スキップしてメイン コンテンツに移動

密漁船は拿捕、爆破!インドネシアの豪傑女性大臣に中国はどう対応?



とにかく南シナ海は広大で、これまでは各国が暗黙の裡に漁場など共有する一定の秩序があったのでしょう。そこに中国が横柄な態度を示せば各国は反発します。中国には見方は弱小国少数しかないという不利な状況を早く認識してもらいたいですね。スシ大臣の強硬策に中国がどう出るかが見ものでしょう。同大臣は民間出身で、しかも女性で魚河岸の男の世界に乗り込んだ伝説の人物らしいです。日本の価値観も理解してもらっているようなので大事な人物ですね。

 Indonesia Fights Illegal Fishing by Blowing Up Lots of Boats

Here’s one way to stop poachers

by ROBERT BECKHUSEN
インドネシア海軍海防艦が6月17日南シナ海ナトゥナ島付近で中国漁船に発砲し領海侵犯中の漁船団十数隻を追い払った。そのうち一隻Qiong Dan Zhou 19038がインドネシア海軍に拿捕され、乗組員11名が身柄を拘束された。
  1. インドネシアは海外密漁者に真正面から挑み、海上で迎え撃ち、時には発砲も辞さない姿勢を見せている。
  2. 2014年12月より海軍艦船を派遣し不法漁船を狩り立てており、沈没させることもある。2016年4月には拿捕外国漁船174隻を一気爆破する思い切った行動に出ており、テレビ中継までしている。
  3. 「国籍を問わずインドネシア領海に一歩でも入ればTNI-AL(インドネシア海軍)は躊躇せず断固たる行動をとる」とのエディ・スチプト中将の声明を6月17日の事件後に出ている。
  4. 世界最長級の沿岸部を有する一方でインドネシアの海軍力は不十分だ。駆逐艦11隻、海防艦18隻、ドイツ製老朽潜水艦2隻しかない。インドネシア政府は不法漁船を食い止めることができないが、強硬姿勢でインドネシアの環境、経済上の被害を最小限にしようとしている。
  5. ジョコ・「ジョコウィ」・ウィドド大統領は規外国漁船数千隻による不法操業で年間250億ドルもの被害を同国が受けていると主張しているが、この数字は誇張で2009年政府試算では損失を20億ドル程度としていた。
  6. それでも大変な金額であることに変わりなく、密漁船を吹き飛ばすと十分警告になる。
  7. 「ジョコウィのインドネシアは海上警察官の役割を演じ密漁取り締まりを自国籍のみならず外国籍漁船にも躊躇しない国になった」とフィリップ・ジェイコブソンがニュース専門サイトで評している。
  8. 密漁船の断固たる排除方針はジョコウィの功績で、ヘビーメタル愛好家にしてジャカルタ市長も務めた同人は2014年大統領に当選している。当選そのものがインドネシア政治の大きな地盤変化で、軍出身者が大統領職を独占し中でも31年間にわたり軍部政治を敷いたスハルト将軍の存在は大きかった。
  9. ジョコウィ自身は不法漁船取り締まりを「ショック療法」と呼び、「海洋軸構想」で港湾建設と海軍力整備を目指している。
スシ・プジアストゥティ海洋水産大臣(右)。インドネシア海軍艦艇にて。
  1. ただしもっと重要な人物はスシ・プジアストゥティ海洋水産大臣である。フィナンシャルタイムズはこの女性大臣のことを「タトゥーを彫ったチェーンスモーカー」で漁船爆破現場の前でサングラスでポーズをとるのを好むと評している。
  2. The Interpreterは派手な現場公開はショーの要素が強く、拿捕漁船には追加ダイナマイトが積まれていたと伝える。漁船を沈める前に当局は燃料とエンジンを取り除き環境汚染を予防していたという。
  3. だがこの戦略は効果を上げてきたようだ。ある程度まで。漁民は次第に漁獲高が上がってきたのを感じ取っており「マダム・スシ効果」と言っているが、批判筋は経済効果は水増しされており、肝心の国内水産業への投資は不足したままだと言う。
  4. 「プジアストゥティは外国製漁船も排除する命令をしており、インドネシア人が海外に注文した漁船も対象となるが実際に海外業者が隠れ蓑に使うこともある」とジェイコブソンは記している。「多くが人身売買に関係している」
  5. 3月にはヴァイキング号(ナイジェリア船籍)を爆破している。インターボールが希少な南極海やパタゴニアのアイナメを密漁したとして手配した漁船だ。環境保護団体シーシェパードが長年追跡し、インドネシア領海に入った段階でジャカルタに通報していた。
ヴァイキング号の爆破Via YouTube
  1. 「これで抑止効果が出るでしょう」とプジアストゥティ大臣は述べている。「世界の他の場所なら自由に航行できてもインドネシア領海に入れば、こうなるのよ」
  2. インドネシア海域は各地の漁船を引き付ける漁場で中国、ヴィエトナム、マレーシアが密漁で悪名高いが水産資源取引は世界規模で行われ漁船はいたるところから集まってくる。
  3. 中国漁船団の存在は別の意味でも深刻な問題になっている。というのはすば抜けた規模の戦力を有する中国海軍が力ずくで自国民を守ろうとするからだ。ナトゥナ諸島周辺の領海はインドネシア海岸線から200マイル地点であり、中国が主張する南シナ海領海とも重複する。
  4. 2013年には中国沿岸警備隊巡視船CCG3210号がインドネシア側巡視艇が拿捕した中国籍漁船の解放を迫り、インドネシアの無線交信を妨害し救援を呼べなくしている。
  5. 中国は強硬に南シナ海で軍事プレゼンスを拡大いしており、海洋領有を主張するべく艦船の派遣も増強している。この事から密漁団は犯罪組織の行為ではなく国家の庇護のもとに行っているともいえる。
  6. 強力な海軍まで控える国家が後ろ盾となった不法漁船を食い止めるには拿捕漁船の爆破では足りないのではないか。■


コメント

このブログの人気の投稿

★★★★北朝鮮ミサイルが中国衛星で誘導されている可能性

中国も北朝鮮関連では叩けば埃がどんどん出そうですね。北京が見切りをつければ平壌の現政権など簡単に転覆させるでしょうが、中国国内にある北朝鮮とのしがらみ(おそらく共産党内部の派閥争い)と東北部の軍の非合法ビジネスの問題があり、米国といったん話がついても実施が難しいのでしょう。そのうちにしびれを切らした米国が単独行動に出るかもしれません。
Record China Is North Korea Using China's Satellites to Guide Its Missiles? 北朝鮮は中国衛星を使ってミサイル誘導をしているのか
Peter J. Brown May 23, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/north-korea-using-chinas-satellites-guide-its-missiles-20810?page=show

北朝鮮がミサイル発射を繰り返し米本土を狙うICBM開発に走る中、ひとつ見落とされている点がある。ミサイルに衛星誘導を使っているのではないか。北朝鮮に衛星航法ネットワークはないため、中国衛星を利用しているとの観測がある。 2014年報道で北朝鮮技術者が中国国内で北斗Beidou衛星航法システムの運用を研修中とある。同年の別の記事で中国軍専門官から中国は北朝鮮による北斗の軍事利用を止められないと発言している。 北斗以外に北朝鮮の選択肢として米露両国のGPSがあり、ロシアはグロナスGlonasと呼んでいる。 「グロナスの可能性もありますが、ミサイル誘導に北斗を利用している可能性の方が高い」と小泉 悠(未来工学研究所特別研究員、ロシア安全保障問題)がメールで述べており、ロシアは北の核実験後に武器および軍事関連技術の北朝鮮向け禁輸措置を取っているがグロナスが対象かは不明と小泉は述べる。 北斗衛星群打ち上げは1994年に始まり、現在は東アジア以遠まで展開している。北斗は民生商業用途と軍用の両面で利用され、軍用では妨害を受けず正確にデータが利用できる。 北朝鮮が北斗の軍用機能を利用しているか不明だが、民生用機能で精密誘導兵器を運用しているとは考えにくい。というのは北斗の民生機能は日米韓の電子妨害に弱く有事の際に北朝鮮が利用するのは困難になるためだ。 「特別のチップならびに中国の協力がな…

★★★破損機材二機からF-15を再生したイスラエル空軍の実力に脱帽

すごい。やはり国家の存続がかかった緊張状態を毎日続けて70年になる国は違いますね。イスラエルを敵に回したくないものです。 Meet the Israel Air Force unit that frankensteined a totaled F-15F-15二機の使用可能部分をつなぎ合わせて一機再生してしまったイスラエル空軍 By: Barbara Opall-Rome, May 15, 2017 (Photo Credit: Photo by Heidi Levine) http://www.defensenews.com/articles/meet-the-israel-air-force-unit-that-frankensteined-a-totaled-f-15
TEL NOF AIR BASE, Israel – ボーイングやロッキード・マーティンなど米企業がさじをなげたことをイスラエル空軍第22補給処が普通にやりとげてしまった。 2011年の事故でボーイングが喪失扱いと断念したF-15Bアローヘッドが飛行再開している。来月で事故から6年になる。事故は離陸直後にペリカンを空気取り入れ口に吸ったことで大火災が発生した。乗員2名は緊急着陸に成功したが、機体後部は完全に焼け落ち修理不可能と判定された。 その後三年余り、機齢35年の同機の処遇で議論が続いていた。機体の前方部は無傷なのでコックピットとエイビオニクスは予備部品にすればよいという声が出た。そこに第22補給処が前方部分と20年間も「機体の墓場」に放置されたままの単座型F-15の後部と接合する提案をしてきた。 「その案が出たのでボーイングに実施可能か照会したが、答えは返ってきませんでした」と第22補給処の指揮官マキシム・オルガド中佐がDefense Newsに語っている。「再度同社に聞くと、冗談と思って真剣にしなかったと判明したのです」 第22補給処は事故機の前方部分と20年間も「機体の墓場」で放置されていた別の機体の後部を接合した。 Credit: Photo by Heidi Levine ボーイングは声明文で第22補給処との協力関係は40年続いており、イスラエル空軍F-15の即応体制維持の一助となっている「同部隊のプロ意識や能力の高さには敬意を払っており、教えられることもあり相互に恩恵が生まれている」と述べた。 第…

★★★イージスアショア導入でミサイル防衛体制強化を目指す日本

LEAH GARTON—MISSILE DEFENSE AGENCY

防衛大綱にまで記述している以上イージスアショアの導入は固いところです。が、文中に指摘あるように対外有償軍事援助=販売として許認可を持つのは米政府ですので、今後の米中関係など他の影響も考慮すべきでしょう。ただし、中国の反対意見は無視するとしても、中国が沖縄と同様に国内反対派に火をつけることのほうが怖い気がしますが。
Japan May Acquire Aegis Ashore To Defend Itself From North Korean Missiles日本がイージスアショア導入を検討中。北朝鮮ミサイル防衛を目指す。The system is especially well suited for Japan's strategic needs, but China would not be pleased with seeing it setup on Japanese shores.日本の戦略的ニーズにぴったりだが、導入されれば中国がたまっていないだろう。BY TYLER ROGOWAYMAY 5, 2017 http://www.thedrive.com/the-war-zone/10012/japan-may-acquire-aegis-ashore-to-defend-itself-from-north-korean-missiles
日本がイージスアショアミサイル防衛装備の導入で北朝鮮弾道ミサイル脅威に効果的対応が可能になるか検討を急いでいる。 THAAD導入も検討したがイージスアショアの有効距離が大きいことで日本の地理条件に合い戦略上の狙いにも合致すると判断した。またイージスアショアが日本のミサイル防衛能力装備の水上艦と相互運用性がありセンサー、発射装置、迎撃体、運用方法を共通化できることも好条件だ。 価格も問題だ。ジャパンタイムズは「THAAD一個部隊は1,250億円で全土防衛に6隊が必要だ。イージスアショアは800億円程度で二個編成で同じ面積をカバーできる」と伝えている。イージスアショアはPAC-3ペイトリオット部隊と陸上配備ミサイル防衛の二重構成とし、短距離、中距離弾道ミサイルが大気圏再突入後に迎撃する。 イージスアショアはルーマニアのデヴェセルに導入済みだ。AP 日本の地理条件…