スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

ラベル(SSN(X))が付いた投稿を表示しています

次世代原子力潜水艦のデザイン。コロンビア級SSBN、ヴァージニア級SSNでそれぞれ後継艦の仕様を検討中の米海軍だが、産業基盤の足腰の強化も必要だ

  米潜水艦の建造整備能力の低迷ぶりは過日お伝えしましたが、建造中のコロンビア級の次の大型艦に加え、ヴァージニア級の後継艦の構想も出てきました。潜水艦戦力が重視されているわけですが、産業基盤の強化も待ったなしですね。USNI Newsの記事からです。 Ohio-class guided missile submarine USS Michigan (SSGN-727) heads out to sea in 2012. US Navy Photo 核 抑止力のため新型核弾道ミサイル潜水艦12隻を引き渡した後も、米海軍は大直径船体の潜水艦を生産し続ける可能性があると、海軍水中戦責任者(N97)が水曜日に述べた。  マーク・ベーニング海軍少将 Rear Adm. Mark Behning は、核弾道ミサイルの海上パトロールでの米戦略軍の要求を満たすため、海軍はコロンビア級SSBNを12隻建造する必要があると述べた。  「コロンビア級は、当初、現行オハイオ級14隻を12隻に置き換える想定されていた。中期の核燃料注入オーバーホールを省略することで、それが可能になる」と、海軍潜水艦連盟2023年次シンポジウムでのプレゼンテーションで語った。  USSルイジアナ(SSBN-783)の後継となるSSBN-838が2040年代予定のコロンビア級最後の引渡しとなるが、海軍はその後も各種任務のために大口径潜水艦を建造し続けたいと考えている。  海軍の長期造船計画では、2049年に最初の大型潜水艦の引き渡しを受ける予定だが、その要件はまだ決まっていない。海軍は、1860億ドルのコロンビア計画以降、大型潜水艦の建造が一服するのを避けようとしており、1990年代後半のオハイオ級建造の終了後に経験したような労働力の散逸を回避したいとしている。コロンビア級後の将来の潜水艦の船体間隔については、まだ決定していない。  「しかし、(ラインを)オープンにしておく」とベーニングは言った。 オハイオ級の供用期間延長 USSペンシルバニア(SSBN 735)は5月11日、ピュージェット・サウンド海軍造船所・中間整備施設に拡張改装期間として入渠した。米海軍写真  また、コロンビア級が遅延した場合に安全マージンを提供するため、オハイオ級SSBN最大5隻の寿命延長を計画している。  コロンビア級では水曜日時点で、

(再出)西太平洋第一列島線で大型原子力潜水艦の代わりに小型ディーゼル艦を多数建造すべきか。ヴァージニア級の延長戦のフルスペック原子力潜水艦構想に一石を投じる

  米海軍はフルスペックの大型艦を次期攻撃型潜水艦として想定しているようだが....     米 海軍はヴァージニア級の後継となる攻撃型潜水艦の企画を開始した。   SSN(X)の呼称で2030年代初頭の建造開始を想定し、既存艦の延長ではなく画期的な新型艦とすべきとジェイムズ・ホームズ(米海軍大学校教授)が解説している。   新型艦は小型になる可能性がある。無人潜航艇と共同作戦を展開する可能性もある。原子力推進にならない可能性もある。米海軍がディーゼル電気推進型艦を導入するとこれまでにない戦略戦術の可能性が開く。   ホームズは「超長距離精密攻撃手段、無人航空・水上・水中装備の登場で海軍力に大きな変革が進みつつある。さらに地上部隊が対艦攻撃能力を獲得したことも変化の要因だ。潜水艦戦も革命的な変貌から例外ではない」     米海軍は現在65隻の潜水艦を保有する。すべて原子力推進だ。うち14隻のオハイオ級弾道ミサイル潜水艦「ブーマーズ」は新鋭コロンビア級12隻に交代する。   オハイオ級では最古参4隻が巡航ミサイル潜水艦に改装されており、2030年代以降に「大ペイロード潜水艦」と交代する。   その他には1980年代建造のロサンジェルス級下攻撃型潜水艦35隻、1990年代のシーウルフ級攻撃型潜水艦3隻、ヴァージニア級攻撃型潜水艦13隻がある。2017年時点で米海軍はヴァージニア級の設計変更をしたうえで2040年代末まで同級の建造を続けるとしていた。   だが2019年版の米海軍30年建艦計画ではこれが修正されており、ヴァージニア級の改良ではなく完全新型艦SSN(X)を建造するとある。新型艦の就役開始を2034年とし、シーウルフ級、初期ヴァージニア級と交代する。その時点でロサンジェルス級は全艦退役している。   SSN(X)はヴァージニア級(8,000トン)より大型になると言われ、9,000トンのシーウルフに近い艦容とされる。「海軍は次世代攻撃型潜水艦を高速、ステルスに優れ、ヴァージニア級を上回る魚雷本数を搭載すると説明している」と議会予算局資料(2018年10月)にある。   だが、これはまずい考え方だとホームズは指摘する。「今ちゃんと動いているものを改良するほうがよい。ヴァージニア級、シーウルフ級はともに攻撃型潜水艦として性能は実証ずみだ。そのためSSN(X)は現行艦

西太平洋第一列島線で大型原子力潜水艦の代わりに小型ディーゼル艦を多数建造すべきか。ヴァージニア級の延長戦のフルスペック原子力潜水艦構想に一石を投じる

米海軍はフルスペックの大型艦を次期攻撃型潜水艦として想定しているようだが....     米 海軍はヴァージニア級の後継となる攻撃型潜水艦の企画を開始した。   SSN(X)の呼称で2030年代初頭の建造開始を想定し、既存艦の延長ではなく画期的な新型艦とすべきとジェイムズ・ホームズ(米海軍大学校教授)が解説している。   新型艦は小型になる可能性がある。無人潜航艇と共同作戦を展開する可能性もある。原子力推進にならない可能性もある。米海軍がディーゼル電気推進型艦を導入するとこれまでにない戦略戦術の可能性が開く。   ホームズは「超長距離精密攻撃手段、無人航空・水上・水中装備の登場で海軍力に大きな変革が進みつつある。さらに地上部隊が対艦攻撃能力を獲得したことも変化の要因だ。潜水艦戦も革命的な変貌から例外ではない」     米海軍は現在65隻の潜水艦を保有する。すべて原子力推進だ。うち14隻のオハイオ級弾道ミサイル潜水艦「ブーマーズ」は新鋭コロンビア級12隻に交代する。   オハイオ級では最古参4隻が巡航ミサイル潜水艦に改装されており、2030年代以降に「大ペイロード潜水艦」と交代する。   その他には1980年代建造のロサンジェルス級下攻撃型潜水艦35隻、1990年代のシーウルフ級攻撃型潜水艦3隻、ヴァージニア級攻撃型潜水艦13隻がある。2017年時点で米海軍はヴァージニア級の設計変更をしたうえで2040年代末まで同級の建造を続けるとしていた。   だが2019年版の米海軍30年建艦計画ではこれが修正されており、ヴァージニア級の改良ではなく完全新型艦SSN(X)を建造するとある。新型艦の就役開始を2034年とし、シーウルフ級、初期ヴァージニア級と交代する。その時点でロサンジェルス級は全艦退役している。   SSN(X)はヴァージニア級(8,000トン)より大型になると言われ、9,000トンのシーウルフに近い艦容とされる。「海軍は次世代攻撃型潜水艦を高速、ステルスに優れ、ヴァージニア級を上回る魚雷本数を搭載すると説明している」と議会予算局資料(2018年10月)にある。   だが、これはまずい考え方だとホームズは指摘する。「今ちゃんと動いているものを改良するほうがよい。ヴァージニア級、シーウルフ級はともに攻撃型潜水艦として性能は実証ずみだ。そのためSSN(X)は現行艦の改

米海軍の次期攻撃型潜水艦SSN(X)はハンターキラー性能を前面に出し、垂直発射管は搭載せず強力な艦となる。建造ではコロンビア級SSBNとの連携が重要となる。

USSコロンビア原子力ミサイル潜水艦 (SSBN 826)の想像図 米 海軍の次世代攻撃型潜水艦は従来艦の特徴を引き継いで「頂点捕食者」をめざす。 海軍水中戦企画室長ビル・ヒューストン少将は「究極の頂点捕食者を海中で実現する」と海軍連盟のパネルディスカッションで述べた。 少将は新型艦のペイロードや速力はシーウルフ級並み、音響性能やセンサーはヴァージニア級と同等、稼働率や供用期間はコロンビア級艦並みと表現した。 「これが可能となるのはこれまでの各艦の実績があるためで、やり方も熟知しているからだ。各要素を一つの艦に盛り込む」 次世代攻撃型潜水艦は SSN(X) の呼称で、開発が緒についたばかりだ。 同艦の初期研究開発用予算として今年度は98百万ドルの要求となっている。2020年度長期建艦計画では34年度から毎年2隻で計42隻の調達を開始する。海軍は一隻あたり58億ドルと推定しているが議会予算局資料は62億ドル近くとしている。インフレーションを考慮してもヴァージニア級より相当の増加となる。ヴァージニア級は拡大ペイロードモジュール搭載艦で34.5億ドル、非搭載艦で28億ドルだ。 コロンビア級建造との関係 ヒューストンはコロンビア級潜水艦建造に産業界が取り組む環境の危うさに言及した。海軍は三号艦から12号艦に特に懸念しているとし、理由として同級の連続建造段階にあたり、建造が安定するものの、何らかの過誤が発生した場合には柔軟対応の余裕がないためとした。コロンビア級建造では意図的に時間間隔をあけて業界に学習効果を得る余裕を作っているとヒューストン少将は述べている。 海軍上層部からはコロンビア、ヴァージニア両級建造との関連に関する発言が出ている。建造部門に混乱が出れば、相互に影響が生まれる。さらに SSN(X) へも影響は必至だ。 海軍と企業側はコロンビア級の設計で最終段階の作業に入っており、同じチームで新型艦の実現に取り組むとヒューストンは述べている。さらに海軍はコロンビア級建造が落ち着く段階で即座に SSN(X) 作業に入る予定だ。 「コロンビア級建造のピークが終わると SSN(X) 建造に本腰を入れる。その時点で設計およびRDT&Eが終わっているからだ」「頂点捕食者実現のためのRDT&Eには相当の時間が必要となるが、今後10年間は集中してSSN(X)の各種システム実現に取り組

(再出)ヴァージニア級攻撃型原潜の後継艦SSN(X)の概略が浮上。ヴァージニア級からさらに戦力性能がアップする。問題は毎年2隻超の建造能力の実現だろう。目標は2050年度に達成する。

    米 海軍は現行のヴァージニア級原子力攻撃型潜水艦(SSN)の後継艦について研究開発を2021年度中に開始する。新型艦はヴァージニア級より全幅が広がりシーウルフ級並みとなり、将来登場する水上、水中の脅威によりよく対応でき、最新の静粛化推進方式を採用し、各種技術を搭載するはずだ。   議会調査サービス(CRS)が2021年5月10日発表した文書では米海軍の次世代攻撃型潜水艦SSN(X)の概略に触れている。以下、CRSによるSSN(X)に関する報告書から引用する。   海軍が2020年度にまとめた30年計画(FY2020-FY2049)建艦計画では、SSN(X)一号艦は2031年度調達とあり、同年にはヴァージニア級潜水艦一隻も調達する。2032年度、2033年度にヴァージニア級の最終調達として4隻を調達し、各年2隻を調達する。その後のSSN(X)調達も毎年2隻で2034年度に開始する。30年建艦計画でSSNを毎年2隻調達していくとSSN66隻を調達でき、現行の海軍SSN戦力整備目標は2048年度に達成できる。   トランプ政権が2020年12月9日付で公開した海軍建艦計画が2022年度30年建艦案の基礎となっており、SSNでは72隻から78隻を整備目標としている。この目標を達成するのは2040年代後半となり、2035年度から2041年度には毎年3隻、2042年度から2050年度には毎年2.67隻の建造が必要だ。   新型SSN(X)でも対潜戦(ASW)を重視し、移動速力とステルス性はヴァージニア級を超える水準とする。さらにSSN(X)は兵装搭載量が増え、搭載ペイロードの種類もヴぁージニア級を超え、敵の高性能艦、無人水中機UUVに対抗しながら、同盟国艦艇との協調性も確保する。   CRSのSSN(X)報告書ではさらに「 海軍ではSSN(X)の設計で3案を検討し、ヴァージニア級SSNを発展させる案、コロンビア級SSBNを原型とする案、完全新規設計案がある。   「産業界にはSSN(X)の艦体直径はヴァージニア級の34フィートより大きく、シーウルフ級SSNおよびコロンビア級SSBN(それぞれ40フィート、43フィート)に近づくとの意見がある。   「2021年4月にCBOが2020年12月9日付の30年間海軍建艦案文書に対する検討結果を発表しており、2021年度ドル価値