ラベル DARPA の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル DARPA の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2026年9月1日火曜日

単3電池サイズで数十年稼働する原子力発電が実現する―DARPAのRoads to Wattsプログラムに注目―本誌は原子力発電に注目しております。

 高出力の機動性のあるプラズマスラスターを搭載した概念的な宇宙船は、画期的なキロワット級の放射線発電で動力を得ている。(DARPA提供のアーティストによるイメージ図 | アラン・クラーク)

DARPAが原子力発電を「単三電池」サイズで実現する

How DARPA plans to get nuclear power in the size of a ‘AA battery’


DARPAの「Rads to Watts」プログラムで、無充電で数年から数十年も持続する新しいタイプの小型電源セルを開発するため7つのチームが競い合っている


ワシントン発 — DARPAのプログラムマネージャーであるタビサ・ドッドソンによると、可搬型原子力発電を実現する上での最大の障壁は、熱と重量に集約できるという。

「核分裂であれ放射性同位体であれ、核反応の内部に膨大なエナジーが存在する」と、ドッドソンは本誌に語った。「[しかし] 核分裂システムもRTG(放射性同位体熱発電機 [radioisotope thermal generators] )システムも、熱管理のため重くて運搬不可能なハードウェアが多数存在します。熱管理という部分が、可搬型原子力発電の夢をいつも阻む要因となっているのです。」

この障壁を乗り越える手段として、DARPAは「Rads to Watts」プログラムとして、7つの競合チームに資金を提供し、放射光起電力技術 radiovoltaics.に関する様々なアプローチの改良を進めている。数百万ドル規模のこのプログラム(具体的な金額は非公開)の目的は、宇宙衛星から戦術用無線機、ペースメーカーに至るまであらゆる機器を駆動できる新型小型電源セルを開発することだ。この電源セルは、従来の電源システムが凍結したり焼損するような過酷な環境下でも、充電なしで数年から数十年もの間動作し続けるほど頑丈でなければならない。

「単三電池を寿命30年に置き換えていくつもりだ」と、Rads to Wattsの委託業者であるProject Omegaの創業者兼CEO、スタッフ・シーハンは語った。同氏は本誌に対し、大型版は前線基地のディーゼル発電機に取って代わる可能性があり、最小のものはコンピュータチップで内蔵バッテリーとして機能すると述べた。

放射電力源がこれほどコンパクトにできるのは、原子力発電と別の原理でエナジーを生成するためだ。ドッドソンは、原子炉やボイジャーのような宇宙探査機で使用されるRTG(放射性同位体熱発電機)は、発電中に高温になるため、自身を損傷させないよう大掛かりな冷却システムが必要だと説明した。対照的に、放射線発電は、放射線を熱に変換することなく、放射線を直接電気に変換する。代わりに、半導体内で放射性粒子を捕捉し、それによって電子を励起させて利用可能な電流を生み出す。これは、太陽光発電装置であるソーラーパネルが太陽光からの光子を捕捉するプロセスと同じである。

このような高エナジー利用で難しい点は、特に至近距離で長時間被ばくした場合、電子システムが深刻な損傷を受ける可能性があることだ。ある種の粒子が提供するエナジーが大きければ大きいほど、それを囲む電源セルを急速に破壊する可能性があり、これでは本末転倒となる。

「エナジーが強すぎると、半導体を破壊してしまいます」と、本プログラムに参加する別企業City Labsの共同創業者兼CEO、ピート・カバウイは述べている。「これは単なる物理法則です。……10億個のピンポン玉が壁にぶつかったら、すべて跳ね返ります。しかし、もしピンポン玉が砲弾なら、壁は破壊されてしまう。」

歴史的に、この問題により、発明者たちは弱い粒子を自発光式非常口標識のような低エナジー用途で使用することに限定されてきた。

「Rads to Watts」は、この問題を解決し、高出力で長寿命のデバイスを生み出すことを目指している。そのために、参加チームは多岐にわたるアプローチを採用していると、ドッドソンは述べた。「このプログラムには7つの有力な参加チームがあり、それぞれ別のアイデアを持っています」と彼女は語った。

シティ・ラボのカバウイのチームは、その中でもより保守的な立場にあり、ある種のベータ粒子を放出する「トリチウム」と呼ばれる、比較的穏やかな放射線源を使用している。しかし、コンテストで要求される出力を達成するために、チームはより小さな体積に多くのトリチウムを詰め込もうとしており、この課題には高度な工学と化学の知識が必要とされている。

カバウイによると、シティ・ラボがトリチウムにこだわるのは、高エナジーの放射線源を試みた研究者たちが装置を焼損させてきた長く不幸な歴史があるためだ。「米国の特許データベースには放射線発電に関するアイデアが散見される」と彼は述べた。

一方、他のチームはすべて、強力な放射線源を使用している。彼らは、より高いエナジーに耐えられる新種類の半導体を設計するために、材料科学の進歩に期待を寄せている。

「実際に高強度の放射線に耐えられる半導体材料を見出さなければならない」と、海軍向け原子炉を製造するBWXT社の技術責任者ジャスティン・カスパーは語った。「その素子に放射線を浴びせ続け、十分な電力を発電したい。」

BWXTは、ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所と提携し、放射線源としてアルファ粒子を使用している。アルファ粒子はベータ粒子よりも大きく、衝突エナジーも強いため、BWXTとジョンズ・ホプキンス大学のチームは、より耐性の高い新しい半導体材料を幅広く模索している。

「可能性のある組み合わせは数十億通りもある」とカスパーは説明し、そのためAIで各種結晶構造をシミュレーションし、物理試験に最適な候補を選定している。

アバランチ・エナジーも放射線源にアルファ粒子を使用するが、アプローチは異なる。「これは2段階のプロセスだ」と、主任物理学者のダニエル・ベラスケスはインタビューで説明した。同社は、アルファ粒子を直接吸収できるよう半導体を強化する代わりに、「液体金属の吸収層」で半導体を保護すると、同氏は本誌に語った。アルファ粒子が金属に衝突すると、極めて集中したエナジーがはるかに扱いやすい電子に変換され、半導体がそれを電力に変換する。

メリーランド州のモーガン州立大学が主導し、シーハンの「プロジェクト・オメガ」と提携している別のチームは、両方の長所を兼ね備えた手法を模索している。シティ・ラボズと同様に、このチームもベータ粒子を使用するが、トリチウムではなくストロンチウム90から放出される、より高エナジーのベータ粒子である。BWXT-ジョンズ・ホプキンス大学のチームと同様、このチームも高エナジーの放射線源に耐えられる新素材に依存している。このケースでは、ノースロップ・グラマン社が候補となる素材のAIシミュレーションを提供している。

ドッドソンによると、これら競合する放射線発電技術のすべてが、すでに1キログラムあたり少なくとも10ワット出力を実証しているという。これは従来の放射性同位体熱発電機(RTG)の2~3倍の効率だが、まだ始まりに過ぎないと彼女は述べた。

「1kgあたり10ワットをはるかに上回る10ワットから100ワットの間の出力を実現できると確信しています」。

各チームは、来年にかけて15ヶ月かけてプロトタイプの電源セルを完成させる予定だと、ドッドソンは述べた。その後、最優秀案は9ヶ月間の耐久試験に進み、内部の放射線や外部の環境的圧力の下で実際に耐えられるかどうかが検証される。その後に、少なくとも1つの候補を、軍による大規模展開へと移行できる状態にするのが目標だと、ドッドソンは述べた。■


2026年3月2日月曜日

バイオマス素材を化学素材に変換? ぶっ飛んだDARPAのプロジェクトが成功すれば素材革命になりますが、化学に詳しい方に解説をお願いしたいです

 バイオマスを化学品へ変換させるDARPAのフリートウッド計画


Defense Blog

コルトン・ジョーンズ記者

2026年2月16日

更新日:2026年2月16日


固体燃料スラブバーナー。(写真:ジョナサン・M・サンダーマン)


主なポイント

  • DARPAはバイオマス廃棄物を炭素系工業用化学品に変換する触媒を開発することをめざすフリートウッド計画を開始すると発表した。

  • この24か月の研究プロジェクトは、バイオマス資源からリグニンを処理するスケーラブルな手法を追求し、強靭な化学製造サプライチェーンを支えることを目指す。

米国政府の極秘機関である国防高等研究計画局(DARPA)は、新たな研究優先事項を概説する特別通知を発行した。これは、強靭なグローバル製造サプライチェーン向けにバイオマス廃棄物を炭素系化学品へ変換する先進的触媒技術の開発を目指す「フリートウッド計画」に向けた取り組みである。

 2026年2月13日付で公表された同通知は、公募開始に先立ち、産業界と学術界の関与を正式に呼びかけるものである。

 同機関によれば、フリートウッド計画は農業残渣・林業副産物・パルプ・紙廃棄物を含むリグノセルロース系バイオマスを化学原料へ変換可能な新規触媒の開発を目指す。DARPAは、天然界最大の芳香族化合物源でありながら工業用化学品への変換が困難とされる複雑な有機高分子「リグニン」の処理技術向上に重点を置くと説明した。

 特別通知では、フリートウッドが「バイオマス資源を炭素含有化学物質へ変換し、強靭なグローバル化学製造を実現する新規触媒の開発」を目指すとしている。DARPAはリグニンの価値化を中核的技術目標と位置付け、廃棄されたまたは未活用のバイオマス資源から価値を引き出す必要性を強調した。

 発表で概説されている通り、本プログラムに参加する研究者は、簡略化された実験室モデルではなく、実世界のバイオマスを処理可能な触媒経路の設計を課題とする。DARPAが例示する対象には、木質バイオマス、農業廃棄物、パルプ・製紙産業で発生する残渣が含まれる。同機関は、リグノセルロース系材料の完全な脱リグニン化と完全な脱重合化を同時に達成し、工業生産に適した化学モノマーへ変換する手法を本プログラムが求めていると述べた。

 DARPAは複数の触媒的アプローチを検討中と指摘している。これには無細胞バイオ触媒、熱触媒、電気触媒が含まれ、バイオマス変換における長年の技術的障壁を克服するため、生物工学と化学工学の手法を融合させる試みを反映している。同機関はプログラム目標達成には学際的専門知識が必要だとして、共同研究チームの形成を奨励した。

 フリートウッド計画は24ヶ月の研究期間で構成され、12ヶ月のフェーズ1基本期間に続いて12ヶ月のフェーズ2オプションが設定される。DARPAは詳細を連邦契約プラットフォームSAM.govでの今後の公募を通じて公開し、草案公募資料が利用可能になり次第、特別通知を修正すると述べた。通知への応答期限は2026年3月13日である。

 本イニシアチブを統括する生物技術局(BTO)は、生物科学とバイオエンジニアリングを国家安全保障課題への応用を専門とする。フリートウッドの公募は工業化学を中核とするが、DARPAは防衛・商業製造分野で用いられる重要資材へのアクセスとサプライチェーンの回復力という広範な懸念の中で本プログラムを位置付けている。

 リグニンは炭素豊富な分子の未開拓資源として研究者の関心を集めてきたが、複雑な構造のため産業規模での費用対効果の高い処理を制限してきた。従来の化学製造は石油由来原料に大きく依存しており、生産は供給混乱や地政学的圧力の影響を受けやすい。DARPAのアプローチは再生可能廃棄資源に基づく代替生産経路の確立を目指す。

 同機関は、フリートウッド計画が管理された実験用化合物ではなく、実際のバイオマス原料で稼働可能な技術を優先すると強調した。この要件は、研究室での研究から拡張可能な製造応用への移行を加速することを目的としている。

 本プログラムは、合成生物学、材料工学、防衛ロジスティクスに関連する分散型製造システムに焦点を当てた取り組みを含む、先進科学による産業能力強化を目指すDARPA投資のパターンに沿ったものである。



DARPA launches biomass-to-chemicals Fleetwood program

ByColton Jones

Feb 16, 2026

Modified date: Feb 16, 2026

https://defence-blog.com/darpa-launches-biomass-to-chemicals-fleetwood-program/



いつもぶっ飛んだ研究で知られるDARPAですが、今回は本当なら石油化学に依存した高分子技術を一変させる内容です。木質などのバイオ材料で高分子が作れるのなら石油が主役の座から降りるのは確実なのですが、問題は理論ではなく実践であり、経済性でしょうね。ただ実現すれば国防上でも大きな意味が生まれます。多分あと20年後でしょうか。


2025年7月12日土曜日

DARPAが貨物水上機プログラムを終了、技術の新用途に注目するというが(Defense News)—やはり途中で中止ですか。今回の研究内容が次の装備につながるか注目です

 


オーロラ・フライト・サイエンシズは、リバティ・リフターに手を加え、フロートを翼端に移動させ、尾翼を調整し後部貨物ドアに対応できるようにしていた...(オーロラ・フライト・サイエンシズ)


防高等研究計画局(DARPA)は、大型貨物用水上飛行機の開発実験を終了した。

 3年近く続いたリバティ・リフター・プログラムは、荒海でも離着陸できる長距離で低コストの水上機を設計・製造するのがねらいだった。 

 DARPAは2023年、M1エイブラムス戦車など170,000ポンド以上の貨物を輸送できるC-17グローブマスターとほぼ同じサイズと能力を持つ飛行機にしたいと述べた。

 DARPAはジェネラル・アトミクスおよびボーイングの子会社オーロラ・フライト・サイエンシズとリバティリフターの開発に取り組んでいた。

 DARPAは、貨物用水上飛行機を開発することで、軍や営利団体が迅速なロジスティクス任務を遂行する新たな機会につながるとともに、大型航空機の製造コストを引き下げる革新的な製造技術や材料の開発を期待していた。

 DARPAはDefense Newsに寄せた声明の中で、6月にリバティー・リフター・プログラムを終了したと明らかにした。 Aviation Weeが最初にリバティリフター計画の終了を報じた。

 「高い海面状態でも離着陸可能な飛行艇を製造できることを学んだ」と、プログラム・マネージャーのクリストファー・ケントは語った。「 物理学の理にかなっており、海上での建造技術と海上での複合材料でそれが可能であることを学びました」。

 しかし、DARPAは、航空機製造に進むことはなく、あくまでもデモンストレーターに過ぎないとしていた。

 「現在より大幅に安く、大幅に多くの場所を飛行できるプラットフォームを構築できるという、当初抱いていた仮説が立証できました」とケントは語った。「はるかに効率的な建設技術で次世代航空機を製造する道を開くものです」。


 オーロラは、本誌に寄せた声明の中で、このプログラムを通じて開発した技術は今後何年にもわたって使用されるだろうと述べた。

 「リバティ・リフター・プログラムを通じて当社は設計の実現性と斬新な製造技術の実現可能性を示すことができました。「当社は、リバティリフターの予備設計で成し遂げた技術的進歩を誇りに思っており、これらの学びを将来のプログラムに応用することを期待しています」。

 DARPAによると、2023年後半にリバティリフタープログラムを再編し、技術的なリスク低減活動を前倒しした。2024年初頭、DARPAはジェネラル・アトミクスをプログラムから外し、オーロラ社提案を継続すると発表した。

 オーロラとDARPAは、水上飛行機の技術的設計を実証するために、水上飛行機用の新工法と新素材の製造と応力テストの例と同様に、縮尺模型のシミュレーションとテストを行った。

 DARPAによると、これらのシミュレーションとテストは、コンセプトが実行可能であることを示した。DARPAは現在、国防総省の産業界や他の関係者と協力し、これらの技術を他の形で迅速に実用化する方法を模索している。

 リバティリフターに総額約9800万ドルを費やしたとDARPAは認めている。■


DARPA ends cargo seaplane program, eyes new uses for tech

By Stephen Losey

 Jul 10, 2025, 01:03 AM

https://www.defensenews.com/air/2025/07/09/darpa-ends-cargo-seaplane-program-eyes-new-uses-for-tech/



スティーブン・ロージーについて

スティーブン・ロージーはDefense Newsの航空戦担当記者である。 以前はAir Force Timesでリーダーシップと人事問題を、Military.comで国防総省、特殊作戦、航空戦を担当していた。 中東に赴き、米空軍の作戦を取材した経験もある。



2025年4月30日水曜日

リバティ・リフター・エクロノプラン デモンストレーター、C-130サイズ荷重の揚力を目指す(The War Zone)

 Aurora Flight Sciences has provided new details about the demonstrator design it is working on for the Defense Advanced Research Projects Agency's (DARPA) Liberty Lifter X-plane program.  

Aurora Flight Sciences capture


DARPAは、リバティ・リフター X-planeの初飛行を2028~2029年に目指し、ここから大型量産機の開発につながる可能性がある

オーロラ・フライト・サイエンシズが詳細を公開

ーロラ・フライト・サイエンシズは、国防高等研究計画局(DARPA)のリバティリフターLiberty Lifter X-planeプログラム向けに開発中のデモ機設計に関し新たな詳細を明らかにした。

 リバティ・リフターの主要な目標は、翼地面効果(WIG)原理を採用した新しいエクラノプラン型輸送機の設計を実証することにある。この実証機を基にした将来の機体は、米軍に滑走路を必要とせず長距離で大量の貨物と人員を輸送する新たな手段を提供できる可能性を生む。

 オーロラの製造部門ビジネス開発ディレクター、リチャード・クーチャーヴィは、本日開催された「モダン・デイ・マリン」展示会で、本誌のハワード・アルトマンに対し、リバティ・リフターの最新状況を伝えた。2023年、オーロラ・フライト・サイエンシズとジェネラル・アトミクスは、リバティ・リフターの初期開発を行う契約を獲得しました。昨年、DARPAはボーイングの完全子会社オーロラ・フライト・サイエンシズを、飛行デモ機開発を単独で継続する企業に選定した。

 オーロラによる最新コンセプトアートでは、V字型の船体を持つ飛行艇スタイルの配置が特徴で、大型の直線型主翼と翼端フロートを備え、8基の翼搭載ターボプロップエンジンで駆動される。また、水平安定板で上部に接続された双垂直尾翼も備える。貨物(軽装甲両用車両を含む)は、大型の後部ランプから荷下ろしされる。

 ジェネラル・アトミクスは、より革新的な双胴設計を提案している。


 「当社は、目標機体の約80%スケールのデモ機を設計しています」とクーチャーヴィは説明した。このスケールは「目標機体をフルスケールで建造しなくても有益な教訓を抽出できます」。

 「現在、C-130輸送機に近いサイズ、25トン(積載量)の機体を検討しています」と彼は続け、デモ機は翼幅約216フィートとなる見込みだと付け加えた。また、米国政府が供給するエンジンを使用する。

 DARPAは以前、リバティリフターの最終形は、C-17AグローブマスターIII貨物機と同等の積載容量を持つと述べていた。C-17の公称最大積載重量は約82トンだが、実際の飛行では60トン以下の貨物と乗員を積載して飛行するのが通常だ。


C-130(手前)とC-17(後方)。米空軍

 DARPAが過去に公開したリバティリフターの要件には、海況4までの条件下で水面離着陸が可能であり、海況5までの「持続的な水上運用」が可能なことも含まれている。この海況は、風速11~16ノットと17~21ノット、波高3~5フィートと6~8フィートで特徴付けられる。

 「当社は非加圧コクピットを備えたデモ機を建造しています。なぜなら、この機体は主に地面効果飛行を目的としているため、数百フィートの範囲内と水面から非常に近い高度を飛行することになるからです」とオーロラのクーチャーヴィは説明しました。「そのため海況が少しでも悪化しても、航空機が長距離にわたって地面効果を維持できる技術が必要です。特に、激しい波が予想される状況でもです。これがプログラムの技術的課題の一つです」

オーロラ・フライト・サイエンス/DARPA


 翼地効果(WIG)原理を活用した飛行プラットフォームの概念は新しいものではないが、このような設計が成功を収めた実績は少なく、特に軍事用途では顕著だ。ソビエト連邦は軍事用WIG設計の最も著名な運用国であり、ロシア語で「エクラノプラン」と呼ばれる機体は、現在ではWIG設計の総称として広く使用されているが、その運用は限定的だった。近年、ロシアで軍事用エクラノプランの復活を試みる努力は、現在まで運用可能なタイプを生み出していない。

 ソビエト連邦が完成させた唯一のプロジェクト903ルン級エクラノプラン(巡航ミサイル搭載)が、2020年にカスピ海で展示目的の移動試験を実施している。


 エクラノプランは、通常の船舶設計に伴う抵抗を受けないため高速移動が可能であり、翼が生み出す揚力も利用できる高効率な水上機となる。一方で、高速での海面すれすれ飛行には課題があり、オーロラのクーチャーヴィが指摘するように、水面上の物体や高い波との衝突リスクなどがある。

 これらの課題を克服するため、DARPAの「リバティ・リフター」プログラムは、必要に応じて伝統的な飛行艇のように動作可能なハイブリッド設計を提案している。この設計は「平均海面高度10,000フィートまで飛行可能だが、その場合航続距離を犠牲とする」仕様となっている。

 「航空機の設計初期段階では、予備設計段階で航空機の外形がほぼ決定され、構成を理解していますが、詳細設計段階に進むとまだ設計作業が残っています」とオーロラのクーチャーヴィは述べました。「そのため、詳細設計段階に進み、航空機の建造を開始できることを楽しみにしています」。

 DARPAは、今夏にリバティリフターの次段階への進捗判断を行う見込みだがクーチャーヴィによると、実証機を実際に建造する場所については「まだ未定」だ。

 「このプログラムの目的の一つは、航空宇宙建造に限定せず、可能な限り海洋製造プロセスを最大限活用することです」とクーチャーヴィは説明。「したがって、航空機は海洋船舶建造プロセスと航空機建造プロセスの組み合わせで建造されます」。

 これは『海洋分野の熟練した人材を擁する立地』を探していることを意味し、海洋建造側で航空機の建造と組み立てを支援できる『造船所やその他のパートナー』が近くにあることが必要だ。「その後、航空機を水上に浮かべる必要があります」と彼は続けた。「この航空機には着陸装置は搭載されません。デモ機は陸上ベースの航空機ではありません。そのため、製造後間もなく、製造プロセスの一環として浮かせられ、その生涯の大部分を水上で過ごすことになります」。


オーロラ・フライト・サイエンシズ/DARPA

 海軍建築と海洋工学の企業ギブス・アンド・コックス(Leidosの傘下企業)がオーロラのリバティリフターチームに当初から参画している。

 オーロラの設計における海洋への焦点は、DARPAがリバティ・リフターで実証を目指す広範な目標を反映したものだ。

 「リバティ・リフタープログラムは現在、国防総省(DOD)と商業分野の高速物流ミッションを変革する可能性のある、手頃な価格の革新的な水上飛行機を設計し、建造、浮上、飛行させることを目指しています」と、DARPAのウェブページで説明されている。「リバティリフターの革新的な製造技術と材料は、既存インフラを活用して低コストで迅速に構築できる能力を提供し、戦場での戦闘員の効率性を向上させるための防衛産業基盤の強化に貢献します。リバティリフターは、船舶の規模で海上捜索救助や災害対応を、航空輸送の速度で実現する可能性もあります」。

 DARPAによると、リバティリフターは従来型貨物機への代替案を提供するだけでなく、「既存の海上輸送プラットフォームをはるかに上回る速度で大型荷物を効率的に輸送する新たなツール」となる可能性がある。

 既存の貨物船より高速で、滑走路に依存しない海上物流能力は、太平洋での将来の紛争で特に価値あるものとなる可能性がある。特に中国との高強度な戦闘において、地域内の米軍部隊は攻撃への脆弱性を軽減するため、インフラが未整備の遠隔地を含む広範な地域に分散配置されるだろう。既存の空輸・海上輸送資産は、分散した作戦を支援するため、過重な任務を負わされかねない。

 さらに、リバティ・リフターは潜水艦や対艦ミサイルなどの海上脅威を回避できる。非常に低い高度での飛行プロファイルは、特にレーダー探知を回避することで、航空機の生存性を全体的に向上させる。

 これらの点を踏まえ、滑走路に依存しない航空能力、または滑走路への依存度が低い航空能力が米軍にますます注目されている。米特殊作戦司令部(SOCOM)は、MC-130JコマンドII特殊作戦給油/輸送機のフロート機バージョンを開発していたが、昨年、予算問題のためプロジェクトを中止した。日本の新明和US-2水上機も、この種の能力を実現する別の可能性として議論対象になっている。

 一方、国営の中国航空工業集団(AVIC)は昨年、2000年代後半から開発を進めてきた大型水上機AG600の量産開始を発表した。本誌は過去、AG600が中国が南シナ海で維持する遠隔の島嶼基地を支援するのに特に適している点を指摘してきた。

 DARPAがリバティリフターを継続するか、オーロラの計画中のデモ機が実際に初飛行を行う時期は未定だ。同プログラムは現在、飛行試験の開始時期を2028~2029年に延期する可能性を検討している。これは当初の2027~2028年スケジュールからの変更だ。DARPAのX-planeプログラムは必ずしも実現するとは限らず、オーロラは2018年に中止されたハイブリッド電気式垂直離着陸ドローン「XV-24LightningStrike」でその経験がある。

 「DARPAは今年、今夏に、予備設計審査を実施し、詳細設計段階と実証機製造を開始するかどうかを決定する必要があります」とクーチャーヴィは認めた。「当社はDARPAが判断を下すために必要なものを提供する準備は万全です。この機会を楽しみにしています」.。

 現時点でオーロラの設計は、米軍向けの新たなエクラノプラン輸送機の基盤となる可能性のあるものとして具体化しつつあるといえよう。■

Liberty Lifter Ekronoplan Demonstrator Aims To Lift C-130-Sized Payloads

DARPA is eyeing a first flight for the Liberty Lifter X-plane in 2028-2029, which could lead to a much heavier-lifting production aircraft.

Joseph Trevithick

Published Apr 29, 2025 1:42 PM EDT

https://www.twz.com/air/liberty-lifter-ekronoplan-demonstrator-aims-to-lift-c-130-sized-payloads


2025年3月4日火曜日

DARPA(国防高等研究計画局)が軌道上で大型構造体を建設しようとしている(The National Interest)―いつも飛び抜けた構想で楽しませてくれるDARPAですが、今回は画期的なインフラづくりに注力するようです

 



NOM4Dプロジェクトは、民間宇宙セクターにとって間違いなく恩恵となるが、米軍にとっても戦略的意味をもたらしそうだ

ランプ政権の言うとおりなら、米国は国内製造業に革命を起こすことになる。トランプ大統領の任期が終わるまでにそれが実現するかどうかは別として、過去50年にわたって依存してきた製造業のグローバル化ネットワークに依存し続けることはできないと、米産業界が理解していることは事実である。 革新的な方法として検討されているのが、軌道上での製造である。

 国防高等研究計画局(DARPA)と、2022年に開始された新規軌道・月製造、材料、質量効率設計(NOM4D)プログラムである。NOM4Dの目標は、宇宙での製造のために原材料を軌道上に輸送する方法を開発することである。これまでのところ、このプログラムは過去3年間で予想を上回る成果を上げており、DARPAは実験室でさらなる研究を行う必要性を感じていないほどである。

関係団体

カリフォーニア工科大学(Caltech)やイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校などのパートナー機関とともに、2026年に軌道上でテストされるプロジェクトが少なくとも2つある。そのひとつは、NOM4Dプログラムのもうひとつのパートナーである宇宙製造スタートアップ企業モメンタスMomentusとの共同実験である。

 実験では、Caltechの複合ファイバーロンゲロン組立ロボットを使用し、軌道上でアンテナ開口部の部品を組み立てる。DARPAは、軌道上での組み立てが可能であると証明できれば、宇宙空間での大型構造物の建設に向けた第一歩になると考えている。

アメリカの軍事・民間宇宙プログラムの構築

NOM4Dプロジェクトは、発展途上の民間宇宙部門に恩恵をもたらすだけでなく、宇宙での足場拡大にますます力を注いでいる米軍にとっても、真の戦略的意味を持つ可能性がある。 特に、月や火星のような天体の資源を利用するという長期的な目標が、アメリカの宇宙植民地化の成功を左右するからだ。

 メタマテリアルを使った構造物を大規模にテストすることは、人類の宇宙定住を可能にする鍵である。 新しい宇宙経済を支える支柱のひとつとなるだろう。

 この分野で重要なブレークスルーを最初に達成できた国(または企業)のいずれかが、前世紀のSF作家の荒唐無稽な夢を実現することができるだろう。 そしてDARPAは、中国ではなく、米国が最初にそこに到達することを確実にするための努力を主導している。

 月や火星(そしてその先)に巨大な施設や設備を建設するのはまだ何十年も先の話だが、少し身近なところでは、DARPAのNOM4Dチームが現在開発している方法は、米国が地球を回る軌道の優位性を再び確保する(そしてそこから月やその先へとその優位性を拡大する)上で大きな影響を与えるだろう。NOM4Dの実験がうまくいけば、地球での生活をより良いものにするまったく新しいシステムを構築することができる。

アメリカは宇宙ベースの太陽エナジーを手に入れるかもしれない

宇宙太陽光発電の革命について考えてみよう。 国家安全保障局(NSA)は、2007年時点で、この技術がゲームを変える可能性のあるエナジー生産方法だと認識していた。 実際、それ以来、中国はこの技術に多額の投資を行っている。 米国もそれに倣うべきだ。

 NOM4Dの技術を応用して地軸軌道上に巨大な集光装置を設置すれば、米国は安価な代替エナジー革命をリードすることができる。

戦略的側面を忘れてはならない

さらに、この技術の戦略的意味合いも大きい。 民間経済に恩恵をもたらすだけでなく、斬新なエナジー源は、米軍が地球上のあらゆる部隊や基地に信頼性の高いエナジーを供給することを可能にする。

 さらに、通常であれば地球上で建設し、軌道上で爆破する設備も、すべてを軌道上で建設することができるため、大幅に削減することができる。これは、2026年に軌道上で開始される予定のNOM4D実験の目的ではない。しかし、これらの実験は、民間宇宙経済や、米国が宇宙における戦略的優位性を維持するための軍事宇宙計画のための宇宙船全体の創造につながるかもしれない。

 つまり、アメリカの製造業の拡大と、新たな国家宇宙経済の台頭が合致するのである。 これは、米国の発展をより良い方向に大きく変えるだろう。


2025年2月19日

By: ブランドン・J・ワイチャート


https://nationalinterest.org/blog/techland/darpa-is-going-to-build-superstructures-in-space


著者について ブランドン・J・ワイチャート

ブランドン・J・ワイチャート(Brandon J. Weichert)は、The National Interestのシニア・ナショナル・セキュリティー・エディター、Center for the National Interestのシニア・フェロー、Popular Mechanicsの寄稿者であり、地政学的問題について様々な政府機関や民間団体と定期的にコンサルティングを行っている。 ワシントン・タイムズ』、『ナショナル・レビュー』、『アメリカン・スペクテイター』、『MSN』、『アジア・タイムズ』など、多数の出版物に寄稿。 著書に『Winning Space: How America Remains a Superpower』、『Biohacked: The Shadow War: Iran's Quest for Supremacy』などがある。 最新刊『A Disaster of Our Own Making: How the West Lost Ukraine』(邦訳『西側諸国はいかにしてウクライナを失ったか』)は書店で購入可能。 ツイッターは@WeTheBrandon。




DARPA Is Going To Build Superstructures In Space

February 19, 2025

By: Brandon J. Weichert


https://nationalinterest.org/blog/techland/darpa-is-going-to-build-superstructures-in-space


About the Author: Brandon J. Weichert

Brandon J. Weichert, a Senior National Security Editor at The National Interest as well as a Senior Fellow at the Center for the National Interest, and a contributor at Popular Mechanics, consults regularly with various government institutions and private organizations on geopolitical issues. Weichert’s writings have appeared in multiple publications, including the Washington Times, National Review, The American Spectator, MSN, the Asia Times, and countless others. His books include Winning Space: How America Remains a Superpower, Biohacked: China’s Race to Control Life, and The Shadow War: Iran’s Quest for Supremacy. His newest book, A Disaster of Our Own Making: How the West Lost Ukraine is available for purchase wherever books are sold. He can be followed via Twitter @WeTheBrandon.