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2021年4月11日日曜日

ロールアウトしたKFX改めKF-21ホークは来年初飛行予定。韓国はどんな任務を想定しているのか。

 

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MBC NEWS SCREENCAP

 

 

朝鮮が次世代国産戦闘機KF-Xの試作機をロールアウトした。公式にはKF-21ボラマエ(鷹)と呼称される。同国で最大級の野心的事業で初飛行を来年実施し、同国大統領は2026年までに初期型開発を完了する日程を発表している。

 

韓国空軍(ROKAF)は2028年までにKF-21を40機導入し、最終的に120機を2032年に運用する。老朽化進むF-4EファントムIIおよびF-5E/FタイガーIIの後継機として、さらに60機調達予定のF-35A以外にF-15KスラムイーグルやF-16C/Dの補完役も期待されている。

 

MBC NEWS SCREENCAP

A ROKAF pilot disembarks the first prototype KF-21 at today’s ceremony in Sacheon.

 

ロールアウト式典は韓国航空宇宙工業(KAI)のサンチョン工場(道)で行われ、文在寅大統領が出席し、「自国防衛新時代」を開き、「航空宇宙産業の歴史的一歩」となったと述べた。大統領は2030年代に世界7大航空産業強国の一角になる目標を表明した。

 

同機の本格開発は2015年に始まり、2019年に国防調達事業庁 (DAPA)が試作機製造にゴーサインを出した。

 

試作機には単座型4機、複座型2機を製造し、米国製ジェネラルエレクトリックF414-GE-400Kエンジン二基を搭載する。2016年にF414エンジン240基に予備部品合わせ導入を決めた。同型エンジンはF/A-18E/Fスーパーホーネット、EA-18Gグラウラー、スウェーデンのJAS39E/Fグリペンが採用しており、インドのテジャスMk.2も搭載予定だ。

 

KF-21量産生産契約は2024年交付との観測があり、空対空戦対応のみのブロック1引き渡しが2026年開始となる。対地攻撃能力はブロック2で実現する。

 

国産多任務戦闘機の開発・生産は大きなチャレンジだが、KAIにはFA-50軽攻撃機含むハイエンド軍用機製造の知見があり、F-16C/Dの現地生産実績もある。

 

KF-21には低視認性を目指した特徴もあり、尾翼が角度をつけていること、胴体形状などにF-22、F-35に通じる特徴がみられる。ただし、米ステルス機並みの全方位ステルス性能は有しない。むしろ、同機はF-35とF-16のギャップを埋める存在を目指し、F-35より安価な運用コストの実現を狙う。KF-21の兵装は機体外部に搭載し、主翼と胴体下に合計10点のハードポイントがある。

 

MBC NEWS SCREENCAP

The flags of South Korea and Indonesia appear on the forward fuselage of the KF-21.

 

同機が実戦配備となる2026年ごろに開発が期待される派生型で機内兵装庫の実現が想定される。KF-21のレーダー断面積はユーロファイター・タイフーン程度とみられるが、今後登場する発展型で削減を図る。非武装でも重要なセンサー機材として友軍に貴重な情報を提供できる。

 

総額79億ドルといわれるKF-21開発ではインドネシアも参画しており、開発費用の2割を負担し50機調達する予定だった。だがインドネシアは分短期払い込みを滞っており、事業に暗雲を与えている。

 

ただし、インドネシア国防相プラボウォ・スビアントはロールアウト式典に参列しており、韓国関係者も両国協力体制は健在と述べている。その他国への輸出構想もある。

 

海外諸国にKF-21は魅力ある商品になりそうだ。F-16Cを上回る飛行性能があり、アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーを採用し、ラムジェット推進方式のミーティア空対空ミサイル(MBDA製)を運用する。実証機のフライトテストはボーイング737試験機を使い、もう始まっている。

 

KF-21ブロック2では搭載兵装の組みあわせが決まっており、GBU-12ぺイヴウェイII、GBU-31/38共用直接攻撃弾(JDAM)、GBU-54/56レーザーJDAM、GBU-39/B風向き補正弾薬ディスペンサー(WCMD)がある。各兵装はROKAFで供用中で今後は機体との統合が中心となる。

 

同機のペイロードは16,975ポンドになる見込みで、最大離陸重量は56,400ポンドだ。最高速力は時速1,400マイル(約マッハ1.83)で航続距離は1,800マイルとなる。もちろん、これはカタログ値で実戦運用では大幅に下がることがある。

 

ステルス性能を備えた同様の高性能戦闘機開発プロジェクトはヨーロッパ、インド、日本、トルコ、英国で進行中だが、KF-21はKAI初の高性能機材かつ迅速開発案件となっており、今後輸出が成立すればこれまでの投資を回収できる。

 

KF-21は兵器国産開発を目指す南朝鮮の技術水準を示す。部品の65パーセントを国産で調達し、KAIは重要エイビオニクスとしてミッションコンピュータ、飛行制御コンピュータも担当する。その他にもAESAレーダー、電子戦装備、赤外線捜索追跡センサー、電子光学標的捕捉ポッドも国産化する。KF-21が量産に入れば10千人の雇用が生まれると文大統領が述べた。ここには2016年以降に生まれたプロジェクト関連雇用12千名は含まれていない。

 

KAI

The first prototype during its final assembly at KAI. 

 

KF-21でROKAFは核装備を有する北朝鮮の軍事脅威に対し質的優位性を確保できそうだ。北朝鮮の朝鮮人民空軍(KPAF)に対しROKAFは現在でも大きな差を確保している。

 

KPAFで最新鋭の戦闘機は冷戦末期のMiG-29フルクラムが少数機あるだけで、ROKAFはF-35Aを先鋒に展開するはずで、F-35Aはすでに20機が配備されている。またF-15Eストライクイーグル60機のほか、F-16C/Dも134機がF-16V仕様に改修しAESAレーダーを搭載する。さらにF-35Bの導入も検討中で、次に建造する強襲揚陸艦で運用する。

 

こうした第一線戦闘機に加え、ROKAFには戦力効果を増幅させる支援機材がそろっている。まず、ボーイングE-737(E-7ウェッジテイル)ピースアイ空中早期警戒統制機(AEW&C)があり、北朝鮮空域を監視できる。またレイセオンRC-800情報収集機、ダッソー・ファルコン2000EXにL3コミュニケーションズによる情報集機材を搭載している。こうした機材がKF-21を支え、リアルタイムで北朝鮮の空地海の脅威対象の情報を提供する。

 

KBS NEWS SCREENCAP

 

南北朝鮮が開戦となれば、KPAFは旧型機多数を動員するが、火砲部隊、移動式ミサイル発射装置の威力を前面に出してくるはずだ。さらに核兵器が北朝鮮にあるほか、化学兵器、生物兵器も備蓄している。朝鮮人民軍の固定式、移動式の地対空ミサイル多数は、対空火砲とあわせ、まっさきに制圧する必要がある。

 

このため、KF-21ブロック2で対地攻撃能力の実現をROKAFは目指すはずだ。

 

KF-21により南朝鮮は国産次世代多任務戦闘機の配備を目指し独自の道で一歩を記したといえる。同機開発の進捗には目を見張るものがあり、初飛行に向けカウントダウンが始まった。■

 

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Meet South Korea's New KF-21 "Hawk" Indigenous Fighter


Developed under an ambitious timeline, the fighter will complement F-35s and older fighters as part of a revamped Republic of Korea Air Force.

BY THOMAS NEWDICK APRIL 9, 2021


 

Contact the author: thomas@thedrive.com



2020年10月5日月曜日

韓国初の国産戦闘機KF-Xの実現への前途は多難な様子

 国初の国産戦闘機の開発が進展を見せているが、事業は海外投資先との交渉が難航しており、財務面で危機に瀕している。韓国は初期費用の約2割にあたる15億ドルをインドネシアに負担させる段取りをつけていたが、インドネシアは8月時点で4.2億ドル分が未払いで、再交渉に進展の兆しがない。インドネシアは2割を負担し試作機一機を韓国の技術とともに入手する条件だった。

 

インドネシアとの交渉はまだ決着がつかないが、インドネシアの不満はつぎの二点に集約される。輸出ラインセンスを巡る意見の対立およびインドネシア側技術員が中核部分への立ち入りを禁止されていることだ。前者はまだ単純に思える。両国の間で基本所有権の所在をはっきりさせればよい。だが韓国国防筋がThe Korea Timesに語ったように両国間の協力関係に進展がないのが現状だ。

 

韓国の防衛産業大手韓国航空宇宙工業(KAI)が今年初めに公開した画像ではKF-X試作型の一号機は組立最終段階に入っている。KF-Xは単座双発の4.5世代戦闘機でF-16コンセプトを下敷きに空力性能を改善し、ハードポイントを増やし、ステルス機能を一部で採用し、国産AESAレーダーを搭載する。ord label

KF-Xの初期生産機は兵装を外部搭載するが、その後の生産分からは内部兵装庫に長距離空対空ミサイルを搭載し、韓国のLIG Nex1が同ミサイルを開発中だ。量産仕様一号機は2021年1月に完成し、量産は2028年に開始し、2032年までに最大120機を生産する。

 

韓国の大胆な計画通りに進展すればKF-Xは韓国空軍の旧式機材F-5EおよびF-4ファントムIIの後継機種となるほか、一部のF-16とも交代する。

KF-X初期機材で研究開発生産費用は70億ドルに達し、さらに160億ドルで量産機を生産すると機体単価は約1.3億ドルになる。

 

KF-Xは物資面でも財務面でも韓国に重荷になっており、AESAレーダーのような高額装備品を輸入すれば安価に実現できたはずだ。

 

予想外の未払い分の出現で韓国が今後10年で120機生産する目標を変更するかに注目が集まる。韓国は自国で不足分を負担できるが、KF-X事業は最初から投資回収は想定しておらず、費用節減は最重要項目ではない。韓国は同等の性能を有する機材を安価に輸入できたはずだ。逆に韓国の目標は国産戦闘機の開発で長期にわたる戦闘機輸出で投資を回収することにある。インドネシアが撤退すれば事業進展に悪影響が出るものの、アジア太平洋地区で主要防衛装備輸出国の座を狙う韓国の構想そのものが無効になるわけではない。■

この記事は以下を再構成したものです

South Korea's KF-X Stealth Fighter Program Is Running Into Problems

October 3, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: South KoreaROKKF-X ProjectMilitaryKF-XStealth

by Mark Episkopos

Mark Episkopos is a frequent contributor to The National Interest and a PhD student in History at American University.


2019年1月26日土曜日

★各国の次世代戦闘機プロジェクトの最新状況まとめ(西側諸侯のみ)

読者のみなさんは戦闘機が大好きなようなので開発中の戦闘機プロジェクトをまとめたAvisationweekをご紹介します。このなかで実現する機体がどれかまったくわかりません。後日、こんなプロジェクトもあったんだねと回顧されることになるかもしれませんね。


Next-gen Combat Aircraft Development Gains Momentum

次世代戦闘航空機開発にはずみがついてきた


Jan 23, 2019


Graham Warwick | Aviation Week & Space Technology




FCAS (英国)
20億ポンド(25億ドル)規模で絵将来型戦闘航空システム技術事業を英国が2018年開始した。チーム・テンペストとして英国防省、英空軍、BAEシステムズMBDAロールスロイスレオナルドが参画し、スウェーデンのSaabにも参加を呼びかける。2018年末に今後の取組方針を発表する予定だった。FACSの採用は2025年に決定し、供用開始を2035年に設定している。


NGAD(米)
米空軍、海軍はそれぞれ代替策検討を2019会計年度中に完了の予定。有人型、無人型、任意有人型を検討中。空軍は侵攻制空戦闘機構想を捨て、航空優勢システムファミリーとして要求内容をまとめ、海軍はNGADの意味を次世代防空機材、別名F/A-XXとしF/A-18E/F、EA-18Gの後継機として2030年代中頃の実用化をめざす。



次世代戦闘機(日本)
日本のめざす次世代機は大型双発戦闘機で三菱F-2の後継機を目指す。日本政府は完全国産開発、国際共同開発のいずれに道を選ぶか検討中で2019年中に結論をだすと見られる。初飛行を2025年、供用開始を2030年に設定。ロッキード・マーティンはF-22改良型を提案と伝えられる。日本製のエイビオニクスを搭載しエンジンはIHI製33千ポンドXF9-1実証ユニットを元に開発する。


FCAS (フランス-ドイツ)
フランス、ドイツ共同開発の次世代戦闘航空機システムにスペインも参加予定。概念基本研究が2019年に始まる予定。エアバスダッソー双発次世代戦闘機に取り組み、ステルス超音速で操縦性に優れた有人機をサフラン/MTUの30千ポンド推力の可変サイクルエンジンで実現する。実証機を2025年ないし26年に飛行させ、供用開始は2040年とする。


TF-X(トルコ)
ターキッシュ航空宇宙工業が開発する双発機で60千ポンド級の推力を誇るTF-XはF-16後継機となる。試作機はジェネラル・エレクトリックF110双発で2023年の初飛行にこぎつけそうだ。トルコはエンジン国産開発にも取り組み国営TRモーターが担当する。2030年以降の供用開始予定。




KF-X(韓国)
韓国航空宇宙工業が開発するKF-XはF-4、F-5の後継機。最大離陸重量56千ポンドで22千ポンドのジェネラルエレクトリックF414双発とする。KF-XはメテオとIRIS-T空対空ミサイル(ともに欧州製)を搭載する。KF-Xは2022年に初飛行し、2026年に配備開始の予定。インドネイシアが開発に加わるが経費支払分担で決着がついていない。


こうしてみると2020年代は次の世代の機材を育む準備期間で早くて2030年代にならないと次世代機は姿を表さないのではないでしょうか。その間は既存機種に頑張って貰う必要がありますね。しかし、どう見ても楽観的すぎる予定を堂々と掲げる国も混じっていますね。

2017年12月24日日曜日

Saabが韓国KF-XのAESAレーダー技術開発を支援へ

AESAレーダー技術の提供を米政府が拒否し、国産開発を目指した韓国ですが結局Saabの援助を得ることにしたということですか。単体の技術だけでなく各種システムを統合していくことが大切ですね。韓国はどう扱うつもりでしょうか。

Saab to Support S Korean KF-X Fighter Jet’s AESA Radar Development
韓国KF-X戦闘機のAESAレーダー開発でSaabが支援へ

Our Bureau
12:07 PM, December 23, 2017

KF-X fighter jet illustration by South Korean Air Force
- A +


韓国の国産KF-X戦闘機用のAESAレーダーのアルゴリズム開発でSaabが支援要請を受けている。

レーダー開発の主体は韓国国防開発庁 (ADD) でSaabはLIG Nex1へ協力する。契約金額は25百万ドル。LIG Nex1(本社ソウル)は高性能電子製品の開発製造を行うメーカーだ。

韓国は国産戦闘機開発を長期間にわたり勧めておりAESAレーダーの国産化も狙う。Saabにとって今回の契約は重要な一歩となり今後長期間にわたり韓国での事業を狙う。

「機内搭載AESAレーダー開発に加われ嬉しい。最新戦闘機へ搭載する技術開発の一員となりサブシステムまで含め関与するトップ企業としての当社の役割が評価されたものだ。「韓国政府、産業界とともに国産戦闘機開発を支援していく」とSaabは語っている。

韓国はKF-X開発をロッキード・マーティン支援で当初進めていたが米政府がAESAはじめ重要技術提供を拒否した経緯がある。AADはそのため独自開発するとしていた。■


2017年10月18日水曜日

★★韓国KF-X開発の最新状況

FA-50でロッキードの助けをかりていますが、KF-Xでも同様のようです。もっともF-35を採用したのもKF-X開発のためのようにも見られますが、そもそもKF-X開発の動機が理解困難です。韓国が米国離れしたところで基礎技術等しっかり米国から逃げられない構造のはずですし、米国の代わりに欧州に頼っても同じ構図でしょう。



Aviation Week & Space Technology

South Korea's KF-X Grows Considerably In Development

韓国KF-Xの開発状況
Two-seat version and European weapons added to Seoul’s new fighter
複座仕様と欧州装備の採用が韓国の新型戦闘機構想の中心


Oct 13, 2017Bradley Perrett and Kim Minseok | Aviation Week & Space Technology



韓国航空宇宙工業(KAI)のKF-X戦闘機が拡大を続けている。コンセプト構築時にはユーロファイター・タイフーン程度の大きさだったが繰り返し寸法が拡大している。
国産戦闘機を目指す同機は複座だと開発元は確認しているが初期は単座だった。MBDAのメテオおよびDielのIRIS-T空対空ミサイルを装備すると韓国国防調達部門は述べており、米製兵器への依存度を解消する考えだ。
双発のKF-Xは初飛行2022年をめざす。韓国空軍とKAIは初号機引き渡しを2024年に設定しているが、2026年以前の機体は開発用のはずだ。実戦対応の初号機は2026年に初めて出現するはずだが装備は完全ではない。インドネシアがKF-X開発のジュニアパートナーとなっている。
国防省の国防開発庁(ADD)が開発を主導しており、KAIが詳細開発を担当する。さらに調達部門の国防調達事業庁(DAPA)がジェネラルエレクトリックF414エンジンを2016年に選定した。
設計案C107は2012年に始まった設計案の最新版である。ロッキード・マーティンがF-Xフェイズ3の選定にF-35ライトニングIIで勝ち残った2013年時点はC104だった。選定の勝者はKF-X開発への支援が求められている。
各設計案では尾翼がついているが、カナード翼を付けた案もヨーロッパ勢がフェイズ3で勝ち残っていたら実現していただろう。C107以前の設計案はすべて単座機であったがKAIの2016年ニュース取材の背景に複座機案が写っていた。
機体大型化で機内容積を増加し空力特性の改良するとDAPA関係者は述べている。
DAPA公表の低解像度図面で設計案5通りが判明して2012年以降のKF-Xの進化過程がわかる。機体は大型化し主翼も大型化したが設計陣は基本形にこだわり前縁後退角が40度でアスペクト比が2.7のままだ。
最初がC101で2012年のC103で基本形となり今に続いている。事業立ち上げ段階ではC103がだったが2014年にC104になり、機体一体型アンテナと内部搭載が修正された。図面の外観上はほとんど変化がない。
With development due to be completed in 2026, the KF-X’s wing and fuselage have both grown during several design iterations. Credit: Colin Throm/AW&ST
C104の寸法は不明だが、C105(2016年以降)はC103より大型化している。翼幅は10.7メートルから11メートルへ、全長は40cm伸びている。拡大の半分は主翼の大型化によるものだ。機体では主翼取付位置が後退し、胴体がやや広げられている。
またキャノピー形状が変更されており、おそらくステルス性と関係があるのだろうが、F414エンジンが選定され空気取り入れ口の形状が変更された。当時は最大の出力を誇ったF414は非常にかさばるエンジンで機体設計も対応して拡大されたのだろう。
空虚重量が2%しか増えず11.1トなのはその他部分で重量軽減に努めたためだろう。タイフーンと比べるとわずかに全高が大きい。
さらにC106では翼幅、主要面積、胴体長すべてが大型化している。コックピットは前方方向に移動した。C106の各寸法は不明だがC107と同程度のようだ。C107の翼幅は20cm伸びているが、C105よりわずかに大きい程度だが、タイフーンより明らかに大きい。
胴体前方の形状はC107で改良された。主翼取付位置も前方に移動し、胴体と一体化して尾翼は前方に移動しており、移動した分のモーメントアームの相殺として全高が増えている。
C107以前はエンジンが接近して搭載されていたが、現在は距離を置き、機体残存性を高めながらエンジン間に空間を確保している。機首は当初案より鋭さをましており、日本が発表している国産戦闘機案に似てきた。2018年6月までに三案出てくるためさらに変更が今後発生する見込みがある。
後部座席が追加された理由は公表されていない。1990年代以前の設計案は複座型が通常だった。後部席は訓練以外に飛行乗員を運ぶために使われることもある。これはベトナム戦争後の流行だ。だがF-22、F-35、成都J-20が単座型しかないのはシミュレーターが高度化してパイロット養成の様相が変わったためだ。KF-Xで後部座席が復活したのはエイビオニクスが実は高性能でなく攻撃任務に二名体制でないと対応できないためかもしれない。
MBDA、Diehl両社はそれぞれメテオ、IRIS-Tミサイルの供給で合意しているとDAPAは述べており、販売条件の詳細が合意されたようだ。だが韓国にはIRIS-Tの使用でドイツの承認が必要だし、メテオ開発の関係国である英国、フランス、イタリアの承認も必要だ。各国政府の承認がいつになるか不明だ。メテオは長距離、IRIS-Tは短距離ミサイルだ。
韓国は米国装備も使う予定で、AIM-120AMRAAMやAIM-9サイドワインダーが対象だ。ただし各装備を機体に搭載するための調整は完了しておらずとDAPAは述べている。ワシントンは6月に両ミサイルの技術情報開示に合意しているが内容は1Aと呼ばれサイズ、重量、基本インターフェースの特徴に限定されている。韓国は1B情報として完全版を求めている。
KF-Xの完全開発は2015年末に長年にわたる国内論争を経て開始された目的の一つが韓国をワシントンの許認可なしで兵器運用できる国にすることで現行体制では米国製戦闘機購入の場合でも許可が必要なためだ
別の目的に米国の拒否権行使に関係なく兵装を確保したいという願望がある。だがエンジンがF414のため機体は米国の輸出管理の対象だ。
Cobhamが兵装庫と発射装置を供給し、大量供給する契約なのだろう。
発射装置は十分に長さを確保し機体の安全確保につなげるが機体からの発射速度は秒速9mでAIM-120とメテオには適合しているとCobhamは説明している。同社は2020年に数量不明の発射装置を供給し、総額は7百万ポンド(9.2百万ドル)になるという。納入時期と金額から試作機向けの契約で初期生産機材分も含まれるかもしれないし、エンジニアリング支援も内容に入っているかもしれない。
CobhamはKF-X量産機材向けの供給に触れていないが、開発段階で良好な実績を残せばその後の量産段階でも有利になることは明らかだ。
機体各所で必要な海外政府の承認が得られた。米政府によればインドネシアにはKF-X開発で使われる技術へのアクセスが認められるが、韓国と同内容の情報全部は開示されないようだ。ロッキード・マーティンがKAIにエンジニア30名を派遣しているとDAPAは明らかにした。今年末までに40名になる。インドネシアはエンジニア80名をKAIに派遣中だ。
韓国はKF-X向けにエイビオニクス主要装備4種を開発中でAESAレーダー、赤外線捜索追跡装置、電子光学目標捕捉ポッド、電子戦装備だという。
このうちレーダー開発の完了は2026年で3,600億ウォン(3.2億ドル)とDAPAが明らかにしている。この装備には送受信モジュールがおよそ1,000個必要だ。重要な設計審査は2019年中ごろの予定だ。
ハンファHanwha とADDがハードウェア実証モデルを作成中で構成はハンファのAESAアンテナと電力源にElta Systems Ltd.製の受信励磁機とプロセッサーを組み合わせる。イスラエルのEltaが選定されたのはハンファのレーダー開発を認めた形だが、Eltaの役目はもっと深い。
ハンファはアンテナ部分と電源部分を6月に完成させたとDAPAは述べており、両方のコンポネントがEltaに9月に届けられレーダーとして完成され、2018年3月までテストが続く。
これと別にAESA技術実証装置が完成しており、C-130H輸送機の背中に乗せられテスト中だ。この装置には送受信モジュールが400個つく。
韓国はKF-Xを120機、KAIのFA-50軽攻撃機を50機導入して現行のロッキード・マーティンF-16ブロック32の34機、F-5E/Fの140機と交替させる。インドネシアはKF-Xを50機希望しているとの報道がある。■


2014年7月21日月曜日

☆ 韓国KF-Xは双発仕様に決定



S. Korea Opts for Twin-Engine Fighter Development

Jul. 19, 2014 - 03:41PM   |  
By JUNG SUNG-KI   |   Comments

韓国軍は次期戦闘機を双発機仕様に決定したが、経済性と開発面で懸念が残ったままだ。
  1. 韓国統合参謀本部(JCS)は18日、最高決定会議でKF-Xのエンジン数を決定した。KF-Xは海外提携先の支援を受け開発を目指す国産機である。
  2. 韓国は合計120機以上を2025年以降に生産し、F-4とF-5の代替とする予定で、F-16高性能型にハイエンドのエイビオニクスを搭載したものと同等の性能になる。
  3. JCSは8ヶ月に渡りコスト、要求性能、開発日程を検討したが、双発機こそ将来の運用要求に合い、近隣諸国の戦闘機開発に対抗できる選択との結論に達した、とJCS報道官が発表。
  4. その仕様でKF-X開発を進めた場合の初期作戦能力獲得は2025年となり、当初予定から2年遅れる。
  5. 国防調達計画庁Defense Acquisition Program Administration (DAPA) がエンジン選定契約の入札を早ければ来月に公示し、候補にはGEのF414とユーロジェットEJ200があがっている。
  6. 今回双発機案が採択されたが、これまで熱い論議があった。韓国国防解析研究所Korea Institute for Defense Analysis (KIDA) は高価格と技術上のハードルの高さから双発機に終始反対していた。KIDA試算ではKF-X開発費用は9.6兆ウォン(930億ドル)とされるが、双発機では二倍になるという。またF-16級の機体寸法を双発機にしても輸出につながる利点が生まれず、双発機案を現実乖離としている。
  7. また開発費用の予算超過で国産エイビオニクス開発が妨げられることを心配するのは民間シンクタンク韓国国防安全保障フォーラムKorea Defense and Security Forum,だ。「原案ではアクティブ電子スキャンレーダー等を国産開発することになっていたが開発費用が増えれば海外製品の採用になるのは避けられない」という。
  8. メーカーの韓国航空宇宙産業Korea Aerospace Industries (KAI) も単発機案を希望してT-50ゴールデン・イーグル超音速練習機(ロッキード・、マーティンと共同開発)を原型とするつもりだった。T-50の軽戦闘機版FA-50の開発にも成功しており、同機はインドネシアとフィリピンへの輸出が進む。昨年秋の航空国防フェアでKAIは 29,000ポンドクラスのエンジン案を展示しており、FA-50を発展させるのが価格と性能の両面で有効だと主張していた。
  9. これに対し空軍は国防開発庁 Agency for Defense Development (ADD) の後ろ盾もあり、予算超過や技術課題の懸念を否定する動きに出た。
  10. 「KF-Xは4.5世代機で兵装20,000 ポンド搭載可能。インドネシアが共同開発国になっており、相当数の同機を買うものと想定している。生産量が増えればコストも下がるだろう」と空軍報道官は述べている。.
  11. また同報道官はKF-16を上回る機体寸法は将来の性能向上に対応するもので同時に近隣諸国(日本と中国)の空軍力整備にも対抗できる、としている。
  12. これに対しADDは新しいコンセプトの戦闘機だからこそライフサイクルコストの検討が必要だと反論している。さらにADDではKF-Xに必要な技術のおよそ9割を確保ずみで、あとはエンジンおよびエイビオニクスだけだとしている。足りない技術はF-X III戦闘機開発案件を受注したロッキード・マーティン他海外メーカーから入手できるとADDは期待している。
  13. ADDはKF-Xブロック2で内部兵装庫を、ブロック3でステルス改良を逐次実施し、B-2爆撃機またはF-35共用打撃戦闘機と同じステルス性を実現する目論見だ。
  14. 現時点でインドネシアはKF-Xで唯一のパートナー国であり、開発費の2割を負担する。韓国政府は6割を負担し、残りの2割がどうなるのか不明だが、KAIが一部負担するとみられる。■
コメント なんとなく大丈夫なのか、かなり適当だな、と心配になる今回の決定ですが、計画は修正されながら実現に向かうのでしょうね。ただし時間がかかりそうです。そもそも戦闘機開発そのものが相当ハードルが高くなっている中で、日本と韓国こそ本来は共同開発しなければならないのに、仮想敵国扱いされるのはいかがなものかとは思います。(同国の複雑な国内事情があるにせよ) はやく 相互に自由にモノがいえる時代が来るといいですね。