韓国初の国産戦闘機の開発が進展を見せているが、事業は海外投資先との交渉が難航しており、財務面で危機に瀕している。韓国は初期費用の約2割にあたる15億ドルをインドネシアに負担させる段取りをつけていたが、インドネシアは8月時点で4.2億ドル分が未払いで、再交渉に進展の兆しがない。インドネシアは2割を負担し試作機一機を韓国の技術とともに入手する条件だった。
インドネシアとの交渉はまだ決着がつかないが、インドネシアの不満はつぎの二点に集約される。輸出ラインセンスを巡る意見の対立およびインドネシア側技術員が中核部分への立ち入りを禁止されていることだ。前者はまだ単純に思える。両国の間で基本所有権の所在をはっきりさせればよい。だが韓国国防筋がThe Korea Timesに語ったように両国間の協力関係に進展がないのが現状だ。
韓国の防衛産業大手韓国航空宇宙工業(KAI)が今年初めに公開した画像ではKF-X試作型の一号機は組立最終段階に入っている。KF-Xは単座双発の4.5世代戦闘機でF-16コンセプトを下敷きに空力性能を改善し、ハードポイントを増やし、ステルス機能を一部で採用し、国産AESAレーダーを搭載する。ord label
KF-Xの初期生産機は兵装を外部搭載するが、その後の生産分からは内部兵装庫に長距離空対空ミサイルを搭載し、韓国のLIG Nex1が同ミサイルを開発中だ。量産仕様一号機は2021年1月に完成し、量産は2028年に開始し、2032年までに最大120機を生産する。
韓国の大胆な計画通りに進展すればKF-Xは韓国空軍の旧式機材F-5EおよびF-4ファントムIIの後継機種となるほか、一部のF-16とも交代する。
KF-X初期機材で研究開発生産費用は70億ドルに達し、さらに160億ドルで量産機を生産すると機体単価は約1.3億ドルになる。
KF-Xは物資面でも財務面でも韓国に重荷になっており、AESAレーダーのような高額装備品を輸入すれば安価に実現できたはずだ。
予想外の未払い分の出現で韓国が今後10年で120機生産する目標を変更するかに注目が集まる。韓国は自国で不足分を負担できるが、KF-X事業は最初から投資回収は想定しておらず、費用節減は最重要項目ではない。韓国は同等の性能を有する機材を安価に輸入できたはずだ。逆に韓国の目標は国産戦闘機の開発で長期にわたる戦闘機輸出で投資を回収することにある。インドネシアが撤退すれば事業進展に悪影響が出るものの、アジア太平洋地区で主要防衛装備輸出国の座を狙う韓国の構想そのものが無効になるわけではない。■
この記事は以下を再構成したものです。
South Korea's KF-X Stealth Fighter Program Is Running Into Problems
October 3, 2020 Topic: Security Blog Brand: The Reboot Tags: South KoreaROKKF-X ProjectMilitaryKF-XStealth
Mark Episkopos is a frequent contributor to The National Interest and a PhD student in History at American University.
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