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2017年12月7日木曜日

ベア二機がインドネシアに着陸、ロシア軍活動が東南アジアで活発化



Indonesia calls Russian bombers visit part of navigation exercise

インドネシアにロシア爆撃機編隊が航法訓練の一環で来訪

The visit by the aircraft is part of an increased Russian military presence in Southeast Asia in recent years. (Russian Ministry of Defence)

By: Mike Yeo 
https://www.defensenews.com/air/2017/12/06/indonesia-calls-russian-bombers-visit-part-of-navigation-exercise/

MELBOURNE, Australia — ロシア空軍の戦略爆撃機編隊がインドネシア東部に12月5日初めて着陸し、活発になっている東南アジアでのロシア軍の最新事例となった。
ロシア国防省は声明文でツボレフTu-95MSベア爆撃機二機が
極東アムール地区からインドネシア東部ビアク州フラン・カイシイエポ Frans Kaisiepo 空港に着陸したと発表。

声明文では爆撃機は太平洋上空でイリューシンIl-78の空中給油をうけ、「国際航空法に準拠し」飛行したとする。

空中給油したイリューシンIl-76MD二機は前日にビアクに着陸していた。インドネシア空軍が今回の訪問を発表し、爆撃機編隊は長距離航法訓練をしたと述べた。

Russia’s Defence Ministry said two Tupolev Tu-95MS Bears flew from the Amur region, in Russia’s far east, to Frans Kaisiepo Airport in Biak, on the northern coast of Indonesia’s eastern province of Papua. (Russian Ministry of Defence)

同地マヌフア航空基地司令のファジャ・アドリヤント大佐 Col. Fajar Adriyanto は今回の来訪は両国軍の取り決めによるもので「ビアクは訪問地に指定してある」と述べた。

今回の爆撃機乗員含めロシア軍関係者のインドネシア訪問人数は110名を超えたとジャカルタポスト紙が集計し、空港関係者の発言を引用しロシア軍関係者は同地に12月9日まで滞在すると伝えた。

ロシア軍が東南アジアで活発な動きを示しており、太平洋艦隊艦艇がインドネシアを2016年2017年続けて寄港しており、今年はシンガポール、タイで観艦式にも参加している。

ただしオーストラリアのロウイ研究所の国際安全保障専門家ユアン・グラハムはDefense Newsにロシア軍のプレゼンスは北太平洋と違いこの地区では関係強化が主で武器販売が狙いだと解説する。

インドネシアはロシア製軍事装備を運用中でスホイSu-27、Su-30フランカー戦闘機がその筆頭だ。最新のSu-35の調達も交渉中だ。

Tu-95MSは冷戦期のターボプロップ爆撃機の改良型でロシア空軍は巡航ミサイル母機としてシリアでも運用している。■

2016年12月14日水曜日

ヘッドラインニュース 12月14日(水)


12月14日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。


トランプのF-35発言でロッキード株価が急落
12月12日の取引開始前にロッキード・マーティン株価は一日で3%と大きな下げ幅を示した。トランプは前週のボーイング次期大統領専用機に続き、F-35事業への疑問を公言している。
(トランプ発言によるF-35事業への影響の分析は別途記事を参照してください。)

上院が大統領選へのロシア関与を調査
ロシアがトランプ当選を狙い選挙を操作下との嫌疑で上院は超党派対応で調査を開始するが、トランプには共和党議員との初の対立になる可能性がある。これはその疑いを報告したCIAを受けての調査となる。トランプ側は強く反発しており、議会共和党議員と対立すれば閣僚人事承認にも影響が出る可能性が出てきた。


ノルウェーがP-8導入へ 5機調達
総額11.5億ドルでP-8Aを5機導入し、P-3Cの後継機とする。オライオンを運用中の国は17カ国あり、今後P-8への切り替えを米海軍、ロッキードは期待している。

インドネシアがSu-35導入を検討中
インドネシア空軍はF-5E後継機としてフランカーEを候補としている。ロシアとは価格面が交渉の難題になっているとの現地報道がある。インドネシアはロシア製機材運用の経験が豊か。完成機導入後に部員の現地生産も視野に入るだろう。


2016年11月4日金曜日

US-2のインドネシア向け輸出が成約に近づく


インドより先にインドネシアが成約しそうということですか。3機というと少ないようですが、平成17年度から今まで納入されたのがわずか4機ですからメーカーの新明和工業にとっては大きな数字です。さらにインド他からの受注を期待する同社は忍耐強く成約を期待しているのでしょうね。戦前からの技術も入れれば数世代にわたる蓄積が鼻を開こうとしているというと大げさでしょうか。

Indo Defence 2016: ShinMaywa inches towards US-2 sale to Indonesia

Jon Grevatt, Bangkok - IHS Jane's Defence Weekly
03 November 2016
ShinMaywa Industries is looking to progress a sale of the US-2 to Indonesia in 2017. Source: Japanese Maritime Self-Defence Force

新明和工業がUS-2水陸両用捜索救難機(SAR)をインドネシアに販売しようとしている。同社関係者からジャカルタで開催中のインドディフェンス2016展示会でIHS Jane'sに明らかにされた。
まず3機を販売する計画だが、2014年4月の武器輸出三原則の改定した日本には初の大型国際防衛装備輸出案件となる。
新明和工業の輸出部門関係者は11月3日、US-2は非武装機材だが自衛隊が運用するため日本政府は防衛装備と認定していると述べた。
新明和工業はインドネシア国軍向け契約の締結は間もなと見ている。「政府レベルではUS-2輸出協議を続けており、2017年に成約すると見ている」(同上関係者)
後押しするのが2015年3月に両国政府間の防衛協力合意で防衛装備、技術の共同作業に道を開いたことだ。新明和はインドネシア企業PTディルガンタラDirgantaraと協議中だ。
同社によればUS-2取得に関心を示すインドネシア以外にアジア圏「数か国」がある。IHS Jane'sはタイが検討中と把握しており、もう一カ国はインドだ。
インド海軍はUS-2を合計12機16億ドルで調達する要求を提出している。日印両国は同機販売をめぐり協議を重ねているが、日本防衛省はIHS Jane'sに交渉は一旦中断中と10月に述べ、理由は日本政府がインドのUS-2i調達方針に不明瞭な点があり説明を求めているためという。■


2016年7月18日月曜日

2030年のアジア経済上位5カ国は


2020年はもうすぐ先なので予測としては2030年が浮上しているようです。安全保障の環境を考える際にも国力の推移を見通すことが大事です。以下の予測には驚くべき要素がありませんが、それだけ主要各国の方向が定まってきつつあることの裏返しなのでしょう。この経済力を背景とした安全保障の議論が必要ですね。

 Asia's Top 5 Economies in 2030

Who are the winners and losers?
Shanghai's financial district. Wikimedia Commons/@Yhz1221
Shanghai's financial district. Wikimedia Commons/@Yhz1221


July 8, 2016


日本が世界最大の経済大国になるといわれていた時代を覚えているだろうか。予測にはリスクがつきものであるが、最近も中国が二ケタ成長を永遠に続ける、インドが急速に「新しい中国」になるとの予測が流布している。

アジアが世界経済の主役になるのは幻想ではなく、中国とインドの台頭は戦後世界を米国が独占していた時代から歴史的な経済規範が復活してきただけと見る向きが多い。

20世紀半ばまでアジアは世界GDP比で20パーセント相当に甘んじてきたが、日本や韓国の「経済奇跡」、東南アジアの新興勢力、中国の経済好況により今や40パーセントになっている。国際通貨基金は今後数年で世界の経済成長の三分の二を占めると見ている。

2030年アジアの上位五カ国を大胆に占えば、中国、インド、日本、インドネシア、韓国と見る。ただし、リスクは多数あり、地政学や経済上のショックが出現するかもしれない。疾病、革命、テロリズム、戦争がいったん発生すればその国はあるいは地域としてコースを外れることもありうる。

たとえば中国で民主勢力が蜂起し共産党政府を揺るがしたら、あるいは南シナ海で戦争が勃発したらどうなるか。韓国は北と統一を実現するのか。日本が移民制限を撤廃したら。インドではテロ攻撃の他に核戦争のリスクもある。

それにしても可能性のバランスの下に以下の五カ国が2020年代末までにアジアを牽引しているはずだ。

1. 中国
鄧小平が「最高指導者」に就任した1978年当時の中国経済は毛沢東一派の経済政策が数十年続いたための負担でつぶれそうだった。だが画期的な経済改革で共産中国が外資に門戸を開き、国営企業を民営化して中国は前例のない高度成長を数十年継続し、2010年には世界第二位の経済大国の座を日本から奪うに至った。

昨年のGDP成長率6.9パーセントは過去25年間で最低となったとはいえ、一部専門家がいうように従来が水増しだったとしてもこの数字はインド除けば世界のどの国よりも高い。年率10パーセントのGDP成長が続いた幸福な時期は終わったが世界最大の人口を有する同国の経済成長は終わることはない。

経済改革で輸出から内需へ、製造業からサービス業さらに国内需要へ切り替えたが、米農務省(USDA)の最新予測では中国経済は2030年まで年率5.2パーセントで成長する。

予測が現実になるかは成長減速を中国政府がどう乗り切るのか、また急増する債務と生産設備の過剰にどう対処するかにかかっており、投資先導の経済から消費中心の経済にゆっくりと舵を切れるかにもよる。

現時点でエコノミストの大方は中国が各課題に対応できると見ている。もしそうなら中国経済は米国との差を埋めるだろう。USDAは米経済の成長率を2030年まで2.4パーセント近くと見ている。

あとわずかのところで中国が世界最大の経済大国になれないとの予想もあるが、2030年のアジア経済では圧倒的な存在感を示していくだろう。

2. インド
この数十年間で中国が世界経済に躍り出たが、次はインドが同じ立場になる。

経済成長率ではインド経済は中国から第一位の座を2014年に奪い、USDAは2030年まで7.7パーセントで次の世界経済大国になると見ている。

IMFは現在第七位の経済規模のインドが早ければ2019年に第三位になると見ている。この後押しになるのが改革志向の強い政権と若年層が厚い人口構成による配当だ。

一次産品価格の低迷で打撃を受けるBRIC各国のブラジル、ロシア、中国に対しインドは一次産品の純輸入国であり消費国であるため現在の市況から大きな恩恵を受ける立場だ。

原油、石炭、鉄鉱石で低価格水準が続けば、インドの貿易赤字は縮小を続け、消費者の購買力は伸びるが、経済成長の最大の障害であるインフレはここ十年間で最低水準になっている。

課題は国民の不満をどう制御するかだが、世界銀行はインドがこのまま世界最速の経済成長を維持できると見ており、公共部門での投資と適度な規制緩和を背景にあげ、インドがアジアの成長株の座を守るのは確実と見ている。

3. 日本
さほど前でないがアジア経済再復興の象徴は日本だった。米専門家は争って東京へ飛び、日本の産業力の秘密を探り、政府行政官による民間部門の「指導」、勤労好きな日本のサラリーマンを経済力向上の原動力だともてはやした。

日本経済は1960年から30年間に年平均16パーセント成長をとげ、世界第二位の経済大国になったが、今となると予測はかならずしも大胆ではなかった。大規模な経済バブルで資産価格が不条理なまでの高額になり、皇居の土地価格でカリフォーニア州全部を上回るまでになったが、宴は1990年代初頭に終結を迎える。

「失われた20年」を現在まで早送りすると、経済予測がいかにばらばらだったかがわかる。安倍晋三内閣は「アベノミクス」で景気刺激を模索しているが向かい風に立っており、高齢化、労働人口減少、生産性の低下に加え公共部門の負債が増え続けている。

では2030年までにどうなるか。日本は史上最大規模の労働人口減少に見舞われることになり、OECDは政府財政の立て直し、経済構造の再構築、さらに女性や高齢者の労働増加を推奨している。

日本がここまで大きな経済や人口構造の変化に対応できるか不明だ。だがUSDAはインドがあと数年で日本を追い越すとしており、2030年の日本経済は世界第四位になっているだろう。

4. インドネシア
世界最大人口を誇るイスラム国インドネシアは今でもASEANの重鎮だが、多くの予測はこれから更に成長すると見ている。

マッキンゼーはインドネシアで2030年までに90百万人が消費社会に仲間入りすると見ており、中国やインドを除けば最大級の増加だ。JPモーガンはASEAN全体が2030年までに世界四番目の経済規模に成長する中でインドネシアの域内規模を40%とする。

たしかにインドネシアの需要や家計消費の増加は経済成長の大きな要因になるが、障害も多い。たとえば社会インフラの再構築、汚職追放、資源輸出での中国依存の是正などだ。

とはいえ、USDAはインドネシアの改革推進は可能と見ており、2030年まで年率5.1%成長を維持し、韓国を追い抜いてアジア第四位の経済規模になると見ている。

5. 韓国
韓国経済の輸出依存度はドイツに僅かに及ばないものの世界第二位だ。輸出の四分の一が減速傾向の強い中国向けで、韓国の経済鈍化は驚くべきことではない。

現代研究所によれば輸出の低迷と世界需要の低迷で国内消費が振るわず、企業の投資も低下している。製造業での雇用削減に家計部門の負債増加が加わり、韓国経済は問題に直面しているところに人口高齢化と労働力人口減少が追い打ちをかける。

ただし、OECDは韓国政府が堅実な政策をとり、国内支出増に向かい、行政改革、自由貿易協定を各国と締結し、女性の社会進出を後押し生産性の伸び悩みの打開は可能と見ている。

USDAも韓国の問題対処能力を信じ、低率ながらまずまずのGDP成長年率2.8%を2030年まで維持できると予測しており、アジア第五位の座に収まると予測。

また南北統一が実現すれば一気に数百万もの労働人口が加わるが、貧しい北を豊かな南が統一する財政負担を乗り越えることが前提だ。

世界でも有数の変化の激しい地域の行く末を予測することには絶えず読み間違いの危険がつきまとう。エコノミストのおかげで天気予報士が立派に見えるという笑い話もあるくらいだ。アジアの成長の中身と速度には議論の余地があるものの、経済拡大は誰も止めることができないようだ。

アンソニー・フェンソムはオーストラリアで活躍するフリーランス記者でアジア太平洋の金融・メディア分野の経験からコンサルタントも務めている。


2016年6月29日水曜日

密漁船は拿捕、爆破!インドネシアの豪傑女性大臣に中国はどう対応?



とにかく南シナ海は広大で、これまでは各国が暗黙の裡に漁場など共有する一定の秩序があったのでしょう。そこに中国が横柄な態度を示せば各国は反発します。中国には見方は弱小国少数しかないという不利な状況を早く認識してもらいたいですね。スシ大臣の強硬策に中国がどう出るかが見ものでしょう。同大臣は民間出身で、しかも女性で魚河岸の男の世界に乗り込んだ伝説の人物らしいです。日本の価値観も理解してもらっているようなので大事な人物ですね。

 Indonesia Fights Illegal Fishing by Blowing Up Lots of Boats

Here’s one way to stop poachers

by ROBERT BECKHUSEN
インドネシア海軍海防艦が6月17日南シナ海ナトゥナ島付近で中国漁船に発砲し領海侵犯中の漁船団十数隻を追い払った。そのうち一隻Qiong Dan Zhou 19038がインドネシア海軍に拿捕され、乗組員11名が身柄を拘束された。
  1. インドネシアは海外密漁者に真正面から挑み、海上で迎え撃ち、時には発砲も辞さない姿勢を見せている。
  2. 2014年12月より海軍艦船を派遣し不法漁船を狩り立てており、沈没させることもある。2016年4月には拿捕外国漁船174隻を一気爆破する思い切った行動に出ており、テレビ中継までしている。
  3. 「国籍を問わずインドネシア領海に一歩でも入ればTNI-AL(インドネシア海軍)は躊躇せず断固たる行動をとる」とのエディ・スチプト中将の声明を6月17日の事件後に出ている。
  4. 世界最長級の沿岸部を有する一方でインドネシアの海軍力は不十分だ。駆逐艦11隻、海防艦18隻、ドイツ製老朽潜水艦2隻しかない。インドネシア政府は不法漁船を食い止めることができないが、強硬姿勢でインドネシアの環境、経済上の被害を最小限にしようとしている。
  5. ジョコ・「ジョコウィ」・ウィドド大統領は規外国漁船数千隻による不法操業で年間250億ドルもの被害を同国が受けていると主張しているが、この数字は誇張で2009年政府試算では損失を20億ドル程度としていた。
  6. それでも大変な金額であることに変わりなく、密漁船を吹き飛ばすと十分警告になる。
  7. 「ジョコウィのインドネシアは海上警察官の役割を演じ密漁取り締まりを自国籍のみならず外国籍漁船にも躊躇しない国になった」とフィリップ・ジェイコブソンがニュース専門サイトで評している。
  8. 密漁船の断固たる排除方針はジョコウィの功績で、ヘビーメタル愛好家にしてジャカルタ市長も務めた同人は2014年大統領に当選している。当選そのものがインドネシア政治の大きな地盤変化で、軍出身者が大統領職を独占し中でも31年間にわたり軍部政治を敷いたスハルト将軍の存在は大きかった。
  9. ジョコウィ自身は不法漁船取り締まりを「ショック療法」と呼び、「海洋軸構想」で港湾建設と海軍力整備を目指している。
スシ・プジアストゥティ海洋水産大臣(右)。インドネシア海軍艦艇にて。
  1. ただしもっと重要な人物はスシ・プジアストゥティ海洋水産大臣である。フィナンシャルタイムズはこの女性大臣のことを「タトゥーを彫ったチェーンスモーカー」で漁船爆破現場の前でサングラスでポーズをとるのを好むと評している。
  2. The Interpreterは派手な現場公開はショーの要素が強く、拿捕漁船には追加ダイナマイトが積まれていたと伝える。漁船を沈める前に当局は燃料とエンジンを取り除き環境汚染を予防していたという。
  3. だがこの戦略は効果を上げてきたようだ。ある程度まで。漁民は次第に漁獲高が上がってきたのを感じ取っており「マダム・スシ効果」と言っているが、批判筋は経済効果は水増しされており、肝心の国内水産業への投資は不足したままだと言う。
  4. 「プジアストゥティは外国製漁船も排除する命令をしており、インドネシア人が海外に注文した漁船も対象となるが実際に海外業者が隠れ蓑に使うこともある」とジェイコブソンは記している。「多くが人身売買に関係している」
  5. 3月にはヴァイキング号(ナイジェリア船籍)を爆破している。インターボールが希少な南極海やパタゴニアのアイナメを密漁したとして手配した漁船だ。環境保護団体シーシェパードが長年追跡し、インドネシア領海に入った段階でジャカルタに通報していた。
ヴァイキング号の爆破Via YouTube
  1. 「これで抑止効果が出るでしょう」とプジアストゥティ大臣は述べている。「世界の他の場所なら自由に航行できてもインドネシア領海に入れば、こうなるのよ」
  2. インドネシア海域は各地の漁船を引き付ける漁場で中国、ヴィエトナム、マレーシアが密漁で悪名高いが水産資源取引は世界規模で行われ漁船はいたるところから集まってくる。
  3. 中国漁船団の存在は別の意味でも深刻な問題になっている。というのはすば抜けた規模の戦力を有する中国海軍が力ずくで自国民を守ろうとするからだ。ナトゥナ諸島周辺の領海はインドネシア海岸線から200マイル地点であり、中国が主張する南シナ海領海とも重複する。
  4. 2013年には中国沿岸警備隊巡視船CCG3210号がインドネシア側巡視艇が拿捕した中国籍漁船の解放を迫り、インドネシアの無線交信を妨害し救援を呼べなくしている。
  5. 中国は強硬に南シナ海で軍事プレゼンスを拡大いしており、海洋領有を主張するべく艦船の派遣も増強している。この事から密漁団は犯罪組織の行為ではなく国家の庇護のもとに行っているともいえる。
  6. 強力な海軍まで控える国家が後ろ盾となった不法漁船を食い止めるには拿捕漁船の爆破では足りないのではないか。■


2016年5月27日金曜日

韓国がGEエンジンをKF-Xに選定



S. Korea Picks GE to Provide Engines for Fighters

Agence France-Presse9:50 a.m. EDT May 26, 2016
635998517785930305-KF-X-fighter.JPG(Photo: KAI)
SEOUL, South Korea — 韓国は戦闘機開発事業で米ジェネラルエレクトリックのエンジン採用を決定したと政府関係者が明らかにした。
  1. 国防調達事業庁DAPAの広報官はAFPに「6月に正式契約を調印したい」と述べた。.
  2. GEエイビエーションがユーロジェット共同事業体(ロールスロイスホールディングsとMTUエアロエンジンAGなどが構成)を下す形で選定された。
  3. 韓国はこれから十年間で「国産」次世代多用途戦闘機を(韓国向けに)120機生産し、F-4、F-5の後継機とする構想だ。
  4. 韓国戦闘機実験機(KF-X)には18兆ウォン(152億ドル)の予算が付き、インドネシアも一部費用を負担することで今年初めに調印している。
  5. インドネシアは(50機の調達をめざし)費用の二割を負担し、最高で100名を開発生産に参画させる。
  6. DAPAは政府官庁で事業統括の立場だが、産業界では韓国航空宇宙工業(KAI)がまとめ役として事業を推進していく。
  7. KAIは昨年三月にロッキード・マーティンと組み契約を獲得している。
  8. 韓国はロッキード・マーティン保有のジェット戦闘機関連技術25件を利用したいとして居tが、米政府がこのうち4点の移転を禁じている。その機微技術にはアクティブ電子スキャンアレイ(AESA) レーダーが含まれている。■
なお対象のエンジンはF414-GE-400とのことでユーロジェットEJ200を性能、価格、現地生産化、事業管理のすべてで上回ったのが選定の理由と調達事業庁は発表しています。


2015年12月21日月曜日

★US-2のインドネシア輸出は実現しそうだ



これはまた期待したい案件になりそうですね。インドネシアと日本の関係も良好ですから条件があえば案件として十分成立するのではないでしょうか。原油価格が最近下降しているためインドネシアには交易条件は逆風ですが、日本政府による融資制度など使えば完成機輸出には十分道がひらけるのではないでしょうか。今後注目ですね

Japan and Indonesia agree to start defence trade talks

Jon Grevatt, Bangkok - IHS Jane's Defence Weekly
17 December 2015
日本はインドネシアと防衛装備の輸出入および技術移転について交渉開始を合意したとの12月17日に発表した。
東京での両国の防衛、外交大臣会合で合意形成ができ、日本からインドネシアへの装備品輸出が成約しそうだ。輸出想定で浮上してきた装備は新明和工業US-2i水陸両用捜索救難機だ。
日本の防衛省発表では今回の会談で防衛安全保障分野での二国間協力の枠組みができて、日本からの装備品供給や関連技術分野での協力に道が開けたとしている。
中谷厳防衛相は「防衛技術の移転に関する交渉の開始が合意できた。これは大きな一歩」と発言したと伝えられる。中谷に対応するインドネシア国防相リャミザルド・リャクドゥはUS-2i取得への関心を改めて表明し、海洋監視安全保障体制の改善に取り組む同国の取り組みの一助としたいと発言している。■


2015年3月24日火曜日

★主張 南シナ海の平和維持のためインドネシアに国際海上作戦センターを設置すべきだ



インドネシア大統領が訪日していますので、ちょうどいいタイミングでしょう。南シナ海、インド洋を視野に入れた海上交通の安全確保の作戦基地をインドネシアに設置してはどうかという現役米海軍士官の意見です。またインドネシアへのテコ入れも視野に入っているようですが、海洋国家としてのアイデンティティに目覚めようという資源大国(最大のイスラム国家でもあります)のインドネシアを安定させ、中国の危険な動向に対する抑止力に巻き込むという構想にはなかなか面白いものがあります。集団的安全保障の典型例になるかもしれません。注目したいと思います。

Essay: U.S. Should Consider Establishing a South China Sea International Operations Center in Indonesia

March 9, 2015 7:15 AM • Updated: March 8, 2015 11:32 PM

Adm. Harry B. Harris Jr., commander of U.S. Pacific Fleet, walks with Japan Maritime Self-Defense Force Cmdr. Kazutaka Sugimoto on Feb. 6, 2015. US Navy Photo
太平洋艦隊司令官ハリー・B・ハリスジュニア大将が海上自衛隊杉本和孝二佐と基地内を歩くon Feb. 6, 2015. US Navy Photo


米太平洋軍U.S. Pacific Command (PACOM) の司令官に就任するハリー・B・ハリス大将は議会で昨年末証言し、「中国の台頭が軍事的には地域内で、経済的には全世界的に顕著となり、自己主張を全面に出した行動を域内各国に示すことで当方には機会になる一方で慎重な対処が必要だ。我慢強くこの最大課題に取り組む必要がある」と発言。
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その課題に答えるべく、米海軍は国際海洋作戦センターInternational Maritime Operations Center (IMOC) 司令部をインドネシアに置き、アジア太平洋地区での海軍の責任を示しつつ、南シナ海やインド洋の最新状況を監視し、中国の台頭に対応する新しい仕組みづくりに乗り出すべきだと考える。

人民解放軍海軍The People’s Liberation Army Navy (PLAN) は潜水艦・水上艦建造に注力しており、三隻の空母を運用する計画で、艦船を標的とするDF-21D弾道ミサイルを整備している。とくに潜水艦部隊の増強が接近阻止領域拒否作戦の中心的手段だ。2020年までにPLANはアジア太平洋地区の各国の二倍の規模の潜水艦隊を運用する。単に隻数だけでなく各種任務の内容や作戦の地理的条件も重要な要素だ。

PLANは艦船の作戦範囲をこれまでの中国本土沿岸から広げており、今後も拡大傾向は続くだろう。PLANは2009年以来、艦船の作戦継続能力を誇示しており、海上物資補給をインド洋でも行っている。2013年から14年にかけて、インド洋に原子力・通常型双方の潜水艦を三回派遣している。

インド洋まで活動範囲に収めた中国は同時に南シナ海で商船団の規模を拡大している。国家海洋局 State Oceanic Administration (SOA)は中国共産党傘下の巨大機関でその役割の2つに注視が必要だ。ひとつが領海と主張する範囲での法執行であり、海底探査測量がもうひとつだ。SOAは中国の沿岸警備隊(CCG)他海洋関連機関を司っており、2020年までに500隻の艦船を投入する。SOAは共産党に「先制使用方針」を実現する手段となっている。つまりスカーボロー環礁の例のようにCCGをまず領海主張の手段とし、紛争に発展すればPLANの強力な威力を投入する。法執行の一方でSOA所属艦船は海中探査を行い資源探査とともに潜水艦作戦に適した海中の状況も調査している。

また南シナ海・インド洋で中は別の軍事活動を開始しており、プレゼンスを強めている。PLANはフィアリー・クロス礁(スプラトリー諸島)で浚渫、港湾設備拡張を実施中で、水上艦・潜水艦用の補給拠点とすることをねらっているようだ。さらに滑走路は航空作戦に利用し、兵器を設置し防御、攻撃双方に想定しているようだ。2014年にはPLAN司令官呉勝利提督 Wu Shengli が立ち寄り本人が南シナ艦隊司令官だった2004年当時に打ち上げた構想の実現度合いを視察、習近平国家主席President Xi Jinping が同年にスリランカ訪問した際にはPLANは同国を潜水艦の遠距離補給基地とすることを認めている。PLANにはインド洋では恒久的海軍基地がないが、スリランカ、イエメン、パキスタン等とは経済連携を強めており、海軍部隊の前進配備の支援が出来る体制を整備してきた。

米国政府は戦略的な地域再配備を重点としてきたが、オバマ政権は2015年度版国家安全保障戦略でこれを明記している。新戦略案では中国の軍備近代化と領土恫喝の可能性に着目している。また米国が「力の立場から競合状態を管理下に置くこと」を提言する一方、「中国軍の近代化とアジア内プレゼンス拡大を注意深く監視し、誤解や誤算による不測の事態の発生が起こらないよう努力する」ことを求めている。

Cmdr. Steven Foley, left, commanding officer of the guided-missile destroyer USS Sampson (DDG 102), and Gen. Moeldoko, commander of the Indonesian national defense forces.
Cmdr. Steven Foley, left, commanding officer of the guided-missile destroyer USS Sampson (DDG 102), and Gen. Moeldoko, commander of the Indonesian national defense forces.


再配備戦略の一環として米海軍はIMOCをジャカルタに設置し、インド洋と南シナ海の両方に目を光らせるべきだ。IMOCはインド、インドネシアはじめ東南アジア各国の海軍と協力する作戦センターとなる。この各国海軍が共同して運営する作戦センター構想は前例があり、バーレーンに司令部を置く合同海上部隊が存在する。また英国ノーウッドにはNATOの連合海上司令部が海軍作戦と商船部隊の双方で調整業務を24時間運用している。

IMOCはアジア太平洋の商船通航の保護もできる。2015年度版国家安全保障戦略では米国は「通商航海の自由航行を保証し、緊急時に迅速に対応し敵意ある行動を取るものを阻止すべき」としている。海上交通の重要性は数字の上でも十分明らかだ。世界交易の9割以上が海上で運ばれ、そのうち3割近く、金額で5兆ドル相当が南シナ海を通過している。

中国も南シナ海、インド洋双方の経済的重要性を理解している。中国の必要とするエネルギーの84%がマラッカ海峡を通過する。習主席は海洋力整備を21世紀の海上シルクロード構築ととらえ、港湾、インフラ整備、特別経済地区をセットで東南アジアと北部インド洋に建設する、としている。南シナ海、インド洋での中国の経済開発が加速化している。2014年にはベトナム付近で海上石油掘削施設を稼働させた際にはCCG艦船数隻が近隣を保護の名目で遊弋している。習主席はスリランカ、モルディブ訪問で数十億ドル規模のインフラ投資を行っている。2012年には東アジア地域包括的経済連携 Regional Economic Comprehensive Partnership (RCEP) を提唱し、ASEAN加盟国等を取り込む自由貿易協定体制を目指しているが、米国は参加していない。

Why Indonesia?

International Monetary Fund (IMF) Data Comparing Population and GDP Source: http://www.imf.org/external/datamapper/index.php
International Monetary Fund (IMF) Data Comparing Population and GDP


アジア太平洋地区にはシンガポールのようにIMOC本部設置に適した場所は多いが、インドネシアはユニークな戦略的な特徴を有している。まず、その他アジア太平洋諸国との比較でインドネシア経済は中国、日本、インドに次ぐ第四位の規模を有している。インドネシアの経済影響力を考えると、米政府も同国との二国間貿易改善とともにインドネシアを環太平洋経済連携協定 Trans Pacific Partnershipに組み入れるべきである。域内11ヶ国が参加する同協定はオバマ政権のアジア太平洋での経済政策の要である。

第二に新大統領ジョコ・ウィドドJoko “Jokowi” Widodoの元でインドネシア はを海洋国家として主要メンバー入りを目指している。大統領就任後、「海洋国家としてのインドネシアは世界規模の海洋国として主張を強めるべきだ。その地位が確立できれば域内、国際協力により国民の繁栄が実現する」と発言している。そのためジョコウィ大統領は軍事支出を対GDP比で1.5%まで増加させるとし、さらに5点からなる海洋戦略教義を打ち出し、同国を海洋国家にしようとしている。

ジョコウィ大統領は自国予算が乏しい中、海外投資が構想実現に大きな存在だと認識しており、「投資が必要だ。投資家が必要だ。それで経済が成長路線に入り、港湾が拡大し、空港が建設できる」と発言。バラク・オバマ大統領が任期最後の数年に入る中で意味のある関係をインドネシアとの間に築く戦略的なチャンスが今ある。経済開発が進み、海洋安全保障も実現できる。オバマ大統領はインドネシアと個人的なつながりが強く、自身も幼少期のころに同国に住んだことがあり、実母も20年間以上に渡り同国内で働いていた。オバマ大統領が行動に出ることがジョコウィ大統領の構想実現に不可欠であるが、条件は米国議会がインドネシア経済のテコ入れに賛同することだ。

第三にインドネシアが民主制度の指標となる可能性がある。東南アジアではタイ国のように政治不安が続いているが、インドネシアはインド、米国に次ぐ世界第三位の民主主義大国である。2014年の数字では全国民の50パーセントが30歳以下で、労働人口はこれから2020年までに14.8百万人増加する。このため民主主義の理想追求とともに市場開放経済の効果を発揮できる一大チャンスが到来する。

第四にインドネシアにIMOCが設置されればその立地条件はアジア太平洋の海上作戦で中心的位置になる。米海軍は横須賀の艦隊司令部だけで合計48百万平方カイリ(89百万平方キロ)の地域を統括させ、域内35ヶ国との関係を維持している。これだけ広範な責任を求めるため、域内に数カ所の拠点が必要。インドネシアのIMOCが加わると、海軍は域内各国海軍と共同して各方面の海上範囲を監視できる。

このようにインドネシアでIMOCの戦略的な意味が実現しそうだが、同時にインドネシアにも欠点がある。特に港湾と道路網を指摘したい。世界銀行は昨年にインドネシア経済開発政策の評価を行い、インフラ整備の遅れを指摘している。また国内港湾施設の能力不足は相当深刻と評価し、他のアジア各国と比較しても劣悪とした。さらに道路網整備がこれまで数十年間放置されて、深刻な容量不足、渋滞問題、物流問題を引き起こしているとした。道路網改善に世銀は1,200億ドル規模の投資が必要と試算している。

ジョコウィ大統領はインドネシアのインフラ改善を正しく理解しているようだが、厳しいハードルに直面している。まず労働人口内の技能格差を縮めなければならない。公的・私的市場機能の改善も必要だし、国際テロリズムの脅威にも屈せず、汚職を追放し、およそ220百万人のイスラム教徒の支持を維持し、その他少数派で700もの言語を話す国内各派でも同じだ。2014年のインドネシアは国連に対して人権面での違反事項があったことを報告できなかったため、本当に人権問題解決の姿勢があるのか疑問視された。欠点はあるものの、インドネシアは前例のない歴史的なチャンスにあり、アジア太平洋で急成長する可能性がある。

米国がアジア太平洋へ勢力を再配備するのは困難な挑戦であり、中国の海洋力整備を監視していくのも大変な仕事だ。オバマ大統領は20111年のオーストラリア訪問時に「21世紀のアジア太平洋で米国がすべての局面に関与していくことに疑いをもたれないようにしたい」と発言。もし米国が「すべての局面で」関与するのであれば、中国が南シナ海・インド洋で権益拡大を狙う中で米海軍は議会ならびに政権の支持のもと、一層大きな役割を求めていくべきである。■