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2022年11月29日火曜日

ズムワルト級駆逐艦はこう活用せよ-----同級駆逐艦3隻の再起動への期待

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ムウォルト級駆逐艦 DDG 1000 の想像図。海上統合艦隊で運用され、陸上の海兵隊部隊を支援し、沿岸・航空・水中戦も行う、新クラスのマルチミッション型米海軍水上戦闘艦だ。

ムワルト級は再起動できる。2001年9月の同時多発テロの数ヵ月後、米海軍は、冷戦後のブルーウォーター支配を念頭に新しい3種類の「艦船群」を発表した。沿岸戦闘艦(LCS)、21世紀型駆逐艦(DD21、現DDG 1000)、21世紀型巡洋艦(CG(X))で、ハイエンドの統合防空ミサイル(IAMD)に加え、沿岸での作戦や陸上作戦支援に重点を置いていた。20年がたった今、当時想定された艦隊構造は存在しない。「テロとの戦い」の拡大や競合相手としての中国の台頭といった戦略的衝撃の犠牲となったこと、また、プログラム上の疑問ある決定により大幅なコスト超過を招いたことによる。

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太平洋(2016年12月8日)海軍で最も技術的に進んだ水上艦である誘導ミサイル駆逐艦USSズムウォルト(DDG 1000)(左)は、沿岸戦闘艦USSインディペンデンス(LCS2)と編隊を組んで、サンディエゴの新しい母港への3カ月にわたる旅の最終行程を進行中である。ズムウォルトは到着後、戦闘システムの設置、試験・評価、艦隊との統合運用を開始する予定。(U.S. Navy photo by Petty Officer 1st Class Ace Rheaume/Released)161208-N-SI773-0401

米海軍は、CG(X)を全面中止し、LCSは大量建造したが、ハイエンド紛争に適さないとして、多くを退役させる意向だ。その結果、ズムワルト級3隻が残ることになった。ズムワルト級は、海軍の最新駆逐艦クラスであるアーレイ・バーク級フライトIII DDGの推進力と数倍の電力を生み出す統合電力システムを備えた1万4千トンのマルチミッション艦である。ズムウォルトは、海軍がDDG51ラインの再開を決定したことにより、プログラムの不手際と産業基盤での問題両方が発生し、艦隊に加わるまで大変な苦労を経験した。しかし各艦が提供する重要な戦闘上の利点を実現するため必要な予算を支出する機運が高まっている。Hope Hedge Seckが19FortyFiveの記事で最近詳述している。国防総省(DoD)と海軍は、期待される利益を実現するため、積極的に行動すべきである。

2023年後半にUSSズムワルト (DDG 1000)で始まる予定作業は工期2年で、残り2隻でもスケジュールの許す限りConventional Prompt Strike (CPS)設置を行う予定だ。ズムウォルトは現在インド太平洋に配備中で、次回の配備時に極超音速CPSミサイルを搭載すると思われる。 

ズムウォルトでの作業を始めてから 5年から 7年後に、海軍は 3 隻に重要な改造を施すことができる。このような改造を行う予算は、弾道ミサイル潜水艦、将来の航空団、水上艦隊が使用する次世代ヘリコプタや無人機、次世代駆逐艦などの優先事業と競合する。中国の侵略阻止が重要となっており、この任務における海軍の役割を考えれば、海軍が現在の即応性と将来の能力投資の間で破滅的な選択をしないよう、国防総省は十分な資金をホワイトハウスに求めるべきだ。

CPSの先:海上制圧型駆逐艦へ

ズムワルトへのCPS搭載は、始まりに過ぎない。海軍がイージス戦闘システムを統合戦闘システムへ進化させ始めた今、ズムワルト級という問題を抱えた3隻の「ユニコーン」戦闘システムを放置したままにはしておけない。積極的なCPS導入計画に過度のリスクを与えることなく、イージスを統合する技術的解決策に到達する作業を本格的に開始しなければならない。さらに、CPS搭載に必要なメンテナンス中は、艦船が造船所を離れてから蓄積された既知の船体、 機械、電気(H, M&E)に関する問題を解決する必要がある。しかし、最も重要なことは、海軍と太平洋艦隊が、同艦の運用コンセプトを考案し、実施することであり、地域の海上支配への献身を反映するものである。

まず、海軍は3隻でインド太平洋での常時配備をサポートできるか判断する必要がある。この「1.0」プレゼンス目標は、基地の場所や、必要なインフラの強化など、その他決定を後押しすることになる。今こそ、決断とそれに伴う投資を行うべき時だ。

CPS を搭載した DDG 1000 が継続的に配備されれば、中国と北朝鮮に対し、通常兵器(トマホーク、スタンダードミサイル)と、搭載する周辺垂直発射システム(PVLS)80セルによる強い抑止力のメッセージを送れる。同艦は、空母打撃群(CSG)の一部として使用されない。むしろ、無人艦、駆逐艦、LCS、揚陸強襲艦で構成する水上・水陸機動団の先頭に採用され、指揮統制(C2)機能を果たす幕僚を乗艦させるだろう。

第二に、イージスから統合戦闘システムへの移行の一環として、海軍は適切な防空・ミサイル防衛レーダーを艦船に装備する必要がある。選択肢としては、SPY-6 AMDRまたはSPY-7がある。

第三に、3隻とも現在、有人ヘリコプターを運用する装備があるが、無人航空機(UAV)を運用すべきだ。当面は、MQ-8Cファイアスカウト数機を採用し、艦内レーダーやその他の監視システムの有効範囲を広げるとしても、より長距離の中高度・長期耐久(MALE)無人機を最初に受領する必要がある。また、UAV以外にも、海軍が中型無人水上艦(MUSV)や大型無人水上艦(LUSV)を導入する場合、DDG 1000は無人プラットフォームの修正保守を行う訓練を受けた乗組員を含む、無人プラットフォームのC2 「羊飼い」の役割を果たす。ミサイル数十発を搭載した無防備なLUSVが敵の手に落ちる心配は、強力なDDG 1000が常に近くに存在すれば軽減される。

平時には、DDG 1000 と乗組員は、前方展開のC2 ノードとして、また前方戦闘力と持続力を提供することで、通常型抑止力を提供する。DDG 1000 は、他部隊の能力を統合・調整することで、より強力な部隊を構築し、1)攻撃は成功しないか、劇的に遅れるという認識(拒否)、2)攻撃による推定利益をはるかに上回る反応があるという認識(罰)、を通じ敵対者を抑止することができる。

DDG 1000は、陸上と海上双方の目標を射程内に収め、迅速攻撃する能力、広範囲に分散した部隊を指揮統制する能力、敵対者に堅固だが一瞬の目標を提示する能力によって、抑止力を達成できる。DDG 1000は、戦場と地域のISR環境を活用し、敵艦隊を探し出し、破壊すると同時に、敵の陸上部隊を射程距離で威嚇する。特定の状況下では、パッシブターゲッティングネットワークで動作時の同艦のステルスプロファイルは、陸上の移動式巡航ミサイルや弾道ミサイルの位置などの陸上イベントへの迅速対応を実現する。

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Zumwalt-class destroyer. Image Credit: Raytheon.

結語  ズムワルト級は再起動可能だ

アップグレードされたDDG 1000 の指揮統制機能により、太平洋艦隊司令官は、地域制海権と打撃作戦のC2で比類なき能力と、CPSと長距離攻撃兵器数十発による抑止力を手にできる。この形の未来は、海軍が計画を立て、国防総省が海軍のその他優先事項に支障をきたすことなく資源を投入した場合にのみ実現できる。ズムウォルト級は、設計意図に沿いつつ、21世紀を代表する駆逐艦へ進化を遂げるチャンスを迎えている。今は、迷っている時ではない。■

Zumwalt-Class Can Become a Dominant 21st Century Destroyer - 19FortyFive

ByBryan McGrath

Bryan McGrath is the Managing Director of The FerryBridge Group LLC, a national security consultancy. All views contained herein are his. He tweets @ConsWahoo.


2021年4月27日火曜日

歴史に残る艦(4) USSレキシントン、珊瑚海海戦で戦没したが、現在の超大型空母の出発点となる艦だった。

 

歴史に残る艦(4)USSレキシントンは今日のスーパー空母の祖先だ

 

 

2018年3月4日、慈善家ポール・アレンの資金援助で空母USSレキシントンの痛々しい姿が珊瑚海の深度2マイルで発見された。初の艦隊型航空母艦として米海軍に就航したレイディ・レックスは史上初の空母対空母対決で撃破され、海底の墓地に76年もの長きにわたり眠っていた。

 

独立戦争諸端のレキシントン会戦にちなむ米海軍軍艦として5番目の艦がUSSレキシントンだった。姉妹艦サラトガとともに巡洋戦艦として企画された。しかしながら、建造は第一次大戦で遅れ、さらに1922年のワシントン海軍条約の制限対象となった。

 

当時建造は四分の一程度進展していたが、米海軍は廃艦せず、二隻を空母に改装することとした。費用は各艦28百万ドルについた。当時生まれたばかりの空母は第一次大戦中にめぼしい活躍がなく、条約では各国は排水量33千トン以下の空母を二隻まで保有できた。

 

米海軍は初の空母USSラングレイ(排水量14千トン、給油艦を改装)で空母運用を経験済みで、レキシントン、サラトガはこれに対し全長270メートル、36千トン(条約違反である)と相当大きな艦容で、「アイランド」上部構造を導入し、艦橋と航空機管制塔機能を一つにまとめ、今日に続く形状の先駆けとなった。海軍二番目の空母としてCV-2の艦番号がつき、偵察、爆撃、雷撃、戦闘の各飛行隊VS、VB、VT、VFを搭載した。

 

レキシントンの鉱区格納庫は3平方キロの広さがあり、当時最大の広さを誇り、80機から110機の航空機をエレベーター2基で移動させた。飛行甲板には拘束ワイヤーを巡らせ、機体着艦時に利用した。同艦は「耐雷撃装備」を特徴とし、膨大な量の航空燃料が爆発しないように区画を隔離していた。

 

「グレイレイディ」と呼ばれた同艦には巡洋戦艦の名残も残り、装甲帯には7インチの厚さがあり、対艦攻撃には8インチ砲連装が4門あったが、射撃で飛行甲板に影響が出る恐れがあった。さらに5インチ対空砲で補強し、機関銃多数を備えた。

 

レキシントン、サラトガ両艦は1927年就役し、太平洋で演習に動員された。その時点で空母が実戦に投入された事例はなく、海軍は三隻そろった空母の使い道を模索していた。ここから偵察機を順次発艦させ、連続で行う戦闘航空哨戒(CAP)の概念が生まれ、敵偵察機を排除し、敵空母の位置をつかみ、これを撃破する作戦につながった。レキシントンの艦載機は少なくとも三回にわたり真珠湾を「奇襲」した。演習の教訓が生かされなかったのは明白だ。

 

演習の合間にレキシントンはターボ電気発電機能でワシントン州タコマに一カ月にわたり給電した。同市は干ばつで水力発電が使えなくなっていた。また、1931年に地震被害を受けたニカラグアへ物資輸送した。さらに、洋上燃料補給実験にも使われ、これが第二次大戦中で広く用いられた。

 

サイエンスフィクションの巨匠ロバート・ハインライン(スターシップトルーパーズ、異星の客等)はレイディレックスに通信士官として勤務し、艦内コンテストで短編小説を書いたが選外となった。若い少尉として艦長アーネスト・キングの娘とデートした。キングは大戦中に海軍作戦部長をつとめた。

 

大戦初期の運用実態

 

日本が真珠湾奇襲を実行した際にはその他米空母と同じく被害を免れた。フレデリック・シャーマン艦長の指揮下でウェイク島守備隊援護を試みたが同島はその前に陥落し、同艦は日本潜水艦との遭遇を警戒していたのが1942年1月の状況だった。

 

大戦勃発時のレキシントン艦載航空部隊はとても最強と言えない陣容で、時代遅れの機体のF2Aバッファロー戦闘機(海兵隊パイロットは「空飛ぶ棺桶」と呼称)、不運の三人乗りTBDディヴァステイター雷撃器は時速206マイルの低速で敵機や火砲の絶好の標的となり、装甲も薄く、勝ち目のない機材だった。

 

とはいえ、二人乗りSBDドーントレス急降下爆撃機隊は良好な戦績を残した。装甲貫徹1000ポンド爆弾を急降下中に比較的正確に投下できた。同機も250マイルと低速だったが、敏捷性を生かし、緊急時には防空任務にも投入された。

 

レキシントンは間もなくバッファローをグラマンF4Fワイルドキャットに交代させた。同機は330マイルの最高速度を誇った。ずんぐり形状で青色塗装の同機は敵のA6Mゼロ戦闘機より機敏性、速力で劣ったものの装甲と降下速度を生かし奮戦できた。

 

さらに真珠湾攻撃五カ月前に第一世代レーダー装備CXAM-1が搭載され、ワイルドキャット隊を助けた。50から100マイルを走査し、海上目標の探知は12マイル有効だった。同レーダーにより米空母部隊は敵襲を直前で警戒できた。

 

1942年2月にレキシントンはニューブリテン島ラバウルの日本軍基地攻略に出撃した。日本飛行艇に発見されたため奇襲攻撃は失敗した。戦闘機隊が飛行艇2機を撃墜したものの、海上位置を通報された。シャーマン艦長は攻撃を断念し、そのまま洋上にとどまり、日本機をひきつけ、これを撃破する作戦に変更した。これは危険な賭けで、敵機がレキシントンCAPを潜り抜ければ、初の喪失空母になるおそれもあった。

 

実際にレキシントンのレーダーはG4Mベティ双発爆撃機(一式陸攻)の9機(第四航空隊所属)が西から接近するのを4:25p.m.に探知した。慌ててワイルドキャット隊19機さらにSBDまで動員し発艦させ迎撃させた。

 

迎撃隊が空戦を展開する中、15分後にさらにベティ8機がレーダーでわずか12マイル東方に探知された。発艦可能なワイルドキャットはわずか2機、しかもうち一機の機関銃はすぐに詰まってしまった。

 

残るワイルドキャットはエドワード・「ブッチ」・オヘア大尉が操縦し、劇的な成果を上げた。オヘアは三機を撃墜し、三機を損傷させた。これだけの戦果をオヘアは.50口径450発で達成した。

 

それでも残るG4M隊は必死にジグザク航行するレキシントンに爆弾投下したが一発も命中しない。一機は体当たり攻撃まで試みたがこれも成功しなかった。帰投できたG4Mは3機のみで、ワイルドキャットに2機喪失が発生した。オヘアに名誉勲章が授与され、ワイルドキャットのメーカー、グラマンからはタバコ数千箱が贈られた。自身は1943年にG4Mとの夜間空戦で友軍の誤射を受け撃墜されたが、1949年にその名がシカゴ空港につけられた。オヘア国際空港である。レキシントンは日本軍偵察機を振り切り、3月10日に攻撃隊を発艦させ、パプアニューギニア沖で日本軍輸送艦3隻を撃破した。

 

16日後、同艦は真珠湾に戻り、8インチ砲を撤去し、代りに高速射撃可能な対空砲を搭載した。ついに海軍も大型砲よりも遠隔地を攻撃可能な航空隊を運用し、航空機で艦を防御する方が重要と理解するに至った。

 

直後の5月にレキシントンは初の空母対空母の対決となった珊瑚海海戦で没することになったのである。■

 

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Meet the USS Lexington: America's Original Supercarrier

by Sebastien Roblin

 

April 26, 2021  Topic: Aircraft Carriers  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: LexingtonCarrierAircraft CarrierU.S. NavyWorld War IIFighterJapanMilitaryTechnology

 

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.


2018年4月26日木曜日

米海軍は超大型空母以外に「小型」空母を建造すべきなのか

日本他で出現しているF-35搭載「空母」はどこまで超大型空母を補完できるのでしょう。すくなくとも低甚度紛争に超大型空母を派遣しなくてもあれば戦力を有効に使えますが、F-35B数機程度では大きな攻撃力にならないのでは。と思いますが、これまでの戦力とF-35がケタ違いに違うのであれば話は別です。ここは超大型空母とは違う世界を想定しないと話が先に進みません。

 

The Real Story of Why the Navy Hates 'Small' Aircraft Carriers 米海軍が「小型」空母構想を嫌う理由はどこにあるのか



April 24, 2018


米海軍で供用中の原子力超大型空母10隻は最大規模の艦船だ。5千名を超える乗組員海兵隊員が住みかとするニミッツ級空母は原子力推進で艦載機90機近くを搭載できる。だがこの形以外も可能なはずだ。海軍が数十年前に今と違う選択をしていれば超巨大空母へ費用対効果に優れた中型空母が補完効果をあげていたはずだ。

第二次大戦中の米海軍には空母型式二つがあった。大型艦隊空母と護衛空母だ。大型艦が攻撃力の中心で戦闘機、急降下爆撃機、雷撃機を取り混ぜて搭載した。護衛空母は「ジープ」空母とも呼ばれ小型艦で艦載機を小規模搭載し輸送船団の防空護衛や必要な場合に大型空母の穴埋めに活躍した。
戦後の米海軍は各種空母を運用した。大型空母として原子力艦USSエンタープライズ以下があり、小型攻撃型空母、対潜空母として戦時中のエセックス級を使った。その中で小型空母の老朽化が進み、その後継艦は超大型空母だった。小型空母は建造されず1980年代中にはUSSミッドウェイ、USSコーラルシーを除くと全部超大型空母だった。

超大型空母への道のりに政治と実用面の二つが混ざって作用した。国防予算が比較的自由に使えた冷戦時には大型空母一隻を発注するほうが小型艦二隻を毎年発注するより安全な選択だった。突然の緊急事態で二隻目の空母の発注取り消しを迫られない保証はなかったからだ。

大型空母は投入費用で得られる効果も大だ。単一艦に6千名もの乗員が乗る方が二隻で合計9千名必要となる場合よりも安上がりだ。大型艦一隻なら随行水上艦の巡洋艦、駆逐艦、フリゲートも一組で十分だし艦載機も大型化でき、多数搭載できる。

ただし大型艦の建造単価は極めて高くなり、運用経費も莫大な規模になっている。そのため海軍内部外部で代替策の検討が進んだ。1970年代には当時の作戦部長エルモ・ズムワルト大将がヴィエトナム戦終結後の予算縮小傾向の中で大戦時の艦船がまだ残る海軍艦艇構成に手を付けていた。何も手を付けないと戦力となる艦艇数が大きく減る危険があった。

ズムワルト提案は艦隊規模の維持のため艦船のハイローミックスがあり、高性能ハイエンド戦闘艦と戦力は劣るローエンド艦を組み合わせる構想だった。この考えを空母に応用しズムワルトは「中型空母」で超大型空母を補完する構想を提唱した。中型空母とは61千トン程度の通常動力艦で飛行甲板は908フィート長、最大60機を搭載し総人員は3,400名程度だった。

中型空母は蒸気カタパルト二基と、超大型空母の4本より少なく搭載し、艦載機発艦のペースは超大型空母の半分程度だった。エレベーターも大型空母の三基にに対し二基としながらも艦載機に艦隊防空任務機と対戦任務機を含めず攻撃力に集中することで超大型空母とほぼ同等の効果を狙った。

小型艦の多数建造には有利な点があった。戦後初めて空母合計が20隻を割り込み、通常型戦闘ですべての要求に答えるべく空母を十分そろえることが不可能となった。航空戦力を多数の艦に分散させれば空母喪失の場合にも抵抗力が高まる。現実にはペルシア湾などの新しい作戦水域の追加で既存戦力は薄く展開を迫られている。

中型空母構想の弱点は艦体の小ささでこれが原因で人気が出なかった。大型艦体があれば大型艦が実現するため海軍は引き続き大型空母建造を続けた。海軍は超大型空母で編成する空母戦力の実現を目指し、今日の空母部隊は全隻原子力推進超大型空母になっている。

だがこれで物語が終わったわけではない。新型フォード級空母の建造コストを憂慮したシーパワー推進派のジョン・マケイン上院議員も代替策模索に乗り出した。2017年1月のこと、同上院議員から白書が発表され、題名には「アメリカ軍事力の回復」とあり、「ハイ・ロー・ミックス」の空母整備を求めていた。アメリカ級揚陸強襲艦にF-35の短距離離陸垂直着陸型を搭載する構想なのだろう。今後も米海軍が空母調達を続ければハイ・ローミックス議論は続くはずだ。■

Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009, he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.