
Ultra Electronicsと Spartonは両社共同事業の今後についてコメントを拒否している。
「Ultra Electronicsは米海軍と協力関係を維持しソノブイ生産を継続し将来を見据えた開発も行います。当社は今後もASW関連の要望の増大に応えていきます」との声明が出ている。
米国がソノブイを国外調達するとしたら英国やフランスにもメーカーがあるが、生産はすでに該当国向けで確定しており、そもそもソノブイでは米国が世界最大の供給国なので米国の国内生産が消えればソノブイの世界的供給不足につながりかねない。
チャイルズやクラークも米国内にソノブイメーカーの確保は必須とみており、生産の必要性に加え「重要技術分野で最先端」として残るためにも必要だとチャイルズは見ている。■
David Larter in Washington contributed to this report.

心配になる話ですね。防衛産業といえども民間企業なので株主の利益が最大になる決定をしていくわけですが、国防事業は悩ましい分野なのでしょう。日米とわずこれから防衛事業から抜ける企業が増えれば大変なことです。ソノブイについてはNECもメーカーらしいのですが、性能がイマイチのようでやはり米国製輸入に頼るのが海自の現状らしいです。ということは米海軍が悩めば海自にはもっと大変な事態です。こうした中で政府が民間企業を支援してほしい産業製品を確保する「産業政策」を米国防総省の音頭で進めているのは皮肉にしか聞こえません(米国は日本の産業政策を散々批判し、自由企業体制を標榜していました)が、状況が状況なだけに防衛省も産業政策を今や堂々と進めるべき段階なのではないでしょうか。とかく、戦闘機や潜水艦といった「正面」装備に関心が集まりがちですが、産業基盤といったマクロの視点も必要と痛感します。■

2018年7月12日木曜日

このまま日本の防衛産業は弱体化していくのか

Japan Snubs Homegrown Weaponry to Buy From the U.S. 米国製武器購入を優先するあまり国内産業を冷遇する日本

By
and
2018年7月11日 5:00 JST Updated on 2018年7月11日 15:18 JST
本の消費者が米国製自動車を大量に購入してドナルド・トランプが喜ぶ事態の実現する可能性は限りなく小さいが、安倍政権が防衛費を歴史的な規模に拡大していることから日米貿易で米大統領に大いに期待できる側面が生まれてきたと言えよう。
日本による米海外軍事販売制度を通じた調達は人件費除く日本の防衛費で今年は16%相当にまで拡大しており、2014年度から倍増になっている。これは公表データからブルームバーグが独自試算したものである。
更に高性能米製レーダー、ジェット戦闘機、ミサイル防衛装備を今後導入する予定があり米防衛産業界が数十億ドル単位の売上を期待する一方、日本側各社は今後もたいした売上増は期待できない。というのは規模の経済により国産技術が一層高価になっており、安倍政権としては費用対効果を追求せざるを得なくなっているためだ。
トランプ大統領は昨年11月の日本訪問で安倍首相に「大量の軍事装備」を米国から導入するよう迫った。日本は言われる前にすでに防衛支出を5.2兆円(470億ドル)と記録的な水準にひきあげており北朝鮮の核武装に対抗しようとしている。
トランプにとって不本意ながら日本は米国からの乗用車輸入は2017年で5.3億ドルにとどまる中で米国は日本製乗用車トラックを398億ドルも買っているのだ。軍事部門以外では日本は液化天然ガスなどエネルギー調達を増やす勢いだ。2017年で日本の米国からの最大の輸入品は農業製品、化学製品、機械類だった。
米製装備品が優先的に選択されているため日米両国の各部隊の共同運用が簡単になっているが、米製装備品を完成品で導入すれば国内部品メーカーの雇用にはつながらず、結局各社が撤退する結果となると三菱重工業執行役員の阿部直彦は見る。同社は日本最大の防衛事業契約企業で戦闘機、ヘリコプター、艦船、ミサイル他を製造する。.艦船の国内建造には外的脅威はさほどないが、航空機ではコストが大きな要素になっている。
.財務省からは国産輸送機C-2より性能は劣るが価格が半分以下のロッキード・マーティンC-130Jに切り替えるべきとの提言がでている。C-2は川崎重工業製で今年も2機が導入される。
日本は老朽化進むF-4の代替用にF-35A導入を急いでいる。国内メーカーにとって次の正念場はF-2後継機をどこで作るかだ。
.F-2生産は2011年に終了してたが、その前から部品メーカーに防衛事業から撤退の動きがでていた。住友電工は2007年に防衛省関連の事業を終了し、ヨコハマタイヤは航空機用タイヤの防衛省向け納入を終わらせている。2016年には防衛産業向け供給実績のある72社中52社が関係パーツメーカーが事業閉鎖したり供給をストップした事態に遭遇したと政府調査に回答している。
F-2退役は2030年から始まるが、三菱重工やIHI含む数社がX-2高度技術実証機を製造し、後継機の国産製造の可能性を示した。「国内産業の生き残りをかけて開発は国内主導で行わせてもらいたい」と三菱重工の阿部執行役員が報道陣に先月語っている
X-2が2016年に飛行試験に成功したことから国内産業に国内開発能力が十分にあることが証明されていると阿部は指摘。だが時事通信が3月に防衛省は国産開発はコスト高を理由に断念したと伝えていた。
小野寺五典防衛相はこうした報道内容を否定したものの防衛省は海外企業との共同開発を模索しているのは事実だ。ロイターは日本が欧米メーカーに情報提供を求めていると伝えている。
.与党自民党の一部には防衛予算は国内産業界の支援に使うべきとの意見もある。自民党国防部会長の若宮健嗣からは5月に国内企業支援により海外との競争力拡大を図ることが重要との認識が示されていた。
.同じ自民党から6月1日に安倍首相に対してさらなる防衛費増額を求める意見が提示された。日本の防衛費は国内総生産の1パーセント未満で、北大西洋条約機構加盟国の目標2%よりはるかに少ない。
コスト削減のため若宮は防衛装備品の輸出拡大で生産量を確保する必要があるとするが、今までのところ輸出の成功例は皆無に近い。

コスト以上に情報開示に厳しい制約が課せられていることが原因と指摘する声もある。防衛産業各社は「歯がゆい思いをしつつ努力してきたが限界に近づきつつある」という。■