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2026年9月20日日曜日

月周回軌道まで戦闘区域に拡大する可能性があるとの米統合参謀本部議長のメッセージをどう読み取るか

 Joint Chiefs of Staff Chairman Gen. Dan Caine testifies on Capitol Hill in Washington, D.C., on May 12, 2026.

2026年5月12日、ワシントンD.C.のキャピトルヒルで証言する統合参謀本部議長、ダン・ケイン将軍。SAUL LOEB / AFP via Getty Images

国防総省は月周辺での戦闘に備えるべき:統合参謀本部議長

The Pentagon must prepare for battles around the moon: Joint Chiefs chair


軌道上兵器の存在が明らかになり数日後、ダン・ケイン大将は軍が目指す行動範囲の規模をさらに拡大した

メリーランド州ナショナル・ハーバー発――米軍の最高指揮官は、米軍は月周辺、あるいは場合によっては月面での戦闘に備えなければならないと述べた。これは、各軍種の指導者が、新たに公開された軌道上兵器をめぐる法的枠組みについて依然として苦慮する中でなされた、修辞的な飛躍である。

「諸君、我々の任務は今すぐ適応し、統合軍が海底から月周回空間に至るまで、世界中の紛争環境において戦い、耐え抜き、勝利する準備を整えることだ」と、統合参謀本部議長ダン・ケイン大将は、「航空・宇宙・サイバー会議」での基調講演において、空軍兵士、ガーディアン(宇宙軍要員)、産業界の関係者を前に語った。

ケイン議長はその後、「今日の現代的な戦場は、海底から月周回空間に至るまで展開している」という考えを繰り返したが、それが月面を指すものかどうかについては明確にしなかった。米国の法律は曖昧であり、月周回空間を「地球から月表面周辺の領域を含むまで」と定義している。『ハーバード・ロー・ジャーナル』の記事では、この条項を月そのものを指すものと解釈しており、ホワイトハウスの『国家月周空間科学技術行動計画』も2024年後半に、月面が含まれると明示的に述べていた。しかし、空軍研究開発本部の2021年の「月周空間入門」では、宇宙空間と月面を2つの異なる領域として扱っているようだ。

ケイン議長は、空軍長官および宇宙軍の宇宙作戦部長が最近、軌道上兵器について述べたコメントを指摘した。宇宙軍の高官たちは、その領域でどのように作戦を展開するか、また将来の紛争において宇宙兵器をどのように責任を持って使用するかについて、詳細を明かすことに消極的である。

宇宙軍は、米軍が地球と月の間でどのように戦闘を行うかについてはほとんど詳細を明かしていないが、その領域における敵の動きを監視するセンサーや能力の増強については積極的に言及している。ミシシッピ大学の宇宙法教授アーロン・ブリンイルドソンは、軍が当該地域における状況認識を強化したいと考える理由は理解できると述べた。「月および月周回空間における最近の中国の活動が、米国を凌駕するとの懸念がある」「中国は月周回空間に中継衛星を配置しており、月の裏側でロボット探査ミッションを実施している。」

米国も署名した1967年宇宙条約は、月面における特定の軍事活動を禁じ、月は「もっぱら平和的目的のためにのみ」使用されるべきであると定めている。「天体における軍事基地、施設および要塞の設置、いかなる種類の兵器の試験、ならびに軍事演習の実施は禁止される。科学研究またはその他の平和的目的のための軍人の使用は、禁止されない。」

宇宙軍戦闘部隊司令部の司令官グレゴリー・ガグノン中将は、メディア円卓会議で記者団に対し、第18宇宙防衛飛行隊と第19宇宙防衛飛行隊が現在、月周回空間での任務を相互に分担していると語った。「我々の敵対勢力、あるいは中国のような潜在的な敵対勢力は、月周回空間において積極的に活動を展開している。フットボールの試合で言うところの『エンドゾーン』の拡大のようなものだ」と彼は述べた。

「宇宙条約が軍の月周回空間における野心を制限するかどうか」との質問に対し、ガグノン中将は、同条約は軌道上の作戦を制限するものではないと答えた。「米国宇宙軍は、宇宙のあらゆる領域およびあらゆる軌道において、安全かつ責任ある宇宙作戦を継続して実行していく」。

ブリニルドソンは、同条約が月面での軍事基地の建設を禁ずる一方で、「中国がその義務を遵守し、月を軍事化しないことを確実にするためには、米国は月周回空間において優れた能力を必要としている。「米国に現実的な対応で空白が存在する」

今週、トロイ・メインク空軍長官とダグラス・シェス宇宙作戦司令官が、米国が軌道上に宇宙制御兵器を保有していると明らかにしたことで、その責任ある使用に関する法的疑問が浮上している。専門家たちは、これらの兵器はジャマーや電子戦能力など、非運動エネルギー型である可能性が高いと推測している。

米国の方針が、宇宙におけるキネティック兵器(すなわち、宇宙ゴミを生じさせる破壊能力)の使用を制限しているかとの問いに、ギャグノン中将は政策担当部署に判断を委ねた。「我々は国家防衛に備えているため、軍としてこうした能力を保有している。能力を持つ理由は、抑止力を構築するためだ」と彼は述べた。「戦争になれば、物を破壊することになる。」

ブリンイルドソンは、現行法が宇宙兵器の使用をどう制限しているかは明確ではないと述べた。

「宇宙におけるキネティック兵器や非キネティック兵器の使用に対する法的制約が不明確だ。『宇宙条約』は、軍事行動においてどのような要素を考慮すべきかについて、明確な答えを与えていない」と彼は述べた。「国防総省の『戦争法マニュアル』も、宇宙領域特有の側面については明確な言及を避けている。少なくとも、軍事関連の衛星のみを攻撃することや、民間人への付随的被害を回避することなど、武力紛争法の一般原則が適用されるだろう」

米国の議員たちは、宇宙に特化した軍事法に関する知識の不足にも懸念を抱いている。上院軍事委員会が2027年度国防授権法に盛り込んだ条項は、高まる脅威に対処するため、国防総省に対し「宇宙法に関する要件」を評価し、「空軍、宇宙軍、または宇宙軍司令部内に専門の法務組織を設立する選択肢」を検討するよう求めている。修正条項はさらに、「国防総省内の現在の法的、政策的、組織的構造が、宇宙作戦の複雑さに追いついていない可能性がある」との上院議員の懸念を付け加えている。

明確化された法的規範が確立されても、手遅れになっているかもしれない。

「結局のところ、最初の宇宙紛争が、こうした規則の大部分が策定されるきっかけになるのではないかと私は考えている」とブリンイルドソンは述べた。■




2019年3月21日木曜日

次の戦争は宇宙から始まる? 周回中の衛星多数への中国攻撃を想定する米国

War Is Boring記事のご紹介です。宇宙分野の戦いは目に見えませんが中国が先制攻撃で脆弱な衛星群を使えなくしたら米軍の活動は想定どおり展開できなくなります。もともと宇宙分野での軍拡をすすめないため米ロ両国は合意していましたが、ここでも中国が無関係に台頭してきたためINF条約同様に宇宙での装備展開の制約は早晩消えるでしょう。中国のなりふりかまわぬ進出はいたるところで世界に緊張を与えていますね

China looks to the stars to steal more power away from the U.S.

中国の狙いは宇宙で米国を弱体化させることだ




球周回中の衛星は現在1,957基あり、うち849基は米国が打ち上げているが、その中で外国勢力によるジャミングに耐えられる衛星は昨年打ち上げられた一基のみである。
そう述べると米国で警戒の念が強まるが、より多くの関心を寄せる国が別にある。中華人民共和国である。
人民解放軍は大幅な戦力増強中で、装備能力のみならず人工知能、衛星攻撃能力の技術面、さらに世界各地に米国同様に兵力投射する能力も着実に整備してきた。
多方面に手を伸ばした格好の中国だが宇宙分野でも活動を展開しデブリ除去もそのひとつとするが米国防情報局(DIA)はこれは米衛星をねらう作戦のカバーと見ている。
「中国の衛星運用は高度化しており軍民両用技術として対衛星攻撃に使うつもりだろう」とDIA報告書にある。
米衛星への奇襲攻撃の可能性について同報告書が中国が今後打ち上げる各種衛星について考察している。
「中国は各種衛星攻撃能力の開発を進め敵国の宇宙配備装備を有事の際に使用不能あるいは機能低下させるのがねらいだ」(DIA報告書)
衛星ジャマーや指向性エネルギー兵器以外に中国は運動エネルギー兵器も作成中で、2014年にテストした対衛星ミサイルもその一環だとする。
米国最大の優位点であり最大の弱点に中国は焦点をあわせているようだ。
「PLA著作物では『敵偵察能力の破壊、破損、妨害』の必要性を強調している」と同報告書にあり、「通信衛星や航法衛星、早期警戒衛星が『敵の聴覚視覚潰し』攻撃の標的だろう」とする。
報告書ではPLAが米国と同等の規模、性能、技術水準の確保をめざし、技術成果を自国外で獲得し開発工程を省略しようとしていると指摘している。知的財産を盗み、諜報活動やリバースエンジニアリングで米国に匹敵する技術水準を中国政府は近年確保している。ただし、「パズルのピースを盗み」ながらピース全部を入手しないため結果はばらついているともいう。
中国の台頭が続く中で、米国としてもサイバーセキュリティの強化、衛星ネットワークの防御をはかるが、次の戦争が「旧態依然」の方法で展開される可能性に備える必要がある。■
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2016年6月12日日曜日

「衛星へのサイバー攻撃は戦闘行為」 下院情報特別委員会


中国の動きを念頭に米側は情報収集衛星、軍事通信衛星など軍の活動を支える軌道上のアセットの防御を真剣に考えざるを得ない立場に追い込まれています。そこで下院有力議員から宇宙での敵対行為について見解が示されたということでしょうか。

Cyber Attack On Satellite Could Be Act Of War: HPSCI Ranking

By COLIN CLARK on June 10, 2016 at 4:43 PM
CAPITOL HILL: 米衛星へのサイバー攻撃は戦争行為とみなすべきとの発言が米下院常設情報特別委員会の民主党筆頭議員アダム・シフから出た。
  1. この発言を当然と思う向きもある一方で軍事衛星、情報衛星がサイバーで妨害されるだけで戦闘行為の要件が成立するのかは以前から議論されてきた。「森で木が倒れる現場に誰も居なくて木が倒れる音が聞こえるのだろうか」 軍と情報機関の高官の面々がサイバー問題への回答に極めて慎重なのは諜報活動と攻撃行為の間に線を引くことが大変困難なためだ。
  2. 「我が国の探知警報システム(スパイ衛星群)に対する行為は挑発行為と受け止める。好戦的な行為でないとしても外国が不可逆的な行為を始めた場合で、周波数妨害はその例」とシフ議員は声明文を発表した。
  3. 対応策は複雑とシフ議員は空軍協会主催の朝食会前に報道陣に語った。まず誰が攻撃をしかけたのか特定せねばならない。次に実行犯の情報をどこまで公表するかを決める。その際はどこまでの情報を安全に公表できるかで変わってくるとシフ議員は述べた。条件がすべて合えば、米側は敵国の衛星の一つを標的にする。あるいは地上基地を狙う。あるいは別目標を設定する。すべてにおいて十分な配慮が求められる。
  4. 「当然ながらこちら側の情報衛星にも防衛措置を搭載するなど自衛策が可能だ。だが問題は実施した場合に国際的にはどう受け止められるかだ。防御機能を搭載した衛星は軌道上の兵器に変わるといえるからだ」
  5. また「報復の応酬が続けば敵味方双方が高い代償を払うことになる」と同議員は発言。
  6. 宇宙戦の課題でも一番難しいのが攻撃の定義だ。攻撃と断定するには標的として狙われたうえ攻撃手段が法的な条件を満たすことが必要だ。宇宙空間で敵の動きを抑える対策は極秘情報であり、シフ議員も明らかせず代わりに以下発言をしている。
  7. 「宇宙装備について詳しく述べることはできないが、攻撃方法は多数ある。運動エネルギーで地上からの攻撃も可能だ。妨害もできる。作動不能にすることもできる。サイバーでの攻撃も可能で、宇宙空間で別の機体からの攻撃も可能だ。そこでこちらのこれからの宇宙システムの回復力を確保し、既存システムで回復力が不足するものについては防衛策、サイバー攻撃への護りを確保していく」
  8. システムが攻撃を受けても回復力を発揮できれば大きな違いが生まれる。今後この話題はもっとお伝えすることができよう。■

2015年7月27日月曜日

宇宙空間で戦闘状態が発生したら情報機関に指揮命令を委ねるべきなのか


地球周回軌道上の安全保障の鍵をにぎる衛星群がまっさきに攻撃を受け、必要な情報が入手できなくなれば戦闘の指揮もままならない、そんな危険がすぐそこまでやってきている、というのが指揮命令系統を緊急時に誰が取るのが適切なのかという高級な議論の出発点のようです。共同宇宙作戦センターにはゆくゆくは自衛隊要員の出向も想定されており、日本にとっても関係のない話題ではなくなるのは必至ですよね。

Would Spies Command In A Space War? Dunford Says Maybe

By COLIN CLARK on July 22, 2015 at 12:53 PM



PENTAGON: スパイ衛星が攻撃されたら誰がその対応を指揮するのか。戦略軍司令官なのか国家情報長官なのか。空軍所属の衛星が攻撃を受ければ、どうなるのか。このような疑問が熱く、だが静かに米政府の最上層で問いかけられている。
  1. スパイ衛星が攻撃を受けるとしたら交戦の初期段階で、軍と情報各機関による共同対応が不可欠だ。だが、軍上層部には国家情報長官や他の情報機関トップがスパイ衛星・軍事衛星の双方を指揮することを認めたくない傾向があると聞く。ただし、攻撃の最初の数分間あるいは数時間で情報機関は事態を把握し誰かが衛星の位置変更などの対応を決断しなければならない。また、攻撃が人為的なものなのか、自然現象なのか判断は困難かつ予測がむずかしい。
  2. 軍上層部が情報機関から指揮命令を受けることを快く思っていないということではない。米政府上層部はこれまで宇宙空間での交戦を想定しておらず、実際に攻撃が宇宙で発生した場合にどう対応すべきかを系統だって決めてこなかった。これが今変わりつつある。
  3. 情報各機関とペンタゴンが「情報機関と国防総省の合同宇宙作戦センター」を創設したとボブ・ワーク国防副長官が6月に発表し議論が始まっている。同センターの概要は極秘扱いだが、今年末に稼働を開始するとワーク副長官は発言している。ロシアと中国が衛星攻撃能力を整備しているため発足が急がれていた。
  4. 中国は過去10年間で少なくとも2回の衛星攻撃テストを行っており、ロシアも同様の整備を行っている。ジェイ・レイモンド空軍少将Lt. Gen. Jay Raymond (第14空軍司令官)は宇宙シンポジウムの席上で米国及び同盟国はもはや安全ではないと発言。「もうすぐ全衛星がリスクに直面する」という。
  5. 特に2013年5月の中国の「科学実験」が米政府上層部の懸念を招いた。関係者および外部専門家によれば地球静止軌道近くでのASATテストで、スパイ衛星が使う軌道に近い場所だった。「このとき情報各機関が戦慄を覚えました。なぜならそれまで衛星は比較的安全と考えられていたのは非常に高い軌道を飛んでいたからです。中国の実験でこの幻想が吹き飛びました」とテレサ・ヒッチンス Theresa Hitchens (メリーランド大学国際安全保障研究センター、元国連軍縮局局長)は言う。
  6. 中国は昨年7月に行ったテストをミサイル防衛が目的で実験では何も破壊されていないとしている。ただし2013年のテストが軍事目的に関連しているとは一回も認めていない。
  7. そこで中国とロシアでの進展を受けて、米軍は根本的な戦略方針の変換を図っている。ワーク副長官は今年始めの宇宙シンポジウムでこの変化の概要を語っている。講演は非公開だったが、その中で米軍は「統合かつ調整された形で」米国の衛星群に対する攻撃に対応すべきとし、「宇宙空間の支配」 “space control” の語句を使っている。つまり、宇宙空間はもはや戦争と無関係ではなく、次の大戦は宇宙から始まると見る専門家が多い。
  8. 「宇宙に配備した装備の機能に大きく依存しているのが現実で、宇宙空間の支配を今後も強調する必要がある。宇宙空間での優越性を維持するため極秘、公開問わずすべての宇宙装備をひとつの集合体として考えるべきだ。また敵側がわが方の機能を妨害しようとすれば、反応を統合されかつ調整された形で返す必要がある」
  9. ただしこれは今すぐ戦うことではない。事態は進展を続けており、戦略軍(STRATCOM) 司令官は空軍宇宙軍団隷下の合同宇宙作戦センター (JSPOC)を通じ軍事宇宙装備を指揮している。同センターには少数ながら同盟国側の宇宙関連要員が勤務しており、各国政府およびNATOとの調整連絡にあたっている。
  10. STRATCOMは「合同宇宙教義及び戦術フォーラム」を2月に発足しており、新しい軍事ドクトリンで、頭の痛い問題を解決しようとしている。
  11. 記者は情報機関筋と話す機会があり、この議論がはじまった当時から問いかけをしているが、誰も話そうとしてくれない。
  12. そこに次期統合参謀本部議長に内定しているジョセフ・ダンフォード大将が上院軍事委員会から以下の書面による質問を受けている。
米軍要員が合衆国憲法第50条に定める権限で任務を果たすことを認める合意内容および権限に対する貴殿の理解と見解はいかなるものか。この権現を修正する必要があると考えるか。
  1. それに対する回答ぶりから情報各機関に軍部隊の指揮を任せることをらダンフォード大将は必要な受け入れるようだ。「軍部隊は軍人の指揮命令系統に入ってこそ最高効率を示すが、この一般原則にも例外があり、そんな例外を許す状況がありその裏付けとなる権限や合意内容が存在する」と同委員会で語っている。
  2. 情報機関と国防総省間の議論に詳しい宇宙専門家数名にあたり、指揮命令権限の問題とダンフォード発言について尋ねてみた。ダンフォード大将の回答は憲法第50条の3038条項を引用している。情報機関の統制についての部分で宇宙空間での活動にあたる三機関を取り扱っている。国家偵察局(NRO)、国家安全保障局(NSA)および国家地理空間情報局(NGA)である。このうちスパイ衛星を運用するNROが指揮命令権限では中心となる。
  3. 宇宙専門家ブライアン・ウィーデン Brian Weeden (安全な世界を目指す財団)はJSPOC勤務経験がある元空軍将校であり、政府が言うような宇宙空間での脅威増大については懐疑的だ。
  4. 「軍が危機感を煽る背景に予算問題がどこまで関係しているのか見極めるのが大変むずかしいし、軍は強制予算削減を大変怖がっている。中国やロシアがASAT技術の開発をしているとの証拠があるが、どこまで脅威が現実的なのか判断が難しい。なぜなら米政府が詳細情報を公開していないからだ」
  5. ウィーデンは情報各機関が宇宙空間で何が起こっているのかを把握しつつSTRATCOMへ情報共有を拒むと考えるのは「馬鹿げている」という。「ただし不幸にもこれは今始まった話ではないし、宇宙空間だけの話でもない。たとえば、無人機による攻撃実績を巡っても同じように対立がある」
  6. また、空軍は宇宙空間で軍事衝突が発生すると長く考えており、米側が攻撃に対し脆弱になっているとの根本的変化が発生しているのは政策決定側の最近の発言から明らかだとする。
  7. 「政策決定者も宇宙空間がいかなる軍事衝突とも無関係な場所だとは考えていない。シャイアン山に勤務していた当時は宇宙戦闘統制官、宇宙防衛責任者、宇宙防衛アナリストの各専門職があった。これだけで米国家安全保障関連宇宙システムズへの脅威探知分類担当の半分を占める規模だった。当時から米宇宙装備への攻撃が発生した場合のTTP(戦術、技術、手続)が複数あった」
  8. ひとつ気になるのは基本的な政策関連の課題2つで情報各機関への法的課題だ。誰が宇宙空間の脅威対象を定義するのか、誰が脅威への対応策を決めるのかという点で、軍なのか情報各機関なのか。
  9. 「もうひとつ、攻撃の『警告』を誰がするのか、誰が対抗策を決めるのかという点もあります。このふたつで単独機関に権限を与えると、事態がエスカレーションする危険がある」とウィーデンは言う。「このためNORADは軍事組織で北米への攻撃を探知し警告する組織になっている。一方で、STRATCOMには対応策として核攻撃の実施をする任務が与えられています」■