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2026年8月27日木曜日

イランの経済は崩壊寸前なのに、和平合意に署名する準備が同国にない理由。―日本国内でイランの現状がちっとも伝わってこないのはどういう理由なのでしょうか。報道にバイアスがかかっていませんか。たとえば米国が横暴だとか

 


イラン経済は崩壊寸前だ。しかし、だからといってイランが合意に署名する準備ができているわけではない

Iran’s Economy Is Buckling. That Is Not the Same as Iran Being Ready to Sign a Deal


  • 19fortyfive

  • Andrew Latham

  • https://www.19fortyfive.com/2026/08/irans-economy-is-buckling-that-is-not-the-same-as-iran-being-ready-to-sign-a-deal/


コット・ベッセント財務長官が「経済的追放作戦」を発表した。これは5分野のセクターと60以上の対象を網羅する二次制裁で、緩和措置は一切伴わない。イラン経済は崩壊寸前であり、中国によるイラン産原油輸入は1日あたり140万バレルから約53万4000バレルへ減少した。テヘランが今年締結した唯一の合意には、即時封鎖解除と3,000億ドルの復興基金が盛り込まれていたが、合意は20日で破綻した。ワシントンは今、それよりも少ない条件でイランに屈服するよう求めている。ただし、なぜそれがうまくいくのか、誰も説明していない。

スコット・ベッセントは、制裁キャンペーンの基盤に奇妙な哲学者を選んだ。

財務長官は、自身が「経済のDデー」と呼ぶ事態を予告した日曜日の論説記事の中で、パスカルの賭けを引用した。証拠がなくても神の存在に賭けるべきだ、と。なぜなら、間違った場合の代償が高すぎるからだ。

これをイランに当てはめると、テヘランと今も取引を行っている国は、確実性など顧みず、今すぐ手を引くべきだということになる。なぜなら、見当違いの判断をした場合の代償が、高騰しようとしているからだ。これは巧妙な言い回しだが、同時にその本音を露呈している。

賭けに頼るのは、有効な手段がないときだ。ベッセントは、制裁が合意をもたらすと主張しているわけではない。彼が賭けているのは、それを証明する必要が生じる前に、十分な数の国が不安を感じて折れるだろうということだ。

イラン経済は単に圧力を受けているだけでなく、目に見えて崩れつつあり、ベッセントの主張には確かな根拠がある。イランの原油輸出の大部分を占める中国の精製業者は、昨年は1日あたり140万バレル近くを輸入していたが今月、その数字はおよそ53万4000バレるに落ち込んだ。

テヘランが頼りにしている浮遊貯蔵量は、およそ1億500万バレルから8,000万バレルに縮小し、イラン産原油は、通常なら割引価格で販売されるはずが、現在はプレミアム価格で販売されている――これは原油市場の供給不足がもたらす現象だ。

その同じ朝、リアルが過去最低値を更新したことも加われば、これは単なるプレスリリースというよりは、深刻な危機のように見える。

より難しい問題――この賭けが回避している点――は、さらなる苦痛がイランに何らかの合意へ署名を引き出すかどうかだ。今年、唯一の真の試練となったのは、現在交渉のテーブルに乗っているどの案よりもはるかに寛大な条件のもとで結ばれたものであり、その結果生まれた合意はわずか3週間しか続かなかった。

6月17日、フランスで開催されたG7サミットの最中、トランプ大統領とイランのマソウド・ペゼシュキアン大統領は、「イスラマバード合意」として知られる覚書に署名した。

この14項目の文書により、ワシントンは即時封鎖解除と石油輸出の特例を約束し、制裁の完全解除と3,000億ドルの復興基金は、60日以内の最終合意を条件とした。

数日後、財務省はイランが自由に石油を販売することを認める一般ライセンスを発行した。イランは、書面による即時の制裁緩和に加え、さらに多くの恩恵を得るための確かな道筋を手に入れた。

それは3週間続いた。

7月7日に3隻の商船が海峡付近で攻撃を受け、財務省は同日、石油免除措置を取り消し、企業に対して10日間の事業縮小期間を与えた。

その週のうちに封鎖が復活した

テヘランの意思決定についてどのような結論を下そうとも、この事実は記録に残すべきである。すなわち、ワシントンが今年行った最も寛大な提案でさえ、イランから持続的な「承諾」を引き出せなかったのだ。

それは平穏を3週間もたらしただけで、その後は元の状態に戻ってしまった。

この比較は、本日の発表にとって好ましいものではない。

ベッセントは「経済的追放作戦」を明らかにした。デジタル資産、技術、金、航空、海運の5セクターにわたる二次制裁の拡大に加え、60以上の団体、個人、船舶に対する制裁であり、テヘランを「テヘランが孤立するまで」孤立させることを目的としている。緩和も免除もない――すでに痛手を与えている封鎖の上に、圧力のみが積み重ねられるのだ。

それでも効果があるかもしれない。制裁は、インセンティブが一切提示されなくても、国家を徐々に疲弊させることがあるからだ。

しかし、「重い棒」だけでは成功するが、「棒」に加え、大きな成果への信頼できる道筋が提示された場合は失敗するとの主張をする側に責任がのしかかる。そして、ベッセントを含め、まだ誰もそのハードルをクリアできていない。

テヘランで電話を握っているのは誰か

ホルムズ海峡に関しては、評価すべき点は評価すべきだ。

海峡を通る船舶交通量は、戦場のように見えた春の最悪の時期から改善している。

それでもなお、戦前水準を大きく下回っており、今週、イランが自ら設立した「ペルシャ湾海峡庁」は、通行規則に違反したと非難するタンカーをブラックリストに登録し、罰金や差し押さえを警告した。

今日のホルムズ海峡を形容するなら、「改善された」というのが適切だ。

「開放された」とはまだ言えず、この二つを混同するのは、楽観論を売り込む人々が好んで利用する「カテゴリーエラー」である。

注目すべき真の亀裂が存在する。イランの最高国家安全保障会議議長を務めるペゼシュキアン大統領は今月、自国は「戦争を永遠に続けられない」と述べ、国内強硬派からの批判に対してイスラマバード覚書を公に擁護した。

通常、大統領がそのような発言をするのは、舞台裏で何か変化があった場合に限られる。

しかし、評議会の日常業務を統括しているのはモフセン・レザエイだ。彼は元革命防衛隊司令官であり、イランの最高指導者が同氏を評議会への自身の代表に指名したのと同じ週に、事務局長に任命された。

この2つ目の任命は重要だ。レザエイは、自身が仕える大統領とは別に、モジュタバ・ハメネイとの独自の連絡ルートを持っており、7月にはホルムズ海峡がイランにとってどれほどの価値があるかについて、自身の見解を述べた。「原子爆弾数十発」より価値があると彼は語った。これは、指示を待つ部下の言葉ではない。

したがって、大統領が融和的姿勢を見せ、一方で国家安全保障会議の秘書官が、リストに載っているタンカーを例示として処罰する用意があるかのように発言した場合、賢明な対応は、両方のシグナルを同等に受け止めるのではなく、どちらのシグナルに重みがあるかを慎重に見極めることだ。

レザエイはペゼシュキアン大統領と同様にハメネイ最高指導者にも報告義務を負っており、今週は緊張を緩和するどころか、むしろエスカレートさせる動きを見せていた。

同盟国に向けられた脅威、米国だけではない

レザエイの脅威はワシントンだけに向けられたものではない。

彼は別途、湾岸諸国が新たな制裁に加われば、イランはそれらの国の石油輸出も遮断し、自国側の海域だけでなく、水路全体を使用不能にすると警告している。

これはサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)に向けられた脅威であり、ベッセント氏の賭けの弱点を露呈している。

第三国に対し、イラン産原油の供給停止というリスクを承知の上で米国の決意に賭けるよう求めるのと、自国の石油収入を失うリスクを伴う場合とでは、事態の性質が全く異なる。

ここで、制裁をめぐる議論は、ワシントンとテヘランの二国間対立という枠を超え、同盟関係の管理という課題へ転換する。

二次制裁の有効性は、その執行を求められた国々の規律の厳格さに左右されるが、レザエイは、ワシントンが最も必要としている湾岸産油ニカ国に対し、その規律を守る代償を高くつき、かつ個人的な問題として突きつけたのだ。

リヤドとアブダビがこれを単なる威嚇と見なすか、あるいは交渉の切り札と見なすかによって、今日の午後ベッセントが発表した内容よりも、事態がどこへ向かうかがより明確になるだろう。

これらすべてが、制裁が失敗することを意味するわけではない。

それは、制裁が成功する確かな証拠をまだ誰も持っておらず、証拠となり得る二つの要素が隠されているわけではないことを意味する。

今後数週間のうちに、海峡管理当局がブラックリストの執行を静かに中止するかどうか、そしてレザエイによる湾岸地域の海運に対する脅しも沈静化するかどうかを見守ることだ。

いずれかが発生すれば、大統領の海外でのインタビューだけでなく、実際に安全保障政策を運営している機関が、現時点で抵抗し続けるコストが条件を受け入れるコストを上回ると判断したことを示唆するだろう。

現時点ではどちらも起きておらず、本日午後に発表された内容だけでは、その状況は変わらない。

この事態を注視する者が懸念すべきなのは、単一のデータポイントではなく、そのパターンである。

ワシントンは、2月の空爆、4月の封鎖、8月の「Dデー」を連想させる言辞といった、一連の新たな圧力を、いずれも「テヘランに屈服を強いるもの」として扱い続けている。

今年、イランが合意文書に署名した唯一の機会において、同国は前もって制裁緩和を得るとともに、トランプ政権が当初提示した条件をはるかに上回る内容への道筋を文書で保証されていた。

今回、イランには、具体的な道筋が示されていない救済の約束と引き換えに、屈服することが求められているが少なくともレザエイ発言からは、そのような提案を待っているようには聞こえない。■

著者について:アンドルー・レイサム博士

アンドルー・レイサムは、ミネソタ州セントポールにあるマカレスター・カレッジの国際関係学および政治理論の教授である。Xで彼をフォローするには: @aakatham


2026年8月22日土曜日

トランプにはイランを内部崩壊させる切り札が全部そろっている...のか?

 

トランプにはイランを内部崩壊させる切り札が全部そろっている

Trump Has All the Cards to Shatter Iran from the Inside


厳しい経済的圧力では、ワシントンに「すべて」と「何もしない」の間の幅広い選択肢がある。その中間に位置し、イランに多大な打撃を与えるような措置であれば、十分に効果的だ



トランプの支配下におけるイランの暗澹たる未来: 

最も可能性の高いシナリオでは、イランは核を持たない北朝鮮、あるいはキューバ・リブレのないキューバのような姿になるだろう。トランプによる経済戦争の脅威だけでも、この政権は戦略的スラム街へと追いやられることになる。さらに、大統領が将来的な軍事行動を約束していることを加えれば、イラン側が何か仕掛けてきた場合――例えば、新たな大火災を引き起こす前に小規模な火種を消し止めるような行動――を即座に鎮圧することになる。予見可能な将来において、テヘランが1年前のような影響力を取り戻す結末はあり得ない。そして、それこそがまだ楽観的なシナリオなのだ。

イランは貧困化し、地理的に孤立し、近隣諸国に力関係で劣り、世界エナジー市場で取るに足らない存在となり、アヤトラの残された友人や同盟国にとっては資産というより足手まといとなるだろう。

合意の有無にかかわらず、米国にとって最も可能性の高い最終状況は驚くほど似通っている。 恐れられる地域大国たらしめた能力を取り戻すことに失敗したイランは、世界的な影響力や、広範な平和、繁栄、安全保障を含む大中東へのあらゆる道筋に対する事実上の拒否権を失う。つまり――核兵器なし、近隣諸国を意のままに粉砕できる長距離兵器の備蓄なし、そして命令一つで放たれ、混乱と大混乱を撒き散らすことのできる代理勢力の軍隊もない、ということだ。米国はこれらの目標を概ね達成した。さて、問題はこうだ。イラン政権の力が将来どこまで低下するかでタイムラインを延長した場合、最終的な状態はどのようなものになるのか?

どちらに転んでも我々の勝ち

一つの選択肢は、イランが合意を結ぶことだ。 大統領の特使が大筋をほぼ明らかにした。「もしイランが、我々と協議してきた合意を完結させ、核兵器を製造する能力を放棄する意思があれば、明らかに彼らはイラン国民にとって素晴らしい合意を結ぶ用意がある。大統領も前向きに検討するだろう」。要するに、トランプはこれまでに成し遂げた成果について一切妥協しないということだ。同氏は、イランが再び地域を威圧する能力を手に戻すことは決してないだろう。

イランがこの選択肢を選んだ場合の利点は、極度の貧困から逃れられることだ。トランプは、経済的締め付けを緩和する点で寛大になるかもしれない。それが、クシュナーが予測した「イラン国民にとって素晴らしいものになり得る合意」かもしれないが、少なくとも一般イラン国民は、猛烈なインフレや食卓に肉が並ばない状況に悩まされる必要はなくなる。

一方で、ワシントンの戦略的要求――そこには間違いなくあらゆる種類の「信頼はするが検証もする」という留保条件が含まれるだろう――に屈服すれば、完全に屈辱的なことになる。敗北を認めることは、政権指導部の残党を弱く見せてしまう――それは彼らが何としても避けたい屈辱である。

もし「合意なし」の姿勢を貫くなら、トランプは「まあいいや」と言って立ち去るだけではない。 政権は代償を払わなければならない。彼らはおそらくその道を選ぶだろう。独裁者個人を罰するよりも、国家を罰する方がはるかに容易だからだ。

抵抗勢力は、往々にして長く持ちこたえる。北朝鮮は一度も合意を結んだことがない。それでもなお存在している。キューバも同様だ――ピッグス湾事件、キューバ危機、そして数十年にわたる制裁を耐え抜いてきた。タリバンは打ち負かされたが、かつてアフガニスタンと呼ばれたあの地獄のような場所で、再び何とかやりくりしている。国民は抑圧され、貧困に苦しんでいるかもしれない――だが、立っている限りは自分たちが頂点に立っていると主張する政権にとって、それは大した問題ではない。

裏が出れば我々の勝ち

しかし、合意を受け入れなければイランは戦略的な影響力を取り戻すこともできず、世界の貧しい辺境地帯以上の存在になることも決してないだろう。

イランの軍事能力は著しく低下しているため、トランプ大統領が「必要に応じて武力を行使し、草を刈り払う」という脅しを実行に移すことはほぼ確実だ。また、米国が永遠に単独でその負担を背負い続ける必要もない。イスラエルがイラン監視に協力するだろう。テヘランの近隣諸国も協力する可能性が高い。さらに、ペルシャ湾の水路で航行の自由を維持するため国際連合軍が展開されることも予想される。連合軍との協力と選択的攻撃という戦略により、米国は妥当な作戦ペースを維持し、兵器庫を管理し、戦力を他の戦域へ再配置することができるだろう。

イランの将来像

影響力の喪失。 戦略的な影響力を取り戻せないことに加え、同地域が商品やサービスの輸送手段として他の冗長性があり回復力のある手段に目を向けるにつれ、海峡におけるイランの影響力は、世界貿易や石油市場においてますます無関係となっていく。最近のブルームバーグ記事が指摘しているように、「中東産油国は、イラン戦争が長期化する中でも、ペルシャ湾から大量の原油を輸送し続けており、これにより価格上昇を抑制し、エナジーに起因するインフレ急騰への懸念を和らげている」。海峡問題に関して言えば、テヘランはすでに人質を撃ち殺してしまった――映画『ファーゴ』を見た人なら、死んだ人質にどれほどの影響力があるかを知っているはずだ。

さらに、イランが同海峡を本格的な収益源に変えるシナリオは存在しない。同海峡を通る無害通航権を保障する国際法に取って代わる「合意」などあり得ない。また、海峡を管理するいかなる国も、「通行料」を徴収する法的権利を有していない。モントルー条約に基づき、ボスポラス海峡およびダーダネルス海峡を管理する強力な権限を持つトルコでさえ、通行料を徴収できない。ただし、航行援助、安全検査、および通過の維持管理のためその他の業務に要した費用に対する手数料を徴収することはできる。イランがホルムズ海峡での通過料徴収で富を築いたり、インフラや軍備を再建したりすることなど、決してあり得ない。

核兵器は認められない。 イランは、北朝鮮と同様に孤立し、貧困に陥る可能性もある(比較すると、北朝鮮のGDPは韓国の約2%に過ぎない――しかもそれは、ロシアと中国からの継続的な支援がある上でだ)。しかし、北朝鮮は相当な規模で拡大を続ける核兵器を保有している。とはいえ、これは、イランの核開発野心を阻止するための数十年にわたる徒労とともに、核不拡散コミュニティが得た教訓である。今後、ワシントンがならず者政権による核兵器保有を容認する可能性ははるかに低くなるだろう――そして、得られた教訓は、介入は遅くなるより早いうちに行ったほうがよいということだ。その結果、厳しい制裁と封鎖下に置かれたイランは、北朝鮮のような姿になるだろうが、核保有国の利点は持たないことになる。

経済の停滞。 イラン経済の要はエナジーである。輸出の50%以上は燃料および関連製品によるものである。イランは他の供給者からの激しい競争や制裁という課題に直面するだけでなく、国内のエナジーインフラを修復、再建、近代化する資金調達はほぼ不可能になるだろう。米国が構想する制裁と封鎖という「ワンツーパンチ」は実に手強いものであり、これには「中国の銀行、影の船団、両替所を標的とする」措置も含まれている。確かに、ワシントンはこうした措置の一部によって、中国からの報復や米国経済への悪影響など、逆風に見舞われる可能性がある。とはいえ、ホワイトハウスは一定のリスクを受け入れる用意があるようであり、必要に応じて措置を緩和・軟化させることもできる。

厳しい経済的圧力に関して言えば、ワシントンには「すべて」と「何もしない」の間の幅広い選択肢がある。その中間に位置し、テヘランに多大な打撃を与えるような措置であれば、十分役に立つだろう。

長い終焉の始まり

明確にしておこう。経済的圧力だけで体制の転覆を強いることはできず、テヘランに合意を迫ることもできないという強力な主張がある。それは確かに真実かもしれない――しかし、どちらの目標も、ワシントンが望むものを手に入れるための必要条件ではないため、それは無関係である。■

著者について:ジェームズ・ジェイ・カラファノ博士

ジェームズ・ジェイ・カラファノは、国家安全保障の専門家であり、25年間陸軍に在籍した退役軍人である。近著に『Cold Combat: Mountain Warfare in Italy and the Battle of San Pietro, 1943』および『Digital Dominance: Winning in a Socially Networked World』がある。19FortyFiveの寄稿編集者でもある。また、ヘリテージ財団で大統領上級顧問およびE.W.リチャードソン・フェローを務めている。


2026年7月13日月曜日

ホルムズ海峡は完全に封鎖されていない―イランの発するプロパガンダに惑わされないよう注意が必要。イランはオマーン側の米国が守る通行帯に神経を尖らせている 逆にイランの主張する通行帯は不人気すぎる

 

ホルムズ海峡の衛星写真。NASA提供

イランによる攻撃が続いてもホルムズ海峡の船舶交通量が増加中

Hormuz Sees Traffic Bump Despite Ongoing Iranian Attacks


https://news.usni.org/2026/07/10/hormuz-sees-traffic-bump-despite-ongoing-iranian-attacks

運業界が航行を試みる中、5月から6月にかけてホルムズ海峡を通過する船舶数は2倍以上に増加している。ロンドンを拠点とするロイズ・リスト・インテリジェンスは、6月の同海峡通過船舶数を少なくとも576隻追跡した。5月は233隻だった。しかし、ロイズ・リスト・インテリジェンスのデータによると、2025年6月の通過船舶数が3,131隻の前年と比較すると、通過数は依然として大幅に減少したままだ。

6月の通過船舶の約70%は、イラン以外の船舶であった。

6月17日にイランと米国間の60日間停戦が発表されたことを受け、ホルムズ海峡では、ペルシャ湾に足止めされていた船舶が大量に脱出した。しかし、国際海事機関(IMO)のアルセニオ・ドミンゲス事務局長は水曜日の声明で、依然として約6,000人の船員が足止めされていると述べた。

2月28日に敵対行為が始まった時点では、船員約2万人が足止めされていた。

本誌の集計によると、2月28日の敵対行為開始以降、米国とイラン双方による船舶への攻撃は少なくとも58件確認された。また、発射体とのニアミスを報告した船舶が少なくとも2隻ある。

ロイズ・リスト・インテリジェンスは、6月18日から7月5日までの間に579件の通過を把握したが、通過時に自動識別装置(AIS)をオフにする船舶が再び現れるにつれて、実際の数はさらに増えていた可能性がある。579件のうち、333件は東行きだった。

通過回数は多いものの、現在の交通量は開戦前の水準の80%にとどまっていると、ロイズ・リスト・インテリジェンスのアナリスト、ブリジット・ディアクン氏は木曜日のウェビナーで述べた。

ロイズ・リスト・インテリジェンスが火曜日に追跡したイラン登録以外の船舶の通過回数は24回で、船舶はオマーンに近い米国が推奨する航路と、イランのペルシャ湾海峡管理局の許可が必要なイラン側の航路の両方を利用していた。

停戦以降の交通量は、ホルムズ海峡における「ニューノーマル」とはまだ言えないと、ロイズ・リストのリチャード・ミード編集長は述べた。

イランと米国が了解覚書に署名し、米国がイランの港湾封鎖を解除して以来、イランによる商船への5回の攻撃があったが、ここ数週間、航行は続いている。これに対し、米中央軍は報復としてイランを攻撃した――直近の攻撃は水曜日に行われた――。ドナルド・トランプ大統領は、イランによるMT Cyprus Prosperity(IMO 9595216)への攻撃およびそれに続く米軍によるイランへの攻撃を受け、金曜日に停戦が終了したと宣言した。

国際海事機関(IMO)によると、攻撃のうち4件はオマーン沖の船舶に対するもので、1件はアラブ首長国連邦(UAE)沖でのものだった。

7月2日のウェビナーで、ディアクンは、イランによる攻撃後も船舶の通過数が減少しなかったことに「やや驚いた」と述べた。

「船舶は引き返すだろうと思っていましたが、ある意味その圧力を維持し続けたのは興味深いことです。同様に、紅海でも同様の傾向が見られました。状況が変わらなかったにもかかわらず――停戦が破綻したにもかかわらず――人々が再び進出し始め、すぐに引き返すことはなかったのです」と彼女は述べた。

ディアクンは、海運業界が現在の状況に適応するにつれ、今後1週間で通過船舶数が減少すると予測している。今後については、交通量は増減を繰り返すと見込んでいる。また、ディアクンは、ペルシャ湾へ導く西行きの通過船舶数の増加は見込まれないと述べた。

BRSシップブローカーズのリサーチ・コンサルティングサービス責任者アンドルー・ウィルソンは、木曜日のウェビナーで、同海峡の状況は3月や4月より改善していると述べた。

「しかし、湾岸地域の関係者全員が合意できるような実質的な合意が成立するまでは、状況は極めて不安定なままであるだろう」とウィルソンは語った。■

ヘザー・モンジリオ

ヘザー・モンジリオはUSNI Newsの記者である。科学ジャーナリズムの修士号を取得しており、地方裁判所、犯罪、健康、軍事問題、海軍兵学校などを取材してきた。


ホルムズ海峡の戦略的な意味は今後低下する―同海峡を経由しない原油輸送ルートの開発で複数のプロジェクトが進行中。イランが同海峡をてこにプレゼンスを誇示できる段階は今後減少する

 

世界はイランをめぐる石油地図を静かに書き換えつつある――テヘランの最大の武器は無価値になるかもしれない

The World Is Quietly Redrawing the Oil Map Around Iran — and Tehran’s Greatest Weapon May Soon Be Worthless

米国と湾岸諸国のパートナー国は、ホルムズ海峡を迂回する競争を繰り広げている。UAEはパイプラインの輸送能力を倍増させ、サウジアラビアは紅海ルートを拡張し、イラクはシリアを経由する地中海ルートを復活させている。「ホルムズからヒューストンへ」というトランプ政権の計画は、同海峡を通過する石油のうち最大半分を迂回させようとしている

https://nationalsecurityjournal.org/the-world-is-quietly-redrawing-the-oil-map-around-iran-and-tehrans-greatest-weapon-may-soon-be-worthless/

ルムズ海峡は、イラン政権にとって一貫して戦略的な地政学的武器であった。同水路は、世界の石油、ガス、液化天然ガス(LNG)の20%を輸送してきた

米国とイスラエルによる空爆作戦が開始されると、イランが同海峡を封鎖したことは、紛争を終結させるための米国との交渉において、イランに重要な交渉材料をもたらした。この措置は世界経済に甚大な影響を及ぼしたからである。

11月3日に米国で中間選挙が控えていることを考慮すればなおさらだ。原油価格や食料価格の高止まりが続けば、トランプ大統領に壊滅的な打撃となりかねない。

テヘランによる交渉上の切り札となった同海峡は、多くのアナリストによって、米国が「了解覚書(MoU)」に迅速に合意した重要な要因として挙げられた。同覚書の条件は、イランに極めて有利であると広く見なされている。

しかし、サイモン・ワトキンスが最近OilPrice.comで指摘したように、地域のエナジー地図を再構築する計画が進められており、今後数年間でイランによるホルムズ海峡への脅威は一層効果を失っていくことになるだろう。

イランの行動がホルムズ海峡の交通への依存度を低下させる

イランはこれまで通行料が存在しなかった同海峡で新たなペルシャ湾海峡庁(PGSA)を設立し、通行料を徴収することで、湾岸地域の産油国や世界経済威圧しようとしている。さらなる交渉が行われるまでの少なくとも60日間は海峡が開放されることになっていたにもかかわらず、イランは海峡のオマーン側を通過した3隻のタンカーに対して発砲した。

イラン側は、世界が自分たちの脅迫に屈すると期待しているが、彼らが「必要とあれば再び海峡を封鎖する」という意図を示している事実は、単に世界の他の国々に、イランの脅迫的試みに代わる代替手段への投資を促す結果となっている。

米国と湾岸諸国のパートナーは、オマーン海岸沿いに位置する「サザン・ハイウェイ」回廊を支援した。この措置は、通過中の石油タンカーの数を回復させるという点よりは、市場のパニックを和らげるという点で、わずかながら効果があった。

封鎖開始直後のピーク時には、同回廊を通じて週末ごとに約12隻の船舶が通過できたが、6月下旬には約119隻まで増加した。とはいえ、この水路の通常の週700隻という通過数には、依然として程遠い。

とはいえイランの行動は、ごく近い将来、ホルムズ海峡の重要性と価値を低下させるだけだろう。

ヴァージニア大学のグローバル・サプライチェーン専門家であるヴィディア・マニは、ニューヨーク・タイムズに対し、各国がリスクを軽減し備蓄を増やすために、再生可能エネルギーや中東以外の石油供給源への依存をさらに高めていくと予想していると語った。

ホルムズ海峡を迂回しイランの影響力を排除する

米国と同盟国・パートナー諸国は、ホルムズ海峡への世界的な依存度を低減し、イランが石油市場を混乱させる能力を弱めるため、パイプライン、輸出ターミナル、陸上貿易回廊の建設を加速させている。

アラブ首長国連邦(UAE)のハブシャン・フジャイラ・パイプラインは、アブダビ油田をオマーン湾のフジャイラ港に直接結ぶ全長360kmのパイプラインで、1日あたり180万バレルという最大輸送能力に達している。

UAEはまた、フジャイラへ新たなパイプラインを建設中であり、これにより2027年までに迂回輸送能力が2倍の1日あたり300万バレル以上に拡大する。

アブダビは、イランが将来的にホルムズ海峡の航行を遮断すると脅迫してくる可能性があると見込んでおり、イランの干渉を受けず自国の原油を円滑に輸送できるよう対策を講じている。

サウジアラビアの全長1,200kmに及ぶ「東西パイプライン」拡張計画は、同国東部の油田からアラビア半島を横断して紅海のヤンブー港まで原油を輸送するもので、輸送能力を1日あたり700万バレルに拡大する。

イラクからはトルコやシリアの港湾への新輸出ルートが開設され、ホルムズ海峡を迂回するように設計された「インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)」の整備も急ピッチで進められている。これにより、同海峡を通るコンテナ輸送量の60%が迂回する。

代替供給源(産油国)が生産を拡大している

狭くも極めて重要な水路を「武器」として利用することは、代替供給源の模索を招くだけであり、産油国は数多く存在する。米国、ブラジル、アルゼンチン、カナダ、カザフスタン、ヴェネズエラはすでに石油生産を拡大しており、中東の顧客がさらなる供給途絶のリスクを負うことなく、同地域を完全に迂回できるようにしている。

ワトキンスはさらに、南北アメリカ大陸が世界の石油生産量の32%を占めており、トランプ大統領のOPECへの反感が、同政権を石油産業を「ホルムズからヒューストンへ」と導く原動力となっていると付け加えた。

トランプ政権の計画は、既存のパイプライン、陸上ルート、および新規建設を活用し、短期的には同海峡を通過する1日あたり約20~21百万バレルの石油のうち、最大50%を迂回させることにある。

しかし、その他産油国での増産は、ホルムズ海峡を経由する原油への長期的な依存度に影響を及ぼすことになるだろう。

イランの影響力を抑制しようとする湾岸諸国

湾岸諸国は、イランとの永続的な平和の実現にいかなる幻想も抱いていない。イスラム共和国の歴史、権力掌握への執着、そして近隣諸国に対する好戦的な行動を鑑みれば、平和的共存の見通しは暗い。

湾岸諸国は、イランが課す通行料を拒否し、同水路を完全に迂回することで、ホルムズ海峡におけるイランの影響力を抑制している。

湾岸協力理事会(GCC)は、テヘランの支配と海洋上の影響力に対抗するため、的を絞った戦略を展開している。

バーレーン、クウェート、カタール、サウジアラビア、およびUAEは正式に拒否し、テヘランによる「ペルシャ湾海峡庁」の設立を認めず、国際船舶に対し、イランが指定した航路を無視するよう勧告している。

湾岸諸国は国連安全保障理事会に対し、イランに拿捕の停止、機雷の設置場所の開示、および商船の航行への干渉の停止を要求するよう強く働きかけている。

イラクとシリアは、ホルムズ海峡を迂回して、イラク油田から地中海へ原油を輸送するためのパイプライン網を構築する計画を推進している。

イラクのフアド・フセイン外相は先週、ダマスカスでシリアのアフマド・アル・シャラー大統領と会談し、エナジーインフラ分野での協力を拡大する計画を推進した。これには、歴史的な設計能力が1日あたり30万バレルである全長800キロメートルのキルクーク・バニヤス・パイプラインの復活プロジェクトも含まれている。

米国はイラクと協力し、大規模なバスラ・ハディサ・パイプラインを建設中だ。50億ドルを投じる全長700キロメートルの国内パイプラインは、イラク南部の油田からハディサまで延伸され、日量225万~250万バレルの輸送能力を持つことになる。

このパイプラインにより、イラクは南部の膨大な石油埋蔵量を、ホルムズ海峡を完全迂回して北部、さらには欧州やシリアへと直接輸送できるようになり、それだけでイランの影響力は無効化されることになる。

したがって、テヘランは短期的には船舶への攻撃や手数料の徴収といった強圧的な手段を通じて石油の流れを脅かしたとしても、その影響力はまもなく大部分が無効化される。そして、世界の石油の流れが再び阻害されることはなくなるだろう。■

著者について:スティーブ・バレストリエリ

スティーブ・バレストリエリは、国家安全保障コラムニストである。米陸軍特殊部隊の下士官および准尉を務めた。防衛問題に関する執筆に加え、PatsFans.comでNFLの取材も行っており、全米プロフットボール記者協会(PFWA)の会員でもある。彼の記事は、多くの軍事関連出版物で定期的に掲載されていた。