USN
ジェット推進式JDAMの量産を米海軍が決定
Jet-Powered JDAM Production Is A Go For The U.S. Navy
JDAM-LRの量産開始により、海軍は空母航空団向けに、低コストの遠距離攻撃用兵器という重要な新たな供給源を確保することになる
TWZ
2026年8月6日 午後7時15分(EDT)公開
https://www.twz.com/air/jet-powered-jdam-production-is-a-go-for-the-u-s-navy
ボーイングは、米海軍向けの「ジョイント・ダイレクト・アタック・ミュニション・ロングレンジ(JDAM-LR)」精密誘導兵器の生産開始の承認を受けた。JDAM-LRは、精密誘導爆弾のJDAMシリーズを基に開発された小型巡航ミサイル。この兵器は、海軍、ひいては他の軍種に対しても、空対地スタンドオフ兵器の備蓄を強化する新たな手段になる。これはすべて、海軍がF/A-18E/F「スーパーホーネット」戦闘機からのJDAM-LRの試験発射に成功したとの4月発表に続くものである。
昨日のプレスリリースで、ボーイングは、海軍向けのJDAM-LR生産に関連し、米空軍から7,500万ドル相当の「未確定契約措置(UCA)」を受注したと発表した。空軍は、軍種横断的なJDAMプログラムの中央管理機関を務めている。定義上、UCAとは、当事者間で契約の最終的な詳細(価格を含む)をまだ詰める必要があることを意味する。UCAは、緊急の要件に対応して作業を迅速に開始するために頻繁に利用される。
試験中に、米海軍のF/A-18Eスーパーホーネット翼下にJDAM-LRが確認された。USN
「この最初の生産契約は、JDAM-LRプログラムにとって重要なマイルストーンであり、長距離精密攻撃能力を大幅に低コストで提供できる当社の能力を実証するものです」 と、ボーイング・プレシジョン・エンゲージメント・システムズの副社長、ボブ・シエスラは声明で述べ、新型UCAへの自信を強調した。「GBU-75の生産拡大により、米軍および国際部隊に対する長距離の陸上・海上脅威を排除し、紛争地域において安全かつ効果的に作戦行動を可能にする、手頃な価格で持続可能なソリューションが部隊に提供されることになる」
GBU-75/Bは、JDAM-LR弾薬に付与されてきた名称である。ボーイングが昨日発表したプレスリリースでは、この兵器の核心となる構成要素である、いわゆるペイロード・デリバリー・ユニット(PDU)にも、BSU-111/Bという名称が割り当てられたことが明らかになった。
無動力JDAMと同様、JDAM-LRは弾薬というよりキットに近いものである。PDUには、誘導部、発射機とのインターフェースシステム、ポップアウト式翼キット、およびコンパクトなターボジェットエンジン(TDI-J85とみられる)が収められている。PDUは、標準500ポンド級爆弾を「弾頭」として組み合わせて兵器として完成する。
1,000ポンド級や2,000ポンド級のバリエーションも存在する他のJDAMと同様に、モジュラー式のキット型設計により、JDAM-LRの構成方法に極めて高い柔軟性がもたらされる。過去、ボーイングは、当初「Powered JDAM(PJDAM)」と呼んでいたものを、汎用高爆発性爆弾や空中投下型浅海対艦機雷と組み合わせたイメージ図を公開している。この同じ形状を持つ500ポンド級爆弾は他にも多数すでに存在しており、付随的被害のリスクを低減することを目的とした特殊な設計のものも含まれている。
当初「Powered JDAM(PJDAM)」と呼ばれていた仕様の1つで、弾頭として汎用高爆発性爆弾を装着した風洞試験モデル。ボーイング
今年初めに終了したPJDAMの風洞試験から、ボーイングが公開した写真。ボーイング
別のPJDAM風洞試験モデル。こちらは「クイックストライク(Quickstrike)」シリーズの浅海用対艦機雷を装着したものを示している。ボーイング
誘導方式に関しては、JDAM-LRは非動力型JDAMファミリーのGPS補助型慣性航法システムを採用している。この誘導方式は、静止座標を標的とする場合にのみ使用可能である。ボーイングは以前、レーダーや画像赤外線システムなどの能動型シーカーも組み込むことが可能なマルチモード誘導パッケージのコンセプトを公開しており、これにより海上および陸上の移動目標への攻撃が可能となる。ボーイングはすでに、移動目標への攻撃を可能にするレーザーシーカーを追加した500ポンド級JDAMのバージョンを生産している。
既存のJDAMタイプと比較して、JDAM-LRがもたらす最大の能力向上は、言うまでもなく、スタンドオフ射程である。ボーイング社によると、動力付きバージョンは345マイル(300海里)以上離れた目標を攻撃できるという。空軍によると、一般的な非動力型JDAMも投下後は滑空できるが、その射程は約15マイルにとどまる。ポップアウト式翼キットの追加により、JDAM-Extended Range(JDAM-ER)タイプの射程はさらに拡大し、およそ45マイルに達する。これらはすべて、特に投下高度や発射プラットフォームの速度など、さまざまな要因に左右される。
また、コストや生産の拡張性という点では、この設計やJDAMファミリーの既存技術を活用することにもメリットがある。ボーイング社によると、同社はこのプログラムに自社資金で1億ドル近くを投資しており、その起源は少なくとも2010年代後半にまで遡るという。
2021年に展示された「Powered JDAM」のモデル。Joseph Trevithick 展開位置で翼が飛び出した状態の「Powered JDAM」のモックアップ。Joseph Trevithick
一般的なJDAM-LRの単価は不明であるが、標準的なJDAMキットの価格は2万ドルから3万ドルの間であった。TDI-J85エンジンの現在の価格は不明だが、本誌はターボジェットエンジンであるウィリアムズF107を比較対象としてきた。過去の報告によると、F107の価格は約19万ドルとされている。一般的な500ポンド級の低抗力爆弾であれば、その総額にさらに数千ドルが上乗せされるだろう。
いずれにせよ、特に海軍にとって、JDAM-LRは、空母航空団のスタンドオフ兵器能力を強化し、将来の戦闘に向けたこれらの兵器の備蓄を確保するための、低コストかつ低リスクな手段を提供する。特筆すべきは、海軍が2021年に、AGM-154 ジョイント・スタンドオフ・ウェポン(JSOW)滑空爆弾のターボジェットエンジン搭載型の取得計画を中止し、二次的な対地攻撃能力を備えたAGM-158C長距離対艦ミサイル(LRAM)の新バージョンを採用した点である。2024年、海軍はAGM-158C-3型に対地攻撃機能を組み込む計画を撤回したことも明らかにした。また、LRASMは非常に高性能である反面、非常に高価な兵器であり、バージョンにかかわらず単価は概ね300万ドル程度とされている点にも留意すべきである。
海軍の空母航空団は、F/A-18E/F スーパーホーネットから運用可能な AGM-84K スタンドオフ対地攻撃ミサイル・拡張対応型(SLAM-ER)も保有している。対艦巡航ミサイル「ハープーン」を基に開発された空対地攻撃型ミサイルSLAM-ER の最大射程は、報道によると約170マイルである。これらのミサイルの単価も300万ドル台である。
海軍空母航空団の攻撃機の射程を拡大することは最優先課題であり、敵対勢力、特に中国がアクセス拒否・領域拒否(A2/AD)の範囲を拡大し続ける中、今後も引き続き最優先課題であり続ける見込みである。これにより、空母は標的地域からますます遠ざかることになる。スタンドオフ射程は、発射プラットフォームを敵の防空網から遠ざけるのにも役立つ。
さらに、イランとの継続的な紛争は、中東およびその周辺、さらには世界中の他の地域で長年にわたり続いている他の危機に続くものであり、弾薬備蓄や迅速な補充能力に関し懸念を浮き彫りにしている。警鐘は今や非常に大きく鳴り響いている。米軍はこれらの傾向を逆転させるための措置を講じてきたが、実質的な成果が得られるまでまだ数年を要する。JDAM-LRのような能力は、遠距離攻撃用弾薬の備蓄を補充するための、ますます重要となる新たな手段を提供する。
このことを踏まえれば、JDAM-LRの生産が海軍以外の他の軍種にも拡大する可能性は、極めて高いとは言えないまでも、十分にある。前述の通り、JDAMプログラムの中核的な管理機関は空軍であり、発注主体でもある。外国の同盟国やパートナー国、特にすでにJDAMの備蓄を持つ国々も、この新たな調達計画に参加する可能性があり、それによってさらなる規模の経済効果が生まれるだろう。
少なくとも、長年の開発を経て、ボーイングはついに海軍からの発注を皮切りに、JDAM-LRの量産を開始する準備が整うび至った。■
ジョセフ・トレヴィシック
副編集長
ジョセフはTWZの副編集長として、当サイトの経験豊富で献身的なチームの統括を支援するとともに、有益かつ影響力のある防衛・国家安全保障に関するコンテンツを執筆している。彼はその中心地であるワシントンD.C.エリアに在住している。
オリジナル版読者のコメント
遅れてもやらないよりはましだ。我々の主な航空戦力は数え切れないほどのJDAMだ。それらにスタンドオフ能力を与えるのは非常に有用だ。
1発あたり12万5千ドルなら、LRASMに比べて25倍のコストだ。ついに低コストのスタンドオフ兵器が量産段階に入った。
なぜ海軍は対地攻撃型AGM-158 JASSMを一度も導入しなかったのか?
海兵隊は保有している。
水道システムへのサイバー攻撃が少なくとも12州に拡大
次はJDAMを迎撃ミサイルに変えられるのでしょうか?