ジェラルド・R・フォードの艦橋(アイランド)付近。原子炉はこの飛行甲板のはるか下方に位置する. ソース: Emil Sandberg / Getty Images
空母ジェラルド・R・フォードの原子力発電を陸上基地の供給する実験が今夏に実施される
米海軍が最新鋭の原子力空母を「動く原子力発電所」として活用し、陸上基地へ電力供給する実証実験を計画している。その背景や目的、課題を以下伝える。
実証実験の概要と目的
米海軍は2026年夏、空母「ジェラルド・R・フォード搭載の原子炉から陸上基地へ送電する実験をヴァージニア州ノーフォーク海軍基地で行う。
の実験は、敵の攻撃や自然災害で既存のインフラが喪失しても、重要拠点の機能を維持する「エナジー回復力」と「任務保証」を検証する戦略の一環。
フォード級空母のネームシップ「ジェラルド・R・フォード」は11ヶ月に及ぶ長期展開からノーフォークに帰港したばかりだ。
フォード級空母の強力な発電能力
フォード級空母には、最新の「A1B」原子力リアクターが2基搭載されている。出力は機密だが、従来のニミッツ級空母に比べ原子炉エネルギーが25%向上しており、2基合計で約1,400 MWtに達すると推定される。
民生の大型原発に比べれば小規模だが、単一の軍事基地の需要を賄うには十分な電力を備えている。また、艦内の蒸留器を使えば、カリフォーニア州のような干ばつ地域に毎日数百万ガロンの真水(飲料水)を供給・輸出することも可能だ。
洋上発電の歴史的背景と現代の脅威
艦船から陸上への送電は前例がある。1929年にはレキシントン級空母がワシントン州タコマ市へ電力を供給し、第二次世界大戦時の駆逐艦や、1960〜70年代のパナマ運河における浮体式原発「MH-1A」などの前例が存在する。
現代においてこの能力が再注目される背景には、長距離自爆ドローンやサイバー攻撃の普及により、米本土を含む後方基地が安全地帯ではなくなった危機感がある。
運用上の課題
防衛上のリスク:港に停泊中の空母は、海上航行時より脆弱だ。攻撃を受けた(あるいは攻撃される恐れがある)基地に高価値資産の空母を係留して送電させるには、厳重な防衛措置が必要となる。
稼働数の不足:米海軍は現在、11隻の空母定数を維持するのに苦心している。新型艦の建造遅延や旧型艦の退役スケジュールが重なる中、貴重な空母を前線から引き抜いて「発電所」として固定運用することは、戦略的なトレードオフを伴う。
その他のエネルギー対策
米軍は空母の活用だけでなく、陸上基地の分散型電源として「小型モジュール炉(SMR)」やマイクロ原子炉の導入を進めており、陸軍や空軍がその主導権を握って開発・輸送実験を行っている。
米海軍のトップ(作戦部長)も、海軍が長年培ってきた原子炉運用の知見や専門知識を提供し、これらの議論に深く関与していく姿勢を示している。
Supercarrier USS Gerald R. Ford To Act As Floating Nuclear Power Plant For Facilities On Land
The Pentagon is exploring ways to keep the power on at critical bases after attacks or natural disasters, and there's a history of ships acting in this role.
Published May 24, 2026 4:43 PM EDT