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2019年6月24日月曜日

第六世代戦闘機に必須の技術要素はこの4点だ


America's 6th Generation Fighter Could Be Everything: 4 Things It Must Haveアメリカの第六世代戦闘機に必須の性能4点はこれだ

国が第5世代戦闘機F-35ライトニングの本格稼働に向かう中、フランス、ドイツ、日本、英国は一気に高性能の第六世代機開発を検討している。
第六世代機の姿がどうなるかまだ断言できないが第一線配備は2030年代後半から2040年代になるはずである。ただし、第六世代機には新技術が盛りだくさん搭載されるはずだ。
軍事装備開発の常として軍と産業界で次代の先導権争いがすでに始まっている。米海軍、空軍は別の第六世代後継機構想をFA-XX並びに侵攻制空戦闘機構想として業界に提示している。
F-35で海軍、空軍それぞれの要求内容の調整に苦労した挙げ句、部品数で共有化は2割にとどまった経験から両軍ではライトニング後継機を共通機種にする動きは皆無に近い。PCAは長距離援護機としてB-21レイダーとともに敵空域に侵入し敵戦闘機の脅威に対抗する構想だ。FA-XXは敵爆撃機やミサイルから空母の防御を期待される。
F-35では攻撃能力を空対空戦能力より優先したが。第六世代機では制空能力能力を再び重視する。このため操縦性が重要になるのか、またはスーパークルーズ(長時間超音速飛行)を維持するのかは今後の議論の的だろう。 
だが以下4つの技術内容は空軍海軍で共有されそうだ。
1. ステルスを実現するレーダー断面積だけでは不十分
ステルス機への批判派にはセンサー技術の技術革新と戦術の進化でステルス技術の陳腐化は避けられないとの意見がある。
だが実際にはステルスが絶対的な技術であったことはない。ステルス機が探知不可能であったこともないし、逆にセンサーでレーダー断面積や赤外線でのステルス効果が無効にできるものでもない。
それでも懐疑派はステルス機が今後普及しても技術・戦術の整備で対抗策が出現するはずと主張する。低帯域レーダー、協調型交戦技術のネットワーク型複合レーダー運用、長距離赤外線捜索探知装備が今後実用化されるというのだ。
こうした技術の出現でステルスが即無効になるわけではないものの先進国における学士号のように戦術シナリオではステルスは当たり前技術となりそれだけで成功が約束されることにはならない。
端的に言って航空機があらゆる戦闘環境で生存するため必須の性能となってもレーダー断面積を小さくしても生き残りが保証されることにはならない。

2. 航続距離
第4世代機第5世代機として供用中の米軍機材は機内搭載燃料では戦闘行動半径が極めて限られてしまう。非ステルス機は外部燃料タンクや空中給油で飛行距離を伸ばす。だがこの解決策ではステルス機はレーダー探知を招いてしまう。
高精度の巡航ミサイル、弾道ミサイル、極超音速ミサイルが急速普及しすると駐機中機材が地上で撃破されたり支援装備が狙われる脅威が現実のものになる。第六世代ステルスジェットが沖縄の基地や南シナ海洋上の空母にわずか数分の警告でミサイル攻撃が空から降ってくる事態が発生しそうだ。
このため機内燃料搭載量を拡大し、基地施設を広く選択して安全かつ柔軟な新型機の運用が必要だ。結果として機体は拡大され同時にペイロードも大きくなる。
ただし機内燃料槽の大型化だけが解決策ではない。ステルス給油機やステルス増槽の開発も考えられる。またスタンドオフ巡航ミサイル、極超音速ミサイルが実用化されれば攻撃機材は防衛側の「バブル」空域の攻撃も可能となる。

3.無人機との共同運用
ステルス機と言えどもセンサーの性能向上の前に姿を隠すのが困難になっていくが、解決策はある。いさぎよく敵に姿を見せるのが安価な対策で、しかし数百個もの囮を放出し敵に本物の標的を識別できなくさせることだ。
米海軍のスーパーホーネットでブヨほどの大きさのパーディックス無人機103個を放出実験を行った。一分間でレーダーにはイナゴの大群のように写るようになった。
もちろん無人機を囮として使うためにはレーダーで戦闘機のように写るようにする必要があり、あるいは空軍のMALD-X無人囮装置のように高額なものになる。オーストラリア空軍は「忠実なるウィングマン」コンセプトで無人機を開発しセンサーや兵装と搭載しようとしており、必要ならミサイル迎撃にもあたらせる。
ただし将来の忠実なるウィングマンで性能をフルに発揮するには技術統合を進める必要があり、人工知能により有人機パイロットの負担を減らし、強靭なネットワークで妨害を受けない通信リンクを敵の電子戦環境でも確実にすることがその一例だ。
当然ながら将来のジェット機では電子戦技術に人工知能を応用して敵の妨害も図ることになるだろう。

4. 発電容量
ジェット戦闘機ではエイビオニクスが高度化するため機内発電容量の増強が必要となり、F-35の最新アップデートでも発電系統の効率向上がひとつのねらいとなっている。
エンジンメーカーも次世代エンジン開発では従来を上回る高出力発電にターボの活用で対応する必要が生まれる。
発電力の増強分はエナジー兵器のレーザーや高周波装備に使う。空軍はレーザー砲実験をF-15で2021年に予定しており、対空ミサイルの誘導機能を妨害する。ただしもっと強力なレーザーなら有効距離が伸び、高熱による破壊効果が生まれ事実上弾薬数の制限なく攻撃兵器に転用できる。
敵の実力が向上してステルスが切り札にならなくなっても、レーザーや運動エナジーで撃破が難しいアクティブ防御を実用化し、機材の防御策を追加すれば長距離センサーや対空兵装の進歩に対抗できるはずだ。■

Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Borin

2018年12月27日木曜日

第六世代機は空軍調達予算を食いつぶす存在になるとのCBO分析が出ました



Stealth Swap: The Air Force Could Replace the F-22 with...the F-35 ステルス機の今後、F-22後継機がF-35って
And the reason is simple: money. その理由は簡単明瞭、予算


by David Axe Follow @daxe on TwitterL
December 18, 2018  Topic: Security Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22F-35MilitaryTechnologyWorld

議会予算局(CBO)はF-22ラプターの後継機は2030年代の米空軍予算を食いつぶすと分析。
1980年から2018年まで空軍は現在のドル価値で新型機導入に平均120億ドルを使ってきた。だが約180機あるF-22を2030年代に全機新型機に切り替え、F-35の新規調達を続けながら、輸送機、給油機も導入すれば年間230億ドルが必要となるとCBOが2018年12月発表の報告書でまとめた。
飛行隊数を現行の312個から386個体制に拡充する空軍の案を実行すれば新型機への年間支出はさらに増える。「この国が必要とする規模に対し現在の空軍規模は小さすぎる」とヘザー・ウィルソン長官が今年9月に述べていた。
拡大構想では戦闘機部隊を7個追加し62飛行隊体制とするとある。

CBO報告書から重要な点が見える。F-22後継機を模索するよりF-35の追加調達をしたほうが新型機開発より予算を節約できるとしている。
空軍の予算問題は今日にはじまったものではない。新型機調達予算のピークは1986年の290億ドルで当時は依然としてヨーロッパで対ソ連戦を想定していた。
1991年にソ連崩壊で冷戦が終結。米国防予算は急減少し、1995年には機材調達予算が年間50億ドルまで減った。その後予算は堅実ながら増加した。2010年から2017年の平均では年間90億ドルを機体調達に使っているとCBOは分析。

空軍機材5.500機中の約1,500機が機齢26から35年に達しており、F-15やF-16の大部分がここに入る。

80年代の機材が更改の必要がある。だがF-35は単価が1億ドル程度で、年間60機の調達が精一杯だ。このためF-35合計1,800機の調達は2040年までゆっくり実施する。

F-22後継機を2030年代に導入すると空軍はステルス機二形式の同時調達になり予想費用は年間140億ドルに達する。同時に輸送機、給油機、爆撃機も必要なので総額は230億ドルに達するとCBOは警鐘を鳴らす。
そのためF-22後継機に...F-35が浮上する。空軍がまとめた「航空優勢2030構想」では「侵攻制空任務」の能力を強調している。言い換えれば高度の生存性を備えた空対空戦闘機のことだ。

「PCAの性能開発では航続距離、ペイロード、生存性、威力、価格、支援体制のいずれをどこまで犠牲にするかが重要課題となる」と空軍構想は指摘する。だが新型機開発が必須と記していない。CBOはF-22老朽化対策にはF-35の継続調達で対応可能としている。
「高コストと不確実性のためPCA構想を見直せば空軍予算動向のCBO予想にも影響が出る。たとえばPCAの想定性能が予算上実現不可能と判断してもF-35Aの追加調達で対応することも可能なはずだ。
「F-35の推定平均調達価格は94百万ドルで、PCAが300百万ドルの予想で機体調達ピークの2033年にPCAを選択しなければ260億ドルのかわりに200億ドルですむ」

空軍が事業費を落とすため調達機数を減らせば総機数は現行の5,500機から減る。ただ空軍企画には飛行隊を増やすとあるので機体数は減らず、増やすことになる。■

David Axe edits  War Is Boring. He is the author of the new graphic novels MACHETE SQUAD and THE STAN.

うーん、これはどうなんでしょう。数字だけの世界ではそうなるのですが、PCAで想定する性能がF-35で可能とは思えないのですが。今後の世界にむしろ「戦闘機」が必要なのでしょうか。ステルスは切り込み隊やセンサー中継機の役割で依然必要としても強力な攻撃力をもたせた機体はもはや高Gが不要となり、むしろ攻撃力や機内発電容量を考えると相当大きな機材になるのでは。Battle Planeの考え方ですね。それにしてもF-35にこれから自由世界が数十年振り回される可能性ってどうしたもんでしょうか。

2018年9月21日金曜日

米空軍はF-15XにもF-22生産再開にも関心なし



貿易赤字問題にひっかけて日本政府が無理な妥協をしていいのかという問題ですね。念願のF-22が手に入ると喜ぶ方がいるようですが、車でいえば90年代の「名車」を今更新車と銘打って入手するようなものでしょう。米空軍が商売上手なロッキードの言い分を聞き流しているのは当然でしょう。さて、日本はどうしますか。



Why the Air Force Won't Buy the F-15X or 'New' F-22 Raptor 米空軍がF-15Xも「新規生産」F-22ラプターを求めない理由

Old designs and Russia and China catching up have a lot to do with it.  旧式設計でありロシア、中国が急速に追いつこうとしている背景にある

空軍はボーイングF-15X最新型の導入、ロッキード・マーティンF-22あるいはF-35のエイビオニクスを導入した改良型同機の追加購入のいずれにも関心を示していない。優先順位がおかれているのはF-35を可能な限り多数調達し第5世代戦闘機の比率を増やすこと、同時に次世代技術を導入した航空優勢を確立できる次世代機の実現だ。
「現状では第四世代機が8割、第5世代機が2割だ」と空軍長官ヘザー・ウィルソンが9月5日のDefense News取材で答えている。「今後想定される戦闘では第5世代機を増やすことで大きな効果が出るので5-5の比率にしたいところであり、第四世代機の導入予定はない。つまり第5世代機を増やすということだ」
.F-22の近代化改修または生産再開のいずれも検討対象ではないとウィルソンは述べている。
これは当然だ。米空軍は第四世代機の生産再開に強硬に反対してきた。F-15やF-16では今後は有効活用はできないためだ。確かに非ステルス機でもスタンドオフ兵器の利用が可能だが、ロシアS-400や中国HQ-9といった最新装備で守られた空域では生き残れないと見る。
改修型F-22ラプターの生産再開について議会の求めに応じて空軍がまとめた報告書では生産ライン再開が高価かつ時間ガかかりすぎることを指摘している。「生産ライン再開とともに生産補給業者のネットワークを再開、再設定し原材料を確保して熟練度高い労働力を確保するリードタイムが課題で、サブシステムの再設計や管理コストも相当のものになる」と空軍は報告書でまとめていた。
「生産再開の場合の初回必要経費は70億から120億ドル(2016年ドル価格)で、194機調達の場合の調達単価は206から216百万ドルで2025年度から2034年度にかけ納入と想定した。194機調達の場合、総調達費用は400から420億ドルと試算した。総調達費用と生産再開に必要なコスト98.69億ドルを合わせると総額は503億ドルとなる」

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U.S. Sailors prepare for flight operations on the aircraft carrier USS George Washington (CVN 73) in the East China Sea July 28, 2014.

Leaked Chinese Military Document Suggests America Is a Declining Power 漏洩中国軍事文書が米国を没落国と見ていることが判明

さらに空軍はラプター生産再開となった時点で米国の航空優勢がロシアや中国に脅かされる事態を想定する。「F-22生産再開の大日程では新造機材の納入は2020年代末と見て」いると空軍報告書は述べている。「F-22は現行脅威に対して依然として優位な存在だが新規生産機材が納入される2030年以降ではF-22に強力な相手が立ちはだかっているはずだ」
またF-22生産ライン再開の場合、ラプター後継機をめざす次世代侵攻制空(PCA)事業との競合も発生する。「F-22生産再開の場合は空軍参謀総長自らが承認した航空優勢2030構想(AS 2030) 、各方面能力強力チームEnterprise Capability Collaboration Team (ECCT) のフライトプランの実現に必要な資源を食い合うことになる。同プランでは急展開中の接近阻止領域拒否(A2/AD)下の脅威環境を前提に侵入生存可能な性能が必須としている」
米空軍は予算5億ドルで航空優勢システムファミリー構想としてF-22及びボーイングF-15C後継機を次世代制空Next-Generation Air Dominance (NGAD)の名称で検討開始している。侵攻制空戦闘機 Penetrating Counter Air (PCA ) は将来実現する「各種性能のファミリー」の「航空分野プラットフォーム部分」で航空優勢を担当する想定だ。だが各種性能のファミリーとはPCAだけを指すのではなく、基地や補給活動、通信、情報収集監視偵察(ISR)、指揮統制まで含み装備も新型、既存を共に想定する。空軍にとって制空任務とは運動行為にとどまらず非運動行為の電子戦やサイバー戦まで広い分野を想定する。
ロシア、中国はじめ潜在敵各国がますます装備能力を向上させる中、現在の米軍の力が試される機会が増えている。このため空軍は新型制空戦闘機を開発し米軍の優越性を守る必要に迫られている。「敵勢力は機材、兵器の性能を向上させておりますが、こちらも同様に向上させており、将来の空対空作戦は根本的に変わるのではないでしょうか」と航空戦闘軍団の航空優勢中核機能チームを率いるトム・コグリトー大佐がNational Interest 取材に以前答えていた。■

Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter:  @davemajumdar.

2017年11月1日水曜日

初飛行から20年、ラプターは今も世界最強の戦闘機の座を守る



なるほどハイスペックで設計要求を出し、丹念に作り上げたラプターはスーパーホーネットなどとは別の次元の機体強度がありそうですね。しかし200機弱しかない「虎の子」のラプターを2060年代まで使い続けることが本当に賢い選択なのかわかりません。戦闘機の概念自体が変われば、無人機がはるかに高機動飛行を自律的に行えるようになれば、...現在の延長線に未来がないのは確かなようです。そう思えば欲しくても変えなかった日本も我慢できるのではないでしょうか。


20 Years of the Mighty F-22 Raptor Stealth Fighter

初飛行から20年たったF-22ラプター
October 30, 2017


  1. 米空軍はロッキード・マーティンF-22Aラプターの初飛行20周年を今月初めに祝った。
  2. 式典はエドワーズ空軍基地で10月19日に開かれた。ラプターの初飛行は1997年9月7日でジョージア州マリエッタのドビンズ空軍基地でロッキード・マーティンの主任テストパイロット、ポール・メッツがテイルナンバーAF91-401の技術製造開発一号機を飛ばした。
  3. メッツの初飛行は一時間弱で高度20千フィート未満を守った。これが同機の長期間にわたる、時には困難に直面したフライトテストのはじまりとなった。最終的に当時の航空戦闘軍団(ACC)司令官ロナルド・キーズ大将がラプターの初期作戦能力獲得を2005年12月15日に宣言した。
  4. 10年以上前に実戦化したラプターは今日でも世界最強の制空戦闘機の地位を守っている。エドワーズAFBではF-22合同テスト部隊が2060年以降の供用を視野に改修策テストを続けている。
  5. 空軍はラプターの機体構造は強靭で構造強化策なしで飛行可能とみている。そこまで強固な機体になったのは空軍の要求水準が高かったためだ。設計上は8,000時間が上限のラプターだがローエンドなら12千時間まで改修不要で、ハイエンドでは15千時間まで飛行可能とみられる。
  6. 「80年代90年代初期当時にF-22を設計した当時はデザインミッション10通りを想定して機体構造を作成しています」とACCのトム・マキンタイヤがThe National Interestに今年初めに述べている。「EMD(技術製造開発)段階でフルスケールテストを各ミッションに対し行っています。実際の運用ではそこまで過酷な飛行はしていませんので構造強化策なくても2060年ごろまでは十分飛行できるはずです」
  7. ラプターは新型エイビオニクスやソフトウェアの改修を受けているが、コンピューター関係は大規模改修が必要となる。「2025年から2030年ごろに機内システム一部でそのまま使用が可能か真剣に検討する必要が生まれるでしょう。すでに検討の初期段階に入っています」(マキンタイヤ)
  8. だが2030年までにラプターは世界最高の戦闘機の座をおりることになりそうだ。潜在的敵国のロシアや中国が追いつこうとラプター対抗策の準備に入っている。
  9. ではラプターが第六世代侵攻型制空戦闘機(PCA)と組んで運用するようになったらどうなるか。今日の第四世代と第五世代ペアの様相とな時になるのではないか。ラプターがF-15Cの役となりPCAが上位となる。「PCAの供用が始まれば、F-22やF-35と共同運用されるはずです。2030年、2040年あるいは2050年になればF-22は現在の第四世代戦闘機の立場になるでしょう」(マキンタイヤ)
  10. だがPCAが実戦配備されるまでラプターは世界最強戦闘機として孤高な存在であり続けるだろう。■
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.


2017年7月2日日曜日

★★米空軍はラプターを2060年まで使い続ける


本当に2060年代まで使えるの、その時点でPCA次期制空戦闘機が登場すればラプターは第二バイオリンの役を果たせるのか、UAVの進化をどう予想しているのかと突っ込みどころが多いですが、しょせん日本からすれば往時のF-106のような米国専用機材であり、どこか他人事のようにしか聞こえませんね、というと言いすぎでしょうか。

 

The U.S. Air Force's Stealth F-22 Raptor Will Fly Until 2060

F-22ラプターを2060年まで供用する米空軍

The National InterestDave Majumdar June 26, 2017


  1. 米空軍はロッキード・マーティンF-22Aラプターを2060年まで配備し続ける。そのため空軍は一連の改修予算を計上し、同機の戦力水準を維持する。その一部を2018年度予算案に盛り込む。
  2. 「F-22を2060年まで維持し、途中で脅威の変化に対応し性能を向上させていく。FY18予算に624.5百万ドルをRDT&E用に、398.5百万ドルを調達用に計上している」とアーノルド・バンチ中将(調達担当空軍副長官付軍代表)、ジェリー・ハリス中将(作戦立案担当参謀次長)が下院軍事委員会宛に6月7日に書面で通知している。
  3. 航空戦闘軍団でF-22のアナリストを務めるトム・マッキンタイヤーから記者に2060年という数字にはラプター部隊も驚くだろうが、機体は十分持つの見込みを示した。
  4. 「2060年との予想はなかったので少々驚かされましたが、F-22には機体強度を維持するASIP(機体強度維持事業)があります」

機体構造は強靭
  1. ラプターの機体は冷戦末期に設計されたこともあり厳しい要求内容を反映して極めて強固に作られている。設計上は8,000時間が限界だが、飛行運用実績から12,000時間(ローエンドの場合)あるいは18,000時間(ハイエンド)まで改修せずに使えそうだという。
  2. 「80年代末から90年代初めに機体設計した当時はミッションを10通り想定していました」
  3. 「EMD(技術製造開発段階)中に各ミッションの有効性を試しています。ラプターは実際にはそこまで厳しい条件で供用されておらず機体強度の現状をみると2060年くらいまでなら供用可能と判断されたというわけです」
  4. また機体腐食も米海軍のF/A-18ホーネットほど深刻ではない。ラプターで空軍が見つけたのはステルス塗料による流電腐食現象だが機体構造上で問題になるものではないとマッキンタイヤーは述べている。空軍は問題を起こした特定の導電性ステルス塗装剤を変更し腐食問題の解決を目指す。
  5. 「この補正作業はヒル空軍基地で行っています」とマッキンタイヤ―は述べ、「今後も腐食が発生しないようにすべての作業は2020年までに完了します」

生産用設備はすべて保存中
  1. さらに空軍はシエラ陸軍補給処に保存中のF-22生産用設備の保全状態を調査中だ。現在、調査は85パーセント完了し、今までのところ生産設備はすべて所在が確認されている。それより以前に空軍関係者から一部設備類が所在不明との懸念が出ていたが、調査の結果根拠のない杞憂だとわかった。
  2. F-22の生産再開は米空軍で見込みがなくなっている。「空軍にはF-22生産ライン再開の予定はありません。経済上も作戦上も意味をなさないから」とキャリー・ケスラー少佐(航空戦闘軍団広報官)が記者に述べている。

2060年のラプター像
  1. F-22の機体が2060年までそのまま持つとしても、空軍は21世紀後半でもラプターを戦術的に意味のある機材として運用できるのだろうか。空軍からはこの疑問への答えがまだ出ていないが、2030年代までは有効な機材として維持する構想はある。
  2. 「2060年まで予言はできませんが、」とマッキンタイヤ―は言う。「空軍は2030年代までラプターの航空優勢を維持するべく必要な性能水準を実現していきます」
  3. 中国やロシアはラプターに代表される米航空優勢への対抗手段を大々的に開発中だ。そうなるとF-22は第六世代戦闘機となる侵攻制空機(PCA)とペアで対応することになりそうだ。ラプターはPCAに対して現在のF-15Cの立場になる。
  4. 「PCAが実現すれば第五世代機のF-22やF-35と共同運用する前提で設計されているはずです」とマキンタイヤーは述べている。「2030年代、2040年代や2050年代になればF-22は今日の第四世代機の立場になるでしょうね」
  5. とはいえ想定中の脅威が2019年から2020年に現実のになれば、空軍はF-22の性能改修を模索することになろう。ただしその内容は秘匿情報だ。
  6. 「その後数年すればラプターの供用年数が相当になるため暫定的に中間改修と呼ぶものが必要になるでしょうね」
  7. 中間改修でコンピューターを交換し、エイビオニクスでレーダーやアンテナを更新するのだろう。
  8. 「2025年から2030年の間のどこかで搭載システムがその先も維持できるか検討せざるをえなくなるでしょうね」「現時点はまだ検討の初期段階にすぎませんが」とマキンタイヤーは述べる。

性能改修策の内容
  1. 空軍は近未来の脅威にもラプターを対応させるべく資金を投入している。インクリメント3.2BとしてレイセオンAIM-9XサイドワインダーやAIM-120D(AMRAAM)の運用を可能としさらにその他改修をめざす運用テストが今夏に始まり、2019年度の実戦投入をめざす。ソフトウェアではアップデート6を同時に実用化しラプターの情報暗号化が改良されるとマキンタイヤーは解説している。
  2. アップデート6でもう一つ大きな意義があるのがTACLink-16でF-22にリンク-16送信機能を2021年までに追加することだ。空軍は無指向性のリンク-16の搭載を一貫して拒否してきたが、ここにきてラプターに送信機能追加を決めた。その理由としてステルス機の運用実績を積んで作戦上の知見が増えてきたことがある。
  3. 「戦術上でF-22がリンク-16送信してもほぼ常時心配の必要がないと分かってきました」とマッキンタイヤ―は述べる。「同機の知識が増えており運用にあたる賢明な男女が戦術を編み出し初期に心配されてたいリンク-16送信の懸念は根拠がないとわかったのです」
  4. 空軍は新型データリンクのラプターへの導入も検討してきた。たとえばF-35の多機能高性能データリンク(MADL)や海軍の高速広帯域方式の戦術目標情報ネットワーク技術(TTNT)だが、によればこの分野での知見が十分ではないとしつつも空軍がF-15Cが搭載するタロンHATEデータリンクポッドでラプターから情報再配信を信頼できない理由があるという。
  5. 「ごく少数のF-15でしか利用できない性能なのです」とマッキンタイヤーは説明する。「利用可能なF-15が少ないためF-22が集める戦術情報の共有が不可能なのです」
  6. だがTACLink-16には単なるデータリンク機能の追加以上の内容がある。ラプターの機内エイビオニクスベイは三つあり一つは未使用のままなので空軍はここにオープンミッションシステムズ(OMS)の搭載をF-22の今後の性能改修の目玉として検討している。
  7. 「OMSで将来のF-22性能近代化がすべて実現します」とマッキンタイヤ―は言う。「簡単に言うとiPhoneにアプリを追加するようなものです」
  8. TACLinkに続くのがTACMANつまりTactical Mandatesでペンタゴンが求めるモード5の敵味方識別機能の向上だ。「2022年以降になるがTACLink-16とTACMANが使えるようになると威力はすごいはず」(マッキンタイヤー)
  9. ラプターパイロットにはもう一つ朗報がある。F-22でもヘルメット搭載型目標指定装備helmet–mounted cueing systems (HMCS) が使えるようになり、AIM-9Xの性能をフルに使えるようになる。HMCSの開発導入は来年2018年には始まり、2021年に使用可能となる予定だ。空軍はどの型のHMCSにするか決めていないが来年中に選定の運びとマッキンタイヤーは述べた。
  10. “The key enabler is the OMS,” McIntyre said.
  11. 「カギはOMS」とマッキンタイヤーは述べる。
  12. HMCSの追加によりラプターは当初ロッキードが契約を交付された際の高性能戦術戦闘機構想で想定した性能の機体がやっと生まれる。■
Dave Majumdar is the defense editor for the National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.


2016年10月23日日曜日

★★次期制空戦闘機の姿は大型化、性能向上で現在の戦闘機概念を覆えす可能性

これまでもシンクタンクの想定で戦闘機が大型化するとの考えが示されていますが、米空軍内部でも同じ論調が生まれているようです。実現すれば第一次大戦から続く小型機=敏捷な空の駆逐者とのイメージが大幅に変わる可能性がありますね。一方で給油機等の支援機材の脆弱性が表面化してきました。頭の痛い話です。



War Is BoringWe go to war so you don’t have to

The F-22 Raptor’s Successor Will Be Bigger and Faster Than a Typical Fighter

The U.S. Air Force wants a plane with more range and a heavier payload in the 2030s

by DAVE MAJUMDAR
米空軍の次世代制空戦闘機が初期検討中で17年1月から18ヶ月かけ代替手段検討(AOA)を開始し、2030年代以降の空を制する新型機の性能内容を煮詰めていく。
  1. 2035年にはステルスF-22は機齢30年、F-15Cは供用開始50年以上になる。
  2. まだ空軍は次期制空戦闘機の性能で方針を決定していないが、上記を考えると空軍が侵攻制空戦闘機(PCA)と想定する機体はF-22やF-15では対応不能な脅威内容に対応する性能となるはずだ。
  3. 「将来登場しているはずの脅威内容は理解できています」と航空戦闘軍団で制空戦闘機中核機能開発チームを率いるトム・コグリトー大佐はNational Interest取材で答えている。
  4. 「現有の性能や今後導入予定の性能でどう対応するのか、もしギャップがあればそのときどんな新性能を開発して対抗すべきか検討しています」
  5. コグリトー大佐の説明ではPCAは将来の「各種性能ファミリー」の一要素となり、制空任務はその一部にすぎない。その他必要な機能に基地運営、兵站活動、通信、情報収集監視偵察、指揮統制があり、各種機体・兵装を既存並び新規開発装備を取り混ぜ実現していく。
  6. 空軍では制空任務は運動性兵器以外に非運動効果として電子攻撃やサイバー戦も想定していると大佐は説明。
  7. 基地運用や兵站活動はともすれば軽視されがちだが、近代航空戦では重要な要素で特にロシアの復活や中国の軍事力拡大の中で基地が長距離精密攻撃の対象になってきたことが懸念されている。
  8. その中で中国は一連の巡航ミサイル、弾道ミサイルを開発済みで西太平洋の米軍基地が狙われている。ロシアも長距離攻撃用のカリブル-NKやKh-101ステルス長距離巡航ミサイルを保有しており、米軍の欧州や中東地区基地が脅威を受ける可能性がある。
  9. 「各地から作戦活動を展開する必要があるのは明らかで基地の安全が必須だ。そうなると必要な場所より遠隔地から活動する能力が必要になってくる」(大佐)
  10. 米空軍は空中給油機の安全確保でも構想固めをしている最中で、将来の制空任務実現に必須とみているためだ。ロシア、中国ともに給油機を標的にして米主導の航空作戦を崩すことをを狙って来るのは必至と見ている。
  11. ロシア、中国ともに長距離空対空ミサイルで重要機材を攻撃することを想定している中で、米空軍は長期的にステルス給油機を開発するとしているが、中短期的には緊急対策として脅威軽減が必至としている。
  12. そこで米軍の対抗策として機材の後続距離、滞空時間を延長する事があるが問題は戦闘機の機体寸法に伴う制約条件だ。
  13. 「戦闘機は小型なため滞空時間に制限があることになりがちだが、根本から見直しこの問題に取り組む」とコグリトー大佐は述べる。
  14. 戦闘機の航続距離、滞空時間での制約は実際の作戦面でも明らかになっている。
  15. その例に2011年のリビア作戦があり、防空装備が旧式化していたにもかかわらず作戦が困難を極めたのは距離のせいだった。将来の機材も現有機同様の性能なら運用上大きな問題が再来する。
  16. 「リビアは難題でした。距離そのものが課題でした。イタリアから発進してシドラ湾まで3時間の飛行で、シドラ湾自体は1,100マイルの長さがあります。防空体制が想定より劣ることがわかったとは言え、戦闘機の速度を考えると遠隔地の距離そのものが課題となりました」
  17. そこで給油機の性能要求もPCA研究の一環で空軍は行っている。
  18. 「PCA要求性能の検討の一部として給油機問題も取り上げることになります。長距離機材があれば給油機部隊も縮小できるという人がいますが、反対に小型機運用で小型給油機を多数運用すれば有利になることもあれば不利になるかもしれません」(大佐)
  19. 戦闘機には他の問題もある。小型なためペイロードが限定されがちだ。現有のF-22やF-35が搭載する機内兵装量は少なく、将来の航空戦で制約条件となる。
  20. 「三時間四時間と飛んでも爆弾二発ミサイル二発しか搭載できず、基地へ戻るのではいかにも効率が悪い。そこでまたもや距離の制約条件が猛威を振るいます。でなければもっと長距離を飛んでミンションに必要な量の兵装を搭載しなくては」(大佐)
  21. そこで制約条件の解決策として将来登場するPCA機は大幅に大型機とすることがある。長距離を飛び大量の兵装を搭載するのだ。
  22. この距離、滞空時間、ペイロードの要求とステルス、電子戦能力、速度、操縦性他をバランスさせる必要があるが、空軍の求める性能内容には矛盾する要素がある。大型ステルス機で大ペイロードを搭載し長距離飛行させつつ鋭敏な操縦性をもたせるのは現状では技術的に大きな課題だ。
  23. とは言え新技術として適応型サイクルエンジンの開発はジェネラル・エレクトリックおよびプラット&ホイットニーで進みつつあり、上記の矛盾する性能内容の実現に一役買うだろう。
  24. 「可変サイクルエンジンが実現すれば機体は相当変わってくるはず」と見るのはジェフ・マーティン(ジェネラル・エレクトリック、第六世代戦闘機エンジンを担当)だ。
ハリウッド映画さながらのノースロップ・グラマンの考える第六世代戦闘機の姿。Northrop Grumman capture
  1. ステルスがPCAでも一定の役割を与えられるのは必至だが空軍は次世代制空戦闘機用に電子戦装備に重点を置いているのも明らかだ。
  2. 「2030年代以降で残存するためには電子攻撃能力が必至」とコグリトー大佐は述べる。PCAがステルス、電子攻撃、速度、残存性を筒減するのは確実だ。「バランスが必要です。残存性を図る対策はたくさんありますが」(大佐)
  3. 米空軍ではその他に指向性エネルギー兵器のような興味をそそられる装備も検討しているが、レーザーの可能性は認めるつつ技術がまだそこまで追いついていない。どこかの段階で空軍は開発中技術の搭載を断念すべきかの決断を迫られそうだ
  4. 「そこが新技術で悩ましくも魅力を感じるってんです」とコグリトー大佐は述べる。「選択肢は多くあり、新技術には将来の機体に波及する効果も期待でき、機体寸法の制約を解決する新しい可能性があります」
  5. 米空軍がPCA開発に乗り出す決定をすれば機材は2030年代中頃に運用開始できるはずだ。
  6. ロシア、中国等の潜在敵性勢力の能力が向上している中で現有米軍装備が脅威にさらされることが増えている。そうなると究極的に米軍は新型制空戦闘機を開発し航空優勢を維持する必要がある。
  7. 「敵性勢力が装備、運用双方で実力を伸ばしており、こちらも進歩ているとは言え、空対空戦の有り様は大きく変わってしまったとの認識です」とコグリトー大佐は述べた。